【実施例1】
【0022】
図1は本発明の電子部品の説明図である。
図1において1は電子部品本体、2はチップ、3はチップ電極、4はバンプ電極、5はリードフレーム、6は空間、7は空間形成部、8はバンプ電極4を介してチップ2の表面に形成された電極と接続し、空間形成部7を取り囲むように複数個形成されているチップ電極接続端子、9はリードフレーム5の裏面側に露出し、パッケージ本体1の周囲に沿って複数個形成されている外部接続端子、10はプリモールド樹脂、11は空間形成部7およびチップ電極接続端子11の表面の高さとプリモールド樹脂10の表面の高さとの間に生じる段部、12は封止樹脂である。
【0023】
チップ2の表面には、メカニカル動作をしたり、通常の樹脂封止ではその応力によって特性変動が起きてしまう回路等が形成されている。
【0024】
リードフレーム5は、チップ実装面に、チップ2の表面に形成されたチップ電極3とバンプ電極4を介して接続するチップ電極接続端子8が形成されており、チップ実装面の裏面の外部実装面には、外部接続端子9が形成されている。また、空間形成部7、チップ電極接続端子8および外部接続端子9の間にはプリモールド樹脂10が充填されている。ここで、チップ実装面のプリモールド樹脂10表面の高さは、空間形成部7やチップ電極接続端子8表面の高さより低くなっており、段部11が形成されている。また
図1には図示されていないが、空間形成部7を取り囲むように形成された複数のチップ電極接続端子8の内、隣接する2つの端子間に充填されたプリモールド樹脂の高さも低く形成されており、チップ電極接続端子8を取り囲むように段部11が形成されている。本発明は、この段部11により拡げられた空間に封止樹脂が留まり、封止樹脂12がチップ2の下側の奥深くまで入り込むことを防止し、チップ2表面と空間形成部7との間に空間6が残るように構成している。なお、
図1では、封止樹脂12の一部が空間形成部7上に一部乗り上げた状態に図示しているが、必ずしもこのような形状とすることが必須ではない。
【0025】
次に本発明の電子部品の製造方法について説明する。まず、リードフレームについて説明する。
図2は本発明に使用するリードフレームの一例の一部を拡大した図で、
図2(a)はチップ実装面の、
図2(b)は外部実装面の一部拡大図である。
図2(a)に示すように、チップ実装面には、空間形成部7と、これを取り囲むようにチップ表面に形成された電極と接続するチップ電極接続端子8が形成されている。
図2(a)では、10個のチップ電極接続端子8が形成されている。一般的なリードフレーム同様、各端子間には連結部13が形成されており、空間形成部7と連結部13との間には吊りピンが形成されている。また
図2(b)に示すように、チップ実装面の裏面の外部実装面には、空間形成部7と、これを取り囲むように外部接続端子9が形成されている。
図2(b)では、10個の外部接続端子が形成されている。
【0026】
このリードフレームは、板厚が0.2mm程度で、所望のパターニングを行った後、両面からエッチングすることで、
図2に示すパターンが形成される。また樹脂によるプリモールドの際の樹脂の流動性を高めるため、空間形成部7に繋がる吊りピンおよび連結部13は、一方の面(例えばチップ実装面)側から板厚の半分程度までハーフエッチングされている。なお、図示は省略しているが、通常の樹脂封止同様、ゲート部やエアベント部にもハーフエッチングされている。
【0027】
次にリードフレームのプリモールド工程について説明する。まず、リードフレーム5の外部実装面側に、プリモールドテープ14の接着面を貼り付ける。このプリモールドテープ14は、厚さ30μm程度で耐熱性に優れた材料からなり、具体的には、ポリイミドテープ、ポリエチレンテレフタレートテープを使用することで200℃以上の耐熱性が得られる。
図3に示すように、プリモールドテープ14は、プリモールドの際の樹脂漏れを防止し、リードフレーム5が金型16に吸着することを可能としている。プリモールドテープ14の接着剤は、UV光を照射することで接着力が低下するものを使用すると、後述するプリモールドテープ14を剥離する際、好適である。
【0028】
またリードフレーム5のチップ実装面側は、プリモールドフィルム15を介して金型16に挟持される。このプリモールドフィルム15は、厚さ50μm程度で通常のプリモールド工程に使用される樹脂フィルムであり、具体的にはフッ素系フィルムであるフレックス50HK(旭硝子社製)を使用することができる。
図3に示すように、プリモールドフィルム15は、金型16に挟持されることで、リードフレーム5に形成された空間形成部7とチップ電極接続端子8の間隙の空間に入り込む(突出する)ことになる。このようにプリモールドフィルム15が変形することで、後述する段部が形成される。この段部は空間形成部7およびチップ電極接続端子8の表面より、20μm程度リードフレーム側に入り込む。
【0029】
このようにリードフレームをプリモールドテープ14およびプリモールドフィルム15を介して金型16で挟持した状態で、プリモールド樹脂10を注入、硬化させる。その結果、
図3に示すように、プリモールドテープ14とプリモールドフィルム15との間の間隙にプリモールド樹脂10が充填される。プリモールド樹脂10は、リードフレーム5の板厚以下の狭い通路(連結部13のハーフエッチング部分)や端子間を通り、リードフレーム基板全体に充填させるため、例えばスパイラルフロー200cm程度の流動性の高い樹脂を使用するのが好ましい。本発明によれば、プリモールドフィルム15の形状に沿ってプリモールド樹脂が充填されるため、段部11が形成されることになる。
【0030】
金型16およびプリモールドフィルム15を取り外し、露出したリードフレーム5のチップ電極接続端子8にチップ2の表面に形成されたチップ電極3を金で形成したバンプ電極4を介してフリップチップ接続する(
図4)。このような接続構造とすることで、チップ2表面は、空間形成領域7に対向する構造となる。
【0031】
次に、樹脂封止を行う。まず、センサチップ2を実装したリードフレーム5を減圧容器17内の加熱プレート18上に載置し、減圧容器17内を1×10
4Pa程度まで減圧する。樹脂シート19およびダイシングテープ20は、減圧させた状態で、ローラー21を使い周囲を隙間無く貼り付ける(
図5)。ここで使用する樹脂シート19は、流動性の少ない樹脂を選択する。一例としてナガセケムテックス社製のA2029を使用した。またダイシングテープ20は、後述する個片化後に電子部品を配列保持するためのテープであり、塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン(PO)基材等からなる一般的なダイシングテープを使用することができる。この貼り付けの際、加熱プレート18で80℃程度に加熱される。
【0032】
その後、減圧容器17を大気圧に戻すと、樹脂シート19で囲まれる内部の圧力と外部の圧力差により樹脂シート19が隙間に入り込み樹脂封止されることになる。
図6は、樹脂封止された状態を示す図である。
図6に示すように、樹脂シート19が隙間に流入して封止樹脂12が形成される。ここで封止樹脂12の一部は、プリモールド樹脂10上まで流入してくる。しかし本発明では、プリモールド樹脂10表面に形成された段部11が樹脂溜まりとして機能し、さらに、空間6は樹脂シート19によって密閉された空間であるため、封止樹脂12の隙間への流入は所定の位置で止まり、空間6が残ることになる。なお、空間6が容積は、
図5で説明した減圧容器内の圧力や、使用する樹脂シート19の種類、さらに加熱プレート18による加熱条件、接合後のバンプ6の高さ等を変えることで、再現性良く制御することができる。
【0033】
個片化は、通常の方法により行う。即ち、封止樹脂12表面に接着したダイシングテープ20面の反対側から、ダイシングソー22を用いて個片化する。この個片化は、水をかけながらダイシングソー22を回転させて切断する。このときダイシングソー22はリードフレーム5、封止樹脂12を切断し、ダイシングテープ20に達する。プリモールドテープ14はリードフレーム5に密着しており、ダイシングソー22が、リードフレーム5の連結部を切断して電極を形成する際に、電極部にバリ等が発生することが防止できる。
【0034】
次にプリモールドテープ14にUV光を照射して接着強度を低下させた後、低下した接着強度より強い接着力を有する別のテープ材23をプリモールドテープ14上に貼り付け、別のテープ材23とともにプリモールドテープ14を剥離、除去する。プリモールドテープ14の除去により、リードフレーム5の外部実装面の外部接続端子9が露出する。この状態から個片化された電子部品をそれぞれピックアップして所望の実装を行うことができる。
【0035】
以下、通常の方法で電子部品の性能テストを行う。
図9に示すように、コンタクトプローブ24をチップ電極接続端子9に接触させ、冷熱プレート25によって所望の温度に設定された条件で測定を行う。
【0036】
以上説明したように本発明によれば、樹脂を用いて中空パッケージ構造を簡便に形成することが可能となる。なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々変更することが可能である。例えば、プリモールド工程において、リードフレームにプリモールドテープを接着させ、個片化後に剥離する場合について説明したが、プリモールドテープをリードフレームに接着させることは必ずしも必要なく、プリモールドの際、樹脂漏れを防止し、リードフレームが金型に吸着することを防止できれば、他のフィルム材等に変えることも可能である。また、プリモールドテープを個片化前に剥離しても良い。