特許第6265468号(P6265468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265468
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】プレポリマー及び硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/48 20060101AFI20180115BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20180115BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   C08G77/48
   C08L83/05
   C08L83/07
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-221067(P2013-221067)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-81328(P2015-81328A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100143856
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 廣己
(72)【発明者】
【氏名】石川 佳寛
(72)【発明者】
【氏名】大塚 孝洋
【審査官】 中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/007789(WO,A1)
【文献】 特開2011−088982(JP,A)
【文献】 特許第5985867(JP,B2)
【文献】 特開2013−159776(JP,A)
【文献】 特開2014−156011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/48
C08L 83/05
C08L 83/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(α)下記一般式(1)で表わされる環状ポリシロキサン化合物と、(β)下記一般式(2)で表わされる鎖状ポリシロキサン化合物と、(γ)下記一般式(3)〜(6)の何れかで表わされる化合物から選択されるジビニル化合物とをヒドロシリル化反応して得られ、
(β)下記一般式(2)で表わされる鎖状ポリシロキサン化合物に由来する部分の割合が5〜50質量%である、1分子中に少なくとも3つのSiH基を有するプレポリマー。
【化1】
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、a
は3〜6の数を表わす。)
【化2】
(式中、R2、R3及びR6は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10
のアリール基を表わし、R4及びR5は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R7は炭素数6〜10のアリール基を表わし、b及びcはb+cが20〜5000の数と
なる0〜5000の数を表わす。)
【化3】
(式中、R8は炭素数1〜4のアルキル基又はグリシジル基を表わす。)
【化4】
(式中、R9及びR10は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のア
リール基を表わす。)
【請求項2】
(α)前記一般式(1)で表わされる環状ポリシロキサン化合物に対する(γ)前記一般式(3)〜(6)の何れかで表わされる化合物から選択されるジビニル化合物との反応比が、0.7〜1.2である請求項1に記載のプレポリマー。
【請求項3】
(A)成分として、請求項1又は2に記載のプレポリマー、(B)成分として、1分子中に少なくとも2つのビニル基を有するポリシロキサン化合物、(C)成分としてヒドロシリル化触媒を含有する硬化性組成物。
【請求項4】
前記(B)成分が、下記一般式(7)で表わされる環状ポリシロキサン化合物である請求項に記載の硬化性組成物。
【化5】
(式中、R11〜R13は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、dは2〜6の数を表わし、eはd+eが3〜6となる0〜4の数を表わす。)
【請求項5】
更に、(D)成分として、下記一般式(8)又は(9)で表わされるポリシロキサン化合物を含有する請求項3又は4に記載の硬化性組成物。
【化6】
(式中、R14、R15、R16及びR19は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R17及びR18は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R20は炭素数6〜10のアリール基を表わし、fは2〜5の数を表わし、g及びhはg+hが5〜1000の数となる0〜1000の数を表わす。)
【化7】
(式中、R21、R22、R25及びR27は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R23及びR24は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R26は炭素数6〜10のアリール基を表わし、X1は水素原子、炭素数1〜4
のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、i及びjはi+jが20〜5000の数となる0〜5000の数を表わし、kは0〜100の数を表わす。但しkが0〜1の数の場合、X1は水素原子を表わす。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐熱性で、電気絶縁性に優れており、被覆用及び封止用の硬化性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコーン樹脂は、耐熱性、透明性、電気絶縁性、耐薬品性に優れていることから、物理的・電気的特性に優れており、電気・電子材料の分野では、素子の封止材、コーティング材、絶縁材等として使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
一方、電気・電子材料は、極寒から酷暑での使用が要求される場合があり、その封止材、コーティング材、絶縁材等にも、より一層の耐寒性、耐熱衝撃性が要求される。
また、電気・電子機器分野では、環境問題への配慮から素子に使用されるはんだは、従来のスズ−鉛はんだ(融点:183℃)から鉛フリーはんだ(融点:220℃)に移行している。これにより、はんだリフロー温度が従来の230℃(Sn−Pb共晶はんだ)から260℃(鉛フリーはんだ)に上がり、電気・電子分野で使用される材料には、より一層の耐熱性、耐熱衝撃性が要求されている。
【0003】
コーティング材や絶縁材としてシリコーン樹脂を使用する場合には、ある程度の硬度が必要であり、シリコーン樹脂の硬度を向上させるには、SiH基を有する環状シロキサンとジビニル化合物とのプレポリマーを使用することが有効である(例えば、特許文献2参照)。一方、シリコーン樹脂の耐寒性や耐熱衝撃性を向上させるには、高分子量のポリ(ジオルガノシロキサン)鎖を導入することが有効であるが、高分子量のポリ(ジオルガノシロキサン)化合物はSiH基を有する環状シロキサンとジビニル化合物とのプレポリマーとの相溶解性が不十分であることから、このような反応性組成物の硬化物は、耐熱衝撃性が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−080282号公報
【特許文献2】特開2006−232970号公報
【特許文献3】特開2012−007002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、素子の封止材、コーティング材、絶縁材等として十分な硬度を有し、耐熱衝撃性に優れた硬化物が得られるプレポリマー及び硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記に鑑み鋭意研究の結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、(α)下記一般式(1)で表わされる環状ポリシロキサン化合物と、(β)下記一般式(2)で表わされる鎖状ポリシロキサン化合物と、(γ)下記一般式(3)〜(6)の何れかで表わされる化合物から選択されるジビニル化合物とをヒドロシリル化反応して得られる、1分子中に少なくとも3つのSiH基を有するプレポリマーを提供するものである。
【0007】
【化1】
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、aは3〜6の数を表わす。)
【0008】
【化2】
(式中、R2、R3及びR6は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R4及びR5は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R7は炭素数6〜10のアリール基を表わし、b及びcはb+cが20〜5000の数となる0〜5000の数を表わす。)
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
【0011】
【化5】
(式中、R8は炭素数1〜4のアルキル基又はグリシジル基を表わす。)
【0012】
【化6】
(式中、R9及びR10は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。)
【0013】
また、本発明は、(A)成分として、前記プレポリマー、(B)成分として、1分子中に少なくとも2つのビニル基を有するポリシロキサン化合物、(C)成分としてヒドロシリル化触媒を含有する硬化性組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果は、素子の封止材、コーティング材、絶縁材等として十分な硬度を有し、耐熱衝撃性に優れた硬化物が得られるプレポリマーを提供したことにある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のプレポリマー及び硬化性組成物について、好ましい実施形態に基づき説明する。
先ず、本発明のプレポリマーを構成する(α)前記一般式(1)で表わされる環状ポリシロキサン化合物について説明する。前記一般式(1)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。炭素原子数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、エチルフェニル基、トリル基、クメニル基、キシリル基、プソイドクメニル基、メシチル基、t−ブチルフェニル基、フェネチル基等が挙げられる。R1としては耐熱性が高く、工業的な入手も容易であることから、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、メチル基、フェニル基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。aは3〜6の数を表わし、aとしては、硬度の高い硬化物が得られることから、3〜5が好ましく、3〜4が更に好ましく、4が最も好ましい。
【0016】
次に、(β)前記一般式(2)で表わされる鎖状ポリシロキサン化合物について説明する。前記一般式(2)において、R2、R3及びR6は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R4及びR5は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R7は炭素数6〜10のアリール基を表わす。R2及びR3としては耐熱性が高く、製造も容易であることから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。R4及びR5としては耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。R6としては耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、フェニル基が更に好ましい。R7としては耐熱性が高いことから、フェニル基が好ましい。
【0017】
b及びcはb+cが20〜5000となる0〜5000の数を表わす。b+cの数があまりに小さい場合には十分な耐熱衝撃性が得られず、またあまりに大きい場合にはハンドリング性が低下することから、b+cは25〜2000が好ましく、30〜1500が更に好ましく、35〜1000が最も好ましい。またbに対するcの割合が大きい場合には耐熱性が向上するが、あまりに大きい場合には耐熱衝撃性が低下することから、b:cは、100:0〜70:30が好ましく、95:5〜75:25が更に好ましい。尚、繰り返し単位がbのユニット及びcのユニットの重合形式はブロック状でもよいしランダム状でもよい。
【0018】
次に、(γ)前記一般式(3)〜(6)の何れかで表わされる化合物から選択されるジビニル化合物について説明する。
前記一般式(3)で表わされる化合物としては、1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼンが挙げられる。尚、工業的には、1,3−ジビニルベンゼンと1,4−ジビニルベンゼンの混合物の入手が容易である。
前記一般式(4)で表わされる化合物としては、1,2−ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルシクロヘキサンが挙げられる。
前記一般式(5)において、R8は炭素数1〜4のアルキル基又はグリシジル基を表わす。前記一般式(5)で表わされる化合物の中で、好ましい化合物としては、1,3−ジアリル−5−メチルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−エチルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−グリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
前記一般式(6)において、R9及びR10は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。前記一般式(6)で表わされる化合物の中で、好ましい化合物としては、1,2−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,2−ビス(ジエチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジエチルビニルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルビニルシリル)ベンゼン等が挙げられる。
(γ)成分としては、耐熱性が高いことから、前記一般式(3)で表わされる化合物、前記一般式(6)で表わされる化合物が好ましく、前記一般式(3)で表わされる化合物が更に好ましい。尚、(γ)成分としては、1種の化合物のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
本発明のプレポリマーにおいて、(β)一般式(2)で表わされる鎖状ポリシロキサン化合物に由来する部分の割合があまりに少ない場合には十分な耐熱衝撃性が得られず、またあまりに多い場合には硬度が低下することから、(β)成分に由来する部分の割合は、5〜50質量%であることが好ましく、6〜40質量%であることが更に好ましく、7〜30質量%であることが最も好ましい。
【0020】
また、本発明のプレポリマーにおいて、(α)前記一般式(1)で表わされる環状ポリシロキサン化合物に対する(γ)前記一般式(3)〜(6)の何れかで表わされる化合物から選択されるジビニル化合物があまりに少ない場合には十分な硬度が得られず、またあまりに多い場合には反応の制御が困難となりゲル物が生成する場合があることから(α)成分に対する(γ)成分の反応比は、モル比で0.75〜1.2であるであることが好ましく、0.90〜1.1であることが更に好ましく、0.94〜0.98であることが最も好ましい。
【0021】
本発明のプレポリマーにおいて、(α)前記一般式(1)で表わされる環状ポリシロキサン化合物と、(β)前記一般式(2)で表わされる鎖状ポリシロキサン化合物と、(γ)前記一般式(3)〜(6)の何れかで表わされる化合物から選択されるジビニル化合物とのヒドロシリル化反応は、白金系触媒を用いて行うことが好ましい。白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体(Ossko触媒)、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド錯体、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt[P(C6534、PtCl[P(C6533、Pt[P(C4934]、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OC6534)、Pt[P(OC4934)、ジカルボニルジクロロ白金等が挙げられる。触媒の使用量は反応性の点から、各原料の合計量の5質量%以下が好ましく、0.0001〜1.0質量%が更に好ましく、0.001〜0.1質量%が最も好ましい。ヒドロシリル化の反応条件は特に限定されず、上記触媒を使用して従来公知の条件で行なえばよいが、反応速度及び各原料の相溶性の点から、室温(25℃)〜130℃で行なうのが好ましい。反応時にトルエン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の従来公知の溶媒を使用することが好ましい。

次に、本発明のプレポリマーを含有する硬化性組成物について説明する。
【0022】
<(A)成分>
本発明の硬化性組成物は、(A)成分として、(α)前記一般式(1)で表わされる環状ポリシロキサン化合物と、(β)前記一般式(2)で表わされる鎖状ポリシロキサン化合物と、(γ)前記一般式(3)〜(6)の何れかで表わされる化合物から選択されるジビニル化合物とをヒドロシリル化反応して得られる、1分子中に少なくとも3つのSiH基を有するプレポリマーを含有するところに特徴がある。ヒドロシリル化反応によるシリコーン樹脂では、従来、1分子中に少なくとも3つのSiH基を有するプレポリマーとして、(α)成分と(β)成分とのプレポリマーや、(α)成分と(γ)成分とのプレポリマーが知られているが、(α)〜(γ)の3つの成分によるプレポリマーは知られていなかった。本発明の硬化性組成物では、(A)成分として、(α)〜(γ)の3つの成分によるプレポリマーを含有することにより、素子の封止材、コーティング材、絶縁材等として十分な硬度を有しながら、耐熱衝撃性に優れた硬化物を得ることができる。
【0023】
<(B)成分>
本発明の硬化性組成物における(B)成分は、1分子中に少なくとも2つのビニル基を有するポリシロキサン化合物である。このような化合物としては、下記一般式(7)で表わされる環状ポリシロキサン化合物、下記一般式(10)で表わされる鎖状ポリシロキサン化合物等が挙げられる。(B)成分としては、適度な硬度の硬化物が得られることから、一般式(7)で表わされる環状ポリシロキサン化合物が好ましい。
【0024】
【化7】
(式中、R11〜R13は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、dは2〜6の数を表わし、eはd+eが3〜6となる0〜4の数を表わす。)
【0025】
【化8】
(式中、R28、R29、R32及びR34は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R30及びR31は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R33は炭素数6〜10のアリール基を表わし、X2はビニル基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、l及びmはl+mが20〜5000の数となる0〜5000の数を表わし、nは0〜100の数を表わす。但しnが0〜1の数の場合、X1はビニル基を表わす。)
【0026】
前記一般式(7)において、R11〜R13は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。R11としては、耐熱性が高く、工業的な原料の入手も容易であることから、メチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。R12及びR13としては、耐熱性が高く、工業的な原料の入手も容易であることから、メチル基、フェニル基が好ましく、フェニル基が更に好ましい。dは2〜6の数を表わし、eはd+eが3〜6となる0〜4の数を表わす。耐熱性が向上することからeは1〜2の数が好ましい。また、製造が容易であることからd+eは3〜5が好ましく、3〜4が更に好ましく、4が最も好ましい。
【0027】
前記一般式(10)において、R28、R29、R32及びR34は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R30及びR31は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R33は炭素数6〜10のアリール基を表わし、X2はビニル基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。R28及びR29としては耐熱性が高く、製造も容易であることから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。R30及びR31としては耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。R32としては耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、フェニル基が更に好ましい。R33としては耐熱性が高いことから、フェニル基が好ましい。R34としては耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0028】
l及びmはl+mが20〜5000の数となる0〜5000の数を表わす。l+mの数があまりに小さい場合には十分な耐熱衝撃性が得られず、またあまりに大きい場合にはハンドリング性が低下することから、l+mは25〜2000が好ましく、30〜1500が更に好ましく、35〜1000が最も好ましい。またlに対するmの割合が大きい場合には耐熱性が向上するが、あまりに大きい場合には耐熱衝撃性が低下することから、l:mは、100:0〜70:30が好ましく、97:3〜75:25が更に好ましい。nは0〜100の数を表わす。但し、nが0〜1の数の場合、X1はビニル基を表わす。十分な耐熱衝撃性が得られることからnは0〜20が好ましく、0〜10が更に好ましく、0〜5が最も好ましい。尚、繰り返し単位がlのユニット、mのユニット及びnのユニットの重合形式はブロック状でもよいしランダム状でもよい。
【0029】
本発明の硬化性組成物では、十分な耐熱衝撃性と適度な硬度が得られることから、組成物中のビニル基に対するSiH基の比は、モル比で0.8〜1.5が好ましく、0.9〜1.4が更に好ましく、1.0〜1.3であることが最も好ましい。本発明の硬化性組成物における(A)及び(B)成分の含有量は、このビニル基とSiH基の比を考慮して決定すればよい。
【0030】
<(C)成分>
本発明の硬化性組成物における(C)成分は、ヒドロシリル化触媒である。ヒドロシリル化触媒としては、白金系触媒が好ましい。白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体(Ossko触媒)、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(KaRstedt触媒)、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド錯体、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt[P(C6534、PtCl[P(C6533、Pt[P(C4934]、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OC6534)、Pt[P(OC4934)、ジカルボニルジクロロ白金等が挙げられる。触媒の使用量は反応性の点から、各原料の合計量の5質量%以下が好ましく、0.0001〜1.0質量%が更に好ましく、0.001〜0.1質量%が最も好ましい。ヒドロシリル化の反応条件は特に限定されず、上記触媒を使用して従来公知の条件で行なえばよいが、反応速度の点から、室温(25℃)〜130℃で行なうのが好ましい。
【0031】
本発明の硬化性組成物は、耐ヒートショック性が向上することから、更に、(D)成分として、下記一般式(8)又は(9)で表わされるポリシロキサン化合物を含有することが好ましい。(D)成分としては、耐ヒートショック性の向上効果が大きいことから一般式(8)で表わされるポリシロキサン化合物が好ましい。
【0032】
【化9】
(式中、R14、R15、R16及びR19は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R17及びR18は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R20は炭素数6〜10のアリール基を表わし、fは2〜5の数を表わし、g及びhはg+hが5〜1000の数となる0〜1000の数を表わす。)
【0033】
【化10】
(式中、R21、R22、R25及びR27は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R23及びR24は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R26は炭素数6〜10のアリール基を表わし、X1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、i及びjはi+jが20〜5000の数となる0〜5000の数を表わし、kは0〜100の数を表わす。但しkが0〜1の数の場合、X1は水素原子を表わす。)
【0034】
前記一般式(8)において、R14、R15、R16及びR19は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R17及びR18は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R20は炭素数6〜10のアリール基を表わす。R14〜R16としては耐熱性が高く、製造も容易であることから、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。R17及びR18としては、耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。
19としては耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、フェニル基が更に好ましい。R20としては耐熱性が高いことから、フェニル基が好ましい。
【0035】
fは2〜5の数を表わし、g及びhはg+hが5〜1000の数となる0〜1000の数を表わす。fは、工業的な原料の入手が容易であることから、2〜4が好ましく、2〜3が更に好ましく、3が最も好ましい。g+hの数があまりに小さい場合には十分な耐熱衝撃性が得られず、またあまりに大きい場合にはハンドリング性が低下することから、g+hは25〜2000が好ましく、30〜1500が更に好ましく、35〜1000が最も好ましい。またgに対するhの割合が大きい場合には耐熱性が向上するが、あまりに大きい場合には耐熱衝撃性が低下することから、g:hは、100:0〜70:30が好ましく、97:3〜75:25が更に好ましい。尚、繰り返し単位がgのユニット及びhのユニットの重合形式はブロック状でもよいしランダム状でもよい。
【0036】
前記一般式(9)において、R21、R22、R35及びR27は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R23及びR24は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R26は炭素数6〜10のアリール基を表わし、X1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。R21及びR22としては耐熱性が高く、製造も容易であることから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。R23及びR24としては耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。R25としては耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、フェニル基が更に好ましい。R26としては耐熱性が高いことから、フェニル基が好ましい。R27としては耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0037】
i及びjはi+jが20〜5000の数となる0〜5000の数を表わす。i+jの数があまりに小さい場合には十分な耐熱衝撃性が得られず、またあまりに大きい場合にはハンドリング性が低下することから、i+jは25〜2000が好ましく、30〜1500が更に好ましく、35〜1000が最も好ましい。またiに対するjの割合が大きい場合には耐熱性が向上するが、あまりに大きい場合には耐熱衝撃性が低下することから、i:jは、100:0〜70:30が好ましく、97:3〜75:25が更に好ましい。kは0〜100の数を表わす。但し、kが0〜1の数の場合、X1は水素原子を表わす。十分な耐熱衝撃性が得られることからkは0〜20が好ましく、0〜10が更に好ましく、0〜5が最も好ましい。尚、繰り返し単位がiのユニット、jのユニット及びkのユニットの重合形式はブロック状でもよいしランダム状でもよい。
【0038】
本発明の硬化性組成物において、前記(D)成分の含量があまりに少ない場合は耐熱衝撃性の向上効果が少なく、またあまりに多い場合には、硬化物の硬度が低下することから、(D)成分の含量は、(A)成分100質量部に対して、5〜200質量部が好ましく、10〜100質量部が更に好ましく、15〜60質量部が最も好ましい。
【0039】
本発明の硬化性組成物は、硬さが向上することから(E)成分として無機微粉末を含有することが好ましい。無機微粉末としては、例えば、フュームドシリカ、沈降法シリカ等のシリカ類;石英、マイカ、モンモリロナイト、けい石、珪藻土類、セリサイト、カオリナイト、フリント、長石粉、蛭石、アタパルジャイト、タルク、ミネソタイト、パイロフィライト等の鉱物類;窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ベリリウム等の金属酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩;炭化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛が挙げられる。(E)成分の平均粒径は、配合性の点から、0.05〜500μmが好ましく、0.1〜200μmが更に好ましく、0.2〜50μmが最も好ましい。(E)成分の含有量は、ハンドリングの点から、本発明の硬化性組成物100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、更に5〜20質量部が好ましい。
【0040】
本発明の硬化性組成物は、耐熱性や耐候性が向上することから、更に(F)成分として、耐候性付与剤を含有することが好ましい。耐候性付与剤としては、光安定剤、紫外線吸収剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の周知一般に用いられているものを使用することができる。例えば、光安定剤としてはヒンダードアミン類が挙げられ、紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類、ベンゾエート類、シアノアクリレート類が挙げられ、フェノール系酸化防止剤としてはトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−t−ブチル−パラクレゾール(DBPC)等が挙げられ、硫黄系酸化防止剤としては、ジアルキルチオジプロピオネート類、β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられ、リン系酸化防止剤としては、有機ホスファイト類が挙げられる。
【0041】
本発明の硬化性組成物において、前記(F)成分である耐候性付与剤を使用する場合、その含有量は、耐熱性、電気特性、硬化性、力学特性、保存安定性、ハンドリング性の点から、本発明の硬化性組成物中において0.0001〜10質量%が好ましく、0.001〜5質量%が更に好ましい。
【0042】
次に本発明の硬化性組成物を硬化させたことを特徴とする硬化物について説明する。
当該硬化物は、上記で説明した本発明の硬化性組成物を硬化させたものである。硬化させる場合の加熱温度は、(C)成分であるヒドロシリル化触媒の種類や量、希望する硬化時間によって異なるが、0.5〜5時間で硬化させる場合には110〜200℃、10〜30秒で硬化させる場合は、300〜420℃が目安となる。
【0043】
本発明の硬化性組成物は、耐熱性、透明性、電気絶縁性、耐薬品性、耐熱衝撃性に優れており、特に、電気・電子材料の分野において、素子や配線の封止材、コーティング材、絶縁材等として好適に使用できる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、特に限定のない限り、実施例中の「部」や「%」は質量基準によるものであり、質量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒としてGPC分析を行った場合のポリスチレン換算の質量平均分子量(重量平均分子量ともいう)をいう。
【0045】
<(A)成分の製造>
実施例1:プレポリマーA1の製造
温度計及び攪拌装置を備えたガラス製反応容器に、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン120g(0.5モル)、ジビニルベンゼン62.8g(0.482モル)、溶剤としてトルエン200g、及び触媒として白金─カルボニルビニルメチル錯体(Osskо触媒)8mgを仕込み、85℃で1時間撹拌した後、下記式(10)のポリシロキサン化合物を12.4g添加し、更に85℃で3時間撹拌して反応を完結させた。この後、減圧して溶媒を留去し、本発明の(A)成分であるプレポリマーA1を得た。プレポリマーA1の質量平均分子量は76600で、SiH基の含量は、NMR分析により5.27mmol/gであることがわかった。
【0046】
【化11】
【0047】
実施例2:プレポリマーA2の製造
実施例1において、式(10)のポリシロキサン化合物の添加量を12.4gから27.6gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明の(A)成分であるプレポリマーA2を得た。プレポリマーA2の質量平均分子量は86900で、SiH基の含量は、NMR分析により4.87mmol/gであることがわかった。
【0048】
実施例3:プレポリマーA3の製造
実施例1において、式(10)のポリシロキサン化合物の添加量を12.4gから47.6gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明の(A)成分であるプレポリマーA3を得た。プレポリマーA3の質量平均分子量は132000で、SiH基の含量は、NMR分析により4.43mmol/gであることがわかった。
【0049】
実施例4:プレポリマーA4の製造
実施例1において、式(10)のポリシロキサン化合物の添加量を12.4gから73.8gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明の(A)成分であるプレポリマーA4を得た。プレポリマーA4の質量平均分子量は206000で、SiH基の含量は、NMR分析により3.96mmol/gであることがわかった。
【0050】
合成例1:比較のプレポリマーA'1の製造
温度計及び攪拌装置を備えたガラス製反応容器に、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン120g(0.5モル)、ジビニルベンゼン61.8g(0.475モル)、溶剤としてトルエン200g、及び触媒として白金─カルボニルビニルメチル錯体(Osskо触媒)8mgを仕込み、85℃で4時間撹拌して反応を完結させた。この後、減圧して溶媒を留去し、比較のプレポリマーA’1を得た。プレポリマーA’1の質量平均分子量は55000で、SiH基の含量は、NMR分析により5.64mmol/gであることがわかった。
【0051】
(B)成分〜(D)成分としては、以下のものを使用した。
<(B)成分>
B1:下記化合物(11)75質量%と下記化合物(12)25質量%の混合物(ビニル基含量6.82mmol/g)
【0052】
【化12】
【0053】
B2:前記化合物(10)(ビニル基含量0.198mmol/g)
<(C)成分>
C:白金─カルボニルビニルメチル錯体(Osskо触媒)
<(D)成分>
D1:下記式(13)の化合物(SiH基含量0.568mol/g)
D2:下記式(14)の化合物(SiH基含量0.199mol/g)
【0054】
【化13】
【0055】
【化14】
【0056】
前記のプレポリマーA1〜A4及びA’1、化合物B1、B2、C、D1及びD2を用いて、下記〔表1〕の組成の、実施例5〜15及び比較例1〜6の硬化性組成物を調製した。調製した硬化性組成物から、下記の〔試験片の調製〕に従って試験片を調製し、下記の〔タック・硬さ試験〕、〔硬度試験〕、〔耐熱衝撃性試験〕及び〔屈曲試験〕の評価を行った。
尚、〔表1〕中の( )内の数字は質量部を表わす。
【0057】
【表1】
【0058】
〔試験片の調製〕
厚さ0.25mm、縦80mm及び横80mmの銅片に硬化後の膜厚が100μm又は1mmとなるように各硬化性組成物を塗布し、卓上マッフル炉を用いて、400℃15秒間加熱して硬化したものを試験片として用いた。
【0059】
〔タック・硬さ試験〕
硬化物の膜厚が1mmの試験片を15°の傾きの板状に固定し、高炭素クロム軸受鋼鋼材の1/4インチサイズの鋼鉄球が、試験片の硬化膜上で、静止状態から長さ5cm移動する時間により、タックの有無及び硬さを以下の基準により評価した。結果を〔表2〕に示す。
○:移動時間が0.5秒未満であり、タックがなく、硬い
△:移動時間が0.5〜1.5秒であり、ややタックがある又は軟らかい
×:移動時間が0.5〜1.5秒であり、タックがある
【0060】
〔硬度試験〕
JIS K5600−5−4(塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法))に準拠し、硬化膜の引っかき硬度を測定した。なお、評価結果は3H〜6Bの順に引っかき硬度が高いことを示す。結果を〔表2〕に示す。
〔耐熱衝撃性試験〕
硬化物の膜厚が100μmの試験片を、120℃に設定したホットプレートの上におき、約10分間かけで300℃まで昇温させ、300℃に到達してから1分後に加熱された紙片片を25℃の水の中に入れて急冷した。硬化膜を目視しに発生したクラックにより、以下の基準により耐熱衝撃性を評価した。結果を〔表2〕に示す。
◎:クラックがみられず、耐熱衝撃性に優れる。
○:微小なクラックがわずかにみられるが、大きなクラックはみられず耐熱衝撃性にやや優れる。
△:微小なクラックが明らかにみられるが、大きなクラックはみられず耐熱衝撃性にやや劣る。
×:大きなクラックがみられ、耐熱衝撃性が劣る。
【0061】
〔屈曲試験〕
JIS K5600−5−1(塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法))に準拠し、硬化物の膜厚が1mmの試験片について、
直径2mmと5mmのマンドレルを用いて以下の基準にて屈曲性を評価した。結果を〔表2〕に示す。
○:直径2mmのマンドレルでも剥離やクラックがみられず屈曲性に優れる。
△:直径5mmのマンドレルでは変化がないが、2mmでは剥離やクラックがみられ屈曲性にやや劣る。
×:直径5mmのマンドレルで剥離やクラックがみられ屈曲性に劣る。
【0062】
【表2】
【0063】
〔表2〕の結果から、本発明の硬化性組成物は、タックがなく、適度な硬度を有し、耐熱衝撃性と屈曲性に優れた硬化物が得られることがわかる。