特許第6266007号(P6266007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266007最適化されたシステムパラメータによる光学計測のための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266007
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】最適化されたシステムパラメータによる光学計測のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20180115BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20180115BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   G01B11/02 G
   G01B11/24 D
   H01L21/66 J
【請求項の数】23
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-541922(P2015-541922)
(86)(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公表番号】特表2016-504569(P2016-504569A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】US2013069138
(87)【国際公開番号】WO2014074813
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年11月2日
(31)【優先権主張番号】61/724,722
(32)【優先日】2012年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/073,538
(32)【優先日】2013年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シチェグロフ アンドレイ
【審査官】 八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−514871(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/245819(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
G01N 21/84−21/958
H01L 21/64−21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ある範囲の入射極角、ある範囲の入射方位角、ある範囲の偏光状態、およびある範囲の照射波長のうちの任意の2つ以上を有する利用可能な照射光を生成するように動作可能な照射サブシステムからの照射光で試料を照射することと、
前記利用可能な照射光から達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを達成するために、前記範囲の入射極角、前記範囲の入射方位角、前記範囲の偏光状態、および前記範囲の照射波長のうちの前記2つ以上のいずれかのサブセットに前記利用可能な照射光を制約することと、
前記照射光に対する前記試料の応答を示す複数の出力信号を生成することと、
少なくとも部分的に前記複数の出力信号に基づいて、構造パラメータの推定値を判定することと
を含む、方法。
【請求項2】
異なる測定技法に関係する利用可能な測定信号のセットを制約すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各出力信号が、異なる入射角における、前記試料から回折してきた光の量を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記照射光を前記制約することが、異なる入射角のそれぞれに関係する照射波長のサブセットを判定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記異なる入射角が、55度から75度の間の範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記範囲の照射波長が、100ナノメートルから2000ナノメートルの間である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
70度以上の入射角に関係する照射波長の前記サブセットが、190ナノメートルから647ナノメートルの間である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
70度未満の入射角に関係する照射波長の前記サブセットが、190ナノメートルから800ナノメートルの間である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記照射光を前記制約することが、
前記試料に送達される前記照射光を、前記サブセットに物理的に制限することと、
集光された散乱光を、前記サブセットに関係する散乱光に制限することと、
前記サブセットに関係する前記出力信号の一部のみを、測定解析用に選択することと
のうちのいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記より小さい測定ボックスが、あらゆる方向で30マイクロメートル未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記より小さい測定ボックスが、あらゆる方向で10マイクロメートル未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記利用可能な照射光を前記制約することが、幾何学的効果、光回折効果、収差効果、および前記照射光と前記試料との間における相互作用のうちのいずれかに起因する、測定ボックスサイズへの影響の解析に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
方法であって、
ある範囲の入射極角、ある範囲の入射方位角、ある範囲の偏光状態、およびある範囲の照射波長のうちの任意の2つ以上を含む利用可能な計測システムパラメータの多次元空間を特定することと、
計測システムパラメータの前記利用可能な多次元空間から達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを達成するために、前記範囲の入射極角、前記範囲の入射方位角、前記範囲の偏光状態、および前記範囲の照射波長のうちの前記2つ以上のいずれかのサブセットを含む、計測システムパラメータの制約されたセットを判定することと、
計測システムパラメータの前記制約されたセットに従って行われた測定に対する試料の応答を示す複数の出力信号を受信することと、
少なくとも部分的に前記複数の出力信号に基づいて、構造パラメータの推定値を判定することと
を含む、方法。
【請求項14】
計測システムパラメータの前記制約されたセットを前記判定することが、実験的解析およびモデルに基づく解析のいずれかを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記より小さい測定ボックスが、あらゆる方向で30マイクロメートル未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記より小さい測定ボックスが、あらゆる方向で10マイクロメートル未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
計測システムパラメータの制約されたセットを前記判定することが、幾何学的効果、光回折効果、収差効果、および照射光と前記試料との間における相互作用のうちのいずれかに起因する、測定ボックスサイズへの影響の解析に少なくとも部分的に基づく、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
装置であって、
ある範囲の入射極角、ある範囲の入射方位角、ある範囲の偏光状態、およびある範囲の照射波長のうちの任意の2つ以上を有する利用可能な照射光を生成し、かつ照射光で試料を照射するように動作可能な照射サブシステムと、
コンピュータサブシステムであって、
前記利用可能な照射光から達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを達成するために、前記範囲の入射極角、前記範囲の入射方位角、前記範囲の偏光状態、および前記範囲の照射波長のうちの前記2つ以上のいずれかのサブセットに、前記利用可能な照射光を制約し、
少なくとも部分的に複数の出力信号に基づいて、前記試料の構造パラメータの推定値を判定する
ように構成される、コンピュータサブシステムと、
前記利用可能な照射光の前記サブセットに対する前記試料の応答を示す前記複数の出力信号を生成するように動作可能な検出器と
を備える、装置。
【請求項19】
前記コンピュータサブシステムが、異なる測定技法に関係する利用可能な測定信号のセットを制約するようにさらに構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記照射光を前記制約することが、
前記試料に送達される前記照射光を、前記サブセットに物理的に制限することと、
集光された散乱光を、前記サブセットに関係する散乱光に制限することと、
前記サブセットに関係する前記出力信号の一部のみを、測定解析用に選択することと
のうちのいずれかを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記より小さい測定ボックスが、あらゆる方向で30マイクロメートル未満である、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記より小さい測定ボックスが、あらゆる方向で10マイクロメートル未満である、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記利用可能な照射光を前記制約することが、幾何学的効果、光回折効果、収差効果、および前記照射光と前記試料との間における相互作用のうちのいずれかに起因する、測定ボックスサイズへの影響の解析に少なくとも部分的に基づく、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、米国特許法第119条に基づき、2012年11月9日に出願された、「Apparatus and Method for Optical Metrology with Optimized System Parameters to Achieve Small Measurement Box Capability」と題する米国仮特許出願第61/724,722号の優先権を主張するものであり、この仮特許出願の主題は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
記載の実施形態は、計測システムおよび方法に関し、より詳細には、より小さい測定ボックスサイズを有する測定分解能を改良した方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
論理素子や記憶素子などの半導体素子は、一般的に、試料に施す一連の処理工程によって製造される。半導体素子の様々な機構および複数の構造レベルは、これらの処理工程によって形成される。例えば、中でも、リソグラフィは、半導体ウエハ上へのパターンの生成を含む、1つの半導体製造プロセスである。半導体製造プロセスのさらなる例には、限定されるものではないが、化学機械研磨、エッチング、蒸着、およびイオン注入が含まれる。単一の半導体ウエハ上に複数の半導体素子を作製し、次いで、個々の半導体素子に分離し得る。
【0004】
上記のようなリソグラフィプロセスは、ウエハの表面に重なるレジスト材料の一部を選択的に除去するために行われ、それによって、エッチング、材料堆積、注入などの選択的処理のためにレジストが形成される試料の下層領域を露出する。したがって、多くの場合、試料上に形成された構造の特性(例えば、寸法)は、大部分がリソグラフィプロセスの性能によって決まる。このため、リソグラフィの動向は、一層小さい寸法を有するパターンを形成できるシステムおよび構成要素(例えば、レジスト材料)を設計することにある。
【0005】
歩留りを上げるために、半導体製造プロセスの間の様々な工程で、光学計測に基づく検査プロセスが使用されて、ウエハ上の欠陥を検出している。光学計測技術は、試料を破壊する危険を冒さず、高スループットの可能性を提供する。散乱測定の実装を含む、いくつかの光学計測に基づく技術、ならびにデバイスの幾何形状の特性を明らかにするための関連する解析アルゴリズムが説明されてきた。しかしながら、小さい測定ボックスサイズを維持することは、未だ課題である。計測対象として利用できる領域が最小であるインラインの半導体製品の計測において、測定ボックスサイズが小さいことは、特に重要である。測定ボックスサイズは、測定結果が安定しており、かつ光学計測において(例えば、光回折光の両翼に起因する)エッジ効果の影響を受けない、試料上の最小領域を指す。そのため、測定ボックスサイズが小さくなるほど、計測対象に必要な面積が小さくなる。
【0006】
一部の既存の手法は、光学系の設計のみに専念している。利用可能な光学設計で測定ボックスサイズの仕様が達成できなければ、より大きいボックスサイズが許容される。このことは、一部の計測の適用では許容され得る。しかしながら、半導体産業では、計測対象に割り当てられるウエハ空間が限られており(しばしば、スクライブライン内であり、あるいはダイ内のこともある)、望ましいボックスサイズの仕様は、しばしば、30μm×30μmまたは10μm×10μmなどと、非常に難しい。
【0007】
これらの課題を克服するために、回折、収差、およびその他の阻害効果を制御しなければならない。一例では、一般に屈折素子の使用に関係する色収差を少なくすることによって計測対象上においてスポットサイズをより小さくできる、反射光学系偏光解析器が、KLA−Tencor Corporationに対して1997年3月4日に発行された、「Focused beam spectroscopic ellipsometry method and system」と題する米国特許第5,608,526号に説明され、この特許の内容は、参照により本明細書に完全に説明されたものとして援用される。別の例では、アポダイジング素子を利用する計測手段が、KLA−Tencor Corporationに対して1999年1月12日に発行された、「Apodizing filter system useful for reducing spot size in optical measurements and other applications」と題する米国特許第5,859,424号に説明され、この特許の内容は、参照により本明細書に完全に説明されたものとして援用される。アポダイザは、試料上の照射スポットにおける回折テールを低減するために、滑らかに変化する空間フィルタを提供する。
【0008】
一般に、小さい測定スポットサイズを達成するために、複数の入射角およびいくつかの波長帯で計測システムを構成するのが望ましいことが多い。例えば、複数の入射角を有する計測システムが、KLA−Tencor Corporationに対して2002年8月6日に発行された、「Critical dimension analysis with simultaneous multiple angle of incidence measurements」と題する米国特許第6,429,943号に説明され、この特許の内容は、参照により本明細書に完全に説明されたものとして援用される。別の例では、いくつかの波長帯を有する計測システムが、KLA−Tencor Corporationに対して2006年6月13日に発行された、「Measurement system with separate optimized beam paths」と題する米国特許第7,061,614号に説明され、この特許の内容は、参照により本明細書に完全に説明されたものとして援用される。しかしながら、一部の例、例えば、斜めのブリュースター角付近の入射角(AOI)で測定を行うことが望ましい組成測定では、幾何学的スケーリング効果のために、大きいAOIにおいて、測定ボックスサイズが不必要に拡大される。
【0009】
既存の手法が測定ボックスサイズを制御するように設計されているにもかかわらず、全測定範囲にわたって小さい測定ボックスサイズの仕様を達成することは非常に難しい。このことは、入射ビームがより大きい領域をカバーする、大きい斜めの入射角(AOI)と、回折効果がかなりの制約を課す、より長い波長との両方で特に当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,608,526号明細書
【特許文献2】米国特許第5,859,424号明細書
【特許文献3】米国特許第6,429,943号明細書
【特許文献4】米国特許第7,061,614号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2010−245819号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2006−187466号明細書
【特許文献7】米国特許第7,492,455号明細書
【特許文献8】特開2003−508772号公報
【特許文献9】米国特許出願公開第2009−76782号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
リソグラフィおよび検査システムが、さらなる高分解能を求められる中、測定ボックスサイズは、デバイスの歩留りの維持における制限要因となっている。このように、様々な計測技法に関係する小さい測定ボックスサイズを達成するために改良された方法およびシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
システムパラメータのすべてのセットにわたって、小さい測定ボックスサイズの仕様で計測目的を達成するための方法およびシステムが提示される。小さい測定ボックスサイズの仕様は、システムパラメータの複数のセットのそれぞれの全範囲に関係するデータの使用が測定ボックスサイズを不必要に拡大してしまう場合、測定の間に、システムパラメータのセットのうちの1つまたは2つ以上を選択的に制約することによって達成される。
【0013】
一態様では、照射波長、偏光状態、入射極角、および入射方位角などの測定システムパラメータのサブセットを測定のために選択して、測定の際、測定システムパラメータのすべての利用可能な範囲を利用した場合、達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを維持する。このように、測定システムパラメータ空間を制約することによって、測定ボックスサイズに影響を与える1つまたは2つ以上の因子の制御を実現する。
【0014】
さらなる一態様では、測定システムパラメータのサブセットと組み合わせて、測定信号のサブセットを測定のために選択して、測定の際、すべての利用可能な測定信号を利用した場合、達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを維持する。
【0015】
一部の例では、利用可能な計測システムパラメータの多次元空間が特定される。多次元の空間には、1)ある範囲の入射極角、2)ある範囲の入射方位角、3)ある範囲の偏光状態、および4)ある範囲の照射波長のうちの任意の2つまたは3つ以上が含まれる。計測システムパラメータの制約されたセットが選択されて、計測システムパラメータの利用可能な空間から、達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを達成する。計測システムパラメータの制約されたセットには、1)ある範囲の入射極角、2)ある範囲の入射方位角、3)ある範囲の偏光状態、および4)ある範囲の照射波長のうちの2つまたは3つ以上のいずれかの利用可能な範囲のサブセットが含まれる。一部の例では、より小さい測定ボックスとは、あらゆる方向で30マイクロメートル未満である。一部の例では、より小さい測定ボックスとは、あらゆる方向で10マイクロメートル未満である。計測システムパラメータの制約されたセットに従って行われた測定に対する試料の応答を示す出力信号が受信される。試料の構造パラメータの推定値は、少なくとも部分的に受信した出力信号に基づいて判定される。
【0016】
一例では、複数AOI分光偏光解析(または反射率測定)手段は、AOIごとに異なる波長解析窓を用いて、小さい計測ボックスサイズを達成できる。このようなレシピは、より小さいAOIでより長い波長、およびより大きいAOIでより短い波長の両方へのアクセスを提供し得る。このようにして、薄膜およびクリティカルディメンション(critical dimension)の光学計測に関する多くの場合両立しないこれらの要求の両方が満たされる。
【0017】
一部の例では、照射システムは、試料を照射光で照射する。照射システムは、ある範囲の入射極角、ある範囲の入射方位角、ある範囲の偏光状態、およびある範囲の照射波長のうちの任意の2つまたは3つ以上を有する利用可能な照射光を生成するように動作可能である。利用可能な照射光は、1)ある範囲の入射極角、2)ある範囲の入射方位角、3)ある範囲の偏光状態、および4)ある範囲の照射波長のうちの2つまたは3つ以上のいずれかのサブセットに制約されて、利用可能な照射光から達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを達成する。一部の例では、より小さい測定ボックスとは、あらゆる方向で30マイクロメートル未満である。一部の例では、より小さい測定ボックスとは、あらゆる方向で10マイクロメートル未満である。
【0018】
一部の例では、試料の表面に送達される照射光を、照射システムパラメータの所望のサブセットに(例えば、フィルタを設けることによるなど)物理的に制限することによって、照射光が制約される。一部のその他の例では、集光された散乱光を照射システムパラメータの所望のサブセットに関係する光に制限することによって、照射光が制約される。一部のその他の例では、照射システムパラメータの所望のサブセットに関係する出力信号の一部のみを測定解析用に選択することによって、照射光が制約される。
【0019】
多くの例では、複数の入射角を用いる計測アーキテクチャのために小さい計測ボックスサイズを達成するように、システムパラメータ値の範囲の制約されたセットを判定する。これらには、その標準的実装またはミュラー行列(MMSE)実装の複数AOI分光偏光解析(SE)、複数AOI分光反射率測定、ビームプロファイル反射率測定(BPR)、あるいはビームプロファイル偏光解析(BPE)が含まれるが、限定されるものではない。ここで、BPRまたはBPE技術は、一次元または二次元の角度分解実装で使用される。
【0020】
小さい計測ボックスサイズを達成するように、システムパラメータ値の範囲の制約されたセットを判定することは、CDおよび薄膜の組成計測の両方に対して有用である。しかしながら、これらの適用は限定するものではなく、本明細書に説明する本方法は、オーバーレイ計測の適用、フォーカスおよびドーズ監視の適用、エッチング監視の適用などにおいても有用である。
【0021】
小さい計測ボックスサイズを達成するように、システムパラメータ値の範囲の制約されたセットを判定することは、計測手段の一部として、あるいは製造プロセスおよび/または製造プロセス手段の一部として実装され得る。製造プロセス手段の例には、限定されるものではないが、リソグラフィ露光手段、フィルム堆積手段、注入手段、およびエッチング手段が含まれる。このように、小さい計測ボックスサイズを達成するようにシステムパラメータ値の範囲の制約されたセットから得られた測定結果は、製造プロセスを制御するために使用される。一例では、本明細書に説明される方法に従って1つまたは2つ以上の対象から収集された測定データは、フォーカスおよびドーズを制御するためにリソグラフィ手段によって使用される。別の例では、本明細書に説明される方法に従って1つまたは2つ以上の対象から収集された測定データは、エッチング時間などのエッチングプロセスパラメータを制御するためにエッチング手段によって使用される。
【0022】
以上は概要であり、したがって必然的に、詳細の単純化、一般化および省略を含んでいるため、当業者であれば、本概要が例にすぎず、いかなる形でも限定するものではないことを理解するはずである。本明細書に説明される装置および/またはプロセスに関するその他の態様、発明の特徴、および利点は、本明細書で説明する非限定的な詳細な説明において明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】繰り返しのデバイス構造を有する計測対象の反射率計の測定結果を示すプロット10である。
図2】照射スポットの例示的な強度分布を示すプロット20である。
図3】対象33と相互作用する入射ビーム31を示す図である。
図4】試料の特性を小さい測定ボックスサイズ内で測定するための計測手段100を示す図である。
図5】計測システムパラメータの利用可能な空間から達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを達成するように計測システムパラメータの制約されたセットを判定する方法200を説明する流れ図である。
図6A】利用可能な照射波長の全範囲にわたって行われた測定の結果、特に、より大きいAOIにおける、測定ボックスサイズの拡大を説明する表30である。
図6B】様々な入射角に関して、利用可能な照射波長の制約された範囲にわたって行われた測定の結果の測定ボックスサイズを説明する表40である。
図7】利用可能な照射光から達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを達成するように、利用可能な照射光の量を照射システムパラメータのサブセットに制約する方法300を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、背景の例、ならびに添付の図面にその例を示す、本発明のいくつかの実施形態を詳細に参照する。
【0025】
最新の複合光学計測システムは、ある範囲の入射極角(AOI)、ある範囲の入射方位角、ある範囲の照射波長、ある範囲の偏光状態、ある範囲の回折次数などのシステムパラメータの複数のセットによって特徴付けられる。
【0026】
従来、測定データは、システムパラメータのこれらの複数セットのそれぞれの全範囲にわたって収集されて、半導体デバイス計測の課題に対応するための解析に利用可能な測定データの量を最大化している。しかしながら、データ収集および解析に対するこの手法は、しばしば、測定ボックスサイズを不必要に拡大してしまう。
【0027】
多くの場合、測定の間、システムパラメータのセットのうちの1つまたは2つ以上を選択的に制約することによって、計測目的を達成しながら、システムパラメータのすべてのセットにわたって測定ボックスサイズの仕様を維持することができることを発明者らは思いがけず見出した。解析のために利用可能な測定データの量を減らすことは、一見直感に反するが、システムパラメータのセットのうちの1つまたは2つ以上を選択的に制約することによって、多くの場合、計測目的は、減らされたデータセットを用いてより小さい測定ボックスサイズで達成される。このようにして、計測ボックスのサイズを広げずに計測目標は達成され得る(例えば、UV、可視光、IR波長へのアクセス、斜めAOIへのアクセスなど)。より小さい測定ボックスを可能にすることによって、計測対象サイズを多くの適用において小さくし、ひいては、貴重なウエハ領域を温存し得る。一部の例では、より小さい計測対象をスクライブライン内、素子領域内、またはダイ内(in−die)に配置することもできる。
【0028】
例として、図1は、計測手段のための測定ボックスサイズの仕様を特徴づける一つの方法を示している。図1は、既知の50マイクロメートル四方のパターン領域を有する繰り返しのデバイス構造を有する計測対象の反射率計の測定結果を示すプロット10である。対象全体にわたって照射スポットサイズを走査した。提示の例では、測定された分光反射率計の信号に最も良く適合する目標パラメータのセットを特定することによって、対象を特徴づけるクリティカルディメンション(CD)を測定した。CDの変動は、この試験対象内の所定の範囲内に収まると期待される。そのため、測定結果がこの範囲の外に出る場合、照射ビームが対象領域のエッジとの不必要な相互作用を起こしていることが推測される。図示の例では、測定は、約38マイクロメートルの直線走査にわたって安定している。したがって、反射率計による走査方向(例えば、x方向)に沿った対象の測定に関係する測定ボックスサイズは、12マイクロメートル(すなわち、x方向における対象の長さ、50マイクロメートルと、確実に測定されたx方向に沿った対象の長さの一部、38マイクロメートルとの間の差)である。換言すると、走査方向に沿って12マイクロメートル未満のパターン領域を有する計測対象の測定では、照射ビームと対象領域のエッジとの相互作用のために、有用な結果が得られない。このため、この例における最小測定ボックスサイズは、x方向に12マイクロメートルである。直交方向(例えば、y方向)に沿った測定ボックスサイズは、異なることもあり、照射ビーム特性および対象特性の両方に依存し得ることに留意されたい。その他の測定機器(例えば、偏光解析器など)もまた企図され得ることから、反射率計の使用が非限定的な例として提供されていることに留意されたい。さらに、クリティカルディメンション測定に基づく対象の測定における対象エッジの影響の特性評価もまた、非限定的な例として提供されている。その他の指標(例えば、適合度、χなど)もまた企図され得る。
【0029】
一態様では、照射波長、偏光状態、入射極角、および入射方位角などの測定システムパラメータのサブセットを測定のために選択して、測定の際、測定システムパラメータのすべての利用可能な範囲を利用する場合、達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを維持する。このように、測定システムパラメータ空間を制約することによって、測定ボックスサイズに影響を与える1つまたは2つ以上の因子の制御を実現する。
【0030】
さらなる一態様では、測定システムパラメータのサブセットと組み合わせて、測定信号のサブセットを選択して、測定の際、すべての利用可能な測定信号を利用する場合、達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを維持する。
【0031】
一部の例では、測定システムパラメータの利用可能な範囲(例えば、照射光パラメータの範囲)を制約することは、少なくとも部分的に、幾何学的効果、光回折効果、収差効果、および照射光と試料との間における相互作用のうちのいずれかに起因する、測定ボックスサイズへの影響の解析に基づく。
【0032】
いくつかの因子が測定ボックスサイズに影響する。一例では、幾何学的スケーリング効果が測定ボックスサイズに影響を与える。斜めの入射角(AOI)は、偏光解析などの測定技術に望ましいのであるが、照射スポットサイズの拡大に寄与する。照射スポットサイズは、1/cos(AOI)に比例し、ここで、AOIは、被測定面に対して垂直な軸を基準として測定される。そのため、AOIが大きくなると、被検面に当たる照射ビームの射影は大きくなる。例えば、垂直入射(AOI=0度)で20μmの幾何学的スポットサイズを生成する照射ビームであれば、45度のAOIで約28マイクロメートルの幾何学的スポットサイズ、また70度のAOIで約58マイクロメートルの幾何学的スポットサイズを生成する。このため、より小さい有効スポットサイズに焦点を絞ることができるより短波長の照射光は、より大きいAOIで小さい測定ボックスサイズの仕様を依然として満たし得るが、その場合、より長波長の照射光では満たすことができないこともある。
【0033】
別の例では、回折効果が測定ボックスサイズに影響を与える。光のビームの焦点を小さいスポット上に合わせようとした時に、中央の明るいスポットには回折テールが伴うことが知られている。図2は、試料の入射領域上の照射スポットの例示的な強度分布のプロット20を示している。図2に示すように、強度は、照射スポットの中央で最大となるが、ビームの中央から離れてゼロに向けて次第に減るのではなく、強度は、中央から離れて回折効果により波打ち、よって有効スポットサイズを大きくする。有効スポットサイズは、回折によって制限されるため、照射光の波長に応じて増減する。よって、より短い波長の照射光は、より小さい有効スポットサイズに焦点を絞ることができる。
【0034】
さらに別の例では、光学収差効果が測定ボックスサイズに影響を与える。光学収差効果の影響もまた、照射波長に依存する。よって、測定ボックスサイズに対する光学収差の効果を軽減するために、照射光の波長の特定サブセットの選択を使用できる。加えて、光学収差はまた、詳細な光学設計によって規定される。よって、光学収差の影響を減らすための照射光の波長の特定サブセットの選択は、特定光学設計にも依存する。このように、特定システムにおける光学収差は、ある範囲の波長でより良く補償され得るが、それ以外ではそうでないこともある。
【0035】
さらに別の例では、照射光と対象構造自体との間における相互作用が、有効測定ボックスサイズに影響を与える。有効測定ボックスサイズに対するしばしば見過ごされる制限は、入射ビームと試料との相互作用に起因する。例えば、図3に示すように、入射ビーム31は対象33(例えば、CD計測で一般に使用されるグレーティングターゲット)と相互作用する。相互作用は、導波モードなどの構造の固有モードを励起し得、表面プラズモンポラリトンを励起し得、あるいは有効相互作用領域を照射スポットサイズを超えて拡大する、対象とのその他のタイプの共鳴相互作用または非共鳴相互作用をもたらし得る。図3に概略的に示すように、これにより、計測手段の収集側は、照射スポットサイズよりも大きい領域から出てくる出射ビーム32を検出することになる。この結果、計測ボックスサイズは、試料との相互作用の効果が無視できる(すなわち、完全に反射する鏡面が仮定される)理想的な場合と比べて大きくなる。特定の対象構造に基づいて、特定の範囲の入射角、方位角、偏光状態、および照射波長が選択されて、照射光と対象構造との間における相互作用に起因する測定ボックスサイズの拡大を最小限にし得る。
【0036】
一態様では、波長、偏光状態、入射角、および方位角などの照射光パラメータのサブセットを選択することによって、小さいボックスでの測定を達成するように測定レシピが判定される。一部の例では、レシピは、少なくとも部分的に、幾何学的効果、光回折効果、収差効果、および照射光と試料との間における相互作用のうちのいずれかに起因する、測定ボックスサイズへの影響の解析に基づく。このようにして、幾何学的効果、光回折効果、収差効果、および照射光と対象との間における相互作用のうちのいずれかに起因する制限を克服すると同時に、小さい測定ボックスサイズ内で測定が行われ得る。
【0037】
図4は、試料の特性を小さい測定ボックスサイズ内で測定するための計測手段100を示している。システムパラメータの利用可能な範囲のサブセットで測定を行うことによって、幾何学的効果、光回折効果、収差効果、および照射光と対象との間における相互作用のうちのいずれかに起因する制限を克服している。利用可能なシステムパラメータには、照射波長、偏光状態、入射角、および方位角が含まれる。加えて、さらなる態様では、測定パラメータのサブセットと組み合わせて、測定信号のサブセットを選択して、測定の際、すべての利用可能な測定信号を利用する場合、達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを維持する。例えば、測定信号が異なれば(例えば、偏光解析測定からのαおよびβ信号)、測定ボックスサイズに異なる感度を呈し得る。よって、利用可能な測定信号のサブセットは、所望の測定ボックスサイズの仕様を満たすように選択され得る。
【0038】
図4に示す実施形態では、コンピューティングシステム130は、本明細書に説明される方法のいずれかを実装するように構成される。図4に示すように、システム100は、試料位置決めシステム125上に配置された試料101の測定ボックス領域102上で光学散乱測定を行うために使用され得る。一部の例では、測定ボックスサイズは、あらゆる方向で30マイクロメートルまたはそれ未満である。一部の例では、測定ボックスサイズは、あらゆる方向で10マイクロメートルまたはそれ未満である。
【0039】
概して、また図4に示されるように、計測手段100は、光照射システム120と、光検出器123とを含む。光照射システム120は、光照射源121と、入射光照射ビーム127を形成して、光照射源121から試料101の測定ボックス102に向けるように構成される光照射光学系122とを含む。非限定的な例として、光照射源121は、1つまたは2つ以上のアークランプ、レーザ、発光ダイオード、レーザ駆動プラズマ源、およびレーザ駆動スーパーコンティニウム光源、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む。概して、任意の好適な光照射源が企図され得る。一部の実施形態では、光照射源121は、100ナノメートルから2000ナノメートルの間の波長成分を有する照射光を生成するように構成される。
【0040】
照射光学系122は、試料101の測定ボックス102に入射光照射ビーム127を平行にし、または焦点を絞るように構成される。一部の例では、照射光学系122は、入射光照射ビーム127を単色にするように構成される。一部の実施形態では、照射光学系122は、1つまたは2つ以上の光学ミラー、フォーカスまたはデフォーカス用の光学系、光学波長板、光学開口、光学モノクロメータ、および光学ビームストップ、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0041】
光検出器123は、試料101から散乱した光放射128を集光して、入射光放射に影響を受けやすい試料101の特性を示す出力信号124を生成する。一部の実施形態では、試料位置決めシステム125が試料101を配置し、および方向づけて、角度分解された散乱光放射を生成しながら、光検出器123によって散乱光放射128を収集する。光検出器123は、1つまたは2つ以上の光子エネルギーを分解可能であり、各光子エネルギー成分について試料の特性を示す信号を生成する。一部の実施形態では、光検出器123は、CCDアレイ、光ダイオードアレイ、CMOS検出器および光電子増倍管のいずれかである。
【0042】
計測手段100はまた、光検出器123によって生成された信号124を取得し、少なくとも部分的に取得した信号に基づいて試料の特性を判定するために利用されるコンピューティングシステム130を含む。図4に示すように、コンピューティングシステム130は、光検出器123と通信可能に結合される。一態様では、コンピューティングシステム130は、小さい測定ボックスサイズを達成するためのシステムパラメータの利用可能な範囲のサブセット内の測定に関係する測定データ124を受信する。利用可能なシステムパラメータには、照射波長、偏光状態、入射角、および方位角が含まれる。
【0043】
一例では、光検出器123は、光学分光計であり、また測定データ124は、光学分光計によって実装された1つまたは2つ以上のサンプリングプロセスに基づく試料の測定された分光応答の指示を含む。
【0044】
さらなる実施形態では、コンピューティングシステム130は、モデルパラメータにリアルタイムでアクセスするように構成され、リアルタイムクリティカルディメンショニング(Real Time Critical Dimensioning)(RTCD)を利用し、あるいはコンピューティングシステム130は、試料101に関係する少なくとも1つの試料パラメータ値の値を判定するための計算済みのモデルのライブラリにアクセスしてもよい。概して、試料の割り当てられたCDパラメータと、測定された試料に関係するCDパラメータとの間の差を評価するために、なんらかの形態のCDエンジンが使用され得る。試料パラメータ値を計算するための例示的な方法およびシステムが、KLA−Tencor Corp.に対して2010年11月2日に発行された、米国特許第7,826,071号に説明され、この特許の全体が、参照により本明細書に援用される。概して、CDだけではなく、薄膜および組成測定にも関係する測定モデルが、試料パラメータ値を分解するためにコンピューティングシステム130によって適用され得る。
【0045】
図4に示すように、計測手段100は、照射ビーム127の下へ試料101を移動するように構成される試料位置決めシステム125を含む。コンピューティングシステム130は、試料101の所望の位置を示すコマンド信号を、試料位置決めシステム125のモーションコントローラ114に伝達する。それに応じて、モーションコントローラ114は、試料位置決めシステム125の様々なアクチュエータに対して、コマンド信号を生成して、試料101を所望どおりに位置決めする。
【0046】
図4に示す実施形態では、試料位置決めシステム125は、ウエハチャック108と、モーションコントローラ114と、回転ステージ110と、並進ステージ112とを含む。試料101は、ウエハチャック108上に支持されている。一般的に、試料101は、その幾何学的中心を回転ステージ110の回転軸にほぼ位置合わせした状態で配置される。このようにして、回転ステージ110は、試料101を、その幾何学的中心の周囲を、許容範囲内にある特定の角速度ωで回転させる。加えて、並進ステージ112は、試料101を、回転ステージ110の回転軸に対して略垂直な方向に、特定の速度Vで並進させる。モーションコントローラ114は、回転ステージ110による試料101の回転と、並進ステージ112による試料101の並進とを調整して、システム100内における試料101の所望の走査動作を達成する。
【0047】
本開示全体にわたって説明される様々な工程は、単一のコンピュータシステム130または、代替的に、複数のコンピュータシステム130によって実行され得ることを認識されたい。さらに、試料位置決めシステム125などのシステム100の様々なサブシステムは、本明細書に説明される工程の少なくとも一部を実行するのに好適なコンピュータシステムを含んでもよい。したがって、前述の説明は単なる例示であり、本発明に対する限定とは解釈されるべきではない。さらに、1つまたは2つ以上のコンピューティングシステム130は、本明細書に説明される方法実施形態のいずれかの任意のその他の工程(複数可)を実行するように構成されてもよい。
【0048】
加えて、コンピュータシステム130は、当技術分野で知られる任意の方法で、光検出器123および光照射システム120に通信可能に結合されてもよい。例えば、1つまたは2つ以上のコンピューティングシステム130は、光検出器123および光照射システム120に関係するコンピューティングシステムに接続されてもよい。別の例では、光検出器123および光照射システム120のいずれかは、コンピュータシステム130に結合された単一のコンピュータシステムによって直接制御され得る。
【0049】
組み合わされた計測システム100のコンピュータシステム130は、有線および/または無線部分を含み得る伝送媒体によって、システムのサブシステム(例えば、光検出器123、光照射システム120など)からデータまたは情報を受信および/または取得するように構成されてもよい。このようにして、伝送媒体は、コンピュータシステム130とシステム100のその他のサブシステムとの間におけるデータリンクとして機能し得る。
【0050】
計測システム100のコンピュータシステム130は、有線および/または無線部分を含み得る伝送媒体によって、その他のシステムからデータまたは情報(例えば、測定結果、モデリング入力、モデリング結果など)を受信および/または取得するように構成されてもよい。このようにして、伝送媒体は、コンピュータシステム130とその他のシステム(例えば、メモリ内蔵計測システム100、外部メモリ、または外部システム)との間におけるデータリンクとして機能し得る。例えば、コンピューティングシステム130は、データリンクを介して記憶媒体(例えば、メモリ132または外部メモリ)から測定データ(例えば、信号124)を受信するように構成されてもよい。例えば、光検出器123の分光計を用いて取得された分光結果は、永続的または半永続的メモリデバイス(例えば、メモリ132または外部メモリ)に記憶されてもよい。その際、分光結果は、内蔵メモリまたは外部メモリシステムからインポートされてもよい。さらに、コンピュータシステム130は、伝送媒体を介してその他のシステムにデータを送信してもよい。例えば、コンピュータシステム130、または別のコンピューティングシステムによって判定された、制約された測定パラメータ範囲が、永続的または半永続的メモリデバイス(例えば、メモリ132または外部メモリ)に記憶されてもよい。その際、結果は、別のシステムにエクスポートされてもよい。
【0051】
コンピューティングシステム130には、限定するものではないが、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、または当技術分野で知られる任意のその他の装置が含まれ得る。概して、用語「コンピューティングシステム」は、記憶媒体からの命令を実行する1つまたは2つ以上のプロセッサを有する任意の装置を包含するように広く定義され得る。
【0052】
本明細書に説明されるものなどの方法を実装するプログラム命令134は、有線、ケーブル、または無線の伝送リンクなどの伝送媒体上で伝送され得る。例えば、図4に示すように、メモリ132に記憶されたプログラム命令は、バス133を介してプロセッサ131に伝送される。プログラム命令134は、コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ132)に記憶される。例示的なコンピュータ可読媒体には、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気または光学ディスク、または磁気テープが含まれる。
【0053】
本明細書に説明される方法に従う測定レシピの展開は、コンピュータシステム130によって実現され得るが、測定レシピは、その他のコンピュータシステム(例えば、計測手段100の外部にあるコンピュータシステム)によって展開されることも企図されている。例えば、製造環境で使用する前に、測定レシピを本明細書に説明される方法に従って判定することが企図されている。これらの例では、測定レシピを本明細書に説明される方法に従って判定することが、1つまたは2つ以上の外部コンピュータシステムによって実現されることが企図されている。
【0054】
図5は、コンピューティングシステム(例えば、図4に示すコンピューティングシステム130)による実装に好適な方法200を示している。一態様では、コンピューティングシステム130の1つまたは2つ以上のプロセッサによって実行される、予めプログラミングされたアルゴリズムを介して、方法200のデータ処理ブロックが実行され得ることが認識される。以下の方法200の説明は計測システム100の環境で提示されるが、計測システム100の特定の構造的な態様が、限定を表すものではなく、例示としてのみ解釈されるべきであることが本明細書において認識される。
【0055】
ブロック201では、コンピューティングシステム130は、利用可能な計測システムパラメータの多次元空間を特定する。多次元の空間には、1)ある範囲の入射極角、2)ある範囲の入射方位角、3)ある範囲の偏光状態、および4)ある範囲の照射波長のうちの任意の2つまたは3つ以上が含まれる。
【0056】
ブロック202では、コンピューティングシステム130は、計測システムパラメータの制約されたセットを判定して、計測システムパラメータの利用可能な空間から達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを達成する。計測システムパラメータの制約されたセットには、1)ある範囲の入射極角、2)ある範囲の入射方位角、3)ある範囲の偏光状態、および4)ある範囲の照射波長のうちの2つまたは3つ以上のいずれかの利用可能な範囲のサブセットが含まれる。一部の例では、より小さい測定ボックスとは、あらゆる方向で30マイクロメートル未満である。一部の例では、より小さい測定ボックスとは、あらゆる方向で10マイクロメートル未満である。
【0057】
ブロック203では、コンピューティングシステム130は、計測システムパラメータの制約されたセットに従って行われた測定に対する試料の応答を示す複数の出力信号を受信する。
【0058】
ブロック204では、コンピューティングシステム130は、少なくとも部分的に、光学分光計123によって生成された複数の出力信号に基づいて、試料101の構造パラメータの推定値を判定する。
【0059】
コンピューティングシステム130は、計測システムパラメータの制約されたセットを判定して、分析的または実験的に所望の測定ボックスサイズを達成し得る。
【0060】
例えば、概して、斜めの入射角、回折、収差、および照射光と対象との間における相互作用の効果は、適切な電磁シミュレーションエンジンで厳密に計算され得る。例えば、そのような計算は、有限要素法を用いて実行され得る。あるいは、その他の手法もまた企図され得る。このように、システムパラメータの制約されたセットにわたって小さい測定ボックスサイズを達成するように、計測システムパラメータの制約されたセットを判定することは、有限スポット照射、光学素子を通る光の伝播などの効果のモデルに基づいて達成される。例えば、計算は、励起されかつボックスサイズに影響を与える表面モードまたは導波モードを特定し得る。そのようなモードは、通常、限られた範囲の波長でのみ有効であり、また偏光依存性であることから、コンピューティングシステム130は、計測システムパラメータ(例えば、特定の範囲の照射波長、入射角、方位角、および偏光状態)を特定し、および測定レシピから排除して、要求される測定ボックスサイズ内に収め得る。さらに、様々な測定信号(偏光解析、反射率測定などの)が回折、収差、導波などによって様々に影響される。一部の例では、コンピューティングシステム130は、システムパラメータの選択を測定信号の選択と組み合わせて、要求される測定ボックスサイズ内に収める。
【0061】
別の例では、コンピューティングシステム130は、計測システムパラメータの制約されたセットを判定して、実験的に所望の測定ボックスサイズを達成し得る。一部の例では、計測レシピは、計測対象、または複数の対象の実験的な特性評価に基づく。対象の測定は、システムパラメータおよび測定信号の利用可能な範囲を用いて行われる。小さい測定ボックスサイズを達成するために制約されていないシステムパラメータの範囲で測定が行われるという意味で、これらの測定は、制約されていない。加えて、図1を参照して説明したように、非限定的な例として、ライン走査測定または面走査測定は、ボックスサイズ解析のために行われる。測定データの解析は、測定ボックスサイズの仕様を満たすように、システムパラメータ(すなわち、システムパラメータの利用可能な範囲を制約する)および測定信号の範囲を選択するために行われる。次いで、この対象(または複数の対象)個別の測定レシピが、所望の測定ボックス内の後続の測定のために使用される。
【0062】
本明細書において前述したように、測定レシピの判定は、測定ボックスサイズ目標によって決まる。利用可能なシステムパラメータの制約されたセット、そして任意で信号の制約されたセットを選択することによって、その目標が達成される。図6A図6Bは、測定ボックスサイズに対する利用可能なシステムパラメータの制約されたセットの選択の影響を示している。分光偏光解析(例えば、図4に示す計測手段100)を用いる複数のAOIの組成または薄膜計測は、ブリュースター角付近のAOIでの測定を要求することが多い。幾何学的スケーリング効果および回折効果の結果、これらのシステムは、従来、SE測定に使用される照射波長の範囲にわたって、小さい測定ボックスサイズ(例えば、40マイクロメートル未満)を達成することができなかった。例えば、図6Aに示すように、利用可能な照射波長の全範囲(すなわち、190〜800ナノメートル)が、各AOI(すなわち、65、70、および75度)で使われている。その他の例では、AOIの範囲は、55度から75度の間である。結果として得られた測定ボックスサイズは、特により大きいAOIにおいて、著しく拡大し、測定ボックス仕様(例えば、40マイクロメートル未満)を大幅に超えている。しかしながら、図6Bは、より小さいAOI(すなわち、65度)でより大きい照射波長の範囲(すなわち、190〜800ナノメートル)を選択することによって、またより大きい入射角(すなわち、それぞれ、70および75)で次第に小さくなる照射波長の範囲(すなわち、190〜647ナノメートルおよび190〜396ナノメートル)を選択することによって、測定ボックスサイズが小さい測定ボックスサイズ(例えば、40マイクロメートル未満)内に収まることを示している。よって、より短い(UV)波長およびより長い(IR)波長の両方が、測定ボックスのサイズを所望の仕様を超えて拡大することなく、適合する。
【0063】
図6A図6Bに示すように、複数AOI分光偏光解析(または反射率測定)手段は、AOIごとに異なる波長解析窓を用いて、小さい計測ボックスサイズを達成できる。このようなレシピは、より小さいAOIでより長い波長、およびより大きいAOIでより短い波長の両方へのアクセスを提供し得る。このようにして、薄膜およびクリティカルディメンション(critical dimension)の光学計測に関する多くの場合両立しないこれらの要求の両方が満たされる。しかしながら、システムパラメータの範囲の制約されたセットを選択することによって、小さい計測ボックスサイズを達成するその他の測定例もまた企図され得ることから、この例は限定するものではない。例えば、図6A図6Bに示すSEの例は、幾何学的および回折による制限に対処しているが、収差および照射光と対象との相互作用を考慮することによって、さらなるレシピの最適化が達成されてもよい。
【0064】
一部の例では、小さいサイズの測定ボックスを達成するための、本明細書に説明される方法は、1)KLA−Tencor Corporationに対して1997年3月4日に発行された、「Focused beam spectroscopic ellipsometry method and system」と題する米国特許第5,608,526号(この特許の内容は、参照により本明細書に完全に説明されたものとして援用される)、および2)KLA−Tencor Corporationに対して1999年1月12日に発行された、「Apodizing filter system useful for reducing spot size in optical measurements and other applications」と題する米国特許第5,859,424号(この特許の内容は、参照により本明細書に完全に説明されたものとして援用される)によって説明されるものなど、既存の集束偏光解析器システムと併せて使用されてもよい。
【0065】
多くの例では、主な焦点は、複数の入射角を用いる計測アーキテクチャのために小さい計測ボックスサイズを達成するように、システムパラメータ値の範囲の制約されたセットを判定することである。これらには、その標準的実装またはミュラー行列(MMSE)の実装、複数AOI分光偏光解析(SE)、複数AOI分光反射率測定、ビームプロファイル反射率測定(BPR)、あるいはビームプロファイル偏光解析(BPE)が含まれるが、それらに限定されるものではない。ここで、BPRまたはBPE技術は、一次元または二次元のいずれかの角度分解実装で使用される。
【0066】
しかしながら、概して、本明細書に説明される方法は、独立に、または組み合わされた測定解析の一部として組み合わせて、すべて既知の光学計測手段に対応している。そのような光学計測手段には、非限定的な例として、分光偏光解析器、分光反射率計、角度分解反射率計および偏光解析器、分光散乱測定、散乱測定オーバーレイ、ビームプロファイル反射率測定、(角および偏光分解)、ビームプロファイル偏光解析、単一のまたは複数の離散波長偏光解析、複数入射角偏光解析、ならびに分光偏光計測が含まれる。
【0067】
図7は、計測システム(例えば、図4に示す計測手段100)による実装に好適な方法300を示している。一態様では、コンピューティングシステム130の1つまたは2つ以上のプロセッサによって実行される、予めプログラミングされたアルゴリズムを介して、方法300のデータ処理ブロックが実行され得ることが認識される。以下の方法300の説明は計測システム100の環境で提示されるが、計測システム100の特定の構造的な態様が、限定を表すものではなく、例としてのみ解釈されるべきであることが本明細書において認識される。
【0068】
ブロック301では、照射システム120は、試料を照射光で照射する。照射システム120は、ある範囲の入射極角、ある範囲の入射方位角、ある範囲の偏光状態、およびある範囲の照射波長のうちの任意の2つまたは3つ以上を有する利用可能な照射光を生成するように動作可能である。
【0069】
ブロック302では、コンピューティングシステム130は、利用可能な照射光から達成可能なものよりも小さい測定ボックスサイズを達成するために、ある範囲の入射極角、ある範囲の入射方位角、ある範囲の偏光状態、およびある範囲の照射波長のうちの2つまたは3つ以上のいずれかのサブセットに利用可能な照射光を制約する。一部の例では、より小さい測定ボックスとは、あらゆる方向で30マイクロメートル未満である。一部の例では、より小さい測定ボックスとは、あらゆる方向で10マイクロメートル未満である。一部の例では、コンピューティングシステム130は、試料101の表面に送達される照射光を、照射システムパラメータの所望のサブセットに(例えば、フィルタを設けることによるなど)物理的に制限するように、コマンド信号137を照射システム120に伝達することによって、利用可能な照射光を制約する。一部のその他の例では、コンピューティングシステム130は、集光された散乱光を、照射システムパラメータの所望のサブセットに関係する光に制限するように、コマンド信号(図示せず)を分光偏光解析器123に送信することによって、利用可能な照射光を制約する。一部のその他の例では、コンピューティングシステム130は、照射システムパラメータの所望のサブセットに関係する出力信号124の一部のみを、測定解析用に選択することによって、利用可能な照射光を制約する。
【0070】
ブロック303では、光学分光計123は、照射光に対する試料の応答を示す複数の出力信号を生成する。
【0071】
ブロック304では、コンピューティングシステム130は、少なくとも部分的に、光学分光計123によって生成された複数の出力信号に基づいて、試料101の構造パラメータの推定値を判定する。
【0072】
本明細書において前述したように、小さい計測ボックスサイズを達成するように、システムパラメータ値の範囲の制約されたセットを判定することは、CD計測、薄膜計測、および組成計測に対して有用である。しかしながら、これらの適用は限定するものではなく、本明細書に説明する本方法は、オーバーレイ計測の適用、フォーカスおよびドーズ監視の適用、エッチング監視の適用などにおいても有用である。
【0073】
本明細書において前述したように、小さい計測ボックスサイズを達成するように、システムパラメータ値の範囲の制約されたセットを判定することは、計測手段(例えば、計測手段100)の一部として実装される。しかしながら、小さい計測ボックスサイズで測定する能力を達成するように、システムパラメータ値の範囲の制約されたセットを判定することはまた、製造プロセスおよび/または製造プロセス手段の一部として実装され得る。製造プロセス手段の例には、限定されるものではないが、リソグラフィ露光手段、フィルム堆積手段、注入手段、およびエッチング手段が含まれる。このように、小さい計測ボックスサイズを達成するようにシステムパラメータ値の範囲の制約されたセットから得られた測定結果は、製造プロセスを制御するために使用される。一例では、本明細書に説明される方法に従って1つまたは2つ以上の対象から収集された測定データは、フォーカスおよびドーズを制御するために、リソグラフィ手段によって使用される。別の例では、本明細書に説明される方法に従って1つまたは2つ以上の対象から収集された測定データは、エッチング時間などのエッチングプロセスパラメータを制御するために、エッチング手段によって使用される。
【0074】
本明細書に説明されるように、用語「クリティカルディメンション」は、構造のクリティカルディメンション(例えば、ボトムクリティカルディメンション、ミドルクリティカルディメンション、トップクリティカルディメンション、側壁の角度、格子高さなど)、任意の2つまたは3つ以上の構造間のクリティカルディメンション(例えば、2つの構造間の距離)、および2つまたは3つ以上構造間の変位(例えば、重なり合う格子構造間のオーバーレイ変位など)を含む。構造は、三次元構造、パターン構造、オーバーレイ構造などを含み得る。
【0075】
本明細書に説明されるように、用語「クリティカルディメンションの適用」または「クリティカルディメンション測定の適用」は、任意のクリティカルディメンション測定を含む。
【0076】
本明細書に説明されるように、用語「計測システム」は、クリティカルディメンションの適用およびオーバーレイ計測の適用を含む、あらゆる面で試料の特徴を明らかにするために少なくとも部分的に利用される任意のシステムを含む。しかしながら、そのような技術用語は、本明細書に説明される用語「計測システム」の範囲を限定するものではない。加えて、計測システム100は、パターニングされたウエハおよび/またはパターニングされていないウエハの測定のために構成され得る。計測システムは、LED検査手段、ソーラー検査手段、エッジ検査手段、裏面検査手段、マクロ検査手段、またはマルチモード検査手段(1つまたは2つ以上のプラットフォームからのデータを同時に含む)、およびクリティカルディメンションデータに基づくシステムパラメータの較正の恩恵を受けるその他の計測もしくは検査手段として構成され得る。
【0077】
試料を処理するために使用され得る半導体処理システム(例えば、検査システムまたはリソグラフィシステム)に関して、様々な実施形態を本明細書において説明した。用語「試料」は、ウエハ、レチクル、または当技術分野で知られる手段で処理され得る(例えば、プリントされる、または欠陥を検査される)任意のその他の試料を指すとして本明細書に使用されている。
【0078】
本明細書で使用する、用語「ウエハ」は、概して、半導体または非半導体材料で形成された基板を指す。例には、限定されるものではないが、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、およびインジウムリンが含まれる。このような基板は、半導体製造施設で一般に見られ、および/または処理され得る。一部の場合では、ウエハは、基板(すなわち、ベアウエハ)のみを含み得る。あるいは、ウエハは、基板上に形成された様々な材料の1つまたは2つ以上の層を含み得る。ウエハ上に形成された1つまたは2つ以上の層は、「パターニングされた」または「パターニングされていない」ものであり得る。例えば、ウエハは、繰り返し可能なパターンの特徴を有する複数のダイを含み得る。
【0079】
「レチクル」は、レチクル製造プロセスの任意のステージにあるレチクルであってもよく、あるいは半導体製造施設で使用するために放出され得、または放出されない、完成したレチクルであってもよい。レチクル、または「マスク」は、概して、その上に形成された実質的に不透明な領域を有する実質的に透明な基板として定義され、パターンに構成される。基板は、例えば、アモルファスSiOなどのガラス材料を含み得る。レチクルは、リソグラフィプロセスの露光工程の間、レジストに覆われたウエハ上に配置されて、レチクル上のパターンがレジストに転写されるようにし得る。
【0080】
ウエハ上に形成された1つまたは2つ以上の層は、パターニングされていてもよいし、またはパターニングされていなくてもよい。例えば、ウエハは、複数のダイを含み得、それぞれが、繰り返し可能なパターンの特徴を有する。このような材料層を形成および処理することによって、最終的に完成した素子がもたらされ得る。多くの様々なタイプの素子がウエハ上に形成され得、本明細書で使用する用語「ウエハ」は、当技術分野で知られる任意のタイプの素子が製作されるウエハを包含することを意図している。
【0081】
1つまたは2つ以上の例示的な実施形態では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせに実装され得る。ソフトウェアに実装された場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に記憶され得、またはコンピュータ可読媒体上の1つまたは2つ以上の命令またはコードとして伝送され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を促進する任意の媒体を含む通信媒体との両方を含む。記憶媒体は、汎用または特殊用途用コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたはその他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたはその他の磁気記憶装置、あるいは命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコード手段を搬送または記憶するために使用され得、かつ汎用もしくは特殊用途用コンピュータ、または汎用もしくは特殊用途用プロセッサによってアクセスされ得る任意のその他の媒体を含み得る。また、任意の接続が、コンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、ウェブサイト、サーバ、またはその他のリモートソースから、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、マイクロ波などの無線技術を用いて送信された場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、マイクロ波などの無線技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用する、ディスク(Disk)およびディスク(Disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイディスクを含み、ここで、ディスク(disk)は通常、磁気的にデータを再生し、ディスク(disc)はレーザにより光学的にデータを再生する。上記の組み合わせはまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0082】
特定の具体的な実施形態を、説明の目的のために上述したが、本特許文献の教示は、一般的適用性を有し、上述の具体的な実施形態に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲に説明されるような本発明の範囲から逸脱することなく、説明された実施形態の様々な特徴の様々な修正、適合、および組み合わせを実施できる。
図1
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図6A
図6B
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