特許第6261163号(P6261163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6261163-電子部品の搬送方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261163
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】電子部品の搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20180104BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   H05K13/04 A
   H05K13/08 Q
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-255792(P2012-255792)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-103330(P2014-103330A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤田 義則
(72)【発明者】
【氏名】北島 靖弘
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−257529(JP,A)
【文献】 特開平09−121096(JP,A)
【文献】 特開平03−029720(JP,A)
【文献】 特開平06−239313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着可能なノズルが降下し、所定の位置に載置された電子部品を真空吸着した後、前記ノズルが上昇して前記電子部品を搬送する電子部品の搬送方法において、
前記電子部品は、正常な姿勢で載置された高さが異常な姿勢で載置された高さより低いものであって、
先端の吸引口から吸引を行わずに、前記ノズルが、前記電子部品が異常な姿勢で載置されたときの最も高い高さより高い第1の高さまで降下する第1工程と、
前記吸引口から吸引しながら、前記ノズルが前記第1の高さから降下する第2工程と、
前記電子部品が前記吸引口に吸着したことを検知し、前記ノズルの降下を停止させることで、前記ノズルが前記電子部品を過剰に押し下げることを防止する第3工程と、
前記電子部品を吸着した前記ノズルが上昇し、前記電子部品を搬送する第4工程と、を含むことを特徴とする電子部品の搬送方法。
【請求項2】
請求項1記載の電子部品の搬送方法において、前記第2工程の降下速度は、前記第1工程の降下速度より遅いことを特徴とする電子部品の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常な姿勢で載置された電子部品を搬送する電子部品の搬送方法に関し、特に、ノズルの降下によって生じる電子部品や部品収納部の破損を発生させない電子部品の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化に伴い、搭載する電子部品の小型化も進んでいる。例えば、小型の半導体集積回路では、0.53mm×0.35mm程度の大きさで、厚さは0.07mm程度になってきている。このような形状の電子部品をテーピングするとき、図2に示すように、電子部品1がキャリアテープ等のテープ基材2に形成された収納部3内に、正常な収納姿勢(横長状態)ではなく、立った状態(縦長状態)で収納されてしまう場合がある。その際、異常姿勢で収納されたまま、その開口部をカバーテープ(図示せず)で覆うシールド工程へ進むと、収納部3から突出した電子部品1が、テープ基材2やカバーテープを傷つけてしまうため、取り除く必要がある。
【0003】
例えば特許文献1では、異常姿勢で収納された電子部品を検知した場合に、作業員に異常姿勢で収納された電子部品を取り除くように表示する機能を備えたテーピング装置が提案されている。表示をみた作業員は、異常姿勢で収納された電子部品を取り除き、装置を再起動させることになる。
【0004】
また、一般的な搬送装置では、収納部に電子部品が正常な姿勢で載置されているかを検知するためカメラ等の画像認識装置が取り付けられており、収納姿勢が正常か、異常かを検知し、正常な姿勢で収納されている電子部品は所定の位置に搬送し、異常な姿勢で収納されている電子部品は取り除かれる。その際、いずれの場合も同じノズルを使用するのが一般的である。図3に示す例では、電子部品を搬送するためのノズル4は、正常な収納姿勢で収納されている電子部品1の表面に接触する高さt1まで、高速で下降し、図示しない真空センサを使用してノズル4の先端に電子部品を吸着したことを確認した[1]後、ノズル4を高速で上昇させ[2]、所望の位置に搬送する。一方異常な収納姿勢で収納されている電子部品を取り除く際にも、ノズル4は高さt1まで降下するように動作する。しかし、異常な収納姿勢で収納された電子部品は、正常な姿勢で収納されている場合と比較して、高さTだけ高いため、ノズル4は高さt2で電子部品1に接触してしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−148807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載のテーピング装置では作業員が電子部品を取り除かなければならないため、テーピング装置の停止時間が長くなり、作業効率が低下してしまうという問題があった。またノズルを用いて電子部品を取り除く場合には、ノズルの降下高さは一定のため、異常な姿勢で収納された電子部品をノズルが強く押し込み、電子部品1やテープ基材を破損させてしまうという問題があった。本発明は、異常姿勢で収納された電子部品を取り除く際、収納部の破損等を発生させない電子部品の搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本願第1の発明は、吸着可能なノズルが降下し、所定の位置に載置された電子部品を真空吸着した後、前記ノズルが上昇して前記電子部品を搬送する電子部品の搬送方法において、
前記電子部品は、正常な姿勢で載置された高さが異常な姿勢で載置された高さより低いものであって、先端の吸引口から吸引を行わずに、前記ノズルが、前記電子部品が異常な姿勢で載置されたときの最も高い高さより高い第1の高さまで降下する第1工程と、前記吸引口から吸引しながら、前記ノズルが前記第1の高さから降下する第2工程と、前記電子部品が前記吸引口に吸着したことを検知し、前記ノズルの降下を停止させることで、前記ノズルが前記電子部品を過剰に押し下げることを防止する第3工程と、前記電子部品を吸着した前記ノズルが上昇し、前記電子部品を搬送する第4工程と、を含むことを特徴とする。

【0008】
本願第2の発明は、請求項1記載の電子部品の搬送方法において、前記第2工程の降下速度は、前記第1工程の降下速度より遅いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子部品の搬送方法によれば、ノズルによって電子部品が強く押し込むことがないので、電子部品の破損や部品収納部の破損を発生させることがない。また、作業員が異常姿勢の電子部品を取り除くまで装置を停止させる必要も無いので、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の電子部品の搬送方法の説明図である。
図2】電子部品の収納姿勢の説明図である。
図3】従来の電子部品の搬送方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の電子部品の搬送方法は、ノズルの先端に電子部品が吸着したことを検知し、ノズル降下を停止する構成としたことに大きな特徴を有している。以下、本発明の電子部品の搬送方法について、電子部品をテープ基材の収納部に載置するテーピング方法を例にとり、詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
本実施例の搬送方法は、通常の半導体装置のテーピング装置に適用することができる。この種のテーピング装置では、収納部に電子部品が正常な姿勢で載置されているかを検知するため、カメラ等の画像認識装置が取り付けられており、画像認識により、収納姿勢が正常か、異常かを検知することができる。
【0013】
収納姿勢を検知した後、電子部品を吸着して搬送するノズルが、その電子部品上に移動し、図1に示すように降下を開始する[1]。ここで、本発明では、ノズル4は、従来の降下高さt1、即ち正常な姿勢で載置された電子部品の表面の高さまで降下するのではなく、異常姿勢で収納された電子部品1の表面の高さt2よりさらに高い高さt3まで降下する。この状態では、電子部品1が異常姿勢で載置されていた場合であっても、ノズル4が電子部品1を押し込むことはない。その後、ノズル4の吸引を開始し、さらに降下する[2]。このときの降下速度は、後述する理由により高さt3まで降下する速度より遅く設定するのが好ましい。
【0014】
ノズル4の先端が電子部品1の表面に接着すると、図示しない真空センサが吸着を感知し、ノズル4の降下を停止させる。ここで、降下速度を、ノズルの原点位置から高さt3まで降下する速度より、高さt3から高さt2まで降下する速度を遅く設定することで、ノズル先端が電子部品1に接触してから降下を停止するまでのノズル4の移動度を小さくすることができる。その結果、ノズル4が電子部品1を過剰に押し込むことが無くなる。
【0015】
その後、ノズル4を上昇させ、電子部品1を搬送する[3]。テーピング装置では、不良部品の排出位置まで搬送することになる。
【0016】
このように、テーピング工程に本発明の搬送方法を適用した場合、ノズルが電子部品やテーピング基材を過剰に押し込むことがないので、電子部品の破損や、テープ基材の破損を防止することができることになる。
【実施例2】
【0017】
次に本発明の搬送方法を電子部品の実装工程に適用した場合について説明する。電子部品は、収納部から実装基板上に搬送される。電子部品の収納部では、第1の実施例で説明したように、画像認識装置により、収納姿勢が正常か、異常かを検知する。
【0018】
収納姿勢が異常の場合、前述の第1の実施例同様、電子部品を排出する。収納姿勢が正常の場合、ノズルは、高さt1まで高速に移動して電子部品を吸着し、上昇して所定の実装位置に搬送する。このようにノズルの動きを、異常姿勢で収納された電子部品の排出の際の動きと、正常な姿勢で収納された電子部品を搬送の際の動きを異なるように設定し、高速の動作を行う構成とすることができる。なお、高速動作が必要ない場合には、ノズルの動きを同じとしても良いことはいうまでもない。
【0019】
以上説明したように、本発明の電子部品の搬送方法は、ノズルの先端に電子部品が吸着したことを検知し、ノズル降下を停止する構成とすることで、ノズルが電子部品を過剰に押し下げることが防止でき、特に小型の電子部品の搬送方法として有効である。なお、本実施例について、テーピング装置、実装装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものでもない。
【符号の説明】
【0020】
1: 電子部品、2:テープ基材、3:収納部、4:ノズル
図1
図2
図3