(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記炭素ナノチューブは、単一壁の炭素ナノチューブ、二重壁の炭素ナノチューブ、多重壁の炭素ナノチューブ、束型の炭素ナノチューブまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のバインダー。
前記高分子は、ポリアミック酸、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、それらの共重合体、それらの変性樹脂、及びそれらと他の成分との縮合重合体のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のバインダー。
強酸を利用したウェット処理と、プラズマまたは真空紫外線照射を利用したドライ処理と、のうち少なくとも一つを利用して、前記炭素ナノチューブに前記作用基を導入する前処理ステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のバインダーの製造方法。
前記炭素ナノチューブの作用基は、カルボキシル基であり、前記炭素ナノチューブを高分子または重合可能な物質と混合する前に、前記カルボキシル基をアシルクロライド基またはアミン基に変更させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のバインダーの製造方法。
前記高分子は、ポリアミック酸、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、それらの共重合体、それらの変性樹脂、及びそれらと他の成分との縮合重合体のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項8に記載のバインダーの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
【0015】
本発明の一側面によるリチウム電池の電極用バインダーは、炭素ナノチューブと、化学結合により前記炭素ナノチューブに結合された高分子と、を含む。
【0016】
前記リチウム電池の電極用バインダーは、例えば、シリコン系活物質、スズ系活物質、またはシリコン・炭素系活物質のように、高容量を具現できる負極活物質を使用するリチウム電池の電極に使われる。前記リチウム電池の電極用バインダーでは、炭素ナノチューブがバインダーと化学的に結合されていることから、炭素ナノチューブの分散性を向上させ、少量でも導電経路を形成できるので、高容量化が可能であり、電池駆動時における充放電による活物質の膨脹及び収縮時にも、炭素ナノチューブの移動によりかたまりが生じるなどの現象がなく、炭素ナノチューブによるバインダーの引張強度の増加によって導電経路を維持できるので、寿命が延長する。
【0017】
周知のように、炭素ナノチューブは、機械的強度、熱伝導性及び化学的安定性に優れるだけでなく、電気伝導度が銅と類似しているので、伝導性フィラーとして適している。前記バインダーに使われる炭素ナノチューブとしては、単一壁の炭素ナノチューブ、二重壁の炭素ナノチューブ、多重壁の炭素ナノチューブ、束型の炭素ナノチューブまたはそれらの混合型などいかなる種類の炭素ナノチューブでも使用可能である。前記炭素ナノチューブは、従来の一般的な製造方法により製造され、例えば、アーク放電法、レーザーアブレーション法、化学蒸着法、高圧一酸化炭素分離(HIPCO)法などにより製造されたものである。前記炭素ナノチューブのサイズは、直径が数ないし数十nmであり、長さが数ないし数百μmである。例えば、炭素ナノチューブのサイズは、直径が5ないし50nmであり、長さが10ないし50μmである。
【0018】
前記炭素ナノチューブの含量は、前記高分子100重量部を基準として、1ないし30重量部であり、例えば、5ないし20重量部である。
【0019】
前記バインダーは、水に溶ける水系バインダー、または有機溶剤に溶ける有機系バインダーであり、水系バインダーは、環境親和的であり、有機系バインダーは、接着力、引張強度及び弾性などの特性を多様に具現できるという長所を有する。したがって、前記高分子としては、かかる水系または有機系バインダーを具現できる高分子ならば、いずれも使用可能である。ただし、水や有機溶剤に溶けない高分子は使用できない。
【0020】
前記高分子の分子量は、その高分子が、前処理された炭素ナノチューブと反応を通じて化学的結合を形成できる作用基、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミン基などを含んでおり、かつスラリーを製造するために電極組成に含まれる活物質及びその他の添加剤と相容性がある限り制限されない。また、前記高分子は、リチウム電池の充放電過程で、電気化学的に安定した特性を有するものでなければならない。
【0021】
かかる高分子としては、例えば、ポリアミック酸、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、それらの共重合体、それらの変性樹脂、及びそれらと他の成分との縮合重合体などが挙げられる。それらの高分子は、1種単独で、または2種以上混合して使用する。
【0022】
前記炭素ナノチューブと前記高分子は、化学的に結合された形態を有し、ここで、化学的結合とは、イオン結合または共有結合により互いに結合されていることを意味する。
【0023】
前記リチウム電池の電極用バインダーとしては、前記炭素ナノチューブと前記高分子とが単純に混合されたものではなく、前記炭素ナノチューブと高分子との間に化学結合が形成されたものを使用することによって、炭素ナノチューブがかたまらずによく分散されるようにする。
【0024】
一実施形態によれば、前記炭素ナノチューブと前記高分子は、イオン結合または共有結合を通じて化学的に結合される。
【0025】
前記高分子物質と前処理された炭素ナノチューブに導入された作用基の種類によって、前記共有結合は、エステル基、アミド基及び無水カーボネート基のうち少なくとも一つを含む。
【0026】
前記イオン結合は、カルボン酸イオンとアンモニウムイオンとを含む。ここで、前記アンモニウムイオンは、RNH
3+(Rは、水素またはC
1−C
20アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基のうちいずれか一つを含む)を表す。
【0027】
前記化学的結合を形成するために、下記のような方法を利用する。
【0028】
例えば、前記炭素ナノチューブは、高分子との化学的結合を行うために、炭素ナノチューブの表面に、カルボキシル基(−COOH)、ヒドロキシル基(−OH)、アミン基(−NH
2)、またはアシルクロライド基(COCl)のような作用基を導入する前処理過程が必要である。例えば、強酸などを利用したウェット処理、またはプラズマや真空紫外線照射のようなドライ処理などを通じて、前記炭素ナノチューブの表面にカルボキシル基(−COOH)のような作用基を導入し、作用基が導入された炭素ナノチューブを、重合可能な物質(例えば、単量体、オリゴマー、低分子量高分子など)または合成された高分子と混合して化学反応させて、化学的結合を誘導する。高分子の種類によっては、化学的結合を容易に誘導するために、酸処理などを通じてカルボキシル基が導入された炭素ナノチューブを、再び更なる処理過程を通じて改造させた後、高分子との化学結合を形成することも可能である。
【0029】
前記炭素ナノチューブと高分子とを化学的に結合させる方法は、二つに大別される。第一の方法は、前処理された炭素ナノチューブを、重合反応を起こす単量体またはオリゴマーと化学結合させた後、重合反応を通じて高分子を形成する方法であり、第二の方法は、前処理された炭素ナノチューブと、合成された高分子とを直接化学反応させる方法である。第一の方法は、多様なバインダーの製造が可能であり、第二の方法は、製造過程が相対的に単純であるという長所がある。一実施形態によれば、第二の方法を利用して、炭素ナノチューブと高分子とを化学的に結合させる。
【0030】
前処理された炭素ナノチューブを、単純に高分子と混合して、バインダーとして使用する場合には、電極の製造過程で、それらの間に化学的結合が誘導されがたく、それらの間に物理的結合が誘導されるとしても、化学的結合に比べて結合力が低下するため、炭素ナノチューブのかたまりを抑制する効果が低下する。炭素ナノチューブと高分子とが単純に混合されたバインダーの場合、電池特性は向上しない。
【0031】
このように、前記バインダーでは、炭素ナノチューブと高分子との間に化学的結合を形成することによって、炭素ナノチューブの分散性を向上させて、少量でも導電経路を形成でき、結果として活物質の量が多くなるので、高容量化を実現できる。また、リチウム電池の駆動時における充放電による活物質の膨脹及び収縮時にも、炭素ナノチューブのかたまり現象なしに導電経路を維持できるので、リチウム電池の寿命特性を向上させることができる。
【0032】
本発明の他の側面によるリチウム電池は、負極と、前記負極に対向して配置される正極と、前記負極と正極との間に配置される電解質と、を含み、前記負極及び正極のうち少なくとも一つは、前記バインダーを含む。
【0033】
一実施形態によれば、前記負極は、上述したバインダーを含む。
【0034】
前記負極は、負極活物質を含み、例えば、負極活物質、バインダー、選択的に導電剤及び溶媒が混合された負極活物質組成物を製造した後、それを一定の形状に成形するか、または銅箔などの集電体に塗布する方法により製造される。
【0035】
前記負極活物質としては、当該分野で一般的に使われるものに特に限定されない。前記負極活物質の非制限的な例としては、リチウム金属、リチウムと合金化可能な金属、遷移金属酸化物、リチウムをドープ及び脱ドープ可能な物質、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出可能な物質などが使われ、それらのうち二つ以上混合または結合された形態で使用することも可能である。
【0036】
前記遷移金属酸化物の非制限的な例としては、タングステン酸化物、モリブデン酸化物、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などである。
【0037】
前記リチウムをドープ及び脱ドープ可能な物質は、例えば、Si、SiO
x(0<x≦2)、Si−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn、SnO
2、Sn−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などであり、それらのうち少なくとも一つとSiO
2とを混合して使用してもよい。前記元素Yは、Mg,Ca,Sr,Ba,Ra,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,Rf,V,Nb,Ta,Db,Cr,Mo,W,Sg,Tc,Re,Bh,Fe,Pb,Ru,Os,Hs,Rh,Ir,Pd,Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Cd,B,Al,Ga,Sn,In,Ti,Ge,P,As,Sb,Bi,S,Se,Te,Poまたはそれらの組み合わせである。
【0038】
前記リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出可能な物質は、炭素系物質であって、リチウム電池で一般的に使われる炭素系負極活物質であれば、いずれも使用可能である。例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはそれらの混合物である。前記結晶質炭素の非制限的な例としては、無定形、板状、鱗片状、球形または纎維型の天然黒鉛、または人造黒鉛を含む。前記非晶質炭素の非制限的な例としては、ソフトカーボン(低温焼成炭素)、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどを含む。
【0039】
一実施形態によれば、前記負極活物質として、Si、SiO
x(0<x≦2)、Si−Y合金のようなシリコン系活物質、Sn、SnO
2、Sn−Y合金のようなスズ系活物質、シリコン・スズ合金系活物質、またはシリコン・炭素系活物質のように、高容量を具現できる活物質を使用する。
【0040】
前記負極活物質組成物に使われるバインダーは、負極活物質と導電剤の結合、及び集電体に対する結合を助ける成分であって、一実施形態による、前述した炭素ナノチューブと高分子とが化学的に結合されたバインダーを使用でき、これによって、リチウム充放電時に発生する負極活物質の体積膨脹を抑制する効果が得られる。前記バインダーは、負極活物質100重量部を基準として、1ないし20重量部、例えば、2ないし10重量部で添加される。
【0041】
前記負極活物質組成物としては、前述した炭素ナノチューブと高分子とが化学的に結合されたバインダーを単独で使用してもよく、集電体及び活物質との接着力、引張強度、弾性などの特性を補完するために、前述したバインダーを2種以上混合して使用してもよい。また、特性の向上のために、前述したバインダーと炭素ナノチューブとを含んでいない一般的なバインダーを混合して使用してもよい。特性の補完のために混合可能な一般的なバインダーは、特に制限されず、前記バインダー、活物質及びその他の添加剤と相容性があり、充放電過程で電気化学的に安定した特性を有していればよい。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを混合して使用できる。
【0042】
前記負極は、電気伝導性をさらに向上させるために、選択的に導電剤をさらに含む。前記導電剤としては、一般的にリチウム電池に使われるものであれば、いずれも使用可能であり、その例として、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素纎維(例えば、気相成長炭素纎維)などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属纎維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性高分子、またはそれらの混合物;を含む導電性材料を使用できる。導電剤の含量は、適切に調節して使用できる。
【0043】
前記溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトン、水などが使われる。前記溶媒の含量は、負極活物質100重量部を基準として、10ないし300重量部であり得る。溶媒の含量が前記範囲である時、活物質層を形成するための作業が容易である。
【0044】
前記負極活物質組成物には、集電体及び活物質との接着力の向上のためのシランカップリング剤のような接着力向上剤、スラリーの分散性の向上のための分散剤など、必要に応じてその他の添加剤が含まれる。
【0045】
また、前記集電体は、一般的に3ないし100μmの厚さに形成される。前記集電体としては、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム・カドミウム合金などが使われる。また、表面に微細な凹凸を形成して、負極活物質の結合力を強化させることができ、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使われる。
【0046】
製造された負極活物質組成物を集電体上に直接コーティングして、負極極板を製造するか、または別途の支持体上にキャスティングし、前記支持体から剥離させた負極活物質フィルムを銅箔集電体にラミネーションして、負極極板を製造する。前記負極は、前記で列挙した形態に限定されるものではなく、前記形態以外の形態であってもよい。
【0047】
これと別に、正極を製作するために、正極活物質、導電剤、バインダー及び溶媒が混合された正極活物質組成物が準備される。
【0048】
前記正極活物質としては、リチウム含有金属酸化物であって、当該技術分野で通常使われるものであれば、いずれも使用可能である。例えば、LiCoO
2,LiMn
xO
2x(x=1,2),LiNi
1−xMn
xO
2(0<x<1)またはLiNi
1−x−yCo
xMn
yO
2(0≦x≦0.5,0≦y≦0.5)などである。例えば、LiMn
2O
4,LiCoO
2,LiNiO
2,LiFeO
2,V
2O
5,TiSまたはMoSなどのリチウムの吸蔵/放出可能な化合物である。
【0049】
正極活物質組成物における導電剤、バインダー及び溶媒としては、前記負極活物質組成物において前述したような導電剤、バインダー及び溶媒を使用できる。場合によっては、前記正極活物質組成物及び負極活物質組成物に可塑剤をさらに付加して、電極板の内部に気孔を形成することも可能である。前記正極活物質、導電剤、バインダー及び溶媒の含量は、リチウム電池で通常使用するレベルである。
【0050】
前記正極の集電体は、3ないし100μmの厚さであって、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使われる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して、正極活物質の接着力を向上させることができ、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態が可能である。
【0051】
準備された正極活物質組成物を、正極集電体上に直接コーティングして乾燥させ、正極極板を製造する。または、前記正極活物質組成物を別途の支持体上にキャスティングした後、前記支持体から剥離して得たフィルムを正極集電体上にラミネーションして、正極極板を製造する。
【0052】
前記正極と負極は、セパレータにより分離され、前記セパレータとしては、リチウム電池で通常使われるものであれば、いずれも使用可能である。特に、電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、かつ電解液含湿能に優れるものが適している。例えば、ガラス繊維、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びその組み合わせのうち選択された材質であり、不織布または織布の形態であってもよい。前記セパレータは、気孔直径が0.01ないし10μmであり、厚さが一般的に3ないし100μmであるものを使用する。
【0053】
リチウム塩含有非水系電解質は、非水電解液とリチウムとを含む。非水電解質としては、非水電解液、固体電解質及び無機固体電解質などが使われる。
【0054】
前記非水電解液としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使われる。
【0055】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキサイド誘導体、ポリプロピレンオキサイド誘導体、リン酸エステル高分子、ポリアジテーションリシン、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、及びイオン性解離基を含む重合体などが使われる。
【0056】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li
3N,LiI,Li
5NI
2,Li
3N−LiI−LiOH,LiSiO
4,LiSiO
4−LiI−LiOH,Li
2SiS
3,Li
4SiO
4,Li
4SiO
4−LiI−LiOH,Li
3PO
4−Li
2S−SiS
2などのLiの窒化物、ハロゲン化物及び硫酸塩などが使われる。
【0057】
前記リチウム塩は、リチウム電池で通常使われるものであれば、いずれも使用可能であり、前記非水系電解質に溶解されやすい物質として、例えば、LiCl,LiBr,LiI,LiClO
4,LiBF
4,LiB
10Cl
10,LiPF
6,LiCF
3SO
3,LiCF
3CO
2,LiAsF
6,LiSbF
6,LiAlCl
4,CH
3SO
3Li,CF
3SO
3Li,(CF
3SO
2)
2NLi,リチウムクロロボレート、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム及びイミドなどの物質を一つ以上使用できる。
【0058】
リチウム電池は、使用するセパレータと電解質の種類によって、リチウムイオン電池、リチウムイオン高分子電池及びリチウム高分子電池に分類され、形態によって、円筒形、角形、コイン型、ポーチ型などに分類され、サイズによって、バルク型と薄膜型とに分類される。また、リチウム一次電池及びリチウム二次電池がいずれも可能である。
【0059】
それらの電池の製造方法は、当該分野に広く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0060】
図1は、本発明の一具現例によるリチウム電池の代表的な構造を概略的に示すものである。
【0061】
図1を参照して、前記リチウム電池30は、正極23、負極22、及び前記正極23と負極22との間に配置されたセパレータ24を備える。前述した正極23、負極22及びセパレータ24がワインディングされるか、または折り畳まれて電池容器25に収容される。次いで、前記電池容器25に電解質が注入され、封入部材26により密封されて、リチウム電池30が完成される。前記電池容器25は、円筒形、角形、薄膜型などである。前記リチウム電池は、リチウムイオン電池である。
【0062】
前記リチウム電池は、既存の携帯電話、ポータブルコンピュータなどの用途以外に、電気自動車のような高容量、高出力及び高温駆動が要求される用途にも適しており、既存の内燃機関、燃料電池、スーパーキャパシタなどと結合して、ハイブリッド車両などにも使われる。また、前記リチウム電池は、高出力、高電圧及び高温駆動が要求されるその他のあらゆる用途に使われる。
【0063】
一実施形態によれば、リチウム電池の電極用バインダーの製造方法が提供される。
【0064】
炭素ナノチューブと、化学結合により前記炭素ナノチューブに結合された高分子とを含むリチウム電池の電極用バインダーの製造方法であって、前記製造方法は、作用基を有した炭素ナノチューブを、高分子または重合可能な物質と混合して、混合物を形成するステップと、前記混合物を撹拌して熱処理して、バインダーを形成するステップと、を含む。
【0065】
前記炭素ナノチューブに導入された前記作用基は、カルボキシル基(−COOH)、ヒドロキシル基(−OH)及びアミン基(−NH2)のうち少なくとも一つであってもよい。
【0066】
かかる作用基を炭素ナノチューブに導入するために、例えば、強酸を利用したウェット処理、及びプラズマまたは真空紫外線照射を利用したドライ処理のうち少なくとも一つを利用して、前記炭素ナノチューブに前記作用基を導入する前処理ステップをさらに含んでもよい。
【0067】
前記炭素ナノチューブの作用基がカルボキシル基である場合、前記炭素ナノチューブを高分子または重合可能な物質と混合する前に、前記カルボキシル基をアシルクロライド基またはアミン基に変更させるステップをさらに含んでもよい。
【0068】
前記高分子は、ポリアミック酸、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、それらの共重合体、それらの変性樹脂、及びそれらと他の成分との縮合重合体のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0069】
前記撹拌ステップは、60℃ないし90℃の範囲の温度で行われてもよい。
【0070】
一方、触媒の存在下で、前記炭素ナノチューブと、前記高分子または重合可能な物質との間に共有結合が形成され、ここで、前記触媒は、トリエチルアミン及びパラトルエンスルホン酸のうち少なくとも一つを含んでもよい。前記混合物を撹拌する時、かかる触媒を投入した後に熱処理を行う。
【0071】
以下の実施例及び比較例を通じて、例示的な具現例をさらに詳細に説明する。ただし、実施例は、技術的思想を例示するためのものであって、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0072】
製造例1:炭素ナノチューブ(CNT)の前処理組成物の製造
(1)CNTの酸処理によるカルボキシル基の導入
約10〜20nmの直径及び約10〜50μmの長さを有する多重壁のCNT 2gを、20wt%の硝酸溶液300mlを利用して、40℃で24時間の間処理した。次いで、洗浄された前記CNT 1gを、強硫酸と強硝酸とを3:1(v/v%)で混合した溶液200mlに浸漬させた後、常温で3時間の間超音波処理した後、70℃で6時間撹拌した。その後、フィルタリングと、純水による数回の洗浄とを通じて、CNTに付いている酸溶液をきれいに除去した後、真空オーブンで、80℃で24時間の間乾燥させて、カルボキシル基が導入されたCNT(物質A)を製造した。
【0073】
(2)カルボキシル基が導入されたCNTの改造1
前記物質Aにおいて、下記の反応を通じて、CNT表面のカルボキシル基をアシルクロライド基に変更させた。
【0074】
前記物質A 1.0gと、無水テトラヒドロフラン(THF)に5wt%で希釈させた塩化チオニル400mlとを反応容器で混合した後、10分間超音波処理し、その後、窒素雰囲気下で撹拌しつつ12時間還流させた。フィルタリングと、無水THFによる数回の洗浄とを通じて、反応が完了した反応物から未反応の塩化チオニル及びその他の不純物を除去した後、真空オーブンで、80℃で12時間の間乾燥させて、カルボキシル基がアシルクロライド基に変更されたCNT(物質B)を製造した。
【0075】
(3)カルボキシル基が導入されたCNTの改造2
前記物質Bにおいて、下記の反応を通じて、CNT表面をアミン基に変更させた。
【0076】
前記物質B 0.5gと、無水THFに1.0wt%で希釈させたヘキサメチルジアミン(HMDA)100mlとを反応容器で混合した後、10分間超音波処理し、その後、窒素雰囲気下で撹拌しつつ12時間還流させた。フィルタリングと、無水THFによる数回の洗浄とを通じて、反応が完了した反応物から未反応のHMDA及びその他の不純物を除去した後、真空オーブンで、60℃で12時間の間乾燥させて、アミン基を有するCNT(物質C)を製造した。
【0077】
製造例2:水系バインダー組成物の製造
反応容器で、110℃で24時間の間真空乾燥させたPVA(鹸化度87ないし89%、平均Mw=31,000ないし50,000g/mol)3gと、無水ジメチルアセトアミド(DMAc)27gとを混合して、窒素雰囲気下、100℃で6時間の間撹拌加熱して、PVAをDMAcに完全に溶かした。その後、反応容器を常温まで下げ、水素化カルシウム(CaH
2)0.2gを入れて24時間の間撹拌して、残存する水分を除去した後、フィルタリングして得た溶液18gと、前記物質B0.2gとを入れて10分間超音波処理した後、1時間の間撹拌した。その後、精製されたトリエチルアミン0.1mlを、注射器を利用して反応容器に注入した後、反応容器の温度を上げて、60℃で24時間の間撹拌して反応させた。反応が完了した後、反応容器に入っている溶液を200mlのエチルアルコール溶液に注いで、反応物を沈殿させた後、フィルタリング工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て、CNTがPVAに共有結合された水系バインダー(物質D)を製造した。物質Dの化学構造は、下記化学式1のような反復単位を有する。
【0079】
その後、物質Dを利用したリチウム電池の負極用スラリーの製造に利用されるように、前記物質D 1gと純水19gとを反応容器に入れて、70℃で24時間の間撹拌して、水系バインダー組成物(溶液E)を製造した。
【0080】
製造例3:水系バインダー組成物の製造
反応容器で、110℃で24時間の間真空乾燥させたポリアクリル酸(PAA、平均Mw=450,000g/mol)0.9gと、純水19gとを混合して、60℃で6時間の間撹拌加熱して、PAAを純水に完全に溶かした。その後、反応容器を常温まで下げ、前記物質C 0.1gを入れて10分間超音波処理した後、24時間の間撹拌して、CNTがPAAにイオン結合された水系バインダー組成物(溶液F)を製造した。ここで、溶液Fに含有されたバインダーの化学構造は、下記化学式2のような反復単位を有する。
【0082】
製造例4:有機系バインダー組成物の製造
110℃で24時間の間真空乾燥させたPI、4,4′−オキシジフタル酸無水物(OPDA)と2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAPAF)との縮合重合物(平均Mw=70,000ないし100,000g/mol)2g、及び無水ジメチルスルホキシド(DMSO)18gを混合して、窒素雰囲気下、100℃で12時間の間撹拌加熱して、PIをDMSOに完全に溶かした。その後、反応容器の温度を60℃まで下げ、前記製造例1の実験(2)で製造した物質B 0.2gを入れて、10分間超音波処理した後、1時間の間撹拌した。その後、精製されたトリエチルアミン0.1mlを、注射器を利用して反応容器に注入した後、60℃で24時間の間撹拌反応させた。反応が完了した後、反応容器に入っている溶液を200mlのエチルアルコール溶液に注いで、反応物を沈殿させた後、フィルタリング工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て、CNTがPIに共有結合された有機系バインダー(物質G)を製造した。物質Gの化学構造は、下記化学式3のような反復単位を有する。
【0084】
その後、物質Gを利用したリチウム電池の負極用スラリーの製造に利用されるように、前記物質G 1gと、N−メチルピロリドン(NMP)19gとを反応容器に入れて、70℃で24時間の間撹拌して、有機系バインダー組成物(溶液H)を製造した。
【0085】
製造例5:有機系バインダー組成物の製造
110℃で24時間の間真空乾燥させたウレタン変性エポキシ樹脂(ヒドロキシル当量250ないし300、平均Mw=30,000ないし50,000g/mol)2gと、無水DMSO18gとを混合して、窒素雰囲気下、100℃で3時間の間撹拌加熱して、ウレタン変性エポキシ樹脂をDMSOに完全に溶かした。その後、反応容器の温度を60℃まで下げ、前記製造例1の実験(1)で製造した物質A 0.2gを入れて、10分間超音波処理した後、1時間の間撹拌した。その後、精製されたパラトルエンスルホン酸0.01gを反応容器に注入した後、90℃で24時間の間撹拌反応させた。反応が完了した後、反応容器に入っている溶液を200mlのジエチルエーテル溶液に注いで、反応物を沈殿させた後、フィルタリング工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て、CNTがウレタン変性エポキシ樹脂に共有結合された有機系バインダー(物質I)を製造した。物質Iは、下記化学式4のような化学構造を有する。
【0087】
その後、物質Iを利用したリチウム電池の負極用スラリーの製造に利用されるように、前記物質I 1gとNMP 19gとを反応容器に入れて、70℃で24時間の間撹拌して、有機系バインダー組成物(溶液J)を製造した。
【0088】
(リチウム電池の製造)
実施例1
前記製造例2で製造した水系バインダー組成物(溶液E)8g、5%PAA(平均Mw=450,000g/mol)水溶液1.8g、水溶性熱硬化促進剤0.01gを添加した後、常温で3時間の間撹拌して、均一に混合された溶液を準備した。これに、Si−Ti−Ni系Si合金(平均粒径5μm)とグラファイトとが2:8重量比で混合された粉末9.5gを入れて、1時間の間撹拌して、粉末が均一に分散された負極活物質スラリー(1)を製造した。スラリーの製造過程で、適当な粘度のスラリーを得るために、純水を少量添加した。
【0089】
前記負極活物質スラリーを、厚さが10μmである銅ホイル集電体に塗布して、負極板を製造し、コーティングが完了した極板は、110℃で1時間の間一次乾燥させ、再び150℃の真空オーブンで2時間の間乾燥させた後、プレスで圧着して、60μm厚の負極を製造した。相対電極としては、Li金属を使用し、厚さ20μmのポリエチレン材質のセパレータ(製品名:STAR20、Asahi)を使用し、電解液を注入して圧縮した2016Rタイプのコインセルを製造した。この時、電解質は、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(1:1体積比)に、LiPF
6を1Mの濃度に溶解させたものを使用した。
【0090】
実施例2
前記実施例1において、水系バインダー組成物(溶液E)の代わりに、前記製造例3で製造した水系バインダー組成物(溶液F)10gを使用して、負極活物質スラリー(2)を製造し、このように準備した負極活物質スラリー(2)を使用して、負極を製造した点を除いては、前記実施例1と同様な過程を行って、コインセルを製造した。
【0091】
実施例3
前記製造例4で製造した有機系バインダー組成物(溶液H)10gと、Si−Ti−Ni系Si合金(平均粒径5μm)及びグラファイトが2:8重量比で混合された粉末9.5gとを入れて、1時間の間撹拌して、粉末が均一に分散された負極活物質スラリー(3)を製造した。スラリーの製造過程で、適当な粘度のスラリーを得るために、NMPを少量添加した。
【0092】
このように準備した負極活物質スラリー(3)を使用して、負極を製造した点を除いては、前記実施例1と同様な過程を行って、コインセルを製造した。
【0093】
実施例4
前記製造例4で製造した有機系バインダー組成物(溶液H)7gと、前記製造例5で製造した有機系バインダー組成物(溶液J)3gとを混合した後、常温で1時間の間撹拌して、均一に混合された溶液を準備した。これに、Si−Ti−Ni系Si合金(平均粒径5μm)とグラファイトとが2:8重量比で混合された粉末9.5gを入れて、1時間の間撹拌して、粉末が均一に分散された負極活物質スラリー(4)を製造した。スラリーの製造過程で、適当な粘度のスラリーを得るために、NMPを少量添加した。
【0094】
このように準備した負極活物質スラリー(4)を使用して、負極を製造した点を除いては、前記実施例1と同様な過程を行って、コインセルを製造した。
【0095】
比較例1
前記製造例2で製造した水系バインダー組成物(溶液E)の代わりに、110℃で24時間の間真空乾燥させたPVA(鹸化度87ないし89%、平均Mw=31,000ないし50,000g/mol)を純水に溶かして、5%溶液にした後、これに、前記製造例1の実験(1)で製造した物質A(CNTにカルボキシル基を導入したもの)を、PVAに対して10wt%の量で混合した後、超音波装置を利用して、PVA溶液に物質Aを均一に分散させたものを使用した点を除いては、前記実施例1と同様な過程を行って、コインセルを製造した。
【0096】
比較例2
前記製造例4で製造した有機系バインダー組成物(溶液H)の代わりに、110℃で24時間の間真空乾燥させたPIをNMPに溶かして、5%溶液にした後、これに、前記製造例1の実験(1)で製造した物質A(CNTにカルボキシル基を導入したもの)を、PIに対して10wt%の量で混合した後、超音波装置を利用して、PI溶液に物質Aを均一に分散させたものを使用した点を除いては、前記実施例2と同様な過程を行って、コインセルを製造した。
【0097】
比較例3
前記製造例4及び5で製造した有機系バインダー組成物(溶液H及びJ)の代わりに、PI及びウレタン変性エポキシ樹脂をNMPに溶かして、それぞれ5%溶液にした後、これに、前記製造例1の実験(1)で製造した物質A(CNTにカルボキシル基を導入したもの)を、PI及びウレタン変性エポキシ樹脂に対して10wt%の量でそれぞれ混合した後、超音波装置を利用して、PI及びウレタン変性エポキシ樹脂溶液に物質Aをそれぞれ均一に分散させたものを使用した点を除いては、前記実施例3と同様な過程を行って、コインセルを製造した。
【0098】
評価例1:電池特性評価
前記実施例1ないし3及び比較例1ないし3で製造したリチウム電池に対して、下記のように初期化成効率と寿命とを評価した。
【0099】
前記充放電実験は、常温25℃で行われ、初期化成効率は、0.05C充電/0.05C放電で評価し、寿命は、0.5C充電/0.5C放電を100回及び300回反復して評価した。初期化成効率は、下記数式1により計算され、寿命は、下記数式2により定義される容量維持率として計算する。
【0100】
[数式1]
初期化成効率[%]=[1
stサイクルでの放電容量/1
stサイクルでの充電容量]×100
【0101】
[数式2]
容量維持率[%]=[100
th(または300
th)サイクルでの放電容量/1
stサイクルでの放電容量]×100
【0102】
リチウム電池の初期化成効率及び寿命評価結果を下記表1に示す。
【0104】
前記表1に示すように、実施例1ないし4及び比較例1ないし3のリチウム電池は、初期化成効率は差がないが、100サイクル及び300サイクルでの寿命、特に、300サイクルでの寿命は確実に差が表れるということが分かる。実施例1ないし4のリチウム電池(CNTがバインダーと化学的に結合されたバインダーを使用)では、比較例1ないし3のリチウム電池(CNTとバインダーの単純混合)より、寿命特性が約2倍以上改善された。これは、充放電による活物質の膨脹及び収縮時にも、CNTの移動によりかたまりが生じるなどの現象がなく、CNTによるバインダーの引張強度の増加によって、導電経路を維持できるので、寿命が延長したものと見られる。
【0105】
以上、図面及び実施形態を参照して本発明による望ましい具現例が説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲により決まらねばならない。