(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Escherichia sp. MYK100(受託番号 NITE BP-267)を、植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物に病虫害抵抗性を付与する方法。
Escherichia sp. MYK100(受託番号 NITE BP-267)を、植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の収量を増加させる方法。
Escherichia sp. MYK100(受託番号 NITE BP-267)を、植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の生育を促進する方法。
農業上有用な植物が、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物及びセリ科植物から選択される植物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
Escherichia sp. MYK100(受託番号 NITE BP-267)を有効成分として含有する、農業上有用な植物用の微生物製剤。
農業上有用な植物が、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物及びセリ科植物から選択される植物である、請求項5に記載の微生物製剤。
Escherichia sp. MYK100(受託番号 NITE BP-267)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1. 細菌
本発明に用いることができる細菌は、エシェリヒア(Escherichia)属に属する細菌であって、農業上有用な植物、例えば、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物及びセリ科植物から選択される植物の体内に共生して、該植物に病害虫抵抗性を付与する能力、該植物の生長を促進する能力、及び/又は、該植物の収量を増加する能力を有する細菌であれば特に限定されない。
【0014】
本明細書では、植物の収量は、例えば種子、葉(鱗茎を含む)、実、茎、根、花などの植物体構成成分の収量を指す。
【0015】
本明細書では、エシェリヒア(Escherichia)属細菌は、上記のいずれか1つ、2つ又は3つの能力を植物体に付与することができるエンドファイト細菌であり、自然界から単離された細菌だけでなく、そのような細菌に突然変異処理を施して産生された変異体も包含する。
【0016】
上記細菌の具体例として、新規のエシェリヒア(Escherichia)属細菌である、Escherichia sp. MYK100(受託番号 NITE BP-267;以下では、単に「NITE BP-267株」と称することもある。)、或いは、上記のいずれか1つ又は複数の能力を有する、その変異株が挙げられる。
【0017】
上記のEscherichia sp. MYK100は、圃場で栽培されたイネから単離された菌株の中から、生育、収量又は病虫害抵抗性についての選抜試験により選抜され、単離された株である。Escherichia sp. MYK100は、2006年10月5日を国際寄託日として、ブダペスト条約下の国際寄託機関である、独立行政法人製品評価技術基盤機構、特許微生物寄託センター(〒292-0818千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に本出願人により寄託され、受託番号 NITE BP-267が付与されている。
【0018】
このNITE BP-267株は、種々の細菌の属及び種について、16S rDNA遺伝子の部分配列(本件の場合、Escherichia sp. MYK100(受託番号 NITE BP-267)株の16S rDNA遺伝子の対応する部分塩基配列(配列番号1)との比較)を用いて、相同性検索を行った結果、相同性の高い上位3種についてEscherichia hermanniiと99%(1506bp/1512bp)、Escherichia senegalensisと98%(1517bp/1533bp)、及びEscherichia fergusoniiと97%(1497bp/1536bp)の高い配列同一性が確認されたことから、Escherichia属に属する新規の細菌であることが判明した。
また、このNITE BP-267株は、次の基質資化性を有している。
【0019】
[資化される基質]
Dextrin、N-acetyl-D-glucosamine、L-arabinose、cellobiose、D-fructose、L-fucose、D-galactose、gentiobiose、α-D-glucose、α-D-lactose、maltose、D-mannitol、D-mannose、D-melibiose、β-methyl D-glucoside、D-raffinose、L-rhamnose、D-sorbitol、D-trehalose、methyl pyruvate、mono-methyl succinate、cis-aconitic acid、citric acid、formic acid、D-galactonic acid lactone、D-galacturonic acid、D-gluconic acid、D-glucuronic acid、D,L-lactic acid、D-saccharic acid、succinic acid、bromo succinic acid、glucuronamide、D-alanine、L-alanine、L-asparagine、L-aspartic acid、L-glutamic acid、L-proline、L-serine、inosine、thymidine、glycerol、D,L-α-glycerol phosphate、glucose-1-phosphate、glucose-6-phosphate
【0020】
[資化されない基質]
α-cyclodextrin、glycogen、tween 40、tween 80、N-acetyl-D-galactosamine、adonitol、D-arabitol、i-erythritol、m-inositol、lactolose、D-psicose、sucrose、turanose、xylitol、acetic acid、D-glucosaminic acid、α-hydroxybutyric acid、β-hydroxybutyric acid、γ-hydroxybutyric acid、p-hydroxy phenylacetic acid、itaconic acid、α-keto butyric acid、α-keto glutaric acid、α-keto valeric acid、malonic acid、propinic acid、quinic acid、sebacic acid、succinamic acid、alaninamide、L-alanyl-glycine、glycyl-L-aspartic acid、glycyl-L-glutamic acid、L-histidine、hydroxy L-proline、L-leucine、L-ornithine、L-phenylalanine、L-pyroglutamic acid、D-serine、L-thrreonine、D,L-carnitine、γ-amino butyric acid、urocanic acid、uridine、phenyl ethylamine、putrescine、2-amino ethanol、2,3-butanediol
【0021】
本発明で使用できる細菌としては、新規Escherichia属細菌である NITE BP-267株と同等の上記能力を有する細菌、例えば、Escherichia属に属し、上記のいずれか1つ又は複数の能力を有し、及び、NITE BP-267株と同一の上記の基質資化性を有する細菌や、Escherichia属に属し、上記のいずれか1つ又は複数の能力を有し、及び、配列番号1に示す塩基配列を少なくとも一部分に含む16S rDNAを有する細菌が挙げられるがこれらには限定されない。さらにまた、NITE BP-267株が人為的に突然変異誘発処理されて産生されたその変異株であって、農業上有用な植物、例えばマメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物及びセリ科植物から選択される植物、の体内に共生して該植物に病害虫抵抗性を付与する能力、該植物の生長を促進する能力、及び/又は、該植物の収量を増加させる能力を有する変異株もまた、本発明で使用することができる。
【0022】
本発明で使用できるEscherichia属細菌を自然界から分離するときには、農業上有用な植物の根、茎、葉などの植物体構成部から、該植物に共生する細菌類を培養により分離し、上記の能力のいずれかについて、並びに/或いは、上記の配列番号1に示す塩基配列との配列同一性、及び/又は、上記の基質資化性について、選抜試験を行い得る。
また、突然変異誘発処理を行う場合には、NITE BP-267株に対し任意の適当な変異原を用いて突然変異が行われ得る。
【0023】
ここで、「変異原」なる用語は、広義の意味を有し、例えば変異原作用を有する薬剤のみならずUV照射等の高エネルギー線照射のごとき変異原作用を有する処理も含むものとする。適当な変異原の例として、エチルメタンスルホネート、UV照射、ガンマ線照射、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、ブロモウラシルのようなヌクレオチド塩基類似体、及びアクリジン類が挙げられるが、他の任意の効果的な変異原もまた使用され得る。
【0024】
或いは、細菌に変異を導入する他の手段には、遺伝子組換え法を利用する方法がある。特に、虫害対策の場合、細菌ゲノムへの、忌避物質の産生を可能とする遺伝子若しくはcDNAの導入、Btトキシンなどの殺虫蛋白質をコードする遺伝子若しくはcDNAの導入などが挙げられる。
【0025】
本発明に用いられる細菌は、振とう培養等の通常の培養法により、Escherichia属細菌について通常使用されるような条件下で培養されうる。培養に用いる培地としては炭素源としてグルコース、シュークロース、デンプン、デキストリンなどの糖類を、窒素源として硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩等の無機窒素源、又は、酵母エキス、コーン・スティープ・リーカー、肉エキス、小麦胚芽、ポリペプトン、サトウキビ絞り粕(バカス)、ビールカス、大豆粉、米糠、魚粉等の有機窒素源を、無機塩としてリン酸一カリ、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸第一鉄等の、リン、カリウム、マンガン、マグネシウム、鉄等を含む塩類を、それぞれ含有する合成又は天然の培地が挙げられる。培養温度は、通常、20〜37℃、好ましくは27〜32℃で、12〜48時間、好気的条件下で行うことができる。
【0026】
本発明の方法には、細菌の培養液をそのまま使用することができるが、細菌の培養液を膜分離、遠心分離、濾過分離等の方法により分離した、細菌の高濃度物を用いることもできる。
【0027】
本発明の方法ではまた、細菌の培養液を乾燥させたものを使用することができる。また、細菌の培養液を活性炭、珪藻土、タルク、ゼオライト、ピートモス、パーライト、ベントナイト、モンモリナイト、バーミュキュライト等の多孔吸着体に吸着させ乾燥させたものを使用することができる。多孔吸着体は、1種類でもよいし、複数の担体を組合せて用いてもよい。乾燥方法は通常の方法でよく、例えば凍結乾燥、減圧乾燥でよい。これらの乾燥物は乾燥後さらにボールミル等の粉砕手段で粉砕されてもよい。
【0028】
細菌は、上記の培養液、高濃度物又は乾燥物としてそれ自体単独で本発明の用途に用いることができるが、更なる他の任意成分と組み合わせて通常の微生物製剤と同様の形態(例えば粉剤、水和剤、粒剤、乳剤、液剤、懸濁液、フロアブル剤、塗布剤等の形態)に製剤化して用いることもできる。組み合わせて使用することができる任意成分としては例えば固体担体、補助剤のような植物への適用が許容される材料が挙げられる。
【0029】
2.農業上有用な植物
本発明の方法で使用可能な対象植物は、以下のものに限定されないが、例えばマメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物及びセリ科植物から選択される農業上有用な植物が挙げられる。
本明細書で使用される「農業上有用な植物」は、例えば野菜類、穀類植物などの作物、果樹などの農業において生産対象となる植物を指す。
【0030】
イネ科植物としては、例えばイネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ、ハトムギ、ソルガム、エンバク、トウモロコシ、サトウキビ、アワ、ヒエなどの穀類が挙げられる。イネ科植物としてはさらに、例えばシバ、バッファローグラス、バミューダグラス、ウィーピンググラス、センチピードグラス、カーペットグラス、ダリスグラス、キクユグラス、セントオーガスチングラスなどの飼料又は牧草が挙げられる。
【0031】
マメ科植物としては、例えばダイズ、アズキ、ラッカセイ、インゲンマメ、エンドウマメ、ハナマメ、ソラマメ、ササゲ、ヒヨコマメ、リョクトウ、レンズマメ、ライマメ、バンバラマメが挙げられる。
【0032】
ユリ科植物としては、例えばタマネギ、ネギ、ラッキョウ、ニンニク、ニラ、アサツキ、ユリ、アスパラガス、エシャロット、ワケギなどが挙げられる。
【0033】
アブラナ科植物としては、例えばアブラナ、カブ、チンゲンサイ、ノザワナ、カラシナ、タカナ、コブタカナ、水菜、コールラビー、ルッコラ、クレソン、タアサイ、カリフラワー、キャベツ、ケール、ハクサイ、コマツナ、ダイコン、ハツカダイコン、ブロッコリー、メキャベツ、ワサビ、セイヨウワサビ、シロイヌナズナが挙げられる。
【0034】
キク科植物としては、例えばレタス、サニーレタス、シュンギク、キクなどが挙げられる。
【0035】
ナス科植物としては、例えばナス、トマト、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、ジャガイモ、クコ、パプリカ、ハラペーニョ、ハバネロなどが挙げられる。
【0036】
セリ科植物としては、ニンジン、ミツバ、パセリ、セロリ、セリ、アシタバ、スープセロリ、チャーベル、フェンネルなどが挙げられる。
【0037】
3.病害虫
本発明の細菌が、上記の農業上有用な植物の体内に共生することによって病害虫抵抗性を付与する、対象の植物病及び害虫として、以下のものに限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。
【0038】
植物病の例は、以下のとおりである。
イネ科植物の植物病は、例えば幼鞘褐変病(Sheath brown rot of rice)、いもち病、白葉枯病、苗立枯病、紋枯病、ばか苗病などが挙げられる。
マメ科植物の植物病は、例えば灰色かび病、さび病、うどんこ病、などが挙げられる。
ユリ科植物の植物病は、例えば軟腐病、べと病、い縮病、乾腐病、さび病、いちょう病、茎枯れ病、はん点病などが挙げられる。
アブラナ科の植物病は、例えば軟腐病、黒はん細菌病、苗立枯れ病、べと病、い黄病、モザイク病、根こぶ病、白はん病、しり腐れ病などが挙げられる。
キク科植物の植物病は、例えばモザイク病、軟腐病、腐敗病、うどんこ病、べと病などが挙げられる。
ナス科植物の植物病は、例えばモザイク病、黄化えそ病(TSWV)、青枯れ病、かいよう病、褐色根腐れ病、苗立枯れ病、うどんこ病、半身いちょう病、葉かび病などが挙げられる。
セリ科植物の植物病は、例えばモザイク病、軟腐病、黒葉枯れ病、はん点病、うどんこ病、菌核病などが挙げられる。
【0039】
害虫の例は、以下のとおりである。虫害は、摂食、吸汁、ウイルス媒介などである。
イネ科植物の害虫は、例えばドロオイムシ、カメムシ、ニカメイガ、イチモンジセセリ、コブノメイガ、イネヨトウ、アワヨトウ、スジキリヨトウ、フタオビコヤガ、イネクビボソハムシ、その他ハムシ類、イネカラバエ、イネハモグリバエ、イネヒメハモグリバエ、コウモリガ、ミノガ、イネシンガレセンチュウ、その他センチュウ類、イネミズゾウムシ、コメツキムシ類、コガネムシ類、バッタ類、スクミリンゴガイ、シロトビムシ類、ガガンボ類、タマバエ類、による摂食、セジロウンカ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカ、その他ウンカ類、ヨコバイ類、フキムシ類、アブラムシ類、アザミウマ類などが挙げられる。
【0040】
マメ科の害虫は、例えばホソヘリカメムシ、マメコガネ、ウコンノメイガ、アズキノメイガ、ヒメコガネ、マメノメイガ、マメドクガ、アオアツバ、イチジクキンウワバ、フタスジヒメハムシ、ブチヒゲカメムシ、ツマジロカメムシ、ヨモギエダシャク、ウリハムシモドキ、ナシケンモン、ミツモンキンウワバ、ヒメシロモンドクガ、モンキチョウ、ナカグロカスミカメ、ホシハラビロヘリカメムシ、ベッコウハゴロモなどが挙げられる。
【0041】
ユリ科植物の害虫は、例えばネギアザミウマ、ネギハモグリバエ、アザミウマ類、ヨトウムシなどが挙げられる。
【0042】
アブラナ科の害虫は、例えばコナガ、モンシロチョウ、オオモンシロチョウ、ハイマダラノメイガ、カブラヤガ、タマナヤガ、ヨトウムシ類、ハモグリバエ類、カブラハバチ類、キスジノミハムシ、ヤサイゾウムシ、アブラムシ類、アザミウマ類などが挙げられる。
【0043】
キク科植物の害虫は、例えばシロシタヨトウ、イチジクキンウワバ、タマナギンウワバ、ホソバセダカモクメ、ナシケンモン、ヨモギエダシャク、オオトビスジエダシャク、ナガメなどが挙げられる。
ナス科植物の害虫は、例えばオオタバコガ、オオニジュウヤホシテントウ、ナスノミハムシ、アズキノメイガ、イチジクキンウワバ、トホシテントウなどが挙げられる。
セリ科植物の害虫は、例えばウリハムシモドキ、キアゲハ、ミツモンキンウワバなどが挙げられる。
その他、カタツムリ、センチュウなどが挙げられる。
【0044】
4.害虫抵抗性の付与、収量増加、及び生育促進のための微生物学的方法
本発明の方法は、Escherichia属に属し、農業上有用な上記の植物の体内に共生して該植物に病害虫抵抗性を付与する能力、該植物の収量を増加する能力、及び/又は、該植物の生育を促進する能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む。
【0045】
植物に病害虫抵抗性を付与することは、植物が病害虫による影響、例えば摂食、吸汁、病原菌病、ウイルス病などによる植物被害、を抑制又は防止することに導く。理論により拘束されることを望むものではないが、本発明に係る細菌は病原体に直接作用するのではなく、植物自身が有する防御機能の活性化によって、植物に病害虫抵抗性を付与すると考えられる。抵抗性誘導により生じる反応として、限定されるものではないが、過敏感反応、抗菌タンパク質及び抗害虫性タンパク質の生産、パピラの形成、並びに細胞壁の硬化等が挙げられる。一般に、植物の抵抗性が誘導されれば、広範な病害虫に対して抵抗性を示すことが知られている。
【0046】
植物の収量を増加することは、例えば、野菜であれば、例えば葉(鱗茎を含む)、根、根茎、種子、花などの食用部分を、穀類であれば、種子を、果樹であれば、実を、それぞれ増収穫させることを意味する。
【0047】
植物の生育を促進することは、本発明の細菌を接種しない対照と比較して植物の成長を早めることを意味する。
【0048】
植物への施用方法としては、種子コート、幼植物への潅注、塗布、又は噴霧処理する方法などが挙げられる。特に、種子又は植物体に人為的に傷を付け菌液の噴霧処理、塗布する方法が好ましい。その他の施用条件としては播種時、育苗期など圃場定植前に施用することが望ましい。また、さらに圃場栽培中に植物、場合により植物根部周囲の土壌、に噴霧処理することで効果の高発現が期待できる。
【0049】
1つの例として、本発明の細菌を、植物に人為的に感染させるには、圃場に植えつける前の幼苗(例えば1〜4枚の本葉が出た時期の苗)に菌液を散布することができる。散布後約3〜15日目に、苗を圃場に定植し得る。植物体内に侵入した菌がやがて、植物に共生するようになると考えられる。
【0050】
菌液の濃度は、1×10
5〜1×10
9個/mlであるが、これらの濃度範囲に限定されない。菌を懸濁する媒体は、水又は培地であることが好ましい。通常、高濃度菌液を水又は培地で所定濃度に希釈して使用することができる。
【0051】
本発明の方法は、具体的には、次の第1から第3の態様からなる。
本発明の方法は、第1の態様により、エシェリヒア(Escherichia)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物に病虫害抵抗性を付与する方法を提供する。
【0052】
本発明の方法は、第2の態様により、エシェリヒア(Escherichia)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物の収量を増加させる能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の収量を増加させる方法を提供する。
【0053】
本発明の方法は、第3の態様により、エシェリヒア(Escherichia)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物の生育を促進する能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の生育を促進する方法を提供する。
【0054】
5.微生物製剤
本発明はさらに、エシェリヒア(Escherichia)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の収量を増加させる能力、及び/又は、該植物の生育を促進する能力を有する細菌を有効成分として含有する、農業上有用な植物用の微生物製剤を提供する。
【0055】
農業上有用な植物の例は、上で具体的に例示した、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、ナス科植物、アブラナ科植物、キク科植物及びセリ科植物から選択される植物である。
好ましい細菌は、Escherichia sp. MYK100(受託番号 NITE BP-267)、又はその変異株である。
【0056】
微生物製剤は、細菌の高濃度物、細菌の培養液を乾燥させたものなどを使用することができる。また、細菌の培養液を活性炭、珪藻土、タルク、ゼオライト、ピートモス、パーライト、ベントナイト、モンモリナイト、バーミュキュライト等の多孔吸着体に吸着させ乾燥させたものを使用することができる。多孔吸着体は、1種類でもよいし、複数の担体を組合せて用いてもよい。乾燥方法は通常の方法でよく、例えば凍結乾燥、減圧乾燥でよい。これらの乾燥物は乾燥後さらにボールミル等の粉砕手段で粉砕されてもよい。
【0057】
細菌は、上記の培養液、高濃度物又は乾燥物としてそれ自体単独で本発明の用途に用いることができるが、更なる他の任意成分と組み合わせて通常の微生物製剤と同様の形態(例えば粉剤、水和剤、粒剤、乳剤、液剤、懸濁液、フロアブル剤、塗布剤等の形態)に製剤化して用いることもできる。組み合わせて使用することができる任意成分としては例えば固体担体、補助剤のような植物への適用が許容される材料が挙げられる。
【0058】
本発明はさらに、Escherichia sp. MYK100(受託番号 NITE BP-267)、或いは、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の収量を増加させる能力、及び/又は、該植物の生育を促進する能力を有する、その変異株を提供する。
【0059】
本発明の細菌は、振とう培養等の通常の培養法により、Escherichia属細菌について通常使用されるような、上記の条件下で培養されうる。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、それらの実施例によって制限されないものとする。
【0061】
[実施例1]
<Escherichia sp. MYK100(受託番号 NITE BP-267)株の単離>
圃場で栽培されているイネを採取し、その茎を切断した。切断した茎を70%エタノールに30秒、2.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液に5分浸すことにより表面殺菌を行った。その後、植物体を乳鉢に移し滅菌した生理食塩水1mlと海砂を適量加えながら磨砕した。磨砕した上澄みを100μl、NA(Nutrient Agar)培地に塗布し、30℃、数日間培養後、シングルコロニーを単離した。単離された菌株を栽培イネに接種し、コブノメイガに対する虫害抵抗性評価により標題のNITE BP-267株を選抜し単離した。
【0062】
[実施例2]
<NITE BP-267株によるイネ病虫害抵抗性>
1)目的
イネより分離されたEscherichia属新規細菌(以下、NITE BP-267株という)を作物に定着させることにより、病虫害の被害を減少し、ならびに、減農薬又は無農薬栽培でも生育促進により増収できる可能性を確認した。さらに圃場での効果を確認する目的で、NITE BP-267株を接種したイネを圃場で栽培し、接種効果を検討した。
【0063】
1.1)ドロオイムシ被害、試験方法
イネ品種:ななつぼし、きらら397
エンドファイト菌株:NITE BP-267株
接種日:ななつぼし 平成18年5月21日、きらら397 平成18年5月23日
接種方法:1×10
8個/mlの菌懸濁液を500ml/育苗箱潅注処理
菌懸濁液の生菌数が1mlあたり10
8個になるよう水で調整した。1.5葉から3.5葉期まで生育させたイネ苗に対し、育苗箱1枚あたり500mlの菌懸濁液を如雨露で潅注することにより処理を行った。
定植日:ななつぼし 平成18年5月24日、きらら397 平成18年5月26日
圃場:北海道美唄市
試験規模:76.8m
2 、育苗箱4箱分 (8条植え、約1790株)
【0064】
1.2)カメムシ被害、試験方法
イネ品種:ななつぼし、きらら397
エンドファイト菌株:NITE BP-267株
接種日:ななつぼし 平成18年5月21日、きらら397 平成18年5月23日
接種方法:1×10
8個/mlの菌懸濁液を500ml/育苗箱潅注処理
菌懸濁液の生菌数が1mlあたり10
8個になるよう水で調整した。1.5葉から3.5葉期まで生育させたイネ苗に対し、育苗箱1枚あたり500mlの菌懸濁液を如雨露で潅注することにより処理を行った。
定植日:ななつぼし 平成18年5月24日、きらら397 平成18年5月26日
圃場:北海道美唄市
試験規模:76.8m
2 、育苗箱4箱分 (8条植え、約1790株)
【0065】
1.3)褐変穂(正式名称:幼鞘褐変病(Sheath brown rot of rice))被害、試験方法
イネ品種:ななつぼし、ふっくりんこ
エンドファイト菌株:NITE BP-267株
接種日:平成19年5月18日
接種方法:1×10
8個/mlの菌懸濁液を500ml/育苗箱潅注処理
菌懸濁液の生菌数が1mlあたり10
8個になるよう水で調整した。1.5葉から3.5葉期まで生育させたイネ苗に対し、育苗箱1枚あたり500mlの菌懸濁液を如雨露で潅注することにより処理を行った。
定植日:平成19年5月21日
圃場:北海道美唄市
試験規模:230.4m
2 、育苗箱12箱分 (8条植え、約5370株)
【0066】
2)結果と考察
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
ドロオイムシによる食害葉数、食害株率はNITE BP-267株の接種区で減少した(表1及び2)。また、カメムシによる斑点米率、着色被害率においても、NITE BP-267株の接種区で減少した(表3及び4)。さらにまた、褐変穂被害率もNITE BP-267株の接種区で減少した(表5及び6)。
【0073】
[実施例3]
<NITE BP-267株によるイネ生育促進及び収量増加>
(1)細菌エンドファイト接種イネの圃場栽培試験
1)方法
イネ品種:ななつぼし ふっくりんこ
エンドファイト菌株:NITE BP-267株
接種日:ななつぼし平成18年5月21日
ふっくりんこ平成19年5月18日
接種方法:1×10
8個/mlの菌懸濁液500ml/育苗箱潅注処理
菌懸濁液の生菌数が1mlあたり10
8個になるよう水で調整した。1.5葉から3.5葉期まで生育させたイネ苗に対し、育苗箱1枚あたり500mlの菌懸濁液を如雨露で潅注することにより処理を行った。
定植日:ななつぼし平成18年5月24日
ふっくりんこ平成19年5月21日
圃場:北海道美唄市
試験規模:76.8m
2 育苗箱4箱分 (8条植え、約1790株)
無接種区は2区で行い、平均値を求めた。
【0074】
2)結果と考察
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
ななつぼし、ふっくりんこはともに、NITE BP-267株の接種区で分けつが促進され茎数が増加した(表7及び8)。また、収量も、ななつぼし、ふっくりんこでともに、NITE BP-267株の接種区で増加した(表9及び10)。
【0079】
[実施例4]
<NITE BP-267株によるダイズ生育の促進及び収量の増加>
1)目的
栽培イネから分離されたEscherichia属新規細菌(以下: NITE BP-267株)のダイズに対する生育促進と収量増加について調べることを目的とし、NITE BP-267株を接種したダイズを圃場で栽培し、接種効果を検討した。
【0080】
2)方法
ダイズ品種:トヨホマレ
エンドファイト菌株:NITE BP-267株
接種日:平成18年6月8日
接種方法:1×10
8個/mlの菌懸濁液10ml/株噴霧処理
菌懸濁液の生菌数が1mlあたり10
8個になるよう水で調整した。本葉第1葉発生から第3葉発生までのダイズ苗に対し、菌懸濁液をダイズ1株あたり10ml噴霧することにより処理を行った。
圃場:北海道美唄市
試験規模:総面積9.9m
2 1区4.95m
2(1.32m×3.75m)×2連 200株程度
【0081】
3)結果
【表11】
【0082】
【表12】
【0083】
NITE BP-267株の接種区で、茎長、分枝数が増加する傾向が見られ、着莢数が増加していた(表11)。また、収量は11%増加した(表12)。
【0084】
[実施例5]
タマネギ生育促進と収量の増加について
1)目的
イネから分離された細菌エンドファイトEscherichia 属新規細菌(以下、NITE BP-267株)をタマネギ内部に定着せることにより、タマネギの生育が促進され、玉が大きくなることにより収量が増加する可能性があった。そこでNITE BP-267接種タマネギを圃場で栽培し、接種効果を検討した。
【0085】
2)方法
タマネギ品種:オホーツク222
エンドファイト菌株:NITE BP-267株(イネ分離菌)
接種日:平成18年5月2日
接種方法:1×10
8個/mlの菌懸濁液を500ml/育苗潅注処理
菌懸濁液の生菌数が1mlあたり10
8個になるよう水で調整した。1葉から3葉期の苗に、菌懸濁液を育苗箱1枚あたり500ml如雨露で潅注することにより処理を行った。
定植日:平成18年5月7日
圃場:北海道富良野市
試験規模:448株(224株×2条)
【0086】
3)結果と考察
【表13】
【0087】
【表14】
【0088】
生育調査は、12株計測し、最高、最低値を除いた10株の平均を算出した。NITE BP-267株接種区で草丈がやや大きい傾向が見られた(表13)。また、収量は、NITE BP-267株の接種区で、球の肥大と、規格内球数が増加し、5%増加していた(表14)。
【0089】
[実施例6]
<NITE BP-267株によるコマツナの生育促進>
1)材料と方法
コマツナ品種:夏楽天
播種日及び接種日:平成25年7月31日
収穫日:平成25年8月23日
試験規模:セルトレー10穴
試験方法:セルトレーに培養土を充填し、種子を2粒ずつ播種し、そこに24時間培養した菌液(生菌数濃度1×10
8〜10
9個/ml)を100μlずつ接種し覆土した。翌日から毎日潅水しガラスハウス内で栽培した。23日間栽培後、地上部を刈り取り、10株をまとめて袋に入れ80℃で2日以上乾燥後、重量を測定した。
【0090】
2)結果
各処理区10株まとめた乾物重量を測定し1株の重量に換算し、結果を表15に示した。括弧内の数値は、無処理区を100としたときの相対値である。その結果、NITE BP-267処理区では無処理区と比較して16.7%重量の増加が見られた。
【0091】
【表15】
【0092】
[実施例7]
<NITE BP-267株によるダイコンの生育促進>
1)方法
ダイコン品種:小太郎
播種日及び接種日:平成25年9月20日
収穫日:平成25年10月11日
試験規模:セルトレー10穴×3列
試験方法:セルトレーに培養土を充填し、種子を2粒ずつ播種し、そこに24時間培養した菌液(生菌数濃度1×10
8〜10
9個/ml)を100μlずつ接種し覆土した。翌日から毎日潅水しガラスハウス内で栽培した。21日間栽培後、地上部を刈り取り、10株をまとめて袋に入れ80℃で2日以上乾燥後、重量を測定した。
【0093】
2)結果
各処理区10株まとめた乾物重量を測定し1株の重量に換算し、3列の値を平均した結果を表16に示した。括弧内の数値は、無処理区を100としたときの相対値である。その結果、NITE BP-267処理区では無処理区と比較して11.1%重量の増加が見られた。
【0094】
【表16】
【0095】
[実施例8]
<NITE BP-267株によるレタスの生育促進>
1)方法
レタス品種:グリーンウエーブ
播種日及び接種日:平成25年7月31日
収穫日:平成25年8月23日
試験規模:セルトレー10穴
試験方法:セルトレーに培養土を充填し、種子を2粒ずつ播種し、そこに24時間培養した菌液(生菌数濃度1×10
8〜10
9個/ml)を100μlずつ接種し覆土した。翌日から毎日潅水しガラスハウス内で栽培した。23日間栽培後、地上部を刈り取り、10株をまとめて袋に入れ80℃で2日以上乾燥後、重量を測定した。
【0096】
2)結果
各処理区10株まとめた乾物重量を測定し1株の重量に換算した結果を表17に示した。括弧内の数値は、無処理区を100としたときの相対値である。その結果、NITE BP-267処理区では無処理区と比較して22.1%重量の増加が見られた。
【0097】
【表17】
【0098】
[実施例9]
<NITE BP-267株によるトマトの生育促進>
1)方法
トマト品種:豊金福寿トマト
播種日及び接種日:平成25年7月31日
収穫日:平成25年8月23日
試験規模:セルトレー10穴
試験方法:セルトレーに培養土を充填し、種子を2粒ずつ播種し、そこに24時間培養した菌液(生菌数濃度1×10
8〜10
9個/ml)を100μlずつ接種し覆土した。翌日から毎日潅水しガラスハウス内で栽培した。23日間栽培後、地上部を刈り取り、10株をまとめて袋に入れ80℃で2日以上乾燥後、重量を測定した。
【0099】
2)結果
各処理区10株まとめた乾物重量を測定し1株の重量に換算した結果を表18に示した。括弧内の数値は、無処理区を100としたときの相対値である。その結果、NITE BP-267処理区では無処理区と比較して6.8%重量の増加が見られた。
【0100】
【表18】
【0101】
[実施例10]
<NITE BP-267株によるネギの生育促進>
1)方法
ネギ品種:万能小ネギ
播種日及び接種日:平成25年9月20日
収穫日:平成25年11月1日
試験規模:セルトレー10穴×3列
試験方法:セルトレーに培養土を充填し、種子を2粒ずつ播種し、そこに24時間培養した菌液(生菌数濃度1×10
8〜10
9個/ml)を100μlずつ接種し覆土した。翌日から毎日潅水しガラスハウス内で栽培した。42日間栽培後、地上部を刈り取り、10株をまとめて袋に入れ80℃で2日以上乾燥後、重量を測定した。
【0102】
2)結果
各処理区10株まとめた乾物重量を測定し1株の重量に換算し、3列の値を平均した結果を表19に示した。括弧内の数値は、無処理区を100としたときの相対値である。その結果、NITE BP-267処理区では無処理区と比較して10.3%重量の増加が見られた。
【0103】
【表19】
【0104】
[実施例11]
<NITE BP-267株によるニンジンの生育促進>
1)方法
ニンジン品種:五寸人参
播種日及び接種日:平成25年9月20日
収穫日:平成25年11月1日
試験規模:セルトレー10穴×3列
試験方法:セルトレーに培養土を充填し、種子を2粒ずつ播種し、そこに24時間培養した菌液(生菌数濃度1×10
8〜10
9個/ml)を100μlずつ接種し覆土した。翌日から毎日潅水しガラスハウス内で栽培した。42日間栽培後、地上部を刈り取り、10株をまとめて袋に入れ80℃で2日以上乾燥後、重量を測定した。
【0105】
2)結果
各処理区10株まとめた乾物重量を測定し1株の重量に換算し、3列の値を平均した結果を表20に示した。括弧内の数値は、無処理区を100としたときの相対値である。その結果、NITE BP-267処理区では無処理区と比較して6.8%重量の増加が見られた。
【0106】
【表20】
【0107】
[実施例12]
<NITE BP-267株によるダイズの生育促進>
1)方法
ダイズ品種:早生枝豆
播種日及び接種日:平成25年9月20日
収穫日:平成25年10月11日
試験規模:セルトレー10穴×3列
試験方法:セルトレーに培養土を充填し、種子を2粒ずつ播種し、そこに24時間培養した菌液(生菌数濃度1×10
8〜10
9個/ml)を100μlずつ接種し覆土した。翌日から毎日潅水しガラスハウス内で栽培した。21日間栽培後、地上部を刈り取り、10株をまとめて袋に入れ80℃で2日以上乾燥後、重量を測定した。
【0108】
2)結果
各処理区10株まとめた乾物重量を測定し1株の重量に換算し、3列の値を平均した結果を表21に示した。括弧内の数値は、無処理区を100としたときの相対値である。その結果、NITE BP-267処理区では無処理区と比較して9.0%重量の増加が見られた。
【0109】
【表21】
【0110】
[実施例13]
<アブラナ科植物の根こぶ病に対する耐病性試験1:ネコブセンチュウ汚染土壌におけるNITE BP-267株接種キャベツの圃場栽培試験>
1)材料と方法
キャベツ品種:新藍(しんらん)
播種日:平成25年7月27日
接種日:平成25年8月10日
調査日:平成26年12月12日
接種方法:生菌数濃度1×10
8個/mlの菌懸濁液を10ml/株噴霧処理
試験規模:育苗箱4枚分 500株程度
測定項目:NITE BP-267株処理区、無処理区各100株のキャベツを対象に根こぶ病の発生程度を目視により5段階で評価した(
図1参照)。
【0111】
2)結果
各処理区100株の被害発生程度の平均を表22に示した。その結果、NITE BP-267株接種区で被害が減少した。括弧内の数値は、無接種区を100としたときの相対値である。
【0112】
【表22】
【0113】
[実施例14]
<アブラナ科植物の根こぶ病に対する耐病性試験2:NITE BP-267株接種コマツナのポット苗栽培試験>
1)材料と方法
コマツナ品種:夏楽天
播種日:平成26年3月11日
接種方法:播種時に24時間培養したNITE BP-267株(生菌数濃度1×10
8〜10
9個/ml)を100μl/セル接種
試験規模:1処理区10株、3反復
実験方法:ネコブセンチュウ汚染土壌を、1セル当たりのネコブセンチュウ密度が50個体になるように調製し、セルあたり3粒コマツナ種子を播種し、24時間培養したNITE BP-267を100μl/セルずつ接種し覆土した。ガラス温室内で栽培し本葉が出始めたら1セルあたり植物を1本に間引きをし、本葉が5枚以上展開するまで栽培した。その後、罹病した根こぶ病の発生の有無を状況を目視にて観察した。
【0114】
2)結果
各処理区3回反復試験を行った。NITE BP-267接種区では根こぶ病の発病率が45%減少していた(表23)。
【0115】
【表23】