(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一方の対向面に調心溝を形成した一対の素子を有するメカニカルスプライスと、前記調心溝上で突き合わせるために前記メカニカルスプライスにその両端から第1および第2光ファイバをそれぞれ導入する導入機構とを備え、
前記調心溝を有する一方の前記素子に、前記調心溝を長さ方向に分断する溝部を設け、この溝部に、整合体チップを配置し、
前記整合体チップは、前記第1光ファイバが挿通する挿通部を有する枠体と、前記枠体に前記挿通部を塞いで設けられた屈折率整合体とを有し、
前記屈折率整合体は、弾性変形可能な固形のシート状とされ、前記枠体に剥離可能に付着され、
前記導入機構によってそれぞれ導入された前記第1および第2光ファイバが、前記溝部からずれた前記調心溝上で、前記第1光ファイバの先端面で押圧されて前記枠体から剥離した前記屈折率整合体を介して突き合わせられる光ファイバ接続器。
前記屈折率整合体は、−20℃〜50℃の条件で前記第1光ファイバに押圧されたときに前記枠体から剥離できる程度の力で前記枠体に付着されている請求項1または2に記載の光ファイバ接続器。
前記屈折率整合体は、前記第1光ファイバの先端面で押圧され前記枠体から剥離したときに、前記第1光ファイバの先端面および外周面を覆う傘状の形態となる請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光ファイバ接続器。
少なくとも一方の対向面に調心溝を形成した一対の素子を有するメカニカルスプライスと、前記調心溝上で突き合わせるために前記メカニカルスプライスにその両端から第1および第2光ファイバをそれぞれ導入する導入機構とを用い、
前記調心溝を有する一方の前記素子に、前記調心溝を長さ方向に分断する溝部を設け、この溝部に、整合体チップを配置し、
前記整合体チップは、前記第1光ファイバが挿通する挿通部を有する枠体と、前記枠体に前記挿通部を塞いで設けられた屈折率整合体とを有し、
前記屈折率整合体は、弾性変形可能な固形のシート状とされ、前記枠体に剥離可能に付着され、
前記導入機構によって、前記第1光ファイバを前記メカニカルスプライスに一端側から導入し、前記第1光ファイバの先端面で押圧して、前記屈折率整合体を前記枠体から剥離させ、
前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとを、前記溝部からずれた前記調心溝上で、前記枠体から剥離した前記屈折率整合体を介して突き合わせる光ファイバの接続方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図7(a)は、本発明の光ファイバ接続器の第1形態例である光ファイバ接続器10Aを示す図である。
光ファイバ接続器10Aは、メカニカルスプライス30(接続機構)と、メカニカルスプライス30を保持する光ファイバ接続用ユニット10(導入機構)とを有する。
光ファイバ接続用ユニット10は、光ファイバ1A、1Bを保持する光ファイバホルダ20,20と、光ファイバホルダ20,20およびメカニカルスプライス30を支持する支持台40(支持体)と、メカニカルスプライス30の素子31、32間を開放する介挿片51を有する介挿部材50と、を備えている。
【0011】
図1(a)は、メカニカルスプライス30(以下、単にスプライス30という)を示す分解斜視図である。
図1(b)はスプライス30に用いられる整合体チップ36を示す斜視図である。
図2は、整合体チップ36を示す断面図である。
【0012】
以下、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。ベース部材31の長手方向をX方向とし、ベース部材31の対向面31aの面内であってX方向と直交する方向をY方向とする。X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とする。
図5に示すように、スプライス30によって突き合わせ接続される光ファイバ1A、1Bは、裸光ファイバ2aの外周面(側面)を被覆2bで覆った構成の被覆付き光ファイバ2であり、例えば光ファイバ心線や光ファイバ素線等である。光ファイバ1Aを第1光ファイバといい、光ファイバ1Bを第2光ファイバということがある。
【0013】
図1に示すように、スプライス30は、細長板状のベース部材31(ベース側素子)と、ベース部材31の長手方向に沿って配列設置した3つの蓋部材321、322、323(蓋側素子)によって構成される押さえ蓋32と、これらを内側に一括保持するクランプばね33と、整合体チップ36とを備えている。
ベース部材31と押さえ蓋32とを、半割り把持部材34という。
ベース部材31の長手方向に沿って配列設置した3つの蓋部材321、322、323のうち、中央に位置する符号322の蓋部材を、中央蓋322とも言う。中央蓋322の両側の蓋部材321、323をサイド蓋321、323とも言う。
【0014】
ベース部材31の対向面31aの長手方向(延在方向)中央部には、裸光ファイバ2a同士を突き合わせ接続(光接続)可能に互いに高精度に位置決め、調心するための調心溝31bと、整合体チップ36を保持する保持凹所31h(溝部)と、が形成されている。
【0015】
調心溝31bは、ベース部材31の対向面31aの、中央蓋323に対向する部分に形成されている。
図6(b)に示すように、調心溝31bは、形成角度が互いに異なる一対の内側面31b1、31b2を有し、深さ方向に徐々に幅が狭くなる形状を有する。図示例の調心溝31bは、深さ方向に向かって互いに近づくように傾斜する平面である内側面31b1、31b2からなる断面V字形とされている。内側面31b1、31b2は、裸光ファイバ2aの外周面に接して、この裸光ファイバ2aを位置決めする。
なお、調心溝31bの断面形状は任意としてよく、例えばU字形、半円形、矩形、深さ方向に幅を減じる台形などとすることができる。
【0016】
図1に示すように、ベース部材31の対向面31aの第1、第2サイド蓋321、323に対向する部分には、それぞれ調心溝31bに比べて溝幅を大きくした被覆部挿入溝31c、31dが形成されている。被覆部挿入溝31c、31dは、ベース部材31の長手方向に沿って、調心溝31bの延長上に延在形成されている。
【0017】
被覆部挿入溝31c、31dと調心溝31bとの間には、被覆部挿入溝31c、31dから調心溝31b側に行くにしたがって溝幅が小さくなるテーパ状のテーパ溝31eが形成されている。各被覆部挿入溝31c、31dは、前記テーパ溝31eを介して調心溝31bと連通されている。
被覆部挿入溝31c、31dは、光ファイバ2の被覆2bが除去されていない被覆付き部分(被覆部)を、調心溝31bによって位置決めしたときの裸光ファイバ2aと同軸上に位置決めする。
【0018】
クランプばね33は、細長板状の背板部33aの両側から、該背板部33aの長手方向全長にわたって、背板部33aに垂直に側板部33bが張り出された構成になっている。
一対の側板部33bの一方はベース部材31の対向面31aとは反対の背面に当接し、他方の側板部33bは蓋部材321、322、323の対向面とは反対の背面に当接する。
クランプばね33は、ベース部材30と蓋部材321、322、323とを、互いに対向する対向面を閉じ合わせる方向に弾性付勢している。
【0019】
一対の側板部33bは、それぞれ、スプライス30の押さえ蓋32の3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分かれている。押さえ蓋32に当接する側板部33bは、第1サイド蓋321と中央蓋322との境界、及び中央蓋322と第2サイド蓋323との境界に対応する位置にそれぞれ形成されたスリット状の切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。
ベース部材31に当接する側板部33bは、蓋部材321、322、323に当接する側板部33bの切り込み部33dに対応する位置に形成された切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。
【0020】
クランプばね33は、互いに独立したクランプばねとして機能する第1〜3クランプばね部331〜333を有する。
第1クランプばね部331は第1サイド蓋321とベース部材31とを保持し、第2クランプばね部332は中央蓋322とベース部材31とを保持し、第3クランプばね部333は第2サイド蓋323とベース部材31とを保持する。
なお、第1クランプばね部331の一対の側板部に符号331b、第2クランプばね部332の一対の側板部に符号332b、第3クランプばね部333の一対の側板部に符号333bを付記する。
【0021】
スプライス30は、3つのクランプばね部331〜333に対応する3つのクランプ部を有する。
すなわち、このスプライス30は、第1クランプばね部331の内側に第1サイド蓋321とベース部材31とを保持した第1クランプ部と、第2クランプばね部332の内側に中央蓋322とベース部材31とを保持した第2クランプ部と、第3クランプばね部333の側に第2サイド蓋323とベース部材31とを保持した第3クランプ部とを有する。
3つのクランプ部は、それぞれ、個々のクランプ部に対応するクランプばね部の弾性によって、半割りの素子(ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材(蓋側素子))の間に光ファイバを把持固定できる。
【0022】
スプライス30の半割り把持部材34は、クランプばね33の背板部33aとは反対側(開放側)に露出する側面(開放側側面)を有する。該開放側側面には、前記介挿片51を挿入するための介挿片挿入穴35が開口される(
図6(a)参照)。
介挿片挿入穴35は、ベース部材31及び3つの蓋部材321、322、323の対向面の互いに対応する位置に形成された介挿片挿入溝(図示略)によって、ベース部材31と蓋部材321、322、323との間に確保される。
介挿片挿入穴35は、中央蓋322におけるベース部材31長手方向に沿う方向の中央部を介して両側に対応する2カ所、第1サイド蓋321及び第2サイド蓋323のベース部材31長手方向に沿う方向の中央部に対応する位置の、計4箇所に形成されている。
【0023】
第1、第2サイド蓋321、323の対向面の、ベース部材31の被覆部挿入溝31c、31dに対向する部位は、光ファイバ2(1A、1B)の被覆部を被覆部挿入溝31c、31dに押さえ込む平坦なファイバ押さえ面とされている。
中央蓋322の対向面322aの、ベース部材31の調心溝31bに対向する部位は、光ファイバ2(1A、1B)の裸光ファイバ2aを調心溝31bに押さえ込む平坦なファイバ押さえ面とされている。
なお、図示例ではベース部材31と押さえ蓋32のうちベース部材31のみに調心溝31bが形成されているが、調心溝はベース部材31と押さえ蓋32の両方に形成してもよいし、押さえ蓋32にのみ形成してもよい。
【0024】
図1および
図2に示すように、この例では、光ファイバ1A、1Bの突き合わせ位置は、スプライス30の長手方向(X方向)の中央位置C1である。なお、光ファイバの突き合わせ位置は中央位置に限定されない。
【0025】
ベース部材31の対向面31aに形成された保持凹所31hは、調心溝31bより深く形成された溝状の凹所であり、調心溝31bを横切って形成されており、これにより調心溝31bを長さ方向(
図2の左右方向)に分断している。
すなわち、保持凹所31hは、調心溝31bを、保持凹所31hより一端側(
図2の右側)の調心溝31b1と、保持凹所31hより他端側(
図2の左側)の調心溝31b2とに分断している。
保持凹所31hの形成方向は、調心溝31bに交差する方向(例えば、調心溝31bに対し垂直な方向(Y方向))である。
なお、保持凹所31hの形状は、調心溝31bを分断し得る形状であれば図示例に限らない。保持凹所の平面視形状は、矩形でもよいし、その他の形状であってもよい。
【0026】
図2に示すように、保持凹所31hは、光ファイバ1A(第1光ファイバ)が挿通部37に挿通可能となるように整合体チップ36のX方向移動を規制できればよく、その寸法は特に限定されない。
保持凹所31hの間隔(X方向の寸法)は、例えば整合体チップ36の厚さよりやや大きくすることができる。
保持凹所31hの幅方向(Y方向)の寸法は、光ファイバ1Aが挿通部37に挿通可能となるように整合体チップ36のY方向移動を規制できるように設定される。
図示例の保持凹所31hは、整合体チップ36のおよそ半分を収容する直方体状の内部空間を有する。
【0027】
保持凹所31hのX方向位置は、光ファイバ1A、1Bの突き合わせ位置(中央位置C1)からX方向に離れた位置であって、保持凹所31hの中央位置C1側の内面31h1と、中央位置C1とのX方向の距離L1は、例えば0.25mm以上(好ましくは0.5mm以上)とすることができる。距離L1をこの範囲とすることで、光ファイバ1Aの先端を含む十分な長さの部分を調心溝31bで位置決めすることができる。このため、光ファイバ1Aの調心精度を高めることができる。
【0028】
図5に示すように、中央蓋322の対向面322aには、整合体チップ36の一部を収容する収容凹所322dが形成されている。
収容凹所322dは、中央蓋322の長手方向に交差する方向に沿う溝状の凹所であり、保持凹所31hの形成方向に応じて形成することができる。例えば、保持凹所31hと同様に、Y方向に沿って形成することができる。
収容凹所322dの間隔(X方向の寸法)は、保持凹所31hの間隔より大きくすると、スプライス30を組み立てる操作が容易になる。
収容凹所322dのX方向の位置は、保持凹所31hのX方向の位置に応じた位置とされる。
【0029】
図1(b)および
図2に示すように、整合体チップ36は、裸光ファイバ2aが挿通する挿通部37を有する枠体38と、枠体38の第1面38a(外面)に形成された屈折率整合体39とを有する。
枠体38は、平面視略矩形の板状に形成されている。
挿通部37は、平面視略円形とされ、枠体38を厚さ方向に貫通して形成されている。
【0030】
図2に示すように、屈折率整合体39はシート状に形成され、枠体38の第1面38aに、挿通部37を塞いで設けられている。図示例では、屈折率整合体39は、枠体38の第1面38aと同じ平面視形状(略矩形状)とされ、外周部分39cが第1面38aに貼着して設置されている。第1面38aは、中央位置C1側の面とは反対の面である。
屈折率整合体39は、表面粘着力によって、枠体38に(剥離可能に)貼着していることが好ましい。
【0031】
屈折率整合体39は、−20℃〜50℃(好ましくは−10℃〜40℃)の条件で光ファイバ1Aに押圧されたときに枠体38から剥離できる程度の力で第1面38aに貼着されていることが好ましい。
なお、屈折率整合体39は、第2面38b(第1面38aとは反対の面)に設けてもよいし、第1面38aおよび第2面38bの両方に設けてもよい。
【0032】
屈折率整合体39は、挿通部37における光ファイバ2の挿通方向(挿通部37の軸方向)に対して交差する面に沿って設置されている。図示例では、屈折率整合体39は、挿通部37の軸方向に対して垂直な面に沿って設置されている。
【0033】
屈折率整合体39は、屈折率整合性を有する。
屈折率整合性とは、この屈折率整合体39の屈折率と、光ファイバ2の屈折率との近接の程度をいう。屈折率整合体39の屈折率は、光ファイバ2に近いほどよいが、フレネル反射の回避による伝送損失低減の点から、光ファイバ2との屈折率の差が±0.1以内であることが好ましく、さらに好ましくは±0.05以内である。突き合わせ接続される2本の光ファイバ2の屈折率が互いに異なる場合には、2本の光ファイバ2の屈折率の平均値と屈折率整合体39の屈折率との差が上記範囲内にあることが望ましい。
【0034】
屈折率整合体39は、弾性材料によって形成される。屈折率整合体39の材質としては、例えばアクリル系、エポキシ系、ビニル系、シリコーン系、ゴム系、ウレタン系、メタクリル系、ナイロン系、ビスフェノール系、ジオール系、ポリイミド系、フッ素化エポキシ系、フッ素化アクリル系などの高分子材料を挙げることができる。
【0035】
屈折率整合体39のショア硬度E(JIS K 6253に準拠)は、例えば30以下とすることができる。これによって、屈折率整合体39は、光ファイバ2に押圧される際に、十分な伸び変形が可能となる。
【0036】
屈折率整合体39の厚みは、例えば50μm以下(例えば10〜50μm)とすることができる。これによって、突き合わせされる光ファイバ1A、1Bの端部の位置を正確に定め、初期特性を安定にし、接続損失を低くできる。
前記厚みとは、例えば光ファイバ2の先端に当接する部分の屈折率整合体39の平均厚みであってもよいし、前記部分の最大または最小厚みであってもよい。
前記厚みは、平面視において挿通部37内に位置する部分の厚み(前記部分の平均、最大または最小の厚み)であってもよい。
【0037】
屈折率整合体39は、保持凹所31h内に設けられるため、調心溝31bを長さ方向に分断する位置に設置されることになる。このため、屈折率整合体39は、調心溝31bに案内された光ファイバ1Aの進行経路に位置する(
図3参照)。
【0038】
整合体チップ36は、屈折率整合体39と枠体38とを貼り合わせることによって作製することができる。
例えば、シート状の屈折率整合体の一方の面に枠体38を重ね、前記シート状の屈折率整合体を枠体38と同じ形状に切り出す方法によって作製することができる。
【0039】
図1および
図7(a)に示すように、介挿部材50の介挿片51は、スプライス30の複数箇所、例えば、第1サイド蓋321に対応する1箇所と、中央蓋322における2箇所と、第2サイド蓋323に対応する1箇所との合計4箇所の介挿片挿入穴に挿入可能な位置にそれぞれ設けられている。
これらの介挿片51が介挿片挿入穴に挿入されると、素子31、32は、光ファイバ1A、1Bの挿入が可能な程度に押し開かれる。また、介挿片51を抜き取ると、クランプばね33の弾性力によって2つの素子31、32が閉じられて光ファイバ1A、1Bが把持される。
【0040】
次に、スプライス30を用いて光ファイバを接続する方法を説明する。
ここに説明する光ファイバ接続方法は、予備工程の後、第1光ファイバ1Aをスプライス30に挿入する第1ファイバ挿入工程を行い、次いで第2光ファイバ1Bをスプライス30に挿入する第2ファイバ挿入工程を行う。
第1光ファイバ1Aを把持した光ファイバホルダ20が載置されるホルダ支持部42を第1ホルダ支持部42Aという。第2光ファイバ1Bを把持した光ファイバホルダ20が載置されるホルダ支持部42を第2ホルダ支持部42Bという。
【0041】
(予備工程)
図7(a)に示すように、スプライス30を、支持台40の接続器支持部41に設置する。
スプライス30は、整合体チップ36が中央位置C1よりも第1ホルダ支持部42A側(
図7(a)の右側)に位置するように配置する。
介挿部材50を操作することにより、介挿片51を素子31、32間に挿入する。
図6に示すように、介挿片51が介挿片挿入穴35に挿入されると、素子31、32は、光ファイバ2の挿入が可能な程度に押し開かれる。
【0042】
光ファイバ1A、1Bを、光ファイバホルダ20に把持させた後、図示せぬ被覆除去器によって光ファイバ1A、1Bの先端部分の被覆を除去する。必要に応じて光ファイバカッター(図示略)を用いて光ファイバ1A、1Bの先端部分を切除し、光ファイバ1A、1Bを所定の長さとする。
【0043】
(第1ファイバ挿入工程)
図7(a)に示すように、第1光ファイバ1Aを把持した光ファイバホルダ20を、第1ホルダ支持部42A上に載置する。
光ファイバホルダ20をスプライス30に向けて前進させると、光ファイバ1Aはスプライス30の一端側から素子31、32間に挿入される。
【0044】
図2に示すように、光ファイバホルダ20をさらに前進させると、光ファイバ1Aは調心溝31bに沿って進行し、整合体チップ36の屈折率整合体39の中央部分39aに当接する。この当接部分は光ファイバ1Aの先端面1A1に付着する。
【0045】
図3に示すように、光ファイバホルダ20をさらに前進させると、光ファイバ1Aは、屈折率整合体39の中央部分39aを押圧し、挿通部37内に向けて移動させる。これによって、屈折率整合体39の外周部分39cには中央に向けた引張力が作用し、外周部分39cは枠体38から剥離する。
屈折率整合体39は、枠体38の第1面38aに設けられているため、中央部分39aが光ファイバ1Aに十分に密着した状態で、枠体38から剥離する。このため、屈折率整合体39を確実に光ファイバ1Aに付着させることができる。
【0046】
屈折率整合体39は、光ファイバ1Aによって中央部分39aが押されて移動するため、光ファイバ1Aの先端面1A1およびこれに近い範囲の外周面を包み込んだ、傘状の形態となる。詳しくは、屈折率整合体39は中央部分39aが先端面1A1に付着して先端面1A1に沿う形状となり、他の部分39bが光ファイバ1Aの外周面を覆うスカート状の形状となる。
このように、屈折率整合体39は、光ファイバ1Aの先端部分を包み込む形状となるため、光ファイバ1Aから外れる事態が生じにくい。
【0047】
図4(a)および
図7(a)に示すように、光ファイバホルダ20をさらに前進させると、光ファイバ1Aは、屈折率整合体39とともに移動し、光ファイバホルダ20が端壁部45に当接する位置(前進限界位置)において、先端面1A1は中央位置C1(またはその近傍)に達する。屈折率整合体39は、枠体38から剥離しているため、ほとんど伸び変形していない状態となる。
【0048】
次いで、
図7(b)に示すように、4つの介挿片51のうち、スプライス30の中央より一端側の2つをスプライス30から抜き取る。
これら2つの介挿片51をスプライス30から抜き去ると、光ファイバ1Aは、スプライス30のクランプばね33の弾性によって、スプライス30の第1サイド蓋321とベース部材31との間、および、中央蓋322とベース部材31との間に把持固定される(
図5参照)。これによって光ファイバ1Aは、長さ方向の移動が規制される。
【0049】
(第2ファイバ挿入工程)
図7(b)に示すように、第2光ファイバ1Bを把持した光ファイバホルダ20を、第2ホルダ支持部42B上に載置し、スプライス30に向けて前進させる。
第2光ファイバ1Bはスプライス30の他端側から素子31、32間に挿入され、調心溝31bに導入される。
【0050】
図7(c)および
図4(b)に示すように、光ファイバホルダ20が前進すると、光ファイバ1Bは、調心溝31bに沿って進行し、光ファイバ1Aの先端面1A1に、屈折率整合体39の中央部分39aを介して突き当てられる。C2は光ファイバ1A、1Bの突き合わせ接続位置である。
【0051】
光ファイバ1Bを光ファイバ1Aが突き合わせ接続する際には、光ファイバ1Aは既にスプライス30に固定されているため、光ファイバ1Aに位置ずれは生じない。
このため、光ファイバ1A、1Bの長手方向の移動により屈折率整合体39が光ファイバ1Aから剥離したり破損することはない。
【0052】
光ファイバ1Bには、光ファイバホルダ20とスプライス30との間に、たわみ部2dを形成してもよい。たわみ部2dの形成を確認することにより、光ファイバ1A、1Bが突き合わせられたことを目視で確認することができる。
【0053】
次いで、
図7(d)に示すように、残りの介挿片51をスプライス30から抜き取る。
介挿片51をスプライス30から抜き去ると、第2光ファイバ1Bが、第1光ファイバ1Aとの突き合わせ状態を保ったまま、スプライス30のクランプばね33の弾性によって、スプライス30の第1サイド蓋321とベース部材31との間、及び中央蓋322とベース部材31との間に把持固定される。
これにより、光ファイバ1A、1Bは、突き合わせ接続された状態でスプライス30に把持固定される。
スプライス30および光ファイバ1A、1Bは、光ファイバ接続用ユニット10から取り外してもよい。
【0054】
スプライス30では、光ファイバ1Aが前進する過程で、屈折率整合体39が枠体38から剥離するため、例えば低温環境下において屈折率整合体39の機械的特性(伸びなど)が低下した場合でも、屈折率整合体39の弾性力により光ファイバ1Aの前進が阻害される事態は生じない。
よって、光ファイバ1A、1Bを確実に突き合わせ接続し、接続損失の低減を図ることができる。
【0055】
また、光ファイバ1A、1Bの突き合わせ接続位置C2を、保持凹所31hから十分に離れた位置とすることができるため、光ファイバ1A、1Bの先端を含む十分な長さの部分を調心溝31bで位置決めすることができる。
このため、光ファイバ1A、1Bが保持凹所31h内で突き合わせ接続される場合に比べ、調心精度を高め、さらなる接続損失の低減を図ることができる。
【0056】
また、屈折率整合体39が枠体38から分離可能であるため、整合体チップ36の設置位置と突き合わせ接続位置C2との関係に特に制限はない。このため、設計の自由度を高めることができる。
【0057】
図9は、本発明の光ファイバ接続器の第2形態例に使用可能な光コネクタ110を示す模式図である。第2形態例の光ファイバ接続器は、光コネクタ110と光ファイバ接続用ユニット10(
図7参照)とを有する。
光コネクタ110では、光ファイバケーブル131の光ファイバ2と内蔵光ファイバ62とが接続される。
光ファイバケーブル131は、例えば、光ファイバ2と、可撓性を有する線状の抗張力体(図示略)とを外被133によって一括被覆したものである。
以下の説明において、フェルール61の接合端面61bに向かう方向を前方といい、その反対方向を後方ということがある。また、第1形態例のスプライス30との共通部分については、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。
【0058】
光コネクタ110は、スリーブ状の第1ハウジング11と、第1ハウジング11内に設けられたクランプ部付きフェルール60と、光ファイバケーブル131の端末を引き留める把持部材12と、把持部材12を保持する第2ハウジング13と、を備えている。
【0059】
クランプ部付きフェルール60は、光ファイバ62(内蔵光ファイバ62)を内挿固定したフェルール61の後側に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、後側から挿入して内蔵光ファイバ62の後端に突き当てた光ファイバ2の先端部とを把持固定して光ファイバ62、2同士の突き合わせ接続状態を維持するクランプ部63(メカニカルスプライス、接続機構)を組み立てたものである。
【0060】
クランプ部63は、フェルール61のフランジ部64から後側に延出するベース部材65(後側延出片65)(ベース側素子)と蓋部材66、67(蓋側素子)と、これらを内側に一括保持したクランプばね68と、屈折率整合体39を有する整合体チップ36とを備えている。
クランプ部63は、ベース部材65と蓋部材66、67との間に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、内蔵光ファイバ62の後端に突き当てた光ファイバ2先端部とを挟み込んで把持固定することができる。
クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続する光ファイバ2を、挿入光ファイバ2ともいう。
【0061】
内蔵光ファイバ62は、フェルール61にその軸線と同軸に貫設された微細孔であるファイバ孔61aに内挿され、接着剤を用いた接着固定等によってフェルール61に固定されている。このため、フェルール61は内蔵光ファイバ62を、クランプ部63の前側でクランプ部63に対し位置決めする位置決め機構として機能する。
内蔵光ファイバ62の前端の端面は、フェルール61先端(前端)の接合端面61bに露出している。
フェルール61の後端部には、その外周に周設(突設)されたフランジ部64が一体化されている。
クランプ部63は、フランジ部64からフェルール61後側へ延出された後側延出片65と、蓋部材66、67とを、クランプばね68の内側に一括保持した構成になっている。
【0062】
図8に示すように、後側延出片65の蓋部材66、67に対面する対向面65a(溝形成面)には、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aをフェルール61のファイバ孔61aの後方延長上に位置決めする調心溝69aと、整合体チップ36を保持する保持凹所131h(溝部)と、調心溝69aの後端から後方に延在する被覆部収納溝69bが形成されている。
【0063】
後蓋部材67の対向面67aには、後側延出片65の被覆部収納溝69bに対応する位置に被覆部収納溝69cが形成されている。
前蓋部材66には、後側延出片65の対向面65aに対面する平坦な対向面66aが形成されている。
【0064】
図8および
図9に示すように、保持凹所131hは溝状の凹所であり、調心溝69aを横切って形成され、調心溝69aを長さ方向に分断している。このため、保持凹所131h内に設置される整合体チップ36の屈折率整合体39は、調心溝69aを分断して設置される。
保持凹所131hの形成方向は、調心溝69aに交差する方向であって、例えば調心溝69aに対し垂直な方向である。保持凹所131hは、整合体チップ36のおよそ半分を収容する直方体状の内部空間を有する。
【0065】
保持凹所131hの、クランプ部63の長手方向の位置は、内蔵光ファイバ62の後端62bよりも、前記長手方向の後方にずれた位置とされる。
【0066】
図9に示すように、前蓋部材66の対向面66aには、整合体チップ36の一部を収容する収容凹所66bが形成されている。収容凹所66bは、前蓋部材66の長手方向に交差する方向に沿う溝状の凹所であり、保持凹所131hの形成方向に応じて形成することができる。例えば、保持凹所131hと同様に、調心溝69aに対し垂直な方向に沿って形成することができる。
【0067】
次に、光コネクタ110を用いて光ファイバを接続する方法を説明する。
(予備工程)
図8に示すように、後側延出片65と蓋部材66、67との間に、介挿片81を介挿することによって、後側延出片65と蓋部材66、67とを押し開く。
【0068】
(光ファイバ挿入工程)
図8および
図9に示すように、光ファイバ接続用ユニット10を用いて、光ファイバケーブル131を把持した把持部材12を前進させ、光ファイバ2を、クランプ部付きフェルール60の後側延出片65と蓋部材66、67との間に挿入する。
把持部材12をさらに前進させると、光ファイバ2は調心溝69aに沿って進行し、屈折率整合体39の中央部分39aに当接する。この当接部分は光ファイバ2の先端面に付着する。
【0069】
把持部材12をさらに前進させると、光ファイバ2は、屈折率整合体39の中央部分39aを押圧し、挿通部37内に向けて移動させる。これによって、屈折率整合体39の外周部分39cには中央に向けた引張力が作用し、外周部分39cは枠体38から剥離する(
図3参照)。
屈折率整合体39は、光ファイバ2によって中央部分39aが押されて移動するため、光ファイバ2の先端面およびこれに近い範囲の外周面を包み込んだ、傘状の形態となる。
このように、屈折率整合体39は、光ファイバ2の先端部分を包み込む形状となるため、光ファイバ2から外れる事態が生じにくい。
【0070】
把持部材12をさらに前進させると、光ファイバ2の先端面は屈折率整合体39の中央部分39aを介して内蔵光ファイバ62の後端62bに突き合わせ接続される。
【0071】
クランプ部63から介挿片81を抜き去ると、クランプばね68の弾性によって、後側延出片65と蓋部材66、67との間に光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aが把持固定される。これにより、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62に対する光ファイバ2の突き合わせ接続状態を安定に保つことができる。
【0072】
光コネクタ110においても、屈折率整合体39が枠体38から剥離するため、例えば低温環境下において屈折率整合体39の機械的特性(伸びなど)が低下した場合でも、屈折率整合体39の弾性力により光ファイバ2の前進が阻害される事態は起こらない。
よって、光ファイバ2,62を確実に突き合わせ接続し、接続損失の低減を図ることができる。
【0073】
また、光ファイバ2,62の突き合わせ接続位置を、保持凹所131hから十分に離れた位置とすることができるため、光ファイバ2,62の先端を含む十分な長さの部分を調心溝69aで位置決めすることができる。このため、調心精度を高め、さらなる接続損失の低減を図ることができる。
また、屈折率整合体39が枠体38から分離可能であるため、整合体チップ36の設置位置と突き合わせ接続位置C2との関係に特に制限はない。このため、設計の自由度を高めることができる。
【0074】
本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
また、
図1等に示す整合体チップ36は、スプライス30のベース部材31および押さえ蓋32とは別体であるが、整合体チップ36は、枠体38をベース部材31または押さえ蓋32と一体に形成してもよい。
【0075】
図16は、本発明の光ファイバ接続器の第3形態例である光ファイバ接続器210Aを示す図であって、(a)は側面から見た全体構造図であり、(b)は整合体チップ36を示す図であり、(c)は端壁部45および蓋部材46を側面から見た模式図であり、(d)は端壁部45および蓋部材46を後面側から見た模式図である。
以下、既出の構成には同一符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0076】
図16(a)に示すように、光ファイバ接続器210Aは、メカニカルスプライス230(接続機構)と、メカニカルスプライス230を保持する光ファイバ接続用ユニット210(導入機構)とを有する。
光ファイバ接続用ユニット210は、光ファイバ1A、1Bを保持する光ファイバホルダ20,20と、光ファイバホルダ20,20およびメカニカルスプライス230を支持する支持台40(支持体)と、メカニカルスプライス230の素子31、32間を開放する介挿片51を有する介挿部材50と、光ファイバ1Aのたわみ変形を規制する蓋部材46(規制部材)と、を備えている。
【0077】
図10、
図14、および
図15に示すように、スプライス230は、細長板状のベース部材31(ベース側素子)と、ベース部材31の長手方向に沿って配列設置した3つの蓋部材321、322、323(蓋側素子)によって構成される押さえ蓋32と、これらを内側に一括保持するクランプばね33と、整合体チップ36とを備えている。
【0078】
ベース部材31の対向面31aに形成された保持凹所31hのX方向位置は、光ファイバ1A、1Bの突き合わせ位置(中央位置C1)からX方向に離れた位置であって、整合体チップ36の屈折率整合体39(位置P1)と中央位置C1とのX方向の距離L2は、後述する工程で、光ファイバ1Aが屈折率整合体39の一部を分離片39Aとして分離させ得るように設定される。
【0079】
整合体チップ36の屈折率整合体39(位置P1)と中央位置C1とのX方向の距離L2は、例えば1mm以上とすることができる。距離L2をこの範囲とすることで、光ファイバ1Aによって、屈折率整合体39の一部を確実に分離片39Aとして分離させることができる。
上述の屈折率整合体39の位置P1は、中央位置C1側の面(
図11の左面)であって、挿通部37の中央に相当する箇所である。
図11では、保持凹所31hの中央位置C1側の内面31h1に整合体チップ36が当接している。
【0080】
図10(b)および
図11に示すように、整合体チップ136は、裸光ファイバ2aが挿通する挿通部137を有する枠状の枠体138と、挿通部137内に形成された屈折率整合体139とを有する。
枠体138は、平面視において略矩形の板状に形成されている。
挿通部137は、枠体138を厚さ方向に貫通して形成され、枠体138の第1面138aに開口137a2を有する平面視略円形の挿通基部137aと、挿通基部137aより内径が大きい平面視略円形の拡径部137bとを有する。拡径部137bは、第2面138b(第1面138aとは反対の面)に開口137b2を有する。
【0081】
開放面137cは、挿通基部137aの拡径部137b側の端部137a13から、拡径部137bの挿通基部137a側の端部137b3にかけて形成された面である。開放面137cは、拡径部137bの開口137b2に臨んで形成され、挿通部137の軸方向(X方向)に対し交差する面に沿う。開放面137cは、例えば面138a、138bに平行な面とすることができる。
なお、開放面137cは、挿通基部137aに近づくほど内径が小さくなるテーパ状の傾斜面としてもよい。
【0082】
図11に示すように、屈折率整合体139は、挿通部137の内部に、挿通部137を塞いで形成されている。
屈折率整合体139は、挿通部137における光ファイバ2の挿通方向(挿通部137の軸方向)に対して交差する面に沿う膜状とされている。図示例の屈折率整合体139は、概略、挿通部137の軸方向に対しほぼ垂直な面に沿って形成されている。
【0083】
屈折率整合体139は、挿通基部137aから拡径部137bにかけて形成されている。具体的には、挿通基部137aの内周面137a1、拡径部137bの内周面137b1および開放面137cのほぼ全面に接して形成されている。
屈折率整合体139は挿通部137を塞ぐように形成されているため、挿通部137の内周面に全周にわたり接することから、屈折率整合体139の枠体138に対する接触面積が大きくなり、接着強度が高くなる。このため、屈折率整合体139は、光ファイバ2により押されても枠体138から剥がれにくくなる。
また、挿通部137は挿通基部137aだけでなく拡径部137bを有するため、屈折率整合体139に対する接触面積が大きくなることから、接着強度が高くなり、屈折率整合体139が剥離しにくくなる。
開放面137cは光ファイバ2の挿通方向(
図11の左方向)に対し交差する面であるため、光ファイバ2により押し伸ばされた際に屈折率整合体139の剥離抵抗が大きくなることから、屈折率整合体139は枠体138から剥がれにくくなる。
【0084】
屈折率整合体139が枠体138に接する領域は、内周面137a1、137b1と開放面137cの全面でなくてもよい。例えば、内周面137a1、137b1については、全領域でなく一部領域であってもよい。また、屈折率整合体139は、内周面137a1と開放面137cにのみ接していてもよいし、内周面137b1と開放面137cにのみ接していてもよい。
【0085】
屈折率整合体139の第2面138b側の面139bは、挿通部137の断面中央に近づくほど深く形成された湾曲凹面となっている。
図11では、面139bは、拡径部137bの開口137b2の縁部137b4を通る断面略円弧形の湾曲凹面である。
この面139bは、第2面138bに対して凹面をなすため、
図11に示す屈折率整合体139は、枠体138が保持凹所131hの内側面131h1(
図11の左側面)に当接した位置にあっても、調心溝131b(131b2)の端部131i(保持凹所131h側の端部)から離れた位置にある。
【0086】
屈折率整合体139は、第1面138a側の面139a(第1面139a)も、挿通部137の断面中央に近づくほど深く形成された湾曲凹面となっている。第1面139aは、挿通基部137aの開口137a2の縁部137a4を通る断面略円弧形の湾曲凹面である。
屈折率整合体139は、両面が凹面であるため、中央に行くほど厚さを減じ、挿通部137の中央において最も薄くなっている。
【0087】
屈折率整合体139は、液状屈折率整合材を挿通部137に滴下して挿通部137内に膜状に形成した後、硬化させることによって形成することができる。
【0088】
図12および
図13に示すように、後述する工程において、屈折率整合体139は、光ファイバ1A(裸光ファイバ2a)の先端面1A1によって押圧されることにより、その一部が分離片139Aとして分離される。
分離片139Aを確実に分離させるためには、挿通基部137aの内径D1(すなわち挿通基部137a内の屈折率整合体139の外径)は、裸光ファイバ2aの外径の2倍以下が好ましい。通常に用いられる裸光ファイバ2aの外径は0.125mmであるため、挿通基部137aの内径は0.25mm以下が好ましい。
なお、挿通基部137aの内径D1は、挿通部137の内径である。
【0089】
屈折率整合体139が、光ファイバ1Aの押圧により過剰に伸び変形すると、分離片139Aを適正に分離させるのが難しくなるおそれがあるが、挿通基部137aの内径が適正であれば、屈折率整合体139が過剰に伸び変形することがないため、分離片139Aを確実に他の部分から分離させることができる。
【0090】
支持台40は、細長板状の底壁部43を有している。底壁部43上には、スプライス230を支持する接続器支持部41と、接続器支持部41の一端側および他端側に光ファイバホルダ20,20を支持する一対のホルダ支持部42、42とが設けられる。
底壁部43上には、底壁部43とともにスプライス230を固定するための一対の端壁部45(45A,45B)が形成されている。端壁部45は、スプライス230の両端面に当接してスプライス230のX方向の移動を規制する。
【0091】
図16(c)および
図16(d)に示すように、端壁部45の上面45bには、光ファイバ1A、1Bを位置決めする位置決め溝45aが形成されている。
位置決め溝45aは、X方向に沿って形成されている。位置決め溝45aは、例えば、深さ方向に向かって互いに近づくように傾斜する一対の内側面からなる断面V字形とすることができる。前記内側面は、光ファイバ2の外周面に接して、この光ファイバ2を位置決めする。なお、位置決め溝45aの断面形状は任意としてよく、例えばU字形、半円形、矩形、深さ方向に幅を減じる台形などとすることができる。
図16(a)に示すように、底壁部43には、介挿部材50の介挿片51を通すための介挿片通過口(介挿片通過部)43cが形成されている。
【0092】
図16(a)、
図16(c)および
図16(d)に示すように、一対の端壁部45(45A,45B)のうち少なくとも一方には、端壁部45上の光ファイバ2を押さえ込んでたわみ変形を規制する蓋部材46が設けられる。図示例では、端壁部45Aにのみ蓋部材46が設けられている。
図16(c)および
図16(d)に示すように、蓋部材46は、例えば板状に形成され、その下面46aは、端壁部45の上面45bと平行な平面であり、光ファイバ1Aを押さえ込む押え込み面である。
【0093】
蓋部材46は、端壁部45の上面45bに対し接近および離間する方向(上下方向)に移動可能とされ、光ファイバ1Aを端壁部45の上面(詳しくは位置決め溝45a内)に押さえ込む下降位置(閉じ位置P3)と、光ファイバ1Aの変形を規制しない上昇位置(開放位置P4)とを切り替え可能である。
【0094】
閉じ位置P3における蓋部材46は、屈折率整合体139(
図16(b)参照)から受ける反力によって光ファイバ1Aがたわむことを阻止し、光ファイバ1Aの挿入方向(スプライス230に挿入する方向)の力を屈折率整合体139に有効に作用させる。
閉じ位置P3にある蓋部材46は、光ファイバ1Aのたわみ変形は規制するが、光ファイバ1Aの長さ方向の移動については規制しないことが望ましい。このため、蓋部材46は、光ファイバ1Aに強く押し当てられるのではなく、光ファイバ1Aがたわみ変形しようとしたときにこれを阻害できる程度に光ファイバ1Aに近接した位置にあればよい。
なお、図示例では、蓋部材46は、第1光ファイバ1A側の端壁部45(端壁部45A)にのみ設けられているが、蓋部材46は、両方の端壁部45(45A,45B)に設けてもよい。
【0095】
次に、光ファイバ接続器210Aを用いて光ファイバを接続する方法を説明する。
ここに説明する光ファイバ接続方法は、予備工程の後、第1光ファイバ1Aをスプライス230に挿入する第1ファイバ挿入工程を行い、次いで第2光ファイバ1Bをスプライス230に挿入する第2ファイバ挿入工程を行う。
【0096】
(予備工程)
図16(a)に示すように、スプライス230を接続器支持部41に設置する。
スプライス230は、整合体チップ136が中央位置C1よりも第1ホルダ支持部42A側(
図16(a)の右側)に位置するように配置する。
介挿部材50を操作することにより、介挿片51を素子31、32間に挿入する。
図15に示すように、介挿片51が介挿片挿入穴35に挿入されると、素子31、32は、光ファイバ2の挿入が可能な程度に押し開かれる。
【0097】
光ファイバ1A、1Bを、光ファイバホルダ20によって把持させた後、図示せぬ被覆除去器によって光ファイバ1A、1Bの先端部分の被覆を除去する。必要に応じて光ファイバカッター(図示略)を用いて光ファイバ1A、1Bの先端部分を切除し、光ファイバ1A、1Bを所定の長さとする。
【0098】
(第1ファイバ挿入工程)
図16(a)に示すように、第1光ファイバ1Aを把持した光ファイバホルダ20を、第1ホルダ支持部42A上に載置する。光ファイバ1Aは位置決め溝45a内に配置する。
【0099】
図17に示すように、光ファイバホルダ20をスプライス230に向けて前進させると、光ファイバ1Aはスプライス230の一端側から素子31、32間に挿入される。
【0100】
光ファイバ1Aの先端面1A1が整合体チップ136に達する前に、蓋部材46を開放位置P4から閉じ位置P3に移動させる。閉じ位置P3にある蓋部材46は、光ファイバ1Aに近接した位置にあり、光ファイバ1Aの上方移動を阻止できる。
このため、光ファイバ1Aは、たわみ変形が規制された状態となる。
蓋部材46は、光ファイバ1Aのたわみ変形は規制するが、光ファイバ1Aの長さ方向の移動については規制しない。
なお、蓋部材46を閉じ位置P3に配置するタイミングに特に制限はなく、蓋部材46は、光ファイバ1Aをスプライス230に挿入する前から閉じ位置P3に配置されていてもよい。
【0101】
光ファイバホルダ20をさらに前進させると、光ファイバ1Aは調心溝31bに沿って進行し、整合体チップ136の屈折率整合体139の第1面139a(
図11参照)に当接し、屈折率整合体139の一部(中央部分)は光ファイバ1Aの先端面1A1に付着する。
光ファイバ1Aは、挿通部137と同軸であることが望ましい。
【0102】
図12に示すように、光ファイバホルダ20をさらに前進させると、光ファイバ1Aは、調心溝31b内を左に向けて進行し、挿通部137内に挿入され、先端面1A1が屈折率整合体139を押圧する。
屈折率整合体139は、光ファイバ1Aの先端面1A1によって弾性的に押し伸ばされる。
【0103】
この際、光ファイバ1Aには、屈折率整合体139の弾性力により、進行方向とは逆の方向の反力が作用するが、蓋部材46が光ファイバ1Aの上方移動を規制するため、光ファイバ1Aはたわみ変形しない。
このため、光ファイバホルダ20に加えられた前進方向の力は、減衰することなく屈折率整合体139に伝えられる。
【0104】
図13(a)に示すように、光ファイバホルダ20をさらに前進させると、光ファイバ1Aは、先端面1A1に屈折率整合体139の一部を付着させた状態のまま、屈折率整合体139をさらに押圧する。
光ファイバ1Aの先端面1A1が中央位置C1に達する前に、屈折率整合体139は破断し、先端面1A1に付着した屈折率整合体139の一部(中央部分)は、他の部分から分離する。図示例では、屈折率整合体139の破断箇所は、先端面1A1の周縁部に近い位置である。
先端面1A1に残った分離部分を分離片139Aという。
分離片139Aは、先端面1A1の少なくともコアの端面を覆っていることが望ましい。図示例の分離片139Aは先端面1A1の全領域を覆っている。
図13(b)に示すように、分離片139Aの周縁部は先端面1A1の周縁部に近い位置にあるため、分離片139Aは、概略、平面視形状が先端面1A1に沿う、一定厚さの円板形となっている。
【0105】
図18および
図13(a)に示すように、光ファイバホルダ20が端壁部45に当接する位置(前進限界位置)において、分離片139Aが付着した先端面1A1は中央位置C1(またはその近傍)に達する。
【0106】
次いで、
図19(a)に示すように、4つの介挿片51のうち、スプライス230の中央より一端側の2つをスプライス230から抜き取る。
これら2つの介挿片51をスプライス230から抜き去ると、光ファイバ1Aは、スプライス230のクランプばね33の弾性によって、スプライス230の第1サイド蓋321とベース部材31との間、および、中央蓋322とベース部材31との間に把持固定される(
図14参照)。これによって光ファイバ1Aは、長さ方向の移動が規制される。
【0107】
(第2ファイバ挿入工程)
図19(a)に示すように、第2光ファイバ1Bを把持した光ファイバホルダ20を、第2ホルダ支持部42B上に載置し、スプライス230に向けて前進させる。
第2光ファイバ1Bはスプライス230の他端側から素子31、32間に挿入され、調心溝31bに導入される。
【0108】
図19(b)および
図13(b)に示すように、光ファイバホルダ20が前進すると、光ファイバ1Bは、調心溝31bに沿って進行し、光ファイバ1Aの先端面1A1に、屈折率整合体139の分離片139Aを介して突き当てられる。C2は光ファイバ1A、1Bの突き合わせ接続位置である。
【0109】
光ファイバ1Bを、分離片139Aを介して光ファイバ1Aが突き合わせ接続する際には、光ファイバ1Aは既にスプライス230に固定されているため、光ファイバ1Aに位置ずれは生じない。このため、光ファイバ1A、1Bの長手方向の移動により屈折率整合体139の分離片139Aに過大な力が加えられることを原因として、分離片139Aが剥離したり破損することはない。
【0110】
光ファイバ1Bには、光ファイバホルダ20とスプライス230との間に、たわみ部2dを形成してもよい。たわみ部2dの形成を確認することにより、光ファイバ1A、1Bが突き合わせられたことを目視で確認することができる。
【0111】
次いで、
図19(c)に示すように、残りの介挿片51をスプライス230から抜き取る。
介挿片51をスプライス230から抜き去ると、第2光ファイバ1Bが、第1光ファイバ1Aとの突き合わせ状態を保ったまま、スプライス230のクランプばね33の弾性によって、スプライス230の第1サイド蓋321とベース部材31との間、及び中央蓋322とベース部材31との間に把持固定される。
これにより、光ファイバ1A、1Bは、突き合わせ接続された状態でスプライス230に把持固定される。
スプライス230および光ファイバ1A、1Bは、光ファイバ接続用ユニット210から取り外してもよい。
【0112】
光ファイバ接続器210Aでは、光ファイバ1A、1Bが、分離片139Aを介して、保持凹所31hからずれた位置で突き合わせ接続される。光ファイバ1A、1Bは、調心溝31bとの間に屈折率整合体が介在することなく、直接、調心溝31bにより位置決めされるため、調心精度を高め、接続損失の低減を図ることができる。
【0113】
また、光ファイバ1A、1Bの突き合わせ接続位置C2を、保持凹所31hから十分に離れた位置とすることができるため、光ファイバ1A、1Bの先端を含む十分な長さの部分を調心溝31bで位置決めすることができる。このため、調心精度を高め、さらなる接続損失の低減を図ることができる。
これに対し、光ファイバ1A、1Bが保持凹所31h内で突き合わせ接続される場合には、軸心位置のズレが起こりやすく、接続損失が大きくなるおそれがある。
【0114】
また、光ファイバ接続用ユニット210が、光ファイバを押さえつけてたわみ変形を規制する蓋部材46を有するため、光ファイバ1Aの進行方向の力を減衰させずに屈折率整合体139に伝え、屈折率整合体139の一部を確実に他の部分から分離させ、分離片139Aとすることができる。よって、調心精度をいっそう高めることができる。
また、分離片139Aを生じさせ得る位置であれば、屈折率整合体139の設置位置と突き合わせ接続位置C2に特に制限はない。このため、設計の自由度を高めることができる。
【0115】
図22は、本発明の光ファイバ接続器の第4形態例である光ファイバ接続器310Aを示す図である。光ファイバ接続器310Aは、光コネクタ310と、光ファイバ接続用ユニット210とを備えている。
図21(a)に示すように、光コネクタ310では、光ファイバケーブル131の光ファイバ2と内蔵光ファイバ62とが接続される。
【0116】
光コネクタ310は、スリーブ状の第1ハウジング11と、第1ハウジング11内に設けられたクランプ部付きフェルール60と、光ファイバケーブル131の端末を引き留める把持部材12と、把持部材12を保持する第2ハウジング13と、を備えている。
【0117】
保持凹所131hの、クランプ部63の長手方向の位置は、内蔵光ファイバ62の後端62bよりも、前記長手方向の後方にずれた位置とされる。
保持凹所131h内の整合体チップ136の屈折率整合体139と内蔵光ファイバ62の後端62bとの前後方向の距離は、屈折率整合体139の一部を、光ファイバ2によって分離片139Aとして分離させることができる距離とされる。
【0118】
次に、光ファイバ接続器310Aを用いて光ファイバを接続する方法を説明する。
(予備工程)
図20および
図22に示すように、後側延出片65と蓋部材66、67との間に、介挿片81を介挿することによって、後側延出片65と蓋部材66、67とを押し開く。
【0119】
(光ファイバ挿入工程)
図20および
図22に示すように、光ファイバケーブル131を把持した把持部材12を支持台40上で前進させ、光ファイバ2を、クランプ部付きフェルール60の後側延出片65と蓋部材66、67との間に挿入する。
【0120】
光ファイバ2の先端面が整合体チップ136に達する前に、蓋部材46を開放位置P4から閉じ位置P3に移動させる。閉じ位置P3にある蓋部材46によって、光ファイバ2は、たわみ変形が規制された状態となる。
把持部材12をさらに前進させると、光ファイバ2は調心溝69aに沿って進行し、屈折率整合体139に当接し、屈折率整合体139の一部(中央部分)は光ファイバ2の先端面に付着する。
【0121】
図24に示すように、光ファイバホルダ20をさらに前進させると、光ファイバ2の先端面は、屈折率整合体139を押圧し、弾性的に押し伸ばす。
この際、光ファイバ2には、屈折率整合体139の弾性力により、進行方向とは逆の方向の反力が作用するが、蓋部材46が光ファイバ2の上方移動を規制するため、光ファイバ2はたわみ変形しない。
【0122】
図23および
図25に示すように、把持部材12をさらに前進させると、光ファイバ2は、先端面2A1に屈折率整合体139の一部を付着させた状態のまま、屈折率整合体139をさらに押圧し、先端面2A1に付着した屈折率整合体139の一部(中央部分)は、他の部分から分離する。
把持部材12が端壁部45に当接する位置(前進限界位置)において、光ファイバ2の先端面2A1は分離片139Aを介して内蔵光ファイバ62の後端62bに突き合わせ接続される。
【0123】
クランプ部63から介挿片81を抜き去ると、クランプばね68の弾性によって、後側延出片65と蓋部材66、67との間に光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aが把持固定される。これにより、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62に対する光ファイバ2の突き合わせ接続状態を安定に保つことができる。
【0124】
光ファイバ接続器310Aでは、光ファイバ2,62が、分離片139Aを介して、保持凹所131hからずれた位置で突き合わせ接続される。光ファイバ2,62は、屈折率整合体が介在せず、直接、調心溝69aにより位置決めされるため、調心精度を高め、接続損失の低減を図ることができる。
また、光ファイバ2,62の突き合わせ接続位置を、保持凹所131hから十分に離れた位置とすることができるため、光ファイバ2,62の先端を含む十分な長さの部分を調心溝69aで位置決めすることができる。このため、調心精度を高め、さらなる接続損失の低減を図ることができる。
また、光ファイバ接続用ユニット210が、光ファイバを押さえつけてたわみ変形を規制する蓋部材46を有するため、光ファイバ2の進行方向の力を減衰させずに屈折率整合体139に伝え、屈折率整合体139の一部を確実に他の部分から分離させ、分離片139Aとすることができる。よって、調心精度をいっそう高めることができる。
また、分離片139Aを生じさせ得る位置であれば、屈折率整合体139の設置位置と突き合わせ接続位置に特に制限はない。このため、設計の自由度を高めることができる。
【0125】
本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、図示例では、屈折率整合体139を有する整合体チップ136はスプライス230内に設けられているが、本発明の光ファイバ接続器は、これに限らず、屈折率整合体139が、スプライス230外にあってもよい。この場合、屈折率整合体139の一部を分離片139Aとして光ファイバ1Aの先端面1A1に付着させたのちに、光ファイバ1Aをスプライス230に挿入する。
【0126】
図示例では、光ファイバ接続用ユニット210の蓋部材46(規制部材)は、支持台40に対してX方向の相対位置が変わることはないが、本発明では、規制部材が光ファイバの進行に応じて前進しつつ、この光ファイバのたわみ変形を規制する構造であってもよい。
これによって、光ファイバ1Aの進行とともに、スプライス230と光ファイバホルダ20との間の光ファイバ1Aの距離が短くなるのに応じて、この部分の光ファイバ1Aを、たわみ防止に適した位置で押さえることができる。このため、光ファイバ1Aの前進の全過程にわたって、有効にたわみ変形を防止できる。
【0127】
また、
図10等に示す整合体チップ136は、スプライス230のベース部材31および押さえ蓋32とは別体であるが、整合体チップ136は、枠体138をベース部材31または押さえ蓋32と一体に形成してもよい。
【0128】
メカニカルスプライス(またはクランプ部)の調心溝は、一対の素子のいずれか一方または両方に形成することができる。
図1等に示すスプライス230では、調心溝31bはベース部材31の対向面31aにのみ形成されているが、調心溝31bは、ベース部材31の対向面31aと押さえ蓋32の対向面(例えば対向面322a)の両方に形成してもよいし、押さえ蓋32側にのみ形成してもよい。
調心溝を押さえ蓋32に形成する場合には、押さえ蓋32に、調心溝を長さ方向に分断する保持凹部(溝部)を形成するのが好ましい。