(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の主たるポイントは表面粗さ測定ユニットの構成にあるのであるが、表面粗さ測定ユニットのなかには三次元測定機に取り付けて使用できるものもある。そこで、まず三次元測定機を含む三次元測定システムの構成を説明しておく。
【0020】
図1は、三次元測定システム100の構成を示す図である。三次元測定システム100は、三次元測定機120と、コンピュータ端末140と、を備えている。
【0021】
三次元測定機120は、被測定物であるワークWを載置する定盤121と、ワークWの輪郭形状を倣い測定する測定ヘッド122と、この測定ヘッド122をX、YおよびZ方向に三次元的に移動させる移動機構130と、を備えている。
【0022】
ここでは、測定ヘッド122として、スタイラスの先端に接触球127を有するタッチセンサプローブを示しているが、測定ヘッド122は別種のものに交換可能となっている。(すなわち、後述の説明においては、タッチセンサプローブに代えて使用できる表面粗さ測定ユニットを説明する。)
【0023】
図1に示すように、X、Y、Zの直交座標系をマシン座標系として定める。
X方向は
図1において左右方向であり、Y方向は
図1中において紙面の奥から手前の方向であり、Z方向は上下方向である。
【0024】
移動機構130は、門型フレーム131と、Xスライダ133と、Z軸スピンドル134と、駆動機構(不図示)と、を備える。
門型フレーム131は、X軸方向に横架された水平ビーム132を有するとともに、Y軸方向に移動可能に設けられている。
【0025】
Xスライダ133は、Z軸方向に長さを有するコラムを有し、水平ビーム132に沿ってX軸方向にスライド可能に設けられている。
Z軸スピンドル134は、Xスライダ133の内部に挿入され、Z軸方向に摺動可能に設けられている。
【0026】
駆動機構(不図示)は、門型フレーム131、Xスライダ133およびZ軸スピンドル134を各軸方向に駆動させるモータ等で構成される。
【0027】
測定ヘッド122としてのタッチセンサプローブは、Z軸スピンドル134の下端に取り付けられ、タッチセンサプローブは接触球127を備える。
三次元測定機120は、移動機構130で測定ヘッド122を移動させ、接触球127をワークWに接触させることで、ワークWの形状を測定する。
【0028】
前述のように、三次元測定システム100は、測定ヘッドを交換することが可能になっており、例えば、測定ヘッドをタッチセンサプローブにしておいてワークの輪郭形状をまずは測定する。そして、タッチセンサプローブに代えて表面粗さ測定ユニットをZ軸スピンドルの下端に取り付ける。この表面粗さ測定ユニットによってワーク表面粗さを測定するわけである。
【0029】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかる表面粗さ測定ユニットを説明する。
表面粗さ測定ユニットは、タッチセンサプローブに代えて、三次元測定システム100の移動機構130に連結させて使用可能なものである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
図2(a)は、表面粗さ測定ユニット1の側面図である。
図2(b)は、表面粗さ測定ユニット1の上面図である。
図2(c)は、表面粗さ測定ユニット1の正面図である。
【0031】
表面粗さ測定ユニット1は、触針ユニット3と、駆動部4と、第2支持部6と、ジョイント部40と、を備える。
表面粗さ測定ユニット1は、ジョイント部40によって移動機構130(具体的にはZ軸スピンドルの下端)に連結される。(なお、第2支持部6はジョイント部40と繋がっており、触針ユニット3および駆動部4をジョイント部40に連携させるものである。)第2支持部6は、駆動部4を支持する。
【0032】
図3は駆動部4の内部機構を説明するための図であり、
図4は、触針ユニット3の内部機構を説明するための図である。まず、
図4を参照して触針ユニット3の機構を説明する。
【0033】
触針ユニット3は、内部に空間を有するケース体18と、ケース体18内で揺動可能に設けられた触針レバー20と、変位検出部16と、を有する。
ケース体18は、略直方体の胴部と、この胴部の先端から突き出たノーズ部17と、有し、さらに、ノーズ部17の先端にはスキッド11が設けられている。
【0034】
スキッド11はその内部にL字型に屈曲した貫通孔19を有し、この貫通孔19はノーズ部17内の空洞に連続している。
【0035】
触針レバー20は、その先端に下向きの触針12を有する。触針12は、スタイラスと称される場合がある。
(説明の都合上、表面粗さ測定ユニット1の上下方向を、
図2a、
図3〜
図5において紙面上に表された通りに上下を規定して表現する。また、紙面の左側を表面粗さ測定ユニット1の前方、紙面の右側を表面粗さ測定ユニット1の後方と表現する。)
触針レバー20は、胴部からノーズ部17にかけて挿通され、先端の触針12がスキッド11の下端開口から外部に臨むように配設されている。
触針レバー20は、その中間部において板ばね21によって胴部の内部空間に取り付けられている。
板ばね21は、触針レバー20の揺動支点となっているとともに、触針12がスキッド11の下面からわずかに突出した状態でバランスが取れるように触針レバー10を弾性的に支持している。
【0036】
変位検出部16は、胴部の内部に配置されている。
変位検出部16は、フェライト板22と、インダクタンス検出器23と、を有する。
【0037】
フェライト板22は、触針レバー20の後端上面に取り付けられている。胴部の内部空間においてフェライト板22と対向する位置には、インダクタンス検出器23が取り付けられている。
【0038】
スキッド11の下面は、測定時においてワークWと接触するワーク接触面である。スキッド11の下面がワークWの測定面に沿って移動すると、測定面の表面粗さによって触針12が上下動する。触針12が上下動すると、インダクタンス検出器23によってこの上下動が検出される。インダクタンス検出器23から出力される検出信号によりワークW測定面の表面粗さが測定される。触針ユニット3は、ワークWの測定面の表面粗さの測定結果を、外部に出力する。
【0039】
次に、
図3に戻って、駆動部4について説明する。
図3は、駆動部4の機構を示す図である。
駆動部4は、第1支持部7と、動力機構部24と、接触検出部15と、を備える。なお、駆動ケース5を点線で表示している。
【0040】
第1支持部7は、L字形状のフレーム25と、触針ユニット3をフレーム25に連結する連結手段14と、フレーム25の移動方向を規制するガイド部26と、を備える。
【0041】
フレーム25は、触針ユニット3の上側に配置されて、触針ユニット3の後端を片持ち支持するものである。ここで、フレーム25は、触針ユニット3の上側に対してルーフ(屋根)のようにかぶさるように位置する部材25aと、部材25aから直角に屈曲しており触針ユニット3の後端に対向する部材25bと、有する形状である。
【0042】
連結手段14は、触針ユニット3の後端と部材25bとを連結しており、ここでは具体的には板バネである。この板バネは、他に力が作用していなければ、触針ユニット3が部材25aから離隔する方向に触針ユニット3を付勢している。
図3でいうと、触針ユニット3の先端部(すなわちスキッド11)が触針ユニット3の後端よりも下に下がるように傾いていることがわかるであろう。
【0043】
ガイド部26は、ガイドシャフト27を有し、フレーム25を平行移動可能に支持するものである。
部材25aの上面に設けられた軸受27aと27bの穴に、ガイドシャフト27が貫通している。
【0044】
動力機構部24は、モータ28と、送りネジ29と、ねじ受けナット30と、で構成されている。
部材25bの下端面には、送りねじ29に螺合するねじ受けナット30が設けられる。送りネジ29がガイドシャフト27と平行に設けられているのはもちろんである。
【0045】
ねじ受けナット30が螺合する送りねじ29の末端にはモータ28が接続され、モータ28が回転駆動することにより、送りねじ29は測定面に対して平行な方向に移動し、フレーム25がガイドシャフト27に沿って移動する。
【0046】
なお、ここでは、モータ28、送りねじ29、及びねじ受けナット30がフレーム25の部材25bの下面側に設けられる構成について記載したが、例えばフレーム25の側面側や、上面側に設けられるようにしてもよい。
【0047】
接触検出部15は、触針ユニット3とフレーム25との間に配置され、スキッド11がワークWに接触したことを検出する。
図5は、スキッド11(さらには触針12)がワークWに接触する際の図である。
接触検出部15は、具体的には、フォトセンサ151と、遮蔽板152と、で構成される。
【0048】
フォトセンサ151は部材25aの下面に配設され、フォトセンサ151は発光部151aと受光部151bとを有する。
発光部151aは光を発射し、受光部151bは前記光を受光する。受光部151bで光を受光できなくなれば、発光部151aと受光部151bとの間に遮蔽物が存在していることを検出することができるようになっている。
そして、遮蔽板152は、触針ユニット3のケース体18の上面でフォトセンサ151と向かい合う位置に配設されている。
【0049】
スキッド11がワークWの測定面と接触していない状態では、スキッド11が後端部より下がった状態となるように触針ユニット3は連結手段14により付勢されているということは既に述べた。このとき、触針ユニット3と部材25aとは離れているため、遮蔽板152はフォトセンサ151の光を遮断しない(
図3参照)。
これに対し、スキッド11がワークWの測定面と接触すると、スキッド11が測定面により押し上げられ、これにより、触針ユニット3が押し上げられる。すると、触針ユニット3の上面と部材25aの下面とが接近し、遮蔽板152がフォトセンサ151の光を遮断する(
図5参照)。
このようにして、スキッド11がワークWに接触したことによる、触針ユニット3のわずかな傾きの変化をフォトセンサ151で検出する。
表面粗さ測定ユニット1は、接触検出部15でスキッド11がワークWに接触したことを検出すると、この検出結果を出力する。
この検出結果を受けると、移動機構130は、ワークに接近する方向への移動を停止する。そして、表面粗さ測定ユニット1は、ワークWの表面粗さ測定を開始する。すなわち、モータ28を回転駆動させて触針ユニット3をワークW表面に沿って進退させる。
【0050】
本実施の形態にかかる表面粗さ測定ユニット1は、スキッド11がワークWの測定面に接触した際の、触針ユニット3のわずかな傾きの変化を検出可能である。
したがって、三次元測定機120の移動機構130の駆動精度だけで触針ユニット3をワークW表面に対して適切な位置にセッティングするのは困難であるが、接触検出部15からの検出信号を用いることにより、スキッド11(さらには触針)を適切にワークWに接触させることが可能になる。
また、接触検出部15でスキッド11とワークWとの接触が検出されたときには移動機構130による表面粗さ測定ユニット1の移動を停止させるため、スキッド11等の精巧な部品が破損してしまうような事故を防止することができる。
さらに、接触検出部15によってワークWとスキッド11との接触を正確に検出可能であるので、事故回避のために表面粗さ測定ユニット1をワークWにわざとゆっくり近づけるような必要もなく、測定効率のさらなる向上を図ることができる。
ここで、接触検出部15として、触針12の変位により触針ユニット3がワークWに接触したことを検出する構成も考えられるはする。しかし、触針ユニット3の変位検出部16の測定レンジや分解能を考慮すると、ワークに対して触針ユニット3を相当ゆっくり近づけていかなければならないだろう。この点、本実施形態にかかる触針ユニットは、表面粗さ測定ユニット1をワークWにわざとゆっくり近づけるような必要もなく、測定効率のさらなる向上を図ることができる。
さらにまた、本実施の形態にかかる測定ユニット1は、スキッド11を駆動させる駆動部4を備えているために、表面粗さを測定するときに、移動機構130の駆動を停止することができるため、移動機構130の駆動による、表面粗さの測定結果のぶれが発生しない。このため、本実施の形態にかかる測定ユニット1は、正確に表面粗さを検出することができる。また、三次元測定機の駆動機構130を、表面の粗さ測定は使用しないために、他の装置、例えばロボットや工作機械等でも装着することが可能である。
【0051】
本実施の形態にかかる表面粗さ測定ユニット1は、表面粗さ測定ユニット1の動作状態を表示する動作状態表示システムを備える。以下、動作状態表示システムについて説明する。
【0052】
図6を参照して、表面粗さ測定ユニット1を制御するためのコントローラ150が設けられ、コントローラ150と表面粗さ測定ユニット1がケーブルで接続される。表面粗さ測定ユニット1が備えるセンサ回路170とコントローラ150が信号線で接続される。センサ回路170は、例えば、変位検出部16と、駆動部4によるフレーム25の移動を検出する移動検出部(不図示)を含む。
【0053】
コントローラ150は、駆動部4が備えるモータ28の電極28a及び28bにモータ駆動電圧を供給し、表面粗さ測定ユニット1にセンサ回路170用の電源160を供給する。モータ駆動電圧は、モータ制御信号又はモータ印加電圧と称される場合がある。表面粗さ測定ユニット1は、駆動検出部と称される場合がある。動作状態表示システムは、バッファ185a及び185bと、判定回路180と、表示部190とを備える。判定回路180及び表示部190は、センサ回路170用の電源160により動作する。したがって、コントローラ150は判定回路180及び表示部190用の電源を別途供給する必要がない。判定回路180は、モータ印加電圧の検出回路を兼ねている。
【0054】
ここで、表面粗さ測定ユニット1の測定動作を簡単に説明する。モータ28は、モータ駆動電圧に基づいて、触針12をワークWの表面に沿って移動させるための駆動力を発生する。具体的には、モータ28は、触針ユニット3を支持するフレーム25をガイドシャフト27に沿って移動させる。これにより、触針12がワークWの表面に沿って倣い移動する。移動検出部(不図示)は、フレーム25の移動を検出する。変位検出部16は、フレーム25の移動方向と交差する方向の触針12の変位を検出する。フレーム25の移動量と触針12の変位量を対応させて記録することで、表面粗さを測定できる。
【0055】
動作状態表示システムの判定回路180は、モータ28に印加されるモータ印加電圧に基づいてモータ28が動作中かどうかを判定する。表示部190は、判定回路180の判定結果を表示する。したがって、表示部190を制御するための信号線を追加しなくても、表面粗さ測定ユニット1が測定動作中かどうかを表示部190に表示することができる。換言すると、表面粗さ測定ユニット1とコントローラ150を接続する信号線を追加することなく、表面粗さ測定ユニット1が測定動作中かどうかを確認することができる。
【0056】
更に、ユーザはワークWの近くで表面粗さ測定ユニット1が測定動作中かどうかを確認することができる。測定中のフレーム25の移動速度が低速であっても、ユーザは表面粗さ測定ユニット1が測定動作中であると確認することができる。表示部190は、モータ28に実際に印加されているモータ印加電圧に基づいてモータ28が動作中かどうかを表示することができる。動作状態表示システムにより、表面粗さ測定ユニット1の使い勝手が向上する。
【0057】
次に、動作状態表示システムを詳細に説明する。判定回路180は、入力電圧を参照電圧Vrefと比較する比較回路181a及び181bと、OR回路182とを備える。表示部190は、点灯用回路191と、ランプ196を備える。ランプ196は、例えば、駆動部4の駆動ケース5又は第2支持部6の筐体に設けられたLEDである。ランプ196は、パイロットランプと称される場合がある。
【0058】
モータ28の電極28aは、バッファ185aの入力に接続される。バッファ185aの出力は、比較回路181aの入力に接続される。比較回路181aの出力は、OR回路182の第1入力に接続される。モータ28の電極28bは、バッファ185bの入力に接続される。バッファ185bの出力は、比較回路181bの入力に接続される。比較回路181bの出力は、OR回路182の第2入力に接続される。OR回路182の出力は、点灯用回路191に接続される。点灯用回路191は、ランプ196に接続される。バッファ185a及び185bは、バッファアンプと称される場合がある。
【0059】
モータ28が正転しているときに電極28aにモータ印加電圧が発生し、モータ29が逆転しているときに電極29aにモータ印加電圧が発生する。判定回路180は、電極28a及び電極28bの一方においてモータ印加電圧を検出するとモータ28が動作中であると判定し、電極28a及び電極28bの両方においてモータ印加電圧を検出しないとモータ28が動作中でないと判定する。モータ28が動作中であると判定回路180が判定すると、点灯用回路191はランプ196を点灯させる。モータ28が動作中でないと判定回路180が判定すると、点灯用回路191はランプ196を消灯させる。すなわち、モータ28が正転又は逆転しているときにランプ196が点灯し、モータ28が停止しているときにランプ196が消灯する。モータ28の動作中にのみランプ196が点灯するため、ランプ196による電力消費が抑制される。
【0060】
更に、判定回路180がバッファ185a及び185bを介してモータ28に接続されているため、判定回路180及び後段の回路(例えば、点灯用回路191)がコントローラ150によるモータ28の制御に影響を及ぼすことが防止される。
【0061】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる動作状態表示システムを説明する。本実施の形態にかかる動作状態表示システムは、モータ28が動作中である場合にランプ196を点滅させ、モータ28が動作中でない場合にランプ196を常時点灯させる。以下の説明において、実施の形態1と共通する事項は省略される場合がある。
【0062】
図7を参照して、表面粗さ測定ユニット1を制御するためのコントローラ150は、モータ28の電極28a及び28bにモータ駆動電圧を印加するモータドライブ回路151を備える。本実施の形態にかかる動作状態表示システムは、バッファ185a及び185bと、平滑フィルタ188a及び188bと、過電圧保護回路189a及び189bと、判定回路180と、バッファ186と、表示部190を備える。平滑フィルタ188a及び188bは、例えば低域通過フィルタである。過電圧保護回路189a及び189bは、例えば電圧クランプ回路である。判定回路180は、比較回路181a及び181bを備える。表示部190は、ランプ196と、点滅用回路193を備える。
【0063】
モータ28の電極28aは、バッファアンプ185aの入力に接続される。バッファアンプ185aの出力は、平滑フィルタ188aの入力に接続される。平滑フィルタ188aの出力は、過電圧保護回路189aと判定回路180の第1入力に接続される。判定回路180の第1入力は、比較回路181aの入力に接続される。モータ28の電極28bは、バッファアンプ185bの入力に接続される。バッファアンプ185bの出力は、平滑フィルタ188bの入力に接続される。平滑フィルタ188bの出力は、過電圧保護回路189bと判定回路180の第2入力に接続される。判定回路180の第2入力は、比較回路181bの入力に接続される。判定回路180の出力は、バッファ186を介して点滅用回路193の点滅時定数切替スイッチ194に接続される。点滅用回路193の出力は、ランプ196に接続される。
【0064】
判定回路180は、正転又は逆転に関わらずモータ28が動作中である場合は負論理を出力する。ランプ196は、モータ28が動作中でない場合は常時点灯しており、モータ28が動作中である場合は、判定回路180の負論理出力により点滅する。換言すると、モータ28が動作中であると判定回路180が判定すると、点滅用回路193はランプ196を点滅させる。モータ28が動作中でないと判定回路180が判定すると、点滅用回路193はランプ196を常時点灯させる。すなわち、モータ28が正転又は逆転しているときにランプ196が点滅し、モータ28が停止しているときにランプ196が常時点灯する。モータ28の動作中及び停止中にそれぞれ対応してランプ196が点滅及び常時点灯するため、ランプ196が消灯している場合は表示部190が機能していないことがわかる。
【0065】
更に、判定回路180が平滑フィルタ188aを介してモータ28に接続されているため、判定回路180に入力する信号からモータ28の逆起電圧などのノイズ成分が除去される。判定回路180の第1入力が過電圧保護回路189a及びモータ28の電極28aに接続され、判定回路180の第2入力が過電圧保護回路189b及びモータ28の電極28bに接続されているため、ロジック動作の判定回路180の入力電圧がロジック電圧を超えることが防がれる。
【0066】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる動作状態表示システムを説明する。本実施の形態にかかる動作状態表示システムは、モータ28の回転方向を表示する。以下の説明において、実施の形態1又は2と共通する事項は省略される場合がある。
【0067】
図8を参照して、本実施の形態にかかる動作状態表示システムは、バッファ185a及び185bと、平滑フィルタ188a及び188bと、過電圧保護回路189a及び189bと、判定回路180と、バッファ186a及び186bと、表示部190を備える。判定回路180は、比較回路181a及び181bを備える。表示部190は、ランプ196a及び196bと、点灯用回路192a及び192bを備える。ランプ196a及び196bは、例えば、駆動部4の駆動ケース5又は第2支持部6の筐体に設けられたLEDである。ランプ196a及び196bは、パイロットランプと称される場合がある。
【0068】
比較回路181aの出力は、バッファ186aを介して点灯用回路192aの点灯ON/OFFスイッチ195aに接続される。点灯用回路192aの出力は、ランプ196aに接続される。比較回路181bの出力は、バッファ186bを介して点灯用回路192bの点灯ON/OFFスイッチ195bに接続される。点灯用回路192bの出力は、ランプ196bに接続される。
【0069】
判定回路180は、モータ28の正転及び逆転を判定する。ランプ196aは、モータ28の正転を表示する。ランプ296bは、モータ28の逆転を表示する。二つのランプ196a及び196bによりモータ28の回転方向を表示することができる。
【0070】
具体的には、判定回路180は、モータ28の電極28aにおいてモータ印加電圧を検出し、モータ28の電極28bにおいてモータ印加電圧を検出しない場合、モータ28が正転していると判定する。判定回路180は、電極28aにおいてモータ印加電圧を検出せず、モータ28の電極28bにおいてモータ印加電圧を検出する場合、モータ28が逆転していると判定する。判定回路180は、電極28a及び電極28bの両方においてモータ印加電圧を検出しない場合、モータ28が動作中でないと判定する。
【0071】
モータ28が正転していると判定回路180が判定すると、点灯用回路192aはランプ196aを点灯させ、点灯用回路192bはランプ196bを消灯させる。モータ28が逆転していると判定回路180が判定すると、点灯用回路192aはランプ196aを消灯させ、点灯用回路192bはランプ196bを点灯させる。モータ28が動作中でないと判定回路180が判定すると、点灯用回路192a及び192bはそれぞれランプ196a及び19bを消灯させる。すなわち、モータ28が正転しているときにランプ196aのみが点灯し、モータ28が逆転しているときにランプ196bのみが点灯し、モータ28が停止しているときに両方のランプ196a及び196bが消灯する。
【0072】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる表面粗さ測定ユニットを説明する。本実施の形態においては、スタイラスをワークWの表面に接触させるための付勢力を発生するモータに印加される電圧に基づいて、表面粗さ測定ユニットが測定動作中かどうかを表示する。
【0073】
図9を参照して、実施の形態4にかかる表面粗さ測定ユニット200は、ワークWを検出するワーク検出器230と、ワーク検出器230を駆動する駆動機構280と、ケーシング236と、ケーシング272を備える。ワーク検出器230は、ケーシング236に収容される。駆動機構280は、ケーシング272に収容される。
【0074】
以下、駆動機構280がワーク検出器230を水平方向に移動させ、ワーク検出器230が備えるスタイラス233U及び233Dが上下方向に搖動する場合を説明するが、駆動機構280によるワーク検出器230の移動方向及びスタイラス233U及び233Dの搖動方向は互いに交差していればよく、水平方向及び上下方向に限定されない。
【0075】
駆動機構280は、ガイドレール281と、スライダ282と、位置検出器283と、送り機構284と、を備える。
【0076】
ガイドレール281がワーク検出器230の移動方向に沿って固定的に設けられ、ガイドレール281を摺動可能にスライダ282が設けられている。
位置検出器283は、スライダ282の移動方向位置を検出する。送り機構284は、送りねじ軸285と、モータ286と、動力伝達機構287と、を有し、送りねじ軸285とスライダ282とが螺合している。モータ286の回転動力は動力伝達機構287を介して送りねじ軸285に伝達される。送りねじ軸285の回転によりスライダ282が移動方向に沿って移動する。
【0077】
さて次にワーク検出器230の構成を説明する。
ワーク検出器230は、ブラケット231と、測定アーム233と、スタイラス233U、233Dと、バランスウェイト234と、変位検出器235と、ボイルコイルモータ240と、を備える。
【0078】
スライダ282にブラケット231が吊り下げ支持され、ブラケット231には、回転軸232を支点として上下方向へ揺動(円弧運動)できるように測定アーム233が支持されている。スタイラス233U、233Dは、測定アーム233の先端(
図9中の左端)において測定アーム233の長手方向に対して垂直に突設されている。測定アーム233の先端は、ケーシング236から露出している。ここで、スタイラス233Uが上向きに設けられ、スタイラス233Dが下向きに設けられているとする。バランスウエイト234は、測定アーム233の基端側(
図9中の右端)に位置調整可能に設けられている。
【0079】
変位検出器235は、測定アーム233の円弧運動量(上下方向の変位量)を検出する。変位検出器235は、測定アーム233の円弧運動の方向に沿って湾曲したスケール目盛り(不図示)を有するスケール235Aと、スケール235Aに対向して設けられた検出ヘッド235Bと、を有する。スケール235Aは、測定アーム233の基端側において、測定アーム233と一体的に変位するように測定アーム233に固定されている。また、検出ヘッド235Bは、図示しない支持部材により、ブラケット231に対して固定的に配設されている。測定アームの円弧運動は検出ヘッド235Bにより検出され、検出ヘッド235Bは、測定アーム233の円弧運動量に対応した数のパルス信号(変位検出パルス信号)を出力する。
【0080】
ボイスコイルモータ240は、測定アーム233の基端寄りに配置され、測定アーム233の先端が上方向または下方向に付勢されるように測定アーム233に力を掛ける。
ボイスコイルモータ240は、磁石241とボイスコイル242とで構成されている。磁石241は円筒形状であって、測定アーム233の途中に設けられている。ボイスコイル242は磁石241を貫通するように配置されている。ボイスコイル242は固定的に設けられており、例えば、ブラケット231に固定されていてもよい。
【0081】
ボイスコイル242に電流が流れると、ボイスコイル242に磁力が発生する。すると、ボイスコイル242と磁石241との相互作用により、測定アーム233の先端が上方向または下方向へ付勢される。このとき、ボイスコイル242に流れる電流量(電流値)が変わると、測定アームに掛かる付勢力の強弱が変化する。したがって、ボイスコイルモータ240は、スタイラスとワークWの表面との接触力すなわち測定力を付与しかつその力を調整する測定力付与手段としての機能を果たす。
【0082】
また、ボイスコイル242に流れる電流の向きを切り替えることで、測定アーム233に掛かる付勢力の方向が切り替わる。換言すると、ボイスコイル242に印加される電圧の向きを切り替えることで、測定アーム233に掛かる付勢力の方向が切り替わる。例えば、測定アーム233の先端を上向きに付勢していたものが下向きに変わるということである。したがって、ボイスコイルモータ240は、測定姿勢切替え手段としての機能も兼ねている。
【0083】
本実施の形態にかかる表面粗さ測定ユニット200は、表面粗さ測定ユニット200の動作状態を表示する動作状態表示システムを備える。以下、動作状態表示システムについて説明する。
【0084】
図10を参照して、表面粗さ測定ユニット200を制御するためのコントローラ350が設けられ、コントローラ350と表面粗さ測定ユニット200がケーブルで接続される。表面粗さ測定ユニット200が備えるセンサ回路370とコントローラ350が信号線で接続される。センサ回路370は、例えば、変位検出器235と、位置検出器283を含む。
【0085】
コントローラ350は、駆動機構280が備えるモータ286にモータ駆動電圧を供給し、ボイスコイルモータ240にボイスコイルモータ駆動電圧を供給し、表面粗さ測定ユニット200にセンサ回路370用の電源360を供給する。モータ駆動電圧は、モータ制御信号又はモータ印加電圧と称される場合がある。ボイスコイルモータ駆動電圧は、ボイスコイルモータ制御信号又はボイスコイルモータ印加電圧と称される場合がある。
【0086】
表面粗さ測定ユニット200の動作状態表示システムは、バッファ385a及び385bと、判定回路380と、表示部390とを備える。判定回路380及び表示部390は、センサ回路370用の電源360により動作する。したがって、コントローラ350は判定回路380及び表示部390用の電源を別途供給する必要がない。判定回路380は、ボイスコイルモータ印加電圧の検出回路を兼ねている。
【0087】
ここで、表面粗さ測定ユニット200の測定動作を簡単に説明する。モータ286は、モータ駆動電圧に基づいて、スタイラス233U又は233DをワークWの表面に沿って移動させるための駆動力を発生する。具体的には、モータ286は、ワーク検出器230を支持するブラケット231をガイドレール281に沿って移動させる。ボイスコイルモータ240は、ボイスコイルモータ駆動電圧に基づいて、スタイラス233U又は233DをワークWの表面に接触させるための付勢力を発生する。これにより、スタイラス233U又は233DがワークWの表面に沿って倣い移動する。位置検出器283は、ブラケット231の移動を検出する。変位検出器235は、ブラケット231の移動方向と交差する方向のスタイラス233U又は233Dの変位を検出する。ブラケット231の移動量とスタイラス233U又は233Dの変位量を対応させて記録することで、表面粗さを測定できる。
【0088】
表面粗さ測定ユニット200のモータ286、スタイラス233U、233D、ワーク検出器230、ブラケット231、ガイドレール281、及び変位検出器235は、それぞれ、表面粗さ測定ユニット1のモータ28、触針12、触針ユニット3、フレーム25、ガイドシャフト27、及び変位検出部16にそれぞれ対応している。
【0089】
動作状態表示システムの判定回路380は、ボイスコイルモータ240に印加されるボイスコイルモータ印加電圧に基づいてボイスコイルモータ240が動作中かどうかを判定する。表示部390は、判定回路380の判定結果を表示する。したがって、表示部390を制御するための信号線を追加しなくても、表面粗さ測定ユニット200が測定動作中かどうかを表示部390に表示することができる。換言すると、表面粗さ測定ユニット200とコントローラ350を接続する信号線を追加することなく、表面粗さ測定ユニット200が測定動作中かどうかを確認することができる。
【0090】
表面粗さ測定ユニット200の動作状態表示システムの詳細構成は、表面粗さ測定ユニット1の動作状態表示システムの詳細構成から容易に理解できるため、説明を省略する。尚、バッファ385a及び385bは、バッファ185a及び185bにそれぞれ対応する。判定回路380が備える比較回路381a、比較回路381b、及びOR回路382は、判定回路180が備える比較回路181a、比較回路181b、及びOR回路182にそれぞれ対応する。表示部390が備える点灯用回路391及びランプ396は、表示部190が備える点灯用回路191及びランプ196にそれぞれ対応する。ボイスコイルモータ240の電極240aは、バッファ385aを介して比較回路381aの入力に接続される。ボイスコイルモータ240の電極240bは、バッファ385bを介して比較回路381bの入力に接続される。ランプ396は、例えば、ケーシング236又は272に設けられたLEDである。
【0091】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、門型のフレームを有する三次元測定機について説明したが、移動機構が多関節型のものであっても、本実施の形態にかかる表面粗さ測定ユニットが適用可能であることはもちろんである。
(多関節型三次元測定機は、例えば特開2007−47014号公報に開示されている。)
また、例えば触針と触針レバーとが直角の構成有する表面粗さ測定ユニットについて記載したが、触針と触針レバーとがまっすぐに連結されている構成など、触針ユニットの内部構造自体が限定されるものではない。
またさらに、本発明にかかる表面粗さ測定ユニットは、例えばロボットや工作機械などに装着して使用することも可能である。
接触検出部15としてはフォトセンサを例示したが、メカニカルな接点スイッチとしてもよいことはもちろんであり、具体的な構成が実施形態の例示に限定されないのはもちろんである。
【0092】
表面粗さ測定ユニット1及び200は、上下動スタンドに取り付けられて使用されてもよい。
上記実施の形態どうしを矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。例えば、実施の形態2及び3を互いに組み合わせれば、モータ28が正転している場合に、ランプ196aを点滅させ、ランプ196bを常時点灯させることができる。モータ28が逆転している場合に、ランプ196aを常時点灯させ、ランプ196bを点滅させることができる。実施の形態3及び4を互いに組み合わせれば、ボイスコイルモータ240が発生する付勢力の方向を表示することができる。