特許第6263809号(P6263809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263809
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】光沢差を有する印刷物
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/14 20060101AFI20180115BHJP
   B42D 25/337 20140101ALI20180115BHJP
   G09F 19/14 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B41M3/14
   B42D15/10 337
   G09F19/14
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-84106(P2014-84106)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-202661(P2015-202661A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛行
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−099773(JP,U)
【文献】 特開2000−301744(JP,A)
【文献】 特開2012−025092(JP,A)
【文献】 特開2006−123355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/14
B42D 25/337
G09F 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一部に、印刷画像が形成され、前記印刷画像は、前記基材と異なる光沢を有する第1の画像要素が万線状に配置された第1の画像部と、前記第1の画像要素と同じ色相及び光沢を有し、かつ、前記第1の画像要素と濃度が異なる第2の画像要素が、前記第1の画像部と異なる面積率で万線状に配置され、前記第1の画像部に隣接又は近接した第2の画像部から成り、
前記第1の画像要素は、前記基材と異なる色相であり互いに異なる色相の第1−1の画像要素と第1−2の画像要素から少なくとも構成され、前記第2の画像要素が有する色相は、前記第1の画像要素を構成する前記第1−1の画像要素と前記第1−2の画像要素の色の合成色の色相であり、前記第1の画像要素と前記第2の画像要素が有する色相が前記基材の色相と異なり、
前記第1の画像部と前記第2の画像部は、前記第1の画像要素及び前記第2の画像要素の濃度と面積率の調整により拡散反射光下で等色に形成され、
前記二つの画像部を正反射光下で観察すると、前記二つの画像部に配置された前記画像要素の面積率の差によって光沢差が生じ、前記二つの画像部が区分けして視認できることを特徴とする光沢差を有する印刷物。
【請求項2】
前記第1の画像要素が、更に、前記第1−1の画像要素及び前記第1−2の画像要素と異なる色相の第1−3の画像要素、・・・、前記第1−1の画像要素乃至第1−(n−1)の画像要素と異なる色相の第1−nの画像要素(nは3以上の整数)から構成されたことを特徴とする請求項1記載の光沢差を有する印刷物。
【請求項3】
前記第2の画像部に配置される前記第2の画像要素は、前記第1の画像要素を構成する前記画像要素を形成する色材を混合した色と同じ色相の色材から成る又は前記第1の画像要素を構成する前記画像要素と同じ色相の画像要素が重なって成ることを特徴とする請求項1又は2記載の光沢差を有する印刷物。
【請求項4】
前記画像要素が画線又は画素の少なくとも一つ、又はその組み合わせから成ることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光沢差を有する印刷物。
【請求項5】
前記第1の画像部及び/又は前記第2の画像部に配置される前記画像要素の位相が部分的に異なることで前記印刷画像が前記第1の画像部及び前記第2の画像部とは異なる有意味な模様を表して成ることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光沢差を有する印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷画像内に光沢差を設けた印刷物であって、観察角度の変化に応じて画像が発現する印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に印刷物において、仕上りの重厚感や高級感、更には複写や複製などの偽造を困難にさせるセキュリティ機能など、付加価値を与える手段として、画像全体または部分的に光沢のある印刷画像を付与し、観察角度が変わることで光沢画像を発現させる機能が用いられる。これらは、オフセット印刷やスクリーン印刷等の印刷工程においてニスインキを使用して付与することが多い。しかしながら、印刷物が小部数の場合や一枚ごとに異なるパターンを付与したい場合には、印刷用版面を印刷模様が変わるごとに作製する必要があり効率的ではなく、近年では、版面を必要としない電子写真方式のレーザプリンタやインクジェットプリンタに代表されるデジタル印刷方式が用いられることが多い。
【0003】
レーザプリンタを用いて印刷画像の光沢を制御する方法として、トナー定着工程において定着温度や圧力を変化させることでトナーの光沢度合を制御する画像定着方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、レーザプリンタに透明なトナー(以下、「クリアトナー」という。)を用いることで、任意の画像の光沢パターンを付与可能な画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1及び特許文献2の技術に対して、特殊な材料や機構を用いることなく、カラーレーザプリンタを用い、単色の黒色トナーと複数のカラートナーを混合して作製した黒色に光沢の差があることを利用した方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−4034号
【特許文献2】特開2011−197634号
【特許文献3】特許第5114937号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、定着工程での光沢制御が可能な方法が開示されており、印刷画像に対して全面に高光沢性や低光沢性を付与可能であり、仕上りの重厚感や高級感は得られるが、任意のパターンの光沢を付与することができないという問題がある。また、定着温度や圧力を変化させる機構を有する印刷装置でしか作製できないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2は、クリアトナーを用いることにより、カラー画像の上に、光沢効果の高い任意の光沢パターンが付与可能であるが、特殊な材料であるクリアトナーが必要であり、その印刷が可能な専用の装置が必要であるという問題がある。
【0009】
また、特許文献3によると、通常のカラーレーザプリンタで任意パターンの光沢画像を付与可能であるが、単色の黒色トナーと複数のカラートナーを混合して作製した黒色に光沢の差があることを利用しているため、光沢付与可能な印刷画像が黒色を主体色とした暗い画像に限定されるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑み、仕上りの重厚感や高級感、更には複写や複製などの偽造を困難にさせるセキュリティ機能として、観察角度が変わることで視認可能な光沢画像を備えた印刷画像を、特殊な材料と工程を要することなく、印刷模様の形成に用いる有色の色材のみを使用して形成することを目的とする。更には、光沢効果を備えた印刷画像が色彩豊富に形成された印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光沢差を有する印刷物は、基材の少なくとも一部に、印刷画像が形成され、印刷画像は、基材と異なる光沢を有する第1の画像要素が万線状に配置された第1の画像部と、第1の画像要素と同じ色相及び光沢を有し、かつ、第1の画像要素と濃度が異なる第2の画像要素が、第1の画像部と異なる面積率で万線状に配置され、第1の画像部に隣接又は近接した第2の画像部から成り、第1の画像部と第2の画像部は、第1の画像要素及び第2の画像要素の濃度と面積率の調整により拡散反射光下で等色に形成され、二つの画像部を正反射光下で観察すると、二つの画像部に配置された画像要素の面積率の差によって光沢差が生じ、二つの画像部が区分けして視認できることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の光沢差を有する印刷物は、第1の画像要素は、基材と異なる色相であり互いに異なる色相の第1−1の画像要素と第1−2の画像要素から少なくとも構成され、第2の画像要素が有する色相は、第1の画像要素を構成する画像要素の色の合成色の色相であり、第1の画像要素と第2の画像要素が有する色相が基材の色相と異なることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の光沢差を有する印刷物は、第1の画像要素が、更に、第1−1の画像要素及び第1−2の画像要素と異なる色相の第1−3の画像要素、・・・、第1−1の画像要素乃至第1−(n−1)の画像要素と異なる色相の第1−nの画像要素(nは3以上の整数)から構成されたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の光沢差を有する印刷物は、第2の画像部に配置される第2の画像要素は、第1の画像要素を構成する画像要素を形成するための色材を混合した色と同じ色相の色材から成る又は第1の画像要素を構成する画像要素と同じ色相の画像要素が重なって成ることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の光沢差を有する印刷物は、画像要素が画線又は画素の少なくとも一つ、又はその組み合わせから成ることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の光沢差を有する印刷物は、第1の画像部及び/又は第2の画像部に配置される画像要素の位相が部分的に異なることで印刷画像が第1の画像部及び第2の画像部とは異なる有意味な模様を表して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光沢差を有する印刷物は、拡散反射光下で観察すると印刷画像を構成する二つの画像部が等色関係にあり目視による区分けが困難であり、正反射光下で観察すると光沢差により目視による区分けが可能な印刷物が、色彩豊富な印刷画像に対して形成可能であり、意匠性に優れる。また、正反射光下で観察すると印刷画像を構成する二つの画像部の区分けが可能となることによって、真偽判別を行うことが可能である。
【0018】
また、本発明の光沢差を有する印刷物は、オフセット印刷やスクリーン印刷等の高速印刷が可能な印刷機において、特殊な材料を用いることなく作製が可能であり、生産性に優れる。
【0019】
また、本発明の光沢差を有する印刷物は、通常のオフィス用途で使用されるカラーレーザプリンタやインクジェットプリンタ(シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナーの4色を搭載したプリンタ)でも形成可能であり、特殊な材料と工程を要することがないことから安価に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の光沢差を有する印刷物の概要を示す図である。
図2】本発明の光沢差を有する印刷物に形成された印刷画像の構成を示す図である。
図3】光沢差を有する印刷物の観察条件に伴う視認状態を示す図である。
図4】第1の実施の形態における印刷画像の構成を示す図である。
図5】本発明の光沢差を有する印刷物において、光沢差が生じる原理を模式的に示す図である。
図6】本発明の光沢差を有する印刷物において、光沢差が生じる別の原理を模式的に示す図である。
図7】印刷画像を構成する画像要素が画素で構成された状態を示す図である。
図8】画像要素が、画線と画素の組み合わせで構成された状態を示す図である。
図9】第2の実施の形態における印刷画像の構成を示す図である。
図10】第2の実施の形態における第2の画像部の構成の例を示す図である。
図11】第2の実施の形態において、印刷画像を構成する画像要素が画素で構成された状態を示す図である。
図12】第2の実施の形態において、第1の画像部に三つの画像要素が形成された状態を示す図である。
図13】第3の実施の形態の光沢差を有する印刷物の概要を示す図である。
図14】第3の実施の形態における印刷画像の構成を示す図である。
図15】印刷画像に形成された有意味な模様の構成を示す図である。
図16】第3の実施の形態の光沢差を有する印刷物の観察条件に伴う視認状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他様々な形態が実施可能である。
【0022】
はじめに、本発明における光沢差を有する印刷物(以下、「印刷物(1)」という。)の概要について説明する。図1(a)は、本発明における印刷物(1)の平面図である。印刷物(1)の形態の例としては、紙幣、証券、パスポート、身分証明書等の偽造防止及び複写防止対策を要する貴重印刷物等や、仕上りの重厚感や高級感を要する雑誌、広告、名刺等がある。印刷物(1)は、基材(2)の少なくとも一部に、基材(2)と異なる色の印刷画像(3)を備えている。基材(2)は、紙、フィルム、プラスチック等を用いることができ、印刷用の色材が形成可能な平面を備えていれば、特に限定されるものではない。
【0023】
印刷画像(3)は、図1(b)の拡大図に示すように、基材(2)と異なる光沢を有する画像要素(10)が万線状に複数配置されて成り、印刷画像(3)は、図2(a)に示す第1の画像部(4)と図2(b)に示す第2の画像部(5)から構成される。本発明において、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は、ネガポジ関係の画像で構成され隣接又は近接して配置される。図2に示す第1の画像部(4)は、「桜」の図柄で形成され、第2の画像部(5)は、「桜」の図柄を取り囲むように形成された例であるが、第2の画像部(5)が「桜」の図柄であって、第1の画像部(4)が「桜」の図柄を取り囲むように形成されても良い。また、ポジ画像として形成された第1の画像部(5)又は第2の画像部は、他の図柄で形成されても良く、文字、数字、記号、図形、マーク及び模様のいずれか又はその組み合わせで形成されても良い。
【0024】
第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の詳細な構成については後述するが、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される画像要素(10)の面積率は異なり、各画像部に配置された画像要素(10)の濃度、色相及び面積率の調整により拡散反射光下で等色に形成される。
【0025】
図3(a)は、印刷物(1)を正面である拡散反射光下(E1)から観察した場合の図であり、図3(b)は、正反射光下(E2)で観察した場合の図である。印刷画像(3)が基材(2)と異なる色で形成された印刷物(1)において、印刷物(1)を正面の拡散反射光下(E1)から観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は、等色(肉眼では等色)関係にあるため、区分けされず、図3(a)に示すように、印刷画像(3)が一様な模様として視認される。正面の拡散反射光下(E1)から観察した場合の印刷画像(3)は、ここでは、一様な模様であるが、有意味な模様とすることもできる。また、有意味な画像を別途付与してもよい。更に、印刷物(1)を正反射光下(E2)で観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に光沢差が生じることで、図3(b)に示すように、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が区分けして視認される。以下、印刷物(1)の詳細な構成について説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態は、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に、同じ色相を有する画像要素(10)が配置される形態である。
【0027】
(第1の画像部)
図4(a)は、第1の実施の形態における印刷物(1)の構成を示す図である。また、図4(b)は、図4(a)の太線で囲む部分を拡大した図であり、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の境界部分の構成を示す図である。第1の画像部(4)と第2の画像部(5)には、図4(b)の拡大図に示すように、画像要素(10)が複数配置されて成る。以降、第1の画像部(4)に配置される画像要素を「第1の画像要素(11)」とし、第2の画像部(5)に配置される画像要素を「第2の画像要素(21)」として説明する。なお、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)に共通する構成については、画像要素(10)として説明する。
【0028】
なお、本発明において、画像要素(10)は、画線及び画素の一方又はその組み合わせで構成される。なお、本明細書でいう「画線」とは、網点を一定方向に隙間無く連続して配置して構成した画像を構成する要素であって、例えば、点線や破線の分断線、曲線及び波線等があり、網点を一定方向に隙間無く連続して配置される構成であれば、特に限定されるものではない。また、本明細書でいう「画素」とは、印刷画像(3)を構成する最小単位である印刷網点自体か、印刷網点を複数集合させて形成した一塊の画像を構成する要素であって、例えば円、三角形や四角形等を含む多角形、星形等の各種図形、文字や記号等があり、画素の形状は、これに限定されるものではない。ただし、複数の画素によって画像要素(10)を構成する場合には、複数の画素を画線上に配置する必要がある。図4に示す第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)は、直線の画線で形成された状態を示しており、はじめに画線の構成について説明する。
【0029】
本発明において、印刷画像(3)を構成する画像要素(10)が画線で構成される場合、第1の画像部(4)は、図4(b)に示すように、線幅(W1)の第1の画像要素(11)が第一の方向(S1方向)にピッチ(P1)で万線状に配置され、第二の画像部(5)は、線幅(W1)と異なる線幅(W2)の第2の画像要素(21)が第一の方向(S1方向)にピッチ(P2)で万線状に配置されて成る。なお、第1の画像部(4)に配置される第1の画像要素のピッチ(P1)と第2の画像部(5)に配置される第2の画像要素のピッチ(P2)は、等しいピッチである。
【0030】
第1の実施の形態において、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の色相は、基材(2)と同じ色相であっても良いし、基材(2)と異なる色相であっても良い。仮に、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)を基材(2)と異なる色相で形成した場合、印刷画像(3)も基材(2)と異なる色相となるため、拡散反射光下(E1)から観察した場合、印刷画像(3)が基材と異なる色で視認される。また、仮に、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)を基材(2)と同じ色相で形成した場合、印刷画像(3)も基材(2)と同じ色相となるため、拡散反射光下(E1)から観察した場合、印刷画像(3)自体が視認され難くなる。いずれの構成においても、本発明の印刷物(1)は、拡散反射光下(E1)の観察では等色で区分けできない二つの画像部が、正反射光下(E2)で観察した場合、光沢差が生じる効果を備えたものとなっている。
【0031】
第1の画像部(4)に配置される第1の画像要素(11)と第2の画像部(5)に配置される第2の画像要素(21)は、色相と光沢性は同じであるが、濃度と面積率が異なる。なお、本発明において「面積率」とは、基材(1)の一定の面積の中に配置される要素の面積の割合のことである。
【0032】
第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の色相と光沢性が同じであり、濃度と面積率が異なる理由は、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)を等色に形成するとともに、正反射光下(E2)で観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に光沢差が生じる構成とするためである。なお、本発明において等色とは、二つの観察対象の色差ΔEが3以下の値にある状態のことである。なお、本発明でいう「色彩」とは、色相、彩度、明度の概念を含んで色を表したものである。また、「色相」とは、赤、青、黄といった色の様相のことであり、具体的には、可視光領域(400nm〜700nm)の特定波長の強弱の分布を示すものである。続いて、二つの画像部を等色にするための構成について説明する。
【0033】
第1の実施の形態においては、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)を等色に形成すうため、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)を同じ色相を有する色材で形成する。このため、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)を形成する色材には、同じ着色顔料を用い、さらに、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の濃度を異ならせるために、画像要素を形成する色材を構成している着色顔料の割合を異ならせる。
【0034】
また、ここでは、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)が画線で構成される例を説明しており、この場合、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の線幅を調整することで、面積率を調整することができる。図4に示すように、第1の画像部(4)に配置される第1の画像要素の線幅(W1)が第2の画像部(5)に配置される第2の画像要素の線幅(W2)より大きい場合、第2の画像要素(21)は、線幅が小さい分、第1の画像要素(11)より濃い濃度で形成し、第1の画像要素(11)は、線幅が大きい分、第2の画像要素(21)より淡い濃度で形成することで、二つの画像部を等色に形成することができる。
【0035】
また、目視で観察した場合に画線幅の違いが判別できてしまうと、拡散反射光下で第一の画像部(4)と第二の画像部(5)が区分けされてしまう恐れがあるため、第1の画像要素のピッチ(P1)と第2の画像要素のピッチ(P2)は目視で画線が見えないように充分細かい必要がある。このような、効果を得るためにピッチ(P1、P2)は、100μmから600μm程度で形成する必要がある。
【0036】
また、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の光沢性を同じにするためには、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)を形成する色材を構成しているワニスの配合割合が略同じであり、着色顔料の配合割合が異なることで、濃度差のある色材を用いる。これは、画像要素の光沢は、色材を構成するワニスが影響するためであり、ワニスの配合割合が略同じであれば、光沢性が同じになるからである。一般的に、同じ印刷方式及び乾燥方式に用いる色材は、異なる色の色材であってもワニスの配合割合を略同じにすることで、印刷適性や乾燥性を統一しており、着色顔料の色や、配合割合によって、色彩が調整される。本発明の第1の実施の形態において用いる濃度の異なる色材においても、これと同様である。
【0037】
画像要素(10)は、段落(0023)で説明したように、基材(2)と異なる光沢を有しており、画像要素(10)が基材(2)より高い光沢であっても良いし、画像要素(10)が基材(2)より低い光沢であっても良い。
【0038】
基材(2)より高い光沢を有する画像要素(10)を形成する例としては、低光沢な基材の上に高光沢の色材、例えば上質紙の上に着色グロスインキを用いて形成する方法がある。
【0039】
ここで、本発明で必要となる、基材より高い光沢を有する画像要素(10)を形成するための印刷インキの光沢について説明する。印刷インキの基本組成は大きく着色顔料、ビヒクル(ワニス)、補助剤で作製されている。印刷後のインキ表面の光沢はビヒクル(ワニス)に含まれる樹脂が起因すると考えられる。基材へのインキが転移後、インキ表面が平滑な状態で固体皮膜が形成されると高光沢な状態となる。このため、高い光沢を得る色材としては、樹脂成分が含まれるものを用いる。インクジェットインクではたとえばUV乾燥インクなど、カラーレーザプリンタのトナーには樹脂が含まれているので光沢が得られる。
【0040】
一方、基材(2)より低い光沢を有する画像要素(10)を形成する例としては、高光沢の基材の上に低光沢の色材、例えばコート紙の上に着色マットインキを用いて形成する方法がある。
【0041】
マットインキは、ワニスが基材に浸透して定着する水性インキや溶剤蒸発型のインキ等があり、この場合、インキ表面が粗の状態で基材に定着することで、入射光がインキ表面で散乱し、正反射光量が著しく減少し、光沢が感じられない状態が生成される。この他に、印刷後の表面を荒す性質のある顔料や補助剤を添加することで、基材(2)より低い光沢を有する画像要素(10)を形成することができる。
【0042】
なお、基材(2)と画像要素(10)を形成する色材の具体的な例については、実施例で説明するが、本発明において、正反射光下の観察で二つの画像を区分けして視認するためには、基材(2)と画像要素(10)の光沢(反射率)の差があることが必要である。具体的には、JIS Z8741で規定されている鏡面光沢度の測定方法において、入射角が85度(GS(85°))、75度(GS(75°))、60度(GS(60°))、45度(GS(45°))、20度(GS(20°))と種類がある中で、光沢の値が10以上70以下の値が得られる測定角度において、光沢値の差が5以上あることが本発明の基材(2)と画像要素(10)の関係において必要である。
【0043】
本発明において、印刷画像(3)を形成するための印刷方法は、オフセット印刷やインクジェット印刷など、基材(2)に画像が形成できる印刷方式であれば印刷方式に限定はない。
【0044】
続いて、本発明の第1の実施の形態における印刷物(1)の効果について説明する。本発明の印刷物(1)は、画像要素(10)の光沢と基材(2)の光沢の関係によって、正反射光下で観察した場合に、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)のいずれか一方の画像部が他方の画像部に対して高い光沢で視認される。はじめに、画像要素(10)の光沢が基材(2)の光沢より高い構成の印刷物(1)の効果について説明する。
【0045】
図5(a)は、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)を正反射光下で観察したときに光沢差が生じる状態を模式的に示す図であり、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に画像要素(10)が形成された部分と基材を含んだ単位面積当たりの領域を示している。また、図5(a)において、画像要素(10)の反射光を符号(L1)で示し、基材(2)の反射光を符号(L2)で示している。このとき、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)が形成された同じ領域を比較すると、光沢は同じであるが、第1の画像部(4)の第1の画像要素(11)と第2の画像部(5)の第2の画像要素(21)の面積率の差、この場合、第1の画像部(4)の面積率が高いことで、第1の画像部(4)の反射光量が多いため高光沢となり、図5(b)に示すように、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が区分けして視認できる。
【0046】
続いて、画像要素(10)の光沢が基材(2)の光沢より低い構成の印刷物(1)の効果について図6を用いて説明する。この場合もまた、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)が形成された同じ領域を比較すると、光沢は同じであるが、基材(2)よりも光沢が低い画像要素(10)の面積率が高い第1の画像部(4)は、第2の画像部(5)に比べて光沢が低く、高光沢な基材(2)の面積が広い第2の画像部(5)の方が反射光量が多いため高光沢となり、図6(b)に示すように、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が区分けして視認できる。
【0047】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態における印刷物(1)は、色相が同じで、濃度が異なる2種類の色材があれば形成可能であり、特殊な工程を要することなく作製可能であり、特許文献3のような印刷画像の色相の制限がなく印刷画像を形成することができる。
【0048】
続いて、各要素が画素で構成される例について、図7を用いて説明する。図7(a)は、印刷物(1)の平面図である。また、図7(b)は、図7(a)の太線で囲む部分を拡大した図であり、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の境界部分の構成を示す図である。第1の画像部(4)は、図7(b)の拡大図に示すように、高さ(H1)、幅(R1)の第1の画像要素(11)が第一の方向(T1方向)にピッチ(P11)で、第二の方向(T2方向)にピッチ(P12)で配置され、高さ(H2)、幅(R2)の第2の画像要素(21)がピッチ(P21、P22)で、第1の画像要素(11)が配置される方向と同じ方向に配置されて成る。このとき、第一の方向(T1方向)にピッチ(P11)で配置された複数の第1の画像要素(11)は、図7(b)に示すように、第一の方向(T1方向)に向かって一つの直線上に配置され、第二の方向(T2方向)にピッチ(P12)で配置された第1の画像要素(11)は、第二の方向(T2方向)に向かって一つの直線上に配置される。画像要素(10)が画素で構成される場合においては、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に、同じ方向に配置される画像要素(10)のピッチが等しく、すなわち、図7(b)でいう第一の方向(T1方向)における第1の画像要素(11)のピッチ(P11)と第2の画像要素(21)のピッチ(P21)が等しく、第二の方向(T2方向)における第1の画像要素(11)のピッチ(P12)と第2の画像要素(21)のピッチ(P22)が等しい。
【0049】
その他の構成においては、画像要素(10)が画線で構成される場合と同様であるが、画像要素(10)が画素で構成される場合には、画素の高さ(H)と幅(R)を調整することで、面積率を調整することができる。そして、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の濃度と面積率を調整することによって、二つの画像部を等色に形成することができる。また、画像要素(10)が画素で構成される場合においても、画線で構成される場合と同様に、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される画像要素(10)の面積率の差によって、正反射光下の観察で光沢差が生じ、二つの画像部を区分けして視認することができる。
【0050】
続いて、画線と画素の組み合わせで構成される画像要素(10)について説明する。図8は、画線と画素で構成される画像要素(10)を示す図であり、図8において、画像要素(10)のうち画線で構成される部分を符号(10a)で示し、画素で構成される部分を符号(10b)で示している。
【0051】
第1の画像部(4)及び第2の画像部(5)は、各画像部に配置される画像要素(10)を形成する色材の色で一様に観察される必要があり、そのためには、一つの画像要素(10)を目視で観察したときに、画像要素(10)全体に亘って一定の色相で観察される必要がある。画線と画素の組み合わせで画像要素(10)が構成される場合には、画線と画素が一つの画線上に配置され、画線で構成される部分(10a)と画素で構成される部分(10b)の単位面積当たりの面積率が等しい関係となるように、線幅(W)、画素の高さ(H)及び画素の幅(R)、画素のピッチ(P)を調整することで、一つの画像要素(10)全体に渡って一定の色相で観察できる構成とすることができる。
【0052】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の色相は、基材と異なる色相で構成され、これによって、印刷画像(3)もまた基材(2)と異なる色で形成される。また、第2の実施の形態は、第1の画像部(4)に配置される第1の画像要素(11)が、互いに異なる色相を有する少なくとも2種類の画像要素(10)から構成され、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される画像要素(10)の色相が異なる。第2の実施の形態の印刷物(1)は、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される画像要素(10)の色相が異なり、その他の構成及び光沢差が生じる原理は、第1の実施の形態と同じであるため、説明を一部省略することとし、ここでは、異なる色相を有する画像要素(10)が配置された二つの画像部の構成について説明する。第2の実施の形態の印刷画像(3)の構成について図9を用いて説明する。
【0053】
図9(a)は、印刷画像(3)の構成を示す図である。また、図9(b)は、図9(a)の太線で囲む部分を拡大した図であり、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の境界部分の構成を示す図である。
【0054】
(第1の画像部)
第2の実施の形態において、第1の画像部(4)に配置される第1の画像要素(11)は、図9(b)に示すように、基材(2)と異なる色相であって、互いに異なる色相を有する少なくとも2種類の画像要素(10)から構成される。ここでは、第1の画像要素(11)が、二つの画像要素(10)から構成される例について、はじめに説明し、第1の画像要素(11)を構成するそれぞれの画像要素を「第1−1の画像要素(11−1)」と「第1−2の画像要素(11−2)」として説明する。
【0055】
第2の実施の形態において、第1の画像部(4)に配置される第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)が画線で構成される場合、第1の画像部(4)は、図9(b)に示すように、線幅(W5)の第1−1の画像要素(11−1)と線幅(W6)の第1−2の画像要素(11−2)が、それぞれピッチ(P5、P6)で第一の方向(S1方向)に万線状に配置されて成る。なお、第2の実施の形態において、第1の画像部(4)に配置される各要素のピッチ、すなわち、図9(b)でいう第1−1の画像要素のピッチ(P5)と第1−2の画像要素のピッチ(P6)は、等しいピッチである。
【0056】
第2の実施の形態で説明する例において、第1の画像部(4)は、更に、基材(1)、第1−1の画像要素(11−1)及び第1−2の画像要素(11−2)と異なる色相を有する第1−nの画像要素(nは3以上の整数)を加えてn個の画像要素(10)を形成しても良いが、この構成については後述する。このとき、n個の画像要素(10)の色相は全て異なる色である。
【0057】
第2の実施の形態において、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)は、異なる色相の色材で形成されるが、第1の画像部(4)を目視で観察した場合には、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)の色相はそれぞれ単独では観察されず、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)の色相が混色された合成色の色相で観察される必要がある。このような効果を得るためには、人の目の空間分解能を考慮した画線設計が必要であり、各要素の線幅(W5、W6)と、各要素が配置されるピッチ(P5、P6)は細かい必要がある。このような効果を得るためには、各要素の線幅(W5、W6)は、20μmから300μm程度で形成する必要があり、ピッチ(P5、P6)は80μmから1500μm程度が適しており、好ましくは100μmから1000μm程度が良い。また、図9(b)において、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)は、隣接して配置された状態を示しているが、前述した線幅(W5、W6)とピッチ(P5、P6)の範囲において、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)が目視で混色して観察されれば、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)が近接して離れた配置であっても良い。また、第1−1の画像要素(11−1)の線幅(W5)と第1−2の画像要素(11−2)の線幅(W6)は、同じでも良いし、異なっていても良い。
【0058】
また、第2の実施の形態では、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)が前述した大きさとピッチで形成されることで、第1の画像部(4)が第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)の合成色で観察されることが発明の本質であり、前述した大きさとピッチの範囲内で隣接又は近接して配置されれば、図9(c)に示すように、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)が配置される順番が入れ替わっても良い。
【0059】
第2の実施の形態の印刷物(1)は、このような大きさとピッチの範囲で第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)を形成することで、人間の目視では、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)を区別することができず、第1の画像部(4)は、第1−1の画像要素(11−1)を形成する色材の色と第1−2の画像要素(11−2)を形成する色材の色が、加法混色の原理によって合成した一つの色として見える。
【0060】
(第2の画像部)
第2の実施の形態の例において、第2の画像部(5)は、図9(b)の拡大図に示すように、基材(2)と異なる色相であり、かつ、第1の画像部(4)に配置される各要素を形成する色材と異なる色相の第2の画像要素(21)が、第1の画像部(4)に配置される各要素とは異なる面積率で万線状に配置されて成る。第2の画像要素(21)についても、第1−1の画像要素(11−1)及び第1−2の画像要素(11−2)と同様に、画素及び画線の一方又はその組み合わせで構成されるが、ここでは、画線の構成について説明する。
【0061】
第2の画像部(5)に配置される第2の画像要素(21)が画線で構成される場合、第2の画像部(5)は、図9(b)に示すように、線幅(W20)の第2の画像要素(21)が一定のピッチ(P20)で、第一の方向(S1方向)に万線状に配置されて成る。
【0062】
第2の画像要素(21)は、第1の画像部(4)に配置されている各要素の目視上の合成色と同じ色相を有しており、第2の画像要素(21)の具体的な構成について、以下に説明する。
【0063】
一つ目の第2の画像要素(21)の構成は、第1の画像部(4)に配置される各要素を形成する色材を混合して、一つの色相を有する色材とし、混合した色材によって、図9(b)に示す第2の画像要素(21)が形成される構成である。この場合、異なる色相を有する顔料又は染料とビヒクルが混合されることで、一つの色相を有する色材が構成される。例として、図9(b)に示す第1−1の画像要素(11−1)がマゼンタ色の色材で形成され、第1−2の画像要素(11−2)がシアン色の色材で形成されたとすると、混合した色材の色は、紫の色相を有した色材となり、この色材によって第2の画像要素(21)を形成する。なお、本発明において、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)を形成する色材の色は、上記色の例に限定されるものではない。
【0064】
二つ目の第2の画像要素(21)の構成は、第1の画像部(4)に配置される各要素の目視上の合成色と同じ色相の特色インキを用いて、図9(b)に示す第2の画像要素(21)が形成される構成である。この場合、第1の画像部(4)に配置される各要素の目視上の合成色と同じ色相の一つの顔料又は染料とビヒクルが混合されることで、一つの色相を有する色材が構成される。一般的な印刷に用いられる色材の色はプロセスインキのCMYKであるが、DIC社、TOYO社、PANTONE社等の色見本帳による特色インキも市販されており、このようなインキを第2の画像要素(21)を形成するために用いることができる。
【0065】
三つ目の第2の画像要素(21)の構成例を図10に示す。図10(b)は、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の境界部分の一部拡大図であり、図10(c)は、第2の画像部(5)に配置される第2の画像要素(21)の断面図である。三つ目の第2の画像要素(21)は、図10(b)の拡大図と図10(c)の断面図に示すように、第2−1の画像要素(21−1)と第2−2の画像要素(2−2)が重なって成る構成である。このとき、第2−1の画像要素(21−1)は、第1−1の画像要素(11−1)を形成する色材を用いて形成され、第2−2の画像要素(21−2)は、第1−2の画像要素(11−2)を形成する色材を用いて形成される。すなわち、第1−1の画像要素(11−1)と第2−1の画像要素(21−1)は、同じ色相であり、第1−2の画像要素(11−2)と第2−2の画像要素(21−2)は、同じ色相である。第2の実施の形態において、第2の画像要素(21)が第2−1の画像要素(21−1)と第2−2の画像要素(21−2)が重なって成る場合の第2−1の画像要素(21−1)と第2−2の画像要素(21−2)の配置とは、図10(a)及び図10(b)に示すように、第2−1の画像要素(21−1)の線幅と第2−2の画像要素(21−2)の線幅が同じであって、第2−1の画像要素(21−1)と第2−2の画像要素(21−2)が同じ位置でずれることなく重なる配置である。
【0066】
三つ目の構成において第2の画像要素(21)は、互いに重なっている第2−1の画像要素(21−1)と第2−2の画像要素(21−2)を形成する色材の減法混色によって混色し、第1の画像部(4)に配置されている各要素の目視上の合成色と同じ色相として視認できる。
【0067】
第2の実施の形態においても、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される画像要素(10)の光沢性は同じである。このため、第2の実施の形態においても、第1−1の画像要素(11−1)、第1−2の画像要素(11−2)及び第2の画像要素(21)の光沢性を同じにするために、ワニスの配合割合が略同じであって、着色顔料の色相が異なる色材を用いる。
【0068】
また、第2の実施の形態においても、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は、人が目視で観察した場合に同じ色彩として感じられる等色関係であることがもう一つの重要な要件である。このため、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)を等色にするために、各要素の面積率と各要素を形成する色材の濃度を調整する必要がある。ただし、第2の実施の形態においても、正反射光下で二つの画像部の光沢差を得るために、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される画像要素(10)の面積率が異なる構成とする必要がある。
【0069】
このように第1の画像部(4)は、拡大して観察すると各要素の色材が並んでいるが、目視で観察した場合には、微小な各要素が合成された加法混色の原理で合成色が観察でき、第2の画像部(5)は、第1の画像部(4)に配置される各要素の目視上の合成色と同じ色相の第2の画像要素(21)を、第1の画像部(4)と等色関係で配置されることが本発明の重要な構成である。
【0070】
続いて、各要素が画素で構成される例について、図11を用いて説明する。図11(a)は、印刷物(1)の平面図である。また、図11(b)は、図11(a)の太線で囲む部分を拡大した図であり、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の境界部分の構成を示す図である。
【0071】
第1の画像部(4)は、図11(b)の拡大図に示すように、高さ(H5)、幅(R5)の第1−1の画像要素(11−1)が第一の方向(T1方向)にピッチ(P11)、第二の方向(T2方向)にピッチ(P12)で配置され、高さ(H6)、幅(R6)の第1−2の画像要素(11−2)がピッチ(P21、P22)で、第1−1の画像要素(11−1)が配置される方向と同じ方向に配置されて成る。各要素が画素で構成される場合においては、各要素が配置される方向のピッチが等しく、すなわち、図11(b)でいう第一の方向(T1方向)における第1−1の画像要素のピッチ(P11)と第1−2の画像要素のピッチ(P21)が等しく、第二の方向(T2方向)における第1−1の画像要素のピッチ(P12)と第1−2の画像要素ピッチ(P22)が等しい。第2の実施の形態で画像要素(10)が画素で構成される場合においても、図11(b)に示すように、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)から構成される第1の画像要素(11)は、第一の方向(T1方向)と第二の方向に向かって一つの画線上に配置される。
【0072】
第1の画像部(4)は、前述のように、第1の画像部(4)に配置される各要素を形成する色材の合成色の色相で観察される必要があり、そのための第1−1の画像要素(11−1)の高さ(H5)と幅(R5)及び第1−2の画像要素(11−2)の高さ(H6)と幅(R6)は、20μmから300μm程度で形成する必要がある。また、第1−1の画像要素のピッチ(P11、P12)と第1−2の画像要素のピッチ(P21、P22)は、80μmから1500μm程度が適しており、好ましくは100μmから1000μm程度が良い。
【0073】
第2の実施の形態において、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)が画素で構成される場合においても、前述した大きさとピッチで形成されることで、第1の画像部(4)が第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)の合成色で観察されることが発明の必須の要件である。このような条件を満たす構成であれば、図11(b)に示す配置に限定されるものではない。例えば、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)は、第一の方向(T1方向)にずれて配置されても良いし、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)が第一の方向(T1方向)にずれた配置の部分と、第二の方向(T2方向)にずれた配置の部分があっても良い。また、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)が画線で構成された配置で説明したのと同様に、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)の順番が部分的に入れ替わっても良い。
【0074】
第2の画像部(5)は、図11(b)の拡大図に示すように、高さ(H20)、幅(R20)の第2の画像要素(21)が第一の方向(T1方向)にピッチ(P31)、第二の方向(T2方向)にピッチ(P32)で配置されて成る。画線で構成される第2の画像要素(21)と同様に、画素で構成される第2の画像要素(21)においても、第1の画像部(4)に配置される各要素の目視上の合成色と同じ色相を有する構成であり、前述したように、第1の画像部(4)に配置される各要素を形成する色材を混合した色材を用いても良いし、特色インキを用いても良いし、第1の画像部(4)に配置される各要素を積層する構成でも良い。また、第2の実施の形態において、各要素が画素で構成される場合においても、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)を等色にするために、各要素の面積率と各要素を形成する色材の濃度を調整する必要がある。ただし、正反射光下で二つの画像部の光沢差を得るために、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される各要素の面積率が異なる構成とする必要がある。
【0075】
以上の構成は、第1の画像部(4)に第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)が複数配置されて成る構成であるが、段落(0051)で記載したように、更に、第1の画像部(4)に第1−nの要素(nは3以上の整数)まで形成しても良い。この形態の一例として、第1の画像部(4)に、第1−1の画像要素乃至第1−3の画像要素が配置される構成について図12を用いて説明する。
【0076】
図12(a)は、印刷画像(2)の構成を示す図であり、図12(b)は、図12(a)の太線で囲む部分を拡大した図であり、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の境界部分の構成を示す図である。
【0077】
第1の画像部(4)は、図12(b)の拡大図に示すように、線幅(W5)の第1−1の画像要素(11−1)と線幅(W6)の第1−2の画像要素(11−2)と線幅(W7)の第1−3の画像要素(11−3)がそれぞれピッチ(P5、P6、P7)で第一の方向(S1方向)に複数配置されて成る。第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)は、前述のとおり、異なる色相の色材で形成され、第1−3の画像要素(11−3)は、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)を形成する色材の色相と異なり、かつ、基材(1)と異なる色相を有する色材によって形成される。
【0078】
第1−3の画像要素(11−3)の線幅(W7)についても、第1の画像部(4)を目視で観察した場合に、第1−3の画像要素(11−3)の色相が単独で観察されないために、20μmから300μmの範囲で形成される。また、第1−3の画像要素(11−3)が配置されるピッチ(P7)は、第1−1の画像要素(11−1)と第1−2の画像要素(11−2)が配置されるピッチ(P5、P6)と同じピッチである。ここでは、図12に第1の画像部(4)に三つの要素が配置される例について説明したが、本発明のピッチの最大値としている1500μm内であれば、更に、第1−1の画像要素(11−1)乃至第1−3の画像要素(11−3)と異なる色相を有する色材から成る第1−nの要素を配置する構成としても良い。
【0079】
第1の画像部(4)は、以上の構成で形成されることで、人間の目視では、第1−1の画像要素(11−1)、第1−2の画像要素(11−2)及び第1−3の画像要素(11−3)を区別することができず、第1の画像部(4)は、第1−1の画像要素(11−1)を形成する色材の色相、第1−2の画像要素(11−2)を形成する色材の色相及び第1−3の画像要素(11−3)を形成する色材の色相が、加法混色の原理によって合成された色として見える。
【0080】
第2の画像部(5)に配置される第2の画像要素(21)の構成については、前述したように、第1の画像部(4)に配置される各要素の目視上の合成色と同じ色相を有する構成であり、第1の画像部(3)に第1−3の画像要素(11−3)が加わった分の色相を加えた構成とする。
【0081】
具体的には、第1−1の画像要素(11−1)、第1−2の画像要素(11−2)及び第1−3の画像要素(11−3)を形成する色材を混合して一つの色相を有する色材とし、混合した色材によって、第2の画像要素(21)を形成する。
【0082】
また、第2の画像部(5)の第2の画像要素(21)は、第1の画像部(4)に配置される各要素の目視上の合成色と同じ色相の特色インキを用いて形成しても良い。
【0083】
また、第2の画像部(5)の第2の画像要素(21)は、図10に示す構成と同様に、第1−1の画像要素(11−1)、第1−2の画像要素(11−2)及び第1−3の画像要素(11−3)が重なる配置の構成としても良い。
【0084】
以上の構成で成る第2の実施の形態の印刷物(1)は、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される画像要素の色相は異なるが、第1の実施の形態と同様に、各画像部が等色、かつ、配置される画像要素の面積率が異なるため、拡散反射光下で観察した場合に、二つの画像部が区分けされず、正反射光下で観察した場合に、二つの画像部に光沢差が生じ、区分けして視認される効果がある。
【0085】
以上に説明した第1の実施の形態及び第2の実施の形態の印刷画像(3)は、拡散反射光下から観察した場合、一様な模様として視認されるが、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の印刷画像(3)を構成する画像要素(10)と重ならない位置に基材(2)と異なる色の画線及び/又は画素を配置することによって、拡散反射光下で観察できる第1の画像部(4)及び第2の画像部(5)とは異なる有意味な模様を形成することができる。このとき、画像要素(10)と同じ色相の画線、画素を配置すれば、面積率の差による有意味な模様が視認でき、画像要素(10)と異なる色相の画線及び/又は画素を配置すれば、印刷画像(3)と異なる色の有意味な模様が視認できる。
【0086】
(第3の実施の形態)
続いて、段落(0085)で説明したものとは異なり、光沢差が生じる印刷画像(3)自体に、正面から観察した場合に視認できる有意味な模様(30)が形成された形態について説明する。ここでは、有意味な模様(30)の一例として、図13に示す「流水の模様」が形成された印刷画像(3)の構成について説明する。また、第1の実施の形態で説明した印刷物(1)の印刷画像(3)に有意味な模様(30)が形成された例について説明する。
【0087】
図14は、有意味な模様(30)が形成された印刷画像(3)の構成を示す図である。図14(b)に示すように、第1の画像部(4)は、有意味な模様(30)の一部を含む構成であり、図14(c)に示すように、第2の画像部(5)は、有意味な模様(30)の残りの一部を含む構成となっている。次に、有意味な模様(30)の構成について説明する。
【0088】
正面から観察した場合に観察できる画像として、第1の画像部(4)の第1の画像要素(11)及び第2の画像部(5)の第2の画像要素(12)の配置を、有意味な模様(30)である流水の模様(30)の部分については位相をずらすことで表現した。図14(b)に示す第1の画像部(4)と図14(c)に示す第2の画像部(5)の境界部分において、有意味な模様(30)が形成された部分の一部拡大した図を図15に示す。図15は、第1の実施の形態において、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(12)が画線で構成された例を示しており、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(12)は、第一の方向(S1)に一定のピッチ(P1=P2)で配置されている。
【0089】
本発明において、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(12)が画線で構成された場合に、位相をずらすとは、画線で構成された画像要素(10)と直交する方向、すなわち、第一の方向(S1)に、位相がずれることであり、流水の模様は、流水の模様がない部分より位相がPh1(=Ph2)ずれて配置されている。
【0090】
以上の構成で成る印刷画像(3)を形成した本実施の形態の印刷物(1)は、図16(a)に示すように、正面(E1の観察位置)から観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は等色関係にあるため区分けされず、位相をずらすことで表現された流水の模様が視認される。また、印刷物(1)を正反射光下(E2)で観察した場合、図16(b)に示すように、第1の画像部(4)の第1の画像要素(11)と第2の画像部(5)の第2の画像要素(21)の面積率の差により光沢差が生じて、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が区分けすることができる。なお、正反射光下(E2)の観察では、位相差が異なることで表現された流水の模様(30)の視認性より、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の光沢差による「桜」の図柄の視認性が強いことから、図16(b)に示すように、「桜」の図柄のみが視認される。
【0091】
第3の実施の形態の印刷物(1)の例では、有意味な模様(30)として流水模様を用いているが、有意味な模様(30)は、他の模様であっても良いし、文字、数字、記号、図形、マーク及び図形のいずれか又はその組み合わせで形成されても良い。また、有意味な模様(30)は、第1の画像部(4)と第2の画像部(4)の両方に含まれる構成だけでなく、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)のうち、一方の画像部のみに含まれる構成であっても良い。
【0092】
以下、前述の発明を実施するための形態に従って、具体的に作製した印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0093】
(実施例1)
【0094】
本発明における第1の実施形態に伴う印刷物(1)を、以下の通り作製した。
【0095】
基材(2)に印刷用マットコート紙を用い、オフセット印刷において印刷物(1)を作製した。第1の画像部(4)は透明ニス(DIC社製 ニューチャンピオンハイグロスOPニス)に、カーボンブラックを加えて作製したインキ(ベタ濃度D=0.10)を使用した。第1の画像部(4)の第1の画像要素(11)は画線幅(W1)を200μm、ピッチ(P1)を340μmとした。第2の画像部(5)は、同様に透明ニス(DIC社製 ニューチャンピオンハイグロスOPニス)に、カーボンブラックを加えて作製したインキ(ベタ濃度D=0.30)を使用した。第2の画像部(5)の第2の画像要素(21)は画線幅(W2)を100μm、ピッチ(P2)を340μmとした。
【0096】
実施例1の印刷物(1)を正面から観察すると、グレー色の模様が一様に観察でき、正反射光下で観察すると、第1の画像部(4)の方が光沢が高く、第2の画像部(5)の方が光沢が低く、光沢差が感じられ、「桜」の画像を区分けして視認することができた。
【0097】
(実施例2)
本発明における第2の実施形態に伴う印刷物(1)を、以下の通り作製した。
【0098】
基材(2)に印刷用マットコート紙を用い、オフセット印刷において印刷物(1)を作製した。第1の画像部(4)の第1−1の画像要素(11−1)はプロセスシアンインキ(T&KTOKA製「UV Lカートン藍」)を用い、高さ(H5)を120μm、幅(R5)を120μmとし、第一の方向(T1方向)にピッチ(P11)を450μm、第二の方向(T2方向)にピッチ(P12)を450μmで配置した。同様に、第1の画像部(4)の第1−2の画像要素(11−2)は、プロセスマゼンタインキ(T&KTOKA製「UV Lカートン紅」)を用い、高さ(H6)を120μm、幅(R6)を120μm、ピッチ(P21、P22)を450μmで配置した。さらに、第2の画像部(5)の第2の画像要素(21)は、高さ(H20)を150μm、幅(R20)を150μmとし、第一の方向(T1方向)にピッチ(P31)を450μm、第二の方向(T2方向)にピッチ(P32)を450μmで配置した。第2の画像要素(21)の色材は、第1の画像部(4)を形成したプロセスシアンインキ(T&KTOKA製「UV Lカートン藍」)とプロセスマゼンタインキ(T&KTOKA製「UV Lカートン紅」)を1:1で混合したインキを使用した。
【0099】
実施例2の印刷物(1)を正面から観察すると、紫色の一様な模様が観察でき、正反射光下で観察すると、第1の画像部(4)の方が、第2の画像部(5)より光沢が高く、光沢差が感じられ、「桜」の画像が区分けして視認することができた。
【0100】
(実施例3)
本発明における第2の実施形態に伴う印刷物(1)を、以下の通り作製した。
【0101】
基材(2)にレーザプリンタ用紙を用い、カラーレーザプリンタ(RICOH IPSiO SP C420)において印刷物(1)を作製した。第1の画像部(4)の第1−1の画像要素(11−1)はプロセスシアントナーを用い、高さ(H5)を90μm、幅(R5)を500μmとし、第一の方向(T1方向)にピッチ(P11)を1000μm、第二の方向(T2方向)にピッチ(P12)を500μmで配置した。同様に、第1の画像部(4)の第1−2の画像要素(11−2)は、プロセスイエロートナーを用い、高さ(H6)を50μm、幅(R6)を500μmとし、第一の方向(T1方向)にピッチ(P21)を1000μm、第二の方向(T2方向)にピッチ(P22)を500μmで配置した。さらに、第2の画像部(5)の第2の画像要素(21)は、高さ(H20)を60μm、幅(R20)を500μmとし、第一の方向(T1方向)にピッチ(P31)を1000μm、第二の方向(T2方向)にピッチ(P32)を500μmで配置した。第2の画像要素(21)の色材は、第1の画像部(4)を形成したプロセスシアントナーとプロセスイエロートナーを重畳させて形成した。
【0102】
実施例3の印刷物(1)を正面から観察すると、緑色の模様が一様に観察でき、正反射光下で観察すると、第1の画像部(4)の方が、第2の画像部(5)より光沢が高く、光沢差が感じられ、「桜」の画像を区分けして視認することができた。
【符号の説明】
【0103】
1 光沢差を有する印刷物(印刷物)
2 基材
3 印刷画像
4 第1の画像部
5 第2の画像部
10 画像要素
11−1 第1−1の画像要素
11−2 第1−2の画像要素
11−3 第1−3の画像要素
21 第2の画像要素
30 有意味な模様
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16