特許第6261241号(P6261241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 昭和産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6261241-パンの製造方法 図000005
  • 特許6261241-パンの製造方法 図000006
  • 特許6261241-パンの製造方法 図000007
  • 特許6261241-パンの製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261241
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】パンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 8/04 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   A21D8/04
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-183391(P2013-183391)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-47154(P2015-47154A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000187079
【氏名又は名称】昭和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】黒田 貢ニ
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 裕
【審査官】 西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−189786(JP,A)
【文献】 特開2010−246500(JP,A)
【文献】 特開2004−267144(JP,A)
【文献】 特開2012−254029(JP,A)
【文献】 特開2012−191917(JP,A)
【文献】 特開2005−245409(JP,A)
【文献】 特開昭54−160766(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/114048(WO,A1)
【文献】 特開2007−117026(JP,A)
【文献】 特表2002−516565(JP,A)
【文献】 四訂食品成分表,1994年,初版,pp.46,47,54-59
【文献】 J. Food. Protect.,2011年,Vol.74,pp.285-288
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
CA/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉及び水の質量比が穀粉:水=1:1.5〜2.5、粘度が3000〜30000mPa・sである流動状態の生地を酵母で発酵させる発酵工程と、
少なくとも該発酵工程を経た後の生地を焼成する焼成工程と、
を少なくとも行うパンの製造方法。
【請求項2】
前記発酵工程および前記焼成工程は、前記生地を同一の型に入れた状態で行う請求項1記載のパンの製造方法。
【請求項3】
前記生地に含まれる穀粉は、澱粉を30質量%以上含有する請求項1又は2に記載のパンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンの製造方法に関する。より詳しくは、生地材料を混合したあとに、生地を捏ねる工程を行わないことを特徴とするパンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パンの製造方法は、大きくストレート法と発酵種法とに分けられる。二つの方法の大きな違いとしては、ストレート法は、生地材料を一度にミキシングするのに対し、発酵種法は、生地材料の一部と酵母をミキシングし、発酵させることで予め発酵種を作り、更に残りの生地材料を1〜複数回に分けてミキシングするという違いがある。
【0003】
ストレート法の一般的な製造方法としては、生地材料をミキシングした後に、一次発酵を行い(必要に応じて途中パンチによるガス抜きを行う)、分割・丸め、ベンチタイムを経て、成形した後、最終発酵(ホイロ)を行った後に焼成するという方法である。ストレート法は、発酵の時間などにもよるが、概ね、約3〜6時間の製造時間を要する方法である。
【0004】
ストレート法の具体例としては、例えば、特許文献1には、強力小麦粉に少量のジャガイモ粉末、生イースト、上白糖、食塩、ネロリーウォーター、イーストフード、脱脂粉乳、マーガリン、鶏卵と水を混合して表面が滑らかになるまで充分に捏ねた後発酵させたパン生地を、所定のパン形状と大きさに成形し、再び発酵させた後、オーブンで焼く事を特徴とする香気と風味のよい健康美容小麦粉パンの製造方法が開示されている。
【0005】
発酵種法の一般的な製造方法としては、生地材料の一部と酵母および水をミキシングした後に、発酵を行って発酵種を作製し、作製した発酵種に残りの生地材料をミキシングした後に、本生地の発酵を行い、その後、分割・成形、最終発酵を行った後に焼成するという方法である。発酵種法は、発酵種の種類、発酵の時間などにもよるが、概ね、5〜6時間、長い方法では数日の製造時間を要する方法である。
【0006】
発酵種法の具体例としては、例えば、特許文献2には、小麦粉、イースト、脱脂粉乳及び水を含む原料をミキシングして中種生地を調製する第一工程、当該中種生地を20℃以下の発酵室で8〜24時間発酵させる第二工程、砂糖、食塩、油脂及び水を含む本捏生地原料を中種生地に添加し、本捏することによりパン生地を調製する第三工程、当該パン生地を発酵させた後、パン生地をシート状に成形する第四工程、及び当該シート状生地を分割後、パンニング及び最終発酵を経て焼成する第五工程、を有することを特徴とする食パンの製造方法が開示されている。
【0007】
また、発酵種法のその他の具体例として、例えば、液種法が挙げられる。液種法は、前記中種法の一般的な製造方法とほぼ同一の工程を経る方法であるが、糖類、酵母および水を主体としたものを混合して、水分量の多い発酵種を調製する点で、中種法と異なる。液種は発酵が早いという特徴を有するが、液種法の液種作製後の工程は、前記発酵種法の一般的な製造方法と同一であり、ミキシング・成形・発酵などの各工程を行う方法であるため、全製造時間としては、概ね3時間以上を要する方法である。液種は、発酵が早いが、制御が難しく熟練した技術を要するため、工業的には中種法が広く用いられている。
【0008】
液種法の具体例としては、例えば、特許文献3には、糖類、イースト及び水とからなる液種原液に超音波を照射することにより糖類の発酵を促進させることにより、液種の発酵時間を短縮化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−102369号公報
【特許文献2】特開2002−186409号公報
【特許文献3】特開平06−014694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、パンの製造には、少なくとも3時間以上、長い場合は数日間が必要である。パンの製造時間を短縮させるには、発酵時間を短縮させることも重要ではあるが、パンの製造においては、生地を捏ねる工程およびこれに付随する工程にも多くの時間を有しているという実情がある。従来のミキシング工程においては、生地材料を混合した後の生地を十分に捏ね上げることが常識であることから、これまでの方法では、生地を捏ねる工程は必須の工程であった。しかしながら、生地を捏ねたり、分割・丸めるなどの作業を行うことにより、弾力が高まった生地は、次の成形を行い易くするためには、ベンチタイムを設けるなど、生地を休ませる必要があり、これも、製造時間の長時間化に拍車をかけていた。
【0011】
そこで、本発明では、製造時間を大幅に短縮可能な簡便で手軽なパンの製造技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者らは、パンの製造において、簡便化および製造時間の短縮化を可能とする技術について鋭意研究を行った。その結果、従来のパン製造技術では常識的に行われていた生地のミキシング工程に着目し、生地の状態を工夫することで、意外にも生地材料を混合した後の生地を捏ねる工程を行わなくとも質の良いパンを製造することに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、本発明では、まず、穀粉及び水の質量比が穀粉:水=1:1.5〜2.5、粘度が3000〜30000mPa・sである流動状態の生地を酵母で発酵させる発酵工程と、
少なくとも該発酵工程を経た後の生地を焼成する焼成工程と、
を少なくとも行うパンの製造方法を提供する。
本発明に係るパンの製造方法では、生地材料と水を混合した流動状態の生地を発酵させ、その後、そのまま焼成する方法であり、生地材料を混合した後に、生地を捏ねる工程は行わない方法である。
本発明に係るパンの製造方法では、前記発酵工程および前記焼成工程を、前記生地を同一の型に入れた状態で行うことが可能である。
また、前記生地に含まれる穀粉の組成は特に限定されないが、穀粉中に澱粉を30質量%以上含有させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来の方法に比べ、パンの製造を簡単かつ手軽に行うことができ、更に、製造時間を飛躍的に短縮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るパンの製造方法のフローチャートである。
図2】本発明に係るパンの製造方法の第1実施形態を説明するための概念図である。
図3】本発明に係るパンの製造方法の第2実施形態を説明するための概念図である。
図4】本発明に係るパンの製造方法の第3実施形態を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0017】
<1.パンの製造方法>
図1は、本発明に係るパンの製造方法のフローチャートである。本発明に係るパンの製造方法は、(1)生地材料混合工程Iを行った後、(2)発酵工程IIと、(3)焼成工程IIIと、を少なくとも行う方法である。また、必要に応じて、(4)分注工程IV、(5)トッピング工程V、(6)冷凍工程VIなどを適宜行うことも可能である。以下、各工程について、詳細に説明する。
【0018】
(1)生地材料混合工程I
生地材料混合工程Iは、生地材料を混合する工程である。生地材料混合工程Iにおける具体的な混合方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、パンの製造方法で通常行われる混合方法を自由に選択して用いることができる。例えば、ゴムべら等の器具を用いて生地材料を混合する方法や、混合可能なビーターやホイッパーなどを有するミキサーなどの器具を用いて混合する方法などが挙げられる。
【0019】
また、生地材料に用いる材料を全て同時に混合することも可能であるが、生地材料に含有させる材料の種類に応じて、一部を混合した後に残りの材料を混ぜて混合する方法や、何種類かの材料を別々に混合し、混合した材料同士をあわせて混合する方法など、用いる材料や目的に合わせて、自由な方法で混合することができる。具体的な一例としては、例えば、用いる酵母を用いる水の一部に溶解させ、これに、他の生地材料を加え、残りの水を複数回に分けて混合する方法などを挙げることができる。また、用いる酵母とその他の生地材料の一部を用いる水の一部と混合し、発酵させて液種を製造し、これに、他の生地材料を加えて残りの水を混合する方法も可能である。
【0020】
本発明に係るパンの製造方法では、流動状態の生地を作製することを特徴とする。即ち、従来のパンの製造方法のように、生地が纏まるまで、混捏して生地を作製する方法とは、根本的に異なる方法である。言い換えると、従来のパンの製造では、ドウ状の生地を作製することが常識であったが、本発明に係る製造方法では、バッター状のような流動状態の生地を作製することを特徴とする。
【0021】
生地材料としては、少なくとも、(a)穀粉と、(b)酵母と、(c)水と、を用いる。また、必要に応じて、(d)油脂、(e)膨張剤、(f)糖類などを更に含有させることも可能である。以下、各生地材料について、詳細に説明する。
【0022】
(a)穀粉
本発明において「穀粉」とは、穀類、豆類、擬穀類、芋類および木の実などを挽いて作った粉を全て包含する概念である。本発明に係るパンの製造方法で用いることができる穀粉の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知の穀粉を、1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0023】
例えば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉などの小麦粉;デュラム小麦由来の小麦粉;米粉;ライ麦粉;大麦粉;オーツ粉;そば粉;ヒエ粉;アワ粉;コーンフラワー;各種穀物から取った澱粉などが挙げられる。澱粉としては、コーンスターチ(例えば、通常のコーン、ワキシーコーン、ハイアミロースコーンなど)、小麦澱粉、米澱粉(例えば、もち米澱粉、うるち米澱粉など)などの穀類澱粉;馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉(例えば、キャッサバ澱粉、マニオカ澱粉など)、甘藷澱粉などのイモ類澱粉;サゴ澱粉などの幹茎澱粉;エンドウ豆澱粉、緑豆澱粉などの豆類澱粉などが挙げられる。
【0024】
また、本発明では、前記各種澱粉に物理的、化学的などの各種加工を、単独または組み合わせて施した加工澱粉を用いることも可能である。
物理的加工を施した澱粉としては、例えば、α化澱粉、湿熱処理澱粉などを用いることができる。
化学的加工を施した澱粉としては、例えば、エーテル化澱粉(ヒドロキシプロピル澱粉、カルボキシメチル澱粉など)、エステル化澱粉(酢酸澱粉、オクテニルコハク酸澱粉、リン酸化澱粉、アセチル化澱粉など)、架橋澱粉(リン酸架橋澱粉、アジピン酸架橋澱粉など)、酸化澱粉などを用いることができる。
【0025】
この中でも本発明においては特に、1種または2種以上の澱粉と、澱粉以外の1種または2種以上の穀粉を組み合わせて用いることが好ましい。澱粉と澱粉以外の穀粉を組み合わせて用いる場合、その配合割合は、本発明の効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本発明では特に、穀粉中の澱粉の割合を30質量%以上に設定することが好ましい。穀粉中に澱粉を30質量%以上含有させることで、製造するパンの食感を向上させることができる。なお、穀粉中に含有させる澱粉の上限は特に限定されないが、60質量%以下に設定すると、パンの風味が良好になるため好ましい。
【0026】
澱粉を用いる場合、本発明では特に、タピオカ澱粉または馬鈴薯澱粉を選択することが好ましく、タピオカ澱粉を選択することがより好ましい。また、加工澱粉を用いる場合は、α化澱粉、エーテル化澱粉またはエステル化澱粉が好ましい。特に、α化澱粉とその他の澱粉を組み合わせて用いることが好ましく、澱粉中にα化澱粉を5〜50質量%含有させると、もちもちとした好ましい食感が得られる。
【0027】
本発明において、生地材料に含有する穀粉の具体的な含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、他の材料の種類や配合、目的のパンの性質などに応じて、自由に設定することができる。
【0028】
(b)酵母
本発明に係るパンの製造方法で用いることができる酵母の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知の酵母を、1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、ドライイースト、生イーストなどが挙げられる。また、あらかじめ、糖類、酵母、水を混合して発酵させた液種や、液種を冷蔵保存した冷蔵液種を使用することもできる。また、酵母に加え、酵母を活性化させるための添加物(例えば、所謂、イーストフード)を配合することも可能である。
【0029】
本発明に係るパンの製造方法では、膨張剤のみで流動状態の生地を膨化させるケーキ類とは異なり、酵母発酵を行う。酵母発酵を行うことにより、出来上がったパンに、好ましい発酵由来の風味を付与できる。また、酵母発酵では、発酵が進むにつれて生地のpHが下がる傾向にあるため、pH調整剤等を用いなくてもpHを下げることができる。そのため、菌数管理(衛生管理)も簡便に行うことができる。
【0030】
本発明において、生地材料に含有する酵母の具体的な含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、他の材料の種類や配合、目的のパンの性質などに応じて、自由に設定することができる。本発明では特に、穀粉100質量部に対し、酵母を0.5〜5質量部、生地材料に含有させることが好ましい。酵母の含有量を0.5質量部以上とすることで、発酵が進みやすく発酵時間を短縮できる。また、短時間で生地のpHが低下するため菌数管理をより簡便に行うことができる。さらに、出来上がったパンに、好ましい発酵由来の風味を付与することができる。一方で、酵母の含有量を5質量部以下とすることで、急速に発酵が進むのを防止し、工程の管理を容易化することができる。
【0031】
(c)水
本発明において、生地材料に含有する水の具体的な含有量は、流動状態の生地を作製することができ、且つ、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、他の材料の種類や配合、目的のパンの性質などに応じて自由に設定することができる。本発明では特に、穀粉及び水の質量比を、穀粉:水=1:1.5〜2.7に設定することが好ましく、水の上限値を穀粉1に対して2.5以下に設定することがより好ましく、水の上限値を穀粉1に対して2.2以下に設定することがさらに好ましい。穀粉1に対して水の質量比を1.5以上に設定することで、より確実に流動状態の生地を作製することができる。穀粉1に対して水の質量比を2.7以下に設定することで、ベタついた食感になるのを防止することができる。また、穀粉1に対して水の質量比を2.5以下に設定することで、もちもちとした好ましい食感になる。更に、水の上限値を穀粉1に対して2.2以下に設定することで、例えば、後述するトッピング工程Vを行って、焼成前の生地に各種具材をトッピングする場合に、各種具材が、生地中に埋入してしまうのを防ぐことができる。
【0032】
(d)油脂
本発明に係るパンの製造方法では、油脂を用いることができる。油脂を用いることで、出来上がったパンの食感、味などを向上させることができる。本発明に係るパンの製造方法で用いることができる油脂の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知の油脂を、1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、大豆油、コーン油、米油、ナタネ油、ヒマワリ油、パーム油、ココアバターなどの植物油脂;魚油、豚脂、牛脂などの動物油脂;これらの油脂やその混合物に水素添加、分別、エステル交換などの加工を加えた食用加工油脂(例えば、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、パームオレイン、パームステアリンなど);発酵バター、無塩バター、有塩バターなどの乳バターなどから、1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。また、これらを粉末化処理した粉末油脂を用いることも可能である。この中でも、本発明においては特に、液状の油脂を用いると、生地材料を混合する際に均一に混ざりやすいため好ましい。
【0033】
本発明において、生地材料に含有する油脂の具体的な含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、他の材料の種類や配合、目的のパンの性質などに応じて、自由に設定することができる。
【0034】
(e)膨張剤
本発明に係るパンの製造方法では、膨張剤を用いることができる。膨張剤を用いることで、出来上がったパンの食感などを向上させることができる。本発明に係るパンの製造方法では、従来のパンの製造方法に比べ、扱う生地が多加水である。そのため、水蒸気による生地の膨化が起こり易い。この際、膨張剤を用いることにより、水蒸気を生地外部へ逃がすことができ、その結果、パンの表面に過度の凹凸が発生するのを抑制する効果が期待でき、製品外観の向上に寄与する。このような理由から、本発明に係るパンの製造方法においては、酵母と膨張剤とを併用することが好ましい。
【0035】
本発明に係るパンの製造方法で用いることができる膨張剤の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知の膨張剤を、1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。また、所謂、ベーキングパウダーのように、これらのガス発生基材に、助剤となる酒石酸水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、酒石酸、フマル酸、リン酸ナトリウム、グルコノデルタラクトンなどの酸性剤や、分散剤となる澱粉などの遮断剤を添加したものを用いることも可能である。
【0036】
本発明において、生地材料に含有する膨張剤の具体的な含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、他の材料の種類や配合、目的のパンの性質などに応じて、自由に設定することができる。
【0037】
(f)糖類
本発明に係るパンの製造方法では、糖類を用いることができる。糖類を用いることで、出来上がったパンの食感などを向上させることができる。本発明に係るパンの製造方法で用いることができる糖類の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知の糖類を、1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、ブドウ糖、果糖、ソルビトールなどの単糖類;ショ糖(砂糖)、マルトース(麦芽糖)、イソマルトース、トレハロース、マルチトールなどの二糖類;イソマルトトリオース、パノース、ラフィノースなどの三糖類、オリゴ糖、マルトデキストリン、水飴、粉飴などの澱粉加水分解物;更にこれらを粉末化処理した粉末状の糖類などが挙げられる。
【0038】
本発明において、生地材料に含有する糖類の具体的な含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、他の材料の種類や配合、目的のパンの性質などに応じて、自由に設定することができる。
【0039】
(g)その他
本発明において、生地材料には、本発明の効果を損なわない限り、前記(a)〜(f)で説明した材料の他にも、任意の材料を1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、食塩、マヨネーズ、ソース、しょうゆ、アミノ酸などの各種調味料、脱脂粉乳、ホエイパウダー、バターパウダーなどの乳などを主原料とする各種材料、香料、乳化剤、製パン改良剤、卵(全卵、卵黄、卵白、粉末卵などを含む)、増粘剤、安定剤、静菌剤など、目的のパンの性質などに応じて、自由に含有させることが可能である。
【0040】
以上説明した生地材料は、液状の材料以外の材料を用いて製パン用ミックスとし、これに、水、必要に応じて液体油脂、全卵、卵黄、卵白などの卵を加えて混合して生地を調製することができる。製パン用ミックスを用いて調製した生地を、後述する発酵工程IIおよび焼成工程IIIを行うことで、簡単かつ手軽にパンを製造することができる。
【0041】
(2)発酵工程II
発酵工程IIは、流動状態の生地を酵母で発酵させる工程である。本発明における発酵工程IIは、従来のパンの製造方法における本生地の発酵(一次発酵、最終発酵)に該当する工程である。即ち、液種法などの発酵種を作製する際の発酵ではない。
【0042】
本発明に係るパンの製造方法では、発酵工程IIにおいて、流動状態の生地を酵母で発酵させることを特徴とする。流動状態の生地は、生地材料を混合した後に捏ねる工程を経て作製される纏まりのある生地に比べて、水分量が多いため、酵母により発酵が早く進行する。しかも、本発明に係るパンの製造方法では、この発酵工程II以外に発酵工程を経ることなく後述する焼成工程IIIに移るため、従来のパンの製造方法に比べ、その製造時間を飛躍的に短縮することができる。
【0043】
発酵工程IIにおいて発酵を行う生地は、少なくとも流動状態であれば、その具体的な粘度は特に限定されないが、本発明では特に、生地の粘度を、3000〜30000mPa・sに設定することが好ましく、下限値を4500mPa・sに設定することがより好ましい。生地の粘度を3000mPa・s以上に設定することで、もちもちとした好ましい食感が得られる。また、生地の粘度を30000mPa・s以下に設定することで、より確実に流動状態の生地を作製することができる。更に、生地の粘度を4500mPa・s以上に設定することで、例えば、後述するトッピング工程Vを行って、焼成前の生地に各種具材をトッピングする場合に、各種具材が、生地中に埋入してしまうのを防ぐことができる。
【0044】
なお、本発明における生地の粘度は、B型粘度計を用いて測定した値をいう。粘度の測定は、生地の温度を32±1℃に調整して行い、粘度の測定に用いるロータの種類やロータの回転数は、測定する生地の粘度に応じて、測定に用いるB型粘度計の機種のマニュアルに従って選定することができる。
【0045】
本発明において、発酵工程IIにおける発酵温度は、本発明の効果を損なわない限り、用いる酵母の種類や生地の流動状態の程度などに応じて、自由に設定することができる。本発明では特に、25〜38℃に設定することが好ましい。発酵温度を25〜38℃に設定することで、酵母の活性を高めることができ、発酵時間の短縮につながる。
【0046】
また、発酵工程IIにおける発酵時間も、本発明の効果を損なわない限り、用いる酵母の種類や量、生地の流動状態の程度などに応じて、自由に設定することができるが、20〜70分に設定することが好ましい。本発明では特に、酵母の配合量を多めにしたり、活性の高い酵母を選択することで、発酵時間を20分程度まで短くすることができる。
【0047】
なお、発酵工程IIを行った後の生地は、流動状態を保つことが好ましい。流動状態を保つことで、もちもちとした好ましい食感のパンを製造することができる。また、流動状態を保つことで、発酵工程後、焼成工程前に生地を別の容器に分注する場合に、分注工程が容易になる。なお、流動状態を保つ具体的な粘度は特に限定されないが、前述した発酵前の生地と同等の粘度であることが好ましい。
【0048】
(3)焼成工程III
焼成工程IIIは、前記発酵工程IIを経た後の生地を焼成する工程である。
【0049】
本発明において、焼成工程IIIにおける焼成温度は、本発明の効果を損なわない限り、生地の量、形態などに応じて、自由に設定することができる。本発明では特に、150℃以上に設定することが好ましい。焼成温度を150℃以上に設定することで、焼成時間を短縮することができる。なお、焼成温度の上限は、通常、パンの焼成に問題のない温度(230℃程度)まで設定が可能である。
【0050】
また、焼成工程IIIにおける焼成時間も、本発明の効果を損なわない限り、生地の量、形態、焼成温度などに応じて、自由に設定することができる。本発明では特に、20分以下に設定することが好ましい。焼成時間を20分以下に設定することで、パンの製造にかかる時間を短縮することができる。なお、焼成時間の下限は、通常、パンの焼成に問題のない時間(10分程度)まで設定が可能である。
【0051】
(4)分注工程IV
分注工程IVは、少なくとも生地材料混合工程Iの後、焼成工程IIIの前に、生地を分注する工程である。分注工程IVは、本発明に係るパンの製造方法において必須の工程ではないが、他の工程のやり方に応じて、適宜、行うことが可能である。
【0052】
分注工程IVを行う順番は、少なくとも生地材料混合工程Iの後、焼成工程IIIの前であれば特に限定されず、発酵工程IIの前後のいずれに行ってもよい。
【0053】
例えば、後述する実施形態1のように、生地材料混合工程Iの後、流動状態の生地を、複数の型に分注することができる。また、例えば、生地材料混合工程Iの後、発酵工程IIの前または後に、流動状態の生地を、適当な容器に分注し、後述する冷凍工程VIを行って、冷凍保存することも可能である。
【0054】
(5)トッピング工程V
トッピング工程Vは、生地に、各種具材や調味料などをトッピングする工程である。このトッピング工程Vは、本発明に係るパンの製造方法において必須の工程ではないが、製造するパンの種類によっては、行うことも可能である。
【0055】
本発明に係るパンの製造方法において、トッピング工程Vを行う順番は、発酵工程IIの後に行う場合の他に、生地材料混合工程Iと同時に行ったり、生地材料混合工程I後、発酵工程IIを行う前に行ったりすることも可能である。例えば、パン生地の上に各種具材や調味料を載せる場合は、発酵工程IIの前後に、パン生地の中に各種具材や調味料を混ぜ込む場合は、生地材料混合工程Iと同時に、トッピング工程Vを行うなど、製造するパンの種類などに応じて、自由に行うことができる。また、焼成工程IIIを行った後に、焼成後のパンの上に各種具材や調味料を載せたり、焼成後のパンで各種具材や調味料を挟んだりすることもできる。
【0056】
(6)冷凍工程VI
冷凍工程VIは、少なくとも生地材料混合工程Iの後、生地または焼きあがったパンを冷凍する工程である。冷凍工程VIは、本発明に係るパンの製造方法において必須の工程ではないが、焼成前の生地や焼成後のパンを冷凍保存することを目的に、行うことが可能である。
【0057】
冷凍工程VIを行う順番は、少なくとも生地材料混合工程Iの後であれば特に限定されず、発酵工程IIの前後の生地を冷凍しても、焼成工程III後のパンを冷凍してもよい。
【0058】
例えば、生地材料混合工程Iの後、流動状態の生地を、そのまま、又は、適当な容器に分注し、冷凍保存することが可能である。このように冷凍保存した生地は、解凍後、発酵工程IIを経た上で、焼成工程IIIを行ってパンを製造することができる。また、例えば、発酵工程IIの後の生地を、そのまま、又は、適当な容器に分注し、冷凍保存することも可能である。このように冷凍保存した生地は、冷凍のまま、解凍又は半解凍した後、焼成工程IIIを行ってパンを製造することができる。
【0059】
更に、例えば、焼成工程III後のパンを冷凍保存することもできる。このように冷凍保存したパンは、解凍し、必要に応じて加熱を行った後に喫食することができる。
【0060】
(7)製造方法の具体例
<第1実施形態>
図2は、本発明に係るパンの製造方法の第1実施形態を説明するための概念図である。
まず、生地材料混合工程Iとして、混合器具中で生地材料を混合し、流動状態の生地を調製する。
次に、生地材料混合工程Iで調製した流動状態の生地を、所定の型に分注(分注工程IV)した後、発酵工程IIを行う。
最後に、発酵工程IIを経た生地を、発酵で用いた型に入れたままで焼成工程IIIを行う。
【0061】
第1実施形態では、発酵工程IIおよび焼成工程IIIを、同一の型に生地を入れた状態で行うことを特徴とする。このように、本発明に係るパンの製造方法では、流動状態の生地を所定の型に流し込むだけで、従来のパンの製造方法における分割・成形工程に相当する操作が完了するため、非常に簡便かつ製造時間の大幅な短縮を実現することができる。
【0062】
<第2実施形態>
図3は、本発明に係るパンの製造方法の第2実施形態を説明するための概念図である。
第2実施形態は、生地材料混合工程I、発酵工程IIおよび焼成工程IIIを、すべて同一の型内で行う例である。生地材料混合工程I、発酵工程IIおよび焼成工程IIIを、すべて同一の型内で行うこと以外は、前記第1実施形態と同一である。
【0063】
このように、全ての工程を同一の型内で行うことで、更に簡便性が高まり、製造時間の更なる短縮化を実現することができる。
【0064】
なお、図示しないが、第1実施形態および第2実施形態の方法は、全て又は一部の工程を製造ライン上で行うことも可能である。
【0065】
<第3実施形態>
図4は、本発明に係るパンの製造方法の第3実施形態を説明するための概念図である。
まず、生地材料混合工程Iとして、混合器具中で生地材料を混合し、流動状態の生地を調製する。
次に、生地材料混合工程Iで調製した流動状態の生地を、流動状態の生地が流れ出さないような形態のベルトコンベア(例えば、両側に壁が設けられたベルトコンベアなど)に流し込み、そのままの状態で、発酵工程IIおよび焼成工程IIIを行ってパンを製造する。
製造されたパンは、最後に、所望の形態に切断する等を行う(不図示)。
【0066】
従来のパンの製造方法においても、工業的な製造の場合、製造ライン上で行われることは多いが、本発明に係るパンの製造方法は、その工程数が大幅に少なく、製造時間も大幅に短いため、製造装置の小型化や低コスト化、また、省エネルギー化をも実現することができる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0068】
<実験例1>
実験例1では、本発明に係るパンの製造方法を用いてパンを製造した場合と、従来の方法でパンを製造した場合とで、出来上がったパンの特性を比較した。
【0069】
(1)製造方法
[実施例1]
A.ミキサーボールに、下記表1の水の一部を加え、酵母を溶解させた。
B.Aに表1の生地材料を加え、Aの水と併せて合計2/3量の水を加え攪拌し、生地を均一化した。
C.Bに残りの水を加え生地を均一化させた。生地調製後の生地温度は32℃とした。
D.Cで調製した生地100gを、型に流し入れ、38℃、相対湿度85%で50分間、発酵させた。
E.発酵後の生地を、200℃で12分間、焼成してパンを製造した。
【0070】
[比較例1]食パン
A.ボールにショートニング以外の下記表1の材料を加え、ミキサーの低速で3分、中速で2分高速で4分間ミキシングした。
B.Aにショートニングを加え、さらにミキサーの中速で1分、高速で9分間ミキシングして生地を調製した。生地の捏ね上げ温度は、27℃とした。
C.Bで調製した生地を27℃、相対湿度75%で90分間、発酵させ、パンチを行い、さらに30分間発酵させた(一次発酵)。一玉230gに分割し、丸めを行い25分間ベンチタイムをとった後、U字形に成形し6個をパン型に詰めた。
D.Cの生地を38℃、相対湿度85%で45分間最終発酵させた。
E.発酵後の生地を、210℃で38分間、焼成して食パンを製造した。
【0071】
[比較例2]バターロール
A.ボールにショートニング以外の下記表1の材料を加え、ミキサーの低速で3分、中速で2分高速で3分間ミキシングした。
B.Aにショートニングを加え、さらにミキサーの中速で2分、高速で7分間ミキシングして生地を調製した。生地の捏ね上げ温度は、27℃とした。
C.Bで調製した生地を27℃、相対湿度75%で50分間、発酵させた(一次発酵)。一玉45gに分割し、丸めを行い15分間ベンチタイムをとった後成形した。
D.Cの生地を38℃、相対湿度85%で60分間最終発酵させた。
E.発酵後の生地を、210℃で10分間、焼成してバターロールを製造した。
【0072】
[比較例3]平焼きパン
A.ボールに下記表1の材料を加え、ミキサーの低速で4分、中速で3分間ミキシングした。生地の捏ね上げ温度は、27℃とした。
B.Aで調製した生地を27℃、相対湿度75%で50分間、発酵さた(一次発酵)。一玉200gに分割し、丸めを行い15分間ベンチタイムをとった後成形した。
C.Bの生地を32℃、相対湿度70%で30分間最終発酵させた。
D.発酵後の生地を、220℃で18分間、焼成して平焼きパンを製造した。
【0073】
(2)パンの製造にかかる時間の評価
前記で製造した実施例1及び比較例1〜3に係るパンについて、生地の調製(生地材料の混合〜捏ね)、発酵、ベンチタイム、焼成に要した時間を表1に示す。なお、比較例1〜3では、生地の分割、丸め、成形などを行っているが、所要時間には、これらの時間は除外した。
【0074】
【表1】
*実施例1は混合のみ
【0075】
表1に示す通り、本発明の方法を用いてパンを製造した場合(実施例1)、従来の方法を用いてパンを製造した場合(比較例1〜3)と比較して、製造に要する時間が大幅に短縮された。また、本発明の方法を用いて製造した実施例1のパンおよび従来の方法を用いて製造した比較例1〜3のパンは、すべて、食味・食感ともに優れた良好な品質のパンであった。
【0076】
<実験例2>
実験例2では、本発明に係るパンの製造方法を用いてパンを製造する場合において、用いる生地の好適な粘度および好適な加水量について検討した。
【0077】
(1)製造方法
参考例2、実施例37、参考例8]
下記表2に記載する生地材料を用いて、前記実施例1と同様の方法で、パンを製造した。なお、生地粘度の測定は、以下の測定方法を用いて行った(以下同様)。
【0078】
[粘度の測定方法]
生地粘度の測定は、B型粘度計(TVB-10M 東機産業株式会社製)を用いて行った。生地温度は、32±1℃とし、ロータの回転速度は、12rpmとした。粘度が10000mPa・s未満の生地の測定にはM3のロータを、粘度が10000mPa・s以上の生地の測定にはM4のロータを用いた。
【0079】
(2)パンの特性評価
参考例2、実施例37、参考例8に係るパンについて、外観、ボリューム、食感を最も好ましい場合を5点として5段階で評価した。結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
(3)結果
表2に示す通り、生地の粘度を、3000〜30000mPa・sとした実施例3〜7は、参考例2および参考例8に比べ、総合評価が良好な結果となった。より具体的には、実施例3〜7に比べて加水量が多く生地粘度が低い参考例2では、実施例3〜7と比べると焼成後の生地の膨らみが弱く、ややべたべたとした食感となった。また、実施例3〜7に比べて加水量が少なく生地粘度が高い参考例8では、実施例3〜7と比べると生地が固いために型に流し込みにくくて作業性が低く、出来上がったパンの表面の平滑性が低く、やや硬くてごわごわした食感となった。一方、実施例3〜7は、作業性も良好であり、生地も適度に膨らみ、出来上がったパンも滑らかな外観で、もちもちした好ましい食感であった。
【0082】
<実験例3>
実験例3では、本発明に係るパンの製造方法を用いてパンを製造する場合において、用いる酵母の種類を変更した場合について検討した。
【0083】
(1)製造方法
[実施例9〜11]
下記表3に記載する生地材料を用いて、前記実施例1と同様の方法で、パンを製造した。なお、実施例11では、水に溶解させた酵母の代わりに、表3に記載する液種材料を混合し、30℃で3時間発酵させた液種を用いた。
【0084】
(2)パンの特性評価
実施例9〜11に係るパンについて、外観、ボリューム、食感を最も好ましい場合を5点として5段階で評価した。結果を表3に示す。
【0085】
【表3】
【0086】
(3)結果
表3に示す通り、酵母の種類に依らず好ましい品質のパンができることが分かった。
図1
図2
図3
図4