特許第6264533号(P6264533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6264533
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】板状体梱包用パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/48 20060101AFI20180115BHJP
   B65D 19/44 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B65D85/48
   B65D19/44 D
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-231087(P2013-231087)
(22)【出願日】2013年11月7日
(65)【公開番号】特開2015-34056(P2015-34056A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】特願2013-144675(P2013-144675)
(32)【優先日】2013年7月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】石井 義忠
(72)【発明者】
【氏名】布施 裕児
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−063274(JP,A)
【文献】 特開2003−200929(JP,A)
【文献】 特開2009−298479(JP,A)
【文献】 特開2013−100116(JP,A)
【文献】 特開2013−107686(JP,A)
【文献】 特開2010−111399(JP,A)
【文献】 特開2005−298062(JP,A)
【文献】 米国特許第03887071(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/48
B65D 19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体梱包用パレットに積載された板状体の端面に当接されて板状体の側方移動を規制する板状体押さえ装置を備えた板状体梱包用パレットにおいて、
前記板状体押さえ装置は、
前記板状体の端面に対して近接した進出位置と前記板状体の端面に対して退避した退避位置との間で進退移動自在に前記板状体梱包用パレットに装着された本体と、
前記板状体梱包用パレットに設けられ、前記本体を前記進出位置において着脱自在に係止する係止部材と、
前記本体に固定されたナットと、
前記ナットに螺合されたネジ棒と、
前記ネジ棒の先端部に取り付けられ、前記ネジ棒が前記ナットに対して正転方向に回転された際に前記板状体の端面に対して進出移動され、かつ前記ネジ棒が前記ナットに対して逆転方向に回転された際に前記板状体の端面に対して退避移動される押さえ部材と、
前記ネジ棒の基端部に取り付けられた回転操作部と、
を備えたことを特徴とする板状体梱包用パレット。
【請求項2】
前記本体は、前記板状体の端面に対して直交する方向に直進移動されることにより、前記進出位置と前記退避位置との間で進退移動される請求項1に記載の板状体梱包用パレット。
【請求項3】
前記本体及び前記板状体梱包用パレットには、前記本体の前記直進移動を案内する案内部材が設けられる請求項2に記載の板状体梱包用パレット。
【請求項4】
前記本体には、前記係止部材による前記本体の係止を解除する解除部材が設けられる請求項1、2又は3に記載の板状体梱包用パレット。
【請求項5】
前記板状体梱包用パレットには、前記本体を前記進出位置で固定するストッパ部材が着脱自在に取り付けられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の板状体梱包用パレット。
【請求項6】
前記板状体梱包用パレット及び前記本体には、前記本体を前記退避位置で保持する保持部材が設けられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の板状体梱包用パレット。
【請求項7】
前記本体は、着脱部を介して前記板状体梱包用パレットに着脱自在に装着される請求項1〜6のいずれか1項に記載の板状体梱包用パレット。
【請求項8】
前記本体は、前記板状体の端面に対して傾動されることにより、前記進出位置と前記退避位置との間で進退移動される請求項1に記載の板状体梱包用パレット。
【請求項9】
前記本体は、ヒンジを介して前記板状体梱包用パレットに傾動自在に取り付けられ、
前記ヒンジは、
前記本体又は前記板状体梱包用パレットのうち一方に取り付けられた軸と、
前記本体又は前記板状体梱包用パレットのうち他方に取り付けられ、かつ前記軸が着脱自在に挿抜される筒状の軸受と、
からなる請求項8に記載の板状体梱包用パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状体梱包用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のFPD(Flat Panel Display)に用いられる複数枚のガラス板積層体を梱包する板状体梱包用パレットとして、特許文献1に開示されたガラス板梱包用パレットが知られている。
【0003】
ここで、複数枚のガラス板が積層された物、又は複数枚のガラス板が合紙等の緩衝材を介して積層されたものをガラス板積層体といい、ガラス板積層体が搭載されて梱包される物をガラス板梱包用パレットといい、ガラス板梱包用パレットにガラス板積層体が梱包されたものをガラス板梱包体という。
【0004】
ガラス板梱包用パレットは、ガラス板の下端面を受ける底受け板と、ガラス板の主面を受ける背受け板と、ガラス板の側端面に当接されてガラス板の側方移動(いわゆる横ずれ)を規制するガラス板押さえ装置とを備えている。
【0005】
ガラス板積層体は、ガラス板梱包用パレットに梱包された後、ガラス板製造工場からディスプレイ組立工場にトラック等の輸送手段によって輸送されるが、輸送中の振動によってガラス板積層体がガラス板梱包用パレットに対して側方移動しないように、前記ガラス板押さえ装置によって前記側方移動が規制されている。
【0006】
特許文献1には、ガラス板押さえ装置の本体がガラス板梱包用パレットに固定されたガラス板押さえ装置が開示されている。
【0007】
特許文献1のガラス板押さえ装置は、前記本体、ナット、ネジ棒、押さえ板、及びハンドルから構成される。前記ナットは、前記本体に固定され、このナットに前記ネジ棒が螺合される。そのネジ棒の先端部に前記押さえ板が取り付けられ、ネジ棒の基端部に前記ハンドルが取り付けられる。
【0008】
特許文献1のガラス板押さえ装置によれば、作業者がハンドルを締め込む方向に回転すると、ねじ棒の送り作用によって押さえ板が、ガラス板積層体の側端面に向けて移動される。そして、押さえ板がガラス板積層体の側端面に当接した後、所定の強さを持ってハンドルを締め込む。これによって、ガラス板積層体の側方移動が、ガラス板押さえ装置によって規制される。また、作業者がハンドルを緩める方向に回転することによって、ガラス板積層体の側端面から押さえ板が退避移動し、側方移動の規制が解除される。この後、ガラス板の積み下ろし作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−63274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1のガラス板押さえ装置は、輸送手段による輸送中の振動によってガラス板から強い力を受けると、その力によってネジ棒がナットに噛み込む場合があった。また、ガラス板積層体の側方移動により、ガラス板押さえ装置に負荷がかかった場合には、作業者のハンドル操作による規制解除操作が困難になり、スパナやレンチ等の工具を用いてネジ棒を緩めなければならず、ガラス板の積み下ろし作業に支障を与えるという問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、板状体押さえ装置に負荷がかかっている場合でも、板状体の積み下ろし作業を問題無く行うことができる板状体梱包用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、前記目的を達成するために、板状体梱包用パレットに積載された板状体の端面に当接されて板状体の側方移動を規制する板状体押さえ装置を備えた板状体梱包用パレットにおいて、前記板状体押さえ装置は、前記板状体の端面に対して近接した進出位置と前記板状体の端面に対して退避した退避位置との間で進退移動自在に前記板状体梱包用パレットに装着された本体と、前記板状体梱包用パレットに設けられ、前記本体を前記進出位置において着脱自在に係止する係止部材と、前記本体に固定されたナットと、前記ナットに螺合されたネジ棒と、前記ネジ棒の先端部に取り付けられ、前記ネジ棒が前記ナットに対して正転方向に回転された際に前記板状体の端面に対して進出移動され、かつ前記ネジ棒が前記ナットに対して逆転方向に回転された際に前記板状体の端面に対して退避移動される押さえ部材と、前記ネジ棒の基端部に取り付けられた回転操作部と、を備えたことを特徴とする板状体梱包用パレットを提供する。
【0013】
本発明の一態様によれば、板状体梱包用パレットに板状体を積載する積載時には、板状体押さえ装置の本体が積載作業に邪魔にならないように退避位置に位置される。
【0014】
次に、板状体押さえ装置によって板状体の側方移動を規制する場合には、まず、板状体押さえ装置の本体を退避位置から進出位置に移動させ、係止部材によって本体を進出位置で係止する。次に、回転操作部を正転方向に回転させ、ネジ棒とナットとの送り作用によって、押さえ部材を板状体の端面に向けて進出移動させる。そして、押さえ部材を板状体の端面に当接させた後、ハンドルによってネジ棒を所定の力で締め込む。これによって、板状体の側方移動が、板状体押さえ装置によって規制される。
【0015】
次に、輸送中の振動によってネジ棒がナットに噛み込んだり、板状体の側方移動により、板状体押さえ装置に負荷がかかったりして、回転操作部の逆転方向操作(押さえ部材の規制解除操作)が困難な場合には、係止部材による本体の係止を解除し、本体を進出位置から退避位置に移動させる。これにより、本発明の一態様は、板状体押さえ装置に負荷がかかっている場合でも、本体が退避位置に移動しているので、板状体の積み下ろし作業を問題無く行うことができる。なお、板状体押さえ装置に負荷がかかっていない場合であっても、回転操作部を逆転方向に操作する前に、本体を進出位置から退避位置に移動させることが好ましい。
【0016】
本発明の一態様は、前記本体は、前記板状体の端面に対して直交する方向に直進移動されることにより、前記進出位置と前記退避位置との間で進退移動されることが好ましい。
【0017】
本発明の一態様によれば、本体が板状体の端面に対して直交する方向、例えば水平方向に直進移動されて、進出位置と退避位置との間で進退移動される。
【0018】
本発明の一態様は、前記本体及び前記板状体梱包用パレットには、前記本体の前記直進移動を案内する案内部材が設けられることが好ましい。
【0019】
本発明の一態様によれば、本体は案内部材によって円滑に進退移動される。
【0020】
本発明の一態様は、前記本体には、前記係止部材による前記本体の係止を解除する解除部材が設けられることが好ましい。
【0021】
本発明の一態様によれば、解除部材によって係止部材による本体の係止を解除することによって、本体が退避位置に移動可能となる。なお、係止部材単体においても、係止解除操作を行うことができるが、例えば、複数の係止部材が用いられている場合、又は係止部材の取り付け位置の関係で、係止部材単体での係止解除操作が困難な場合には、係止部材に連結された解除部材を別途設けることが好ましい。つまり、複数の係止部材による係止解除を解除部材によって同時に行うことができ、また、係止部材単体での係止解除操作が困難な場合でも、解除部材を操作容易な場所に設けることによって係止解除操作を容易に行うことができる。
【0022】
本発明の一態様は、前記板状体梱包用パレットには、前記本体を前記進出位置で固定するストッパ部材が着脱自在に取り付けられることが好ましい。
【0023】
本発明の一態様によれば、ストッパ部材によって本体が進出位置に固定されるので、板状体梱包用パレットの輸送時に板状体から本体に力が作用しても、本体は進出位置で確実に保持される。
【0024】
本発明の一態様は、前記板状体梱包用パレット及び前記本体には、前記本体を前記退避位置で保持する保持部材が設けられることが好ましい。
【0025】
本発明の一態様によれば、退避位置において本体は、保持部材によって板状体梱包用パレットに保持されるので、退避位置における板状体梱包用パレットからの本体の脱落を防止できる。
【0026】
本発明の一態様は、前記本体は、着脱部を介して前記板状体梱包用パレットに着脱自在に装着されることが好ましい。
【0027】
板状体取出装置によって、板状体梱包用パレットから板状体を取り出す際に、板状体取出装置の一部が本体に干渉する場合がある。その際には、本体を板状体梱包用パレットから取り外す。これにより、板状体取出装置による板状体の取り出し作業を問題無く実施できる。
【0028】
本発明の一態様は、前記本体は、前記板状体の端面に対して傾動されることにより、前記進出位置と前記退避位置との間で進退移動されることが好ましい。
【0029】
本発明の一態様によれば、本体が板状体の端面に対して傾動されて、進出位置と退避位置との間で進退移動される。すなわち、板状体梱包用パレットと本体とがヒンジを介して連結される。
【0030】
本発明の一態様は、前記本体は、ヒンジを介して前記板状体梱包用パレットに傾動自在に取り付けられ、前記ヒンジは、前記本体又は前記板状体梱包用パレットのうち一方に取り付けられた軸と、前記本体又は前記板状体梱包用パレットのうち他方に取り付けられ、かつ前記軸が着脱自在に挿抜される筒状の軸受と、からなることが好ましい。
【0031】
板状体取出装置によって、板状体梱包用パレットから板状体を取り出す際に、板状体取出装置の一部が本体に干渉する場合がある。その際には、ヒンジを構成する軸から軸受を抜去して本体を板状体梱包用パレットから取り外す。これにより、板状体取出装置による板状体の取り出し作業を問題無く実施できる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように本発明の板状体梱包用パレットによれば、板状体押さえ装置に負荷がかかっている場合でも、本体が退避位置に移動可能なので、板状体の積み下ろし作業を問題無く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1の実施形態の押さえ装置が備えられた梱包体の全体斜視図
図2】梱包体の出荷形態を示した梱包体の側面図
図3】実施形態の押さえ装置の側面図
図4】押さえ装置の本体が進出位置に位置された形態を押さえ装置の上方から押さえ装置を見た要部斜視図
図5図4の形態において押さえ装置の下方から押さえ装置を見た要部斜視図
図6】押さえ装置の本体が退避位置に位置された形態を押さえ装置の上方から押さえ装置を見た要部斜視図
図7図6の形態において押さえ装置の下方から押さえ装置を見た要部斜視図
図8A】本体が退避位置に位置された押さえ装置の正面図
図8B】本体が進出位置に位置された押さえ装置の正面図
図8C】押さえ板がガラス板の側端面に当接された押さえ装置の正面図
図9A】係止部材にピンが係止される直前状態を示した係止部材及び解除部材の平面図
図9B】係止部材にピンが係止された状態を示した係止部材及び解除部材の平面図
図10A】係止部材によるピンの係止が解除される直前状態を示した係止部材及び解除部材の平面図
図10B】係止部材によるピンの係止が解除された状態を示した係止部材及び解除部材の平面図
図11】本体をパレットに着脱自在に装着する着脱部の構成を示した平面図
図12】第2の実施形態の押さえ装置の本体が退避位置に位置された斜視図
図13】第2の実施形態の押さえ装置の本体が進出位置に位置された斜視図
図14】第3の実施形態の押さえ装置の本体がパレットから取り外された斜視図
図15】第3の実施形態の押さえ装置の本体がパレットに装着された斜視図
図16】第1の実施形態の押さえ装置が平積み型の梱包体に適用されたガラス板梱包体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面に従って本発明に係る板状体梱包用パレットの好ましい実施形態について説明する。
【0035】
図1は、実施形態のガラス板押さえ装置(以下、「押さえ装置」という。)10が備えられた縦積み型のガラス板梱包体(以下、「梱包体」という。)12の全体斜視図である。図2は、梱包体12の出荷形態を示した梱包体12の側面図である。
【0036】
図1の梱包体12のガラス板梱包用パレット(以下、「パレット」という。)13は、特にFPD用のガラス板Gを斜めに立て掛けた状態で梱包するパレットである。また、パレット13は、例えば42インチのガラス板を4枚又は6枚取り可能な大サイズの複数枚のガラス板Gを、合紙(不図示)を挟んで梱包するパレットである。なお、パレット13の用途は、これに限定されるものではなく、多種のガラス板の梱包体として適用される。
【0037】
パレット13に前記合紙を介して積層された複数枚のガラス板G(ガラス板積層体)は、図2に示すシート100に包装された状態で出荷される。
【0038】
〔出荷形態の梱包体12の構成〕
図2の如くパレット13に積載されたガラス板積層体はシート100に包装されており、その前面に、所定厚さの矩形状の緩衝材102が被せられ、緩衝材102の前面に前枠104が被せられる。前枠104の下端部は、梱包体12の底受け板18に係合され、下端部を支点に傾動されて緩衝材102の前面に当接される。なお、底受け板18については後述する。
【0039】
上部横押さえ部材106は、その基端部がフレーム20に係合されて片持ち支持された状態で、ガラス板積層体の側端部にシート100を介して当接されている。なお、フレーム20についても後述する。
【0040】
前枠104の上部の側部には、フック108が設けられ、フック108にベルト110の一端が掛けられる。ベルト110は、上部横押さえ部材106を横切るように配設され、ベルト110の他端が、ラチェット式巻上装置112を介してフレーム20に連結される。
【0041】
したがって、ラチェット式巻上装置112によってベルト110が巻き上げられると、ベルト110の張力によって前枠104が緩衝材102の前面に押し付けられる。そして、張設されたベルト110によって上部横押さえ部材106がシート100の側端部に押し付けられる。また、ガラス板積層体は、実施形態の押さえ装置10によって側方移動が規制される。梱包体12は、このような形態で輸送手段に搭載されて出荷される。
【0042】
〔パレット13の構成〕
図1の如く、パレット13は、基台となる台座14、ガラス板Gの下端面が載置される底受け板18、側面視三角形状のフレーム20、ガラス板Gの主面が支持される平板状の背受け板22、及び壁24等を備えて構成される。
【0043】
底受け板18は、台座14の上面に備えられた搭載面16上に、搭載面16に対して傾斜して設けられる。フレーム20は搭載面16上に立設され、フレーム20の前面の傾斜面が、底受け板18の主面(ガラス板Gを下縁部が載置される面)に対して90°〜100°、特に好ましくは約95°に設定され、この傾斜面に背受け板22が立て掛けられて固定される。底受け板18及び背受け板22には、ガラス板Gを載置した際のガラス板Gとの接触による損傷を防止するため、ゴムや硬質の発泡性樹脂等のクッション材25(底受け板18側のみ図示)が設けられている。
【0044】
台座14の搭載面16の後部には壁24が立設され、この壁24にフレーム20が支持されている。また、台座14の前面にはフォークリフトの爪(不図示)が挿抜される一対の開口部26が備えられている。
【0045】
底受け板18は、搭載面16と底受け板18との間に配置された複数の三角形状の底片28を介して搭載面16上に傾斜して載置される。また、底受け板18の主面は、ガラス板Gを差込むための溝等が形成されない実質的に平坦なものであるが、ガラス板Gを、合紙(不図示)を挟んで載置できるものであれば、波状や粗面状であってもよい。底受け板18は、その主面が台座14の搭載面16に対して好ましくは5°〜25°、より好ましくは10°〜20°、特に好ましくは約18°に傾斜して配置される。これにより、ガラス板積載装置による梱包体12へのガラス板積載時に、ガラス板Gの位置決め作業が容易になる。また、各ガラス板Gの主面は自重によって背受け板22側のガラス板Gの主面に接するので、各ガラス板Gの主面間に無駄な隙間が生じることはない。更に、載置するガラス板Gの安定化を図ることができ、ガラス板Gの前方(図1の矢印Xの方向)へのずれや崩壊を防止し、併せて傷や割れを防止できる。
【0046】
〔第1の実施形態の押さえ装置10の構成〕
第1の実施形態の押さえ装置10は、底受け板18と背受け板22との側部連結部付近のガラス板Gを左右方向(図1の矢印Xに直交する矢印Yの方向)から挟み込むように、台座14の搭載面16に2台設置される。
【0047】
なお、2台の押さえ装置10、10は同一構成なので、ここでは図1の右側に配置された押さえ装置10の構成のみ説明し、左側に配置された押さえ装置10についてはその説明を省略する。
【0048】
図3は、押さえ装置10の側面図である。
【0049】
図4は、押さえ装置10の本体30が進出位置に位置された形態を押さえ装置10の上方から押さえ装置10を見た要部斜視図である。図5は、図4の形態において、押さえ装置10の下方から押さえ装置10を見た要部斜視図である。
【0050】
図6は、押さえ装置10の本体30が退避位置に位置された形態を押さえ装置10の上方から押さえ装置10を見た要部斜視図である。図7は、図6の形態において、押さえ装置10の下方から押さえ装置10を見た要部斜視図である。
【0051】
図3図7に示すように、実施形態の押さえ装置10は、本体30、一対の係止部材32、ナット34、ネジ棒36、押さえ板(押さえ部材)38、ハンドル(回転操作部材)40、及び解除部材42等を備えて構成される。
【0052】
〈本体30〉
本体30は、図4の如く底板30A、両側の側板30B、及び背板30Cを備え、図4図5に示した進出位置と図6図7に示した退避位置との間で進退移動自在に底受け板18に装着される。すなわち、本体30は、2点鎖線で示したガラス板Gの側端面に対して直交する水平方向に直進移動されて、進出位置と退避位置との間で進退移動される。
【0053】
〈進出位置、退避位置〉
図8Aは、本体30が退避位置に位置された押さえ装置10の正面図、図8Bは、本体30が進出位置に位置された押さえ装置10の正面図、図8Cは、押さえ板38がガラス板G(ガラス板積層体)の側端面に当接された押さえ装置10の正面図である。
【0054】
図8Bに示すように、進出位置とは、押さえ板38がガラス板Gの側端面から若干量離間した位置である。このとき押さえ板38は、本体30の背板30C側に近接されており、ハンドル40を回転させることによって、この位置からガラス板Gの側端面に向けて進出される(図8C参照)。また、図8Aに示すように、退避位置とは、ガラス板Gの積み下ろし時に、押さえ板38や本体30が邪魔にならない位置、例えば、押さえ板38がガラス板Gの側端面から約60mm離れた位置である。
【0055】
〈案内部材〉
本体30及び底受け板18には、本体30の直進移動を案内する案内部材が設けられる。この案内部材は、図5図7に示すように、底受け板18に形成された一対のスリット44と、本体30の底板30Aから下方に突設された一対のピン46とからなる。スリット44は、本体30の直進移動軌跡に沿って形成され、このスリット44にピン46が係合され、スリット44に沿ってピン46が摺動されることにより、本体30が図4図5の進出位置と図6図7の退避位置との間で円滑に移動される。なお、ピン46の先端部の直径は、スリット44の幅寸法よりも大きく形成され、スリット44からのピン46の抜けが防止されている。これにより、本体30は底受け板18に対し、すなわち梱包体12に対して取り外し不能に装着される。なお、押さえ装置10の各部材の材質は、押さえ装置10に剛性をもたせるために剛性の高い金属製であることが好ましい。
【0056】
〈保持部材〉
また、本体30と底受け板18とには、本体30を退避位置で保持する第1の保持部材及び第2の保持部材が設けられる。
【0057】
第1の保持部材は、図5図7に示すように、底受け板18に形成されたスリット48と、本体30の底板30Aから下方に突設されたピン50とからなる。スリット48は、2本のスリット44の間にスリット44と平行に形成され、このスリット48にピン50が係合される。ピン50の先端部の直径は、スリット48の幅寸法以上の大きさで形成される。
【0058】
これにより、本体30の退避位置において、本体30が第1の保持部材によって退避位置に保持される。よって、図6図7の如く、本体30の一部が底受け板18の側方から突出された退避位置において保持されつつ、底受け板18からの本体30の脱落が防止される。なお、スリット44とピン46も本体30からの脱落防止に寄与している。
【0059】
第2の保持部材は、図5の如く、底受け板18に形成された一対の孔52と、図7の如く、本体30の底板30Aに対して突没自在な一対のピン54とからなる。すなわち、退避位置において、一対の孔52に一対のピン54が係合される。これにより、本体30は第1の保持部材、第2の保持部材、及びスリット44とピン46とによって退避位置に確実に保持される。
【0060】
なお、ピン54は、図3の如くボス56に挿入されており、ボス56は、本体30の底板30Aに形成された貫通孔(不図示)に取り付けられている。したがって、本体30が退避位置に位置したところで、ピン54がボス56を介して落下し、孔52に挿入される。
【0061】
また、一対のピン54は上部にてバー58を介して連結されている。このバー58がボス56の上端面に当接することにより、孔52からのピン54の脱落が防止され、かつ、バー58を上方に移動させることにより、孔52からピン54が引き抜かれる。すなわち、第2の保持部材による本体30の保持が解除される。
【0062】
〈係止部材32〉
図5図7に示した係止部材32は、市販品のロック部材(スナッチロック、型番C−1849:タキゲン製造株式会社製)であり、底受け板18の裏面に固定される。また、係止部材32は、本体30が進出位置に位置された際に、ピン46と係合される。これにより、本体30が進出位置で係止される。
【0063】
係止部材32は、ブラケット60と一対のロック爪62、64とを備える。一対のロック爪62、64はブラケット60に回動自在に支持され、かつ不図示のコイルスプリングによって解除方向に付勢されている。係止部材32は、図7の如く一対のロック爪62、64が解除位置に位置している状態において、図5の如く一対のロック爪62、64の間にピン46が挿入されると、一対のロック爪62、64がピン46に押されてロック方向に回動され、図5のロック位置で一対のロック爪62、64同士が係合される。これにより、一対のロック爪62、64が回動不能になるので、ロック位置でピン46が一対のロック爪62、64に保持され、本体30が進出位置に係止される。すなわち、ピン46を係止部材32に押し込むだけの操作、つまり、本体30を進出位置に位置させる動作だけで本体30が進出位置に係止される。
【0064】
また、一対のロック爪62、64のうち一方のロック爪62は、ロック解除レバーとして機能する。すなわち、一方のロック爪62を図5の矢印A方向(解除方向)に回動させることにより、ロック爪62、64同士の係合が解除され、一対のロック爪62、64が前記コイルスプリングの付勢力によって回動され、図7の解除位置に戻される。これにより、一対のロック爪62、64によるピン46の保持が解除されるので、本体30は退避位置に移動可能となる。
【0065】
〈解除部材42〉
実施形態の押さえ装置10では、一方のロック爪62を解除方向に回動操作する解除部材42が、底受け板18の裏面に取り付けられている。
【0066】
図9Aは、係止部材32にピン46が係止される直前状態を示した係止部材32及び解除部材42の平面図、図9Bは、係止部材32にピン46が係止された状態を示した係止部材32及び解除部材42の平面図である。
【0067】
また、図10Aは、係止部材32によるピン46の係止が解除される直前状態を示した係止部材32及び解除部材42の平面図、図10Bは、係止部材32によるピン46の係止が解除された状態を示した係止部材32及び解除部材42の平面図である。
【0068】
なお、図9Aの矢印Dは、ピン46が係止部材32に向かう方向を示している。また、図10Bの矢印Eは、ピン46が係止部材32から退避する方向を示し、矢印Fは、他方のロック爪64が解除に向けて回動する方向を示している。
【0069】
図9A図9B図10A図10Bに示すように解除部材42は、レバー66及びロッド68から構成される。レバー66はピン70を介して底受け板18(図5参照)の裏面に回動自在に取り付けられる、ロッド68の基端部は、レバー66の長手方向縁部の略中央部にピン72を介して回動自在に連結されている。そして、係止部材32の一方のロック爪62が連結具74を介してロッド68に連結されている。したがって、レバー66を図5及び図10Aの矢印B方向に回動させることにより、ロッド68が矢印C方向に移動される。これによって、ロッド68に連結された一方のロック爪62が図5の矢印A方向に回動されるので、係止部材32によるピン46の保持が解除される。
【0070】
このように、解除部材42によって係止部材32による本体30の係止を解除でき、本体30が退避位置に移動可能となる。
【0071】
なお、係止部材32単体においても、一方のロック爪62を矢印A方向に回動操作することで、係止解除操作を行うことができるが、実施形態のように、複数(2個)の係止部材32が用いられていたり、係止部材32が底受け板18の裏側に取り付けられていたりする場合、つまり、係止部材32単体での係止解除操作が困難な場合には、解除部材42を別途設けることが好ましい。これにより、複数(2個)の係止部材32による係止解除を解除部材42によって同時に行うことができ、また、係止部材32単体での係止解除操作が困難な場合でも、係止解除操作を容易に行うことができる。
【0072】
〈ナット34、ネジ棒36、押さえ板38、ハンドル40〉
図4に示すようにナット34は、本体30の背板30Cの中央部に固定される。また、背板30Cには、ナット34の開口部と同軸上に、ネジ棒36が貫通される開口部(不図示)が備えられている。
【0073】
図4図6に示すようにネジ棒36は、その軸心36Aが本体30の進退方向に沿って配置される。ネジ棒36はナット34に螺合され、ネジ棒36の先端部には、矩形状の押さえ板38が椀形の金具76を介して固定されている。また、押さえ板38の前面(ガラス板Gの側端面側の面)には、押さえ板38と略同サイズの軟質樹脂パッド78が、緩衝部材として貼り付けられている。更に、ネジ棒36の基端部には、円盤状のハンドル40が各々の軸心が合致された状態で固定される。
【0074】
したがって、ハンドル40によってネジ棒36がナット34に対して正転方向に回転されると、押さえ板38はガラス板の側端面に対して進出移動され、また、ハンドル40によってネジ棒36がナット34に対して逆転方向に回転されると、押さえ板38はガラス板Gの側端面に対して退避移動される。
【0075】
〔押さえ装置10の作用〕
まず、梱包体12にガラス板Gを積載する積載時には、図8Aに示したように、押さえ装置10の本体30が積載作業に邪魔にならないように、本体30が退避位置に位置される。このとき、ピン54が図5の孔52に挿入されているので、本体30は退避位置に保持される。この様態で、梱包体に規定枚数のガラス板Gが積層されていく。
【0076】
次に、押さえ装置10によってガラス板Gの側方移動を規制する場合には、図8Aに示したバー58を矢印H方向に持ち上げて、孔52からピン54を抜き取り、退避位置での本体30の保持を解除する。
【0077】
次に、本体30を退避位置から図8Bの進出位置に矢印Dの如く移動させ、図9B図10Aに示した係止部材32にピン46を保持させて本体30を進出位置で係止する。
【0078】
次に、図8Cのハンドル40を正転方向に回転させ、ネジ棒36とナット34との送り作用によって、押さえ板38を矢印Iの如くガラス板Gの側端面に向けて進出移動させ、押さえ板38をガラス板Gの側端面に当接させ、所定の力で締め込む。これによって、ガラス板G(ガラス板積層体)の側方移動が、押さえ装置10によって規制される。
【0079】
次に、輸送中の振動によってネジ棒36がナット34に噛み込んだり、ガラス板Gの側方移動により、押さえ装置10に負荷がかかったりして、ハンドル40の逆転方向操作(押さえ板38の規制解除操作)が困難な場合には、図10A図10Bに示したように解除部材42によって係止部材32による係止を強制的に解除し、本体30を図8Cの進出位置から、図8Aの退避位置に移動させる。
【0080】
これにより、実施形態の押さえ装置10によれば、押さえ装置10に負荷がかかっている場合でも、本体30が退避位置に移動しているので、ガラス板Gの積み下ろし作業を問題無く行うことができる。
【0081】
なお、押さえ装置10に負荷がかかっていない場合であっても、ハンドル40を逆転方向に操作する前に、本体30を進出位置から退避位置に移動させてもよい。これにより、ガラス板Gの積み下ろし作業を速やかに行うことができる。
【0082】
〈ストッパ部材80〉
また、図4には、本体30を進出位置で固定するストッパ部材80が示されている。ストッパ部材80はプレート82と、プレート82の下面から突設された一対のピン84とからなる。
【0083】
底受け板18の上面に形成されている一対の孔52に一対のピン84を挿入することにより、プレート82がストッパとして機能する。よって、梱包体12の輸送時にガラス板Gから本体30に力が作用しても、本体30はストッパ部材80によって進出位置で確実に保持される。
【0084】
図11は、本体30(図3図8参照)をパレット13の底受け板18に着脱自在に装着する着脱部の構成を示した平面図である。前記着脱部について説明する。
【0085】
ピン46の先端部の直径D1は、スリット44の幅B1の寸法よりも大きく形成され、ピン50の先端部の直径D2は、スリット48の幅B2の寸法以上の大きさで形成される。すなわち、ピン46がスリット44を摺動する本体30の進退範囲、及びピン50がスリット48を摺動する本体30の進退範囲では、本体30は底受け板18に対して着脱されない構造となっている。
【0086】
前記着脱部によれば、スリット44はL字状に形成され、スリット44に対して直角に曲げられたスリット45の幅B3の寸法が、ピン46の先端部の直径D1よりも大きく形成される。同様に、スリット48もL字状に形成され、スリット48に対して直角に曲げられたスリット49の幅B4の寸法が、ピン50の先端部の直径D2よりも大きく形成される。したがって、ピン46、50を介して本体30を矢印Jの如くL字状に移動させることにより、ピン46がスリット45に対して抜去可能となり、ピン50がスリット49に対して抜去可能となるので、本体30を底受け板18から取り外すことができる。
【0087】
ガラス板Gをパレット13から取り出す取出装置によって、ガラス板Gをパレット13から取り出す際に、前記取出装置の一部が本体30に干渉する場合がある。その際に、本体30を底受け板18から前記の如く取り外す。これにより、前記取出装置によるガラス板Gの取り出し作業を問題無く実施できる。
【0088】
スリット44、48の形状はL字状に限定されず、例えばスリット44、48の幅が徐々に広がる扇形状など、本体30を底受け板18から取り外すことができる形状であればよい。
【0089】
〔第2の実施形態の押さえ装置90の構成〕
図12は、第2の実施形態の押さえ装置90の本体92が退避位置に位置された斜視図である。図13は、第2の実施形態の押さえ装置90の本体92が進出位置に位置された斜視図である。
【0090】
第2の実施形態の押さえ装置90を説明するにあたり、第1の実施形態の押さえ装置10と同一又は類似の部材については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0091】
押さえ装置90の本体92は、一対のヒンジ94を介して底受け板18に回動自在に取り付けられる。また、本体92には、底受け板18側に固定された一対の係止部材32に係合される一対のU字状のピン96が備えらえている。
【0092】
したがって、本体92を図12の退避位置から図1312の進出位置に回動(傾動)させると、ピン96が係止部材32に保持され、本体92が進出位置に係止される。そして、ハンドル40が正転方向に回転されることにより、ネジ棒36とナット34とによる送り作用によって押さえ板38がガラス板Gの側端面に向けて移動され、側端面に当接される。符号98は、本体92に対して押さえ板38の移動を案内するガイドバーである。
【0093】
第2の実施形態の押さえ装置90において、ネジ棒36がナット34に噛み込んだり、ガラス板の側方移動により、押さえ装置90に負荷がかかったりしている場合には、係止部材32の一方のロック爪62を解除方向に操作する。これにより、本体92を退避位置に回動(傾動)させることができるので、ガラス板Gの積み下ろし作業を問題無く行うことができる。
【0094】
図14は、第3の実施形態の押さえ装置140の本体142がパレット13の底受け板18から取り外された斜視図であり、図15は、押さえ装置140の本体142がパレット13の底受け板18に装着されて進出位置に位置された斜視図である。
【0095】
なお、第3の実施形態の押さえ装置140を説明するに当たり、図12図13に示した第2の実施形態の押さえ装置90と同一又は類似の部材については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0096】
本体142は、ヒンジ144を介して底受け板18に傾動自在に取り付けられる。ヒンジ144は、底受け板18に取り付けられた軸146と、本体142に取り付けられ、かつ軸146が着脱自在に挿抜される筒状の軸受148と、からなる。
【0097】
軸146は、軸146の一端が軸支持部150に片持ちで固定されており、軸146の他端が開放されていることにより、他端から軸受148が着脱自在に挿抜される。
【0098】
ガラス板Gをパレット13から取り出す取出装置によって、ガラス板Gをパレット13から取り出す際に、前記取出装置の一部が本体142に干渉する場合がある。その際に、第3の実施形態の押さえ装置140によれば、ヒンジ144を構成する軸146から軸受148を抜去して本体142をパレット13から図14の如く取り外す。これにより、前記取出装置によるガラス板Gの取り出し作業を問題無く実施できる。
【0099】
なお、軸146を底受け板18に設け、軸受148を本体142に設けたが、軸146を本体142に設け、軸受148を底受け板18に設けてもよい。
【0100】
以上、縦積み側のパレット13に実施形態の押さえ装置10、90を設けた例について説明したが、押さえ装置10、90は平積み型のパレットにも設けることができる。
【0101】
〔平積み型の梱包体120の構成〕
図16は、第1の実施形態の押さえ装置10が設けられた平積み型の梱包体120の全体斜視図である。なお、第1の実施形態の押さえ装置10に代えて第2の実施形態の押さえ装置90を設けてもよい。
【0102】
梱包体120のパレット121には、複数枚の矩形状ガラス板(不図示)が略水平に、かつガラス板相互間にガラス板よりも大面積で矩形状の合紙122を介して積層されて積載される。
【0103】
パレット121は、平面視矩形状の受台124、載置板126、及び受皿128、及び受皿128の辺部に各2台配置された押さえ装置10を主として構成される。また、載置板126の四隅部には、パレット積層部材であるガイド部材130が立設されているので、梱包体120を縦方向に複数段積層して運搬する場合に有利である。
【0104】
受台124の全側面には、フォークリフト(図示せず)のフォークが挿入されるフォークリフト用開口部132が受台124の一側面につき2箇所形成されている。これにより、梱包体120に対して受台124の縦横側面のいずれの方向からもフォークリフトのフォークが挿入でき、効率のよい運搬作業が可能となる。
【0105】
載置板126は、受台124に搭載され、この載置板126に受皿128が固定されている。
【0106】
押さえ装置10は、受皿128の4辺の側面に所定の間隔をもって例えば2台ずつ配置されて受皿128に着脱自在に固定されている。押さえ装置10の押さえ板38によって、ガラス板(不図示)の縁部からはみ出している合紙122がガラス板の端面に押圧され、これによって積層されたガラス板の側方移動が規制される。
【0107】
なお、本実施例では、受皿128の各側面に2台の押さえ装置10を配置するとしたが、これに限定されるものではない。
【0108】
また、押さえ装置10の押さえ板38は、ガラス板の縁部からはみ出して下側に垂れ下がった合紙122をガラス板の端面に押圧するが、このとき、合紙122の端部の重なり合った部分が押さえ板38によって押圧されるため、押さえ板38がガラス板の端面に直接接触することはなく、合紙122の柔軟性によりガラス板を保護しながらガラス板の端面を確実に押圧する。
【0109】
平積み型の梱包体120においても、輸送中の振動によって押さえ装置10のネジ棒36がナット34に噛み込み、ハンドル40の逆転方向操作が困難な場合には、係止部材32による係止を強制的に解除し、本体30を進出位置から退避位置に移動させる。
【0110】
なお、上記実施形態では、ガラス板Gを梱包する梱包体12の押さえ装置10、90について説明したが、ガラス板Gに代えて、樹脂製又は金属製の板状体を梱包する板状体梱包用パレットの押さえ装置にも、本発明の押さえ装置を適用できる。
【符号の説明】
【0111】
10…押さえ装置、12…梱包体、13…パレット、14…台座、16…搭載面、18…底受け板、20…フレーム、22…背受け板、24…壁、25…クッション材、26…開口部、28…底片、30…本体、32…係止部材、34…ナット、36…ネジ棒、38…押さえ板、40…ハンドル、42…解除部材、44…スリット、46…ピン、48…スリット、50…ピン、52…孔、54…ピン、56…ボス、58…バー、60…ブラケット、62…一方のロック爪、64…他方のロック爪、66…レバー、68…ロッド、70…ピン、72…ピン、74…連結具、76…金具、78…軟質樹脂パッド、80…ストッパ部材、82…プレート、84…ピン、90…押さえ装置、92…本体、94…ヒンジ、96…ピン、98…ガイドバー、100…シート、102…緩衝材、104…前枠、106…上部横押さえ部材、108…フック、110…ベルト、112…ラチェット式巻上装置、120…梱包体、121…パレット、122…合紙、124…受台、126…載置板、128…受皿、130…ガイド部材、132…フォークリフト用開口、140…押さえ装置、142…本体、144…ヒンジ、146…軸、148…軸受、150…軸支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16