(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願においては、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。以下の説明において、同一の名称、符号については同一又は同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。一実施例及び一実施形態において説明された内容は、他の実施例及び他の実施形態等に利用可能である。
【0011】
〔配光部材の製造方法〕
本実施形態の配光部材の製造方法は、複数の透光板が遮光部を介して接合された接合体を準備し、一方向から見て、接合体の外周を取り囲むように、接合体に遮光性枠体を固定し、接合体及び遮光性枠体を、接合体における遮光性枠体が固定された面に対して垂直に切断することにより、それぞれが複数の透光片を備える複数の配光部材を得る工程を含む。ここでは、接合体として、対向する一対の主面を有する複数の透光板がそれらの主面同士が対面するように接合された第1接合体を準備する。また、接合体として、例えば、それぞれが直方体からなる複数の透光板を行列状に接合し第2接合体を準備してもよい。
なお、本願において「一方向からみて」とは、接合体の一面に対する法線方向からみることを意味する。
【0012】
1.接合体の準備
(第1遮光膜付部材の準備)
まず、透光板の少なくとも一面に第1遮光膜が被覆された、第1遮光膜付部材を複数準備する。
使用される透光板は、透光性を有する板状の部材である限り、柔軟性のあるもの、剛性のあるもののいずれを用いてもよい。
また、一面とは、透光板の最大面積を占める主面、例えば、表面又は裏面を意味する。
【0013】
このような透光板としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂もしくはこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂、又はガラス等によって形成されているものが挙げられる。
【0014】
透光板は、透光性を有する限り、蛍光体及び充填剤等を含有していてもよい。透光板が蛍光体を含有する場合は、蛍光体が発熱して蛍光体自体の特性を低下させる恐れがある。このため、透光板が蛍光体を含有する場合は、遮光性枠体を設けることによる放熱性向上の効果が顕著となる。
【0015】
蛍光体は、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)系蛍光体、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)系蛍光体、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)系蛍光体、βサイアロン蛍光体、KSF(K
2SiF
6:Mn)系蛍光体などの蛍光体粒子が挙げられる。上述した蛍光体を含有する場合には、これらは、透光板の全重量に対して、5〜50%程度で含有することが好ましい。また、透光板として、蛍光体そのもの又は蛍光体と無機物からなる結合剤との焼結体を用いることもできる。これにより、耐熱性に優れた透光板とすることができる。
【0016】
充填材(例えば、拡散剤、着色剤等)としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン等の粒子が挙げられる。
【0017】
透光板の形状は、平面形状が、例えば、四角形であることが好ましく、例えば長方形とすることができる。本明細書において「長方形」とは、正方形も含むこととする。このとき、透光板の形状は直方体(立方体を含む)となる。
透光板の厚み及び大きさは、得ようとする配光部材の形態によって、適宜調整することができる。例えば、透光板の厚み(
図1Aの上下方向における長さ)は、発光装置の配光部材として使用する際の発光素子のサイズ及び/又は発光素子間の間隔に対応したものであり、発光素子の外周と同等又はそれもよりも若干大きいことが好ましい。具体的には、100μm〜数mm程度が挙げられ、100〜1000μm程度が好ましく、100〜500μm程度がより好ましい。これにより、得られた配光部材を発光装置に利用する場合に、発光装置のより一層の小型化が可能となることに加え、より一層高い輝度が得られる。
【0018】
第1遮光膜は、発光素子からの光を80%以上遮光し得る材料によって形成することが好ましい。第1遮光膜としては、金属からなる単層、金属からなる多層膜、又は2種以上の誘電体を複数積層させた誘電体からなる多層膜(誘電体多層膜)を用いることができる。誘電体多層膜を用いて、例えば、DBR(distributed Bragg reflector:分布ブラッグ反射)膜とすることができる。なかでも、誘電体多層膜を含む膜を用いるのが好ましい。誘電体多層膜であれば金属等に比較して透光片からの光の吸収も少なく、効率的に光を反射することができる。第1遮光膜として金属膜と誘電体多層膜との両者を用いる場合は、透光片側から順に、誘電体多層膜と金属膜とを配置するのがよい。これにより、透光片からの光の取り出し効率を向上させることができる。
【0019】
金属としては、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、コバルト、ルテニウム、錫、亜鉛、鉛等の金属又はこれらの合金(例えば、Al合金としては、Alと、Cu、Ag、Pt等の白金族系の金属との合金)が挙げられる。
【0020】
誘電体としては、例えば、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、Alからなる群より選択された少なくとも一種の元素を含む酸化物又は窒化物が挙げられる。DBR膜を構成する誘電体多層膜では、通常、一方の誘電体の屈折率n1、他方の誘電体の屈折率n2、発光層から発光される光の波長をλとすると、一方の誘電体の厚みd1及び他方の誘電体の厚みd2は、
d1=λ/(4×n1) (1)
d2=λ/(4×n2) (2)とすることが好ましい。
第1遮光膜の厚みは、例えば、0.数μm〜数十μm程度が挙げられ、0.1μm〜10μm程度が好ましく、0.3μm〜7μm程度がより好ましい。前述の下限値以上の膜厚とすることで第1遮光膜を面内均一に成膜しやすく、第1遮光膜において光を確実に反射させることができ、前述の上限値以下の膜厚とすることで透光板間の間隔を小さくすることができるため第1遮光膜による発光むらを抑制することができる。
【0021】
第1遮光膜は、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオン・ベーパー・デポジション(IVD)法、スパッタリング法、ECRスパッタリング法、プラズマ蒸着法、化学的気相成長(CVD)法、ECR−CVD法、ECR−プラズマCVD法、電子ビーム蒸着(EB)法、原子層堆積(ALD)法等の公知の方法によって形成することができる。なかでも、比較的短い時間で形成可能なスパッタリング法によって第1遮光膜を形成するのが好ましい。
【0022】
透光板が直方体であって第1接合体が2つの透光板からなる場合は、第1遮光膜は、透光板の一面のみに形成すればよい。また、透光板が直方体であって第1接合体が3以上の透光板からなる場合は、少なくとも両端にある透光板の間に位置する1以上の透光板は対向する二面(つまり、表面及び裏面)に第1遮光膜を形成する。また、第1遮光膜は、透光板のうち発光素子からの光が入射する面及び発光素子からの光を出射する面を除く四面に形成することもできる。これにより、第1接合体を切断して配光部材を得る際に、透光片の側面全域に第1遮光膜が形成された配光部材とすることができ、横方向へ向かう光を反射することができる。第1遮光膜は、全体に均一厚みで透光板の一面の全面に形成することがより好ましいが、格子状、縞状等の形状で部分的に形成してもよい。
【0023】
第1遮光膜付部材を複数準備する場合、それらは、異なる平面形状及び厚みであってもよいし平面形状及び厚みが同一又は略同一のものであってもよい。ここで略とは、±10%程度のばらつきを許容することを意味する。
例えば、薄い第1遮光膜付部材とこれよりも厚い第1遮光膜付部材の2種類の第1遮光膜付部材を準備する場合、薄い第1遮光膜付部材を複数接合したものは、1つの厚い第1遮光膜付部材と同等の厚みのものを用いることが好ましい。つまり、厚みの薄い第1遮光膜付部材は、厚みの厚い第1遮光膜付部材の、2分の1、3分の1の厚みに相当するものが好ましい。これにより、列又は行方向に大きさの異なる透光片を有する配光部材を形成することができる。さらに、第2接合体の形成において、列または行方向に大きさの異なる透光片を有する第2遮光膜付部材と組み合わせて積層することにより、
図7に示すような行列方向に大きさの異なる透光片を有する配光部材を形成することができる。
【0024】
第1遮光膜付部材は、透光板に第1遮光膜を形成した後、所望の形状、大きさ等になるように、切断、研磨等してもよい。
次工程において、第1遮光膜付部材を、原子拡散接合型の常温接合を用いて接合する場合には、第1遮光膜を形成する前に、透光板の表面を平滑面とすることが好ましい。
【0025】
(第1接合体の形成)
複数の第1遮光膜付部材を、第1遮光膜がそれぞれ対面するように接合して、第1接合体を形成する。
ここでの接合は、接着剤等利用したものであってもよいし、第1遮光膜の加熱による溶融接合等によるものであってもよい。好ましくは、第1遮光膜として金属を含む膜を用い、金属を含む膜同士を接触させて直接接合する。直接接合することにより、透光板間の距離を小さくすることができるため、発光素子と組み合わせて用いる場合に第1遮光膜で光が遮られにくくなり、発光むらを低減することができる。直接接合のなかでも常温接合によって接合することが好ましい。本明細書では、透光板間に配置されている部材を「遮光部」とよぶ。例えば、1つの透光板に設けられた第1遮光膜と、その透光板に隣接する他の透光板に設けられた第1遮光膜とが直接接合されている場合は、2つの遮光膜が接合されたものを「遮光部」という。1つの透光板に設けられた第1遮光膜と、他の透光板に設けられた第1遮光膜と、が接着剤を用いて接合されている場合は、2つの遮光膜と接着剤とを合わせたものを「遮光部」という。後述する第2遮光膜を用いる場合も同様である。
【0026】
常温接合としては、公知の方法を用いることができる。例えば、表面活性化接合型の常温接合、原子拡散接合型の常温接合等の接合方法が挙げられる。このような常温接合を行う場合には、接着剤、熱などを加えずに接合することができるため、接合する2つの部材の間の熱膨張率の差を考慮する必要がなく、強固に接合することができる。また、原子レベルでの接合であるため、接着剤等による接着に比較して強度が高く、耐久性に優れた接合を行うことができる。さらに、加熱を行わないために、昇温及び降温を必要とせず、短時間で接合することが可能となる。
【0027】
表面活性化接合型の常温接合では、接合面を真空中で表面処理することにより、表面の原子に対して化学結合を形成しやすい活性な状態とする。詳細には、まず、真空中で、接合面に付着している酸化膜、汚れ等を、アルゴンなどのイオン又はプラズマ等を照射して除去する。この場合のエネルギー、時間等は、用いる第1遮光膜付部材の第1遮光膜の厚み、材料等によって適宜調整することができる。このような処理によって、結合手をもった原子が第1遮光膜付部材の接合面で露出し、他の原子との接合力が大きな、非常に活性な状態を形成することができる。これによって、接合面同士を接触させることにより、瞬時に結合力が働き、接合面同士を強固に接合させることができる。このような接合では、加熱による熱歪、熱応力が発生しないために、極薄膜状の第1遮光膜に対して安定な接合を実現することができる。
【0028】
原子拡散接合型の常温接合では、接合面に超高真空中で第1遮光膜を形成し、それらの第1遮光膜同士が向かい合うように真空中で重ね合わせることによって、接合面の接合を常温で行うことができる。原子拡散接合型の常温接合を行う場合は、第1遮光膜として前述の材料のうち、耐食性に優れる、チタン、金、又はクロム等を用いるのが好ましい。
【0029】
第1遮光膜付部材の接合において、最端に位置する第1遮光膜付部材は、第1遮光膜が二面に形成されたものを用いてもよいが、最端面に第1遮光膜が配置しないように、一面にのみ形成された第1遮光膜付部材を用いることが好ましい。また、第1接合体における内側に配置する第1遮光膜付部材は、一面に第1遮光膜が形成されたものを用いてもよいが、両面における接合を容易にするために、第1遮光膜が二面に形成された第1遮光膜付部材を用いることが好ましい。
【0030】
接着剤を利用する場合、例えば、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、エポキシ系、ポリイミド系、シリコーン系、BTレジン系、エステル系、エーテル系、ユリア系、ポリアミド系、フェノール系、セルロース誘導体による接着剤を用いることができる。これらの接着剤は必要に応じて、二種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0031】
いずれの場合においても、第1遮光膜付部材を、一方の又は双方の第1遮光膜をそれぞれ対面するように接合することによって、第1接合体を形成することができる。第1接合体における第1遮光膜付部材の積層数は、例えば、2以上、3以上、4以上又は5以上が挙げられる。また、百以下、数十以下、十数以下が挙げられる。好ましくは、2以上10以下とすることができる。前述の下限値以上とすることで複数の透光片を備える配光部材を一括で形成することができ、前述の上限値以下とすることで第1接合体の切断が容易となる。
【0032】
2.第1接合体への遮光性枠体の固定
得られた第1接合体に遮光性枠体を形成する。ここでの遮光性枠体とは、第1接合体の外周の一部を取り囲むものであってもよいが、一方向から見て、外周の全部を取り囲むものが好ましい。これにより、第1接合体から横方向へと向かう光を遮光性枠体で遮光することができるため、配光部材から横方向へ光が抜けるのを防止することができる。なお、遮光性枠体は反射性を有することが好ましい。これにより、配光部材から横方向へ抜ける光を反射させて取り出すことができるため、配光部材からの光取り出し効率を向上させることができる。ここで外周とは、第1遮光膜付部材の接合面に対して平行な第1接合体の一対の側面とこれらに隣接する側面とによって構成される第1接合体の側面を意味する。つまり、対向する二面を除く全ての面を意味し、第1接合体が直方体である場合は対向する二面を除く四面を意味する。また、外周の一部とは、例えば、1つの側面、一対の対向する側面であってもよいし、1つ又は一対の側面の一部分であってもよい。第1接合体は、通常用いる透光板の形状から、四角柱又はこれに近似する形状であることから、接合面に対して平行な一対の側面と、接合面に対して交差する(好ましくは直交する)一対の側面とを連続して、第1接合体の側面の全幅及び全長にわたって取り囲むものが好ましい。
【0033】
遮光性枠体を構成する材料は、実質的に有機物が含有されていない材料からなる。透光板と接する領域に有機物を含む部材が設けられると、高密度の光等により、透光板と接する部材にひび割れが生じるおそれがある。ひび割れが生じると、割れ目から光が抜けてしまい、発光装置としての輝度が低下する。これに対して、接合体の外周に実質的に有機物を含まない遮光性枠体を設けることで、接合体の外周でひび割れが生じるのを抑制しやすくなり、高輝度の発光装置とすることができる。ここでいう「実質的に有機物が含有されていない」とは、有機物が完全に含まれていないもののみならず、遮光性枠体の信頼性に影響がない程度に有機物が含有されているものも含む。このような材料としては、例えば、反射性のセラミック、誘電体多層膜、反射性物質を含有したガラス、金属又はこれらの複合材料等が挙げられる。これらの材料は有機物を含まないため、熱や光による割れを抑制した遮光性枠体とすることができる。なかでも特に耐光性及び耐熱性に優れた反射性のセラミックであることが好ましい。セラミックとしては、放熱性の高い窒化アルミ又はアルミナ等を用いることが好ましい。反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが挙げられる。反射性物質等の含有量は、用いる反射性物質の種類等によって適宜調整することができる。例えば、遮光性枠体の材料の全重量に対して、30%程度以上とすることが好ましい。
【0034】
遮光性枠体を第1接合体に形成する方法は、例えば、第1遮光膜付部材の接合方法と同様の方法を利用してもよいし、セラミックのグリーンシートを第1接合体の外周に被覆し、焼成してもよいし、焼成したセラミックを接着剤等により貼着してもよい。好ましくは、焼成したセラミックを第1遮光膜付部材の接合方法と同様の方法を利用して固定する。これにより、簡便に第1接合体の外周に遮光性枠体を形成することができる。これらの方法を利用することにより、遮光性枠体を強固に第1接合体の外周に固定することができる。
【0035】
遮光性枠体の厚みは、好ましくは50μm以上1000μm以下、より好ましくは100μm以上500μm以下とすることができる。前述の下限値以上の膜厚とすることで配光部材から横方向に向かう光の漏れを抑制することができ、前述の上限値以下の膜厚とすることで後の工程における切断が容易となる。ここで「遮光性枠体の厚み」とは、遮光性枠体と第1接合体との接合面から、遮光性枠体における接合面と対向する面までの長さを指す。つまり、
図1D及び1Fにおける左右方向又は上下方向の長さLを指す。
【0036】
3.第1接合体及び遮光性枠体の切断
得られた第1接合体及び遮光性枠体を切断する。ここでの切断は、遮光性枠体が固定された面及び第1遮光膜付部材の接合面に対して垂直に行うことが好ましい。つまり、遮光性枠体が固定された全ての面に対して垂直に行うことが好ましい。以下、この切断を第1の切断ということがある。このような第1の切断によって、第1遮光膜で分画された状態の透光板の小片(以下「透光片」ということがある)を含み、その外周に遮光性枠体が固定された配光部材を得ることができる。
【0037】
第1の切断は、遮光性枠体が固定された全ての面及び第1遮光膜付部材の接合面に対する垂直方向での切断であればどのような切断であってもよいが、切断面を平坦とする切断方法を利用することが好ましい。このような切断方法は、当該分野で公知の方法を利用することができる。例えば、ブレードダイシング、レーザダイシング、又はワイヤーソー等が挙げられる。なかでも、ワイヤーソーによれば第1遮光膜付部材をまとめて切断することができるため好ましい。本明細書において「垂直」とは、±10%以内の傾きを含む。
第1の切断は、透光板の平面形状が四角形である場合には、第1遮光膜が形成された面に隣接する一側面(例えば、
図1Cの端面F、R)に平行な切断面が得られるように切断することが好ましい(例えば、
図1E参照)。このような1方向の切断によって、均一膜厚の第1接合体の薄片を形成することができる(
図1E、1F参照)。
【0038】
遮光性枠体が固定された面及び第1遮光膜付部材の接合面に対する垂直方向での切断を1方向に1回行うのみで、所望の配光部材を製造することができる。そしてこの切断を2回以上互いに平行に切断することによって、所望の配光部材を複数製造することができる(
図1E、1F参照)。
【0039】
また、上述したように、遮光性枠体が固定された面及び第1遮光膜付部材の接合面に対する垂直方向での1回又は2回以上の互いに平行な第1の切断によって得られた配光部材に対して、さらに、遮光性枠体が固定された面及び第1遮光膜付部材の接合面に対する垂直方向であって、第1の切断に対して交差(好ましくは、直交)する方向において、切断してもよい(
図3G)。このような2方向での切断を行うことにより、接合体の形状にかかわらず、所望形状の配光部材を複数製造することができる。
【0040】
ここでの切断は、用いた透光板と同程度の厚み、例えば、100μm〜数mm程度又は100〜1000μm程度、さらに100〜500μm程度に薄膜化することが好ましい。
切断した後、研磨等を行って、これらの厚みとしてもよい。
【0041】
この工程での切断は、遮光性枠体が固定された面及び第1遮光膜付部材の接合面に対して垂直に行う代わりに、傾斜して行ってもよい。このような切断は、特定の方向への配光を意図する配光部材を製造する場合に利用することができる。
【0042】
4.第2接合体の準備
(第2遮光膜付部材の形成)
本発明の一実施形態に係る配光部材の製造方法では、上述したように、第1の切断を行って得られた配光部材の切断面に、さらに第2遮光膜を形成してもよい。つまり、第1の切断を行って得られた配光部材を、上述した透光板と見なして、その表面に第2遮光膜を形成する。これによって、1以上の又は複数の第2遮光膜付部材を形成することができる。従って、第2遮光膜は、第1遮光膜に対して垂直に交わるように形成することとなる。
この工程では、透光板として、上述した遮光性枠体が形成されていないものが好ましいが、その一部に遮光性枠体が形成されているものを用いてもよい。前者の場合、上述した工程のうち、第1遮光膜付部材を準備して接合して、第1接合体を得た後、遮光性枠体の形成を行わずに、第1接合体を第1遮光膜付部材の接合面に対する垂直方向で切断することによって得られたものを用いればよい。
【0043】
第2遮光膜は、第1遮光膜で例示した材料によって、上述した公知の方法を利用して形成することができる。なかでも、第2遮光膜は、第1遮光膜と同じ材料によって形成することが好ましい。これによって、後述するように、複数の発光素子を用いる場合の各発光素子の配光特性を均一にすることができる。
第2遮光膜は、第1遮光膜と同じ膜厚でなくてもよいが、配光特性の均一化の観点から、同じであることが好ましい。
【0044】
(第2接合体の形成)
第2遮光膜付部材を接合して第2接合体を形成する方法は、上述した第1接合体を形成する方法と同様に行うことができる。これにより、透光板が遮光部を介して行列状に接合された接合体とすることができる。ここでの第2遮光膜付部材の積層数も、任意に設定することができる。
【0045】
5.第2接合体への遮光性枠体の固定
得られた第2接合体に遮光性枠体を形成する。第2接合体に対して遮光性枠体を形成する方法は、実質的に、第1接合体への遮光性枠体の形成で説明した方法と同様の方法を用いることができる。
【0046】
6.第2接合体の切断
得られた第2接合体及び遮光性枠体を切断する。ここでの切断は、第1接合体及び遮光性枠体の切断において説明した方法と同様の方法により行うことができる。
この場合の切断は、第2遮光膜付部材の接合面に対して垂直に切断していればよいが、遮光性枠体が固定された全ての面に対して垂直に切断するのが好ましい。つまり、第1遮光膜付部材の接合面及び前記第2遮光膜付部材の接合面の双方に対して垂直に切断することが好ましい。ただし、第2接合体の切断に際して、最端面となる第2接合体の両端面に遮光性枠体が固定されている場合には、その両端面の遮光性枠体を除去することが好ましい。つまり、第2接合体の全面に遮光性枠体が固定されている場合は、対向する二面に設けられた遮光性枠体を除去することが好ましい。例えば、遮光性枠体と第2接合体との界面を切断して遮光性枠体を除去するか、第2接合体を切断した両端の切断片を除去すればよい。
【0047】
切断された配光部材は、透光板の形状、第1遮光膜付部材の積層数、第1接合体の切断形態、第2遮光膜付部材の積層数、第2接合体の切断形態等により、さらに切断して、任意の形状、透光板と第1遮光膜及び第2遮光膜との任意の数に加工することができる。これにより、適用する発光素子数に対応し、外周に遮光性枠体が固定された配光部材を製造することができる。得られた配光部材においては、遮光性枠体の内側にある遮光性枠体と接合体との間の部材及び遮光部には、実質的に有機物が含有されていないことが好ましい。有機物が含有されていると、透光片で生じる熱が有機物を含有する部材でとどまってしまい、放熱性が低下するおそれがある。これに対して、遮光性枠体の内側には、実質的に有機物が含有されていない構造とすることで、遮光性枠体へと放熱しやすくなり、配光部材の放熱性の低下を低減することができる。
【0048】
第1接合体に対して第1の切断を行った後、さらに第1の切断に対して交差する方向に切断した後又は第2接合体を切断した後において、得られた配光部材を構成し、遮光部(第1遮光膜、又は第1遮光膜及び第2遮光膜)で分画された状態の透光板の小片を、以下「透光片」(
図1E及び
図1Fの10、
図3Gの20、
図5F及び
図5Gの20参照)ということがある。
【0049】
このように、第1接合体を第1の切断を行うか、さらに第1の切断に対して交差する方向に切断するか、第2接合体を切断することにより、直方体又は立方体の均一厚みの透光片を含み、行方向及び/又は列方向に隣接する透光片との間に遮光を行うことができる遮光部を備え、透光片及び遮光部の外周において遮光性枠体を備えた配光部材を、高精度に、簡便かつ容易に製造することができる。
【0050】
〔発光装置の製造方法〕
(発光素子の配置)
本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法では、上述した方法によって形成された配光部材を用い、この配光部材に対して、発光素子を配置する。ここでは、発光素子としてLED(Light Emitting Diode)を用いて説明する。配光部材は、発光素子の光取り出し面側、つまり、発光装置における光取り出し面側に配置する。
そして、1以上の透光片に対して1つの発光素子からの光が入射するように、複数の発光素子をそれぞれ離間して配置する。
【0051】
例えば、遮光部に分画された透光片が一列に配列された配光部材を用いる場合には、1以上の透光片に1つの発光素子からの光が入射するように、複数の発光素子を一列に配列する。また、遮光部に分画された透光片が行列状に配列された配光部材を用いる場合には、1以上の透光片に1つの発光素子からの光が入射するように、複数の発光素子を行列状に配列する。このとき、1つの透光片に対して1つの発光素子からの光が入射するように配光部材を配置するのが好ましいが、1つの透光片の大きさが1つの発光素子よりも小さい場合は、複数の透光片に対して1つの発光素子からの光が入射するように配光部材を配置してもよい。これによって、点灯状態の発光素子に設けられた透光片からの光が隣接する非点灯状態の発光素子に設けられた透光片に対して漏れるのを防止することができる。その結果、上述した簡便な製造方法によって、非点灯の発光素子に設けられた透光片が微小発光するという現象を防止することが可能となる。
また、遮光性枠体によって、最端に位置する発光素子に設けられた透光片の横方向への光漏れを防止することができ、良好な配光性を得ることができる。さらに、セラミック等の放熱性の高い材料を用いることにより透光片からの放熱を向上させることができる。
【0052】
配列する複数の発光素子は、隣接する発光素子間で、互いに近接していることが好ましく、車両用灯具用途、さらに輝度分布等を考慮すると、1つの発光素子と隣り合う発光素子との離間距離は、発光素子自体のサイズ(例えば一辺の長さ)よりも短いものが好ましい。例えば、発光素子自体のサイズの30%程度以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。具体的には5μm以上500μm以下が好ましく、50μm以上200μm以下がより好ましい。前述の下限値以上にすることで発光素子間に反射部材等を配置しやすくなるため点灯した発光素子から非点灯の発光素子への光漏れを抑制することができ、前述の上限値以下とすることで発光ムラの少ない発光品位の高い発光装置とすることができる。
【0053】
発光素子の配光部材に対する配置は、発光素子を配光部材に対して離間して配置してもよいが、発光素子を配光部材に近接又は接触させて配置することが好ましい。これにより、少なくとも発光素子から出射された光のうち、配光部材側に出射される光を効率的に配光部材に導入することができる。ここで近接とは、実質的に両者の接着に関与する部材(例えば、透光性の接着部材又は微結晶薄膜)のみを介して配置していることを意味する。
【0054】
発光素子を配光部材に接触させて配置する場合は、表面活性化接合型の常温接合を用いるのが好ましい。これにより、他の部材を介さずに発光素子と配光部材とを接合することができるため、他の部材で光が吸収されるのを抑制することができる。
【0055】
原子拡散接合型の常温接合により配光部材と発光素子とを接合する場合は、光を透過する程度の膜厚で配光部材及び発光素子に微結晶薄膜を形成する必要がある。例えば、成膜速度換算で0.1nm以上0.8nm以下、好ましくは0.1nm以上0.4nm以下、より好ましくは0.1nm以上0.2nm以下とする。
【0056】
本明細書でいう「成膜速度換算」について以下に説明する。まず、一平面を有する基台上に所定の時間だけ微結晶薄膜を形成する。次に、所定の時間と実際に得られた微結晶薄膜の膜厚との関係に基づいて、所望の膜厚の微結晶薄膜を得るための所要時間を決定する。そして、所要時間だけ微結晶薄膜を形成した場合は、その所要時間に対応する所望の膜厚の微結晶薄膜が得られるものを成膜速度換算で形成した膜厚と想定している。つまり、反応時間から想定される膜厚を成膜速度換算で形成した膜厚としている。前述の範囲は、1原子よりも小さな値も含んでいるが、この場合は微結晶薄膜が膜になっておらず島状に形成されている。したがって、実際の膜厚が前述の膜厚範囲に含まれていなくても、成膜速度換算で前述の膜厚範囲で形成されていれば本発明の範囲内とする。また、表面活性化接合法を用いる場合は、発光素子と透光片とが直接接触して接合される。表面活性化接合によれば、透光片と発光素子との間に光を吸収する部材がないため、発光素子からの光を効率よく透光片へ入射することができる。
【0057】
ここで用いる発光素子は、当該分野で一般的に用いられている発光素子のいずれをも用いることができる。例えば、青色又は緑色の発光素子としては、ZnSe、窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPなどの半導体層を用いたもの、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどの半導体層を用いたものが挙げられる。好ましくはGaN系の半導体を用いる。
発光素子は、半導体層の異なる側に電極が配置されているものであってもよいが、同じ側に電極が配置されているものが好ましい。これによって、後述するフェイスダウン形態で実装することができる。
【0058】
発光素子として、側面全面に反射膜が形成された発光素子を用いることもできる。これにより、発光素子から横方向へ向かう光を反射膜で反射させて取り出すことができるため、光取り出し効率を向上させることができる。また、発光素子からの光が漏れることがなくなるため、発光素子間に反射部材を設ける必要がなくなる。反射膜としては、第1遮光膜と同様の材料、例えば、金属膜の単層もしくは多層構造、又は誘電体多層膜等が挙げられる。これらの反射膜は、発光素子の側面に接触して形成されていることが好ましい。
【0059】
発光素子を、上述した配光部材に対応して互いに離間して配置する場合、通常、支持基板の上に、複数の発光素子を直列、並列、直並列又は並直列等の接続形態で配列される。発光素子は、半田等の接合部材又はワイヤ等利用して接続される。発光素子は、フェイスダウン、フェイスアップの何れかの接合形態で接続されていてもよいが、フェイスダウンの形態で接続されることが好ましい。このような接続により、発光素子を配光部材に近接又は接触して配置することができ、所望の配光特性を容易に得ることができる。
【0060】
1つの配光部材に形成された各透光片は同様の構成(形状、厚み、特性等)とすることもできるし、
図7に示すように透光片ごとに異なる構成とすることもできる。例えば、各透光片の大きさを変えること、異なる波長の光となるように透光片ごとに異なる蛍光体を含有させること、透光片を段差状に形成することなどができる。
【0061】
(反射部材の配置)
発光素子間に、反射部材を配置することが好ましい。反射部材を設けることで、点灯した発光素子からの光が非点灯の発光素子に設けられた透光片へと入射するのを抑制することができる。なお、反射部材は必須の構成ではない。例えば、発光素子として側面全面に反射膜が形成された発光素子を用いる場合は、反射部材を配置しなくてもよい。反射部材としては、配光を意図する光、例えば、発光素子から出射される光の60%以上を反射するもの、さらに、70%以上、80%以上又は90%以上を反射するものが好ましい。
【0062】
反射部材の材料は、例えば、第1遮光膜で例示したものの中から選択してもよいが、反射部材の配置の精度、簡便性、容易性等を考慮すると、樹脂を用いることが好ましい。
樹脂としては、透光板の材料として例示したものと同様のものが挙げられ、特に、発光素子から出射される光が透過しないように、これらの材料に、上述した反射性物質を含有させることが好ましい。反射性物質等の含有量は、用いる反射性物質の種類等によって適宜調整することができる。例えば、反射部材の全重量に対して、30%程度以上とすることが好ましい。なかでも、白色樹脂が好ましい。
【0063】
反射部材は、発光素子に配光部材を接着させる接着部材の有無にかかわらず、隣り合う発光素子同士と配光部材とで囲まれる空間を満たしていることが好ましい。また、反射部材は、発光素子間において、配光部材における遮光部(ここでは、第1遮光膜及び/又は第2遮光膜)と接触するように配置することが好ましい。ここでの接触は、配光部材の発光素子側に露出した遮光部の全てが反射部材と接触していることが好ましい。また、反射部材は、発光素子の外周においては、遮光性枠体と接触するように配置することが好ましい。これにより、個々の発光素子から出射される光を発光素子ごとに分離することができ、発光装置内で、隣接する発光素子間での光漏れを防止することができる。その結果、非点灯の発光素子に設けられた透光片が微小発光するという現象を回避することができる。
【0064】
反射部材は、発光素子の側面に接触して配置しなくてもよいが、側面の一部又は全部に接触するように配置することが好ましい。このような配置によって、発光素子の側面から横方向に出射される光を反射部材で反射させて、光取り出し面に光を出射させることができる。また、発光素子の側面に接触して反射部材を設けることで、光は発光素子内で伝播するのみとなるため、他の部材による光吸収を回避することができる。
【0065】
反射部材は、発光素子の光取り出し面側と反対側の面、つまり、発光素子と上述した支持基板との間にも配置することが好ましい。この配置によって、光取り出し面側に光を取り出すことができる。
【0066】
さらに、反射部材は、第1接合体の外周、つまり、第1接合体の端面の一部が遮光性枠体で被覆されていない場合には、少なくとも遮光性枠体で被覆されていない面を被覆していることが好ましい。これにより、透光片内において横方向に向かう光を遮光性枠体及び反射部材で反射させることができる。ただし、第1接合体の外周の全部に遮光性枠体が配置されている場合には、遮光性枠体の外周は反射部材で被覆されていなくてもよい。これにより、配光部材の外周を発光装置の最外周とすることができるため、配光部材の側面に反射部材を配置する場合と比較して発光装置を小型化することができる。第1接合体の端面が反射部材で被覆されている場合、配光部材の周辺において、反射部材の上面と配光部材の上面とが同一平面上にあることがより好ましい。これによって、配光部材の側面から出射する光を反射させて、光取り出し面に出射させることができる。
【0067】
反射部材は、スクリーン印刷、ポッティング、トランスファーモールド、コンプレッションモールド等により形成することができる。反射部材は、製造された発光装置では、配光部材の光取り出し面側の表面を被覆しないが、反射部材の形成工程で、一旦配光部材の光取り出し面側の表面を被覆した後、研磨等によって配光部材の光取り出し面を反射部材から露出させる加工を行ってもよい。
反射部材の厚みは、支持基板に発光素子を接続した際の支持基板の上面から発光素子の上面までの距離及び配光部材の厚みの合計と同等とすることが好ましい。
【0068】
反射部材の配置は、配光部材に対して発光素子を配置した後に行うことが好ましいが、上述した配置形態によっては、発光素子を、例えば支持基板に載置した後、配光部材を設ける前に、反射部材を配置してもよい。
【0069】
このような製造方法によって得られた発光装置は、配光部材を有する。配光部材は、例えば、互いに反対側に位置し且つ互いに平行な第1主面及び第2主面を有し、これら第1主面及び第2主面に平行な所定の方向に対してそれぞれ交互に配置された透光片と遮光部とを有し、かつ透光片及び遮光部を含む接合体の外周に配置された遮光性枠体とを有する。この発光装置は、配光部材に加えて、この配光部材の透光片ごとに対応して配光部材の下面側に配置され、互いに離間する複数の発光素子と、発光素子間に配置された反射部材とを備える(
図2B、4B参照)。言い換えると、互いに分離して配置された発光素子と、これらの発光素子のそれぞれの発光面側に設けられた透光片と、隣り合う透光片を接合する遮光部と、隣り合う発光素子間に配置された反射部材とを備える。
このような構成により、個々の発光素子から出射される光を発光素子ごとに分離することができ、発光装置内で、隣接する発光素子間での光漏れを防止することができる。その結果、非点灯の発光素子に設けられた透光片が微小発光するという現象を回避することができる。また、最端に位置する発光素子に設けられた透光片の側方からの光もれを防止して、配光性を制御することができる。
【0070】
図8に示すように発光素子13として半導体レーザ素子(LD、Laser Diode)を用いることもできる。
図8においては、配光部材32と、配光部材32と離間して配置された半導体レーザ素子とを備えている。半導体レーザ素子は、LDからの光が配光部材32における遮光性枠体39が設けられていない一対の主面のうちの一方の側に入射するように配置されている。LDはLEDに比較して高密度の光を発するので、透光片20に蛍光体が含有される場合には、上述した理由により、本発明の放熱性向上の効果が顕著となる。LDを用いる場合は、配光部材32の下面をLDからの光の入射面とし、配光部材32の上面を光の出射面とした透過型の配光部材とすることができる。この場合は、接合体の下面に金属等が接合されることにより下面全体から放熱が可能な反射型のものとは異なり、接合体の側面のみが放熱経路になる。このため、配光部材32を透過型として用いる場合は、遮光性枠体39による放熱性向上の効果がより顕著となる。
【0071】
以下に、本発明の各実施形態に係る配光部材の製造方法及び発光装置の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0072】
実施形態1:配光部材の製造方法
この実施形態1の配光部材の製造方法では、まず、
図1Aに示すように、透光板10aを準備する。この透光板10aは、ガラス材料にYAG蛍光体を10重量%程度混合して焼結することにより得られる大判のYAG板を適当な大きさに切断することによって得られる。
【0073】
図1Bに示すように、この透光板10aの片面のみに、(透光板側から順にTi/Pt/Au)、厚み:100nm/200nm/500nm(合計厚み:800nm)の金属の多層構造膜からなる第1遮光膜11aをスパッタ法によって順次成膜し、第1遮光膜付部材17を形成する。この第1遮光膜付部材17は2つ形成する。また、この透光板10aの両面に第1遮光膜11aを成膜した第1遮光膜付部材17を複数形成する。ここでいう片面とは
図1Aに示す透光板10aの上面又は下面をさし、両面とは
図1Aに示す透光板10aの上面及び下面をさす。
【0074】
次いで、
図1Cに示すように、第1遮光膜付部材17を、第1遮光膜11aがそれぞれ対面するように順次常温接合して、第1接合体18を形成する。本実施例では、5つの第1遮光膜付部材17を接合している。この場合、第1接合体18の最下面及び最上面に位置する表面には、第1遮光膜11aが形成されていない面を配置する。また、第1遮光膜付部材17同士の間には、遮光部11(ここでは、2つの第1遮光膜11a)が配置されている。第1接合体18は、例えば、第1遮光膜11aが形成されていない面に隣接し、第1遮光膜11aに直交する一面を端面Fとし、それに対向する端面を端面Rとする。ここでの端面F、Rは、第1遮光膜11aに直交する面のうち、最小面積のものとしている。
【0075】
得られた第1接合体18に遮光性枠体19を形成する。ここでの遮光性枠体は、第1接合体18の外周の全部を取り囲むように配置する。
図1Dでは、端面F、R以外の表面に遮光性枠体19が固定されている。
遮光性枠体19は、例えば、第1接合体18の最下面及び最上面に位置する表面にセラミックを常温接合し、第1接合体18のうち端面F、R以外の露出している表面(第1遮光膜11aに直交する面のうち、最大面積である面)にセラミックを常温接合して形成している。
【0076】
その後、
図1Eに示すように、遮光性枠体19で外周を取り囲まれた第1接合体18を、遮光性枠体19が固定された全ての面及び第1遮光膜付部材17の接合面に対して、所望の厚みになるように垂直に切断する。つまり、切断は、第1接合体18の端面F、Rに対して平行に行う。その後、表面平坦化のために研磨を行う。
これによって、
図1Fに示すように、透光片10と隣り合う透光片10を接合する遮光部11(本実施形態では2つの第1遮光膜11a)とを一列で備えた第1接合体を有し、第1接合体18の全外周に遮光性枠体19が配置された、所望する厚みの配光部材12を複数形成することができる。
【0077】
図1A及び
図1Bに示すように、透光板10aの厚みが、最終的に発光素子を配置することができる最大幅になる。したがって、透光板10aの厚みは、平面視における発光素子の一辺(幅)より大きいことが好ましく、例えば、発光素子の一辺より50μm以上大きいものとすることができる。
【0078】
この配光部材12では、第1接合体18の外周にセラミックからなる遮光性枠体19を設けているため、耐光性及び耐熱性に優れた配光部材12とすることができる。また、遮光性枠体19の内側には、実質的に有機物が含有されていないため、透光片10で生じる熱を遮光性枠体19へと放熱しやすくなる。さらに、本実施形態によれば、耐光性及び耐熱性に優れた配光部材12を簡便に形成することができる。
【0079】
実施形態2:発光装置の製造方法
この実施形態2の発光装置の製造方法では、まず、
図2Aに示すように、実施形態1で得られた配光部材12に対応して、発光素子13を配置する。つまり、配光部材12の遮光部11によって分画された透光片10のそれぞれの位置に対応して、5つの発光素子13をそれぞれ離間して配置する。
発光素子13の配置は、配線パターンが上面に形成された支持基板15の上に、発光素子13を一列に並べて、半田を用いてフェイスダウン実装することによって行う。そして、このように配置された発光素子13の光取り出し面側に、配光部材12を接着部材によって固定する。
【0080】
続いて、
図2Bに示すように、発光素子13間及び発光素子13と支持基板15との間に配置されるように、二酸化チタンを50%程度含有したシリコーン樹脂を含む反射部材14を配置して、発光装置16を形成する。反射部材14は、発光素子13間において、遮光部11と接触するように設けられる。また、反射部材14は、発光素子13の側面の全て及び配光部材12の下面のうちの発光素子13と接触する領域を除く全てを被覆するように配置される。また、発光装置16の側面では、遮光性枠体19の側面と反射部材14の側面とが面一である。
【0081】
このような製造方法によって得られた発光装置は、複数の透光片10が遮光部11を介して接合された接合体(ここでは、第1接合体18)及び一方向から見て接合体の外周を取り囲むように設けられた遮光性枠体19を備える配光部材12と、配光部材12における遮光性枠体19が設けられていない一対の主面のうちの一方の側に配置された複数の発光素子13と、遮光性枠体19とは異なる材料からなり、発光素子間において遮光部11と接触するように設けられた反射部材14と、を備える。このとき、配光部材12及び発光素子13は、1以上の透光片10に対して1つの発光素子13からの光が入射するように、配置されている。
【0082】
上述したような製造方法によれば、配光部材の側面に反射又は遮光膜を形成する必要がなく、高精度かつ簡便に発光装置を製造することができる。
また、得られた発光装置は、個々の発光素子をそれぞれ独立に点灯制御する場合に、点灯した発光素子からの光が隣接する非点灯の発光素子に設けられた透光片に対して漏れるのを抑制することができる。これにより、非点灯の発光素子に設けられた透光片が微小発光するのを阻止することができる。さらに発光素子間に位置する遮光部の厚みを薄くすることができるため、隣接した発光素子を同時に発光させても、境界部においても均一な明るさを確保することができる。加えて、より一層発光素子を密に配置したより明るい小型の発光装置を製造することができる。また、発光装置の最端に配置する発光素子の横方向の光漏れをも防止することができ、良好な配光性を得ることができる。
【0083】
実施形態3:配光部材の製造方法
この実施形態3の配光部材の製造方法では、透光板を2方向に対して切断すること以外、実施形態1の配光部材の製造方法と実質的に同様である。
【0084】
まず、
図3Aに示すように、透光板20aを準備する。
そして、
図3Bに示すように、この透光板20aの表面に、金属の多層構造膜からなる第1遮光膜21aを成膜し、第1遮光膜付部材27を形成する。例えば、この場合の第1遮光膜付部材27の幅を200μm程度とする。ここでいう幅とは、
図3Bの横方向における長さWをさす。
【0085】
次いで、
図3Cに示すように、第1遮光膜付部材27を、第1遮光膜21aがそれぞれ対面するように順次常温接合して、例えば、5つの第1遮光膜付部材27を積層した、第1接合体28を形成する。第1接合体28は、例えば、第1遮光膜21aが形成されていない面に隣接し、第1遮光膜21aに直交する一面を端面Fとし、それに対向する端面を端面Rとする。ここでの端面F、Rは、第1遮光膜21aに直交する面のうち、最小面積のものとしている。
【0086】
図3Dに示すように、得られた第1接合体28に遮光性枠体29を形成する。ここでの遮光性枠体29は、第1接合体28の外周の全部を取り囲むように配置する。
図3Dでは、端面F、R以外の表面に遮光性枠体29が固定されている。
【0087】
その後、
図3Eに示すように、遮光性枠体29で外周を取り囲まれた第1接合体28を、遮光性枠体29が固定された全ての面及び第1遮光膜付部材27の接合面に対して垂直に第1の切断を行う。つまり、切断は、第1接合体28の端面F、Rに対して平行に行う。その後、表面平坦化のために研磨を行う。これによって、
図3Fに示す配光部材22aを得る。
さらに、
図3Gに示すように、切断した配光部材22aに対して、再度、第1遮光膜付部材27の接合面に対して垂直方向であって、第1遮光膜付部材27の接合面において、上述した第1の切断に対して直交する方向に切断する。
【0088】
このような2方向に対する切断を行うことによって、
図3Gに示すよう、透光片20の間に遮光部21が配置され、所望の形状の配光部材22を複数製造することができる。ただし、得られた配光部材22では、遮光性枠体29は、全外周に配置されておらず、一対の側面又は一対の側面及び他の1側面にのみ配置されている。
【0089】
このように、2方向に対して切断を行う場合は、
図3Aで示すように、透光板20aの奥行きがあることが好ましい。
【0090】
このような製造方法によっても、実施形態1と同様に、高精度で簡便な方法で、隣接する発光素子の光漏れを防止することができる配光部材を大量に製造することができる。
【0091】
実施形態4:発光装置の製造方法
この実施形態4の発光装置の製造方法では、
図4Aに示すように、実施形態2と同様に発光素子13及び配光部材22を配置する。
続いて、
図4Bに示すように、発光素子13間等に反射部材14を配置する。反射部材14は、発光素子13間において、遮光部21(ここでは、2つの第1遮光膜21a)と接触するように設けられる。また、反射部材14は、発光素子13の側面の全て、配光部材12の側面及び配光部材12の下面のうちの発光素子13と接触していない領域の全てを被覆するように配置される。つまり、反射部材14は、遮光性枠体29の側面の全てを被覆するように配置される。また、発光装置26の上面では、遮光性枠体29の上面と反射部材14の上面とが面一である。
【0092】
上述したような製造方法によって、実施形態2と同様に、配光部材の側面に反射又は遮光膜を形成する必要がなく、高精度かつ簡便に配光部材及び発光装置を製造することができる。
【0093】
実施形態5:配光部材の製造方法
この実施形態5の配光部材の製造方法では、実施形態3における、
図3Cに示す第1接合体28を、
図5Aに示すように、第1遮光膜付部材27の接合面に対して垂直に切断し、
図5Bに示すように、中間物22bを形成する。この切断は、端面F、Rに対して垂直に行う。
【0094】
次いで、
図5Cに示すように、得られた中間物22bの表面に、第1遮光膜21aの形成と同様に、金属の多層構造膜からなる第2遮光膜31aを成膜し、第2遮光膜付部材37を形成する。
図5Dに示すように、第2遮光膜付部材37を、第2遮光膜31aがそれぞれ対面するように、順次常温接合して、例えば、5つの第2遮光膜付部材37を接合した第2接合体38を形成する。第2接合体38は、例えば、第2遮光膜31aが形成されていない面に隣接し、第2遮光膜31a及び第1遮光膜21aに直交する一面を端面Fとし、それに対向する端面を端面Rとする。ここでの端面F、Rは、第2遮光膜31aに直交する面のうち、最小面積のものとしている。
【0095】
図5Eに示すように、得られた第2接合体38に遮光性枠体39を形成する。ここでの遮光性枠体39は、第2接合体38の外周の全部を取り囲むように配置する。
図5Eでは、遮光性枠体39は、端面F、R以外の表面に固定されている。
【0096】
続いて、
図5Fに示すように、遮光性枠体39で外周を取り囲まれた第2接合体38を、遮光性枠体39が固定された全ての面に対して垂直に切断する。つまり、切断は、第2接合体38の端面F、Rに対して平行に行う。
その後、任意に、得られた配光部材32を研磨及び/又は切断して、例えば、
図5Gに示す、所望の形状の配光部材32を製造する。この配光部材32は、透光片20が行列状に複数配置されている。そして、行方向に隣接する各透光片20間には2つの第1遮光膜21aからなる遮光部21が、列方向に隣接する各透光片20間には2つの第2遮光膜31aからなる遮光部31が、それぞれ配置されている。
【0097】
このような製造方法によっても、実施形態1及び3と同様に、高精度で簡便な方法で、隣接する透光片への光漏れを防止することができる配光部材を大量に製造することができる。
【0098】
実施形態6:発光装置の製造方法
この実施形態6の発光装置の製造方法では、
図6に示すように、実施形態5で得られた配光部材32に対応して、発光素子13を行列状に複数配置する。
この際の発光素子13の配列は、実施形態2と同様に行うことができ、さらに、実施形態2と同様の方法により、反射部材を形成して、発光装置を製造することができる。
【0099】
このような製造方法によって得られた発光装置は、発光素子が行列状に配置され、それら発光素子に対応して透光片が配置され、隣接する透光片間に遮光部(本実施形態では、第1遮光膜及び第2遮光膜)が配置されている以外、実質的に実施形態2の発光装置と同様の構成である。
このような発光装置においても、実施形態2、4と同様に、配光部材の側面に反射又は遮光膜を形成する必要がなく、高精度かつ簡便に発光装置を製造することができる。
【0100】
実施形態7:配光部材の製造方法
この配光部材の製造方法では、
図7Aの発光装置における配光部材42を製造するために、まず、透光板として、
最も厚みが薄く、蛍光体濃度が最も高い透光板A、
最も厚みが薄く、蛍光体濃度が2番目に高い透光板B、
二番目に厚みが薄く、蛍光体濃度が最も高い透光板C、
最も厚みが厚く、蛍光体濃度が二番目に高い透光板D、
最も厚みが厚く、蛍光体濃度が最も低い透光板Eを準備する。
【0101】
そして、透光板A及び透光板Bを用いて、実施形態1の
図1Cまでの工程と同様に行方向に透光片41a、41bが配列された接合体Xを作成する。
また、透光板D及び透光板Eを用いて、実施形態1の
図1Cまでの工程と同様に行方向に透光片41d、41eが配列された接合体Yを作成する。
さらに、透光板B及び透光板Cを用いて、実施形態1の
図1Cまでの工程と同様に行方向に透光片41b、41cが配列された接合体Zを作成する。
これら接合体X、接合体Y及び接合体Zを、それぞれ
図5Bに示す中間体とみなして、その表面に
図5Cと同様に遮光膜を形成する。その後、
図5Dと同様に、行方向とは直交する方向に積層する。続いて、
図5Eと同様に、遮光性枠体49を形成し、
図5Fと同様に切断する。
【0102】
これによって、
図7Aに示すように、最も小さい大きさであって、蛍光体濃度が最も高い透光片41a、最も小さい大きさであって、蛍光体濃度が2番目に高い透光片41b、二番目に小さい大きさであって、蛍光体濃度が最も高い透光片41c、最も大きい大きさであって、蛍光体濃度が二番目に高い透光片41d、最も大きい大きさであって、蛍光体濃度が最も低い透光片41eを備え、その外周に遮光性枠体49が形成された配光部材42を形成することができる。
【0103】
実施形態8:発光装置の製造方法
この発光装置の製造方法では、
図7Bに示すように、配光部材32に代えて配光部材42を用い、最も小さい大きさの1つの透光片41a、41bには1つの発光素子13、二番目に小さい大きさの透光片41cには2つの発光素子13、最も大きい大きさの透光片41d、41eには4つの発光素子13を配置する以外、実施形態6と同様の発光装置を製造することができる。
【0104】
このような発光装置においても、実施形態2、4及び6と同様の効果が得られる。また、このような形態の配光部材を用いる場合には、例えば、車両用ヘッドライト等種々の適用に対応した特性の発光装置とすることができる。