【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、蛍光X線分析方法における効率化と正確性の両立という課題に対して、ファンダメンタルパラメータ法(以下、FP法と称する)を適用するのが好適であると考えた。FP法は、蛍光X線分析装置において照射する一次X線のスペクトル分布、質量吸収係数、蛍光収率等の物理定数を基に各分析元素のX線強度を理論的に計算すると共に、分析対象について測定された蛍光X線強度に対して逐次近似法によって最適値を計算し、組成比を算出する方法である。FP法では、分析装置固有の各元素に対する感度定数を予め求めておけば、多数の標準試料の分析を行う必要がないため、簡便に貴金属製品の品位判定を行うことができる。
【0010】
このFP法を用いた蛍光X線分析が貴金属買取の際の分析に好適な理由としては、上記のような簡便性に加えて、分析精度が適度に正確であるという点がある。これは、貴金属買取においては貴金属品位についてppmオーダーの高精度の数値まで要求されないことによる。これは、金(Au)を主成分とする貴金属製品を例にとると、金製品は24金を純金として、金含有量に応じ24金、22金、20金、18金等の品位(カラット単位)が設定されているが、この場合の金含有量は%オーダーで判定される。例えば、貴金属ジュエリーでよく使用されている18金は、75%前後の金に銀(Ag)、銅(Cu)が添加された金合金である。そして、分析対象が18金であるかを判断するには、金が75%程度含まれているかを測定できれば足り、ppmオーダーの金濃度までは必要ではない。FP法を用いた蛍光X線分析は、上記の通り理論計算を基にした分析方法であり、ppmオーダーの組成判定に関しては常に正確であると断言はできないが、%オーダーでは正確であると断定可能である。即ち、FP法を用いた蛍光X線分析法は適度な正確性を有し、貴金属製品の品位判定に対して特に好適である。
【0011】
以上の前提を受け、本発明者等は、FP法を適用した蛍光X線分析法により貴金属製品の適合性を更に検討したところ、一つの問題点に到達した。この問題点とは、複数種の貴金属製品を分析した際、真の組成と分析結果から導出される品位との間に乖離が生じることがある点である。そこで、本発明者等はこの問題点に関して集中的な検討を行ったところ、分析結果に乖離が生じるのは、ホワイトゴールドからなる貴金属製品を分析した場合に発生することを確認した。
【0012】
ホワイトゴールド(以下、WGと称する)とは、カラット単位による品位では一般的に18金、14金、10金に属する貴金属製品が知られており、75%(18金)、58.5%(14金)、41.7%(10金)の金に、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)等を添加したものである。WGは、その発色(白色)から装飾品として広く利用されている金合金である。
【0013】
ここで、本発明者等は、WGに対する分析について、真の組成と分析結果が相違する要因について検討したところ、WGからなる貴金属製品には、表面にロジウム(Rh)がめっきされている点に着目した。このRhめっきは、WGの表面の輝きをより鮮明にするためになされ極めて薄い付属的なものであり、本来は貴金属製品全体の地金としての価値を左右するものではない。しかし、蛍光X線分析においては、表面のめっきを無視した分析はできないため、貴金属製品全体についての分析結果に影響が生じ得る。これは、FP法という数学的計算を使用する分析方法において、特に顕著なものとなる。なぜならば、FP法による分析方法では、測定結果に対して「検出された元素の組成比の総和を100%にする」ことを前提として計算処理を行うため、Rhも貴金属製品の一部として評価せざるを得ないからである。
【0014】
一方、Rhは、貴金属に属する金属であり、その希少性、工業的有用性は否定されるものではないが、貴金属製品(ジュエリー等の装飾品)のベース素材の構成金属としては利用されていない。つまり、貴金属製品を分析する際にRhが検出された場合、それがベース素材を構成している可能性を排除しても問題は無いと予測される。
【0015】
以上の検討結果から、本発明者等は、貴金属製品の分析においては、WGのようなベース素材の表面にRhがめっきされたものが分析対象になる可能性が高いことを考慮すべきと考えた。そして、FP法に基づく蛍光X線分析方法について、Rhの検出の有無により分析結果の処理を調整することが好ましいと考えた。
【0016】
ここで、FP法に基づく蛍光X線分析方法においては、分析対象の蛍光X線強度を測定した後、まず、分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定する。そして、仮想組成比に基づき構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算し、分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値と理論値とを対比して、両者が一致するまで仮想組成比を逐次近似的に修正していき、最終の修正結果に基づき分析対象の構成元素の組成比を決定する。これらの過程において、分析対象がRhを含むときに分析結果を調整する場合、2通りの方法がある。即ち、仮想組成比の初期値の設定の際Rhの存在を除外することで、以後の仮想組成比はRhを含有しない状態で修正され、最終の組成比が決定できる。また、他の方法として、仮想組成比の初期値についてはそのまま(Rhを含んだまま)設定・修正し、最終の修正後に組成比を決定する際にRhを除外しても良いと考えられる。
【0017】
本発明者等は、以上の検討から、FP法による蛍光X線分析方法について、貴金属ジュエリー等の貴金属製品に特有の問題点を排除しつつ最適化を図ったものとして、上記2通りの処理内容を含む分析方法に想到した。
【0018】
本願第1の発明は、貴金属製品を分析対象とし、ファンダメンタルパラメータ法を用いた蛍光X線分析法により、前記分析対象の構成元素の組成比を分析する方法であって、前記分析対象の蛍光X線強度を測定し、前記分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定し、前記仮想組成比に基づき構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算し、前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を逐次近似的に修正し、分析対象の構成元素の組成比を決定する工程を有し、前記分析対象の蛍光X線強度の測定時にロジウムが検出された場合、前記仮想組成比を設定する際に、分析対象の構成元素からロジウムを除外して仮想組成比を設定することを特徴とする貴金属製品の蛍光X線分析方法である。
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に係る貴金属製品の分析方法は、基本的な工程は通常のFP法による蛍光X線分析方法に従うことから、これに沿いつつ説明する。
【0020】
FP法による蛍光X線分析方法においては、蛍光X線分析装置にて分析対象を分析し、各構成元素の蛍光X線強度を測定する。このときの蛍光X線分析装置の構成に関しては特に制限はなく、市販の装置が使用できる。そのX線源も特に限定はない。また、本発明において貴金属製品とは、ジュエリー用貴金属及びその合金(金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)の4元素とその合金)からなり、指輪、ネックレス等の貴金属ジュエリー、貴金属工芸品、メダル、コインといった貴金属製品を対象とするのが好ましい。より具体的には、ネックレス、ブレスレット、リング、ペンダント、イヤリング、ピアス、ブローチ、バングル、アンクレット、ピンズ等の貴金属ジュエリーや貴金属素材を主成分として使用された小判、大判、金杯、銀杯、食器、置物、額縁、根付等の貴金属工芸品、記念メダル、外国記念コイン等のメダル、コイン等が対象となる。
【0021】
分析対象の分析を行う一方で、分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定する。この仮想組成比の設定方法については、好ましくは、上記で行った分析結果により得られた、各構成元素の蛍光X線強度の実測値を基に設定するのが好ましい。
【0022】
ここで、本願第1の発明に係る分析方法は、最初の仮想組成比の設定段階において一般的なFP法と相違する。即ち、分析対象の分析の結果、Rhの蛍光X線が検出された場合、仮想組成比の設定の際に、Rhの存在を除外して計算する。これは、検出された元素についてそれらの組成の合計を100%とする、という一般的なFP法の前提を覆すものである。本発明では、検出された構成元素について、Rh以外の元素の組成の合計を100%とする。例えば、元素i、元素jからなる合金をベース素材とし、これにRhがめっきされた貴金属製品を分析対象としたとき、各構成元素の仮想組成比は以下のように算出され、Rhについての仮想組成比は計算されない。
【0023】
【数1】
【0024】
尚、仮想組成比の設定に関しては、上記の通り分析対象の実測値を基にする方法以外でも可能である。例えば、貴金属製品に表示された品位の規格を基に、任意の数値を振り分けて仮想組成比を設定しても良い。また、分析対象の実測値に加えて、過去の類似の分析例をライブラリーデータ化しておき、過去データと実測値とを対比して仮想組成比を設定しても良い。但し、いずれにせよ分析対象の分析によりRhの有無を判定し、Rhが存在すると判断した場合には、Rhの存在を除外することが必要である。
【0025】
次に、この仮想組成比に基づき、FP法により各構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算する。この理論値の計算方法については公知であり、例えば、下記の非特許文献1に示されている。
【0026】
【非特許文献1】杉山和正ら ”ファンダメンタルパラメータ法による蛍光X線分析” 東北大学素材光学研究所彙報 48(1/2),1993,p.140−150.
【0027】
そして、計算された理論値については、これに元素感度係数を乗じたものを以後の計算に使用するのが好ましい。蛍光X線装置のスリットの透過率、結晶反射率、検出器の検出率等の装置固有の因子による影響を排除し、組成比計算の効率化を図るためである。尚、このようにして元素感度係数を乗じた蛍光X線強度の理論値について、以下、推定測定強度と称することがある。
【0028】
また、蛍光X線強度の理論値の算出については、分析対象からRhが検出された場合にはRhの理論値は算出されない。算出の基礎となる仮想組成比にはRhが含まれていないからである。
【0029】
以上の工程で求めた、各構成元素の蛍光X線強度の理論値(推定測定強度)と、分析対象の各構成元素の蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように仮想組成比に対して修正のための計算処理を行う。この修正処理は、100%の規格化を行うものであり、例えば、ある元素(元素iとする)についてn回目に修正・設定された仮想組成比(含有量)をW
inとし、実測強度をI
iとし、(n+1)回目に修正された仮想組成比をW
in+1とし、n回目の蛍光X線強度の理論値をR
inとする(元素感度係数をkとする)と、以下のようになり、これを各構成元素について行う。
【0030】
【数2】
【0031】
更に、次式により100%の規格化を行う(jは全ての元素を示す)。
【0032】
【数3】
【0033】
上記の仮想組成比に対する修正の例は、実測値と理論値との比率に基づき仮想組成比を調整するものであるが、上記の例の他、差分方程式による修正等も適用できる。
【0034】
以上の理論値と実測値の対比、及び、これによる仮想組成比の修正は、修正結果が妥当であると判断されるまで逐次近似的になされる。ここで、修正結果の妥当性の判定方法としては、修正した仮想組成比について前回に修正した仮想組成比に対する変化率(修正幅)を算出し、それが所定の閾値以下であれば修正が妥当であるとするといった処理が挙げられる。例えば、上記の例に関していえば、下記条件式による。Qが判定の基礎となる閾値である。
【0035】
【数4】
【0036】
上記式で閾値Qについては、任意に設定することができ、要求する精度と収束に要する時間とのバランスを考慮して設定できる。一般的には、0.1%程度が好適な値といえる。
【0037】
上記式に基づき妥当性が判断された仮想組成比は、当該分析対象(貴金属製品)の組成比として確定する。このとき、分析対象である貴金属製品にRhがめっきされていても、試料中にはRhがないとして各構成元素の組成が算定されており、ベース素材についての品位判定を行うことができる。
【0038】
以上の本願第1の発明は、Rhの有無により仮想組成比の初期値を調整するものである。これに対し、本願第2の発明としては、仮想組成比の初期値の設定は分析結果をそのまま適用し、最終の修正後にRhを除外して組成比を調整する方法がある。
【0039】
即ち、本願第2の発明は、貴金属製品を分析対象とし、ファンダメンタルパラメータ法を用いた蛍光X線分析法により、前記分析対象の構成元素の組成比を分析する方法であって、前記分析対象の蛍光X線強度を測定し、前記分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定し、前記仮想組成比に基づき構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算し、前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を逐次近似的に修正し、分析対象の構成元素の組成比を決定する工程を有し、前記分析対象の蛍光X線強度の測定時にRhが検出された場合、分析対象の構成元素の組成比を決定する際に、最後に修正された仮想組成比についてRhを除外して構成元素の組成比を決定することを特徴とする貴金属製品の蛍光X線分析方法である。
【0040】
この第2の分析方法では、分析対象の分析から、仮想組成比の設定及びその逐次近似的修正工程までは通常のFP法に従う。例えば、元素i、元素jからなる合金をベース素材とし、これにRhがめっきされた貴金属製品を分析対象としたとき、Rhについての仮想組成比も計算され、各構成元素の仮想組成比は以下のように算出される。
【0041】
【数5】
【0042】
仮想組成比の設定後は、FP法によりRhを含む各構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算する。この理論値の計算方法は第1の発明と同様である。また、計算された理論値は、第1の発明と同様、元素感度係数に基づく推定測定強度の計算を行うのが好ましい。尚、この発明では、蛍光X線強度の理論値の算出はRhについても行われる。
【0043】
そして、各構成元素の蛍光X線強度の理論値(推定測定強度)と、分析対象の各構成元素の蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように仮想組成比に対して修正のための計算処理を行う(100%規格化)。この計算も第1の発明(数2、数3の式)と同様であり、また、差分方程式による修正等も適用できる。この理論値と実測値の対比、及び、これによる仮想組成比の修正は、修正結果が妥当であると判断されるまで逐次近似的になされる。これは本願第1の発明と同様であり、修正結果の妥当性の判定方法も同様のものを適用できる(数4)。
【0044】
妥当性が判断された最後の修正による仮想組成比は、分析対象から測定された蛍光X線に基づく組成比であり、これはRhの組成比を含み合計で100%となる。本願第2の発明では、ここからの工程において特徴を有し、得られた最後の修正による仮想組成比について、Rhの組成比を除外して、これを分析対象の組成比とする。具体的には、Rhめっきされた元素i、元素jからなる合金をベース素材について、それぞれW
i、W
j、W
Rhの組成比(W
i+W
j+W
Rh=100)が得られた場合、下記のようにして元素i、元素jの組成比が決定される(W’
i、W’
j)。
【0045】
【数6】
【0046】
尚、18金のWGのように金の含有量が高いものについては、Rhめっきによるベース素材の組成比の数値変動が、金の組成比に偏重することがある。このような場合、上記式に替えて下記式で簡易に組成比を決定しても良い(下記式では元素jが金に該当する)。そして、これらの組成比調整に基づきベース素材についての品位判定を行うことができる
【0047】
【数7】
【0048】
尚、以上説明した本願第1、第2の発明に係る分析方法において、分析対象からRhの蛍光X線が検出されない場合、例えば、WGではない貴金属製品の品位判定を行う場合は、仮想組成比の設定から最終の修正まで通常のFP法に従う。
【0049】
ところで、以上説明した第1、第2の分析方法については、仮想組成比の修正について妥当性を得るための繰返し計算(逐次近似計算)を行う必要があるが、これは極めて複雑な作業である。また、近年の蛍光X線分析装置は、コンピュータに接続され、分析装置の操作から分析結果の処理までプログラム化されたものが多い。上記2つの分析方法に関しては、プログラム化が可能であり、各計算ステップをコンピュータに実行させることができる。
【0050】
このコンピュータプログラムは、第1の分析方法に対応するものとして、蛍光X線分析装置に接続されたコンピュータに下記の各ステップを実行させることにより、分析対象である貴金属製品の構成元素の組成比を決定するための貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラムであって、ステップ1の実行前に、蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線について、ロジウムの蛍光X線の有無を判定するステップ0を備え、ステップ0でロジウムの蛍光X線が検出された場合、ステップ1でロジウムを構成元素から除外して仮想組成比を設定するようになっている貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラムである。
【0051】
(ステップ1) 前記蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線強度に基づき、分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定するステップ、
(ステップ2) 前記仮想組成比に基づき、構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算するステップ、
(ステップ3) 前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を修正するステップ、
(ステップ4) 修正された前記仮想組成比についてその妥当性を判定するステップ、
(ステップ5) 前記ステップ4で修正された前記仮想組成比が妥当と判定された場合、前記仮想組成比を前記貴金属製品の構成元素の組成比として決定する一方、妥当でない場合、修正された前記仮想組成比に基づき、前記ステップ2以降を実行して前記仮想組成比を逐次近似的に修正するステップ。
【0052】
また、第2の分析方法に対応するものは、蛍光X線分析装置に接続されたコンピュータに下記の各ステップを実行させることにより、分析対象である貴金属製品の構成元素の組成比を決定するための貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラムであって、ステップ1の実行前に、蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線について、ロジウムの蛍光X線の有無を判定するステップ0を備え、ステップ0でロジウムの蛍光X線が検出された場合、ステップ5で逐次近似的に修正された仮想組成比の最終値について、ロジウムを構成元素から除外して仮想組成比を設定するようになっている貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラムである。
【0053】
(ステップ1) 前記蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線強度に基づき、分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定するステップ、
(ステップ2) 前記仮想組成比に基づき、構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算するステップ、
(ステップ3) 前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を修正するステップ、
(ステップ4) 修正された前記仮想組成比についてその妥当性を判定するステップ、
(ステップ5) 前記ステップ4で修正された前記仮想組成比が妥当と判定された場合、前記仮想組成比を前記貴金属製品の構成元素の組成比として決定する一方、妥当でない場合、修正された前記仮想組成比に基づき、前記ステップ2以降を実行して前記仮想組成比を逐次近似的に修正するステップ。
【0054】
これらの本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを上述した分析方法の各工程を行う手段として機能させるものである。尚、これらのプログラムは、分析対象としてRhを含まない貴金属製品に対しても品位判定を実行可能であり、分析対象によってプログラムを選定・変更する必要は無い。また、WG等の判定の際にかかる時間も、それ以外の貴金属の品位判定にかかる時間と比較しても劣ることはなく、数秒で実行可能である。