(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2では、バッテリーの電流又は電圧の何れか一方に基づいて、充電線又はバッテリー端子の外れを判定しているため、誤判定を行う可能性があった。
【0007】
また、特許文献2では、誤判定を防止するために、同じ状態が所定時間以上続いた場合に充電線又はバッテリー端子が外れたと判定する。従って、判定結果が出るまでに時間が掛かってしまう。充電線又はバッテリー端子の外れは、早期に検出して対応を行うことが好ましいため、この点において改善が望まれていた。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、バッテリーの状態を検出するバッテリー状態検出装置において、接続端子の外れについて短時間で正確な判定を行う構成を提供することにある。
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、複数の接続端子を介して少なくともバッテリーを含む機器と電気的に接続され、当該バッテリーの状態を検出する車両用のバッテリー状態検出装置において、以下の構成が提供される。即ち、このバッテリー状態検出装置は、電流検出部と、電圧検出部と、推定部と、を備える。前記電流検出部は、前記バッテリーに入力される電流又は当該バッテリーから出力される電流であるバッテリー電流を検出する。前記電圧検出部は、前記バッテリーの端子電圧をバッテリー電圧として検出する。前記推定部は、前記電流検出部が検出した前記バッテリー電流と、前記電圧検出部が検出した前記バッテリー電圧と、の両方に基づいて、前記接続端子が外れたか否か、及び、前記接続端子が外れた場合にどの前記接続端子が外れたかを推定する。
前記接続端子は、第1接続端子と、第2接続端子と、第3接続端子と、を少なくとも含む。前記第1接続端子は、前記バッテリーの一方のバッテリーポストに接続される。前記第2接続端子は、前記バッテリーの他方のバッテリーポストに接続される。前記第3接続端子は、発電機と前記バッテリーとを電気的に接続する経路であって、端子外れが生じても前記発電機と電圧検出部との接続が維持される経路に設けられる。前記推定部は、前記発電機の稼動中において、前記電流検出部が検出した前記バッテリー電流が、ゼロの近傍の所定範囲内にあり、更に、前記電圧検出部が検出した前記バッテリー電圧が、前記発電機と接続されていない状態の前記バッテリーの電圧の近傍の所定範囲内にある場合に、前記第3接続端子が外れていると推定する。
【0011】
これにより、バッテリー電流とバッテリー電圧の両方を用いるため、接続端子の外れ(以下、端子外れ)の有無及び外れた接続端子を正確に推定できる。また、2つの検出値に基づいて推定を行うため、誤推定防止のための待機時間を短くすることができるので、短時間で推定を行うことができる。
また、バッテリーポスト又は発電機等に接続される接続端子について、端子外れの有無及び外れた接続端子を推定できる。また、第3接続端子の外れの有無を短時間かつ正確に推定できるので、第3接続端子の外れに即座に対応することができる。
【0012】
本発明の別の観点によれば、複数の接続端子を介して少なくともバッテリーを含む機器と電気的に接続され、当該バッテリーの状態を検出する車両用のバッテリー状態検出装置において、以下の構成が提供される。即ち、このバッテリー状態検出装置は、電流検出部と、電圧検出部と、推定部と、を備える。前記電流検出部は、前記バッテリーに入力される電流又は当該バッテリーから出力される電流であるバッテリー電流を検出する。前記電圧検出部は、前記バッテリーの端子電圧をバッテリー電圧として検出する。前記推定部は、前記電流検出部が検出した前記バッテリー電流と、前記電圧検出部が検出した前記バッテリー電圧と、の両方に基づいて、前記接続端子が外れたか否か、及び、前記接続端子が外れた場合にどの前記接続端子が外れたかを推定する。前記接続端子は、第1接続端子と、第2接続端子と、第3接続端子と、を少なくとも含む。前記第1接続端子は、前記バッテリーの一方のバッテリーポストに接続される。前記第2接続端子は、前記バッテリーの他方のバッテリーポストに接続される。前記第3接続端子は、発電機と前記バッテリーとを電気的に接続する経路であって、端子外れが生じても前記発電機と電圧検出部との接続が維持される経路に設けられる。前記推定部は、前記発電機の稼動中において、前記電流検出部が検出した前記バッテリー電流がゼロの近傍の所定範囲内にあり、更に、前記電圧検出部が検出した前記バッテリー電圧が前記発電機の発電電圧の近傍の所定範囲内にある場合に、前記第1接続端子又は前記第2接続端子が外れていると推定する。
【0013】
これにより、バッテリー電流とバッテリー電圧の両方を用いるため、接続端子の外れ(以下、端子外れ)の有無及び外れた接続端子を正確に推定できる。また、2つの検出値に基づいて推定を行うため、誤推定防止のための待機時間を短くすることができるので、短時間で推定を行うことができる。また、バッテリーポスト又は発電機等に接続される接続端子について、端子外れの有無及び外れた接続端子を推定できる。また、第1接続端子又は第2接続端子の外れの有無を短時間かつ正確に推定できるので、第1接続端子又は第2接続端子の外れに即座に対応することができる。
【0016】
前記のバッテリー状態検出装置においては、前記推定部は、前記発電機の稼動中において、前記電流検出部が検出した前記バッテリー電流がゼロ
の近傍の所定範囲内にあり、更に、前記電圧検出部が検出した前記バッテリー電圧が前記発電機の発電電圧
の近傍の所定範囲内にある場合に、前記第1接続端子又は前記第2接続端子が外れていると推定することが好ましい。
【0017】
これにより、第1接続端子又は第2接続端子の外れの有無を短時間かつ正確に推定できるので、第1接続端子又は第2接続端子の外れに即座に対応することができる。
【0018】
前記のバッテリー状態検出装置は、ECUと接続される信号接続端子を備える。前記推定部は、前記ECUと通信できない場合に、前記信号接続端子が外れていると推定する。
【0019】
これにより、信号接続端子の外れの有無を短時間かつ正確に推定できるので、信号接続端子の外れに即座に対応することができる。
【0020】
前記のバッテリー状態検出装置においては、前記推定部は、前記バッテリーの充電率が所定以下である場合に限り、前記接続端子の外れを推定する処理を行うことが好ましい。
【0021】
これにより、バッテリーの充電率が高い場合はバッテリー電流が流れにくいため、充電率が所定以下の場合に推定を行うことで、推定精度を一層向上させることができる。
【0022】
前記のバッテリー状態検出装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、このバッテリー状態検出装置は、周囲の温度を検出する温度検出部を備える。前記推定部は、前記温度検出部が検出した温度が所定以上である場合に限り、前記接続端子の外れを推定する処理を行う。
【0023】
これにより、温度が低い場合はバッテリー電流が流れにくいため、温度が所定以上の場合に推定を行うことで、推定精度を一層向上させることができる。
【0024】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の車両用システムが提供される。即ち、この車両用システムは、バッテリーと、発電機と、バッテリー状態検出装置と、を備える。発電機は、前記バッテリーを充電する。前記バッテリー状態検出装置は、複数の接続端子を介して少なくとも前記バッテリーを含む機器と電気的に接続され、当該バッテリーの状態を検出する。この車両用システム
のバッテリー状態検出装置は、更に、電流検出部と、電圧検出部と、推定部と、を備える。前記電流検出部は、前記バッテリーに入力される電流又は当該バッテリーから出力される電流であるバッテリー電流を検出する。前記電圧検出部は、前記バッテリーの端子電圧をバッテリー電圧として検出する。前記推定部は、前記電流検出部が検出した前記バッテリー電流と、前記電圧検出部が検出した前記端子電圧と、の両方に基づいて、前記接続端子が外れたか否か、及び、前記接続端子が外れた場合にどの前記接続端子が外れたかを推定する。
前記接続端子は、第1接続端子と、第2接続端子と、第3接続端子と、を少なくとも含む。前記第1接続端子は、前記バッテリーの一方のバッテリーポストに接続される。前記第2接続端子は、前記バッテリーの他方のバッテリーポストに接続される。前記第3接続端子は、発電機と前記バッテリーとを電気的に接続する経路であって、端子外れが生じても前記発電機と電圧検出部との接続が維持される経路に設けられる。前記推定部は、前記発電機の稼動中において、前記電流検出部が検出した前記バッテリー電流が、ゼロの近傍の所定範囲内にあり、更に、前記電圧検出部が検出した前記バッテリー電圧が、前記発電機と接続されていない状態の前記バッテリーの電圧の近傍の所定範囲内にある場合に、前記第3接続端子が外れていると推定する。
【0025】
これにより、バッテリーの端子電圧とバッテリー電流の両方を用いるため、端子外れの有無及び外れた接続端子を正確に推定できる。また、2つの要素に基づいて推定を行うため、誤検出防止のための待機時間を短くすることができるので、短時間で推定を行うことができる。
また、バッテリーポスト又は発電機等に接続される接続端子について、端子外れの有無及び外れた接続端子を推定できる。また、第3接続端子の外れの有無を短時間かつ正確に推定できるので、第3接続端子の外れに即座に対応することができる。
また、本発明の別の観点によれば、以下の構成の車両用システムが提供される。即ち、この車両用システムは、バッテリーと、発電機と、バッテリー状態検出装置と、を備える。発電機は、前記バッテリーを充電する。前記バッテリー状態検出装置は、複数の接続端子を介して少なくとも前記バッテリーを含む機器と電気的に接続され、当該バッテリーの状態を検出する。この車両用システムのバッテリー状態検出装置は、更に、電流検出部と、電圧検出部と、推定部と、を備える。前記電流検出部は、前記バッテリーに入力される電流又は当該バッテリーから出力される電流であるバッテリー電流を検出する。前記電圧検出部は、前記バッテリーの端子電圧をバッテリー電圧として検出する。前記推定部は、前記電流検出部が検出した前記バッテリー電流と、前記電圧検出部が検出した前記端子電圧と、の両方に基づいて、前記接続端子が外れたか否か、及び、前記接続端子が外れた場合にどの前記接続端子が外れたかを推定する。前記接続端子は、第1接続端子と、第2接続端子と、第3接続端子と、を少なくとも含む。前記第1接続端子は、前記バッテリーの一方のバッテリーポストに接続される。前記第2接続端子は、前記バッテリーの他方のバッテリーポストに接続される。前記第3接続端子は、発電機と前記バッテリーとを電気的に接続する経路であって、端子外れが生じても前記発電機と電圧検出部との接続が維持される経路に設けられる。前記推定部は、前記発電機の稼動中において、前記電流検出部が検出した前記バッテリー電流がゼロの近傍の所定範囲内にあり、更に、前記電圧検出部が検出した前記バッテリー電圧が前記発電機の発電電圧の近傍の所定範囲内にある場合に、前記第1接続端子又は前記第2接続端子が外れていると推定する。
これにより、バッテリーの端子電圧とバッテリー電流の両方を用いるため、端子外れの有無及び外れた接続端子を正確に推定できる。また、2つの要素に基づいて推定を行うため、誤検出防止のための待機時間を短くすることができるので、短時間で推定を行うことができる。また、バッテリーポスト又は発電機等に接続される接続端子について、端子外れの有無及び外れた接続端子を推定できる。また、第1接続端子又は第2接続端子の外れの有無を短時間かつ正確に推定できるので、第1接続端子又は第2接続端子の外れに即座に対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1に示す車両用システム1は、自動車等の車両に搭載されるシステムである。車両用システム1は、バッテリー10と、制御部11と、エンジン12と、発電機13と、スタータモータ14と、負荷15と、放電回路16と、シャント抵抗17と、ECU18と、を備える。
【0028】
バッテリー10は、例えば正極に二酸化鉛、負極に鉛、電解液に希硫酸等を用いた鉛蓄電池等の二次電池である。制御部11は、後述の放電回路16及びシャント抵抗17等とともに、バッテリー状態検出装置2を構成する。バッテリー状態検出装置2は、バッテリー10を流れる電流等を検出することにより、バッテリー10の状態(充電率等)を検出する。
【0029】
エンジン12は、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジン等である。バッテリー10から供給された電力でスタータモータ14を駆動することで、エンジン12が始動する。その後、エンジン12は、燃料を燃焼させることで動力を発生させる。エンジン12が発生させた動力は、車両の走行及び発電機13の発電等に用いられる。
【0030】
発電機(オルタネータ)13は、エンジン12が発生させた動力によって電力を生成する。発電機13が発生させた電力は、車両が備える負荷15の駆動及びバッテリー10の充電等に用いられる。負荷15は、車両に配置され、供給された電力を消費する機器であり、例えば、カーエアコン、カーオーディオ、及び電動ステアリングモータ等である。
【0031】
放電回路16は、直列接続されたスイッチ16a及び抵抗16bから構成されている。また、シャント抵抗17は、放電回路16と並列に配置されており、抵抗16b等と比較して抵抗値が非常に小さい。また、スイッチ16aの開閉は、制御部11によって制御されている。スイッチ16aが閉じられた場合、バッテリー10から抵抗16b及びシャント抵抗17に電流が流れる。
【0032】
ECU(Electric Control Unit)18は、エンジン12及び車両に配置される機器等の制御を行うマイクロコンピュータである。ECU18は、制御部11と接続されている。ECU18は、バッテリー状態の検出結果及び端子外れに関する情報(後述)を制御部11から取得する。
【0033】
図1に示すように制御部11は、電流検出部11aと、電圧検出部11bと、推定部11cと、を備える。
【0034】
電流検出部11aは、シャント抵抗17に生じる電圧を検出する。電流検出部11aは、既知であるシャント抵抗17の抵抗値と、シャント抵抗17に生じる電圧(
図1のV2)と、に基づいて、シャント抵抗17を流れる電流を検出する。シャント抵抗17を流れる電流は、バッテリー10のバッテリー電流(バッテリー10から流れる放電電流、バッテリー10へ流れる充電電流)と等しい。以上により、制御部11は、バッテリー電流を検出する。
【0035】
電圧検出部11bは、バッテリー10の端子電圧であるバッテリー電圧(
図1のV1)を検出する。推定部11cは、バッテリー電流及びバッテリー電圧に基づいて、バッテリー状態検出装置2の端子外れの有無及び外れた接続端子を推定する(詳細は後述)。
【0036】
また、制御部11には、温度検出部22が接続されている。温度検出部22は、バッテリー10の周囲の温度を検出して制御部11へ出力する。
【0037】
次に、
図1及び
図2を参照して、バッテリー状態検出装置2の具体的な構成、特にバッテリー状態検出装置2が備える接続端子について説明する。
【0038】
バッテリー状態検出装置2は、ケース41を備える。ケース41の内部には、制御部11を構成する回路基板と、シャント抵抗17と、が収容されている。また、バッテリー状態検出装置2は、第1接続端子31と、第2接続端子32と、第3接続端子33と、信号接続端子34と、を備える。
【0039】
バッテリー10は、正負の2つのバッテリーポスト10aを有している。
図2には、負のバッテリーポスト10aが示されている。第1接続端子31は、負のバッテリーポスト10aに接続される端子である。第2接続端子32は、正のバッテリーポスト10aに接続される端子である。
【0040】
第1接続端子31は、金属板をプレスないし折り曲げ加工することにより形成されている。第1接続端子31は、バッテリー10のバッテリーポスト10aに接続されるバッテリーポスト接続部31aを有している。バッテリーポスト接続部31aは、ケース41の外部に配置されている。バッテリーポスト接続部31aは略筒状に形成されている。この筒状の部分にバッテリーポスト10aを挿入した状態で、締付ボルト42を締め付けることにより、前記筒状の部分がバッテリーポスト10aの周面に食い込み、これにより当該バッテリーポスト10aに対して(電気的及び機械的に)接続される。
【0041】
第3接続端子33は、車両のボディの金属部等に接続されたハーネス43の先端に接続され、電気回路的には負荷15等のマイナス側と等電位となる。第3接続端子33は、ハーネス接続部44を介して、制御部11に接続される。このハーネス接続部44は、スタッドボルトとして構成されている。
図2に示すように、第3接続端子33にハーネス接続部44を挿通させ、更に当該ハーネス接続部44にナット45を締め付けることにより、当該ハーネス接続部44に対してハーネス43が(電気的及び機械的に)接続される。
【0042】
信号接続端子34は、複数のピンを有しており、それぞれのピンによって複数の電線と接続される。具体的には、信号接続端子34は、第2接続端子32を介して正のバッテリーポスト10aに接続される電線と、放電回路16に接続される電線と、ECU18に接続される電線と、に接続される。
【0043】
次に、第1接続端子31、第2接続端子32、第3接続端子33、又は信号接続端子34が外れたことを推定する処理について説明する。初めに、第1接続端子31が外れたことを検出する処理について、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0044】
推定部11cは、第1接続端子31の外れを、バッテリー電流に関する条件(第1条件)と、バッテリー電圧に関する条件(第2条件)と、に基づいて判定する。
【0045】
初めに、第1接続端子31が外れた場合のバッテリー電流及びバッテリー電圧の検出値について説明する。第1接続端子31が外れた場合、
図3に示すように、バッテリー10の負側が電線に接続されなくなるため、バッテリー10の充電電流及び放電電流が発生しなくなり、シャント抵抗17に電流が流れなくなる。従って、電流検出部11aが検出するバッテリー電流はゼロとなる(
図4のバッテリー電流を参照)。
【0046】
また、第1接続端子31は、バッテリー10が有するバッテリーポスト10aに接続されているため、第1接続端子31が外れた場合であっても、制御部11は発電機13と接続されている。従って、電圧検出部11bが検出するバッテリー電圧(電圧V1)は発電機13の発電電圧(例えば、14.8V)から変化しない(
図4のバッテリー電圧を参照)。
【0047】
このように、第1接続端子31が外れた場合、バッテリー電流がゼロになり、バッテリー電圧は変化しない。ただし、バッテリー電流を検出する際には誤差や揺らぎが発生するため、本実施形態では、第1条件としては、一側に電流が流れる状態を正とし、反対側に電流が流れる状態を負としたときに、「負の閾値<バッテリー電流<正の閾値」が成立することを条件とする。閾値としては、通常時(端子外れが生じていない時)のバッテリー電流よりもかなり小さい値を設定することが好ましい。このように、ゼロを含む所定範囲内にバッテリー電流があることを、第1接続端子31の端子外れを判定するための第1条件とする。
【0048】
また、第1接続端子31が外れた場合であってもバッテリー電圧は変化しないため、バッテリー電圧が発電電圧と略等しいことを第2条件とする。ただし、バッテリー電圧を検出する際には誤差や揺らぎが発生するため、検出されたバッテリー電圧が、発電電圧を含む所定範囲内にあることを第2条件とする。
【0049】
なお、バッテリー10の充電率(SOC)が高い場合(例えば80%以上の場合)、バッテリー電流が小さくなるため、接続外れの誤推定が生じる可能性がある。また、温度が低い場合(例えば0℃以下の場合)もバッテリー電流が流れにくくなるため、接続外れの誤推定が生じる可能性がある。以上を考慮し、本実施形態では、SOCが高い場合及び温度が低い場合は、接続外れの推定を行わない。なお、これは、第1接続端子31だけでなく他の接続端子についても同様である。
【0050】
次に、第2接続端子32が外れた場合のバッテリー電流及びバッテリー電圧の検出値について
図5及び
図6を参照して説明する。なお、第2接続端子32が外れた場合、第1接続端子31が外れた場合と良く似た挙動を示す。具体的には、
図5に示すように、バッテリー10の正側が電線に接続されなくなるため、バッテリー10の充電電流及び放電電流が発生しなくなり、シャント抵抗17に電流が流れなくなる。従って、電流検出部11aが検出するバッテリー電流はゼロとなる(
図6のバッテリー電流を参照)。
【0051】
また、第2接続端子32は、バッテリー10が有するバッテリーポスト10aに接続されているため、第2接続端子32が外れた場合であっても、制御部11は発電機13と接続されている。従って、電圧検出部11bが検出するバッテリー電圧(電圧V1)は発電機13の発電電圧(例えば、14.8V)から変化しない(
図6のバッテリー電圧を参照)。
【0052】
このように、第2接続端子32が外れた場合、第1接続端子31が外れた場合と同様の挙動を示す。従って、本実施形態では、第1接続端子31が外れた場合と第2接続端子32が外れた場合を区別しない。具体的には、上述の第1条件及び第2条件が満たされた場合、第1接続端子31及び第2接続端子32の少なくとも何れかが外れたと推定する。なお、誤検出を防止するために、第1条件及び第2条件を満たした状態が所定時間続いた場合に第3接続端子33が外れたと推定しても良い。ただし、本実施形態では2つの条件に基づいて判断しているため誤推定が発生しにくいため、この所定時間(待機時間)を従来と比較して短くすることができる。
【0053】
次に、第3接続端子33が外れた場合のバッテリー電流及びバッテリー電圧の検出値について
図7及び
図8を参照して説明する。第3接続端子33が外れた場合、
図7に示すように、発電機13とバッテリー10が接続されなくなる。従って、シャント抵抗17に電流が流れなくなる。その結果、電流検出部11aが検出するバッテリー電流はゼロとなる(
図8のバッテリー電流を参照)。
【0054】
また、第3接続端子33が外れた場合、発電機13とバッテリー10が接続されないため、電圧検出部11bが検出するバッテリー電圧は、バッテリー10自体の端子電圧(発電機13と接続されていない状態のバッテリー10の端子電圧)となる。従って、バッテリー電圧は、発電機13の発電電圧からバッテリー10自体の端子電圧(例えば、約13V)に低下する。
【0055】
従って、第3接続端子33の端子外れを検出する第1条件としては、第1接続端子31及び第2接続端子32の場合と同様に、ゼロを含む所定範囲内にバッテリー電流があることである。また、第3接続端子33の端子外れを検出する第2条件としては、発電機13と接続されていない状態のバッテリー10の端子電圧を含む所定範囲内にバッテリー電圧があることである。なお、この所定範囲内を規定する閾値は、発電機13の発電電圧よりも小さい値であることが好ましい。
【0056】
推定部11cは、この第1条件及び第2条件を満たした場合、即座に第3接続端子33が外れたと推定する。なお、誤検出を防止するために、第1条件及び第2条件を満たした状態が所定時間続いた場合に第3接続端子33が外れたと推定しても良い。ただし、本実施形態では2つの条件に基づいて判断しているため誤推定が発生しにくいため、この所定時間(待機時間)を従来と比較して短くすることができる。
【0057】
また、信号接続端子34が外れた場合、ECU18と通信を行うことができない。従って、ECU18との通信が途絶えた場合、推定部11cは、信号接続端子34の端子外れが生じたと推定する。
【0058】
推定部11cは、以上の推定を行うことで、端子外れの有無、及び、どの接続端子が外れたかを推定することができる。
【0059】
以上に説明したように、本実施形態のバッテリー状態検出装置2は、車両用であり、複数の接続端子(第1接続端子31〜第3接続端子33)を介して少なくともバッテリー10を含む機器と電気的に接続され、当該バッテリー10の状態を検出する。また、このバッテリー状態検出装置2は、電流検出部11aと、電圧検出部11bと、推定部11cと、を備える。電流検出部11aは、バッテリー10に入力される電流又は当該バッテリー10から出力される電流であるバッテリー電流を検出する。電圧検出部11bは、バッテリー10の端子電圧をバッテリー電圧として検出する。推定部11cは、電流検出部11aが検出したバッテリー電流と、電圧検出部11bが検出したバッテリー電圧と、の両方に基づいて、接続端子が外れたか否か、及び、接続端子が外れた場合にどの接続端子が外れたかを推定する。
【0060】
これにより、バッテリー電流とバッテリー電圧の両方を用いるため、端子外れの有無及び外れた接続端子を正確に推定できる。また、2つの検出値に基づいて推定を行うため、誤推定防止のための待機時間を短くすることができるので、短時間で推定を行うことができる。
【0061】
本実施形態のバッテリー状態検出装置2において、接続端子は、第1接続端子31と、第2接続端子32と、第3接続端子33と、を少なくとも含む。第1接続端子31は、バッテリー10の一方のバッテリーポスト10aに接続される。第2接続端子32は、バッテリー10の他方のバッテリーポストに接続される。第3接続端子33は、発電機13とバッテリー10とを電気的に接続する経路であって、端子外れが生じても発電機13と電圧検出部11bとの接続が維持される経路に設けられる。
【0062】
これにより、バッテリーポスト10a又は発電機13等に接続される第1接続端子31及び第2接続端子32について、端子外れの有無を推定できる。
【0063】
本実施形態のバッテリー状態検出装置2において、推定部11cは、発電機13の稼動中において、電流検出部11aが検出したバッテリー電流が、ゼロを含む所定範囲内にあり、更に、電圧検出部11bが検出したバッテリー電圧が、発電機13と接続されていない状態のバッテリー10の電圧を含む所定範囲内にある場合に、第3接続端子33が外れていると推定する。
【0064】
これにより、第3接続端子33の外れの有無を短時間かつ正確に推定できるので、第3接続端子33の外れに即座に対応することができる。
【0065】
本実施形態のバッテリー状態検出装置2において、推定部11cは、発電機13の稼動中において、電流検出部11aが検出したバッテリー電流がゼロを含む所定範囲内にあり、更に、電圧検出部11bが検出したバッテリー電圧が発電電圧を含む所定範囲内にある場合に、第1接続端子31又は第2接続端子32が外れていると推定する。
【0066】
これにより、第1接続端子31又は第2接続端子32の外れの有無を短時間かつ正確に推定できるので、第1接続端子31又は第2接続端子32の外れに即座に対応することができる。
【0067】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0068】
上記実施形態で示した回路図は一例であり、異なる構成の回路図であっても本発明を適用できる。例えば、
図9に示すように、制御部111の外部に電流検出部91及び電圧検出部92が配置される構成であっても良い。
【0069】
上記の実施形態では、バッテリー状態検出装置2の制御部11に推定部11cが存在するが、他の部分(例えばECU18)に推定部11cの機能を持たせても良い。
【0070】
電流検出部11a及び電圧検出部11bがバッテリー電流及びバッテリー電圧を検出する箇所は、本発明の範囲を逸脱しない程度で適宜変更することができる。
【0071】
上記の実施形態では、信号接続端子34が複数の電線と接続されているが、その組合せは任意である。また、信号接続端子34がECU18のみに接続されていても良い。