(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261601
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】リアルタイムで膜の歪みを割り出して欠陥寸法測定を行うための膜厚、屈折率、及び消衰係数の決定
(51)【国際特許分類】
G01B 11/06 20060101AFI20180104BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
G01B11/06 Z
G01N21/956 A
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-541822(P2015-541822)
(86)(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公表番号】特表2016-502075(P2016-502075A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2013068101
(87)【国際公開番号】WO2014074413
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年10月26日
(31)【優先権主張番号】13/669,804
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェイラー デイビット
(72)【発明者】
【氏名】ハーラー クルト
【審査官】
八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−101235(JP,A)
【文献】
特開2000−241127(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/153272(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01N 21/84−21/958
H01L 21/64−21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを検査するための方法であって、前記ウェハは、前記ウェハの表面に蒸着された膜を含み、前記膜は前記ウェハの前記表面にわたって変化する厚さを有し、前記方法は、
前記ウェハの前記表面にわたり前記膜の前記厚さを測定するステップと、
前記ウェハの前記表面にわたり前記膜の屈折率及び消衰係数を決定するステップと、
前記厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて、膜の歪みを割り出すステップと、
少なくとも前記膜の歪みに基づいて、前記表面における欠陥寸法を決定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ウェハの前記表面にわたり前記膜の前記厚さを測定するステップは、
複数の反射光信号を生成するために複数の光線によって前記ウェハをスキャンするステップと、
前記複数の反射光信号の強度を検出するステップと、
前記複数の反射光信号の強度を前記膜の厚さと相関付けるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法がリアルタイムで実行される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェハの前記表面にわたり前記膜の前記厚さを測定するステップは、
前記ウェハの前記表面上でスキャンされる反射光信号の偏光を測定するステップと、
前記厚さを決定するためにエリプソメトリ法を用いるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェハの前記表面にわたり前記膜の屈折率及び消衰係数を決定するステップは、
前記ウェハの前記表面上でスキャンされる反射光信号の偏光を測定するステップと、
前記屈折率及び消衰係数を決定するためにエリプソメトリ法を用いるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みを割り出すステップは、前記ウェハの前記表面にわたり前記膜の屈折率及び消衰係数を決定するステップと同時に実行される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ウェハは、非パターン化ウェハである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記膜の歪みは、前記厚さ、屈折率、及び消衰係数の前記ウェハ上での位置の相違に基づいて変化する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ウェハを検査するためのシステムであって、前記ウェハは前記ウェハの表面に蒸着された膜を含み、前記膜は前記ウェハの前記表面にわたって変化する厚さを有し、前記システムは、
前記ウェハに向かって光を投影するように配置された複数の光源と、
複数の検出器であって、前記複数の検出器の各検出器が前記ウェハから反射する光を測定するように構成され、前記複数の検出器の各検出器が、さらに、前記ウェハから反射する光の偏光を測定するように構成された、複数の検出器と、
プロセッサであって、前記複数の検出器と通信可能に接続され、前記ウェハの前記表面にわたり前記膜の屈折率、消衰係数、及び膜厚を算出するように構成され、前記ウェハの厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みを割り出すように構成され、さらに、前記膜の歪みに基づいて欠陥寸法を決定するように構成されたプロセッサと、
を備えるシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、エリプソメトリ法を用いて前記ウェハの前記表面にわたり前記膜の屈折率、消衰係数、及び膜厚を算出するように構成される、
ことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、さらに、前記ウェハの前記表面にわたり前記膜の屈折率、消衰係数、及び膜厚を算出すると同時に、前記膜の歪みを割り出すように構成される、
ことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ウェハは、非パターン化ウェハである、
ことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、さらに、前記ウェハの前記表面にわたり前記膜の屈折率、消衰係数、及び前記膜厚を算出し、リアルタイムで前記ウェハの前記厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて前記膜の歪みを割り出すように構成される、
ことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記膜の歪みは、前記膜厚、屈折率、及び消衰係数の前記ウェハ上での位置の相違に基づいて変化する、
ことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
ウェハを検査するための方法であって、前記ウェハは前記ウェハの表面に蒸着された膜を含み、前記膜は、前記ウェハの前記表面にわたって変化する厚さを有し、前記方法は、
複数の反射光信号を生成するために複数の光線によって前記ウェハをスキャンするステップと、
前記複数の反射光信号の強度及び偏光を検出するステップと、
前記複数の反射光信号の前記強度及び前記偏光を、前記ウェハの前記表面にわたる前記膜の厚さ、屈折率、及び消衰係数と相関付けるステップと、
前記厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みを割り出すステップと、
少なくとも前記膜の歪みに基づいて欠陥寸法を決定するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項16】
前記方法は、リアルタイムで実行される、
ことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の反射光信号の前記強度及び前記偏光を、前記ウェハの前記表面にわたる前記膜の厚さ、屈折率、及び消衰係数と相関付けるステップは、エリプソメトリ法を用いて実行される、
ことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ウェハは、非パターン化ウェハである、
ことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、レーザ光散乱によるウェハ検査の分野に関し、特に、膜の歪みを割り出すための、及び、ウェハにおける欠陥寸法測定のために表面の厚さを決定するための、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハ上の膜層における欠陥寸法を測定するための昨今のシステム及び方法は、膜層に様々な既知のサイズの複数のポリスチレンラテックス球体を蒸着するために高精度のツールを用いること、及び、その後それらの光散乱強度反応を正規化百万分率(nppm)で測定することを含み得る。これらのシステム及び方法は、ウェハの表面にわたって変化する膜厚や、あるウェハと別のウェハとの膜厚の差を考慮していない。さらに、これらのポリスチレンラテックス球体を蒸着するために時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ウェハ上の膜厚を測定するための既存の方法は、様々な欠点を示し得る。例えば、既存の方法は、ウェハの表面全体ではなくウェハ上のいくつかのポイントに対する測定しか提供しない。さらに、既存の方法では、各サンプルを完了させるために長時間を要するので、時間がかかる。その結果、正確かつ時宜にかなった方法でウェハ表面全体にわたり膜厚を決定することは困難になり得る。
【0004】
したがって、上述した欠点なしに、ウェハの膜厚を測定することによって欠陥寸法を決定するための方法及び装置への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ウェハ表面に蒸着された膜を含むウェハを検査するための方法に関する。膜は、ウェハの表面にわたって変化する厚さを有し得る。方法は、ウェハの表面にわたり膜厚を測定するステップを含む。方法はまた、ウェハの表面にわたり膜の屈折率及び消衰係数を決定するステップも含む。方法はまた、ウェハの厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みを割り出すことも含む。その後、この膜の歪みを用いて欠陥寸法が決定され得る。
【0006】
本開示はまた、ウェハを検査するためのシステムに関する。ウェハは、表面にわたって変化する厚さを有する膜を含む。システムは、ウェハに向かって光を投影するように配置された複数の光源を含む。システムはまた、複数の検出器も含み、複数の検出器の各検出器は、ウェハから反射する光を測定するように構成される。複数の検出器の各検出器は、ウェハから反射する光の偏光を測定するようにも構成され得る。システムはまた、プロセッサも含む。プロセッサは複数の検出器と通信可能に接続され、ウェハの表面にわたり膜の屈折率、消衰係数、及び膜厚を算出するように構成される。プロセッサはさらに、ウェハの厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みを割り出すように構成され得る。
【0007】
上記の全般的な説明及び下記の詳細な説明は共に、単に例示的であり説明目的にすぎず、必ずしも本開示を限定するものではないことを理解すべきである。本明細書に組み込まれ、その一部となる添付図面は、本開示の主題事項を例示する。本明細書の記載及び図面を合わせて、本開示の原理を説明するものとする。
【0008】
本開示の数々の利点は、添付図面を参照することによって、当業者により深く理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ウェハを検査するためのシステムの実施形態の簡略化ブロック図である。
【
図2】ウェハの表面に蒸着された膜を有し、膜厚がウェハの表面にわたって変化する、例示的なウェハの厚さマップを示している。
【
図3】
図2に示す様々な膜厚を有する例示的なウェハの2つの別々のエリアに関する二酸化シリコン球径対散乱強度のグラフである。
【
図4】表面に蒸着された膜を有するウェハを検査するための方法のフロー図である。
【
図5】表面に蒸着された膜を有するウェハを検査するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に示された、開示される主題事項に関する詳細な説明を記載する。
【0011】
本開示は、
図1に示すようなウェハ102を検査するためのシステム100に関する。ウェハ102は、ウェハ102の表面に蒸着された膜を含んでよい。膜は、ウェハ102の表面にわたって変化する厚みを有し得る。システム100は、ウェハ102に向かって光を投影するように配置された複数の光源104を含む。システム100は、複数の検出器106も含む。複数の検出器106の各検出器106は、ウェハ102から反射する光を測定するように構成され得る。検出器106はまた、ウェハ102から反射する光の偏光を測定するようにも構成され得る。システム100は、プロセッサ108も含む。プロセッサ108は、複数の検出器106と通信可能に連結され、ウェハ102の表面にわたる膜の屈折率、消衰係数、及び膜厚を算出するように構成され得る。プロセッサ108はさらに、ウェハ102の厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みを割り出すように構成され得る。
【0012】
作動中、光線110は、光源104からウェハ102へ向かって進む。光線110からの光の一部はウェハから反射し、光の一部は散乱し得る。反射光線112は、検出器106へ向かって反射し得る。検出器106は、反射光線112の極性及び強度を測定する。この情報はその後、ウェハ102の厚さ、屈折率、及び消衰係数を決定するためにプロセッサ108によって処理される。
【0013】
図1に示すシステム100のウェハ102は、ステージ114に載置され得る。ステージ114は、ウェハ102を支持し、ウェハ102を回転又は移動させ得る。ウェハ102は、非パターン化ウェハであってよい。ウェハ102は、一実施形態においてシリコンウェハであってよい。
【0014】
ウェハ102の表面に蒸着された膜は、一部透過性膜層又は一部反射性膜層を含んでよい。膜は、単一の膜層を含んでよく、あるいはウェハの表面に蒸着された1種類又は様々な種類の複数の膜層を含んでもよい。
【0015】
システム100はまた、複数の検出器106も含む。検出器106は、ウェハ102から反射する光の強度を測定するように構成され得る。検出器106は、ウェハ102から反射する光の偏光を測定するようにも構成され得る。検出器106は、一実施形態において、個別の光強度検出器及び個別の偏光検出器を含んでよい。あるいは複数の検出器106の各検出器106は、反射光の偏光及び強度の両方を検出するために構成され得る。検出器106は、偏光及び強度を同時に検出するために構成され得るか、あるいはそれらは別々のステップで完了してもよい。検出器106は、ウェハ102の特性に関する他のデータを収集するためにも構成され得る。
【0016】
システム100はまた、プロセッサ108も含む。プロセッサ108は、複数の検出器106と通信可能に連結され、ウェハ102の表面にわたる膜の屈折率、消衰係数、及び膜厚を算出するために構成され得る。プロセッサ108は、一実施形態において、エリプソメトリ法を用いてこれらの算出を実行してよい。
【0017】
プロセッサ108はさらに、ウェハ102の厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みを割り出すように構成され得る。一実施形態において、プロセッサ108は、ウェハ102の表面の膜における欠陥の迅速かつ正確な寸法測定を提供するためにリアルタイムで膜の歪みを割り出す。プロセッサ108は膜の歪みを割り出すように構成され、一方、他のシステム100の構成要素がウェハの厚さ、屈折率、及び消衰係数を決定する。膜の歪みは、ウェハ102の各箇所に対する膜厚、屈折率、及び消衰係数の値に応じて、ウェハ102の様々な部分ごとに変わることもある。
【0018】
図1に示すシステム100を使用して、ウェハ102の膜厚、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みが割り出され得る。この情報は、システム100にとって有用であり得る。例えばシステム100を使用して、ウェハ102における欠陥(例えば、粒子)の寸法を決定し得る。欠陥寸法を決定する際に、ウェハ102の表面にわたる厚さの変化と、屈折率及び消衰係数とを考慮することによって、欠陥寸法の測定精度を高めることができる。下記の例は、本開示に記載する方法及びシステム100を用いて可能になり得る欠陥寸法の測定精度の向上の可能性を説明する。
【0019】
図2は、ウェハ200の表面に蒸着された膜202を有するウェハ200の例を示す。膜202は、ウェハ200の表面にわたって変化する厚さを有する。
図2の例において、膜202の厚さは、約1000ナノメートルから最大1045ナノメートル以上も変化する。この例は、膜202の厚さの変化が、どのようにウェハ200の表面にわたる粒子/欠陥寸法における変化に影響するかを示している。
【0020】
図2に示すように、第1の領域204は、第1の領域204の表面エリアにわたっておよそ1012ナノメートルの膜厚を有する。第2の領域206は、第2の領域206の表面エリアにわたっておよそ1030.8ナノメートルの膜厚を有する。
【0021】
図3は、二酸化シリコン球に関する2つの膜の歪みを示す。第1の歪み(実線)は、第1の領域204において得られた反応であり、第2の歪み(長短点線)は、第2の領域206において得られた反応であり、Y軸における散乱強度に対して示される。この例の場合、膜の歪みは、領域204において得られた厚さ及び屈折率とほぼ同じ厚さ及び屈折率を有する膜ウェハ上の球体蒸着から決定されたことを前提としている。したがって、約0.4nppmで散乱している領域204内の45nmの欠陥は、寸法が45nmであると正確に特定される。対照的に、領域206内の膜厚及び屈折率では、光散乱強度が低下している。
図2は、領域206内の欠陥では、同じ0.4nppmの強度で散乱させるためには、寸法が53.9nmでなければならないことを示す。したがって、領域204の反応に基づいた膜の歪みでは、領域206内の53.9nmの欠陥に、それよりも約20%小さい寸法の45nmを誤って特定してしまうことになる。この寸法測定誤差が実際に生じるのは、検査レシピ閾値が45nmに指定された場合であり、ウェハ端部において約10mmの広帯域を包括する領域206は、45〜53.9nmの非常に多くの複数の欠陥に汚染されているおそれがあるが、これらの欠陥は、小さすぎる寸法測定誤差のために見落とされることになる。
【0022】
本開示の方法及びシステムは、ウェハの表面にわたるフィルム厚さの変化を考慮することによって欠陥寸法の測定精度を高めるために役立ち得る。1つのそのような方法が
図4に示される。
図4の方法400は、ウェハの表面に蒸着された膜を有するウェハを検査するために用いられ得る。膜厚は、ウェハの表面にわたって変化し得る。方法400は、ウェハの表面にわたり膜厚を測定するステップ402を含む。方法400はまた、ウェハの表面にわたり膜の屈折率及び消衰係数を決定するステップ404も含む。方法400の次のステップは、厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みを割り出すステップ406である。方法400はまた、少なくとも膜の歪みに基づいて表面上の欠陥寸法を決定するステップ408も含む。
【0023】
方法400のウェハの表面にわたり膜厚を測定するステップ402は、一実施形態において、多波長表面スキャン技術を用いて膜厚を測定することを含んでよい。例えば、膜厚を決定することは、複数の反射光信号を生成するために複数の光線でウェハをスキャンすることを含んでよい。複数の反射光信号の強度がその後測定され得る。測定された強度はその後、例えば反射光線の光パラメータ値と膜層の厚さとを関連付けるパラメトリック曲線を用いて、膜厚に相関付けられ得る。
【0024】
方法400のウェハの表面にわたり膜厚を測定するステップ402は、エリプソメトリ法を用いて膜厚を測定することを含んでもよい。例えばステップ402は、ウェハの表面でスキャンされる反射光信号の偏光を測定するステップを含んでよい。反射光信号の偏光値を用いると、エリプソメトリ法を用いて膜厚を決定することが可能である。
【0025】
図4に示す方法400はまた、ウェハの表面にわたりフィルムの屈折率及び消衰係数を決定するステップ404も含む。このステップは、ウェハの表面にわたり膜厚を測定するステップ402と同時に遂行してよく、あるいは別々のステップとして遂行してもよい。一実施形態において、ウェハの表面にわたり膜の屈折率及び消衰係数を決定するステップ404は、ウェハの表面でスキャンされる反射光信号の偏光を測定することを含んでよい。この情報に基づいて、屈折率及び消衰係数は、エリプソメトリ法を用いて決定され得る。
【0026】
図4に示す方法400は、非パターン化ウェハにおいて用いられ得る。方法400は、リアルタイムで実行されてもよい。例えば、リアルタイムで方法を実行する場合、膜厚、屈折率、及び消衰係数の値が決定され、同時に、同じ箇所で発見されたあらゆる欠陥寸法を測定するために膜の歪みが割り出され得る。
【0027】
一実施形態において、膜厚、屈折率、及び消衰係数の値は、ウェハの表面にわたって変化する。異なる箇所における膜厚、屈折率、及び消衰係数の値の変化は、欠陥が特定されたウェハのエリアに関する正しい値が用いられない場合、欠陥寸法測定に影響を及ぼし得る。スキャンの終了時に、ウェハマップは、全ての欠陥の場所及び寸法を示す。それぞれの欠陥の欠陥寸法は、正しい膜厚、屈折率、及び消衰係数の値を用いて、欠陥の部位に基づいた膜の歪みが割り出されると、より正確になり得る。
【0028】
本開示はまた、
図5に示す方法500に関する。方法500は、ウェハを検査するために用いることができる。ウェハは、ウェハの表面に蒸着された膜を含む。膜は、ウェハの表面にわたって変化する厚さを有し得る。方法500は、複数の反射光信号を生成するために複数の光線でウェハをスキャンするステップ502を含む。方法500の次のステップは、複数の反射光信号の強度及び極性を検出するステップ504を含む。この強度及び極性は、その後方法500の更なるステップ506において、ウェハの表面にわたる膜厚、屈折率、及び消衰係数に相関付けられ得る。方法500はまた、厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みを割り出すステップ508も含む。方法500はまた、少なくとも膜の歪みに基づいて欠陥寸法測定を調整するステップも含む。
【0029】
方法500の、複数の反射光信号の強度及び極性と、ウェハの表面にわたる膜厚、屈折率、及び消衰係数とを相関付けるステップ506は、一実施形態において、エリプソメトリ法を用いて実行され得る。
【0030】
方法500の、少なくとも膜の歪みに基づいて欠陥寸法測定を調整するステップ510は、欠陥寸法測定を調整する際に追加の要因を考慮することを含んでよい。
【0031】
図5に示す方法500は、非パターン化ウェハにおいて用いられ得る。方法500は、リアルタイムで実行されてもよい。
【0032】
方法500の、厚さ、屈折率、及び消衰係数に基づいて膜の歪みを割り出すステップ508は、強度及び極性と、ウェハの表面にわたる厚さ、屈折率、及び消衰係数とを相関付けるステップ506と同時に、あるいはほぼ同時に実行されうる。
【0033】
本開示の方法及びシステムは、本開示の原理を包含するように既存の検査ツールを改良することによって実現され得る。例えば、既存の検査システムは既に、反射光の強度といったウェハの特定の特性を測定するように構成され得る。本開示の原理を実現するために、追加の情報を収集するように既存の検査システムを改良することが可能である。これは、既存のシステムを、一実施例において屈折光の極性を検出するように構成することを含んでよく、それによって、膜厚、消衰係数、及び屈折率を決定するためにエリプソメトリ法を用いることができる。一実施形態において、既存のシステムは、反射光の極性におけるデータを収集するように改良され得る。同様に、既存のシステムの処理回路及び/又はプロセッサは、一実施例において偏光モジュールを組み込むように改良され得る。
【0034】
図4に示す方法400及び
図5に示す方法500を用いると、既存の方法に対してより正確なウェハ欠陥寸法測定を提供することが可能である。様々な既知の寸法のポリスチレンラテックス球体を膜に蒸着させずに、ウェハの膜の歪みを割り出すことが可能である。さらに、方法はリアルタイムで実行してよく、それによって既存の方法よりも迅速にウェハの特性における正確なフィードバックを提供することができる。
【0035】
本開示を通して説明された様々なステップは、単一のコンピューティングシステム、あるいは多重コンピューティングシステムによって実行され得ることを認識すべきである。さらに、システムの様々なサブシステムは、上述したステップの少なくとも一部を実行するために適したコンピューティングシステムを含んでよい。したがって、上記は、本発明における限定として解釈されてはならず、単なる一例である。さらに、1又は複数のコンピューティングシステムは、本明細書に記載した方法実施形態のいずれかの他の任意のステップ(複数可)を実行するように構成され得る。
【0036】
本明細書に記載した方法の全ては、方法実施形態の1又は複数のステップの結果を記憶媒体に記憶することを含んでよい。記憶媒体は、本明細書に記載した任意の記憶媒体又は当該技術において既知である他の適切な記憶媒体を含んでよい。結果が記憶されると、その結果は、記憶媒体内でアクセスされ、本明細書に記載した方法又はシステム実施形態のいずれかによって用いられ、ユーザへ表示するためにフォーマットされ、別のソフトウェアモジュール、方法、又はシステム等によって用いられてよい。
【0037】
上述した方法の実施形態の各々は、本明細書に記載した方法以外の任意の方法の任意のステップを含んでよいことがさらに考慮される。さらに、上述した方法の実施形態の各々は、本明細書に記載したシステムのいずれかによって実行されうる。
【0038】
本明細書に記載した本願の主題事項の特定の態様が示され説明されたが、本明細書の教示に基づいて、本明細書に記載する主題事項及びさらに広い態様から逸脱することなく変更及び修正がなされうること、及び、特許請求の範囲は、そのような変更及び修正の全てを本明細書に記載する主題事項の真の主旨及び範囲に収まるようにそれらの範囲を包括すべきであることが当業者には明らかである。本開示及びそれに伴う利点の多くが上記説明によって理解されることを確信し、また、開示された主題事項から逸脱することなく、あるいはその物質的利点の全てを犠牲にすることなく、形式、構成、及び構成要素の配置に様々な変更がなされうることが明らかである。記載された形式は単に説明目的であり、それらの変更を包括し含むことが下記の特許請求の範囲において意図される。さらに、本発明は下記の特許請求の範囲によって定義されることを理解すべきである。