(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半導体基板上に、前記第1の絶縁層と前記第1のメタル配線層を有する下部配線層が設けられ、前記第3の絶縁層上に、前記第2の絶縁層と前記第2のメタル配線層とを有する上部配線層が設けられる請求項2に記載のセンサ装置。
前記化合物半導体センサ素子の端子は、前記上部配線層の前記第2のメタル配線層に接続されるようにセンサ素子用配線が設けられ、前記補正抵抗素子は、片端が前記上部配線層に接続され、他端が前記下部配線層に接続される請求項6に記載のセンサ装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかであろう。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
本実施形態のセンサ装置は、半導体基板と、半導体基板上に形成された第1のメタル配線層と、第1のメタル配線層上に形成された第1の絶縁層と、第1の絶縁層上に形成された化合物半導体センサ素子と、化合物半導体センサ素子及び第1の絶縁層上に形成された第2のメタル配線層と、第2のメタル配線層上に形成される第2の絶縁層とを備えている。
【0014】
半導体基板は、例えば、シリコン基板に半導体デバイス領域が形成され、その領域には、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、コンデンサ、抵抗などのデバイスが形成されている。
化合物半導体センサ素子としては、例えば、ホール素子、磁気抵抗素子などの磁気センサ、電流センサ、歪センサ、圧力センサ、温度センサ、加速度センサなどが挙げられる。センサ素子は、薄膜形状であってもよい。また、化合物半導体ホール素子であってもよい。具体的には、GaAsセンサ素子、InAsセンサ素子、InSbセンサ素子、又は、不純物を含むGaAsセンサ素子、InAsセンサ素子、InSbセンサ素子などが挙げられる。
【0015】
第1のメタル配線層は、例えば、半導体デバイス領域のデバイスやセンサ素子の入出力部を電気的に接続する。また、半導体基板上に絶縁層を介して形成されてもよい。また、第1のメタル配線層は、センサ素子の下方に、第1のメタル配線層と同じ材料で形成されたシールド層を備える構成であってもよい。メタル配線としては、例えばAl配線であり、フォトリソグラフィにより形成される。
第1の絶縁層は、例えば、SiO
2、TEOS、SiNなどの絶縁膜である。第1の絶縁層は、平坦化面を有し、その平坦化面にセンサ素子が形成されることが好ましい。なお、第1のメタル配線層及び第1の絶縁層は、複数層形成されてもよい。
【0016】
また、センサ素子及び第1の絶縁層上に形成された第2のメタル配線層と、第2のメタル配線層上に第2の絶縁層が形成される。センサ素子は、第1のメタル配線層又は第2のメタル配線層と電気的に接続される、または、第1のメタル配線層及び第2のメタル配線層の両方と電気的に接続される構成であってもよい。第2の絶縁層は、例えば、SiO
2、TEOS、SiNなどの絶縁膜である。
第2の絶縁層上に、外部接続コンタクトとして入出力PADが形成される構成であってもよい。第2の絶縁層上に、さらにメタル配線層と絶縁層が形成される場合も、その上に外部接続コンタクトが形成されればよい。さらに、例えば、WLCSP等、PADと接続される外部接続端子のソルダーバンプが形成される構成でもよい。
【0017】
また、第1のメタル配線層と第2のメタル配線層との間に、第3の絶縁層を備え、センサ素子は前記第3の絶縁層中に形成される構成であってもよい。
本実施形態によれば、上部配線層と下部配線層のメタル配線層間にセンサ素子を形成するセンサ装置であるため、小型化でき、また、外乱ノイズに強い。加えて、センサの選択自由度も高い。例えば、モノリシック構成では不可能であった、化合物半導体ホール素子をセンサとして使用することができ、感度が高く、かつ、小型のセンサ装置を提供することができる。
【0018】
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。
<実施形態1>
図3(a),(b)は、本発明に係るセンサ装置の実施形態1を説明するための構成図で、
図3(a)は上面図、
図3(b)は、
図3(a)のa−a線の断面図を示している。
本実施形態1のセンサ装置100は、半導体基板101と、この半導体基板101上に設けられた第1のメタル配線層111と、この第1のメタル配線層111上に設けられた第1の絶縁層121と、この第1の絶縁層121上に設けられた化合物半導体センサ素子131と、この化合物半導体センサ素子131及び第1の絶縁層121上に設けられた第2のメタル配線層112と、この第2のメタル配線層112上に設けられた第2の絶縁層122とを備えている。
【0019】
また、第1のメタル配線層111と第2のメタル配線層112との間に第3の絶縁層123を備え、化合物半導体センサ素子131は、第3の絶縁層123中に設けられている。
また、化合物半導体センサ素子131は、第1のメタル配線層111又は第2のメタル配線層112と電気的に接続されている。また、半導体基板101上に、第1の絶縁層121と第1のメタル配線層111を有する下部配線層110aが設けられ、第3の絶縁層123上に、第2の絶縁層122と第2のメタル配線層112とを有する上部配線層110bが設けられている。
【0020】
また、化合物半導体センサ素子131は、薄膜形状であることが好ましい。また、化合物半導体センサ素子131と同一平面上に設けられた補正抵抗素子132をさらに備えている。
また、化合物半導体センサ素子131の端子は、上部配線層110bの第2のメタル配線層112に接続されるようにセンサ素子用配線141が設けられ、補正抵抗素子132は、片端が上部配線層110bに接続され、他端が下部配線層110aに接続されている。
【0021】
また、化合物半導体センサ素子131は、ホール素子又は磁気抵抗素子であることが好ましい。また、化合物半導体センサ素子131は、第1の絶縁層121の平坦化面150に設けられている。また、第2の絶縁層122上に外部接続コンタクト(図示せず)を設けることも可能である。
つまり、本実施形態1のセンサ装置は、
図3(a),(b)から明らかなように、半導体基板101と、下部配線層110aと、化合物半導体センサ素子131と、センサ素子用配線141と、第3の絶縁層123と、上部配線層110bとを備えている。
【0022】
半導体基板101は、例えば、シリコン基板であり、半導体集積回路が形成された半導体デバイス領域101aが形成されている。CMOSプロセスであれば、その半導体デバイス領域101aには、一例としてNMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、コンデンサ、ポリシリコン抵抗などのデバイスが構成されている。また、バイポーラプロセスであれば半導体デバイス領域101aにはそれに応じた、例えば、NPNトランジスタやPNPトランジスタなどで構成されている。
下部配線層110aは、半導体基板101上に形成されている。下部配線層110aは、第1の絶縁層121と、第1のメタル配線層111とを有する。半導体基板101上に、層間絶縁層110が形成され、その層間絶縁層110上に第1のメタル配線層111が形成され、さらにその上に第1の絶縁層121が形成されている。
【0023】
メタル配線層111は、VIA(ビア;多層配線において、下層の配線と上層の配線を電気的につなぐ接続領域)102を介して半導体集積回路に接続される。なお、第1の絶縁層121と第1のメタル配線層111が複数層形成されている。
図3(b)では、化合物半導体センサ素子131の配線直下までにビア102と第1のメタル配線層111を3層重ねた例となっている。
化合物半導体センサ素子131であるホール素子は、下部配線層110a上の第1の絶縁層121上に形成されている。ホール素子の4つの端子は、センサ素子用配線141で下部配線層110aの第1のメタル配線層111や、ビア102を介して半導体集積回路に接続される。センサ素子用配線141は、ホール素子の端子から、第1の絶縁層121を経由して、第1のメタル配線層111まで形成されている。
【0024】
化合物半導体センサ素子131及び第1の絶縁層121上に第3の絶縁層123が形成されている。第3の絶縁層123上に、上部配線層110bが形成されている。上部配線層110bは、第2の絶縁層122と、第2のメタル配線層112とを有する。第3の絶縁層123上に、第2のメタル配線層112が形成され、その上に第2の絶縁層122が形成されている。
第2のメタル配線層112は、ビア102を介して半導体集積回路に接続される。なお、第2の絶縁層122と第2のメタル配線層112が複数層形成されている。
図3(b)では、ビア102と第2のメタル配線層112を2層繰り返して配線を行った例を示している。2層以上の配線を繰り返してもよく、最上層保護膜124が形成されていてもよい。
【0025】
また、第1の絶縁層121上で化合物半導体センサ素子131が形成されるのと同一平面上に、化合物半導体センサ素子131の特性を補正するための補正抵抗素子132が形成されている。補正抵抗素子132は、両端に補正抵抗素子用配線142が接続され、化合物半導体センサ素子131と同様に、下部配線層110aを介して半導体集積回路に接続されている。
また、図示していないが、外部接続用コンタクト(PADなど)を上部配線層110b上に形成されていてもよい。
ビア102は、例えば、タングステンで構成される。第1及び第2のメタル配線層111,112は、例えば、アルミを主配線材料で、例えば、バリアメタルとしてタングステンを用いたタングステン/アルミ/タングステンといった層構造となっている。
また、層間絶縁層110や最上層保護膜124は、例えば、SiO
2、TEOS、SiNなどの絶縁膜である。
【0026】
本実施形態1によれば、上部配線層と下部配線層のメタル配線層間にセンサ素子を形成するセンサ装置であるため、小型化でき、また、外乱ノイズに強い。加えて、センサの選択自由度も高い。
例えば、磁石の磁気信号の大きさがたとえば数十mTなのに対し、センサに入力される磁気信号の大きさが30μTと地磁気レベルの大きさの信号で位置検出する場合、モノリシック品に使われているシリコンホール素子では、磁気センサの磁気感度が小さすぎて、例えば、上述した特許文献2に記載のように4個といった素子数では、必要なレベルの磁気信号のS/Nを取れない場合が発生する。
【0027】
S/Nを改善させる手段としてセンサを集積回路内にさらに増やして配置することが考えられるが、例えば、1個のセンサ当たり100um2程度のセンサ配置面積が必要であれば、LSIチップ内でのその設置数に制限が考えられ、所望のS/Nが得られない。
S/Nを改善させる他の手段として、所望のS/Nを達成するまでセンサに流す電流を増やす方法が考えられる。しかしながら、近年の携帯装置に使用される電源電圧は半導体プロセスの微細化に伴い1.8V系が主流であり、今後はさらに1.5V系になると予測される。したがって、必要なS/Nを達成するためにセンサに流す電流を増やそうとしても、駆動電源電圧の制約がありセンサ素子に所望のS/Nを達成できる電流を流すことができない。
【0028】
一方、従来のハイブリッドの構造であれば、シリコンモノリシックのホール素子よりも大きな磁気感度が得られるホール素子を選択することが可能であり、所望のS/Nが達成できる。例えば、シリコンのホール素子の磁気感度として一例をあげると60uV/(mT×V)に対して、InSb薄膜のホール素子の磁気感度で一例をあげると1800uV/(mT×V)を持つセンサを用いることができれば、単純な磁気感度の比較だけで30倍にS/Nを向上できる。
しかしながら、ハイブリッド構成では、小型化・薄型化できない。近年の携帯では薄型化が進み、その携帯に使用される製品パッケージの厚みは0.6mm以下がほとんどである。そもそも、携帯用の製品として要求されるパッケージサイズに対して、ハイブリッド構成ではセンサと信号処理回路の接続にワイヤーを使用するという難点があり、パッケージサイズが大きくて厚みがある。
【0029】
一方、本実施形態1では、メタル配線層間に化合物半導体センサ素子を形成するセンサ装置であるため、小型化でき、また、大きな磁気感度が得られる化合物ホール素子を使用できる。
また、化合物半導体センサ素子をワイヤーボンディングや金属のリード配線などを用いて信号処理回路に接続する場合の構成に比較して、メタル配線層間に素子を設置する構成は外乱ノイズに強い。メタル配線層間に素子に配置されるため、化合物半導体センサ素子の配線による寄生容量や寄生インダクタンスが従来の構成の1万分の1以下に小さくなり、LSI外部の広い空間に存在するノイズ源(例えば、商用電源、モータ、スイッチング素子、電灯などの電磁波の放射源)による外乱電磁ノイズに強くなる。さらに、化合物半導体センサ素子の寄生容量や寄生インダクタンスが小さくなることで高速のチョッピング動作に最も適した構成となる。
【0030】
また、後述する本実施形態1のセンサ装置の製造方法によれば、センサの信号処理回路を含む半導体装置と化合物半導体薄膜を一つのウェハ内にプロセスとして作りこむことができる。半導体装置上のSiO
2やTEOSやSiNといった層間絶縁膜はアモルファスであるため、その上に結晶性のセンサの感度が高い良質な半導体薄膜を成長させることはできない。しかし、本実施形態1のセンサ装置の製造方法によれば、層間絶縁膜上に化合物半導体センサ素子を形成することができる。
さらに、上述した特許文献1では、センサ特性の補正をしようとしても、量産ウェハの番号や量産ウェハ内の位置が特定できない個片化されたバラバラのセンサしか選べないので、使用する4個のセンサ特性がそろっておらず、安価で効率的なセンサ特性の補正ができない。しかし、本実施形態1のセンサ装置の製造方法によれば、センサ特性や参照抵抗のバラツキを低減することができ、効率的なセンサ特性の補正を行える。センサ装置は、センサICチップとして構成されてもよい。
【0031】
<製造方法1>
図4(a)〜(c)乃至
図6(g)〜(i)は、上述した本実施形態1に係るセンサ装置の製造方法1を説明するためのプロセスフロー図である。
センサ装置100の製造方法1は、半導体基板101上に第1のメタル配線層111を形成する工程と、第1のメタル配線層111上に第1の絶縁層121を形成する工程と、第1の絶縁層121上に化合物半導体センサ素子131を形成する工程と、化合物半導体センサ素子131を形成した後に、第3の絶縁層123を積層する工程と、第3の絶縁層123上に第2のメタル配線層112を形成する工程とを有している。
【0032】
また、化合物半導体センサ素子131を形成する工程は、第1の絶縁層121上に化合物半導体膜130を形成するステップと、化合物半導体膜130を所定の形にエッチングして化合物半導体センサ素子131を形成するステップとを有している。
また、化合物半導体センサ素子131を形成する工程は、第1の絶縁層121上に化合物半導体膜130を形成するステップと、化合物半導体膜130をリソグラフィとエッチングにより化合物半導体センサ素子131を形成するステップとを有している。
また、化合物半導体センサ素子131を形成する工程は、第1の絶縁層121に化合物半導体膜130を張り付けるステップと、化合物半導体膜130をリソグラフィとエッチングにより化合物半導体センサ素子131を形成するステップとを有している。
【0033】
また、第1の絶縁層121に化合物半導体膜130を張り付けるステップは、基板103上に形成された化合物半導体膜130を、第1の絶縁層121に張り付けた後に、基板103を選択的に除去する。
また、第1の絶縁層121を形成する工程は、第1のメタル配線層111上に第1の絶縁層121を積層するステップと、第1の絶縁層121の上面を平坦化するステップとを有している。
また、第1の絶縁層121上に化合物半導体センサ素子131を形成する工程と同時に、補正抵抗素子132を形成する。また、化合物半導体センサ素子131と補正抵抗素子132は、同じ化合物半導体膜130から形成されている。
【0034】
つまり、
図4(a)に示すように、まず、シリコンウェハに半導体デバイス量領域101aが形成された半導体基板101上に第1のメタル配線層111を形成し、この第1のメタル配線層111上に、第1の絶縁層121を形成する。一般的なCMOSプロセスで行われる方法で形成する。
また、基板(例えば、シリコンウェハ)103を準備し、例としてそのシリコンウェハ上には張り合わせるために使用する半導体薄膜130を形成する。この半導体薄膜130は、シリコン基板の上にMBE(Molecular Beam Epitaxy)やCVD(Chemical Vapor Deposition)やMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)などで形成する。
【0035】
次に、
図4(b)に示すように、第1の絶縁層121の表面に平坦化面150を形成する。この平坦化面150は、SiO
2又はTEOSやSiNなどのいわゆる半導体製造技術で使用されるような第1の絶縁層121を均一に形成し、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)などの平坦化処理を行う。
次に、
図4(c)に示すように、基板103上の半導体薄膜130と、第1の絶縁層121の平坦化面150とを張り合わせる。張り合わせ手法の一例として、常温共有結合があげられる。常温共有結合の原理を述べると、高真空中で接合材料の表面にイオンビームや中性原子ビームを照射し、これにより材料表面の酸化膜や吸着層が除去され、材料が本来持っている「結合の手」が現れ、これを「活性化された表面」と呼び、活性化された表面同士を接触させると、瞬時に接合力が働き、2つの材料が強固に接合される。また、張り合わせる材料の格子定数が異なる場合は、その材料同士の成分が混ざり合った数nmの非常に薄いアモルファス層が形成され、それを緩衝層として2つの材料同士が結合することが知られている。
【0036】
次に、
図5(d)に示すように、張り合わせた後にCF4系のエッチングガスにより、半導体薄膜130側のシリコン基板のみを選択的にエッチングする。それにより、半導体薄膜130を半導体基板101側の平坦化面150上に残す。必要があれば、この半導体薄膜130が半導体基板101側の平坦化面150上にある状態で所定の不純物をインプラントしてもよい。
次に、
図5(e)に示すように、平坦化面150に張り付けられた半導体薄膜130をリソグラフィとエッチングにより、化合物半導体センサ素子(例えば、ホール素子)131及び補正抵抗素子132の形状に同時に形成する。これによって、第1の絶縁層121上に化合物半導体センサ素子131が形成される。
【0037】
次に、
図5(f)に示すように、第1の絶縁層121の平坦化面150にリソグラフィとエッチングの工程を用いてビア(ホール)102を形成し、さらに、
図6(g)に示すように、化合物半導体センサ素子131及びセンサ特性の補正抵抗素子132と半導体基板101内の半導体集積回路とを、第1の絶縁層121に形成したビア102を通して接続する配線を、リソグラフィとエッチングにより形成する。それによって、化合物半導体センサ素子131及びセンサ特性の補正抵抗素子132と半導体集積回路とが接続される。
次に、
図6(h)に示すように、化合物半導体センサ素子131とセンサ素子用配線141及び第1の絶縁層121上に第3の絶縁層123である層間絶縁膜を形成する。
次に、
図6(i)に示すように、半導体プロセスの上部配線工程を行う。それによって、第2のメタル配線層112が形成される。さらに、この後の行程において、外部接続用のPADを形成する工程を有していてもよい。
【0038】
以上に述べてきたことからわかるように、化合物半導体センサ素子131及びセンサ特性の補正抵抗素子132をいわゆる半導体プロセスのバックエンド工程に一体として作りこむことで、高S/Nで温度特性の優れたセンサ装置を小型で薄い一つのパッケージ内に収めて実現することができる。
また、化合物半導体センサ素子131及びセンサ特性の補正抵抗素子132が同時に構成されるため、製品個体間の特性のバラツキも極めて小さいことが期待できる。本実施形態1のセンサ装置100の製造方法1によれば、センサ特性や参照抵抗のバラツキを低減することができ、効率的なセンサ特性の補正を行える。
また、ハイブリッド構成時に必要であるワーヤボンディングが不要となり、高価なAu等の配線材用の節約および低コスト化ができるようになる。
【0039】
<製造方法2>
図8(a)〜(c)乃至
図10(g)〜(i)は、本実施形態1に係るセンサ装置の製造方法2を説明するためのプロセスフロー図である。
センサ装置100の製造方法2は、半導体基板101上に第1のメタル配線層111を形成する工程と、第1のメタル配線層111上に第1の絶縁層121を形成する工程と、第1の絶縁層121上に化合物半導体センサ素子231を形成する工程と、化合物半導体センサ素子231を形成した後に、第3の絶縁層123を積層する工程と、第3の絶縁層123上に第2のメタル配線層112を形成する工程とを有している。
【0040】
また、化合物半導体センサ素子231を形成する工程は、第1の絶縁層121上に化合物半導体膜230を形成するステップと、化合物半導体膜230を所定の形状にエッチングして化合物半導体センサ素子231を形成するステップとを有している。
また、化合物半導体センサ素子231を形成する工程は、第1の絶縁層121上に化合物半導体膜230を形成するステップと、化合物半導体膜230をリソグラフィとエッチングにより化合物半導体センサ素子231を形成するステップとを有している。
また、化合物半導体センサ素子231を形成する工程は、第1の絶縁層121に化合物半導体膜230を張り付けるステップと、化合物半導体膜230をリソグラフィとエッチングにより化合物半導体センサ素子231を形成するステップとを有している。
【0041】
また、第1の絶縁層121に化合物半導体膜230を張り付けるステップは、基板103上に形成された化合物半導体膜230を、第1の絶縁層121に張り付けた後に、基板103を選択的に除去する。
また、第1の絶縁層121を形成する工程は、第1のメタル配線層111上に第1の絶縁層121を積層するステップと、第1の絶縁層121の上面を平坦化するステップとを有している。
また、第1の絶縁層121上に化合物半導体センサ素子231を形成する工程と同時に、補正抵抗素子232を形成する。また、化合物半導体センサ素子231と補正抵抗素子232が、同じ化合物半導体膜230から形成される。
【0042】
つまり、
図8(a)に示すように、まず、シリコンウェハに半導体デバイス量領域101aが形成された半導体基板102上に第1のメタル配線層111を形成し、この第1のメタル配線層111上に、第1の絶縁層121を形成する。一般的なCMOSプロセスで行われる方法で形成する。
また、基板(例えば、シリコンウェハ)202を準備し、例としてそのシリコンウェハ上には張り合わせるために使用する半導体薄膜230を形成する。
【0043】
図7は、本実施形態1の製造方法2における基板上の半導体薄膜の形成について説明するためにフロー図である。
第1のシリコンウェハ201に半導体薄膜230を形成し、仮支持基板である第2のシリコンウェハ202上に、半導体薄膜230の形成された第1のシリコンウェハ201の個片化チップを接着剤203により形成する。
つまり、まず、半導体薄膜230を第1のシリコンウェハ201の上にMBE(Molecular Beam Epitaxy)やCVD(Chemical Vapor Deposition)やMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)などで形成する。
【0044】
次に、その半導体薄膜230が形成されている第1のシリコンウェハ201を適切な大きさに個片化する。そして、さらに仮止めの接着剤203で、仮支持基板である第2のシリコンウェハ202に接着して配置する。
次に、
図8(b)に示すように、第1の絶縁層121の表面に平坦化面150を形成する。この平坦化面150は、SiO
2又はTEOSやSiNなどのいわゆる半導体製造技術で使用されるような第1の絶縁層121を均一に形成し、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)などの平坦化処理を行う。
【0045】
次に、
図8(c)に示すように、その第2のシリコンウェハ上の半導体薄膜と第1絶縁層の平坦化面を張り合わせる。
次に、
図9(d)に示すように、仮支持基板202は、一例としてウェハの裏面から熱をかけると接着剤203が軟化し、容易に仮支持基板202を分離できる。また、一例として接着剤の種類によっては紫外線を照射し軟化し容易に分離できるものもある。
個片化チップ204を張り合わせた後にCF4系のエッチングガスにより、半導体薄膜側のシリコンのみを選択的にエッチングし、半導体薄膜230を半導体基板101側の平坦化面150上に残す。必要があれば、この半導体薄膜230が半導体基板101側の平坦化面150上にある状態で所定の不純物をインプラントしてもよい。
【0046】
次に、
図9(e)〜(f)及び
図10(g)〜(i)の工程は、上述した製造方法1の工程である
図5(e)〜(f)及び
図6(g)〜(i)と同様である。
さらに製造方法2の効果として、個片化したチップを張り付ける手法をとることで、半導体集積回路側で化合物半導体薄膜が必要な領域にのみ化合物半導体薄膜を張り付けることで、高価な化合物半導体ウェハを無駄なく利用することができる。また、個片化した化合物半導体薄膜の種類を複数の特性が異なる種類にすることも可能であり、違った特性を持つ製品を一括して製造することも可能である。
【0047】
<実施形態2>
図11(a),(b)は、本発明に係るセンサ装置の実施形態2を説明するための構成図で、
図11(a)は上面図、
図11(b)は、
図11(a)のa−a線の断面図を示している。なお、
図3に示した実施形態1と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
上述した本実施形態1との相違する構成は、半導体集積回路からの静電結合によるノイズをセンサの下にある下部配線層110aにシールド層160が形成されている点である。
【0048】
本実施形態2のセンサ装置200は、半導体基板101と、半導体基板101上に設けられた第1のメタル配線層111と、第1のメタル配線層111上に設けられた第1の絶縁層121と、第1の絶縁層121上に設けられた化合物半導体センサ素子131(231)と、化合物半導体センサ素子131(231)及び第1の絶縁層121上に設けられた第2のメタル配線層112と、第2のメタル配線層112上に設けられた第2の絶縁層122とを備えている。
また、第1のメタル配線層111と第2のメタル配線層112との間に第3の絶縁層123を備え、化合物半導体センサ素子131(231)が、第3の絶縁層123中に設けられている。
【0049】
また、化合物半導体センサ素子131(231)は、第1のメタル配線層111又は第2のメタル配線層112と電気的に接続されている。
また、化合物半導体センサ素子131(231)は、薄膜形状であることが好ましい。また、第1のメタル配線層111は、化合物半導体センサ素子131(231)の下方に配置されたシールド層160を有している。
また、化合物半導体センサ素子131(231)と同一平面上に設けられた補正抵抗素子132(232)をさらに備えている。また、化合物半導体センサ素子131(231)は、ホール素子又は磁気抵抗素子である。
また、化合物半導体センサ素子131(231)は、第1の絶縁層121の平坦化面150に設けられる。また、第2の絶縁層122上に外部接続コンタクト(図示せず)が設けられていてもよい。
【0050】
つまり、本実施形態2のセンサ装置200は、半導体基板101と、下部配線層110aと、化合物半導体センサ素子131(231)と、センサ素子用配線141と、第3の絶縁層123と、上部メタル配線層110bと、シールド層160とを備えている。
上述したように、本実施形態2と本実施形態1との相違する構成は、半導体集積回路からの静電結合によるノイズをセンサの下にある下部配線層110aにシールド層160が形成されている点である。このシールド層160が化合物半導体センサ素子131(231)の下方に形成されることにより、非常にたくさんの周波数成分を持つディジタル回路の直上にも、化合物半導体センサ素子を配置することが可能になり、レイアウトの自由度が飛躍的に広がる。
【0051】
また、化合物半導体センサ素子131(231)の端子は、上部配線層110bの第2のメタル配線層112に接続されるように、センサ素子用配線141が形成されている。また、補正抵抗素子132(232)は、片端が上部配線層110bに接続され、他端が下部配線層110aに接続されている。
このように、化合物半導体センサ素子の端子及び補正抵抗素子は、上部配線層及び下部配線層のどちらに接続されてもよく、両方に接続されてもよい。
【0052】
<実施形態3>
本実施形態3は、化合物半導体センサ素子として、ホール素子や磁気抵抗素子などの磁気センサが複数形成される実施形態である。
本実施形態3は、半導体基板101と、半導体基板101上に設けられた第1のメタル配線層111と第2のメタル配線層112との間の絶縁層中に設けられた第1の化合物半導体磁気センサと、第2メタル配線層112と、第2メタル配線112上の第3メタル配線層との間の絶縁層中に設けられた第2の化合物半導体磁気センサを備える。このように、各メタル配線層間に化合物半導体磁気センサを配置する構成であってもよい。さらに追記すると、第2メタル配線層が複数層のメタル配線層で構成されていても構わない。
【0053】
また、断面視で、第2の化合物半導体磁気センサは、第1の化合物半導体磁気センサの上方に形成される。これにより、半導体基板に対して垂直な外部磁場を検出する際に、第1の化合物半導体磁気センサと、第2の化合物半導体磁気ンサに入力される磁場がほぼ同じ値となる。それによって、磁気センサにおいて、1チップによりISO26262で要求されるような機能安全機構を達成できる。特に、別のICチップではなく、1チップの中で、断面視で上下方向にそれぞれの化合物半導体磁気センサが配置されるため、組み立て上の誤差もなく、正確な機能安全機構を達成できる。
第1の化合物半導体磁気センサと第2の化合物半導体磁気センサとは、同じ化合物半導体からなる磁気センサであることがより好ましい。
センサICチップとして、外部接続端子やPADを有していてもよい。
【0054】
<適用例1>
図12は、本実施形態1及び2のセンサ装置の適用例において、化合物半導体センサ素子と半導体集積回路の一例を示す回路図である。
4端子型の回路構成あるいは等価回路を考えることができる4端子型センサ(化合物半導体センサ素子)の回路図であって、代表的にホール素子、磁気抗素子、歪みセンサ、圧力センサ、温度センサ、加速度センサなどがその回路図で表現される。
図12において、例えば、物理量Bの変化に対してセンサ抵抗R1及びセンサ抵抗R4は、それ自身の抵抗値が−ΔRと小さくなる方向に感度を持ち、センサ抵抗R2及びセンサ抵抗R3は、それ自身の抵抗値が+ΔRと大きくなる方向に感度を持って4端子抵抗ブリッジとなっている。
【0055】
図12において、4端子型センサの駆動電流をIBとして、4端子型センサの出力を計算する。
まず、4端子型センサの合成抵抗をRAとすると、RAは、以下のようになる。
RA=1/(1/(R1+R2)+1/(R3+R4))
=(R1+R2)×(R3+R4)/(R1+R2+R3+R4)
考えやすくするために、R1=R4=R−ΔR、R2=R3=R+ΔRとし、さらに基準温度TNOM、例えば、TNOM=室温25度での抵抗値をR及びΔRとすると、基準温度での合成抵抗RAは、
RA=R
となる。
【0056】
したがって、4端子型センサに印加されている駆動電圧は、
VD=IB×Rとなる。
センサ出力VOUTは、プラス端子とマイナス端子の差電圧として与えられ、プラス端子の出力電圧をVP、マイナス端子の出力電圧をVNとして、
VOUT=VP−VN
=IB×R×R2/(R1+R2)−IB×R×R4/(R3+R4)
ここでも、R1=R4=R−ΔR、R2=R3=R+ΔRとすると
=IB×R×((R+ΔR)/(2×R)−(R−ΔR)/(2×R))
=IB×ΔR
となる。
【0057】
ここで、センサ抵抗の温度特性を、基準温度TNOMでの抵抗値R及びΔR、さらに抵抗の温度特性の関数f(T−TNOM)として表現すると、
RT=R×f(T−TNOM)
ΔRT=ΔR×f(T−TNOM)
となる。
したがって、定電流IBで4端子型センサを駆動している場合、式からセンサ出力VOUTの温度特性は、センサ抵抗の温度特性f(T−TNOM)そのものとなる。
【0058】
<適用例2>
図13は、本実施形態1及び2のセンサ装置の適用例において、センサ装置の温度特性を一定にすることができる一例を示す回路図である。なお、図中符号171はAMP、172はNMOSトランジスタを示している。
その回路は、化合物半導体センサ素子と、この化合物半導体センサ素子を駆動する定電流回路とから構成され、この定電流回路は、一例としてオペアンプとNMOSトランジスタとセンサ特性の補正抵抗素子を組み合わせ、外部入力されるVREF電圧とセンサ特性の補正抵抗素子の抵抗値に依存した大きさの定電流を発生する回路となっている。
【0059】
特に、センサ特性の補正抵抗素子は、化合物半導体センサ素子と同じ薄膜からリソグラフィとエッチングにより形成されるので、その補正抵抗素子の温度特性は、化合物半導体センサ素子の温度特性と同じ温度特性f(T−TNOM)で現される。センサ特性の補正抵抗素子の基準温度TNOM、例えば、TNOM=室温25度での抵抗値をRREFとすると、
図13の一例の如くセンサ駆動回路の電流原に用いることで、センサ駆動電流IBは、
IB=VREF/(RREF×f(T−TNOM))
となる。
一方、センサ出力は、式を参考にして、
VOUT=IB×ΔR×f(T−TNOM)
=VREF/(RREF×f(T−TNOM))×ΔR×f(T−TNOM)
=VREF×(ΔR/RREF)
となり、温度特性がキャンセルされることがわかる。
【0060】
<適用例3>
図14は、本実施形態1及び2のセンサ装置の適用例において、センサ装置の温度特性を一定にすることができる他例を示す回路図である。なお、図中符号173,174はPMOSトランジスタ、175はADCを示している。
化合物半導体センサ素子131(231)と、この化合物半導体センサ素子131(231)を定電流で駆動するセンサ駆動回路と、ADC175と、このADC175のレファレンス電圧を発生する電圧発生回路とで構成されている。
化合物半導体センサ素子は、定電流ISで駆動されており、そのセンサ出力は、センサの温度特性まで含めて記述すると、式を参考にして、
VOUT=IB×ΔR×f(T−TNOM)
となる。
【0061】
一方、ADCのディジタル化された1bitの大きさは、レファレンス電圧VREFの大きさをスケーリングして定められる。
図14の例で、ADCのレファレンス電圧VREFは、定電流ISに一定倍率Kを掛けた大きさの定電流K×ISの電流とセンサ特性の補正抵抗素子の抵抗値との積により発生する電圧となっている。センサ特性の補正抵抗素子は、化合物半導体センサ素子と同じ薄膜からリソグラフィとエッチングにより形成されるので、その補正抵抗素子の温度特性は、化合物半導体センサ素子の温度特性と同じ温度特性f(T−TNOM)で現される。センサ特性の補正抵抗素子の基準温度TNOM、例えば、TNOM=室温25度での抵抗値をRREFとすると、ADCのレファレンス電圧VREFは、
VREF=K×IS×RREF×f(T−TNOM)
となる。したがって、VOUTをAD変換して得られるディジタルコードの温度依存性とVREF電圧の温度依存性が同じであるので、温度特性によらないセンサの出力コードが得られる。
【0062】
なお、以上は、センサ装置について説明したが、本発明は、半導体基板101と、半導体基板101上に設けられた第1のメタル配線層111と第2のメタル配線層112との間の絶縁層123中に設けられた化合物半導体素子131(231)とを備えた半導体装置としても適用できるものである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の技術的範囲には限定されない。上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることも可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。