(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.第1実施形態:
A1.構造:
図1は、本発明の第1実施形態としての管継手を示す部分断面側面図である。
図2は、
図1に示す管継手の分解断面側面図である。
図1に示すように、管継手1は、軸線OLに沿った略円筒形の外観形状を有する。なお、
図1の上側および
図2の上側は、軸線OLを通る断面で管継手1を切断した断面図を示している。管継手1には、図示しないフレキシブル管が挿入され、管継手1は、かかるフレキシブル管と他の配管とを接続する。なお、
図1および
図2では、フレキシブル管が挿入されていない状態の管継手1を表わしている。フレキシブル管とは、例えば、都市ガス用のガス用フレキシブル鋼管やLPガス用の配管用フレキ管などの、軟質塩化ビニル等の樹脂で被覆された金属コルゲート管が相当する。管継手1へのフレキシブル管の挿入方向は、
図1および
図2において、軸線OLに沿って左から右に向かう方向(後述する押ナット3から継手本体2に向かう方向)であり、以降では、かかる方向を挿入方向IDと呼ぶ。また、軸線OLに沿って挿入方向IDとは反対の方向を、反対方向ODと呼ぶ。また、以降では、挿入方向IDにおける前方側を、単に「前方側」と呼び、挿入方向IDにおける後方側を、単に「後方側」と呼ぶ。
【0020】
図1および
図2に示すように、管継手1は、継手本体2と、押ナット3と、継手本体2の内部に装着される弾性部4と、移動片43と、シール部5と、インジケータ6と、補助スプリング7とを備える。これらの各構成要素1−7および43は、いずれも軸線OLと同じ軸線を有する略円筒形の外観形状を有する。
【0021】
(a)継手本体:
図2に示すように、継手本体2には、軸線OLに沿って内孔21が形成されている。継手本体2は、前方側に雄ねじ部22を備える。雄ねじ部22の外周面には、図示しないねじ山が形成されている。
図2に示すように、内孔21は、雄ねじ部22から反対方向ODに沿って順番に、第1内径部21aと、第2内径部21bとを備える。第1内径部21aは、雄ねじ部22の内径よりも大きな内径を有し、
図1に示すように、弾性部4、移動片43、およびシール部5を収容する。第1内径部21aは、内方環状突起部23を備える。内方環状突起部23は、第1内径部21aにおける前方側の端部の近傍に配置されている。内方環状突起部23は、第1内径部21aにおける他の部分に比べて内周径が小さい。換言すると、内方環状突起部23は、第1内径部21aにおける他の部分に比べて軸線OLに向かって突出している。第2内径部21bは、第1内径部21aよりも大きな内径を有し、インジケータ6、シール部5、および押ナット3の一部を収容する。なお、後述するように、シール部5が反対方向ODに移動した際には、第2内径部21bは、シール部5の一部を収容する。
【0022】
図1および
図2に示すように、第2内径部21bにおいて軸線OLに沿った略中央部分には、円周方向に沿って所定の間隔で並んだ複数の貫通孔9が形成されている。貫通孔9は、第2内径部21bの厚さ方向(軸線OLと直交する方向であり、以降では、「径方向」とも呼ぶ)に沿って形成されている。各貫通孔9には、レンズ8が装着されている。レンズ8の一部は、第2内径部21bの外周面から突出しており、かかる部分は、凸レンズとして作用する。レンズ8は、透明性を有する部材で形成されており、ユーザは、レンズ8により拡大された第2内径部21bの内部の様子を、外部から視認できる。なお、後述するように、フレキシブル管の挿入が完了すると、貫通孔9の内周側にはインジケータ6が位置するため、ユーザは、レンズ8を介して外部からインジケータ6を視認できる。レンズ8を形成する部材としては、例えば、ガラスや樹脂を採用することができる。
【0023】
(b)押ナット:
図1および
図2に示すように、押ナット3は、ナット本体30と、2つのリテーナ14と、ストップリング10と、水密Oリング11と、選択透過性部材12と、水密パッキン34とを備える。ナット本体30は、内孔31を有する略円筒形の外観形状を有する。
図1に示すように、ナット本体30の前方側の一部は、管継手1が組み立てられた状態において、継手本体2の第2内径部21bに収容される。
図2に示すように、ナット本体30における前方側の端に位置する先端部32は、ナット本体30における他の部分に比べて外周径が小さい。先端部32の外周径は、管継手1における第2内径部21bの内周径よりも小さい。したがって、
図1に示すように、管継手1が組み立てられた状態において、先端部32と第2内径部21bとの間には、径方向に空隙13が形成される。ナット本体30の後方側の端である挿入端33から、フレキシブル管が挿入される。
【0024】
図1および
図2に示すように、2つのリテーナ14は、内孔31における前方側において、互いに軸線OLに沿って並んで配置されている。
図3は、
図1および
図2に示すリテーナ14の外観形状を示す斜視図である。
図3に示すように、リテーナ14は、円筒基部141と、複数の爪部142とを備える。円筒基部141は、
図3に示すように円筒形の外観形状を有し、
図1に示すようにナット本体30の内周面に接している。
図3に示すように、複数の爪部142は、それぞれ、円筒基部141における前方側の端面と接続されている。爪部142は、円周方向に沿って所定の間隔で並んで配置されている。爪部142は、薄板状の外観形状を有し、軸線OLと交わる方向に沿って配置されている。具体的には、爪部142は、円筒基部141との接続部分から前方側に向かうにつれて、軸線OLに近づくように配置されている。後述するように、爪部142は、フレキシブル管が管継手1に挿入された状態において、フレキシブル管に係合し、フレキシブル管の挿入方向IDへの移動を許容すると共に、反対方向ODへの移動を抑制する。このため、挿入端33から挿入されたフレキシブル管がリテーナ14を通過すると、もはやフレキシブル管は、リテーナ14を通って反対方向ODに移動できなくなる。リテーナ14は、ステンレス鋼などの金属材料やエンジニアリングプラスチック等の弾性変形可能な材料により形成されている。
【0025】
図1および
図2に示すように、ストップリング10は、円周方向の一部が切り欠かれたC形形状の環状の部材であり、継手本体2の第2内径部21bの内周面において円周方向に沿って形成された溝と、ナット本体30の外周面において円周方向に沿って形成された溝とが径方向に重なって形成された環状の空隙に配置されている。ストップリング10は、継手本体2と押ナット3とを互いに係合させる。ストップリング10は、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼のような弾性金属により形成されている。
【0026】
図1および
図2に示すように、水密Oリング11は、環状の部材であり、ナット本体30の外周面に形成された溝に配置され、第2内径部21bの内周面に接している。水密Oリング11は、継手本体2と押ナット3との間をシールし、外部からの雨水の侵入を防止する。水密Oリング11は、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のオレフィン系ゴムにより形成されている。
【0027】
図1および
図2に示すように、選択透過性部材12は、ナット本体30の外周面に設けられ内外貫通する孔に収容されている。選択透過性部材12は、図示しないフレキシブル管に誤って釘が打ち込まれたとき等に起こるガス漏れを検出するために用いられる。選択透過性部材12は、ガス透過性を有し、フレキシブル管から漏れ出たガスを、管継手1の外部へと排出する。選択透過性部材12から排出されるガスをガスセンサ等により、ガス漏れを検知ことができる。選択透過性部材12は、ガス透過性を有すると共に配管施工後において水分や塵芥等の侵入を長期間防止し得る多孔質部材である。このような多孔質部材として、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のポリマーの多孔質体を用いることができる。
【0028】
図1および
図2に示すように、水密パッキン34は、略L字状の断面形状を有する環状部材であり、内孔31における後方側(挿入端33に隣接する位置)に収容されている。水密パッキン34は、後方側にリップ部35を備える。リップ部35は、図示しないフレキシブル管が管継手1に挿入された状態において、ナット本体30の内周面とフレキシブル管の外周面との間をシールし、外部からの雨水の浸入を防止する。水密パッキン34は、例えば、EPDM等のオレフィン系ゴムにより形成され得る。
【0029】
(c)弾性部4:
弾性部4は、図示しないフレキシブル管の挿入が完了する前には、圧縮状態に保持されており、図示しないフレキシブル管の挿入が完了すると、開放されて反対方向ODに伸張することによってシール部5を反対方向ODに移動させる。
図1に示すように、弾性部4は、第1内径部21aの前方側において、第1内径部21aの内周面に接して配置されている。
図1および
図2に示すように、弾性部4は、圧縮コイルばね41と、ガイド部材42とを備える。
【0030】
図1に示すように、圧縮コイルばね41は、弾性部4において最も外周側に配置されており、圧縮コイルばね41の外周面は、第1内径部21aの内周面に接している。圧縮コイルばね41の前方側の端部は、内方環状突起部23に接している。また、
図1および
図2に示すように、圧縮コイルばね41の後方側の端部は、ガイド部材42に接している。圧縮コイルばね41は、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了していない状態において、圧縮された状態である。これに対して、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了すると、圧縮コイルばね41の圧縮状態は開放され、圧縮コイルばね41は、反対方向ODに伸張する。
【0031】
図1および
図2に示すように、ガイド部材42は、略L字形の断面形状を有する円筒状の部材であり、弾性金属板により形成されている。
図2に示すように、ガイド部材42は、支持部423と、脚部422とを備える。支持部423は、軸線OLと同じ軸線を有する中空円板状の外観形状を有し、圧縮コイルばね41の後方側の端部(請求項における「第2端」に相当)と接している。
図1に示すように、支持部423は、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了していない状態において、シール部5と接していない。これに対して、後述するように、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了した状態において、支持部423は、シール部5と接する。脚部422は、軸線OLに沿って延設された板状部材であり、後方側の端において支持部423(支持部423の中央に形成されている貫通孔の周囲)に接続されている。なお、
図1および
図2では表わされていないが、支持部423の中央の貫通孔の周囲には、複数の脚部422が、所定の間隔で並んで配置されている。脚部422の外周面は、圧縮コイルばね41における内周側の端部と接している。脚部422の前方側の端部には、屈曲部421が形成されている。屈曲部421は、前方側に向かうにつれて外周側に位置するように、軸線OLに対して傾斜している。
図1に示すように、屈曲部421は、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了していない状態において、内方環状突起部23に係止されている。屈曲部421が内方環状突起部23と係合することにより、圧縮コイルばね41の伸縮は、内方環状突起部23とガイド部材42とによって抑制される。
【0032】
(d)移動片43:
図1および
図2に示すように、移動片43は、略L字形の断面形状を有する円筒状の部材であり、円筒部431と、フランジ部432とを備える。円筒部431は、軸線OLと同じ軸線を有する円筒状の外観形状を有する。フランジ部432は、円筒部431の前方側の端と接続されており、円筒部431に比べて径方向に厚肉に形成されている。フランジ部432は、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了していない状態において、ガイド部材42(脚部422)の内周面と接している。フランジ部432は、外周方向にガイド部材42(脚部422)を支持することにより、屈曲部421と内方環状突起部23との係合が外れることを抑制する。移動片43は、軸線OLに沿って、挿入方向IDおよび反対方向ODに移動可能に構成されている。移動片43は、軸線OLに沿った移動を円滑に行うために、エンジニアリングプラスチックのように低比重、高強度及び低摩擦係数の材料で形成されている。
【0033】
(e)シール部5:
図1および
図2に示すように、シール部5は、略円筒形の部材であり、継手本体2(第1内径部21a)の内周面に沿って弾性部4とインジケータ6との間に配置されている。なお、
図1に示すように、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了していない状態において、シール部5は、弾性部4と接しておらず、また、インジケータ6と接している。なお、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了した状態においては、シール部5は、弾性部4およびインジケータ6のいずれとも接する。シール部5は、気密パッキン51と、金属ガイド54と、耐火パッキン53と、を備える。
【0034】
気密パッキン51は、シール部5において最も前方側に配置されている。気密パッキン51は、管継手1にフレキシブル管が挿入された状態において、フレキシブル管の外周面と継手本体2の内周面との間をシールする。気密パッキン51は、長期間にわたってシール性能を保持する必要があるので、耐ガス透過性に優れたニトリルブタジエンゴム(NBR)等で形成されている。
【0035】
金属ガイド54は、金属性の中空の環状部材であり、気密パッキン51の後方側の端部に連結されている。金属ガイド54は、内部に耐火パッキン53を収容している。金属ガイド54は、例えば、ステンレス鋼(SUS)や、アルミニウム等の耐火性に優れる金属により形成されており、内部に収容する耐火パッキン53の耐火性を向上させる。耐火パッキン53は、気密パッキン51に比べて高い耐火性を有し、管継手1が火災等で高温に曝されて気密パッキン51が消失した場合に熱膨張して、フレキシブル管の外周面と継手本体2の内周面との間をシールする。耐火パッキン53は、例えば、天然ゴム(NR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム(SR)等のゴムと、無発泡状態で熱膨張する黒鉛層間化合物と、加硫剤と、必要に応じて充填材、軟化材等の混練物を加硫することにより製造される。黒鉛層間化合物は例えば黒鉛を硫酸で処理することにより得られる。なお耐火パッキン53の体積及び黒鉛層間化合物の配合量は、耐火パッキン53の膨張量及び膨張後のガス透過性を考慮して設定するのが好ましい。またシール性の点から、耐火パッキン53は50〜80のショアーA硬度を有するのが好ましい。
【0036】
(f)インジケータ6:
図4は、
図1および
図2に示すインジケータ6の外観形状を示す斜視図である。
図1、
図2、および
図4に示すように、インジケータ6は、略L字形の断面形状を有する円筒状の部材であり、本実施形態では、樹脂により形成されている。なお、樹脂に代えて、金属などにより形成してもよい。また、インジケータ6は、視認が容易となるように、管継手1を構成する各構成部の色よりも、視認性の高い色(例えば、赤色)を呈している。
図1に示すように、インジケータ6は、第2内径部21bにおいて、第2内径部21bの内周面に接して配置されている。
図4に示すように、インジケータ6は、支持部61と、円筒部62とを備える。
【0037】
支持部61は、軸線OLと同じ軸線を有する中空円板状の外観形状を有し、円筒部62の前方側の端、およびシール部5の後方側の端部と接している。なお、本実施形態では、支持部61とシール部5とは接合されていない。支持部61は、円筒部62に比べて径方向に厚肉に形成されている。
図1に示すように、支持部61の後方側の面は、補助スプリング7に接している。
【0038】
図1に示すように、円筒部62の後方側の一部は、空隙13に収容されている。円筒部62の後方側の端は、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了していない状態において、継手本体2の貫通孔9(レンズ8)よりも、前方側に位置している。したがって、この場合、ユーザは、レンズ8を介してインジケータ6を視認できない。他方、後述するように、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了すると、インジケータ6の後方側の端は、貫通孔9(レンズ8)よりも、軸線OLに沿って後方側に位置し、ユーザは、レンズ8を介してインジケータ6を視認できる。
【0039】
図1および
図2に示すように、補助スプリング7は、軸線OLと同じ軸線を有するコイルばねであり、略円錐状の外観形状を有する。
図1に示すように、補助スプリング7の前方側の端は、インジケータ6の支持部61に接している。補助スプリング7の後方側の端は、押ナット3の前方側の端面に接している。補助スプリング7の配置位置を換言すると、補助スプリング7は、シール部5およびインジケータ6を挟んで弾性部4(圧縮コイルばね41)とは反対側に配置されている。
【0040】
補助スプリング7は、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了していない状態において、インジケータ6と押ナット3の前方側の端との間に圧縮された状態となっている。このため、補助スプリング7は、インジケータ6を挿入方向IDに付勢し、反対方向ODへのインジケータ6(後述する指標部63)の移動を抑制する。但し、補助スプリング7の付勢力は、圧縮コイルばね41の伸長力よりも小さいので、後述するように、管継手1へのフレキシブル管の挿入が完了して、補助スプリング7がインジケータ6およびシール部5を介してインジケータ6と対向すると、付勢力の小さい補助スプリング7は圧縮され、伸長力の大きい圧縮コイルばね41は伸張する。これにより、インジケータ6は、反対方向ODに移動する。
【0041】
前述のインジケータ6は、請求項におけるインジケータ部に相当する。また、貫通孔9は請求項における貫通孔に、圧縮コイルばね41は請求項における第1のばねに、補助スプリング7は請求項における移動規制部および第2のばねに、気密パッキン51は請求項における第1のパッキンに、耐火パッキン53は請求項における第2のパッキンに、金属ガイド54は請求項における金属部材に、それぞれ相当する。
【0042】
A2.フレキシブル管を挿入する際の動作:
図5は、フレキシブル管を挿入する途中の状態の管継手1を示す第1の部分断面側面図である。
図6は、フレキシブル管を挿入する途中の状態の管継手1を示す第2の部分断面側面図である。
図7は、フレキシブル管の挿入が完了した状態の管継手1を示す部分断面側面図である。なお、
図5、
図6、および
図7は、この順序で時系列に沿って、管継手1を示している。
【0043】
図5ないし
図7に示すように、フレキシブル管100は、山部と谷部とが繰り返す波型に成型された金属コルゲート管101と、金属コルゲート管101の表面を覆う樹脂被覆102とを備える。なお、樹脂被覆102のうち、前方側の一部(数個分の山部に相当する部分)は、予め除去されている。フレキシブル管100は、挿入端33から管継手1に挿入され、挿入方向IDに移動する。2つのリテーナ14の爪部142の先端は、金属コルゲート管101の表面に沿って、径方向に移動する。リップ部35は、挿入方向IDに変形し、フレキシブル管100の表面(樹脂被覆102または金属コルゲート管101の表面)に接する。
【0044】
図5の状態では、フレキシブル管100の先端103は、気密パッキン51に達しているが、移動片43の後方側の端面433に達していない。換言すると、
図5の状態では、フレキシブル管100は、継手本体2の後方側の端面と移動片43の端面433との間の軸線OLに沿った長さ(以下、「所定の長さL1」と呼ぶ)よりも短い長さだけ、内孔21に挿入されている。気密パッキン51の内径は、フレキシブル管100の山部の外径よりもやや小さいため、フレキシブル管100が気密パッキン51に達すると、気密パッキン51の内径は径方向に拡張され、気密パッキン51は、フレキシブル管100に密着する。
【0045】
図5に示すように、フレキシブル管100の先端103が、移動片43の後方側の端面433に達していない状態、換言すると、フレキシブル管100が内孔21に所定の長さL1よりも短い長さだけ挿入された状態においては、弾性部4は伸張しておらず、ユーザは、レンズ8からインジケータ6を視認できない。
【0046】
図5の状態から更にフレキシブル管100を挿入方向IDに挿入すると、
図6に示すように、フレキシブル管100の先端103は、移動片43の端面433に接する。そして、更にフレキシブル管100を挿入方向IDに挿入すると、フレキシブル管100の先端103は、移動片43の端面433を挿入方向IDに押すため、移動片43は、挿入方向IDに移動を開始する。換言すると、フレキシブル管100が内孔21に所定の長さL1以上挿入されると、移動片43は、挿入方向IDに移動を開始する。このとき、
図7に示すように、移動片43のフランジ部432は、ガイド部材42(屈曲部421)を支持する位置から挿入方向IDに移動するため、屈曲部421と内方環状突起部23との係合が解除される。そうすると、圧縮コイルばね41は、内方環状突起部23とガイド部材42(支持部423)との挟持から開放される。このため、圧縮コイルばね41の伸張の抑制が解除されることとなり、圧縮コイルばね41の後方側の端部は、反対方向ODへと移動する。これに伴い、ガイド部材42も反対方向ODへと移動し、ガイド部材42(支持部423)とシール部5(気密パッキン51)とが接触する。そうすると、補助スプリング7と圧縮コイルばね41とは、インジケータ6およびシール部5を介して互いに対向することとなる。
【0047】
上述したとおり、圧縮コイルばね41の伸長力は補助スプリング7の付勢力よりも大きいので、
図7に示すように、圧縮コイルばね41は伸張し、補助スプリング7は圧縮する。圧縮コイルばね41の伸張力により、シール部5は、
図1に示す初期位置(管継手1へのフレキシブル管100の挿入が完了する前における位置)から反対方向ODに移動する。同様に、インジケータ6も反対方向ODに移動する。このため、インジケータ6の円筒部62の後方側の一部は、レンズ8(貫通孔9)に対して径方向に対応する位置に配置される。それゆえ、ユーザは、レンズ8を介してインジケータ6を視認することができる。なお、
図4に示す支持部61の外周面において破線で示す円形の領域(以下、「指標部」と呼ぶ)63は、
図7に示す管継手1へのフレキシブル管100の挿入が完了した状態において、レンズ8を介して視認可能な領域を示している。
【0048】
このように、管継手1へのフレキシブル管100の挿入が完了すると、ユーザは、レンズ8を介してインジケータ6(指標部63)を視認できるようになるので、管継手1へのフレキシブル管100の挿入が完了したことを確認できる。
【0049】
なお、管継手1へのフレキシブル管100の挿入が完了した後に、挿入方向IDが鉛直下方となるように、管継手1およびフレキシブル管100が配置された場合であっても、圧縮コイルばね41の伸張力によりインジケータ6は、反対方向ODに付勢されるので、インジケータ6の挿入方向ID(鉛直下方)への移動は抑制される。したがって、ユーザは、管継手1およびフレキシブル管100の配置方向が変わった場合であっても、管継手1へのフレキシブル管100の挿入完了を確認できる。
【0050】
以上説明した第1実施形態の管継手1では、管継手1へのフレキシブル管100の挿入が完了すると(換言するとフレキシブル管100が、内孔21内に所定の長さL1以上挿入されると)、インジケータ6が反対方向ODに移動して、レンズ8に対して径方向に対応する位置に配置される。このため、ユーザは、レンズ8を介してインジケータ6(指標部63)を目視できるので、管継手1へのフレキシブル管100の完了を確認できる。したがって、第1実施形態の管継手1によれば、管継手1へのフレキシブル管100の挿入完了の検知精度を向上できる。加えて、管継手1では、管継手1へのフレキシブル管100の挿入が完了しない限り(換言すると、フレキシブル管100が、内孔21に、所定の長さL1以上挿入されない限り)、圧縮コイルばね41は伸張しないため、インジケータ6は反対方向ODに移動しない。それゆえ、フレキシブル管100の先端が曲がっている場合、或いは管継手の軸線に対して斜めの方向にフレキシブル管が挿入された場合であっても、圧縮コイルばね41は伸張せず、インジケータ6は移動しない。したがって、管継手1へのフレキシブル管100の挿入が不完全な状態において、挿入が正常完了したものとユーザが誤認することを抑制できる。
【0051】
また、補助スプリング7により、インジケータ6を挿入方向IDに付勢するので、管継手1へのフレキシブル管100の挿入が完了していない状態において、インジケータ6が反対方向ODに移動することを抑制できる。また、補助スプリング7の付勢力を、圧縮コイルばね41の伸長力よりも小さく設定しているので、内方環状突起部23と屈曲部421との係合が開放された場合に、圧縮コイルばね41を伸張させてインジケータ6を反対方向ODに移動させることができる。
【0052】
また、貫通孔9にレンズ8を配置しているため、ユーザは、インジケータ6(指標部63)が、貫通孔9に対して径方向に対応する位置に配置されているか否かを容易に視認できる。
【0053】
また、管継手1は、シール部5として、耐火パッキン53を備えるので、シール部5の耐火性を向上できる。したがって、管継手1が火災等で高温に曝されて気密パッキン51が消失した場合に、フレキシブル管100と管継手1の内周面との間のシールが破れることを抑制できる。加えて、耐火パッキン53は、金属ガイド54の内部に収容されているので、耐火パッキン53の耐火性を向上できる。
【0054】
また、管継手1にフレキシブル管100を所定の長さL1以上挿入することのみにより、インジケータ6を反対方向ODに移動させることができるので、管継手1へのフレキシブル管100の挿入完了を確認できる。したがって、例えば、フレキシブル管100を挿入し、その後、フレキシブル管100を引き戻す動作を行ってフレキシブル管の挿入完了を確認する構成に比べて、ユーザは、容易に管継手1へのフレキシブル管100の挿入完了を確認できる。
【0055】
B.第2実施形態:
B1.構造:
図8は、第2実施形態の管継手を示す部分断面側面図である。第2実施形態の管継手1aは、弾性部4に代えて弾性部4aを備える点と、シール部5に代えてシール部5aを備える点と、インジケータ6に代えてインジケータ6aを備える点と、補助スプリング7にかえて補助スプリング7aを備える点と、第1スペーサ60、水密シート81、および分解用リング80を追加して備える点と、継手本体2が分解用溝10hを追加して備え、かつ、内方環状突起部23を備えていない点と、継手本体2と押ナット3とが分解可能である点と、気密パッキン51にスリット51bが形成されている点とにおいて、第1実施形態の管継手1と異なる。第2実施形態の管継手1aにおいて、その他の構成は、第1実施形態の管継手1の構成と同じであるので、同一の構成要素については、第1実施形態と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、
図8では、
図1と同様に、管継手1aにフレキシブル管100が挿入されていない状態における管継手1aを表わしている。
【0056】
第2実施形態の弾性部4aは、第2スペーサ44を備える点と、ガイド部材42の脚部422は、外部から力が加えられていない状態において、支持部423との接続部分から屈曲部421に向かうにつれて、軸線OLに近づくように構成されている点とにおいて、第1実施形態の弾性部4と異なり、他の構成は、第1実施形態の弾性部4と同じである。
図8の状態において、脚部422は、後述するように移動片43により支持されているため、脚部422は、軸線OLと平行な方向に沿って延設されている。
【0057】
第2スペーサ44は、軸線OLと同じ軸線を有する中空円板状の外観形状を有し、圧縮コイルばね41の前方側の端部(請求項における「第1端」に相当)と接している。
図8に示すように、フレキシブル管100が、内孔21に所定の長さL1以上挿入されていない状態において、第2スペーサ44は、移動片43の屈曲部421と係合している。したがって、圧縮コイルばね41の伸張力による第2スペーサ44の挿入方向IDへの移動は抑制される。換言すると、圧縮コイルばね41は、支持部423と第2スペーサ44とに挟持され、伸張が抑制されている。
図8の状態においては、移動片43のフランジ部432は、脚部422を外径方向に(外側に)支持する。換言すると、フランジ部432は、管継手1aへのフレキシブル管100の挿入が完了していない状態において、第2スペーサ44と屈曲部421とが係合するように、脚部422を支持する。
【0058】
第2実施形態では、第2スペーサ44を用いることにより、管継手1aが組み立てられる前において、圧縮コイルばね41および移動片43を一体とし弾性部4aとして形成することができる。すなわち、圧縮コイルばね41の伸張を、端面433と第2スペーサ44とで抑制できるので、脚部422を、移動片43により支持することにより、圧縮コイルばね41とガイド部材42と第2スペーサ44と移動片43とを一体化することができる。このため、一体化された弾性部4aは、継手本体2に容易に組み込むことができる。
【0059】
第2実施形態のシール部5aは、金属ガイド54を備えていない点において、第1実施形態のシール部5と異なり、他の構成は、第1実施形態のシール部5と同じである。シール部5aにおいて、気密パッキン51と耐火パッキン53とは直接接触している。
【0060】
第2実施形態のインジケータ6aは、軸線OLに沿った長さが第1実施形態のインジケータ6の軸線OLに沿った長さよりも短い点において、第1実施形態のインジケータ6と異なり、他の構成は、第1実施形態のインジケータ6と同じである。
【0061】
第2実施形態の補助スプリング7aは、軸線OLと同じ軸線を有するコイルばねであり、外観形状が略円筒形である点において、第1実施形態の補助スプリング7と異なり、他の構成は、第1実施形態の補助スプリング7と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0062】
第1スペーサ60は、軸線OLと同じ軸線を有する中空円板状の外観形状を有し、インジケータ6aの挿入方向IDの端面(支持部61の挿入方向IDの端面)と接して配置されている。第2実施形態では、第1スペーサ60は、インジケータ6aと接合されている。また、第1スペーサ60は、インジケータ6aと共に軸線OLに沿って移動可能に構成されている。第1スペーサ60は、ステンレス鋼(SUS)や、アルミニウム等の耐火性に優れる金属により形成されている。第1スペーサ60は、管継手1が火災等で高温に曝されて、耐火パッキン53が熱膨張する際に、耐火パッキン53の反対方向ODへの移動を制限する。これにより、耐火パッキン53は、消失された気密パッキン51が存在していた方向(挿入方向ID)に膨張し、継手本体2の内周面とフレキシブル管100との間をシールする。なお、第1スペーサ60は、請求項における金属部材に相当する。
【0063】
水密シート81は、環状の外観形状を有し、貫通孔9とレンズ8との間に配置されて、貫通孔9とレンズ8との間をシールする。水密シート81は、雨水が貫通孔9とレンズ8との間から管継手1aの内部に侵入することを抑制する。水密シート81は、水密パッキン34と同様な材料により形成されている。
【0064】
押ナット3の後方側の外周面には、円周方向に沿って環状の溝が形成されており、分解用リング80は、かかる溝に配置されている。分解用リング80は、金属製のC字状リングであり、無負荷状態では収容される溝の外径より小さい内径を有する。押ナット3を継手本体2に挿入した状態において、分解用リング80は、継手本体2における後方側の端面に隣接する位置に配置されている。分解用リング80は、押ナット3が、
図8の状態からさらに挿入方向IDに沿って継手本体2の内部に挿入されることを抑制する。
【0065】
継手本体2において、後方側の内周面には、環状の分解用溝10hが円周方向に沿って形成されている。分解用溝10hは、
図8の状態において、ストップリング10が配置されている溝に対して、挿入方向IDに隣接して配置されている。後述するように、分解用溝10hは、継手本体2と押ナット3とが分解される際に、ストップリング10を収容する。
【0066】
図8に示すように、気密パッキン51の内周側(フレキシブル管100側のシール面)における、反対方向OD側の端部には、スリット51bが形成されている。スリット51bの挿入方向IDに沿った長さは、金属コルゲート管101の山部の挿入方向IDに沿った長さとほぼ同じである。スリット51bは、ガス漏れ検査によりガス漏れを確実に検知するために用いられる。スリット51bの詳細な働きについては、後述する。
【0067】
B2.フレキシブル管を挿入する際の動作:
図9は、第2実施形態において、フレキシブル管100を挿入する途中の状態の管継手1aを示す第1の部分断面側面図である。
図10は、フレキシブル管100を挿入する途中の状態の管継手1aを示す第2の部分断面側面図である。
図11は、フレキシブル管の挿入が完了した状態の管継手1aを示す部分断面側面図である。なお、
図9、
図10、および
図11は、この順序で時系列に沿って、管継手1aを示している。
【0068】
図9の状態では、第1実施形態における
図5の状態と同様に、フレキシブル管100の先端103は、気密パッキン51に達しているが、移動片43の後方側の端面433に達していない。この状態では、弾性部4a(圧縮コイルばね41)は伸張しておらず、インジケータ6aは、レンズ8から視認できない。
【0069】
図9の状態から更にフレキシブル管100を挿入方向IDに挿入すると、
図10に示すように、フレキシブル管100の先端103は、移動片43の端面433に接する。そして、フレキシブル管100が、内孔21に所定の長さL1以上挿入されると、フレキシブル管100の先端103は、移動片43の端面433を挿入方向IDに押し、移動片43は、挿入方向IDに移動を開始する。このとき、
図11に示すように、移動片43のフランジ部432は、ガイド部材42(脚部422)を支持する位置から挿入方向IDに移動するため、屈曲部421と第2スペーサ44との係合が解除される。換言すると、フランジ部432は、脚部422の支持を実行しないことにより、屈曲部421と第2スペーサ44とによる圧縮コイルばね41の伸張の制限を解除する。そうすると、圧縮コイルばね41は、第2スペーサ44とガイド部材42(支持部423)との挟持から開放され、圧縮コイルばね41の伸張の抑制は、解除される。そうすると、
図11に示すように、圧縮コイルばね41の後方側の端部およびガイド部材42は、反対方向ODへと移動し、気密パッキン51を反対方向ODに移動させる。気密パッキン51は、第1スペーサ60に接し、第1スペーサ60とインジケータ6aとを反対方向ODに移動させる。このようにして、第1実施形態と同様に、インジケータ6aの円筒部62の後方側の一部(指標部63)は、レンズ8(貫通孔9)に対して径方向に対応する位置に配置され、ユーザは、レンズ8を介してインジケータ6a(指標部63)を視認することができる。
【0070】
ここで、スリット51bの働きについて、説明する。例えば、
図9に示すようなフレキシブル管100の挿入完了前に、何らかの原因によりインジケータ6aが反対方向ODに移動してレンズ8を介して外部から視認可能な位置に配置された場合、ユーザは、フレキシブル管100の挿入が完了したものと誤解してしまう。しかしながら、
図9の状態でガス漏れ検査を行った場合、スリット51bは、金属コルゲート管101の山部と略対向する位置に配置されているため、気密パッキン51と金属コルゲート管101との間のガスの流路となり得る。したがって、仮に、フレキシブル管100の挿入完了前におけるインジケータ6aの反対方向ODへの移動が生じた場合であっても、ガス漏れ検査において、ガス漏れを確実に検知させることができる。このように、スリット51bを設けることにより、施工が正常に完了していない状態で、施工が正常に完了されたと判断されることを、より防止することができ、管継手としての信頼性をより向上することができる。
【0071】
B3.管継手1aの分解:
図12は、第2実施形態において、分解する際の管継手1aを示す部分断面側面図である。第2実施形態の管継手1aは、分解可能であり、継手本体2と押ナット3とを分けることができる。
【0072】
具体的には、ユーザは、まず、分解用リング80を押ナット3から取り外す。そして、ユーザは、押ナット3を、
図11の状態から更に継手本体2の内部に挿入する。そうすると、
図12に示すように、ストップリング10は、押ナット3の挿入方向IDへの移動に伴い、分解用溝10hに収容されるので、継手本体2と押ナット3との係合が解除される。したがって、ユーザは、その後、押ナット3を反対方向ODに移動させることにより、押ナット3を継手本体2から取り外すことができる。なお、押ナット3は、フレキシブル管100に装着された状態で、継手本体2から取り外される。
【0073】
以上の構成を有する第2実施形態の管継手1aは、第1実施形態の管継手1と同様な効果を有する。加えて、第2スペーサ44を用いることにより、管継手1aが組み立てられる前において、弾性部4および移動片43を、一体の部材として形成することができ、継手本体2に容易に組み込むことができる。また、貫通孔9とレンズ8との間に水密シート81を配置するので、雨水が貫通孔9とレンズ8との間から管継手1aの内部に侵入することを抑制できる。また、分解用溝10hを設けて、押ナット3が挿入方向IDに継手本体2に挿入された場合に、分解用溝10hにストップリング10を収容するので、押ナット3を継手本体2から取り外すことができる。
【0074】
C.第3実施形態:
C1.構造:
図13は、第3実施形態の管継手を示す部分断面側面図である。第3実施形態の管継手1bは、補助スプリング7aおよび第1スペーサ60を備えていない点と、インジケータ6aに代えてインジケータ6bを備える点と、係合溝82およびOリング83とを追加して備える点とにおいて、
図8に示す第2実施形態の管継手1aと異なる。第3実施形態の管継手1bにおいて、その他の構成は、第2実施形態の管継手1aと同じであるので、同一の構成要素については、第2実施形態と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、
図13では、
図8と同様に、管継手1bにフレキシブル管100が挿入されていない状態における管継手1bを表わしている。
【0075】
第3実施形態のインジケータ6bは、支持部61の外周面において、円周方向に沿って形成された収容溝64を備える点において、第2実施形態のインジケータ6aと異なり、他の構成は、第2実施形態のインジケータ6aと同じである。
図13に示すように、管継手1bへのフレキシブル管100の挿入が完了する前において、収容溝64は、Oリング83のうち、軸線OL寄りの(内側の)一部を収容する。なお、第3実施形態では、インジケータ6bは、シール部5a(耐火パッキン53)と接合されていない。
【0076】
係合溝82は、第2内径部21bの内周面において、円周方向に沿って形成された環状の溝である。係合溝82の後方側の端部には、後方側に向かうにつれて内径が小さくなる傾斜部84が形成されている。
図13に示すように、傾斜部84の断面は、反対方向ODに沿って次第に軸線OLに近づくような斜面になっている。後述するように、係合溝82にはOリング83の一部が収容され、傾斜部84は、Oリング83が係合溝82から反対方向ODに排出され易くする。
図13に示すように、管継手1bへのフレキシブル管100の挿入が完了する前において、係合溝82は、Oリング83のうち、継手本体2の内周面側の(外側の)一部を収容する。
【0077】
Oリング83は、弾性を有する環状の部材である。Oリング83は、水密Oリング11と同様な材料により形成できる。
図13に示すように、管継手1bへのフレキシブル管100の挿入が完了する前において、Oリング83は、収容溝64と係合溝82とに亘って収容されている。
図13に示す状態において、Oリング83は、インジケータ6bの反対方向ODへの移動を抑制する。なお、Oリング83は、請求項における移動規制部に相当する。
【0078】
C2.フレキシブル管を挿入する際の動作:
図14は、第3実施形態において、フレキシブル管100を挿入する途中の状態の管継手1bを示す第1の部分断面側面図である。
図15は、フレキシブル管100を挿入する途中の状態の管継手1bを示す第2の部分断面側面図である。
図16は、フレキシブル管の挿入が完了した状態の管継手1bを示す部分断面側面図である。なお、
図14、
図15、および
図16は、この順序で時系列に沿って、管継手1bを示している。
【0079】
図14の状態では、第2実施形態における
図9の状態と同様に、フレキシブル管100の先端103は、気密パッキン51に達しているが、移動片43の後方側の端面433に達していない。この状態では、弾性部4a(圧縮コイルばね41)は伸張しておらず、インジケータ6bは、レンズ8から視認できない。
【0080】
図14の状態から更にフレキシブル管100を挿入方向IDに挿入すると、
図15に示すように、フレキシブル管100の先端103は、移動片43の端面433に接する。そして、フレキシブル管100の先端103は、移動片43の端面433を挿入方向IDに押すため、移動片43は、挿入方向IDに移動を開始する。このとき、
図16に示すように、移動片43のフランジ部432は、ガイド部材42(脚部422)を支持する位置から挿入方向IDに移動するため、屈曲部421と第2スペーサ44との係合が解除される。そうすると、圧縮コイルばね41は、第2スペーサ44とガイド部材42(支持部423)との挟持から開放されるので、圧縮コイルばね41の伸張の抑制は、解除される。
【0081】
ここで、圧縮コイルばね41の伸張力は、Oリング83によるインジケータ6bの移動を規制する力よりも大きい。換言すると、管継手1bでは、Oリング83によるインジケータ6bの移動を規制する力が圧縮コイルばね41の伸張力よりも小さくなるように、Oリング83の材料の剛性および傾斜部84の傾斜角度が予め設定されている。このため、
図16に示すように、弾性部4a(圧縮コイルばね41)は、反対方向ODに伸張してシール部5aを反対方向ODに押す。そして、Oリング83は係合溝82から反対方向ODに排出され、Oリング83によるインジケータ6bの反対方向ODへの移動の規制が解除される。このようにして、第2実施形態と同様に、インジケータ6bの円筒部62の後方側の一部(指標部63)は、レンズ8(貫通孔9)に対して径方向に対応する位置に配置され、ユーザは、レンズ8を介してインジケータ6(指標部63)を視認することができる。なお、
図16に示すように係合溝82から排出されたOリング83は、弾性変形して、収容溝64と第2内径部21bの内周面との間に配置され、継手本体2とインジケータ6bとの間から挿入方向IDへの雨水の浸入を抑制する。
【0082】
C3.管継手1bの分解:
図17は、第3実施形態において、分解する際の管継手1bを示す部分断面側面図である。第3実施形態の管継手1bは、第2実施形態の管継手1aと同様に分解可能であり、継手本体2と押ナット3とを分けることができる。
【0083】
具体的には、第3実施形態の管継手1aの分解時と同様に、ユーザが分解用リング80を押ナット3から取り外し、押ナット3を
図16の状態から更に継手本体2の内部に挿入することにより、ストップリング10による継手本体2と押ナット3との係合が解除される。このため、その後、押ナット3を反対方向ODに移動させる(引き戻す)ことにより、押ナット3を継手本体2から取り外すことができる。
【0084】
以上の構成を有する第3実施形態の管継手1bは、第2実施形態の管継手1aと同様な効果を有する。加えて、管継手1bでは、管継手1bへのフレキシブル管100の挿入完了前におけるインジケータ6bの反対方向ODへの移動の抑制を、Oリング83を用いた簡単な構造で実現しているので、組み立て性に優れている。
【0085】
D.第4実施形態:
D1.構造:
図18は、第4実施形態の管継手を示す部分断面側面図である。第4実施形態の管継手1cは、補助スプリング7aおよび第1スペーサ60を備えていない点と、継手本体2が内方環状突起部23を備える点と、弾性部4aに代えて弾性部4bを備える点と、シール部5aに代えてシール部5bを備える点と、インジケータ6aに代えてインジケータ6cを備える点とにおいて、
図8に示す第2実施形態の管継手1aと異なる。その他の構成は、第2実施形態の管継手1aと同じであるので、同一の構成要素については、第2実施形態と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、
図18では、
図8と同様に、フレキシブル管100が挿入されていない状態における管継手1cを表わしている。
【0086】
図18に示すように、第4実施形態の継手本体2は、内方環状突起部23を備える。内方環状突起部23は、
図1に示す内方環状突起部23と同じである。したがって、
図18に示すように、管継手1cへのフレキシブル管100の挿入が完了する前において、屈曲部421は、内方環状突起部23に係止されている。
【0087】
第4実施形態の弾性部4bは、第2スペーサ44を備えていない点と、ガイド部材42に代えてガイド部材42aを備える点とにおいて、第2実施形態の弾性部4aと異なり、他の構成は、第2実施形態の弾性部4aと同じである。ガイド部材42aの詳細については、後述する。
【0088】
第4実施形態のシール部5bは、気密パッキン51に代えて気密パッキン51aを備える点において、第2実施形態のシール部5aと異なり、他の構成は、第2実施形態のシール部5aと同じである。気密パッキン51aの詳細については、後述する。
【0089】
第4実施形態のインジケータ6aは、支持部61に代えて支持部61aを備える点において、第2実施形態のインジケータ6aと異なり、他の構成は、第2実施形態のインジケータ6aと同じである。第4実施形態の支持部61aは、径方向の長さが長い点と、後述するように、気密パッキン51aと係合している点とにおいて、第2実施形態の支持部61と異なる。
【0090】
図19は、
図18に示す第4実施形態のガイド部材42aの一部と、シール部5bと、圧縮コイルばね41の一部と、インジケータ6cの一部とを拡大して示す断面図である。
【0091】
図19に示すように、第4実施形態のガイド部材42aは、脚部422に代えて脚部422aを備える点において、第2実施形態のガイド部材42と異なり、他の構成は、第2実施形態のガイド部材42と同じである。脚部422aは、厚さ方向に形成された貫通孔424を有する点において、第2実施形態の脚部422と異なり、他の構成は、第2実施形態の脚部422と同じである。貫通孔424には、気密パッキン51aの一部(後述する突起部502)が挿入される。
【0092】
図19に示すように、気密パッキン51aは、主部500と、係合爪部501とを備える。主部500は、後方側の端部に、突起部511を備える点と、軸線OLと平行な方向に沿って突起部511と耐火パッキン53との間に環状の空隙512が形成されている点と、前方側の端部において係合爪部501と接合されている点とにおいて、第2実施形態の気密パッキン51と異なり、他の構成は、第2実施形態の気密パッキン51と同じである。突起部511は、外径方向に向かって突出した部分であり、耐火パッキン53との間において環状の空隙512を形成する。空隙512には、インジケータ6cの支持部61aの内周側の先端が挿入されている。これにより、インジケータ6cとシール部5bとが係合される。
【0093】
係合爪部501は、主部500に比べて薄肉に形成された部位であり、主部500の前方側かつ最も内側(最も軸線OLに近い側)部分に接続されている。
図19に示すように、係合爪部501の前方側の先端には、突起部502が形成されている。突起部502は、外径方向に向かって突出した部分であり、上述したガイド部材42a(脚部422a)の貫通孔424に挿入されている。これにより、シール部5bとガイド部材42aとが係合される。
【0094】
前述のように、インジケータ6cとシール部5bとが互いに係合し、シール部5bとガイド部材42aとが互いに係合することにより、インジケータ6cとシール部5bとガイド部材42aとは、一体化される。このため、管継手1cへのフレキシブル管100の挿入が完了する前において、インジケータ6cの反対方向ODへの移動が規制される。
【0095】
D2.フレキシブル管を挿入する際の動作:
図20は、第4実施形態において、フレキシブル管100を挿入する途中の状態の管継手1cを示す第1の部分断面側面図である。
図21は、フレキシブル管100を挿入する途中の状態の管継手1cを示す第2の部分断面側面図である。
図22は、フレキシブル管の挿入が完了した状態の管継手1cを示す部分断面側面図である。なお、
図20、
図21、および
図22は、この順序で時系列に沿って、管継手1bを示している。
【0096】
図20の状態では、第2実施形態における
図9の状態と同様に、フレキシブル管100の先端103は、気密パッキン51に達しているが、移動片43の後方側の端面433に達していない。この状態では、弾性部4b(圧縮コイルばね41)は伸張しておらず、インジケータ6cは、レンズ8から視認できない。
【0097】
図20の状態から更にフレキシブル管100を挿入方向IDに挿入すると、
図21に示すように、フレキシブル管100の先端103は、移動片43の端面433に接する。そして、フレキシブル管100の先端103は、移動片43の端面433を挿入方向IDに押すため、移動片43は、挿入方向IDに移動を開始する。このとき、
図22に示すように、移動片43のフランジ部432は、ガイド部材42a(脚部422)を支持する位置から挿入方向IDに移動するため、屈曲部421と内方環状突起部23との係合が解除される。そうすると、圧縮コイルばね41は、内方環状突起部23とガイド部材42a(支持部423)との挟持から開放される。このため、圧縮コイルばね41の伸張の抑制が解除される。上述したとおり、インジケータ6cとシール部5bとガイド部材42aとは、一体化されているため、圧縮コイルばね41の伸張の抑制が解除されると、これら一体化された部材は、圧縮コイルばね41の伸張力により反対方向ODに移動する。このようにして、第2実施形態と同様に、インジケータ6cの円筒部62の後方側の一部(指標部63)は、レンズ8(貫通孔9)に対して径方向に対応する位置に配置され、ユーザは、レンズ8を介してインジケータ6c(指標部63)を視認することができる。
【0098】
D3.管継手1cの分解:
図23は、第4実施形態において、分解する際の管継手1cを示す部分断面側面図である。第4実施形態の管継手1cは、第2実施形態の管継手1aと同様に分解可能であり、継手本体2と押ナット3とを分けることができる。
【0099】
具体的には、第2実施形態の管継手1aの分解時と同様に、ユーザが分解用リング80を押ナット3から取り外し、押ナット3を
図22の状態から更に継手本体2の内部に挿入することにより、ストップリング10による継手本体2と押ナット3との係合が解除される。このため、その後、押ナット3を反対方向ODに移動させる(引き戻す)ことにより、押ナット3を継手本体2から取り外すことができる。
【0100】
以上の構成を有する第4実施形態の管継手1cは、第2実施形態の管継手1aと同様な効果を有する。加えて、管継手1cでは、インジケータ6cとシール部5bとガイド部材42aとが互いに係合して一体化しているので、弾性部4b(圧縮コイルばね41)が伸張しない限り、インジケータ6cの反対方向ODへの移動を抑制できる。すなわち、管継手1cへのフレキシブル管100の挿入が完了する前におけるインジケータ6cの反対方向ODへの移動を抑制できる。加えて、このようなインジケータ6cの反対方向ODへの移動を抑制するための部品点数を低減できるので、管継手1cの製造コストを抑えることができると共に、管継手1cを軽量化できる。
【0101】
E.第5実施形態:
図24は、第5実施形態において、フレキシブル管100を挿入する途中の状態におけるインジケータの後方側の端部を拡大して示す説明図である。
図25は、第5実施形態において、フレキシブル管100の挿入が完了した状態におけるインジケータの後方側の端部を拡大して示す説明図である。第5実施形態の管継手は、貫通孔9に代えて貫通孔9aを備える点と、レンズ8に代えて表示片90を備える点と、インジケータ6に代えてインジケータ6dを備える点とにおいて、第1実施形態の管継手1と異なる。その他の構成は、第1実施形態の管継手1の構成と同じであるので、同一の構成要素については、第1実施形態と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0102】
第5実施形態の貫通孔9aは、複数のガイド溝9bを備える点において、第1実施形態の貫通孔9と異なり、他の構成は、第1実施形態の貫通孔9と同じである。
図24および
図25に示すように、各ガイド溝9bは、径方向に延設されている。ガイド溝9bの内周側の端部は、空隙13と連通しており、ガイド溝9bの外周側の端部は、外部と連通していない。
【0103】
図24および
図25に示すように、表示片90は、主部91と、複数のガイド片92とを備える。主部91は、略円筒形の外観形状を有する。主部91の内周側の端面93は、半球面状に形成されている。各ガイド片92は、各ガイド溝9bに収容されている。また、ガイド片92の径方向の長さは、ガイド溝9bの径方向の長さよりも短い。このため、表示片90は、径方向に沿った方向のみ移動可能に構成されている。本実施形態において、表示片90は、インジケータ6dと同様な材料で形成されている。また、表示片90は、第1実施形態のインジケータ6と同様に、第5実施形態の管継手を構成する各構成部の色よりも、視認性の高い色(例えば、赤色)を呈している。
【0104】
第5実施形態のインジケータ6dは、円筒部62に代えて円筒部62aを備える点と、管継手1を構成する各構成部の色と同程度の視認性を有する色を呈している点とにおいて、第1実施形態のインジケータ6と異なり、他の構成は、第1実施形態のインジケータ6と同じである。
【0105】
図24および
図25に示すように、第5実施形態の円筒部62aは、後方側の端部に、テーパー部65を備える。テーパー部65の外周径は、反対方向ODに向かうにつれて次第に小さくなる。なお、管継手へのフレキシブル管100の挿入が完了する前において、空隙13における円筒部62aの配置位置は、
図24に示す配置位置である。
【0106】
第1実施形態において説明したとおり、管継手へのフレキシブル管100の挿入が完了する前には、インジケータ6dは、反対方向ODに移動しない。この場合、
図24に示すように、表示片90の端面93は、テーパー部65に接している。また、この場合、表示片90(主部91)は、貫通孔9aから外部へと露出していない。
【0107】
管継手へのフレキシブル管100の挿入が完了すると、インジケータ6d(円筒部62a)は、反対方向ODに移動し、空隙13において
図25に示す位置に配置される。端面93とテーパー部65とが接した状態のまま円筒部62aが反対方向ODに移動するので、表示片90は次第に外径方向に移動する。そして、
図25に示すように、主部91の外径端側は、貫通孔9aから外部へと露出する。このため、ユーザは、貫通孔9aから突出して配置された表示片90(主部91)を目視することにより、管継手へのフレキシブル管100の挿入が完了したことを確認できる。また、暗所における作業時においても、貫通孔9aから突出している表示片90(主部91)に触れることにより、管継手へのフレキシブル管100の挿入が完了したことを確認できる。なお、
図25に示すように、管継手へのフレキシブル管100の挿入が完了した場合には、表示片90の端面93は、円筒部62aにより支持される。したがって、ユーザが貫通孔9aから突出した表示片90に触れても、表示片90は内径方向に移動しない。
【0108】
なお、第5実施例において、インジケータ6dおよび表示片90は、請求項におけるインジケータ部に、相当する。
【0109】
以上説明した第5実施形態の管継手は、第1実施形態の管継手1と同様な効果を有する。すなわち、ユーザは、貫通孔9aから突出して配置された表示片90を目視することにより、管継手へのフレキシブル管100の挿入が完了したことを確認できる。加えて、暗所における作業時においても、貫通孔9aから突出している表示片90に触れることにより、管継手へのフレキシブル管100の挿入が完了したことを確認できる。
【0110】
なお、以上の各実施形態からも理解し得るように、少なくとも一部が内孔21に配置され、シール部5の反対方向ODへの移動を、継手本体2の外側に示す任意の構成を有するインジケータ部を、本発明の管継手に採用することができる。
【0111】
F.変形例:
F1.変形例1:
各実施形態における管継手1、1a−1cの構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、第1ないし第4実施形態において、レンズ8を省略してもよい。この構成においては、ユーザは、貫通孔9を覗き込むことにより、インジケータ6、6a−6c(指標部63)が、貫通孔9に対して径方向に対応する位置に配置されているか否かを確認できる。また、例えば、リテーナ14の数を2つに代えて、1または3以上などの任意の数としてもよい。また、レンズ8および貫通孔9の数を複数に限らず、1つにしてもよい。また、例えば、第1実施形態の管継手1において、補助スプリング7を省略してもよい。この構成では、管継手1にフレキシブル管100を挿入する際に、挿入端33が鉛直上方に位置し、雄ねじ部22が鉛直下方に位置するように管継手1を配置することにより、管継手1へのフレキシブル管100の挿入が完了する前において、インジケータ6が反対方向ODに移動することを抑制できる。また、例えば、各実施形態におけるシール部5、5a、5bをすべて耐火性パッキンにより構成してもよい。これとは反対に、各実施形態におけるシール部5、5a、5bをすべて耐火性の低いパッキンにより構成してもよい。
【0112】
また、例えば、第1実施形態において、インジケータ6を省略してもよい。この構成では、金属ガイド54および耐火パッキン53を、反対方向ODにより長く構成し、シール部5が反対方向ODに移動しない場合には、金属ガイド54および耐火パッキン53をレンズ8から視認できない位置に配置し、シール部5が反対方向ODに移動した場合には、金属ガイド54および耐火パッキン53をレンズ8から視認可能な位置に配置するように構成することが好ましい。この構成では、金属ガイド54または耐火パッキン53は、請求項におけるインジケータ部に相当する。なお、この構成では、金属ガイド54または耐火パッキン53の表面の色を、視認性の高い色(例えば、赤色)にすることが好ましい。この構成および各実施形態からも理解できるように、少なくとも一部が内孔21に配置され、シール部5の反対方向ODへの移動を、継手本体2の外側に示す任意のインジケータ部を、本発明の管継手に用いることができる。
【0113】
F2.変形例2:
第1実施形態の管継手1では、インジケータ6とシール部5とは、接合または係合されておらず、シール部5と弾性部4とは、接合または係合されていなかったが、本発明はこれに限定されるものではない。インジケータ6とシール部5(金属ガイド54)とを接合し、また、シール部5(気密パッキン51)と弾性部4(ガイド部材42)とを接合してもよい。なお、これらの接合は、例えば、接着剤を用いて実現できる。また、かかる構成においては、第4実施形態と同様に、補助スプリング7を省略することができ、管継手1の製造コストを抑えることができると共に、管継手1を軽量化できる。
【0114】
F3.変形例3:
各実施形態において、貫通孔9の位置は、シール部5、5a、5bよりも、後方側であったが、後方側に代えて、前方側にしてもよい。かかる構成では、例えば、弾性部4の伸張方向を、各実施形態とは異なり挿入方向IDとなるように、内方環状突起部23の位置や、移動片43の形状を調整し、かかる弾性部の伸張に伴い、インジケータ6が、挿入方向IDに移動するように構成することが好ましい。
【0115】
F4.変形例4:
第2ないし第4実施形態において、継手本体2と押ナット3とを、第1実施形態と同様に、分解不可能としてもよい。この構成においては、第2ないし第3実施形態において、継手本体2と押ナット3とを単一の部材として構成することができる。また、第1実施形態においても、継手本体2と押ナット3とを単一の部材として構成することができる。このように、継手本体2と押ナット3とを単一の部材として構成する構成においては、内孔21と内孔31とを併せた孔は、請求項における内孔に相当する。また、かかる構成において、継手本体2と押ナット3とを合わせた単一の部材は、請求項における継手本体に相当する。また、かかる構成において、押ナット3の挿入端33から、移動片43の端面433までの軸線OLに沿った距離は、請求項における所定の長さに相当する。
【0116】
F5.変形例5:
各実施形態における管継手1、1a−1cの形状は、一端に雄ねじ部22を有する片ねじソケット形状であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、両ソケット、エルボ、ティー、雌ねじなどを有する任意の形状を、本発明の管継手の形状としてもよい。なお、本発明の管継手を、ガス栓や、ガスメータなどの機器の端部の一部として適用してもよい。また、各実施形態において、フレキシブル管100に代えて、他の任意の種類の管を用いても良い。