(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御機器の操作量が前記設定ロール荷重に応じて予め設定した操作量基準値の許容範囲から外れた時にアラームを発する警報器を有することを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
前記アクチュエータは、エアシリンダであり、前記制御機器は、エアシリンダに供給されるエアの圧力を調整する調整弁の開度を制御する電空レギュレータであることを特徴とする請求項1または2に記載の基板洗浄装置。
制御機器を備えたアクチュエータの駆動に伴って昇降する長尺状に水平に延びるロール洗浄部材が基板に加えるロール荷重をロードセルで測定し、該ロードセルの測定値を基に前記制御機器を介して前記ロール荷重をフィードバック制御しながら、前記制御機器の操作量をモニタ部で監視する基板洗浄方法であって、
予め求めた設定ロール荷重と制御機器の操作量基準値との関係に基づいて、設定ロール荷重に応じた操作量基準値の許容範囲を前記モニタ部に予め設定しておき、
前記制御機器の操作量が予め設定した設定ロール荷重に応じた操作量基準値の許容範囲から外れていないかを前記モニタ部で監視することを特徴とする基板洗浄方法。
前記制御機器の操作量が前記設定ロール荷重に応じて予め設定した操作量基準値の許容範囲から外れた時にアラームを発することを特徴とする請求項4に記載の基板洗浄方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板の洗浄時に、ロール洗浄部材の基板に対する押付け荷重(ロール荷重)をロードセルで測定し、この測定値を基にロール荷重をフィードバック制御するようにした場合、ロードセルが故障して正確なロール荷重を測定できなくなると、ロール洗浄部材から基板に適切なロール荷重が加えられなくなる。
【0006】
つまり、ロードセルの故障によりロードセルの測定値(測定ロール荷重)が実際のロール荷重より大きくなると、所定のロール荷重よりも小さいロール荷重がロール洗浄部材から基板に加えられ、この結果、基板に対する洗浄度が低下してしまう。一方、ロードセルの測定値(測定ロール荷重)が実際のロール荷重より小さくなると、所定のロール荷重よりも大きいロール荷重がロール洗浄部材から基板に加えられ、この結果、基板が破損してしまう恐れがある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、ロール荷重を測定するロードセルが基板洗浄時に故障したことを迅速に検知して、異常なロール荷重がロール洗浄部材から基板に加えられまま洗浄が継続されることを防止できるようにした基板洗浄装置及び基板洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の基板洗浄装置は、長尺状に水平に延びるロール洗浄部材を支持して回転させるロールホルダと、制御機器を備えたアクチュエータの駆動に伴って、基板洗浄時に前記ロール洗浄部材が基板にロール荷重を加えるように前記ロールホルダを昇降させる昇降機構と、前記ロール荷重を測定するロードセルと、前記ロードセルの測定値を基に前記制御機器を介して前記ロール荷重をフィードバック制御する制御部と、
予め求めた設定ロール荷重と制御機器の操作量基準値との関係に基づいて、設定ロール荷重に応じた操作量基準値の許容範囲を予め設定しておき、前記制御機器の操作量が予め設定した設定ロール荷重に応じた操作量基準値の許容範囲から外れていないかを監視するモニタ部とを有する。
【0009】
ロール荷重を測定するロードセルが故障して、ロードセルの測定値が狂うと、制御機器の操作量が予め設定した設定ロール荷重に応じた操作量基準値から外れる。このため、制御機器の操作量が予め設定した設定ロール荷重に応じた操作量基準値の許容範囲から外れていないかをモニタ部で監視することで、基板の洗浄時にロードセルが故障したことを迅速に検知することができる。
【0010】
本発明の好ましい一態様において、基板洗浄装置は、前記制御機器の操作量が前記設定ロール荷重に応じて予め設定した操作量基準値の許容範囲から外れた時にアラームを発する警報器を有する。
【0011】
本発明の好ましい一態様において、前記アクチュエータは、エアシリンダであり、前記制御機器は、エアシリンダに供給されるエアの圧力を調整する調整弁の開度を制御する電空レギュレータである。
【0012】
本発明の基板洗浄方法は、制御機器を備えたアクチュエータの駆動に伴って昇降する長尺状に水平に延びるロール洗浄部材が基板に加えるロール荷重をロードセルで測定し、該ロードセルの測定値を基に前記制御機器を介して前記ロール荷重をフィードバック制御しながら、
前記制御機器の操作量をモニタ部で監視する基板洗浄方法であって、予め求めた設定ロール荷重と制御機器の操作量基準値との関係に基づいて、設定ロール荷重に応じた操作量基準値の許容範囲を前記モニタ部に予め設定しておき、前記制御機器の操作量が予め設定した設定ロール荷重に応じた操作量基準値の許容範囲から外れていないかを
前記モニタ部で監視する。
【0013】
本発明の好ましい一態様において、基板洗浄方法は、前記制御機器の操作量が前記設定ロール荷重に応じて予め設定した操作量基準値の許容範囲から外れた時にアラームを発する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、制御機器の操作量が予め設定した設定ロール荷重に応じた操作量基準値の許容範囲から外れていないかをモニタ部で監視することで、基板の洗浄時にロードセルが故障したことを迅速に検知することができ、これによって、異常なロール荷重がロール洗浄部材から基板に加えられまま洗浄が継続されることを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基板洗浄装置を備えた基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図1に示すように、基板処理装置は、略矩形状のハウジング10と、多数の半導体ウェハ等の基板をストックする基板カセットが載置されるロードポート12を備えている。ロードポート12は、ハウジング10に隣接して配置されている。ロードポート12には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIF、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0017】
ハウジング10の内部には、複数(この例では4つ)の研磨装置14a〜14dと、研磨後の基板を洗浄する第1基板洗浄装置16及び第2基板洗浄装置18と、洗浄後の基板を乾燥させる基板乾燥装置20が収容されている。研磨装置14a〜14dは、基板処理装置の長手方向に沿って配列され、基板洗浄装置16,18及び基板乾燥装置20も基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。本発明の実施形態に係る基板洗浄装置は、第1基板洗浄装置16に適用されている。
【0018】
ロードポート12、該ロードポート12側に位置する研磨装置14a及び基板乾燥装置20に囲まれた領域には、第1基板搬送ロボット22が配置され、また研磨装置14a〜14dと平行に、基板搬送ユニット24が配置されている。第1基板搬送ロボット22は、研磨前の基板をロードポート12から受け取って基板搬送ユニット24に受け渡すとともに、乾燥後の基板を基板乾燥装置20から受け取ってロードポート12に戻す。基板搬送ユニット24は、第1基板搬送ロボット22から受け取った基板を搬送して、各研磨装置14a〜14dとの間で基板の受け渡しを行う。
【0019】
第1基板洗浄装置16と第2基板洗浄装置18の間に位置して、第1基板洗浄装置16と第2基板洗浄装置18との間で基板の受け渡しを行う第2基板搬送ロボット26が配置され、第2基板洗浄装置18と基板乾燥装置20との間に位置して、第2基板洗浄装置18と基板乾燥装置20との間で基板の受け渡しを行う第3基板搬送ロボット28が配置されている。ハウジング10には、下記の調節計66の設定とロール荷重の設定値の入力(設定ロール荷重の指示)等を行う制御盤(操作パネル)30が備えられている。
【0020】
図2は、
図1に示す基板処理装置に備えられている、本発明の実施形態の(第1)基板洗浄装置16の概要を示す斜視図で、
図3は、本発明の実施形態の基板洗浄装置16の全体構成の概要を示す正面図である。
【0021】
図2及び
図3に示すように、基板洗浄装置16は、表面を上にして半導体ウェハ等の基板Wの周縁部を支持し基板Wを水平回転させる、水平方向に移動自在な複数本(図では4本)のスピンドル40と、スピンドル40で支持して回転させる基板Wの上方に昇降自在に配置される上部ロールホルダ42と、スピンドル40で支持して回転させる基板Wの下方に昇降自在に配置される下部ロールホルダ44を備えている。
【0022】
上部ロールホルダ42には、円柱状で長尺状に延びる、例えばPVAからなる上部ロール洗浄部材(ロールスポンジ)46が回転自在に支持されており、上部ロール洗浄部材46は、図示しない駆動機構によって、
図2に矢印F
1に示すように回転する。下部ロールホルダ44には、円柱状で長尺状に延びる、例えばPVAからなる下部ロール洗浄部材(ロールスポンジ)48が回転自在に支持されており、下部ロール洗浄部材48は、図示しない駆動機構によって、
図2に矢印F
2に示すように回転する。
【0023】
スピンドル40で支持して回転させる基板Wの上方に位置して、基板Wの表面(上面)に洗浄液を供給する上部洗浄液供給ノズル50が配置され、スピンドル40で支持して回転させる基板Wの下方に位置して、基板Wの裏面(下面)に洗浄液を供給する下部洗浄液供給ノズル52が配置されている。
【0024】
上部ロールホルダ42の長さ方向に沿ったほぼ中央には、凹部42aが設けられ、この凹部42a内に位置して、ロードセル54が上部ロールホルダ42に固定されている。この例では、鉛直方向に配置された、アクチュエータとしてのエアシリンダ56と、このエアシリンダ(アクチュエータ)56の駆動に伴って昇降する昇降軸57と、この昇降軸57の上端に基端を連結して水平方向に延びる、昇降部として昇降アーム58とを有する昇降機構60が備えられ、この昇降アーム(昇降部)58の自由端側下端に、ロードセル54を介して、上部ロールホルダ42が連結されている。ロードセル54と昇降アーム58の自由端側下面との間に、上部ロールホルダ42をチルト(tilt)させるチルト機構70が設置されている。
【0025】
これによって、エアシリンダ56の駆動に伴って、上部ロールホルダ42は、昇降軸57及び昇降アーム58と一体に昇降する。エアシリンダ56には、エアシリンダ56の内部に供給されるエアの供給圧を制御する制御機器としての電空レギュレータ62が備えられ、この電空レギュレータ(制御機器)62の弁開度を調節することで、エアシリンダ56に供給されるエアの圧力が調整される。
【0026】
このように、上部ロールホルダ42の長さ方向に沿ったほぼ中央で上部ロールホルダ42を昇降アーム58の自由端側下面に連結し、上部ロール洗浄部材46を支持して回転させる上部ロールホルダ42の重心を通る垂線がロードセル54のほぼ中心を通るようにして、上部ロールホルダ42を水平な状態でバランス良く昇降アーム58の自由端側下面に連結することができる。
【0027】
また、昇降アーム58の自由端側下端に、ロードセル54を介して、上部ロールホルダ42を連結することで、上部ロールホルダ42の自重をロス無くロードセル54に伝えることができる。そして、基板Wの洗浄時に、上部ロールホルダ42を下降させて、上部ロール洗浄部材46を基板Wに接触させると、ロードセル54に加わる引張り荷重が減少し、その減少した分が、上部ロール洗浄部材46が基板Wに対して加えたロール荷重(押付け荷重)と限りなく一致する。
【0028】
これにより、この減少した引張り荷重を介して、上部ロール洗浄部材46が基板Wの洗浄時に基板Wに対して加えるロール荷重をロードセル54で測定し、電空レギュレータ62の操作量を介して弁開度を調節することで、ロール荷重を調整することができる。
【0029】
そして、ロードセル54で測定した測定値は、表示計64に出力され表示計64から、制御部としての調節計66にアナログ信号で送られ、調節計(制御部)66から送られるアナログ信号は電空レギュレータ62に入力される。これによって、閉じたループにより制御を行う閉ループ制御系が構成されている。また、調節計66には、制御盤(操作パネル)30からロール荷重の設定値(設定ロール荷重)等が入力される。
【0030】
これによって、調節計66は、ロードセル54で測定した測定値(測定ロール荷重)と制御盤(操作パネル)30から入力された設定ロール荷重とを比較し、その差に応じて、電空レギュレータ62にエアシリンダ用の調整弁の操作量(バルブ操作量)を指示する。電空レギュレータ62は、調節計66の指示に応じて、調整弁の弁開度を自動的に調整し、この調整された弁開度に応じて、エアシリンダ56の推力を変化させることで、基板Wの洗浄時に基板Wに加えられるロール荷重がフィードバック制御される。
【0031】
この例によれば、昇降機構60の昇降アーム58と該昇降アーム58に連結された上部ロールホルダ42との間にロードセル54を設置し、ロードセル54が上部ロールホルダ42の自重を受ける構造とし、上部ロールホルダ42とロードセル54との間に、上部ロールホルダ42の昇降時にフリクション増となるベアリングやリンクロッド、荷重伝達でロスを発生させる梁構造や突起物等を介さない構造とすることで、基板洗浄時に基板Wに加えられるロール荷重を正確にロードセル54に伝え、ロール荷重を精度良く測定して制御することができる。
【0032】
ロードセル54でロール荷重を測定しながら基板Wを洗浄している時に、ロードセル54が故障すると、正確なロール荷重を測定できなくなり、上部ロール洗浄部材46から基板Wに適切なロール荷重が加えられなくなる。このように、ロードセル54が故障してロードセル54の測定値(測定ロール荷重)が狂うと、電空レギュレータ62の現在のバルブ操作量、つまり調節計66から電空レギュレータ62へ出力されるバルブ操作量が予め設定した設定ロール荷重に応じたバルブ操作量基準値から外れる。
【0033】
そこで、この例では、電空レギュレータ62に出力されたバルブ操作量が予め設定した設定ロール荷重に応じたバルブ操作量基準値の許容範囲から外れていないかを、調節計66に接続されたモニタ部80で監視することで、基板Wの洗浄中にロードセル54が故障したことを迅速に検知するようにしている。
【0034】
つまり、モニタ部80には、制御盤30から調節計66に入力された設定ロール荷重毎のバルブ操作量基準値が予め入力されて記憶されているとともに、調節計66から電空レギュレータ62へ出力されるバルブ操作量が入力される。そして、モニタ部80は、電空レギュレータ62へ出力されるバルブ操作量が制御盤30から調節計66に入力された設定ロール荷重に対応するバルブ操作量基準値の許容範囲から外れていないかを監視する。そして、モニタ部80は、ロードセル54が故障したことを検知した時、モニタ部80に接続された警報器82に信号を出力し、警報器82は、この信号を受けてアラームを発する。
【0035】
図4は、設定ロール荷重(N)と、電空レギュレータの各バルブ操作量基準値(kPa)及び該基準値の許容範囲との関係の一例を示す。この例では、各設定ロール荷重(N)毎の電空レギュレータの各バルブ操作量基準値(kPa)を直線状に延びる直線Aで示している。そして、この直線Aから一定値を減じた直線状に延びる直線Bを下限閾値、一定値を加えた直線状に延びる直線Cを上限閾値として、この直線(下限閾値)Bと直線(上限閾値)Cとで挟まれた領域を許容範囲としている。
【0036】
つまり、例えば制御盤30から調節計66に指示された設定ロール荷重がR(N)の時、この設定ロール荷重に対応する電空レギュレータ62のバルブ操作量基準値は、直線Aとの交点のS(kPa)となり、このバルブ操作量基準値Sの許容範囲は、直線Bとの交点の下限閾値T1(kPa)と直線Cとの交点の上限閾値T2(kPa)とで挟まれた範囲(T1〜T2)となる。
【0037】
なお、各設定ロール荷重(N)と電空レギュレータの各バルブ操作量基準値(kPa)とを1対1で対応させるようにしても良い。
【0038】
モニタ部80は、例えば上部ロール洗浄部材46が基板Wに加えるロール荷重を、設定ロール荷重Rに制御して実際に基板を洗浄している時に、調節計66から電空レギュレータ62へ出力されるバルブ操作量(kPa)が、この許容範囲(T1〜T2)内であれば、ロードセル54は正常に作動していると判断し、この許容範囲(T1〜T2)から外れた時、つまり下限閾値T1を下回るか、または上限閾値T2を超えたときに、ロードセル54に故障が発生したと判断する。
【0039】
図5は、設定ロール荷重(N)と、電空レギュレータの各バルブ操作量基準値(kPa)及び該基準値の許容範囲との関係の他の例を示す。この例では、各設定ロール荷重毎の電空レギュレータの各バルブ操作量基準値(kPa)を直線状に延びる直線Aで示している。そして、この直線Aから一定の割合(%)を減じた直線状に延びる直線Dを下限閾値、一定の割合(%)を加えた直線状に延びる直線Eを上限閾値として、この直線(下限閾値)Dと直線(上限閾値)Eとで挟まれた領域を許容範囲としている。
【0040】
つまり、例えば制御盤30から調節計66に指示された設定ロール荷重がR(N)の時、この設定ロール荷重に対応する電空レギュレータ62のバルブ操作量基準値は、直線Aとの交点のS(kPa)となり、このバルブ操作量基準値Sの許容範囲は、直線Dとの交点の下限閾値T3(kPa)と直線Eとの交点の上限閾値T4(kPa)とで挟まれた範囲(T3〜T4)となる。
【0041】
図3に示すように、下部ロールホルダ44の長さ方向に沿ったほぼ中央には、凹部44aが設けられている。そして、この下部ロールホルダ44にあっては、鉛直方向に配置された、アクチュエータとしてのエアシリンダ56aと、このエアシリンダ(アクチュエータ)56aの駆動に伴って鉛直方向に昇降する、昇降部としての昇降軸59を有する昇降機構60aが備えられ、この昇降軸(昇降部)59の上端面に、ロードセル54aを介して、下部ロールホルダ44が連結されている。これによって、エアシリンダ56aの駆動に伴って、下部ロールホルダ44は昇降軸59と一体に昇降する。エアシリンダ56aには、前述と同様に、制御機器としての電空レギュレータ62aが備えられている。また、昇降軸59の上端面に固定したロードセル54aと下部ロールホルダ44との間に、下部ロールホルダ44をチルトさせるチルト機構70aが設置されている。
【0042】
このように、下部ロールホルダ44の長さ方向に沿ったほぼ中央で下部ロールホルダ44を昇降軸59の上端面に連結し、下部ロール洗浄部材48を支持して回転させる下部ロールホルダ44の重心を通る垂線がロードセル54aのほぼ中心を通るようにして、下部ロールホルダ44を水平な状態でバランス良く昇降軸59に連結することができる。
【0043】
また、昇降軸59の上端面に、ロードセル54aを介して、下部ロールホルダ44を連結することで、下部ロールホルダ44の自重をロス無くロードセル54aに伝えることができる。そして、下部ロールホルダ44を上昇させて、下部ロール洗浄部材48を基板Wに接触させると、ロードセル54aに加わる圧縮荷重が増加し、その増加した分が、下部ロール洗浄部材48が基板Wに対して加えたロール荷重(押付け荷重)と限りなく一致する。
【0044】
これにより、この増加した圧縮荷重を介して、下部ロール洗浄部材48が基板Wの洗浄時に基板Wに対して加えるロール荷重をロードセル54aで測定し、電空レギュレータ(制御機器)62aの操作量を介して弁開度を調節することで、ロール荷重を調整することができる。
【0045】
そして、ロードセル54aで測定した測定値は、表示計64aに出力され表示計64aから調節計66にアナログ信号で送られ、調節計66から送られるアナログ信号は電空レギュレータ62aに入力される。これによって、閉じたループにより制御を行う閉ループ制御系が構成されている。また、調節計66には、制御盤(操作パネル)30からロール荷重の設定値(設定ロール荷重)が入力される。
【0046】
これによって、調節計66は、ロードセル54aで測定した測定値(測定ロール荷重)と制御盤(操作パネル)30から入力された設定ロール荷重とを比較し、その差に応じて、電空レギュレータ62aに対して調整弁の操作量(バルブ操作量)を指示する。電空レギュレータ62aは、調節計66の指示に応じて、弁開度を自動的に調整し、この調整された弁開度に応じて、エアシリンダ56aの推力を変化させることで、基板Wの洗浄時に基板Wに加えられるロール荷重がフィードバック制御される。
【0047】
この例によれば、昇降機構60aの昇降軸59と該昇降軸59に連結される下部ロールホルダ44との間にロードセル54aを設置し、ロードセル54aが下部ロールホルダ44の自重を受ける構造とし、下部ロールホルダ44とロードセル54aとの間に、下部ロールホルダ44の昇降時にフリクション増となるベアリングやリンクロッド、荷重伝達でロスを発生させる梁構造や突起物等を介さない構造とすることで、基板洗浄時に基板Wに加えられるロール荷重を正確にロードセル54aに伝え、ロール荷重を精度良く測定して制御することができる。
【0048】
ロードセル54aでロール荷重を測定しながら基板Wを洗浄している時に、ロードセル54aが故障すると、正確なロール荷重を測定できなくなり、下部ロール洗浄部材44から基板Wに適切なロール荷重が加えられなくなる。
【0049】
このため、前述と同様に、電空レギュレータ62aのバルブ操作量が予め設定した設定ロール荷重に応じたバルブ操作量基準値の許容範囲から外れていないかを、調節計66に接続されたモニタ部80で監視することで、基板Wの洗浄中にロードセル54aが故障したことを迅速に検知し、ロードセル54aが故障したことをモニタ部80が検知した時、警報器82からアラームを発するようにしている。
【0050】
上記構成の基板洗浄装置(スクラブ洗浄装置)において、
図2に示すように、スピンドル40の上部に設けたコマ90の外周側面に形成した嵌合溝90a内に基板Wの周縁部を位置させ内方に押付けてコマ90を回転(自転)させることにより、基板Wを
図2に矢印Eで示すように水平に回転させる。この例では、4個のうち2個のコマ90が基板Wに回転力を与え、他の2個のコマ90は、基板Wの回転を受けるベアリングの働きをしている。なお、全てのコマ90を駆動機構に連結して、基板Wに回転力を付与するようにしてもよい。
【0051】
このように基板Wを水平に回転させた状態で、上部洗浄液供給ノズル50から基板Wの表面(上面)に洗浄液(薬液)を供給しつつ、上部ロール洗浄部材46を回転させながら下降させて回転中の基板Wの表面に所定のロール荷重で接触させ、これによって、洗浄液の存在下で、基板Wの表面を上部ロール洗浄部材46でスクラブ洗浄する。上部ロール洗浄部材46の長さは、基板Wの直径より僅かに長く設定されており、これによって、基板Wの表面の直径の一方の端部から他方の端部に亘って同時に洗浄される。
【0052】
この基板Wの表面の上部ロール洗浄部材46によるスクラブ洗浄時に、上部ロール洗浄部材46から基板Wに加えられるロール荷重をロードセル54で測定し、この測定値(測定ロール荷重)と、予め制御盤30から入力された設定ロール荷重とを調節計66で比較し、調節計66は、その差に応じて、電空レギュレータ62に対して調整弁の操作量(バルブ操作量)を指示する。電空レギュレータ62は、調節計66の指示に応じて、弁開度を自動的に調整し、この調整された弁開度に応じて、エアシリンダ56の推力を変化させる。これによって、基板Wの洗浄時に基板Wに加えられるロール荷重が設定ロール荷重となるようにロール荷重をフィードバック制御する。
【0053】
図6は、
図3に示す基板洗浄装置の上部ロール洗浄部材46から基板Wに加えられるロール荷重をフィードバック制御しつつ基板Wの表面(上面)を洗浄する制御例を示すフローチャートである。なお、
図3に示す基板洗浄装置の下部ロール洗浄部材48から基板Wに加えられるロール荷重をフィードバック制御しつつ基板Wの裏面(下面)を洗浄する制御例もほぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0054】
図6に示すように、設定ロール荷重に応じた電空レギュレータ62のバルブ操作量基準値、例えば
図4または
図5に示す直線A上の値を制御盤30から入力し、このバルブ操作量基準値(直線A)をモニタ部80に記憶しておく(ステップ1)。そして、洗浄時に上部ロール洗浄部材46から基板Wに加えられるべきロール荷重(設定ロール荷重)を、例えば
図4または
図5に示す設定ロール荷重R(N)を制御盤30から調節計66に入力する(ステップ2)。
【0055】
次に、基板Wを水平に回転させた状態で、上部洗浄液供給ノズル50から基板Wの表面(上面)に洗浄液(薬液)を供給しつつ、上部ロール洗浄部材46を回転させながら下降させて回転中の基板Wの表面に接触させ、洗浄液の存在下で、基板Wの表面を上部ロール洗浄部材46でスクラブ洗浄する。この基板Wの洗浄時に基板Wに加えられるロール荷重が設定ロール荷重となるようにロール荷重をフィードバック制御する(ステップ3)。
【0056】
モニタ部80は、記憶しているバルブ操作量基準値のうち、設定ロール荷重に対応するバルブ操作量基準値、例えば
図4または
図5に示す設定ロール荷重R(N)と直線(各バルブ操作量基準値)Aとの交点のバルブ操作量基準値Sと、調節計66から電空レギュレータ62に対して出力されたバルブ操作量(現在のバルブ操作量)とを比較する(ステップ4)。そして、現在のバルブ操作量が、設定ロール荷重に対応するバルブ操作量基準値の許容範囲から外れているかを判断する。例えば、バルブ操作量が、
図4に示す設定ロール荷重Rと直線Bとの交点の下限閾値T1(kPa)と、設定ロール荷重Rと直線Cとの交点の上限閾値T2(kPa)とで挟まれた範囲(T1〜T2)、または
図5に示す設定ロール荷重Rと直線Dとの交点の下限閾値T3(kPa)と、設定ロール荷重Rと直線Eとの交点の上限閾値T4(kPa)とで挟まれた範囲(T3〜T4)から外れているかを判断する(ステップ5)。
【0057】
そして、現在のバルブ操作量が、設定ロール荷重に対応するバルブ操作量基準値の許容範囲から外れている時、例えば
図4に示す下限閾値T1(kPa)または
図5に示す下限閾値T3(kPa)を下回るか、或いは
図4に示す上限閾値T2(kPa)または
図5に示す上限閾値T4(kPa)を超えている時、ロードセル54が故障したと判断して、警報器82からアラームを発する(ステップ6)。そして、洗浄を強制的に終了させ、装置内の基板を回収した後、装置を停止させる(ステップ7)。
【0058】
一方、現在のバルブ操作量が、設定ロール荷重に対応するバルブ操作量基準値の許容範囲から外れていない時には、所定の洗浄時間が経過したかを判断し(ステップ8)、経過していない時にはステップ4に戻り、経過した時には洗浄を終了する(ステップ9)。そして、次の基板の処理を開始し(ステップ10)、ステップ2に戻る。
【0059】
これにより、基板Wの洗浄時にロードセル54が故障したことを迅速に検知して、異常なロール荷重がロール洗浄部材46から基板Wに加えられまま洗浄が継続されることを防止することができる。
【0060】
同時に、下部洗浄液供給ノズル52から基板Wの裏面(下面)に洗浄液を供給しつつ、下部ロール洗浄部材48を回転させながら上昇させて回転中の基板Wの裏面に所定のロール荷重で接触させ、これによって、洗浄液の存在下で、基板Wの裏面を下部ロール洗浄部材48でスクラブ洗浄する。下部ロール洗浄部材48の長さは、基板Wの直径より僅かに長く設定されていて、前述の基板Wの表面とほぼ同様に、基板Wの全裏面が洗浄される。
【0061】
この基板Wの裏面の下部ロール洗浄部材48によるスクラブ洗浄時に、前述の上部ロール洗浄部材46の場合と同様に、基板Wの洗浄時に基板Wに加えられるロール荷重が設定ロール荷重となるようにロール荷重をフィードバック制御する。
【0062】
図1に示す基板処理装置にあっては、ロードポート12内の基板カセットから取り出した基板の表面を、研磨装置14a〜14dのいずれかに搬送して研磨する。そして、研磨後の基板表面を第1基板洗浄装置16で洗浄(一次洗浄)した後、第2基板洗浄装置18で更に洗浄(仕上げ洗浄)する。そして、洗浄後の基板を第2基板洗浄装置18から取り出し、基板乾燥装置20に搬入してスピン乾燥させ、しかる後、乾燥後の基板をロードポート12の基板カセット内に戻す。
【0063】
なお、上記の例では、基板の洗浄の際に、上部ロール洗浄部材46から基板の表面(上面)に加えられるロール荷重、及び下部ロール洗浄部材48から基板の裏面(下面)に加えられるロール荷重の双方を、閉ループ制御系を利用してフィードバック制御するようにしているが、使用条件(プロセス、基板の性状、荷重など)によって、どちらか一方のみをフィードバック制御するようにしてもよい。
【0064】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことはいうまでもない。