(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262076
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】メタノールを燃料とする船舶
(51)【国際特許分類】
B63H 21/38 20060101AFI20180104BHJP
B63J 2/08 20060101ALI20180104BHJP
B63B 25/08 20060101ALI20180104BHJP
B63B 11/04 20060101ALI20180104BHJP
B63H 21/14 20060101ALI20180104BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
B63H21/38 B
B63J2/08 B
B63B25/08 B
B63B25/08 G
B63B11/04 B
B63H21/14
F02M37/00 341C
F02M37/00 321Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-107180(P2014-107180)
(22)【出願日】2014年5月23日
(65)【公開番号】特開2015-221645(P2015-221645A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】三井造船株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】394010528
【氏名又は名称】南日本造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】柴田 繁志
(72)【発明者】
【氏名】池田 敏
【審査官】
山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−167189(JP,A)
【文献】
実開昭61−143992(JP,U)
【文献】
特開2012−076561(JP,A)
【文献】
実開平01−167989(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0099195(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 21/38
B63B 11/04
B63B 25/08
B63H 21/14
B63J 2/08
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関室の内部に配置され、メタノールを燃料として運転可能な内燃機関と、
上甲板上に配置され、メタノールを燃料として貯蔵するメタノール燃料タンクと、
上甲板上に配置され、前記メタノール燃料タンクから前記内燃機関にメタノールを供給するメタノール供給システムと、
上甲板上に配置され、前記メタノール燃料タンクから前記内燃機関へ供給されるメタノールの供給と供給量を制御する制御弁を集中して配置したバルブユニットと、
前記機関室の外部に配置され、前記内燃機関から排出されるメタノールを受け入れるメタノールドレンタンクを備えると共に、
前記メタノール燃料タンクから前記メタノール供給システムへメタノールを供給する第1配管と、
前記メタノール供給システムから前記バルブユニットへメタノールを供給する第2配管と、
前記バルブユニットから前記内燃機関へメタノールを供給する第3配管と、
前記内燃機関から前記メタノールドレンタンクへメタノールドレンを排出する第4配管を設け、
前記第3配管と前記第4配管の前記機関室の内部に配置される配管部分を二重管にして構成したメタノールを燃料とする船舶。
【請求項2】
船舶がメタノール運搬船であり、荷役用ポンプを使用して、メタノールをメタノール貨物倉又はスロップタンクから前記メタノール燃料タンクヘ供給するために、前記荷役用ポンプと前記メタノール燃料タンクとを接続する第5配管を備えたことを特徴とする請求項1記載のメタノールを燃料とする船舶。
【請求項3】
イナートガス発生システムを設け、該イナートガス発生システムと前記バルブユニットとを接続するガス配管を設けて、前記イナートガス発生システムで発生するイナートガスを、前記バルブユニットを介して前記メタノール供給システムと前記バルブユニットと前記内燃機関に供給して、前記メタノール供給システム、前記バルブユニット、前記内燃機関、前記第1配管、前記第2配管、前記第3配管、及び、前記第4配管をイナートガスでパージ可能に構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のメタノールを燃料とする船舶。
【請求項4】
前記バルブユニットを、前記メタノール供給システムより高い位置に配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタノールを燃料とする船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来技術においては、船舶の機関の燃料として使用されていなかったメタノールを燃料とする船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶においては、重油を燃料とするものが多いが、近年では、船舶から排出される排気ガスに含まれている窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、二酸化炭素(CO
2)等の排出量に関して、国際条約などにより規制されており、この規制も年々強化されつつある。
【0003】
これらの排気ガス規制への対応策の一つとして、環境にやさしいクリーンな燃料として、液化天然ガス(LNG)が注目されている。この液化天然ガスは硫黄分を含まず、また、二酸化炭素の生成も少ないので、排気ガス中に含まれる硫黄酸化物や二酸化炭素を低減することが可能となる。
【0004】
しかしながら、液化天然ガスにおいては、加圧しただけでは天然ガスは液化せず、液化のために、約−165℃の極低温状態にする必要があるため、燃料タンクや燃料供給システムには極低温に耐えられる特殊な材料が必要となる上に、液化天然ガスの防熱のための設備が必要になるため、設備費用がかさみ、コストが増大してしまうという、極低温への設備対策の問題があり、また、侵入熱により、液化天然ガスが気化して発生する蒸発ガスの処理の仕方によっては、燃料効率が悪化してしまうので、この蒸発ガスをどの程度有効利用できるかという利用効率の問題がある。
【0005】
一方、ディーゼル機関でメタノールを燃料とすることが提案されてきている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このメタノールは、合成樹脂や農薬の材料に使用されるほか、ガソリンと混合して燃料としても使用されており、硫黄成分を含まない上に、常温でも液体であるため、取り扱いが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2003−504546号公報
【特許文献2】特表2013−544932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、液化天然ガス燃料を燃料として使用する場合に直面している、極低温への設備対策と利用効率の問題点を克服でき、低コストで、排気ガス中の硫黄酸化物と二酸化炭素の排出量を低くできる、メタノールを燃料とする船舶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような目的を達成するためのメタノールを燃料とする船舶は、機関室の内部に配置され、メタノールを燃料として運転可能な内燃機関と、上甲板上に配置され、メタノールを燃料として貯蔵するメタノール燃料タンクと、上甲板上に配置され、前記メタノール燃料タンクから前記内燃機関にメタノールを供給するメタノール供給システムと、上甲板上に配置され、前記メタノール燃料タンクから前記内燃機関へ供給されるメタノールの供給と供給量を制御する制御弁を集中して配置したバルブユニットと、前記機関室の外部に配置され、前記内燃機関から排出されるメタノールを受け入れるメタノールドレンタンクを備えると共に、前記メタノール燃料タンクから前記メタノール供給システムへメタノールを供給する第1配管と、前記メタノール供給システムから前記バルブユニットへメタノールを供給する第2配管と、前記バルブユニットから前記内燃機関へメタノールを供給する第3配管と、前記内燃機関から前記メタノールドレンタンクへメタノールドレンを排出する第4配管を設け、前記第3配管と前記第4配管の前記機関室の内部に配置される配管部分を二重管にして構成される。
【0009】
この構成によれば、メタノール燃料タンクとメタノール供給システムとメタノールドレンタンクを機関室の外部に配置しているので、これらの装置から万一メタノールが漏れたとしても、機関室の内部にメタノールが漏れることが無くなる。また、第3配管と第4配管は機関室の内部に配置される配管部分は二重管にしているので、万一、内側の配管からメタノールが漏れても、この漏出を検知して機関室内に漏出する前に対処することができるので、機関室内にメタノールが漏れることを防止できる。
【0010】
従って、安全にメタノールを機関室内の機関で燃焼することができるので、メタノールを燃料とする船舶とすることができる。
【0011】
上記のメタノールを燃料とする船舶において、船舶がメタノール運搬船であり、荷役用ポンプを使用して、メタノールをメタノール貨物倉又はスロップタンクから前記メタノール燃料タンクヘ供給するために、前記荷役用ポンプと前記メタノール燃料タンクとを接続する第5配管を備えて構成すると、積み荷も含めたメタノールを燃料として使用できる。ここで、スロップタンクとは上甲板下において燃料その他用タンクとして貨物倉の一部を割り当てたもの、もしくは貨物倉の近傍に別に設けたものである。
【0012】
上記のメタノールを燃料とする船舶において、イナートガス発生システムを設け、該イナートガス発生システムと前記バルブユニットとを接続するガス配管を設けて、前記イナートガス発生システムで発生するイナートガスを、前記バルブユニットを介して前記メタノール供給システムと前記バルブユニットと前記内燃機関に供給して、前記メタノール供給システム、前記バルブユニット、前記内燃機関、前記第1配管、前記第2配管、前記第3配管、及び、前記第4配管をイナートガスでパージ可能に構成すると、これにより、各配管や装置の内部のメタノールをイナートガスでパージできるので、保守点検時や装置交換などの場合に、容易にかつ安全にメタノールをパージできるようになる。
【0013】
上記のメタノールを燃料とする船舶において、前記バルブユニットを、前記メタノール供給システムより高い位置に配置すると、これにより、第2配管を経由してメタノールドレンが重力で自然にメタノール供給システムに流れるようになる。また、バルブユニットは、上甲板上に配置されることによりディーゼルエンジンより高い位置になるので、第3配管を経由してメタノールが重力により自然にバルブユニットからディーゼルエンジンへ流れるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のメタノールを燃料とする船舶によれば、液化天然ガス燃料が直面している問題を克服でき、液化天然ガスを燃料とする場合よりも、低コストで、排気ガス中の硫黄酸化物と二酸化炭素の排出量を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態のメタノールを燃料とする船舶の構成を模式的に示す機関室近傍の側面断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態のメタノールを燃料とする船舶の構成を模式的に示す機関室近傍の平面断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態のメタノールを燃料とする船舶の構成を模式的に示す機関室近傍の側面断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施の形態のメタノールを燃料とする船舶の構成を模式的に示す機関室近傍の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態のメタノールを燃料とする船舶について、図面を参照しながら説明する。なお、
図1と
図2、及び、
図3と
図4では、装置の前後が必ずしも一致していないが、
図1、及び、
図3では、説明的に、装置の重なりを避けて、前後方向に並べて表示している。
図1及び
図3では、機器類等を図示する必要があるため、メタノールドレンタンク16とポンプ類を配置する区画7を説明用に特に大きくして示してある。
【0017】
図1及び
図2に示すように、本発明の第1の実施の形態のメタノールを燃料とする船舶(以下船舶という)1は、機関室2、プロペラ3、舵4、上部構造物(船橋、居室等)5、貨物倉9を備えて構成され、この機関室2(斜線のハッチング部分)の内部には、ディーゼルエンジン(内燃機関)11、ディーゼル発電機等の補機(図示しない)や各種機器(図示しない)が配置されている。
【0018】
そして、本発明の船舶1では、主機関として使用され、ディーゼルエンジン11をメタノールを燃料として運転可能なエンジンにすると共に、メタノールを燃料として貯蔵するメタノール燃料タンク12と、このメタノール燃料タンク12からディーゼルエンジン11にメタノールを供給するメタノール供給システム13と、メタノールの供給と供給量を制御する制御弁を集中して配置したバルブユニット14と、イナートガス発生システム15を上甲板6上に配置する。
【0019】
このメタノール燃料タンク12と、メタノール供給システム13と、バルブユニット14は、上部構造物5の外部に配置する。これにより、これらの装置から、万一メタノールが漏れたとしても、上部構造物5の内部に漏れないようにすることができる。更に、好ましくは、このメタノール燃料タンク12と、メタノール供給システム13と、バルブユニット14と、イナートガス発生システム15は、上甲板6上の同一区画に配置する。これにより、これらの装置から、万一、メタノールやイナートガスが漏れたとしても、この区画内に漏れるので、ガス漏れ時の対応がし易くなる。また、イナートガス発生システム15は、機関室2や、エンジンケーシングと呼ばれる上部構造物5の後方区画や、上甲板6下にも配置される場合もある。
【0020】
また、ディーゼルエンジン11から排出されるメタノールドレンを受け入れるメタノールドレンタンク16を機関室2の前方の仕切りである横隔壁2aより前に、即ち、機関室2の外部、例えば、機関室2の前または後に設けられる、メタノールドレンタンク16とポンプ類を配置する区画7に配置する。これにより、この装置から、万一メタノールが漏れたとしても、機関室2の内部に漏れないようにすることができる。
【0021】
そして、メタノール燃料タンク12からメタノール供給システム13へメタノールを供給する第1配管21と、メタノール供給システム13からバルブユニット14へメタノールを供給する第2配管22と、バルブユニット14からディーゼルエンジン11へメタノールを供給する第3配管23と、ディーゼルエンジン11からメタノールドレンタンク16へメタノールドレンを供給する第4配管24を設けて構成する。
【0022】
この第3配管23と第4配管24の機関室2の内部に配置される配管部分23a、24aを二重管にして構成する。この二重管の構造により、万一、内側の配管からメタノールが漏れても、この漏出を検知して機関室2の内部に漏出する前に対処することができるので、機関室2の内部にメタノールが漏れることを防止できる。メタノールドレンタンク16に溜められたメタノールは、ドレンポンプ17を用いてメタノール燃料タンク12またはレジデュータンクへ移送される。
【0023】
また、ディーゼルエンジン11からメタノール燃料タンク12にメタノールをリターンする第1戻り配管25と、メタノール供給システム13からメタノール燃料タンク12にメタノールをリターンする第2戻り配管26を設ける。この第1戻り配管25の機関室2の内部に配置される配管部分25aは二重管にして構成する。
【0024】
また、必要に応じて、第1戻り配管25と第2戻り配管26の各々の配管、又は、これらの配管を合流させて、配管に戻り用ポンプ(図示しない)を設ける。これにより、メタノールのメタノール燃料タンク12への戻しを迅速に行うことができるようになる。
【0025】
なお、各配管21、22、23、24等に対しても戻り配管(図示しない)を設けることが好ましく、この場合は、各配管21、22、23、24の最下部に戻り配管(図示しない)を接続して、各配管21、22、23、24の内部にメタノールが残留しないようにする。
【0026】
また、メタノール供給システム13は、ポンプ(図示しない)を有して構成され、例えば、−10℃〜45℃程度のメタノール(液体)を、出口圧力を例えば、7bar〜9barにして吐出する。このときの出口温度は、例えば、10℃〜70℃程度である。
【0027】
このメタノール供給システム13は、メタノールが低引火点であるので、ポンプなどの圧力が生じる機器や弁などの漏れが発生し得る機器を火災の危険性が高い機関室2外に配置するものである。
【0028】
また、バルブユニット14は、メタノールのディーゼルエンジン11への供給を制御する制御弁を集中的に配置した機構であり、火災の危険性が高い機関室2外に配置される。これらの制御弁はディーゼルエンジン11を制御する制御装置(図示しない)で制御される。このバルブユニット14は、メタノール供給システム13より高い位置に配置される。これにより、メタノール供給システム13のポンプが停止した時には、第2配管22を経由してメタノールドレンが重力で自然にメタノール供給システム13に流れるようになる。また、バルブユニット14は、上甲板6上に配置されることによりディーゼルエンジン11より高い位置になるので、第3配管23を経由してメタノールが重力により自然にバルブユニット14からディーゼルエンジン11へ流れるようになる。
【0029】
なお、イナートガス発生システム15は、窒素ガス(N
2)や二酸化炭素(CO
2)等のイナートガスを発生して供給するシステムであり、イナートガス発生システム15とバルブユニット14とを接続するガス配管31を備えて構成され、メタノールのパージのときに、発生したイナートガスを、ガス配管31が接続されたバルブユニット14から、第3配管23経由でディーゼルエンジン11に、また、第2配管22、メタノール供給システム13、第1配管21経由で、メタノール燃料タンク12に供給して、各配管や装置の内部のメタノールをイナートガスでパージ可能なように構成される。これにより、保守点検時や装置交換などの場合に、容易にかつ安全にメタノールをパージできるようになる。
【0030】
このメタノールのパージは、メタノールを、バルブユニット14から第3配管23を経由して、あるいは、直接、ディーゼルエンジン11経由で、第4配管24を経由して、メタノールドレンタンク16の入り口側に設けたレベルスイッチにより、このメタノールドレンタンク16への弁を開くことで、メタノールをメタノールドレンタンク16まで移送する。
【0031】
この移送中の間、第4配管24には、メタノール供給圧力とほぼ同じ圧力(例えば、8bar)のイナートガスを供給し、メタノールのメタノールドレンタンク16への移送をアシストする。これにより、大気圧よりも高い圧力のイナートガスにより、第4配管24内の圧力を高くしてメタノールの沸騰による気化を防ぐことができる。
【0032】
また、第4配管24内に残留する気化したメタノールを除去するために、圧力が7bar〜9barのイナートガスでパージを行う。このパージは、3〜7回程度行われ、また、メタノール運転をする前にも実行される。
【0033】
この第1の実施の形態のメタノールを燃料とする船舶1によれば、メタノール燃料タンク12とメタノール供給システム13とバルブユニット14とメタノールドレンタンク16を機関室2の外部に配置しているので、これらの装置から万一メタノールが漏れたとしても、機関室2の内部にメタノールが漏れることが無くなる。
【0034】
また、第3配管23と第4配管24は機関室2の内部に配置される配管部分23a、24aは二重管にしているので、万一、内側の配管からメタノールが漏れても、この漏出を検知して機関室2の内部に漏出する前に対処することができるので、機関室2の内部にメタノールが漏れることを防止できる。従って、安全にメタノールを機関室2内の機関で燃焼することができる。
【0035】
例えば、万一、配管部分24aの二重管の内管から、この内管と外管との間のすき間にメタノールが漏れた場合の非常時には、メタノールドレンタンク16の入り口側に設けたレベルスイッチにより漏れを検出できるとともに、漏れたメタノールを安全にメタノールドレンタンク16に回収できる。
【0036】
次に、第2の実施の形態のメタノールを燃料とする船舶1Aについて、
図3及び
図4を参照しながら説明する。この第2の実施の形態では、船舶1Aはメタノール運搬船であり、メタノールドレンタンク16とポンプ類を配置する区画7に配置された荷役用ポンプ8を使用して、メタノールをメタノール貨物倉9Aまたはスロップタンクからメタノール燃料タンク12へ供給するために、荷役用ポンプ8とメタノール燃料タンク12とを接続する第5配管41を備えて構成する。この構成によれば、積み荷も含めたメタノールを燃料として使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のメタノールを燃料とする船舶は、液化天然ガス燃料を燃料として使用する場合に直面している、極低温への設備対策と利用効率の問題点を克服でき、低コストで、排気ガス中の硫黄酸化物と二酸化炭素の排出量を低くできるので、メタノール運搬船のみならず、多くの船舶に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 船舶(メタノールを燃料とする船舶)
1A メタノール運搬船(メタノールを燃料とする船舶)
2 機関室
2a 横隔壁
3 プロペラ
4 舵
5 上部構造物(船橋、居室等)
6 上甲板
7 メタノールドレンタンクとポンプ類を配置する区画
8 荷役用ポンプ
9 貨物倉
9A メタノール貨物倉
11 ディーゼルエンジン(内燃機関)
12 メタノール燃料タンク
13 メタノール供給システム
14 バルブユニット
15 イナートガス発生システム
16 メタノールドレンタンク
17 ドレンポンプ
21 第1配管
22 第2配管
23 第3配管
23a 第3配管の機関室の内部に配置される配管部分
24 第4配管
24a 第4配管の機関室の内部に配置される配管部分
25 第1戻り配管
26 第2戻り配管
31 ガス配管
41 第5配管