(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラスリボンを成形するフロートバスと、前記フロートバスで成形された前記ガラスリボンを搬送するドロスボックスと、前記ドロスボックスから搬送される前記ガラスリボンを冷却する徐冷炉と、を備える製造装置本体の底部側に設けられ、
前記ガラスリボンの搬送方向である第1方向と交差する第2方向に延びる仕切部材と、
前記仕切部材を前記底部に対して鉛直方向に移動させる昇降機構と、
を備え、
前記仕切部材は、前記ドロスボックス内の前記ガラスリボンが搬送される搬送経路より下側の空間と前記徐冷炉内の前記搬送経路より下側の空間との間に、鉛直方向に移動可能に設けられることを特徴とする雰囲気仕切装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るフロートガラス製造装置について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0021】
なお、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示し、Z軸方向を鉛直方向とし、X軸方向を
図1に示す製造装置本体4の長さ方向とし、Y軸方向を製造装置本体4の幅方向とする。製造装置本体4の長さ方向は、
図1における左右方向であり、本明細書においては、ガラスリボン5の搬送方向(第1方向)である。また、製造装置本体4の幅方向(第2方向)は、
図3における左右方向であり、ガラスリボンの搬送方向と交差する方向である。
【0022】
なお、本明細書において、ガラスリボン5の搬送方向とは、平面視においてガラスリボン5が搬送される方向である。
また、本明細書において、上流側および下流側とは、フロートガラス製造装置1内におけるガラスリボン5の搬送方向(X軸方向)に対するものである。すなわち、本明細書においては、+X側が下流側であり、−X側が上流側である。
【0023】
なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、幅方向とは、製造装置本体4の幅方向を意味するものとし、搬送方向とは、ガラスリボン5の搬送方向を意味するものとする。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のフロートガラス製造装置1を示す側断面図である。
本実施形態のフロートガラス製造装置1は、
図1に示すように、製造装置本体4と、雰囲気仕切装置30と、を備える。
【0025】
[製造装置本体]
製造装置本体4は、ガラスリボン5を成形するフロートバス2と、フロートバス2で成形されたガラスリボン5を搬送するドロスボックス6と、ドロスボックス6から搬送されるガラスリボン5を冷却する徐冷炉10と、を備える。
フロートバス2とドロスボックス6と徐冷炉10とは、この順で並んで設けられている。
【0026】
(フロートバス)
フロートバス2は、たとえば、耐火煉瓦で形成されている。フロートバス2の底壁部18側、すなわち、下側(−Z側)には、高温の溶融錫(Sn)が貯留されており、溶融錫浴(溶融金属浴)3が形成されている。フロートバス2の上流側(−X側)には、図示しない溶解炉が接続されている。溶解炉は、上流側から溶融錫浴3の表面上に溶融ガラスを供給する。
【0027】
フロートバス2の天井壁部16側、すなわち、上側(+Z側)には、フロートバス2の内壁によって囲まれた空間D1が形成されている。空間D1は、フロートバス2内の溶融錫浴3が酸化することを抑制するために、還元性(非酸化性)ガスで満たされている。還元性ガスとしては、たとえば、窒素(N
2)と水素(H
2)との混合ガスである。還元性ガスは、たとえば、図示しないノズル等によってフロートバス2内の空間D1に供給されている。空間D1内は正圧に保持されている。
【0028】
フロートバス2の下流側側壁部17には、開口部2aが形成されている。開口部2aは、フロートバス2の空間D1と、後述するドロスボックス6の上部空間D2bと、を連通している。
【0029】
(ドロスボックス)
ドロスボックス6は、フロートバス2の下流側(+X側)に設けられている。ドロスボックス6は、下部6Aと、上部6Bと、を備える。
下部6Aは、ドロスボックス6における下側(−Z側)の部分である。下部6Aは、底壁部26と、台座21と、シールブロック20と、リフトアウトロール7と、断熱材22と、を備える。
【0030】
台座21は、底壁部26から上側(+Z側)に突出して設けられている。台座21の形状は、壁状である。台座21は、ドロスボックス6の幅方向(Y軸方向)の全体に亘って延びている。台座21は、たとえば、金属製である。本実施形態においては、台座21は、搬送方向(X軸方向)に並んで3つ設けられている。
【0031】
シールブロック20は、台座21の上側(+Z側)にそれぞれ設けられている。すなわち、本実施形態においては、シールブロック20は、たとえば、3つ設けられている。シールブロック20の形状は、壁状である。シールブロック20は、ドロスボックス6の幅方向(Y軸方向)の全体に亘って延びている。シールブロック20は、たとえば、グラファイト等で構成される。
【0032】
リフトアウトロール7は、シールブロック20の上側(+Z側)にそれぞれ設けられている。すなわち、本実施形態においては、リフトアウトロール7は、たとえば、3つ設けられている。リフトアウトロール7は、ロール胴部と、図示しないロール胴部を支持するシャフトと、を備えている。ロール胴部およびシャフトは、ドロスボックス6の幅方向(Y軸方向)に延びている。リフトアウトロール7は、モーター等の駆動装置により、シャフト回りに回転駆動される。
【0033】
リフトアウトロール7の下側(−Z側)の周面は、シールブロック20の上側(+Z側)の面と接している。
断熱材22は、底壁部26の上側(+Z側)に設けられている。
【0034】
ドロスボックス6内の下部空間(空間)D2aは、台座21と、シールブロック20と、リフトアウトロール7と、によって仕切られている。下部空間D2aは、ドロスボックス6内のガラスリボン5が搬送される搬送経路より下側(−Z側)の空間である。
【0035】
なお、本明細書において、ガラスリボン5の搬送経路とは、製造装置本体4の内部空間において、ガラスリボン5が通過する部分である。本実施形態において、ガラスリボン5の搬送経路は、たとえば、ドロスボックス6内においては、リフトアウトロール7の上側(+Z側)の部分を少なくとも含んで形成され、徐冷炉10内においては、後述するレヤーロール9の上側の部分を少なくとも含んで形成される。
【0036】
上部6Bは、フロートバス2と徐冷炉10の間に設置されたフード23と、フード23の上側(+Z側)に配置された断熱材24と、断熱材24の一部とフード23とを貫通してフード23の下面から吊り下げられたドレープ25と、を備える。
【0037】
ドレープ25は、鋼材あるいはガラス材などの耐火材からなる板状の部材である。ドレープ25は、本実施形態においては、たとえば、3つ設けられている。3つのドレープ25は、それぞれ3つのリフトアウトロール7の真上に設置されている。
ドレープ25は、ドロスボックス6の幅方向(Y軸方向)に延びて形成されている。ドレープ25は、ガラスリボン5に上側(+Z側)から近接して設けられ、ドロスボックス6の上側の上部空間D2bを仕切っている。上部空間D2bは、ガラスリボン5と上部6Bとの間の空間である。
【0038】
(徐冷炉)
徐冷炉10は、ドロスボックス6の下流側(+X側)に設けられている。徐冷炉10は、金属製の炉殻11により通路型に構成されている。徐冷炉10は、複数のレヤーロール9を備える。
レヤーロール9は、徐冷炉10の内部に設けられている。レヤーロール9は、搬送方向(X軸方向)に等間隔で複数設置されている。レヤーロール9は、たとえば、リフトアウトロール7と同様の構成であり、徐冷炉10の幅方向(Y軸方向)に延びたシャフト回りに回転駆動される。
【0039】
徐冷炉10の下部空間(空間)D3aと上部空間D3bとは、大気で満たされている。下部空間D3aは、徐冷炉10内のガラスリボン5が搬送される搬送経路より下側(−Z側)の空間である。上部空間D3bは、徐冷炉10内のガラスリボン5が搬送される搬送経路より上側(+Z側)の空間である。
【0040】
徐冷炉10は、たとえば、長さ数十mなどのように長い設備である。徐冷炉10の長さは、製造するガラスリボン5の種類や大きさに応じて好適な長さに構成される。そのため、製造するガラスリボン5の種類や規模、品質等に応じて数十mに限らず、さらに長い徐冷炉、あるいは、短い徐冷炉でもよい。
【0041】
ドロスボックス6の下部空間D2aと、徐冷炉10の下部空間D3aとの間には、ドロスボックス6の底壁部26から上側(+Z側)に突出するとともに、徐冷炉10の炉殻36の底部側(−Z側)の部分から上側に突出する突出壁部27が設けられている。本実施形態においては、突出壁部27は、ドロスボックス6の一部と、徐冷炉10の一部と、によって構成される壁部である。
【0042】
本実施形態においては、フロートバス2の底壁部18と、ドロスボックス6の底壁部26と、突出壁部27と、徐冷炉10の炉殻36の下側(−Z側)の部分と、によって製造装置本体の底部が形成されている。
【0043】
製造装置本体4内において、図示しない溶融炉からフロートバス2に流入した溶融ガラスは、溶融錫浴3の表面を上流側(−X側)から下流側(+X側)に流動する。これにより、溶融ガラスは帯板状のガラスリボン5に成形される。成形されたガラスリボン5は、ドロスボックス6に設けられたリフトアウトロール7によって引き出され、徐冷炉10へと搬送される。徐冷炉10に搬送されたガラスリボン5は、徐冷炉10内に設けられたレヤーロール9で搬送されながら、冷却される。徐冷炉10において冷却されたガラスリボン5は、次工程で洗浄された後、切断装置で所定の寸法に切断され、目的の大きさのガラス板が得られる。
【0044】
[雰囲気仕切装置]
雰囲気仕切装置30は、突出壁部27の上面に設置されている。すなわち、雰囲気仕切装置30は、フロートガラス製造装置1における製造装置本体4の底部側(−Z側)に設けられている。
図2および
図3は、本実施形態の雰囲気仕切装置30を示す図である。
図2は、
図3におけるII−II断面図である。
図3は、正面図である。
【0045】
雰囲気仕切装置30は、
図2および
図3に示すように、ベース部材35と、第1昇降機構(昇降機構)50と、第2昇降機構(昇降機構)54と、仕切部材33と、を備える。
【0046】
ベース部材35は、突出壁部27の上面に固定されている。すなわち、ベース部材35は、製造装置本体4の底部に固定されている。ベース部材35の上側(+Z側)には仕切部材33が設けられている。すなわち、ベース部材35は、仕切部材33の下側(−Z側)に設けられている。
【0047】
ベース部材35の幅方向(Y軸方向)の一方側(−Y側)の端部には、第1昇降機構50が設けられ、ベース部材35の幅方向の他方側(+Y側)の端部には、第2昇降機構54が設けられている。
仕切部材33の幅方向の両端は、第1昇降機構50と第2昇降機構54とに支持されている。
【0048】
第1昇降機構50と第2昇降機構54とは、仕切部材33をベース部材35に対して鉛直方向(Z軸方向)に移動させる。言い換えると、第1昇降機構50と第2昇降機構54とは、仕切部材33を製造装置本体4の底部の一部である突出壁部27に対して鉛直方向に移動させる。
【0049】
第1昇降機構50と第2昇降機構54との操作部は、製造装置本体4の外側に設けられている。
雰囲気仕切装置30は、ベース部材35と、ベース部材35の上側に設けられた仕切部材33とによって、ドロスボックス6の下部空間D2aと、徐冷炉10の下部空間D3aとを仕切る。
以下、雰囲気仕切装置30の各部について詳細に説明する。
【0050】
(ベース部材)
ベース部材35は、
図2および
図3に示すように、突出壁部27の上面に設けられている。ベース部材35は、レール部材38と、ベース金具35hと、カバー金具35a,35b,35cと、固定金具35d,35eと、ガイドブロック35f,35gと、スペーサー61a,61bと、ガイドピン62と、を備える。
【0051】
レール部材38は、突出壁部27の上面に固定されている。レール部材38は、突出壁部27の幅方向(Y軸方向)に延びている。レール部材38は、上側(+Z側)に開口する溝部38aを有する。
【0052】
ベース金具35hは、レール部材38の溝部38aに係合されている。ベース金具35hは、レール部材38に沿って幅方向(Y軸方向)に移動可能である。ベース金具35hの幅方向の位置は、フロートガラス製造装置1の使用時においては固定される。
【0053】
ベース金具35hは、断面視(ZX面視)で略L字形状である。ベース金具35hは、
図3に示すように、突出壁部27の幅方向(X軸方向)のほぼ全体に亘って延びている。ベース金具35hは、
図2に示すように、鉛直方向(Z軸方向)に延びる第1金具部39aと、第1金具部39aの下側(−Z側)の端部から下流側(+X側)に延びる第2金具部39bと、を備える。
【0054】
第1金具部39aにおける下流側(+X側)の面には、ガイドピン62が突出して固定されている。ガイドピン62は、第1金具部39aの下側(−Z側)の端部近傍に設けられている。
【0055】
第1金具部39aにおける下流側(+X側)の面におけるガイドピン62の上側(+Z側)には、ロッド用凹部34bが形成されている。ロッド用凹部34bは、図示は省略するが、幅方向(Y軸方向)に延びている。ロッド用凹部34bは、幅方向において、後述するロッド41cが移動する範囲を含むように形成されている。
第2金具部39bは、レール部材38の溝部38aに係合される部分である。
【0056】
カバー金具35aは、ベース金具35hの下流側(+X側)に設けられている。ベース金具35hは、カバー金具35aの上側(+Z側)の部分に、スペーサー61a,61bを介して固定されている。スペーサー61a,61bは、図示は省略するが、それぞれ幅方向(Y軸方向)に並んで複数設けられている。
【0057】
スペーサー61a,61bの搬送方向(X軸方向)の寸法は、ベース部材35の厚み、すなわち、搬送方向の寸法が、後述する仕切部材33の保持部材32と仕切板31とを合わせた厚み(X軸方向の寸法)と同程度になるように設定されている。カバー金具35aとベース金具35hとの間には、隙間(凹部)34aが形成されている。すなわち、ベース部材35は、上側に開口する隙間34aを有する。
【0058】
カバー金具35aの下側(−Z側)の端部は、ロッド用凹部34bよりも上側(+Z側)に位置している。これにより、カバー金具35aの下側の端部と、第2金具部39bとの間には、隙間AR1が形成されている。
カバー金具35aは、
図3に示すように、ベース部材35における幅方向の一方側(−Y側)の端部に設けられ、幅方向(Y軸方向)に延びている。
【0059】
カバー金具35bは、ベース部材35における幅方向(Y軸方向)の中央に設けられ、幅方向に延びている。
カバー金具35cは、ベース部材35における幅方向の他方側(+Y側)の端部に設けられ、幅方向に延びている。
カバー金具35b,35cの構成は、幅方向において設けられる位置が異なる点を除いて、カバー金具35aと同様である。
【0060】
固定金具35dは、幅方向(Y軸方向)において、カバー金具35aとカバー金具35bとの間に設けられている。固定金具35dは、図示は省略するが、カバー金具35aと同様に、スペーサーを介して、ベース金具35hと固定されている。
固定金具35eは、幅方向において、カバー金具35bとカバー金具35cとの間に設けられている。固定金具35eは、設けられる位置が異なる点を除いて、固定金具35eと同様である。
【0061】
ガイドブロック35fは、カバー金具35aの幅方向(Y軸方向)の一部に設けられている。より詳細には、ガイドブロック35fは、カバー金具35aの−Y側の端部近傍に設けられている。ガイドブロック35fは、ベース金具35hの第1金具部39aに固定されている。ガイドブロック35fは、環状であり、内側にロッド41が挿入される。
ガイドブロック35gは、カバー金具35aの+Y側の端部近傍に設けられる点を除いて、ガイドブロック35fと同様である。
【0062】
(仕切部材)
仕切部材33は、ベース部材35の上側(+Z側)に、鉛直方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。仕切部材33は、幅方向(Y軸方向)に延び、ベース部材35とともに、ドロスボックス6の下部空間D2aと、徐冷炉10の下部空間D3aとを仕切る。すなわち、仕切部材33は、ドロスボックス6の下部空間D2aと徐冷炉10の下部空間D3aとの間に設けられている。
【0063】
仕切部材33は、
図2に示すように、保持部材32と、仕切板31と、押え部材31aと、を備える。
保持部材32は、仕切板31を保持する部材である。保持部材32は、
図3に示すように、幅方向(Y軸方向)に延びている。保持部材32の幅方向の寸法は、仕切板31よりも大きい。保持部材32の幅方向の両端部は、製造装置本体4の外側に位置している。
【0064】
保持部材32の断面形状は、
図2に示すように、L字形状である。保持部材32は、鉛直方向(Z軸方向)に延びる側板部32aと、側板部32aの下側(−Z側)の端部から下流側(+X側)に延びる底板部32bと、底板部32bに固定された固定部36a,36bと、を備える。
【0065】
底板部32bの幅方向(Y軸方向)の一方側(−Y側)の端部には、図示しない貫通孔が形成されており、その貫通孔には、後述する第1昇降機構50のボルト53cが挿通されている。底板部32bの幅方向の他方側(+Y側)の端部には、図示しない貫通孔が形成されており、その貫通孔には、後述する第2昇降機構54のボルト57cが挿通されている。底板部32bは、ボルト53c,57cに対して、鉛直方向(Z軸方向)の位置が固定されている。
【0066】
固定部36a,36bは、底板部32bの下側(−Z側)の面に固定されている。固定部36a,36bは、幅方向(Y軸方向)において、製造装置本体4の内側に位置している。本実施形態において固定部36aと固定部36bとは、保持部材32を幅方向に略三等分する位置に設けられている。固定部36aには、後述する第1昇降機構50のリンク部42が接続されている。固定部36bには、後述する第2昇降機構54のリンク部47が接続されている。
【0067】
底板部32bは、第1昇降機構50に、ボルト53cとリンク部42とを介して、支持され、第2昇降機構54に、ボルト57cとリンク部47とを介して、支持されている。これにより、保持部材32、すなわち、仕切部材33は、第1昇降機構50と第2昇降機構54とによって、4点で支持される。
【0068】
本実施形態においては、仕切部材33におけるボルト53cによって支持される箇所を昇降箇所P1とし、仕切部材33におけるリンク部42によって支持される箇所を昇降箇所P2とし、仕切部材33におけるリンク部47によって支持される箇所を昇降箇所P3とし、仕切部材33におけるボルト57cによって支持される箇所を昇降箇所P4とする。本実施形態においては、昇降箇所P1〜P4は、幅方向(Y軸方向)に略等間隔に並んで設けられている。
【0069】
仕切板31は、保持部材32に保持されている。仕切板31は、
図2および
図3に示すように、たとえば、長方形の平板であり、製造装置本体4の全体に亘って、幅方向(Y軸方向)に延びている。仕切板31は、幅方向において、底板部32bにおける後述するボルト53c,57cが挿通された箇所よりも内側、すなわち、製造装置本体4側に位置している。
【0070】
仕切板31は、保持部材32の側板部32aの下流側(+X側)の面と、保持部材32の底板部32bの上側(+Z側)の面と、に接触している。仕切板31の下流側の面には、押え部材31aが接している。押え部材31aは、たとえば、ネジ等によって仕切板31を介して保持部材32の側板部32aと固定されている。これにより、仕切板31は、保持部材32に保持される。
【0071】
仕切板31の材質は、たとえば、セラミックス等の耐熱性に優れた材料である。仕切板31は、図示は省略するが、たとえば、幅方向(Y軸方向)に延びる数枚の板状部材を連結して構成される。仕切板31の幅方向の寸法は、フロートガラス製造装置1の大きさにもよるが、一例として、3m以上、7m以下程度である。
【0072】
(昇降機構)
第1昇降機構50は、
図3に示すように、ベース部材35の幅方向(Y軸方向)の一方側(−Y側)に設けられている。第2昇降機構54は、ベース部材35の幅方向の他方側(+Y側)に設けられている。すなわち、昇降機構は、製造装置本体4の幅方向の両側にそれぞれ設けられている。第1昇降機構50と第2昇降機構54とは、仕切部材33の昇降箇所P1〜P4を下側(−Z側)から支持している。
【0073】
第1昇降機構50と第2昇降機構54とは、仕切部材33の昇降箇所P1〜P4を、それぞれ個別に鉛直方向(Z軸方向)に昇降させることができる。第1昇降機構50と第2昇降機構54とにおいて、仕切部材33を鉛直方向に移動させる操作を行うための操作部は、製造装置本体4の外側に設けられている。
【0074】
なお、第2昇降機構54は、雰囲気仕切装置30の幅方向(Y軸方向)の中央に対して、対称に設けられている点を除いて、第1昇降機構50と同様であるため、以下の説明においては、代表して第1昇降機構50についてのみ説明する場合がある。
【0075】
第1昇降機構50は、基台50aと、送りネジ支持台50bと、昇降部40と、支持部52と、を備える。
基台50aは、製造装置本体4の外側に設けられている。送りネジ支持台50bは、基台50aの製造装置本体4側と逆側(−Y側)に設けられている。昇降部40は、基台50aと、送りネジ支持台50bと、によって支持されている。支持部52は、基台50aに接続されている。
【0076】
昇降部40は、送りネジ(操作部)41aと、カップリング41bと、ロッド41cと、接続ロッド41dと、リンク部(運動変換部)42と、を備える。
図4(A),(B)は、本実施形態の昇降部40の部分を示す断面図(YZ断面図)である。
図4においては、基台50aの図示を省略している。
【0077】
送りネジ41aは、昇降部40による昇降動作を操作する操作部である。操作部である送りネジ41aは、製造装置本体4の外側に設けられている。送りネジ41aは、
図4(A)に示すように、幅方向(Y軸方向)に延びている。送りネジ41aは、送りネジ支持台50bに支持されている。
【0078】
送りネジ支持台50bには、雰囲気仕切装置30の幅方向(Y軸方向)に貫通する貫通孔50cが設けられている。貫通孔50cの内径は、送りネジ41aの外径よりも大きい。送りネジ41aは、貫通孔50cに挿通されている。送りネジ41aには、ナット41f及びナット41gが固定されている。
【0079】
ナット41fは、送りネジ支持台50bの−Y側において送りネジ41aに固定されている。ナット41gは、送りネジ支持台50bの+Y側において送りネジ41aに固定されている。ナット41fを送りネジ41aに固定する方法は特に限定されない。ナット41fは、たとえば、ナット41fと送りネジ41aとを貫通するピンによって送りネジ41aに固定されている。ナット41gについても同様である。ナット41f及びナット41gが、送りネジ支持台50bを幅方向(Y軸方向)に挟んで送りネジ41aに固定されていることにより、幅方向における、送りネジ41aの移動が規制される。
【0080】
接続ロッド41dは、幅方向(Y軸方向)に延びている。接続ロッド41dは、基台50aに、幅方向(Y軸方向)に移動可能に支持されている。接続ロッド41dには、製造装置本体4と逆側(−Y側)に開口する雌ネジ部41eが設けられている。雌ネジ部41eには、送りネジ41aの製造装置本体4側(+Y側)の端部が螺合されている。接続ロッド41dの製造装置本体4側の端部(+Y側)は、カップリング41bを介してロッド41cと接続されている。
【0081】
カップリング41bは、接続ロッド41dとロッド41cとを接続できる範囲において、特に限定されず、いかなる公知のカップリングを用いてもよい。カップリング41bは、たとえば、半割式のカップリングである。
【0082】
ロッド41cは、カップリング41b及び接続ロッド41dを介して、送りネジ41aと接続されている。ロッド41cは、カップリング41bから、幅方向(Y軸方向)の製造装置本体4側(+Y側)に、製造装置本体4の内側まで延びている。言い換えると、ロッド41cは、操作部である送りネジ41aから、幅方向に延びている。ロッド41cのカップリング41bから延びた側(+Y側)の端部は、
図3に示すように、リンク部42と接続されている。ロッド41cは、カップリング41bに対して、取り外し可能に接続されている。
【0083】
ロッド41cは、
図2に示すように、ガイドピン62によって下側(−Z側)から支持されている。ロッド41cの一部は、ベース金具35hの第1金具部39aに形成されたロッド用凹部34bに収容されている。ロッド41cは、ロッド用凹部34bに沿って、幅方向(Y軸方向)に移動可能に設けられている。ロッド41cは、
図3に示すように、ガイドブロック35fが設けられている位置においては、ガイドブロック35fの内側に挿入されている。
【0084】
ロッド41cの断面形状は、特に限定されず、矩形状であっても、円形状であっても、楕円形状であっても、その他の形状であってもよい。
図2に示すように、本実施形態においては、ロッド41cの断面形状は、たとえば、角丸長方形状である。
【0085】
リンク部42は、
図3に示すように、第1リンク43と、第2リンク44と、を備える。
第1リンク43は、ロッド41cと仕切部材33の固定部36aとにそれぞれX軸回りに回転可能に接続されている。これにより、リンク部42は、ロッド41cと仕切部材33の昇降箇所P2とを接続する。
【0086】
第2リンク44は、第1リンク43とベース部材35の固定金具35dとにそれぞれX軸回りに回転可能に接続されている。第2リンク44は、第1リンク43の長さ方向の中央に接続されている。第2リンク44の固定金具35dとの接続部44aは、固定金具35dの上流側(−X側)の面に接続されている。
【0087】
リンク部42、すなわち、第1リンク43と第2リンク44とは、本実施形態においては、スコット・ラッセルリンク機構を構成している。スコット・ラッセルリンク機構とは、入力された直線運動を、その入力された直線運動とほぼ直角の方向の直線運動に変換する機構である。これにより、リンク部42は、ロッド41cの幅方向(Y軸方向)の運動を、仕切部材33の鉛直方向(Z軸方向)の運動に変換する。詳細については後述する。
【0088】
支持部52は、製造装置本体4の外側に設けられ仕切部材33の幅方向(Y軸方向)の両端を支持する。支持部52は、ボルト53cと、上側ナット53aと、下側ナット(ナット,操作部)53bと、を備える。
【0089】
ボルト53cは、基台50aの上側(+Z側)の面から突出して設けられている。ボルト53cは、仕切部材33における保持部材32の底板部32bに形成された図示しない貫通孔に挿通され、鉛直方向(Z軸方向)に延びている。
【0090】
上側ナット53aは、保持部材32の底板部32bの上側(+Z側)でボルト53cに嵌め合わされている。
下側ナット53bは、保持部材32の底板部32bの下側(−Z側)でボルト53cに嵌め合わされている。
【0091】
底板部32bは、上側ナット53aと下側ナット53bとによって、鉛直方向(Z軸方向)に挟持される。これにより、仕切部材33が、支持部52のボルト53cに固定され、昇降箇所P1において支持される。言い換えると、ボルト53cは、仕切部材33に接続されている。
【0092】
下側ナット53bは、ボルト53cにおける仕切部材33の支持位置を操作する操作部である。下側ナット53bを操作することで、支持部52における仕切部材33の支持位置を、ボルト53cに沿って、鉛直方向(Z軸方向)に移動させることができる。操作部である下側ナット53bは、製造装置本体4の外側に設けられている。
【0093】
第2昇降機構54は、ベース部材35の幅方向の他方側(+Y側)に設けられている。第2昇降機構54は、基台54aと、送りネジ支持台54bと、昇降部45と、支持部56と、を備える。
昇降部45は、送りネジ(操作部)46aと、カップリング46bと、ロッド46cと、接続ロッド46dと、リンク部(運動変換部)47と、を備える。
【0094】
支持部56は、ボルト57cと、上側ナット57aと、下側ナット(ナット,操作部)57bと、を備える。
リンク部47は、第1リンク48と、第2リンク49と、を備える。
【0095】
基台54aと、送りネジ支持台54bと、送りネジ46aと、カップリング46bと、ロッド46cと、接続ロッド46dと、ボルト57cと、上側ナット57aと、下側ナット57bと、第1リンク48と、第2リンク49とは、雰囲気仕切装置30の幅方向(Y軸方向)の中央に対して、対称に設けられている点を除いて、第1昇降機構50の各部と同様の構成である。
第1リンク48は、仕切部材33の固定部36aに接続されている。
第2リンク49の接続部49aは、固定金具35eの上流側(−X側)の面に接続されている。
【0096】
(ガイドロッド)
雰囲気仕切装置30は、ガイドロッド(突出部材)60をさらに備える。
ガイドロッド60は、保持部材32の底板部32bの下面32cから突出して設けられた棒状部材である。ガイドロッド60は、幅方向(Y軸方向)に並んで、複数設けられている。ガイドロッド60は、本実施形態においては、たとえば、8つ設けられている。ガイドロッド60は、
図2に示すように、ベース部材35に形成された隙間34aに挿入されている。
【0097】
(シール部材)
雰囲気仕切装置30は、シール部材(突出部材)37をさらに備える。
シール部材37は、保持部材32の底板部32bの下面32cに固定されている。シール部材37は、下側(−Z側)に突出している。シール部材37は、
図3に示すように、製造装置本体4の幅方向(Y軸方向)のほぼ全体に亘って延びている。シール部材37は、仕切部材33とベース部材35との隙間AR2を封止する。
【0098】
シール部材37は、一例として、
図2に示すように、薄厚の金属板の搬送方向(X軸方向)の中央が保持部材32の底板部32bの下面32cに固定され、薄厚の金属板の上流側(−X側)の端部と下流側(+X側)の端部とを下側(−Z側)に折り曲げて形成されている。
【0099】
シール部材37における折り曲げられた部分は、ベース部材35の隙間34aに挿入されている。シール部材37における折り曲げられた部分のうち上流側(−X側)の部分は、ベース金具35hの下流側(+X側)の面に接触している。シール部材37における折り曲げられた部分のうち下流側の部分は、カバー金具35a,35b,35cおよび固定金具35d,35eの上流側の面に接触している。
【0100】
[雰囲気仕切装置の昇降動作]
次に、雰囲気仕切装置30の昇降動作について説明する。
図5(A)および
図5(B)は、雰囲気仕切装置30の昇降動作を説明するための正面図である。
図5(A)および
図5(B)においては、ベース部材35、ガイドロッド60、およびシール部材37の図示を省略している。
【0101】
図5(A)に示す状態から、各操作部を操作して、仕切部材33の高さH4を調整する。本明細書において仕切部材33の高さH4とは、基台50aの下側(−Z側)の端部を基準としたときの仕切板31の上側(+Z側)の端部までの鉛直方向(Z軸方向)の距離である。
【0102】
本実施形態の雰囲気仕切装置30には、第1昇降機構50の送りネジ41aと、第1昇降機構50の下側ナット53bと、第2昇降機構54の送りネジ46aと、第2昇降機構54の下側ナット57bと、の4つの操作部が設けられている。各操作部は、仕切部材33の各昇降箇所P1〜P4を鉛直方向(Z軸方向)に移動させる操作を行うための部分である。
【0103】
下側ナット53bは、昇降箇所P1を昇降させる。送りネジ41aは、昇降箇所P2を昇降させる。送りネジ46aは、昇降箇所P3を昇降させる。下側ナット57bは、昇降箇所P4を昇降させる。本実施形態においては、仕切部材33の幅方向(Y軸方向)に略等間隔に配置された昇降箇所P1〜P4を、各操作部を操作することでそれぞれ昇降させ、仕切部材33の全体を昇降させる。
以下、各操作部の操作について詳細に説明する。
【0104】
まず、送りネジ41aの操作について説明する。
図4(B)に示すように、送りネジ41aを回転させて、送りネジ41aと螺合されている接続ロッド41dを幅方向のロッド41c側(+Y側)に移動させる。これにより、カップリング41bを介して、接続ロッド41dと接続されたロッド41cが、幅方向のリンク部42側(+Y側)に移動する。このとき、送りネジ41aは、ナット41f及びナット41gによって幅方向の移動を規制されているため、幅方向に移動しない。
【0105】
図5(B)に示すように、ロッド41cが移動することで、ロッド41cに接続された第1リンク43が、第1リンク43と固定部36aとの接続部を中心に、正面視で反時計回りに回転する。そして、第1リンク43の回転に連動して、第2リンク44が接続部44aを中心に、正面視で時計回りに回転する。これにより、第1リンク43と第2リンク44とによって、固定部36aが上側(+Z側)に押し上げられ、昇降箇所P2における仕切部材33の高さH4を大きくできる。
【0106】
同様にして、第2昇降機構54の送りネジ46aを操作することで、昇降箇所P3における仕切部材33の高さH4を大きくできる。
以上のようにして、スコット・ラッセルリンク機構を構成するリンク部42,47は、ロッド41cの幅方向(Y軸方向)の動きを、仕切部材33の鉛直方向(Z軸方向)の動きに変換できる。
なお、送りネジ41a,46aを回転させる方法は、自動であってもよいし、手動であってもよい。
【0107】
次に、下側ナット53bの操作について説明する。
上側ナット53aを回転させ、ボルト53cに沿って上側(+Z側)に移動させる。これにより、上側ナット53aが、保持部材32の底板部32bから上側に離間し、仕切部材33の保持部材32は、ボルト53cに対して上側へ移動可能な状態となる。
【0108】
この状態で、下側ナット53bを回転させて、仕切部材33の保持部材32をボルト53cに沿って上側(+Z側)に移動させる。これにより、昇降箇所P1において、仕切部材33が、下側ナット53bによって下側(−Z側)から押し上げられ、上側へと移動する。このようにして、昇降箇所P1における仕切部材33の高さH4を大きくできる。
【0109】
昇降箇所P1における仕切部材33の高さH4が所望する位置となった後、上側ナット53aをボルト53cに沿って下側(−Z側)に移動させ、上側ナット53aと下側ナット53bとで仕切部材33の保持部材32の位置を固定する。
【0110】
同様にして、第2昇降機構54の下側ナット57bを操作することで、昇降箇所P4における仕切部材33の高さH4を大きくできる。
なお、上側ナット53aおよび下側ナット53bを回転させる方法は、自動であっても、手動であってもよい。
【0111】
以上のようにして、各操作部をそれぞれ操作して、仕切部材33の昇降箇所P1〜P4を昇降させ、仕切部材33の高さH4が幅方向(Y軸方向)のいずれの位置においても同程度になるように調整する。
なお、仕切部材33を降下させる場合には、送りネジ41a,46aおよび下側ナット53b,57bを上述した回転の向きとは逆に回転させる。
【0112】
本実施形態によれば、仕切部材33の高さH4を第1昇降機構50および第2昇降機構54によって調整できるため、
図2に示す仕切部材33における仕切板31の上側(+Z側)の端部とガラスリボン5との距離H1を調整できる。これにより、徐冷炉10の下部空間D3aの大気がドロスボックス6の下部空間D2aに流入することを抑制できる。
【0113】
なお、仕切板31とガラスリボン5との距離H1は、たとえば、5mm以下程度とすることが好ましい。このように設定することで、徐冷炉10の下部空間D3aの大気がドロスボックス6の下部空間D2aに流入することを好適に抑制できる。
【0114】
また、本実施形態によれば、製造条件の変更に応じて、仕切部材33の高さH4を変更できる。そのため、製造条件の変更によってガラスリボン5の撓みが変動する場合であっても、仕切部材33とガラスリボン5とが、接触することを抑制できる。
【0115】
なお、ガラスリボン5の撓みが変動する場合とは、たとえば、
図2に示すガラスリボン5の厚みH2が変更された場合や、搬送用のリフトアウトロール7やレヤーロール9の数が変更され、ロール間の距離が変動した場合等、である。
【0116】
具体的には、たとえば、ガラスリボン5の厚みH2を小さくした場合には、ガラスリボン5の撓みが大きくなるため、仕切部材33を下側に降下させて、ガラスリボン5との接触を抑制する。
また、たとえば、ガラスリボン5の厚みH2を大きくした場合には、ガラスリボン5の撓みが小さくなるため、仕切部材33を上側に上昇させて、ガラスリボン5と仕切板31との距離H1を小さくする。
【0117】
また、雰囲気仕切装置30の昇降動作に合わせて、複数のリフトアウトロール7と複数のレヤーロール9とのうちの一部のロールの周速度を変更して、ガラスリボン5の撓みを調整することで、ガラスリボン5と仕切板31との距離H1を調整してもよい。
【0118】
以上により、本実施形態によれば、ガラスリボン5が仕切部材33に接触することを抑制しつつ、徐冷炉10内の大気がドロスボックス6に流入することを抑制できる。
【0119】
また、たとえば、仕切部材33の両端のみを支持して、仕切部材33の高さ調整をする場合においては、仕切部材33の中央付近が撓んで、ガラスリボン5と仕切板31との距離H1が幅方向において均一とならない場合がある。
また、たとえば、熱によってドロスボックス6が変形し、仕切部材33がドロスボックス6の変形した形状に沿って、歪んで配置される場合がある。これにより、ガラスリボン5と仕切板31との距離H1が幅方向において均一とならない場合がある。
【0120】
これに対して、本実施形態によれば、操作部が4つ設けられ、仕切部材33の幅方向の両端と、製造装置本体4の内側に位置する2点と、の4点の昇降箇所P1〜P4において、個別に仕切部材33の高さH4を調整できる。したがって、本実施形態によれば、仕切部材33の高さH4を各昇降箇所P1〜P4において個別に調整することで、ガラスリボン5と仕切板31との距離H1を幅方向の全体に亘ってほぼ均一となるように調整することができる。
【0121】
また、たとえば、製造装置本体4の内部に収容された仕切部材33の高さを調節する方法としては、仕切部材33の下側に高さ調節用の部材を挟み込む方法が考えられる。しかし、この場合においては、仕切部材33を持ち上げた状態で保持し、高さ調節用の部材を挟み込む必要があるため、手間がかかる。
これに対して、本実施形態によれば、操作部を操作することによって仕切部材33の高さH4を操作できるため、簡便である。
【0122】
また、製造装置本体4の内部は高温となるため、仕切部材33の幅方向の中央付近に高さ調節用の部材を挟み込むことは、極めて困難である。
これに対して、本実施形態によれば、ロッド41c,46cおよびリンク部42,47を用いることで、製造装置本体4の内側に位置する昇降箇所P2,P3において、仕切部材33の高さH4を調整できる。したがって、本実施形態によれば、仕切部材33の幅方向における中央付近の高さH4を調整することが容易である。
【0123】
また、仕切部材33の下側に高さ調節用の部材を挟み込む方法では、高さ調節用の部材の厚み単位でしか、仕切部材33の高さを調節できない。
【0124】
これに対して、本実施形態によれば、操作部として、送りネジ41a,46aと、下側ナット53b,57bと、を採用したことにより、仕切部材33の細かい高さ調整が可能である。具体的には、たとえば、0.1mm単位程度の精度で、仕切部材33の高さH4を調整できる。
【0125】
また、製造装置本体4は内部の雰囲気が外側に漏れないようにシールされている。そのため、上記のようにして製造装置本体4の内部に収容された仕切部材33の下側に、高さ調節用の部材を挟み込む方法を採用する場合には、製造装置本体4のシールを外す必要がある。これにより、仕切部材33の高さを変更した後に、製造装置本体4の内部の雰囲気が所定の雰囲気に充填されるまで時間がかかり、製造効率が低下する場合がある。
【0126】
これに対して、本実施形態によれば、各操作部は、製造装置本体4の外側に設けられているため、製造装置本体4のシールを外さない状態で仕切部材33の高さH4を調整できるため、製造効率が低下することを抑制できる。
【0127】
また、たとえば、何らかの原因によりガラスリボン5が切れた場合においては、切れたガラスリボン5がドロスボックス6と徐冷炉10との間の仕切壁に堰き止められ、フロートガラス製造装置1の損傷が拡大する虞がある。
これに対して、本実施形態によれば、ガラスリボン5が切れた際には、仕切部材33を下げて、切れたガラスリボン5が仕切部材33によって堰き止められないようにすることで、フロートガラス製造装置1の損傷が拡大することを抑制できる。
【0128】
また、本実施形態によれば、ガイドロッド60がベース部材35の隙間34aに挿入されているため、保持部材32および仕切部材33が、搬送方向に倒れることを抑制できる。
【0129】
また、仕切部材33は、第1昇降機構50および第2昇降機構54によって高さH4が変動するため、
図2および
図3に示すように、保持部材32とベース部材35との間に隙間AR2が生じ、隙間AR2から徐冷炉10の下部空間D3aの雰囲気がドロスボックス6の下部空間D2aに流入する虞がある。
【0130】
これに対して、本実施形態によれば、保持部材32の下面32cに固定されたシール部材37が、下側に延びて、ベース部材35の隙間34aの内側面に接触して設けられている。そのため、シール部材37によって保持部材32とベース部材35との隙間AR2がシールされ、徐冷炉10の下部空間D3aの雰囲気がドロスボックス6の下部空間D2aに流入することを抑制できる。
【0131】
また、シール部材37は、ベース部材35の隙間34a内に挿入された状態で、保持部材32の鉛直方向の移動に伴って、鉛直方向に移動する。そのため、
図3に示す保持部材32とベース部材35との隙間AR2の距離H3が変動した場合であっても、隙間AR2を介して、徐冷炉10の下部空間D3aからドロスボックス6の下部空間D2aに大気が流入することを抑制できる。
【0132】
また、本実施形態によれば、ベース部材35におけるカバー金具35a,35b,35cの下側には、隙間AR1が形成されている。これにより、
図2に示すように、ロッド41cが移動する際に接触する面積を小さくでき、ロッド41cが移動する際の摩擦抵抗を低減できる。
【0133】
また、本実施形態によれば、ロッド41cの下側は、ガイドピン62によって支持されている。そのため、たとえば、ロッド41cがガイド溝等に嵌められる場合に比べて、ロッド41cの接触面積が小さく、ロッド41cが移動する際の摩擦抵抗を低減できる。
【0134】
また、本実施形態によれば、環状のガイドブロック35f,35gが設けられている。そのため、ガイドブロック35f,35gが設けられている位置においては、ロッド41cは、ガイドブロック35f,35gの内側に挿入されている。これにより、本実施形態によれば、ロッド41c,46cに過大な荷重がかかる等した場合であっても、ロッド41c,46cが座屈することを抑制できる。
【0135】
また、本実施形態によれば、ガイドブロック35f,35gは、それぞれカバー金具35a,35cの幅方向の一部に設けられているため、ロッド41c,46cの接触面積を小さくできる。
【0136】
また、本実施形態によれば、たとえば、仕切板31は数枚の板状部材を連結して構成されている。そのため、昇降箇所P1〜P4における仕切部材33の高さH4を個別に調整する際に、各昇降箇所P1〜P4における仕切部材33の高さH4が異なった場合であっても、仕切板31に応力がかかることを抑制できる。
【0137】
また、本実施形態によれば、ロッド41c,46cの断面形状は、角丸長方形状である。そのため、ロッド41c,46cの下側は丸みを帯びており、ガイドピン62と接触する面積を小さくできる。
【0138】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0139】
上記説明においては、仕切部材33の幅方向(Y軸方向)の中央付近を昇降させる機構として、リンク式の機構を用いたがこれに限られない。本実施形態においては、たとえば、
図6(A)および
図6(B)に示すような構成を採用してもよい。
【0140】
図6(A)および
図6(B)は、本実施形態の雰囲気仕切装置の他の一例である雰囲気仕切装置130を示す正面図である。
図6(A)および
図6(B)においては、ベース部材35、ガイドロッド60、およびシール部材37の図示を省略している。
なお、上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0141】
雰囲気仕切装置130は、
図6(A)に示すように、第1昇降機構150と、第2昇降機構154と、を備える。第1昇降機構150は、仕切部材33の幅方向の一方側(−Y側)に設けられている。第2昇降機構154は、仕切部材33の幅方向の他方側(+Y側)に設けられている。
【0142】
第1昇降機構150は、昇降部140を備える。第2昇降機構154は、昇降部145を備える。
昇降部140は、ロッド41cと、楔部142と、楔受部136aと、を備える。
【0143】
楔部142は、ロッド41cのカップリング41bとは逆側(+Y側)の端部に固定されている。楔部142は、正面視で三角形状の部材であり、斜面142aを有する。斜面142aは、保持部材32と斜面142aとの距離が、幅方向(Y軸方向)において、ロッド41c側(−Y側)から先端側(+Y側)に向かうに従って、連続的に大きくなるように傾いている。
【0144】
楔受部136aは、保持部材32における底板部32bの下面32cに固定されている。楔受部136aは、幅方向(Y軸方向)において、製造装置本体4の内側に位置する。楔受部136aの設けられる幅方向の位置は、たとえば、上記説明した固定部36aと同じ位置である。楔受部136aは、楔部142の斜面142aと対向する斜面136cを有する。斜面136cは、斜面142aと同様に傾いている。斜面136cと斜面142aとは、接触している。
【0145】
第2昇降機構154の昇降部145は、ロッド46cと、楔部147と、楔受部136bと、を備える。
楔部147は、斜面147aを有しており、雰囲気仕切装置130の幅方向(Y軸方向)の中央に対して、対称に設けられている点を除いて、第1昇降機構150の楔部142と同様である。
【0146】
楔受部136bは、斜面136dを有しており、雰囲気仕切装置130の幅方向(Y軸方向)の中央に対して、対称に設けられている点を除いて、第1昇降機構150の楔受部136aと同様である。
【0147】
送りネジ41aを回転させ、ロッド41cを介して楔部142を幅方向の中心側(+Y側)に移動させると、
図6(B)に示すように、楔受部136aの斜面136cが、楔部142の斜面142aから鉛直方向上向き(+Z向き)の力を受け、楔受部136aが上側(+Z側)に押し上げられる。これにより、昇降部140を用いて、昇降箇所P2における仕切部材33の高さH4を大きくできる。
第2昇降機構154についても同様であり、昇降部145を用いて、昇降箇所P3における仕切部材33の高さH4を大きくできる。
【0148】
以上のようにして、この構成によれば、仕切部材33の高さH4を調整できる。
なお、この構成においては、楔部142,147および楔受部136a,136bが、特許請求の範囲における運動変換部に相当する。すなわち、楔部142,147および楔受部136a,136bによって、ロッド41c,46cの幅方向(Y軸方向)の運動が、仕切部材33の鉛直方向(Z軸方向)の運動に変換される。
【0149】
また、本実施形態においては、ベース部材35は一体部材であってもよい。また、ベース部材35は、ガイドロッド60が挿入される隙間34aの代わりに、上側(+Z側)に開口する有底の凹部を有していてもよい。
【0150】
また、本実施形態においては、昇降部40,45のうちいずれか一方、あるいは両方が設けられていなくてもよい。
また、本実施形態においては、ボルト53c,57cのうちいずれか一方、あるいは両方が設けられていなくてもよい。この場合、仕切部材33の一端、あるいは両端は、たとえば、鉛直方向に移動自在に設けられる。
【0151】
また、本実施形態においては、リンク部42,47は、スコット・ラッセルリンク機構以外のリンク機構であってもよい。
また、本実施形態においては、たとえば、ガイドロッド60が設けられていなくてもよい。この場合においては、シール部材37が、ガイドロッド60の機能を兼ねていてもよい。
【0152】
また、本実施形態においては、リンク部42は、ロッド41cに、幅方向に沿って複数設けられてもよい。リンク部47についても同様である。
また、本実施形態においては、第1昇降機構50が個別に操作可能な昇降部を2つ以上備えていてもよい。
また、本実施形態においては、仕切板31は一体部材であってもよい。
【0153】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態に対して、1つの操作部によって仕切部材233の高さを調整できる点において異なる。
なお、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号付す等によって説明を省略する場合がある。
【0154】
図7は、本実施形態の雰囲気仕切装置230を示す正面図である。
図7においては、ベース部材35、ガイドロッド60、およびシール部材37の図示を省略している。
本実施形態の雰囲気仕切装置230は、
図7に示すように、仕切部材233と、昇降機構250と、を備える。
仕切部材233は、仕切板31と、保持部材232と、を備える。
昇降機構250は、昇降部240を備える。
【0155】
保持部材232は、複数の固定部236を介して、昇降部240のみによって支持されている。本実施形態においては、保持部材232の幅方向(Y軸方向)の寸法は、たとえば、仕切板31の幅方向の寸法とほぼ同じである。保持部材232のその他の点については、第1実施形態の保持部材32と同様である。固定部236は、設けられている位置が異なる点を除いて、第1実施形態の固定部36a,36bと同様である。
【0156】
昇降部240は、ロッド241cと、複数のリンク部(運動変換部)242と、を備える。
ロッド241cは、−X側の端部がカップリング41bに接続されている。ロッド241cは、カップリング41bから、保持部材232の幅方向(Y軸方向)の全体に亘って延びている。
【0157】
複数のリンク部242は、それぞれロッド241cに接続されている。リンク部242は、幅方向(Y軸方向)に沿って、等間隔に並んでいる。複数のリンク部242は、
図7に示す例では、たとえば、7つ設けられている。
【0158】
複数のリンク部242は、それぞれ第1リンク243と、第2リンク244と、を備えている。第1リンク243と第2リンク244とは、第1実施形態の第1リンク43と第2リンク44と同様である。すなわち、第1リンク243と第2リンク244とは、スコット・ラッセルリンク機構を構成し、ロッド241cの幅方向の運動を、鉛直方向(Z軸方向)の運動に変換する。
【0159】
本実施形態においては、第1実施形態と同様にして、送りネジ41aを回転させてロッド241cを幅方向(Y軸方向)に移動させることで、仕切部材233における、各リンク部242が接続された箇所、すなわち、複数の固定部236の箇所を鉛直方向(Z軸方向)に昇降させることができる。これにより、仕切部材233の幅方向の全体の高さが変化する。
【0160】
本実施形態によれば、1つの操作部、すなわち、送りネジ41aを操作することのみによって、仕切部材233全体を昇降できるため、簡便である。
【0161】
また、本実施形態によれば、複数のリンク部242が仕切部材233の幅方向に並んで接続されているため、仕切部材233が撓んで、仕切部材233の高さが均一とならないことを抑制できる。
【0162】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0163】
本実施形態においては、リンク部242の数は、6つ以下であってもよいし、8つ以上であってもよい。この場合においては、固定部236を、リンク部242の数に合わせて設ける。
【0164】
また、本実施形態においては、リンク部242の代わりに、第1実施形態において説明した楔部142と楔受部136aとによる運動変換部を設ける構成としてもよい。
また、本実施形態においては、仕切部材233の幅方向の両端を、たとえば、第1実施形態の支持部52,56を用いて支持してもよい。
【0165】
なお、その他の実施形態として、製造装置本体4の幅方向(Y軸方向)の全体に沿って設けられたワイヤーに、仕切部材として雰囲気を仕切ることが可能なクロスを吊り下げ、ワイヤーの両端をシリンダー等によって、引っ張る、あるいは、緩めることで、クロスを昇降させる構成を採用してもよい。