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得られた低重合度セルロースエーテルの20℃における2質量%水溶液の粘度が、20mPa・s以下である請求項1〜5いずれか1項に記載の低重合度水溶性セルロースエーテルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に使用することができる木材の樹種は、特に限定されることはないが、ユーカリ、カエデ等の広葉樹のようなパルプ繊維幅が短いものが好ましい。
【0009】
パルプの重合度の指標である固有粘度は、JIS P8215による粘度測定法において、好ましくは900ml/g未満、更に好ましくは800ml/g未満,特に好ましくは700ml/g未満である。固有粘度が900ml/g以上であると、パルプシート自体の白色度が低い可能性があるため、後の工程で得られる低重合度水溶性セルロースエーテルの粉末形態における白色度が低くなる可能性がある。固有粘度の下限は、好ましくは300ml/gである。
固有粘度[η]の測定方法は以下の通りである。
例えば、パルプ試料(供する量は後に得られる[η]×cが3.0±0.1になる量)に蒸留水25mlを加え、更に銅線数片を加え、栓をしてパルプが完全に崩壊するまで振とうし、次に銅エチレンジアミン溶液25.0mlを加え空気を排除した後に密栓する。試料溶液及び毛細管型粘度計を25.0℃に調整し、試料溶液を粘度計に導入し、流出時間t
nを測定し、次の式により粘度比η
relを計算する。
η
rel = h×t
n
ここで、hは、キャリブレーション用粘度計、試料測定用粘度計及びグリセロール溶液を用いて求めた粘度計定数である。
JIS P8215に附属の数表にてη
relから[η]×cを読み取る。別に試料溶液の濃度c(絶乾パルプ濃度)g/mlを計算し、[η]×cをcで除して得られた値を固有粘度[η]ml/gとする。
【0010】
本発明の粉末パルプは、数平均繊維長と数平均繊維幅の積が所定の範囲内になるようにパルプシートを粉砕することにより得られる。パルプ粉砕機は、パルプ粉砕後の数平均繊維長と数平均繊維幅の積が0.004mm
2未満とすることが可能であれば、特に限定されることはないが、ナイフミル、カッティングミル、ハンマーミル及び竪型ローラーミル等の粉砕機を利用することができる。
【0011】
粉砕後の粉末パルプの数平均繊維長と数平均繊維幅の積は、0.004mm
2未満である。数平均繊維長と数平均繊維幅の積が0.004mm
2を越えると、後の工程で得られる低重合度水溶性セルロースエーテルの粉末形態における白色度が低くなる。なお、数平均繊維長と数平均繊維幅の積の下限は特に制限がないが、好ましくは0.001mm
2である。0.001mm
2未満の場合、低重合度水溶性セルロースエーテルの粉末形態における白色度が過度に向上することはなく、また、粉末パルプを得るために大きなエネルギーを必要とするとともに、生産効率も低下してしまう可能性があるためである。
また、粉砕後の粉末パルプの数平均繊維長 数平均繊維幅は使用する木材の樹種によるが、数平均繊維長は、好ましくは0.05〜0.6mm、特に好ましくは0.1〜0.3mmである。また、数平均繊維幅は、好ましくは0.005〜0.050mm、特に好ましくは0.01〜0.04mmである。
数平均繊維長と数平均繊維幅は、JIS P8226に基づいた方法で粉末パルプを希釈液に十分分散させた分散液とし、次にこの分散液50mlをカヤーニ繊維長測定機(メッツォオートメーション社製)のアナライザーにセットし所定の操作を行うことで測定することができる。数平均繊維長と数平均繊維幅は、カヤーニ繊維長測定機内部に組み込まれている画像処理による繊維長分析を行う装置によって測定が行われる。
【0012】
粉砕後の粉末パルプの弛め嵩密度は、定められた容量のカップへ試料を充填、秤量する事で導き出すことができ、好ましくは70〜300g/l、より好ましくは70〜200g/l、更に好ましくは70〜115g/lである。弛め嵩密度が70g/l未満であると、反応機に十分な量のパルプを仕込むことができない場合が多くあり、生産上不利となる可能性がある。また、300g/lを超える弛め嵩密度となるような粉末パルプを得ることは工業的レベルでは困難である可能性がある。
【0013】
粉砕後の粉末パルプの重量平均粒子径D
50は、好ましくは250μm以下であり、より好ましくは30〜230μm、更に好ましくは30〜225μmである。重量平均粒子径D
50が250μmを超えると、粉末パルプの弛め嵩密度の著しい低下に繋がる可能性があるのに加え、反応機内での流動性の低下に繋がる可能性がある。また、重量平均粒子径D
50が30μm未満であると工業的に非効率である可能性がある。粉砕後の粉末パルプの重量平均粒子径D
50は、ロータップ式篩しんとう機に、JIS Z8801に準拠する目開きの異なる複数の試験用篩を設置し、篩の上に粉末パルプを入れ、振動もしくはタッピングさせることで篩い分けを行った後、篩上もしくは篩下質量を測定し質量分布を求め、積算値50%での平均粒子径として測定する。
【0014】
粉砕機で粉砕された粉末パルプは、通常の方法でアルカリ金属水酸化物溶液と接触させることによりアルカリセルロースとする。アルカリ金属水酸化物溶液と接触させる工程は、内部撹拌構造を有する反応機内で行うことが好ましい。また、アルカリ金属水酸化物に特に制限はないが、経済的な観点から水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ金属水酸化物溶液の濃度は、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%である。アルカリ金属水酸化物溶液の濃度が10質量%未満だとアルカリセルロース中の水分が多くなり、後のエーテル化反応効率が低下する可能性がある一方、60質量%を超えると、アルカリセルロース中のアルカリの分布が不均一となり、これによってセルロースエーテル溶液の透明性が低下するため、フィルムコーティング用途に不利となる可能性がある。
アルカリセルロース中のセルロースに対するアルカリ金属水酸化物の質量比は、目的とするエーテル基の置換度により適宜変化させることができるが、通常0.01〜2.0、好ましくは0.5〜1.5である。質量比が0.01未満であるとエーテル基の置換度が低下するため、セルロースエーテル溶液の透明性が低下し、フィルムコーティング用途に不利となる可能性がある。2.0を超えると過剰のアルカリのため、後の工程であるエーテル化反応効率が低下する可能性がある。
【0015】
アルカリセルロースの製造後は、通常の方法でエーテル化剤と接触させてエーテル化反応させ、粗高重合度水溶性セルロースエーテルを得る。本発明における高重合度水溶性セルロースエーテルは、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
高重合度水溶性セルロースエーテルを製造するのに有用なエーテル化剤は公知であり、特に制限はされないが、例えば、塩化メチル、酸化プロピレン、酸化エチレン等が挙げられる。
【0016】
エーテル化反応後の粗高重合度水溶性セルロースエーテルは、通常の方法で精製、乾燥し高重合度水溶性セルロースエーテルを得る。
精製方法及び精製に用いる装置は、特に制限されることはないが、コスト面を考慮した場合、好ましくは水、より好ましくは熱水(好ましくは85〜100℃)を用いて洗浄する。また、洗浄後の高重合度水溶性セルロースエーテル中の灰分は0.5質量%以下であることが好ましい。0.5質量%を超えると、アルカリセルロース製造工程及び/又はエーテル化反応工程で発生する黄色度原因物質の除去が不十分となり、後の工程で得られる低重合度水溶性セルロースエーテルの白色度が低下する可能性がある。
乾燥方法及び乾燥に用いる装置は、特に制限されることはないが、乾燥時の高重合度水溶性セルロースエーテル温度は40〜80℃であることが好ましい。40℃未満であると乾燥に要する時間が長くなるため、生産性が低下する可能性がある。80℃を超えると、後の工程で得られる低重合度水溶性セルロースエーテルの白色度が低下する可能性がある。
【0017】
精製及び乾燥して得られる高重合度水溶性セルロースエーテルの20℃における2質量%水溶液の粘度は、好ましくは20mPa・sを超え、より好ましくは50〜3000mPa・s、さらに好ましくは100〜2000mPa・s、特に好ましくは500〜1700mPa・sである。高重合度水溶性セルロースエーテルの20℃における2質量%水溶液の粘度の測定は、粘度が600mPa・s以上の場合はJIS Z8803に従いB型粘度計を用いて測定することができ、粘度が600mPa・s未満の場合はJIS K2283−1993に従い、ウベローデ型粘度計を用いて測定することができる。
【0018】
乾燥終了後の高重合度水溶性セルロースエーテルは、所定の大きさに粉砕される。高重合度水溶性セルロースエーテルの粉砕方法や粉砕に用いられる装置は、特に制限されることはないが、短時間で粉砕できる粉砕方式が好ましい。長時間粉砕機の中で粉体が滞留すると、後の工程で得られる低重合度水溶性セルロースエーテルの白色度が低下する可能性がある。短時間で粉砕できる粉砕機は、例えば、ターボミル(ターボ工業社製)、PPSR(パルマン社製)、ビクトリーミル(ホソカワミクロン社製)といった衝撃粉砕機が挙げられる。
粉砕後の高重合度水溶性セルロースエーテルの体積平均粒子径D
50は、解重合の均一性を制御する点から、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは20〜100μm、更に好ましくは30〜70μmである。 なお、体積平均粒子径とは、体積換算粒子径であり、例えば「改訂増補粉体物性図説」粉体工学会・日本粉体工業技術協会編、日経技術図書、1985年、第88頁に記載されているように、式{Σ(nD
3)/Σn}
1/3を用いて計算される。式中、Dは粒子の直径、nはその直径の粒子数、Σnは全粒子数を表す。D
50は粒度分布の累積50%の粒子径(平均粒子径)を意味する。平均粒子径は、乾式レーザー回折法により測定できる。例えば、英国Malvern社製のマスターサイザー3000やドイツSympatec社のHELOS装置を用いた方法のように、圧縮空気で粉体サンプルを噴出させたものにレーザー光を照射し、その回折強度により体積換算平均粒子径を測定できる。
【0019】
粉砕後の高重合度水溶性セルロースエーテルに解重合を行うことで、低重合度水溶性セルロースエーテルを得る。解重合の方法は、酸触媒を用いた加水分解による解重合、もしくは酸化剤を用いた酸化分解による解重合があるが、好ましくは、酸触媒を用いた加水分解による解重合である。
また、酸触媒を用いた加水分解による解重合に使用される酸として、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸等の無機酸が挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。特に酸を中和する際に生成する塩の安全面という観点から、塩酸が好ましい。
酸の系内への添加は、ガス状態での添加もしくは溶液の状態での添加があるが、好ましくは溶液の状態の添加である。添加する酸の質量は、セルロースエーテルの質量を基準として好ましくは0.1〜3.0質量%、より好ましくは0.15〜1.5質量%である。3.0質量%を超えると低重合度水溶性セルロースエーテルの白色度が低下する可能性がある。また、0.1質量%未満であると解重合処理時間の延長に繋がる可能性がある。
【0020】
酸触媒を用いた加水分解による解重合時の前、途中及び/又は後に、系内へ酸化剤を添加して酸化分解による解重合を行うことができる。酸化剤を用いた酸化分解による解重合に使用される酸化剤として、好ましくは、過酸化水素及びその塩、並びに他の過酸化化合物、例えば過硫酸ナトリウム、過ホウ酸塩、亜塩素酸ナトリウム、ハロゲン及びハロゲン化合物が挙げられ、より好ましくは過酸化水素である。添加する酸化剤の質量は、セルロースエーテルの質量を基準として好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.02〜5.0質量%である。
系内への最適量の酸化剤の添加によって、解重合後の低重合度水溶性セルロースエーテルの白色度を高める可能性があるが、本発明における白色度の高い低重合度水溶性セルロースエーテルを製造するためには、系内への酸化剤の添加は必ずしも必要ではない。
【0021】
解重合時の内温は、好ましくは50〜130℃、より好ましくは60〜110℃、更に好ましくは、60〜90℃である。内温が130℃を超えると低重合度水溶性セルロースエーテルの白色度が低下する可能性がある。また、50℃未満であると解重合処理時間の延長に繋がる可能性がある。
解重合時間は、解重合前の高重合度水溶性セルロースエーテル、及び解重合後の低重合度水溶性セルロースエーテルの20℃における2質量%水溶液の粘度、及び解重合操作条件から設定することが好ましい。
【0022】
解重合後の系内に存在する酸触媒は、可能な限り除去されることが好ましい。系内からの除去は、好ましくは真空ポンプ等の装置による系内に存在する酸触媒を含む気体の脱気による方法である。酸触媒の除去を行わないと、解重合による重合度の制御が困難となる可能性がある。
【0023】
解重合後に得られる低重合度水溶性セルロースエーテルの20℃における2質量%水溶液の粘度は、好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは2〜18mPa・s、更に好ましくは3〜15mPa・sである。20mPa・sを超えるとフィルムコーティングする際の溶液粘度が高くなり、ハンドリングに困難が生じる可能性がある。低重合度水溶性セルロースエーテルは、JIS K2283−1993に従い、ウベローデ型粘度計を用いて測定することができる。
解重合後の粘度の低下率は、特に限定されないが、好ましくは、90〜99.9%、より好ましくは、95〜99.9%である。ここで、解重合後の粘度の低下率とは、(解重合前の粘度−解重合後の粘度)/解重合前の粘度で定義される。
【0024】
低重合度水溶性セルロースエーテルをフィルムコーティング用組成物として用いる場合は、低重合度水溶性セルロースエーテルを溶媒に溶解させて用いる。溶媒の種類は、低重合度水溶性セルロースエーテルを溶解させることができれば特に制限されないが、好ましくは有機溶媒、水又は有機溶媒と水との混合溶媒であり、安全性及び環境面を考慮した場合、特に好ましくは精製水である。
また、フィルムコーティング用組成物中に含まれるセルロースエーテルの量は、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%である。30質量%を越えると、フィルムコーティング用組成物の粘度が高くなりハンドリングに困難が生じる可能性がある一方、0.5質量%未満であると、コーティングに長時間要してしまう可能性がある。
【0025】
また、フィルムコーティング用組成物として必要に応じて添加剤を含有することができる。添加剤の種類は特に制限されることはなく、フィルムコーティング用途の目的によって調整することが好ましい。
フィルムコーティング用組成物の配合処方は、摩損防止、印刷適性の向上、衝撃強度の向上等といった目的に応じて調整することが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
固有粘度が650ml/gであるユーカリを原料とするウッドパルプのパルプシートをカッティングミル(ホーライ社製)で粉砕し粉末パルプ12.5kgを得た。この粉末パルプをパウダーテスタ(ホソカワミクロン社製)で弛め嵩密度を測定したところ、72g/Lであった。また、ロータップ式篩しんとう機を用いた篩い分け法による重量平均粒子径D
50を測定したところ190μmであった。次に、粉末パルプを繊維長測定機カヤーニFS300(メッツォオートメーション社製)で数平均繊維長と数平均繊維幅を測定したところ、数平均繊維
幅は0.012mm、数平均繊維
長は0.15mmであり、数平均繊維長と数平均繊維幅の積は0.0018mm
2であった。
この粉末パルプの内、セルロース分で6.0kgを内部撹拌式耐圧反応機に仕込み、真空引き後、49質量%水酸化ナトリウム水溶液15.4kgを加えて撹拌し、アルカリセルロースを得た。続いて、塩化メチル12.4kg、酸化プロピレン2.8kgを加えて反応させ、洗浄、乾燥、粉砕を経て高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースのレーザー回折・散乱法(Malvern社製のマスターサイザー3000)によって求めた粒度分布における積算値50%での体積平均粒子径D
50は49μmであり、20℃における2質量%水溶液の粘度は510mPa・sであった。
この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースに、12質量%塩酸水溶液をヒドロキシプロピルメチルセルロースに対し0.030質量%となるように添加し、内温75℃となるように温調し、110分間解重合を行った。その後、系内の塩酸を脱気し、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。解重合後の低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの2質量%水溶液粘度は20℃で5.2mPa・sで、溶液のpHは6.8であった。低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、8.5であった。このYI値を白度の指標とした。
次に、得られた低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの6質量%水溶液を調整しコーティング用組成物とした。このコーティング用組成物を用いて直径が6.5mm、1錠あたりの質量が120mgの乳糖及びコーンスターチを主成分とする白色錠剤に、錠剤1錠あたり3.6mgのコーティングを行った。コーティングはニューハイコーター(フロイント産業社製)を用いて行った。コーティング装置の大きさは480mm、コーティング時の回転数は16min
−1とした。また、スプレー速度は30.0g/minとし、コーティング時間は80分間、コーティング液使用量は2400gとした。コーティングした錠剤を前記のSMカラーコンピューターで黄色度を測定したところ、4.3であった。得られた結果を表1に示す。
【0027】
実施例2
カッティングミルの替わりに竪型ローラミル(IHI社製)を用いて、固有粘度が625ml/gであるユーカリを原料とするウッドパルプのパルプシートを粉砕した。この粉末パルプの弛め嵩密度は、105g/Lであった。また、ロータップ式篩しんとう機を用いた篩い分け法による重量平均粒子径D
50を測定したところ、150μmであった。更に、数平均繊維
幅は0.012mm、数平均繊維
長は0.20mmであり、数平均繊維長と数平均繊維幅の積は0.0024mm
2であった。
この粉末パルプを用いて、実施例1と同様の方法で高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルを得た。この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースのレーザー回折・散乱法(Malvern社製のマスターサイザー3000)によって求めた粒度分布における積算値50%での体積平均粒子径D
50は50μmであり、20℃における2質量%水溶液の粘度は540mPa・sであった。
この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを実施例1と同様の方法で解重合を行い、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。解重合後の低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの20℃における2質量%水溶液の粘度は5.2mPa・sで、溶液のpHは6.7であった。また、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末の黄色度を測定したところ、8.6であった。
次に、実施例1と同様の方法で白色錠剤にコーティングを行ったところ、コーティングした錠剤の黄色度は4.5であった。得られた結果を表1に示す。
【0028】
実施例3
カッティングミルのスクリーン目開きを大きくした以外は、実施例1と同様の方法で固有粘度が625ml/gであるユーカリを原料とするウッドパルプのパルプシートを粉砕した。この粉末パルプの弛め嵩密度は60g/Lであった。また、ロータップ式篩しんとう機を用いた篩い分け法による重量平均粒子径D
50を測定したところ、225μmであった。更に、数平均繊維
幅は0.013mm、数平均繊維
長は0.23mmであり、数平均繊維長と数平均繊維幅の積は0.0030mm
2であった。
この粉末パルプの内、セルロース分で4.0kgを内部撹拌式耐圧反応機に仕込み、真空引き後、49質量%水酸化ナトリウム水溶液10.3kgを加えて撹拌し、アルカリセルロースを得た。続いて、塩化メチル8.27kg、酸化プロピレン1.87kgを加えて反応させ、洗浄、乾燥、粉砕を経て高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースのレーザー回折・散乱法(Malvern社製のマスターサイザー3000)によって求めた粒度分布における積算値50%での体積平均粒子径D
50は52μmであり、20℃における2質量%水溶液の粘度は755mPa・sであった。
この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを実施例1と同様の方法で解重合を行い、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。解重合後の低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの20℃における2質量%水溶液の粘度は5.6mPa・sであり、溶液のpHは6.8であった。また、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末の黄色度を測定したところ、9.0であった。
次に、実施例1と同様の方法で白色錠剤にコーティングを行ったところ、コーティングした錠剤の黄色度は4.9であった。得られた結果を表1に示す。
【0029】
実施例4
実施例1と同様の方法で固有粘度が830ml/gであるスプルースを原料とするウッドパルプのパルプシートを粉砕した。この粉末パルプの弛め嵩密度は120g/Lであった。また、ロータップ式篩しんとう機を用いた篩い分け法による重量平均粒子径D
50を測定したところ、95μmであった。更に、数平均繊維
幅は0.020mm、数平均繊維
長は0.19mmであり、数平均繊維長と数平均繊維幅の積は0.0038mm
2であった。
この粉末パルプを用いて、実施例1と同様の方法で高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルを得た。この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースのレーザー回折・散乱法(Malvern社製のマスターサイザー3000)によって求めた粒度分布における積算値50%での体積平均粒子径D
50は53μmであり、20℃における2質量%水溶液の粘度は1510Pa・sであった。
この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを実施例1と同様の方法で解重合を行い、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。解重合後の低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの20℃における2質量%水溶液の粘度は5.2mPa・sであり、溶液のpHは6.9であった。また、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末の黄色度を測定したところ、8.5であった。
次に、実施例1と同様の方法で白色錠剤にコーティングを行ったところ、コーティングした錠剤の黄色度は4.6であった。得られた結果を表1に示す。
【0030】
比較例1
固有粘度が830ml/gであるスプルースを原料とするウッドパルプのパルプシートを用いて、実施例3と同様の方法でパルプシートを粉砕した。この粉末パルプの弛め嵩密度は71g/Lであった。また、ロータップ式篩しんとう機を用いた篩い分け法による重量平均粒子径D
50を測定したところ160μmであった。更に、数平均繊維
幅は0.021mm、数平均繊維
長は0.229mmであり、数平均繊維長と数平均繊維幅の積は0.0048mm
2であった。
この粉末パルプを用いて実施例1と同様の方法で高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルを得た。この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースレーザー回折・散乱法(Malvern社製のマスターサイザー3000)によって求めた粒度分布における積算値50%での体積平均粒子径D
50は51μmであり、20℃における2質量%水溶液の粘度は1950mPa・sであった。
この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを実施例1と同様の方法で解重合を行い、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。解重合後の低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの20℃における2質量%水溶液の粘度は5.5mPa・sで、溶液のpHは6.6であった。また、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末の黄色度を測定したところ9.6であった。
次に、実施例1と同様の方法で白色錠剤にコーティングを行ったところ、コーティングした錠剤の黄色度は5.8であった。得られた結果を表1に示す。
【0031】
比較例2
固有粘度が790ml/gであるスラッシュパインのパルプシートを用いて、実施例3と同様の方法でパルプシートを粉砕した。この粉末パルプの弛め嵩密度は99g/Lであった。また、ロータップ式篩しんとう機を用いた篩い分け法による重量平均粒子径D
50を測定したところ、120μmであった。更に、数平均繊維
幅は0.027mm、数平均繊維
長は0.248mmであり、数平均繊維長と数平均繊維幅の積は0.0067mm
2であった。
この粉末パルプを用いて実施例1と同様の方法で高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルを得た。この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースのレーザー回折・散乱法(Malvern社製のマスターサイザー3000)によって求めた粒度分布における積算値50%での体積平均粒子径D
50は49μmであり、20℃における2質量%水溶液の粘度は1750mPa・sであった。
この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを実施例1と同様の方法で解重合を行い、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。解重合後の低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの2質量%水溶液粘度は20℃で5.3mPa・sであり、溶液のpHは6.7であった。また、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末の黄色度を測定したところ10.5であった。
次に、実施例1と同様の方法で白色錠剤にコーティングを行ったところ、コーティングした錠剤の黄色度は6.1であった。得られた結果を表1に示す。
【0032】
比較例3
固有粘度が590ml/gであるスラッシュパインのパルプシートを用いて、実施例3と同様の方法でパルプシートを粉砕した。この粉末パルプの弛め嵩密度は105g/Lであった。また、ロータップ式篩しんとう機を用いた篩い分け法による重量平均粒子径D
50を測定したところ、110μmであった。また、数平均繊維
幅は0.027mm、数平均繊維
長は0.207mmであり、数平均繊維長と数平均繊維幅の積は0.0056mm
2であった。
この粉末パルプを用いて実施例1と同様の方法で高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルを得た。この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースのレーザー回折・散乱法(Malvern社製のマスターサイザー3000)によって求めた粒度分布における積算値50%での体積平均粒子径D
50は55μmであり、20℃における2質量%水溶液の粘度は650mPa・sであった。
この高重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを実施例1と同様の方法で解重合を行い、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。解重合後の低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの20℃における2質量%水溶液の粘度は5.3mPa・sであり、溶液のpHは6.7であった。また、低重合度ヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末の黄色度を測定したところ、11.5であった。
次に、実施例1と同様の方法で白色錠剤にコーティングを行ったところ、コーティングした錠剤の黄色度は6.9であった。得られた結果を表1に示す。
【0033】
【表1】