特許第6266089号(P6266089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266089
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20180115BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20180115BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   F25B1/00 396Z
   F25B49/02 510F
   F25B43/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-508334(P2016-508334)
(86)(22)【出願日】2014年3月17日
(86)【国際出願番号】JP2014057032
(87)【国際公開番号】WO2015140874
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2016年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 航祐
(72)【発明者】
【氏名】牧野 浩招
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−007775(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/157320(WO,A1)
【文献】 特開平06−034222(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/157764(WO,A1)
【文献】 特開平11−142003(JP,A)
【文献】 特開2007−198230(JP,A)
【文献】 特開2012−132578(JP,A)
【文献】 特開2010−156524(JP,A)
【文献】 米国特許第5892135(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 49/02
F25B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、熱源側熱交換器、膨張弁、及び利用側熱交換器が順に接続され、冷媒が循環する冷媒回路を備えた空気調和装置であって、
前記冷媒は、HFO1123冷媒、又はHFO1123を含む混合冷媒であり、
前記膨張弁と前記利用側熱交換器との間から分岐し、前記圧縮機の吸入側に接続するバイパス回路と、
前記バイパス回路に設けられた容器と、
前記圧縮機から吐出された前記冷媒の温度及び圧力が、それぞれの閾値を超えないように、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記バイパス回路を介して前記容器に貯留するポンプダウン運転時に、前記圧縮機の運転周波数、前記膨張弁の開度、及び前記熱源側熱交換器に送風する送風機の風量の少なくとも1つを制御する制御装置と、を備えた
空気調和装置。
【請求項2】
前記圧縮機から吐出された前記冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサーと、
前記圧縮機へ吸入される前記冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサーと、
を更に備え、
前記制御装置は、
前記圧縮機から吐出された前記冷媒の温度を、前記吐出圧力センサー及び前記吸入圧力センサーの検出値から算出する
請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、熱源側熱交換器、膨張弁、及び利用側熱交換器が配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路を備えた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1,1,2−トリフルオロエチレン(HFO1123)を含む熱サイクル用作動媒体を用いた熱サイクルシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/157764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術のように、冷媒回路へ充填する冷媒として、HFO1123冷媒又はHFO1123を含む混合冷媒を適用する場合、HFO1123は、高圧高温条件では不均化反応(自己分解反応)が発生し、連鎖反応により、急激な圧力上昇等が発生する。このため、不均化反応が発生しないように、適正な圧力及び温度の範囲で運転を行うことが望まれている。
【0005】
本発明は、上記のような課題を背景になされたもので、HFO1123冷媒又はHFO1123を含む混合冷媒を適用する場合において、不均化反応(自己分解反応)の発生を抑制することができる空気調和装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空気調和装置は圧縮機、熱源側熱交換器、膨張弁、及び利用側熱交換器が順に接続され、冷媒が循環する冷媒回路を備えた空気調和装置であって、前記冷媒は、HFO1123冷媒、又はHFO1123を含む混合冷媒であり、前記膨張弁と前記利用側熱交換器との間から分岐し、前記圧縮機の吸入側に接続するバイパス回路と、前記バイパス回路に設けられた容器と、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の温度及び圧力が、それぞれの閾値を超えないように、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記バイパス回路を介して前記容器に貯留するポンプダウン運転時に、前記圧縮機の運転周波数、前記膨張弁の開度、及び前記熱源側熱交換器に送風する送風機の風量の少なくとも1つを制御する制御装置と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、HFO1123冷媒又はHFO1123を含む混合冷媒を適用する場合において、不均化反応(自己分解反応)の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る空気調和装置100の冷媒回路図である。
図2】HFO1123冷媒の不均化反応と圧力と温度との関係を示す図である。
図3】実施の形態1に係る空気調和装置100の制御装置40の動作を示すフローチャートである。
図4】実施の形態2に係る空気調和装置100の制御装置40の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和装置100の冷媒回路図である。
図1に示すように、空気調和装置100は、室外機1と室内機2とを備え、室外機1と室内機2とが液配管8及びガス配管5で接続されている。
【0010】
室外機1は、圧縮機3、四方弁4、熱源側熱交換器9、膨張弁7、熱源側熱交換器9に空気を送風する熱源側送風機91、空気調和装置100を構成する各部の動作を制御する制御装置40を備えている。
室内機2は、利用側熱交換器6、及び利用側熱交換器6に空気を送風する利用側送風機61を備えている。
空気調和装置100は、圧縮機3、四方弁4、熱源側熱交換器9、膨張弁7、利用側熱交換器6が、順次配管で接続されて冷媒が循環する冷媒回路を形成する。
【0011】
室外機1は更に、膨張弁7と第1開閉弁11との間の配管を分岐し、圧縮機3の吸入側の配管に接続するバイパス回路20を備えている。バイパス回路20には、第1バイパス開閉弁21、第2バイパス開閉弁22、冷媒を貯留する容器30が設けられている。
【0012】
圧縮機3は、例えばインバータにより回転数が制御され容量制御されるタイプである。
膨張弁7は、例えば開度が可変に制御される電子膨張弁である。
熱源側熱交換器9は、熱源側送風機91によって送風される外気と熱交換する。
利用側熱交換器6は、利用側送風機61によって送風される室内空気と熱交換する。
【0013】
第1バイパス開閉弁21は、バイパス回路20の冷媒の流入側(膨張弁7と第1開閉弁11との間の配管側)に設けられている。
第2バイパス開閉弁22は、バイパス回路20の冷媒の流出側(圧縮機3の吸入側の配管側)に設けられている。
第1バイパス開閉弁21及び第2バイパス開閉弁22は、バイパス回路20の冷媒の流路を開閉する開閉弁である。
容器30は、冷媒を貯留する容器である。
【0014】
ガス配管5及び液配管8は、室外機1と室内機2とを接続する接続配管である。第1開閉弁11及び第2開閉弁12は、それぞれ、液配管8及びガス配管5に接続されている。液配管8は、室内機2の利用側熱交換器6と室外機1の第1開閉弁11との間を接続している。ガス配管5は、室内機2の利用側熱交換器6と室外機1の第2開閉弁12との間を接続している。
【0015】
なお、第1開閉弁11、第2開閉弁12、第1バイパス開閉弁21、及び第2バイパス開閉弁22は、手動で開け閉めする手動弁でも良いし、制御装置40によって開閉の状態が制御される電磁弁でも良い。
【0016】
室外機1は更に、吐出温度センサー41と、吐出圧力センサー51と、吸入圧力センサー52とを備えている。
吐出温度センサー41は、圧縮機3から吐出された冷媒の温度を検出する。
吐出圧力センサー51は、圧縮機3から吐出された冷媒の圧力を検出する。
吸入圧力センサー52は、圧縮機3へ吸入される冷媒の圧力を検出する。
なお、冷媒回路を循環する冷媒の圧力は、圧縮機3の吸入側が最も低く、圧縮機3の吐出側が最も高い。よって、以下の説明では、圧縮機3の吸入側の圧力を低圧、圧縮機3の吐出側の圧力を高圧と言う。
【0017】
空気調和装置100の冷凍サイクル(冷媒回路)に使用する冷媒として、1,1,2−トリフルオロエチレン(HFO1123)等の不均化反応を起こす性質の物質、又は、不均化反応を起こす性質の物質に別の物質を混合させた混合冷媒を用いるものとする。
混合冷媒を生成させるために、不均化反応を起こす性質の物質に混合させる物質としては、例えば、テトラフルオロプロペン(2,3,3,3−テトラフルオロプロペンであるHFO1234yf、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンであるHFO1234ze等)、ジフルオロメタン(HFC32)等が用いられるが、これらに限るものではなく、HC290(プロパン)等を混合させてもよく、冷凍サイクル(冷媒回路)の冷媒として使用できる熱性能を有する物質であれば、どのようなものを用いてもよく、どのような混合比としてもよい。
【0018】
このように構成された空気調和装置100は、四方弁4の切り換えにより冷房運転又は暖房運転が可能となっている。また、空気調和装置100は、室内機2内の冷媒を室外機1に回収するポンプダウン運転を行うことが可能である。
【0019】
次に、空気調和装置100の冷凍サイクルの運転動作について図1を参照して説明する。図1において、実線が冷房時の流れを示し、点線が暖房時の流れを示している。
【0020】
(冷房運転)
まず、通常運転における冷房運転について説明する。
冷房運転時において、四方弁4は冷房側(実線で示す状態)に切り換えられる。また、第1開閉弁11、第2開閉弁12、第2バイパス開閉弁22は、開状態である。第1バイパス開閉弁21は閉状態である。
この状態で圧縮機3から高圧高温のガス冷媒が吐出されると、その高圧高温のガス冷媒は、四方弁4を介して熱源側熱交換器9に流入し、室外空気との熱交換により放熱することで高圧液冷媒となり流出する。熱源側熱交換器9から流出した高圧液冷媒は、膨張弁7に流入し、低圧の二相冷媒となる。
【0021】
膨張弁7を流出した低圧二相冷媒は、液配管8を通過して室内機2へ流入し、利用側熱交換器6で室内空気と熱交換して蒸発し、低圧ガス冷媒となって流出する。利用側熱交換器6を流出した低圧ガス冷媒は、ガス配管5を通過して室外機1へ流入し、四方弁4を介して、圧縮機3へ戻る。
なお、冷房運転時、第1バイパス開閉弁21は閉状態のため、バイパス回路20に冷媒が流入することはない。また、第2バイパス開閉弁22を開状態にすることで、容器30の液封を防止できる。
【0022】
(暖房運転)
次に、通常運転における暖房運転について説明する。
暖房運転時において、四方弁4は暖房側(点線で示す状態)に切り換えられる。また、第1開閉弁11、第2開閉弁12、第2バイパス開閉弁22は、開状態である。第1バイパス開閉弁21は閉状態である。
この状態で圧縮機3から高圧高温のガス冷媒が吐出されると、その高圧高温のガス冷媒は、四方弁4及びガス配管5を介して室内機2の利用側熱交換器6に流入し、室内空気との熱交換により放熱することで高圧液冷媒となり流出する。利用側熱交換器6から流出した高圧液冷媒は、液配管8を通過して膨張弁7に流入し、低圧の二相冷媒となる。
【0023】
膨張弁7を流出した低圧二相冷媒は、熱源側熱交換器9に流入し、室外空気との熱交換により蒸発することで低圧ガス冷媒となって流出する。熱源側熱交換器9を流出した低圧ガス冷媒は、四方弁4を介して、圧縮機3へ戻る。
なお、暖房運転時、第1バイパス開閉弁21は閉状態のため、バイパス回路20に冷媒が流入することはない。また、第2バイパス開閉弁22を開状態にすることで、容器30の液封を防止できる。
【0024】
(ポンプダウン運転)
次に、ポンプダウン運転について説明する。
ポンプダウン運転時において、四方弁4は冷房側(実線で示す状態)に切り換えられる。また、第2開閉弁12、第1バイパス開閉弁21は開状態である。第1開閉弁11、第2バイパス開閉弁22は、閉状態である。更に、制御装置40は、膨張弁7の開度を全開にする。また、制御装置40は、熱源側送風機91及び利用側送風機61を運転させる。
【0025】
この状態で圧縮機3が起動されると、低圧のガス冷媒が圧縮機3で圧縮され高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機3から吐出された高圧高温のガス冷媒は、四方弁4を介して熱源側熱交換器9に流入し、室外空気との熱交換により放熱することで高圧液冷媒となり流出する。熱源側熱交換器9から流出した高圧液冷媒は、膨張弁7を通過して、バイパス回路20へ流入する。
バイパス回路20へ流入した高圧液冷媒は、第1バイパス開閉弁21を通過して、容器30へ流入する。第2バイパス開閉弁22は閉状態であるので、バイパス回路20に流入した高圧液冷媒は、容器30内に貯留される。
利用側熱交換器6、液配管8、及びガス配管5内の冷媒は、圧縮機3の運転によって吸引され、圧縮機3から吐出されたあと、上記動作によって、容器30内に貯留される。
【0026】
このようなポンプダウン運転により、室内機2内の冷媒が室外機1側に回収される。ポンプダウン運転のあと、第2開閉弁12が閉じられ、例えば室内機2の取り外しなどが行われる。
【0027】
次に、不均化反応の発生を防止する制御動作について説明する。
【0028】
本実施の形態1における空気調和装置100は、冷凍サイクル(冷媒回路)に使用する冷媒として、HFO1123冷媒単体、又はHFO1123と他の冷媒(例えば、R32、HFO1234yf等)とを混合した混合冷媒を用いる。
HFO1123冷媒は、高圧高温条件では不均化反応(自己分解反応)が発生し、連鎖反応により、急激な圧力上昇等が発生する。
即ち、不均化反応の発生を防止するには、冷媒の温度が適正な圧力及び温度の範囲となるように運転する必要がある。
なお、不均化反応の化学式は、以下の通りである。
CF2=CHF(gas)→1/2CF4(gas)+3/2C(amorphous)+HF+44.7kcal/mol
【0029】
図2は、HFO1123冷媒の不均化反応と圧力と温度との関係を示す図である。
空気調和装置100の冷媒回路において、冷媒の温度及び圧力が最も高くなるのは、圧縮機3から吐出された冷媒である。特に、ポンプダウン運転を行う場合には、冷媒回路を循環する冷媒量が減少するため、圧縮機3から吐出される冷媒の温度及び圧力が上昇しやすい事情がある。
このため、図2に示すように、圧縮機3から吐出された冷媒の温度が温度閾値Tdmaxを超えないようにし、且つ、圧縮機3から吐出された冷媒の圧力が圧力閾値Pdmax超えないように制御することで、冷媒の温度及び圧力が不均化反応領域とならず、不均化反応の発生を防止できる。
【0030】
図3は、実施の形態1に係る空気調和装置100の制御装置40の動作を示すフローチャートである。
以下、図3の各ステップに基づき、不均化反応の発生を防止する制御動作を説明する。
【0031】
(S10)
制御装置40には、予め、不均化反応領域の温度及び圧力よりも低い、温度閾値Tdmax及び圧力閾値Pdmaxの情報が記憶されている。
制御装置40は、吐出温度センサー41及び吐出圧力センサー51の検出結果を取得し、圧縮機3から吐出された冷媒の温度(以下、吐出温度Td)が温度閾値Tdmaxを超えているか否か、及び、圧縮機3から吐出された冷媒の圧力(以下、吐出圧力Pd)が圧力閾値Pdmaxを超えているか否かを判断する。
吐出温度Tdが温度閾値Tdmaxを超え、且つ、吐出圧力Pdが圧力閾値Pdmaxを超えている場合、ステップS11へ進む。
一方、吐出温度Tdが温度閾値Tdmaxを超えていない、又は、吐出圧力Pdが圧力閾値Pdmaxを超えていない場合には、ステップS11の動作を行わず、現在の制御状態を維持してステップS10に戻る。
【0032】
(S11)
制御装置40は、圧縮機3の運転周波数を減速(低下)させる。この減速量は、吐出温度Tdと吐出圧力Pdとに応じて設定しても良いし、予め設定した値でも良い。
制御装置40は、ステップS11のあと、ステップS10へ戻り、上記の動作を繰り返す。つまり、吐出温度Td及び吐出圧力Pdが、温度閾値Tdmax及び圧力閾値Pdmaxを下回るまで上記の動作が繰り返される。
【0033】
なお、ステップS11における制御は、圧縮機3の運転周波数の減速に限らず、膨張弁7の開度を大きくしても良い。また、熱源側熱交換器9に送風する送風機の風量を増加させても良い。即ち、制御装置40は、吐出温度Td及び吐出圧力Pdが、温度閾値Tdmax及び圧力閾値Pdmaxを超えないように、圧縮機3の運転周波数、膨張弁7の開度、及び熱源側熱交換器9に送風する送風機の風量の少なくとも1つを制御すればよい。
【0034】
なお、上述した不均化反応の発生を防止する制御動作は、冷房運転時、暖房運転時、ポンプダウン運転時の何れの場合においても行うようにしても良い。
【0035】
以上のように本実施の形態1においては、制御装置40は、吐出温度Td及び吐出圧力Pdが、温度閾値Tdmax及び圧力閾値Pdmaxを超えないように制御を行う。
このため、HFO1123冷媒又はHFO1123を含む混合冷媒を適用する場合において、不均化反応(自己分解反応)の発生を抑制することができる。
【0036】
実施の形態2.
本実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
上記実施の形態1では、吐出温度センサー41を用いて、圧縮機3から吐出された吐出温度Tdを検出した。しかし、吐出温度センサー41による温度検出には応答遅れがあるため、実際の温度と、検出された温度とに差が生じる場合がある。
本実施の形態2においては、吐出温度Tdを、吐出圧力センサー51及び吸入圧力センサー52の検出値から算出して求める。
【0038】
図4は、実施の形態2に係る空気調和装置100の制御装置40の動作を示すフローチャートである。
以下、図11の各ステップに基づき、上記実施の形態1との相違点について説明する。なお、上記実施の形態1と同じ動作には同じステップ番号を付し、説明は省略する。
【0039】
(S20)
制御装置40は、吐出温度Tdを、吐出圧力センサー51及び吸入圧力センサー52の検出値から算出する。
圧縮機3の圧縮過程がポリトロープ変化と考えると、吐出温度Td[K]は、圧縮機3への吸入される冷媒の温度(以下、吸入温度Ts)[K]、吐出圧力Pd[MPa]、圧縮機3への吸入される冷媒の圧力(以下、吸入圧力Ps)[MPa]、ポリトロープ指数k[−]を用いて、式(1)の関係となる。
【0040】
【数1】
【0041】
吐出圧力Pdは、吐出圧力センサー51の検出値を用いる。
吸入圧力Psは、吸入圧力センサー52の検出値を用いる。
吸入温度Tsは、吸入圧力Psの飽和ガス温度として算出して求める。
ポリトロープ指数kは、圧縮機3の特性から定まる固定値を用いる。
【0042】
以降の動作は、上記実施の形態1と同様である。
【0043】
以上のように本実施の形態2においては、制御装置40は、吐出温度Tdを、吐出圧力センサー51及び吸入圧力センサー52の検出値から算出する。
このため、上記実施の形態1の効果に加えて以下の効果がある。即ち、温度センサーのような熱容量による応答遅れが発生しない、吐出圧力センサー51及び吸入圧力センサー52の検出値を用いて、吐出温度Tdを算出するので、実際の吐出温度Tdと検出値との誤差を少なくすることができる。よって、より速く吐出温度Tdの温度上昇を検知できる。したがって、より精度良く、不均化反応(自己分解反応)の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 室外機、2 室内機、3 圧縮機、4 四方弁、5 ガス配管、6 利用側熱交換器、7 膨張弁、8 液配管、9 熱源側熱交換器、11 第1開閉弁、12 第2開閉弁、20 バイパス回路、21 第1バイパス開閉弁、22 第2バイパス開閉弁、30 容器、40 制御装置、41 吐出温度センサー、51 吐出圧力センサー、52 吸入圧力センサー、61 利用側送風機、91 熱源側送風機、100 空気調和装置。
図1
図2
図3
図4