(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の収納部取付部に前記スプリッタトレイに取り付けられる前記スプリッタにより分岐された光信号を受けるとともに、前記成端用ベーストレイの裏面側から表面側へと配線されるコネクタ付き光ファイバ心線と、下流側の光ファイバ心線に接続させる接続部材を収納させる接続部材収納部が取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記スプリッタトレイは、前記成端用ベーストレイの裏面側に形成されているトレイ固定用ヒンジ部において、回動自在に備えられていることを特徴とする請求項1又は2記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記トレイ固定用ヒンジ部は、備えられた前記スプリッタトレイを所定角度の位置にて保持可能なヒンジ構成からなることを特徴とする請求項3記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記成端用ベーストレイの表面側には、前記ファンアウトコードと、下流側の光ファイバ心線を接続させるためのコード接続部材を収納するコード接続部材収納部が備えられていることを特徴とする請求項1〜4何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記分岐部材は、底面側の長手方向側縁の所定位置に、相対する1対の挟持部材が突設されており、当該挟持部材により、他の分岐部材を挟持させることで、それらを段積み状態に構成させることができるものであることを特徴とする請求項1〜5何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記接続部材収納部は、底面側の所定位置に、段積み用溝部が形成されているとともに、上面側の所定位置に段積み用リブが突設されており、前記段積み用溝部に、他の接続部材収納部の段積み用リブを嵌合させることで、それらを段積み状態に構成させることができることを特徴とする請求項1〜6何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記成端用背面トレイの所定箇所には、シート係止用フックが複数形成されているとともに、通過心線を保護可能な保護シートが前記係止用フックに係止されていることを特徴とする請求項1〜7何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記保護シートは、第1のシート及び第2のシートから構成され、当該両シートは、それぞれ前記シート係止用フックに係止されるとともに、それぞれの所定箇所に形成されているロック部材を互いに嵌合させることにより、前記通過心線を内包し、保護することを特徴とする請求項8記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記成端用背面トレイの所定箇所には、1又は複数の部材係止用フックが形成されており、当該部材係止用フックに、所定の光ファイバ心線を挟持固定する心線識別部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜9何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記心線識別部材は、複数の突起部を有し、当該突起部同士の間隙に前記所定の光ファイバ心線を挿通可能とする第1部材と、前記突起部に対応する複数の嵌合孔が設けられた第2部材とが、互いに相対するよう折り畳み可能に連接されており、両者を折り畳み、前記複数の嵌合孔に、前記複数の突起部が挿入させることで、前記突起部同士の間隙に挿通される前記所定の光ファイバ心線を挟持固定させることを特徴とする請求項1〜10何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記心線識別部材は、前記第1部材の所定箇所に設けられた係止孔を前記部材係止用フックを引っ掛けることで、前記成端用背面トレイに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜11何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記成端用ベーストレイの裏面側には、上流側の光ファイバ心線と、下流側の単心ドロップケーブルとを接続させるためのドロップケーブル接続部材を収納するドロップケーブル接続部材収納部が形成されたドロップトレイが備えられていることを特徴とする請求項1〜12何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記ドロップトレイは、前記成端用ベーストレイの裏面側に形成されているトレイ固定用ヒンジ部において、回動自在に備えられていることを特徴とする請求項13記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記スプリッタトレイ及び成端用ベーストレイには、前記ファンアウトコードや、前記ドロップケーブルを挿脱自在に固定保留する保留部材が嵌脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜15何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャ。
前記スリーブが、分割スリーブからなるとともに、前記クロージャ本体の設置位置により作業が可能の方向であるスリーブ面を開放可能の構成とし、片開きに開放されたスリーブを所定位置に保持するスリーブストッパを前記分割スリーブ間に跨がって係脱自在に設けたことを特徴とする請求項1〜16何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ケーブルの分岐や、引き込み、接続等を行う場合、クロージャ内において光ケーブル心線相互を接続するとともに、この接続部と、光ケーブル心線の余長分とを収納するための心線接続余長収納トレイを備えた光ケーブル接続用クロージャが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、光ファイバ心線を接続するためのコネクタを収納するコネクタ収納部と、該コネクタ収納部に隣接して設けた分岐光ファイバ心線の心線余長を収納する心線余長収納部とを備えた成端トレイと、該心線余長収納部に収納されている分岐光ファイバ心線を配線するための配線用把持具ベースとをクロージャ本体内に左右非対称に設けた光ケーブル接続用クロージャであって、前記クロージャ本体のスリーブが片面および/または両面を開閉自在の構成とし、該クロージャ本体内に設置される成端トレイを固定するフレームの両側上面にケーブルテンションメンバの固定部を上面側から固定できる構成として備えると共に、前記成端トレイに複数の心線接続部のコネクタ収納部と、全接用接続部と、通信事業者側および加入者側の保留心線接続部と、接続部ホルダとの収納部とした多目的接続部収納部とを配備したことを特徴とする光ケーブル接続用クロージャが開示されている。
【0004】
この技術によると、上部側(上流側の通信事業者側)、下部側(下流側の加入者側)に対する光ケーブル接続用クロージャの設置方向を決定する際に、事前に固定されたクロージャ全体を左右反対にひっくり返すことで即座に対応することができるため、現場での心線接続作業の簡素化が図れるとされている。
【0005】
また、クロージャの組状態にて、心線把持具ベースが一方側に設置されているので、接続固定部を付け替える必要がなく、心線接続作業を楽に行えるとともに、支持線、テンションメンバの固定作業もクロージャの上面からアクセスでき、光ケーブルからの引き落とし配線及び分岐接続配線の際に、コネクタ固定ベースを上部側、下部側に付け替える必要がなく、上部側に事前固定しておけばよいため、他の心線に影響を与えることなく単心運用でき、空いている心線は、その後のユーザーの加入等に必要な単心線として用いることができるため、心線使用効率を高めることができるとされている。
【0006】
さらに、心線接続・収納は、コネクタ接続可能の構成となっているため、接続作業や心線収納作業、接続状況の点検補修等の保守作業を含め、施工性を大幅に向上させることができるほか、単心に分離した心線を保護することができるため、光ケーブルの有効利用が可能となり、また、心線の下部延ばしや、架空ループ配線にも対応でき、しかも、一端分岐した心線を再度本線に戻すこともできるといった、光アクセスサービスを迅速で安価に提供することができるとされている。そして、通過心線ガイドが設けられているため、クロージャ内において、分岐させない通過心線の保持も可能としている。
【0007】
また、引用文献2には、光ケーブル心線の接続部となるソケットおよびプラグからなるコネクタを収納するコネクタ収納部と、心線余長を収納する心線余長収納部とを備えた成端トレイ並びにスプリッタトレイをそれぞれクロージャ本体内に内装する光ケーブル接続用クロージャであって、複数のコネクタを着脱自在に備えた成端盤を配備して、該成端盤を経由してさらにスプリッタトレイ内のスプリッタを介して接続されるテープ心線と、DS/R・TDケーブルおよびドロップケーブルとに接続されてそれぞれコネクタ接続を可能にした構成とし、これら各接続部のコネクタと余長心線部とを整理する成端トレイおよび/またはスプリッタトレイを複数クロージャ本体内に変位自在に備えたことを特徴とする光ケーブル接続用クロージャが開示されている。
【0008】
この技術によると、光ケーブルからの引き落し配線および分岐接続配線の際に、他の心線に影響を与えないで単心運用でき、空いている心線は、その後のユーザーの加入になどの必要な単心線として用いて心線使用効率を高め、心線接続・収納はモジュール化しコネクタ接続可能の構成として接続作業や心線収納作業、さらには接続状況の点検補修などの保守作業を含め施工性を大幅に向上させるほか、単心に分離した心線を保護することができて、光ケーブルの有効利用が可能で、心線の下部延ばしや、架空ループ配線にも対応でき、しかも一旦分岐した心線を再度本線に戻すこともできるなど光アクセスサービスを迅速で安価に提供できるし、引き落し配線および分岐接続配線とそのコネクタ接続部とを収納するための機能が異なるトレイを回動自在で着脱自在にトレイ固定ベースに複数も設けることも可能で、機能要求に対して必要となる各トレイを簡単に増設、撤去でき心線接続作業が著しく簡易、良好でケーブルの切り替え配線処理も楽にできて取扱い簡便なクロージャとすることができるとしている。
【0009】
さらに、スプリッタトレイが、前記成端盤に接続する心線にプラグを設けられると共に、各成端トレイに接続される複数の心線にソケットを設けたスプリッタが配備されてコネクタ接続を可能にしたスプリッタトレイに構成されると、成端盤からのスプリッタ入力心線をスプリッタに接続して成端トレイに接続する配線系として簡素化され取扱も容易で作業員の接続誤処理をなくし、作業の均一性を図って品質維持が図れるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示されている光ケーブル接続用クロージャは、その構成に必要な部品が多いことから(例えば、成端トレイを支持するフレーム等)、全体として大型な構成となってしまい、そのため、重量も重くなってしまい、設置作業が煩雑なものとなってしまうといった指摘がされている。また、成端トレイがフレームに一定の方向で固定される構成となっているため、一方の面でしかコネクタ接続することができない成端トレイを用いらざるを得ず、光ケーブルの保守管理や、後の分岐作業等が煩雑なものとなってしまうという指摘もあった。
【0012】
そして、仮に、表裏面においてコネクタ接続が可能な成端トレイを用いたとしても、その成端トレイに対する作業を行う際には、例えば、作業者が光ケーブル接続用クロージャの下側に回り込むといった動作が必要となり、作業効率の面における改善が必要となる。さらに、クロージャ内に設けられた通過心線ガイドで通過心線を保持させておくと、時間の経過に伴って、通過心線ガイドに起因した通過心線自体の変形が生じてしまったりといった問題があった。
【0013】
そして、特許文献2に開示されている光ケーブル接続用クロージャは、クロージャ本体内に成端トレイおよび/またはスプリッタトレイを複数備え、このスプリッタトレイにスプリッタを配備するといった構成となっているが、特許文献1と同様に、全体として大型な構成となってしまい、本来、大型な光ケーブル接続用クロージャを必要としない小規模現場においては、コスト面や、作業面で無駄が多いという指摘がされている。
【0014】
さらに、成端トレイおよび/またはスプリッタトレイが、クロージャ本体内において、複数の層を構成するように配置されているため、配線作業や、分岐作業等が煩雑なものとなってしまい、作業効率の面における改善が必要とされてきている。
【0015】
本発明は、上述の問題を解決するためのもので、構成のシンプル化を図ることで装置全体の小型化及び軽量化が図れ、さらに、コネクタ接続や、分岐接続、そして、ドロップ接続が可能な成端用ベーストレイに対する作業をより簡便に行うことができる構成とするとともに、接続形態選択の簡易化を図ることで、作業者の作業効率を向上させ、また、通過心線ガイドを必要としないことによる、通過心線の安定した保護を行うことができる光ケーブル接続用クロージャを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題に対応するため、本発明は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、請求項1記載の発明は、片面が開閉自在の構成とされたスリーブと、前記スリーブ内の背面側に長手方向に沿って取り付けられ、上流側の光ファイバ心線と下流側の光ファイバ心線を接続させるための心線接続部を収納する心線接続部収納部が形成された成端用背面トレイと、前記スリーブに覆われるとともに、当該スリーブ内に形成されたトレイ係止部材に軸支されることで、当該トレイ係止部材を軸中心として前記スリーブ内において回動自在に配置された成端用ベーストレイとを備えるクロージャ本体が設けられ、前記成端用ベーストレイには、その裏面側に前記下流側の光ファイバ心線を引き込み、入射される光信号を分岐するスプリッタを取り付け可能なスプリッタトレイが備えられ、前記成端用ベーストレイの表面側の所定位置には、前記スプリッタトレイに取り付けられる前記スプリッタにより分岐された光信号を受けるとともに、前記成端用ベーストレイの裏面側から表面側へと配線されるファンアウトコードの分岐部材を収納する分岐部材収納部が取り付け可能な第1の収納部取付部と、前記スプリッタトレイに取り付けられる前記スプリッタにより分岐された光信号を受けるとともに、前記成端用ベーストレイの裏面側から表面側へと配線されるコネクタ付き光ファイバ心線と、下流側の光ファイバ心線とを接続させる接続部材を収納する接続部材収納部が取り付け可能な第2の収納部取付部が、それぞれ設けられていることを特徴とする光ケーブル接続用クロージャである。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記第2の収納部取付部に前記スプリッタトレイに取り付けられる前記スプリッタにより分岐された光信号を受けるとともに、前記成端用ベーストレイの裏面側から表面側へと配線されるコネクタ付き光ファイバ心線と、下流側の光ファイバ心線に接続させる接続部材を収納させる接続部材収納部が取り付けられていることを特徴としている。さらに、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記スプリッタトレイは、前記成端用ベーストレイの裏面側に形成されているトレイ固定用ヒンジ部において、回動自在に備えられていることを特徴としている。
【0018】
そして、請求項4記載の発明は、請求項3記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記トレイ固定用ヒンジ部は、備えられた前記スプリッタトレイを所定角度の位置にて保持可能なヒンジ構成からなることを特徴としている。さらに、請求項5記載の発明は、請求項1〜4何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記成端用ベーストレイの表面側には、前記ファンアウトコードと、下流側の光ファイバ心線を接続させるための接続部材を収納する接続部材収納部が備えられていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項6記載の発明は、請求項1〜5何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記分岐部材は、底面側の長手方向側縁の所定位置に、相対する1対の挟持部材が突設されており、当該挟持部材により、他の分岐部材を挟持させることで、それらを段積み状態に構成させることができるものであることを特徴としている。さらに、請求項7記載の発明は、請求項1〜6いずれか1項記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記接続部材収納部は、底面側の所定位置に、段積み用溝部が形成されているとともに、上面側の所定位置に段積み用リブが突設されており、前記段積み用溝部に、他の接続部材収納部の段積み用リブを嵌合させることで、それらを段積み状態に構成させることができることを特徴としている。
【0020】
またさらに、請求項8記載の発明は、請求項1〜7何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記成端用背面トレイの所定箇所には、シート係止用フックが複数形成されているとともに、通過心線を保護可能な保護シートが前記係止用フックに係止されていることを特徴としている。そして、請求項9記載の発明は、請求項8記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記保護シートは、第1のシート及び第2のシートから構成され、当該両シートは、それぞれ前記シート係止用フックに係止されるとともに、それぞれの所定箇所に形成されているロック部材を互いに嵌合させることにより、前記通過心線を内包し、保護することを特徴としている。
【0021】
次に、請求項10記載の発明は、請求項1〜9何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記成端用背面トレイの所定箇所には、1又は複数の部材係止用フックが形成されており、当該部材係止用フックに、所定の光ファイバ心線を挟持固定する心線識別部材が取り付けられていることを特徴としている。
【0022】
そして、請求項11記載の発明は、請求項1〜10何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記心線識別部材は、複数の突起部を有し、当該突起部同士の間隙に前記所定の光ファイバ心線を挿通可能とする第1部材と、前記突起部に対応する複数の嵌合孔が設けられた第2部材とが、互いに相対するよう折り畳み可能に連接されており、両者を折り畳み、前記複数の嵌合孔に、前記複数の突起部が挿入させることで、前記突起部同士の間隙に挿通される前記所定の光ファイバ心線を挟持固定させることを特徴としている。
【0023】
また、請求項12記載の発明は、請求項1〜11何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記心線識別部材は、前記第1部材の所定箇所に設けられた係止孔を前記部材係止用フックを引っ掛けることで、前記成端用背面トレイに取り付けられていることを特徴としている。
【0024】
そして、請求項13記載の発明は、請求項1〜12何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記成端用ベーストレイの裏面側には、上流側の光ファイバ心線と、下流側の単心ドロップケーブルとを接続させるためのドロップケーブル接続部材を収納するドロップケーブル接続部材収納部が形成されたドロップトレイが備えられていることを特徴としている。さらに、請求項14記載の発明は、請求項13記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記ドロップトレイは、前記成端用ベーストレイの裏面側に形成されているトレイ固定用ヒンジ部において、回動自在に備えられていることを特徴としている。
【0025】
また、請求項15記載の発明は、請求項14記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記ドロップトレイは、前記トレイ固定用ヒンジ部により、所定角度の位置にて保持可能となっていることを特徴としている。さらに、請求項16記載の発明は、請求項1〜15何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記スプリッタトレイ及び成端用ベーストレイには、前記ファンアウトコードや、前記ドロップケーブルを挿脱自在に固定保留する保留部材が嵌脱自在に取り付けられていることを特徴としている。
【0026】
そして、請求項17記載の発明は、請求項1〜16何れか1項記載の光ケーブル接続用クロージャであって、前記スリーブが、分割スリーブからなるとともに、前記クロージャ本体の設置位置により作業が可能の方向であるスリーブ面を開放可能の構成とし、片開きに開放されたスリーブを所定位置に保持するスリーブストッパを前記分割スリーブ間に跨がって係脱自在に設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、光ケーブル接続用クロージャの構成をシンプルなものとすることができるため(例えば、成端用ベーストレイを支持するためのフレームを必要としない)、装置全体の小型化及び軽量化が望める。また、成端用ベーストレイが回動自在にクロージャ本体内に取り付けられているため、作業面側において表裏どちらからでもアクセスが容易なものとなり、作業が簡便に行える。
【0028】
またさらに、成端用背面トレイに心線接続部収納部が形成されているため、例えば、一旦、スプリッタ側に接続した光ファイバ心線を下流側の光ファイバ心線(本線)に接続しなおす(下部延ばし)といった作業も容易に行うことができる。また、スリーブの開閉状態を容易に調整することが可能なため、作業性の向上も望める。
【0029】
さらに、成端用ベーストレイの裏面側に、スプリッタを取り付け可能なスプリッタトレイが備えられているため、現場における作業効率が大幅に向上することに繋がる。そして、成端用ベーストレイの表面側に、分岐部材収納部や、接続部収納部を自在に取り付けられるため、接続形態の選択が容易なものとなる。また、通過心線の保護シートを備えているため、通過心線の安定した保護を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第1の実施形態を示した図で、(a)は成端用ベーストレイを作業面側に倒した状態の縦断面概略図、(b)はスプリッタトレイを取り付けた成端用ベーストレイを作業面側に倒した状態の縦断面概略図である。
【
図2】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第1の実施形態における成端用ベーストレイの正面を示したもので、(a)はコード接続部材が右側に取り付けられている状態、(b)はコード接続部材が右側に取り付けられ、分岐部材収納部が、第1の収納部取付部に取り付けられている状態、(c)は接続部材収納部が、第2の収納部取付部に取り付けられている状態の概略図である。
【
図3】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第1の実施形態における成端用ベーストレイに備えられたスプリッタトレイを示したもので、(a)はスプリッタを取り付けた状態、(b)はスプリッタを取り付けていない状態の素線面側、(c)はスプリッタを取り付けていない状態のテープ面側の構成を示した概略図である。
【
図4】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第1の実施形態における分岐部材の構成を示したもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
【
図5】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第1の実施形態における分岐部材の段積み工程を示した正面図である。
【
図6】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第1の実施形態における接続部収納部の構成を示したもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は段積みした際の正面図、(f)は段積みした際の左側面図である。
【
図7】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第1の実施形態におけるコード接続部材の構成を示したもので、(a)は蓋部を止めた状態の平面図、(b)は蓋部を止めた状態の正面図、(c)は蓋部を外した状態の平面図、(d)は蓋部を外した状態の正面図である。
【
図8】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第1の実施形態におけるスリーブの構成を示したもので、(a)は片面が開いた状態のスリーブ側面図、(b)は閉じた状態のスリーブ側面図である。
【
図9】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第2の実施形態における保護シートを示した概略図で、(a)は正面図、(b)は左側面図である。
【
図10】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第2の実施形態における成端用背面トレイを示した図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は心線識別部材の概略図(左:側面図、右:正面図)である。
【
図11】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第3の実施形態を示した図で、(a)は成端用ベーストレイを作業面側に倒した状態の縦断面概略図、(b)はスプリッタトレイ及びドロップトレイを取り付けた成端用ベーストレイを背面側に立ち上げた状態の縦断面概略図である。
【
図12】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第3の実施形態における成端用ベーストレイに備えられたドロップトレイを示したもので、(a)は素線面側、(b)はテープ面側の構成を示した概略図である。
【
図13】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態における保留部材を示したもので、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
【
図14】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態における成端用ベーストレイの裏面側にスプリッタトレイと、保留部材を取り付け、背面側に倒した状態を示した概略図である。
【
図15】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態における端面板を示した図で、(a)は上流側端面板、(b)は配線機能専用時の下流側端面板、(c)は、ドロップ専用時の下流側端面板を表している。
【
図16】本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態におけるケーブルを把持する把持部材を示した図で、(a)はケーブル固定部、(b)はケーブル把持具、(c)はケーブルを把持具によりケーブル固定部に固定させた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第1の実施形態について
図1〜6を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態を示した図で、(a)は成端用ベーストレイを作業面側に倒した状態の縦断面概略図、(b)はスプリッタトレイを取り付けた成端用ベーストレイを作業面側に倒した状態の縦断面概略図である。また、
図2は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態における成端用ベーストレイの正面を示したもので、(a)はコード接続部材が右側に取り付けられている状態、(b)はコード接続部材が右側に取り付けられ、分岐部材収納部が、第1の収納部取付部に取り付けられている状態、(c)は接続部材収納部が、第2の収納部取付部に取り付けられている状態の概略図である。
【0032】
さらに、
図3は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態における成端用ベーストレイに備えられたスプリッタトレイを示したもので、(a)はスプリッタを取り付けた状態、(b)はスプリッタを取り付けていない状態の素線面側、(c)はスプリッタを取り付けていない状態のテープ面側の構成を示した概略図である。また、
図4は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態における分岐部材の構成を示したもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。さらに、
図5は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態における分岐部材の段積み工程を示した正面図である。
【0033】
そして、
図6は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態における接続部収納部の構成を示したもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は段積みした際の正面図、(f)は段積みした際の左側面図である。さらに、
図7は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの実施形態におけるコード接続部材の構成を示したもので、(a)は蓋部を止めた状態の平面図、(b)は蓋部を止めた状態の正面図、(c)は蓋部を外した状態の平面図、(d)は蓋部を外した状態の正面図である。また、
図8は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第1の実施形態におけるスリーブの構成を示したもので、(a)は片面が開いた状態のスリーブ側面図、(b)は閉じた状態のスリーブ側面図である。
【0034】
なお、10は光ケーブル接続用クロージャ、12は成端用背面トレイ、14は心線接続部収納部、16は心線接続部、18は成端用ベーストレイ、20はトレイ係止部材、22はスプリッタトレイ、24はスプリッタ、26はトレイ固定用ヒンジ部、28は分岐部材収納部、30は分岐部材、31は挟持部材、32は摘み部、33はコード接続部材収納部、34はコード接続部材、35は蓋部、36はクロージャ本体、38はスリーブ、40はスリーブストッパー、42はピン、43は係止溝、44は上流側端面板、46は下流側端面板、50はケーブル把持部材、52はケーブル固定部、54はケーブル把持具、56は引っ掛け部、60は心線余長収納部、62は接続部材、64は接続部材収納部、66は第1の収納部取付部、68は第2の収納部取付部、70は段積み用溝部、72は段積み用リブ、Aは光ケーブル、Bは光ファイバ心線、Cは単心ドロップケーブル、Dは支持線、Eはファンアウトコードを示している。
【0035】
図1に示すように、本実施形態における光ケーブル接続用クロージャ10のクロージャ本体36は、まず、ヒンジにて一体に連接され、片面が開閉自在に構成されたスリーブ38に覆われる構成となっており、さらに、光ケーブルA及び支持線Dをシール部材を介して導入させる上流側端面板44と、光ケーブルA、支持線Dをシール部材を介して導出入させる下流側端面板46が両端にそれぞれ着脱自在に備えられている。
【0036】
なお、端面板44及び46は、例えば、
図15(a)に示すように、上流側端面板44には、支持線D挿入部と、主ケーブル(光ケーブルA)挿入部が形成されており、また、(b)に示すように、下流側端面板46には、支持線D挿入部と、主ケーブル(光ケーブルA)挿入部等の挿入部が形成されている。そして、ゴムやプラスチックの組み合わせにて、防滴が可能となっている。
【0037】
そして、端面板44、46から導出入される光ケーブルAは、ケーブル把持部材50によって把持される構成となっており、詳しくは、
図16に示すように、光ケーブルAを側面視コ字状のケーブル把持具54の側壁間に挟み込んだ状態で(
図16(a)参照)、ケーブル把持具54の両側壁をケーブル固定部52のそれぞれ対応する嵌合孔に挿入させることで(
図16(b)参照)、光ケーブルAをケーブル把持部材50に把持させるようになっている(
図16(c)参照)。
【0038】
また、クロージャ本体36内には、上流側の光ファイバAから所定箇所にて切り出した光ファイバ心線Bを下流側の光ファイバ心線B(スプリッタ:入力線)に接続させるための心線接続部16を収納する心線接続部収納部14が形成された成端用背面トレイ12が備えられている。本実施形態においては、下流側の光ファイバ心線Bは、スプリッタ24の出力側とコネクタ接続するための心線としている。
【0039】
さらに、成端用背面トレイ12に光ファイバ心線Bの心線余長部分を巻回させた状態で収納するための、心線余長収納部60を心線接続部収納部14の近傍に形成させておけば、光ファイバ心線Bの安全な保護管理を図れるようになるため、実施形態として非常に好ましい。
【0040】
次に、裏面に下流側の光ファイバ心線B(入力線)を引き込み、その入力線から入射される光信号を分岐するスプリッタ24を取り付け可能なスプリッタトレイ22が備えられた成端用ベーストレイ18が、その一端に形成されている引っ掛け部56をクロージャ本体36内に形成されたトレイ係止部材20に引っ掛けることよって、トレイ係止部材20を軸中心として回動自在に設けられている。
【0041】
成端用ベーストレイ18は、その一端に形成された2箇所の引っ掛け部56をトレイ係止部材20にそれぞれ引っ掛けることにより、クロージャ本体36内に係止させた状態で、トレイ係止部材20を軸中心に回動させることができるため、成端用ベーストレイ18の表裏面に対する作業を作業者がわざわざ移動することなく行えるようになっており、作業効率の大幅な向上が可能となっている。
【0042】
続いて、スプリッタトレイ22は、
図1(b)に示すように、成端用ベーストレイ18の裏面側に形成されているトレイ固定用ヒンジ部26に回動自在に備えられている。
図1(b)においては、トレイ固定用ヒンジ部26は、スプリッタトレイ22を2段重ねて取り付けているが、この台数は、本発明を限定するものではない。また、本実施形態では、スプリッタトレイ22を左側に取り付けているが、右側のトレイ固定用ヒンジ部26に取り付けることで運用しても良い。
【0043】
また、本実施形態においては、トレイ固定用ヒンジ部26は、ヒンジ構造となっており、スプリッタ24をトレイ固定用ヒンジ部26に対し、所定角度において保持可能なものとなっている。このような構造とすることで、作業者のスプリッタ24へのアクセスが極めて容易なものとなるわけである。なお、本実施形態では、トレイ固定用ヒンジ部26をヒンジ構造としているが、スプリッタ24を固定できるのであれば、どのようなヒンジ構造であっても構わない。
【0044】
続いて、本実施形態におけるスプリッタトレイ22は、
図3(a)に示すように、内部にスプリッタ24を挿入することによって機能させるもので、入力線を(b)の素線面、また、出力線を(c)のテープ面にて利用することにする。このように表裏面で区分けしているので、剛性差のある心線の混在を回避し、心線の保護が可能となってくるわけである。
【0045】
次に、
図2(a)に示すように、成端用ベーストレイ18の表面側の所定位置(本実施形態においては、中央付近)には、第1の収納部取付部66と、第2の収納部取付部68が設けられており、第1の収納部取付部66には、スプリッタ24により分岐された光信号を受ける、成端用ベーストレイ18の表面側から裏面側へと配線されるファンアウトコードEの分岐部材30を収納する分岐部材収納部28を取り付けることができ、また、第2の収納部取付部68には、スプリッタ24により分岐された光信号を受ける、成端用ベーストレイ18の表面側から裏面側へと配線されるコネクタ付き光ファイバ心線Gと、下流側の光ファイバ心線とを接続させる接続部材62を収納させる接続部材収納部64が取り付け可能となっている。
【0046】
このような構成となっているため、接続形態選択の自由度が増し、作業効率の向上が図れるわけである。なお、本実施形態では、ファンアウトコードEは、分岐部材30を境に、上流側が、ファンアウトコード(09チューブ)、下流側が、ファンアウトコード(心線)としている。
【0047】
また、分岐部材30は、
図4に示すように、底面側の長手方向側縁の所定位置に、相対する1対の挟持部材31が突設されており、この挟持部材31により、他の分岐部材30を挟持させることで、
図5に示すように、それらを段積み状態に構成させることができるようになっている。また、段積みされた上段の分岐部材30の摘み部32を摘むことで、挟持部材31を開放させれば、下段の分岐部材30から簡単に取り外すことが可能である。なお、本実施形態では、挟持部材31は、2箇所突設されているが、本発明は、この数に限定されるものではない。さらに、分岐部材30の使用は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャだけに限られるものではない。
【0048】
次に、接続部材収納部64は、
図6に示すように、底面側の所定位置に段積み用溝部70が形成されており、さらに、上面側の所定位置には、段積み用リブ72が突設されている。そして、
図6(e)、(f)に示すように、段積み用溝部70に、他の接続部材収納部64の段積み用リブ72を嵌合させることで、接続部材収納部64同士を段積み状態に構成させることができるようになっている。
【0049】
さらに、成端用ベーストレイ18の表面側には、ファンアウトコードE(心線)と、下流側の光ケーブルAから所定箇所にて切り出した光ファイバ心線Bとを接続させるためのコード接続部材34を収納するコード接続部材収納部33が備えられている。コード接続部材収納部33は、
図7に示すように、一端側に形成されているヒンジ構造にコード接続部材収納部33の長手方向と直交する長方形の蓋部35が取り付けられている。そして、このヒンジ構造を軸にして、蓋部35が回動し、コード接続部材収納部33を覆うようになっており、収納するコード接続部材34の外れ等を抑えることが可能となっている。
【0050】
またさらに、本実施形態における光ケーブル接続用クロージャ10のスリーブ38は、
図8に示すように、片面を開閉自在に構成された分割スリーブからなるとともに、クロージャ設置位置により作業が可能の方向のスリーブ面を開放可能の構成とし、片開きに開放されたスリーブ38を所定位置に保持するスリーブストッパー40を分割スリーブ間に跨って係脱自在に設けられている。そのため、作業時にスリーブ38を外すことなく開拡するスリーブの開放状態を保持でき、作業効率の向上が望まれる。
【0051】
本実施形態では、スリーブ38は、ヒンジ構造により分割可能に一体で連接されているとともに、先端にフランジのあるピン42が両端面に一対突設され、このピン42に嵌合する係止溝43が一端に1つ、他端に2つ設けられたスリーブストッパー40が係脱自在に備えられるといった構成となっている。
【0052】
スリーブ38を閉じた状態では、
図8(b)に示すように、スリーブストッパー40の一端側の外側の係止溝43をスリーブ38のピン42に嵌合係止することで、日常に起こり得るスリーブ38の劣化亀裂等による片面側の脱落等を防ぐことができるようになっている。
【0053】
そして、一方の作業面側のスリーブ38を開けた状態では、
図8(a)に示すように、スリーブストッパー40の一端側の内側の係止溝43をスリーブ38のピン42に嵌合係止することで、スリーブ38の開放状態を維持することができるようになっている。
【0054】
次に、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第2の実施形態について主に
図9、10を参照しながら説明する。
図9は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第2の実施形態における保護シートを示した概略図で、(a)は正面図、(b)は左側面図で、
図10は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第2の実施形態における成端用背面トレイを示した図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は心線識別部材の概略図(左:側面図、右:正面図)である。また、符号については、74が保護シート、76が第1のシート、78が第2のシート、80がロック部材、82が係止用孔、84がシート係止用フック、86が心線識別部材、88が部材係止用フック、90が第1部材、92が突起部、94が第2部材、96が嵌合孔、98が係止孔、Fが通過心線を示す他は、第1の実施形態におけるものと同様である。
【0055】
本実施形態における光ケーブル接続用クロージャは、クロージャ内で分岐接続させない光ファイバ心線Bを保護した状態で引き通すことが可能な、保護シート74が、成端用背面トレイ12の所定箇所に複数形成されているシート係止用フック82に係止されている。また、例えば、単心ドロップケーブルCのうち、上流側の光ファイバ心線Bと接続させない光ファイバ心線Bも同様に保護シート74によって保護することができる。
【0056】
続いて、本実施形態における保護シート74について図面を参照しながら説明する。保護シート74は、
図9(b)に示すように、第1のシート76と、第2のシート78から構成されており、さらに、
図9(b)に示すように、第1のシート76には、4箇所の係止用孔82が形成され、第2のシート78には、2箇所の係止用孔82が形成されている。なお、係止用孔82の数は、本実施形態に限られるものではない。
【0057】
まず、第1のシート76の係止用孔82を成端用背面トレイ12の所定箇所に複数形成されているシート係止用フック84(
図10参照)で係止させることで、第1のシート76を成端用背面トレイ12に固定させ、次に、第2のシート78の係止用孔82を成端用背面トレイ12の所定箇所に複数形成されているシート係止用フック84(
図10参照)で係止させ、第2のシート78を成端用背面トレイ12に固定させる。そうすると、
図9(c)に示す状態となる。
【0058】
そして、第1のシート76と第2のシート78の間に通過心線Fを通し、その状態で、第1のシート76と第2のシート78にそれぞれ形成されているロック部材80(凹・凸)を互いに嵌合させることで、通過心線Fを保護シート74に内包し、保護することができるようになっている。
【0059】
ところで、従来の光ケーブル接続用クロージャでは、通過心線ガイドを用い、通過心線Fを成端用背面トレイの前面側において保持させた状態で引き通す構成を採っていることが多い。そして、接続作業時に光ファイバ心線を効率的に識別させるため等に用いる心線識別部材をこの通過心線ガイドに取り付けることが一般的とされている。しかし、本実施形態では、通過心線ガイドは設けていないため、
図10(b)、(d)に示す心線識別部材86を成端用背面トレイ12の所定箇所に形成された部材係止用フック88に取り付けている。
【0060】
本実施形態における心線識別部材86は、
図10(d)に示すように、複数の突起部92を有し、突起部92同士の間隙に光ファイバ心線を挿通可能とする第1部材90と、突起部92に対応する複数の嵌合孔96が設けられた第2部材94とが、互いに相対するよう折り畳み可能に連接されており、複数の突起部92をそれぞれ対応する嵌合孔96に挿入させることで、突起部92同士の間隙に挿通される光ファイバ心線を挟持固定することができるようになっている。
【0061】
なお、本実施形態においては、心線識別部材86は、第1部材90の所定箇所に設けられた係止孔98に成端用背面トレイ12の所定箇所に形成された部材係止用フック88を引っ掛け、所定方向に心線識別部材86をスライドさせることで固定している。また、作業効率を考え、適した方向に心線識別部材86の上下を替え、取り付けるようにすることが好ましい。
【0062】
続いて、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第3の実施形態について主に
図11、12を参照しながら説明する。
図11は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第3の実施形態を示した図で、(a)は成端用ベーストレイを作業面側に倒した状態の縦断面概略図、(b)はスプリッタトレイ及びドロップトレイを取り付けた成端用ベーストレイを背面側に立ち上げた状態の縦断面概略図である。
【0063】
また、
図12は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャの第3の実施形態における成端用ベーストレイに備えられたドロップトレイを示したもので、(a)は素線面側、(b)はテープ面側の構成を示した概略図である。そして、符号については、100がドロップトレイ、102がドロップケーブル接続部材収納部、104がドロップケーブル接続部材、106がドロップケーブル固定部、Gがコネクタ付き割り入れ心線を示すほかは、第1の実施形態におけるものと同様である。
【0064】
図11に示すように、本実施形態における光ケーブル接続用クロージャ10のクロージャ本体36は、まず、ヒンジにて一体に連接され、片面が開閉自在に構成されたスリーブ38に覆われる構成となっており、さらに、光ケーブルA及び支持線Dをシール部材を介して導入させる上流側端面板44と、光ケーブルA、支持線Dをシール部材を介して導出入させる下流側端面板46が両端にそれぞれ着脱自在に備えられている。
【0065】
なお、端面板44及び46は、例えば、
図15(a)に示すように、上流側端面板44には、支持線D挿入部と、主ケーブル(光ケーブルA)挿入部が形成されており、また、(b)に示すように、下流側端面板46には、支持線D挿入部と、主ケーブル(光ケーブルA)挿入部等の挿入部が形成されている。さらに、例えば、ドロップ機能専用として用いる際には、(c)に示す、下流側端面板46の構成とする。そして、ゴムやプラスチックの組み合わせにて、防滴が可能となっている。
【0066】
そして、端面板44、46から導出入される光ケーブルAは、ケーブル把持部材50によって把持される構成となっており、詳しくは、
図16に示すように、光ケーブルAを側面視コ字状のケーブル把持具54の側壁間に挟み込んだ状態で(
図16(a)参照)、ケーブル把持具54の両側壁をケーブル固定部52のそれぞれ対応する嵌合孔に挿入させることで(
図16(b)参照)、光ケーブルAをケーブル把持部材50に把持させるようになっている(
図16(c)参照)。
【0067】
次に、クロージャ本体36内には、上流側の光ファイバAから所定箇所にて切り出した光ファイバ心線Bを下流側の光ファイバ心線B(スプリッタ24への入力線及びドロップトレイ100側への入力線)に接続させるための心線接続部16を収納する心線接続部収納部14が形成された成端用背面トレイ12が備えられている。
【0068】
また、成端用背面トレイ12に光ファイバ心線Bの心線余長部分を巻回させた状態で収納するための、心線余長収納部60を心線接続部収納部14の近傍に形成させておけば、光ファイバ心線Bの安全な保護管理を図れるようになるため、実施形態として非常に好ましい。
【0069】
そして、裏面に下流側の光ファイバ心線B(入力線)を表面側から引き込み、その入力線と、下流側の単心ドロップケーブルCとを接続させるドロップケーブル接続部材104を収納するドロップケーブル接続部材収納部102が形成されたドロップトレイ100が備えられた成端用ベーストレイ18が、その一端に形成されている引っ掛け部56をクロージャ本体36内に形成されたトレイ係止部材20に引っ掛けることよって、トレイ係止部材20を軸中心として回動自在に設けられている。
【0070】
成端用ベーストレイ18は、その一端に形成された2箇所の引っ掛け部56をトレイ係止部材20にそれぞれ引っ掛けることにより、クロージャ本体36内に係止させた状態で、トレイ係止部材20を軸中心に回動させることができるため、成端用ベーストレイ18の表裏面に対する作業を作業者がわざわざ移動することなく行えるようになっており、作業効率の大幅な向上が可能となっている。
【0071】
続いて、ドロップトレイ100は、
図11(b)に示すように、成端用ベーストレイ18の裏面側に形成されているトレイ固定用ヒンジ部26に回動自在に備えられている。
【0072】
また、本実施形態においては、トレイ固定用ヒンジ部26は、ヒンジ構造となっており、ドロップトレイ100をトレイ固定用ヒンジ部26に対し、所定角度において保持可能なものとなっている。このような構造とすることで、作業者のドロップトレイ100へのアクセスが極めて容易なものとなるわけである。なお、本実施形態では、トレイ固定用ヒンジ部26をヒンジ構造としているが、ドロップトレイ100を固定できるのであれば、どのようなヒンジ構造であっても構わない。
【0073】
続いて、本実施形態におけるドロップトレイ100は、
図11(b)に示すように、上流側の光ファイバ心線B(入力線)と接続したコネクタ付き割り入れ心線Gを表面側から引き込み、その入力線と、下流側の単心ドロップケーブルCとを接続させるドロップケーブル接続部材104(FASプラグ、FASソケット)を収納するドロップケーブル接続部材収納部102が形成されているもので、ドロップトレイ100の表側、即ち、コネクタ付き割り入れ心線Gを引き込む側には、
図12(a)の素線面を割り当てる。
【0074】
そして、ドロップケーブル接続部材104により接続させる単心ドロップケーブルCは、ドロップトレイ100の裏面、即ち、
図12(b)のドロップ面側で、ドロップケーブル固定部106により固定されつつ、外部へとドロップされるようになっている。また、コネクタ付き割り入れ心線Gと接続させる単心ドロップケーブルCを、再び、ドロップトレイ100の裏面から表面へと通し、ケーブル把持部材50により固定しつつ、下流側端面板46を通じて、外部へとドロップさせるようにもなっている。
【0075】
また、ドロップケーブル接続部材104に接続させずにスプリッタ24に接続される単心ドロップケーブルCも、ドロップ面を通じて、そして、ドロップケーブル接続部材104に接続させずにスプリッタ24に接続される光ファイバ心線Bも、ドロップトレイ100の裏面から表面を通されていくようになっている。
【0076】
またさらに、本実施形態における光ケーブル接続用クロージャ10のスリーブ38は、
図8に示すように、片面を開閉自在に構成された分割スリーブからなるとともに、クロージャ設置位置により作業が可能の方向のスリーブ面を開放可能の構成とし、片開きに開放されたスリーブ38を所定位置に保持するスリーブストッパー40を分割スリーブ間に跨って係脱自在に設けられている。そのため、作業時にスリーブ38を外すことなく開拡するスリーブの開放状態を保持でき、作業効率の向上が望まれる。
【0077】
本実施形態では、スリーブ38は、ヒンジ構造により分割可能に一体で連接されているとともに、先端にフランジのあるピン42が両端面に一対突設され、このピン42に嵌合する係止溝43が一端に1つ、他端に2つ設けられたスリーブストッパー40が係脱自在に備えられるといった構成となっている。
【0078】
スリーブ38を閉じた状態では、
図8(b)に示すように、スリーブストッパー40の一端側の外側の係止溝43をスリーブ38のピン42に嵌合係止することで、日常に起こり得るスリーブ38の亀裂等による片面側の脱落等を防ぐことができるようになっている。
【0079】
そして、一方の作業面側のスリーブ38を開けた状態では、
図8(a)に示すように、スリーブストッパー40の一端側の内側の係止溝43をスリーブ38のピン42に嵌合係止することで、スリーブ38の開放状態を維持することができるようになっている。
【0080】
続いて、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャのその他の実施形態について説明する。なお、
図13は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャのその他の実施形態における保留部材を示したもので、(a)は正面図、(b)は平面図である。また、
図14は、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャのその他の実施形態における成端用ベーストレイの裏面側にスプリッタトレイと、保留部材を取り付け、背面側に倒した状態を示した概略図である。符号については、108が保留部材、110が挿入孔、112が取り付け部材を表している。
【0081】
本実施形態は、光ケーブル接続用クロージャ10であって、
図14に表すように、成端用ベーストレイ18の裏面側に左右1対備えられるスプリッタトレイ22の裏面側に、或いは、成端用ベーストレイ18の裏面側に直接、保留部材108を取り付けてなるものである。保留部材108は、ファンアウトコードEや、単心ドロップケーブルCのうち、接続に使用されないものを一時的に保留させておくもので、
図13に示すように、ケーブルを挿入する挿入孔110が複数形成されている。なお、保留部材108は、成端用ベーストレイ18の裏面に直接備えることもできるようになっている。
【0082】
さらに、スプリッタトレイ22や、成端用ベーストレイ18の裏面に取り付けるための、取り付け部材112が形成されている。この保留部材108をスプリッタトレイ22の裏面側や、成端用ベーストレイ18の裏面から当て込み、取り付け部材112をスプリッタトレイ22側面や、成端用ベーストレイ18の裏面に形成されている溝に嵌めることで固定させるようになっている。このように保留部材108を取り付けておくことにより、作業時において接続に使わないファンアウトケーブルEや、単心ドロップケーブルCを邪魔にならないよう効果的に保留させておくことができるわけである。