(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(ii)において、液体溶媒系が水、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオール及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
(iii)の前にも、その実施中にも、その後にも、ゼオライト材料を蒸気処理にかけず、及び/又は(iii)の実施中にも、その後にも、ゼオライト材料を5.5より低い若しくは8より高いpHを有する水溶液による処理にかけず、(iii)に用いる水性系のpHを、pH感受性ガラス電極を用いて測定する、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
工程(i)
本発明によれば、(i)において準備するゼオライト材料のMWW骨格構造に含まれるX
2O
3及びYO
2は、骨格構造により形成された細孔及び空洞中に存在し得る非骨格要素と対照的に、構造構築要素としてそれに含まれる。
【0014】
一般的に、MWW骨格構造を有するゼオライト材料が(i)においてどのようにして準備されるかについての特定の制約はない。例えば、MWW骨格構造を有する適切な商業的に入手できるゼオライト材料を購入することが考えられる。さらに、例えば、ゼオライト材料を準備するためにそのようなゼオライトを合成するための考えられる方法を用いることができる。好ましくは、構造指向剤とも呼ばれる適切な鋳型化合物の存在下でX
2O
3及びYO
2の適切な源から出発してゼオライト材料を水熱合成することを含む方法により、(i)においてゼオライト材料を準備する。
【0015】
一般的に、(i)において準備するゼオライト材料の骨格構造は、X
2O
3及びYO
2を含む。好ましくは、X
2O
3及びYO
2の適切な源は、(i)において準備するゼオライト材料の骨格構造の少なくとも75質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%がX
2O
3及びYO
2からなるような量で用い、水熱合成条件にかける。
【0016】
一般的に、X
2O
3及びYO
2は、0.02:1より大きい、好ましくは少なくとも0.03:1、より好ましくは0.03:1〜0.07:1、より好ましくは0.03:1〜0.06:1、より好ましくは0.03:1〜0.05:1の範囲内のX
2O
3:YO
2モル比でMWW骨格構造を有するゼオライト材料に含めることができる。
【0017】
4価元素Yの化学的性質に関する特定の制約はないが、本発明による好ましい4価元素Yは、Si、Ti、Sn、Zr、Ge及びそれらの2種以上の組合せを含むが、これらに限定されない。より好ましくは、Yは、Si、Ti、Sn、Zr、Ge及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される。より好ましくは、Yは、Si、Ti、Sn、Zr及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される。より好ましくは、Yは、Siである。
【0018】
3価元素Xの化学的性質に関する特定の制約はないが、本発明による好ましい3価元素は、Al、B、In、Ga、Fe及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。より好ましくは、Xは、Al、B、In、Ga、Fe及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される。より好ましくは、Xは、Al、B、In及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される。より好ましくは、Xは、Al、B又はそれらの組合せである。より好ましくは、Xは、Bである。
【0019】
したがって、本発明は、YがSi、Ti、Sn、Zr、Ge及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、Yが好ましくはSiであり、XがAl、B、In、Ga、Fe及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、Xが好ましくはBである、上記の方法に関する。
【0020】
したがって、好ましい実施形態によれば、骨格構造の少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%がB
2O
3及びSiO
2からなり、B
2O
3:SiO
2モル比が0.02:1より大きい、より好ましくは少なくとも0.03:1である、より好ましくは0.03:1〜0.07:1、より好ましくは0.03:1〜0.06:1、より好ましくは0.03:1〜0.05:1の範囲である、MWW骨格構造を有するゼオライト材料を(i)において準備する。この材料はB−MWWとも呼ばれる。
【0021】
より好ましくは、ゼオライト材料は、(i)において、
(a)少なくとも1種のケイ素源、少なくとも1種のホウ素源並びに好ましくはピペリジン、ヘキサメチレンイミン、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアンモニウムイオン、1,4−ビス(N−メチルピロリジニウム)ブタン、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘプチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の鋳型化合物を含む合成混合物からゼオライト材料を水熱合成して、その母液中のゼオライト材料を得る工程と、
(b)その母液からゼオライト材料を分離する工程と
を含む方法により準備する。
【0022】
(a)によれば、適切なケイ素源は、フュームドシリカ又はアンモニア安定化コロイドシリカなどのコロイドシリカを含み、アンモニア安定化コロイドシリカが特に好ましい。適切なホウ素源は、例えば、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ素ハロゲン化物、B
2O
3を含み、ホウ酸が特に好ましい。
【0023】
したがって、より好ましくは、ゼオライト材料は、(i)において、
(a)ケイ素源としてのアンモニア安定化コロイドシリカ、ホウ素源としてのホウ酸並びにピペリジン、ヘキサメチレンイミン、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアンモニウムイオン、1,4−ビス(N−メチルピロリジニウム)ブタン、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘプチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の鋳型化合物を含む合成混合物からゼオライト材料を水熱合成して、その母液中のゼオライト材料を得る工程と、
(b)その母液からゼオライト材料を分離する工程と
を含む方法により準備する。
【0024】
さらに(a)によれば、適切な出発混合物、好ましくは水性混合物を自生圧力下での水熱合成にかけ、ゼオライト材料は、水熱合成中に結晶化する。結晶化の目的のために、少なくとも1種の適切な晶結剤(seeding material)を用いることが考えられる。好ましくは、結晶化時間は、3〜8日、より好ましくは4〜6日の範囲である。水熱合成中に、結晶化混合物を撹拌することができる。結晶化時にかける温度は、好ましくは160〜200℃、より好ましくは160〜180℃の範囲である。述べた好ましい組成を有する上述のB−MWWを得ることができるような量の前駆体化合物を適切に選択する。
【0025】
水熱合成後に、得られたMWW骨格構造を有するゼオライト材料を(b)によりその母液から適切に分離する。その母液からMWW骨格構造を有するゼオライト材料を分離するすべての方法を想定できる。これらの方法は、例えば、ろ過、限界ろ過、透析ろ過及び遠心分離法、又は例えば、噴霧乾燥法及び噴霧造粒法などである。これらの方法の2つ以上の組合せを適用することができる。本発明によれば、MWW骨格構造を有するゼオライト材料は、好ましくはろ過によりその母液から分離し、このようにして得られた、例えば、ろ過ケーキの形の物質を、50℃まで、好ましくは15〜35℃、より好ましくは20〜30℃の範囲の温度での好ましくは洗浄、好ましくは水による洗浄にかける。その後、適切な懸濁液を得るために場合によってさらに処理した、ろ過ケーキを噴霧乾燥又は限界ろ過にかける。MWW骨格構造を有するゼオライト材料をその母液から分離する前に、懸濁液を濃縮することによって母液のMWW骨格構造を有するゼオライト材料の含量を増加させることが可能である。適用される通りに洗浄する場合、洗浄水が最大限でも1000マイクロジーメンス/cm、より好ましくは最大限でも850マイクロジーメンス/cm、より好ましくは最大限でも700マイクロジーメンス/cmの伝導率を有するまで洗浄工程を継続することが好ましい。
【0026】
好ましくはろ過による、懸濁液からのMWW骨格構造を有するゼオライト材料の分離後、及び好ましくは洗浄後に、洗浄済みゼオライト材料を好ましくは4〜10時間、より好ましくは5〜8時間の範囲の時間にわたり例えば、空気、希薄空気(lean air)又は工業用窒素などの適切な気流にさらすことによる、前乾燥に場合によってかける。
【0027】
次いで、場合によって前乾燥したろ過ケーキを好ましくは乾燥する。好ましくは、乾燥は、工業用窒素、空気又は希薄空気などの適切な雰囲気中で100〜300℃、より好ましくは150〜275℃、より好ましくは200〜250℃の範囲の温度で行う。そのような乾燥は、例えば、適切な乾燥オーブン内で、又は噴霧乾燥により、遂行することができる。乾燥を噴霧乾燥により遂行する場合、乾燥ガス入口温度は、好ましくは200〜250℃、より好ましくは220〜250℃の範囲であり、乾燥ガス出口温度は、好ましくは100〜175℃、より好ましくは120〜150℃の範囲である。噴霧乾燥を行う場合、場合によって濃縮後の、ゼオライト材料を含む母液を噴霧乾燥に直接かけることが考えられる。さらに、洗浄され、場合によって前乾燥されたゼオライト材料の場合によって適切な再懸濁の後に、分離され、洗浄されたゼオライト材料を噴霧乾燥にかけることが考えられる。
【0028】
したがって、本発明はまた、(b)がゼオライト材料の乾燥、好ましくは噴霧乾燥を含み、噴霧乾燥中、乾燥ガス入口温度が好ましくは200〜250℃の範囲であり、乾燥ガス出口温度が好ましくは100〜175℃の範囲である、上述の方法に関する。
【0029】
好ましい乾燥の後に、MWW骨格構造を有するゼオライト材料を場合によって焼成にかける。焼成中、少なくとも1種の鋳型化合物が骨格構造から好ましくは少なくとも部分的に、より好ましくは本質的に除去される。好ましい焼成温度は、工業用窒素、空気又は希薄空気などの適切な雰囲気中400〜700℃、より好ましくは500〜675℃、より好ましくは550〜650℃の範囲である。好ましい焼成時間は、0.5〜12時間、より好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜6時間の範囲である。
【0030】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、(ii)の前に、(i)において準備したゼオライト材料を、場合によって噴霧乾燥後に、好ましくは400〜700℃、より好ましくは550〜650℃の範囲の温度での、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜6時間の範囲の期間にわたる焼成にかける。
【0031】
(i)において準備したゼオライト材料は、11〜25質量%、好ましくは16〜20質量%の範囲の本発明の参照例1で述べる方法により測定される好ましい水取り込み量を有する。本発明の参照例2で述べる方法により測定される、(i)において準備したゼオライト材料の結晶化度は、好ましくは50〜100%、好ましくは60〜90%、より好ましくは70%〜85%の範囲である。
【0032】
工程(ii)
本発明によれば、(i)において準備した、MWW骨格構造を有するゼオライト材料、特に好ましくは分離され、噴霧乾燥され、焼成されたゼオライト材料を液体溶媒系による処理(ii)にかけ、それにより、最大限でも0.02:1のX
2O
3:YO
2モル比を有するゼオライト材料を得、ゼオライト材料を液体溶媒系から少なくとも部分的に分離する。
【0033】
一般的に、(ii)に用いる液体溶媒系の化学的性質に関する特定の制約は存在しない。したがって、(i)において準備したゼオライト材料のX
2O
3:YO
2モル比を最大限でも0.02:1の値に低下させるために酸性水性系を用いることが考えられる。酸として、液体溶媒系は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸及び酒石酸を含み得る。好ましくは、(ii)に用いる液体溶媒系は、水、一価アルコール、多価アルコール及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。一価アルコール及び多価アルコールに関しては、特定の制約は存在しない。好ましくは、これらのアルコールは、1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜5個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を含む。多価アルコールは、好ましくは2〜5個のヒドロキシル基、より好ましくは2〜4個のヒドロキシル基、好ましくは2〜3個のヒドロキシル基を含む。特に好ましい一価アルコールは、メタノール、エタノール及び1−プロパノール及び2−プロパノールのようなプロパノールである。特に好ましい多価アルコールは、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオールである。上述の化合物の2種以上の混合物を用いる場合、これらの混合物が水並びに少なくとも1種の一価及び/又は少なくとも1種の多価アルコールを含むことが好ましい。最も好ましくは、液体溶媒系は、水からなる。したがって、本発明は、液体溶媒系が水、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオール及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは水である、上文で規定した方法及びそれにより得られる又は得られたゼオライト材料に関する。
【0034】
さらに、液体溶媒系が無機酸若しくは有機酸又はそれらの塩を含まないことが特に好ましく、酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸及び酒石酸からなる群から選択される。したがって、本発明はまた、液体溶媒系が水、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオール及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは水であり、液体溶媒系が無機酸若しくは有機酸又はそれらの塩を含まず、酸が塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸及び酒石酸からなる群から選択される、上記の方法に関する。さらにより好ましくは、本発明はまた、液体溶媒系が水、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオール及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは水であり、液体溶媒系が無機酸若しくは有機酸又はそれらの塩を含まない、上記の方法に関する。
【0035】
(ii)による反応条件は、特に制限されず、ただし、上記の溶媒系は、その液体状態であり、X
2O
3:YO
2モル比は、最大でも0.02:1の値に低下する。特に、下記の好ましい温度に関して、当業者は、溶媒系をその液体状態に維持するために処理が行われるそれぞれの圧力を選択する。
【0036】
(ii)による処理の継続時間に関しては、特定の制約は存在しない。上記の時間は、液体溶媒系が下記の処理温度のもとに維持される時間として理解すべきである。好ましくは、(ii)において、処理は、6〜20時間、好ましくは7〜17時間、より好ましくは8〜12時間の期間にわたり行う。好ましい処理温度は、50〜125℃、好ましくは90〜115℃、より好ましくは95〜105℃の範囲である。最も好ましくは、(ii)による処理は、溶媒系の沸点において行う。溶媒系が2つ以上の成分から構成されている場合、(ii)による処理は、好ましくは最低の沸点を有する成分の沸点において行う。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によれば、(ii)による処理は、還流下で行う。したがって、(ii)による処理に用いられる、開放系である、好ましい容器は、好ましくは還流冷却器が備えられている。(ii)による処理中、液体溶媒系の温度は、本質的に一定に維持するか又は変化させ、したがって、液体溶媒系による処理は、2つ以上の異なる温度で行われる。最も好ましくは、温度は、上で規定した範囲内に本質的に一定に維持する。
【0038】
したがって、本発明は、
(ii)(i)において準備したゼオライト材料を開放系において還流下で95〜105℃の範囲の温度で液体溶媒系、好ましくは水で処理し、それにより、最大限でも0.02:1のX
2O
3:YO
2、好ましくはB
2O
3:SiO
2モル比を有するゼオライト材料を得る工程と、ゼオライト材料を液体溶媒系から少なくとも部分的に分離する工程とを含む、上記の方法に関する。
【0039】
液体溶媒系の量に対して用いられるゼオライト材料の量に関する限りは、特定の制約は存在しない。好ましくは、液体溶媒系に対するゼオライト材料の質量比は、1:5〜1:50、より好ましくは1:10〜1:35、より好ましくは1:10〜1:20、さらにより好ましくは1:12〜1:18の範囲である。
【0040】
(ii)による処理中、液体溶媒系を適切に撹拌することがさらに好ましい。(ii)による処理中、撹拌速度を本質的に一定に維持するか又は変化させ、したがって、(ii)による液体溶媒系による処理は、2つ以上の異なる撹拌速度で行う。最も好ましくは、MWW骨格構造を有するゼオライト材料を第1の撹拌速度で液体溶媒系に懸濁し、上記の温度での処理中に、撹拌速度を変化させる、好ましくは増加させる。撹拌速度は、例えば、液体溶媒系の体積、用いるゼオライト材料の量、所望の温度などによって、そのように適切に選択することができる。好ましくは、上記の温度においてMWW骨格構造を有するゼオライト材料の処理が行われているもとでの撹拌速度は、好ましくは50〜300r.p.m.(1分当たりの回転数)、より好ましくは150〜270r.p.m.、より好ましくは240〜260r.p.m.の範囲である。
【0041】
本発明の考えられる実施形態によれば、(ii)による処理は、少なくとも2つの工程の間に、(ii)による所定の処理から得られるゼオライト材料を好ましくは90〜200℃、より好ましくは100〜150℃の範囲の温度における乾燥にかけ、それにより乾燥した物質を(ii)によるさらなる処理にかける、2つ以上の工程で行うことができる。(ii)による個々の処理工程及び適用される条件に関しては、上記の条件を完全に参照する。処理時間に関しては、個別の工程の処理時間の合計を上記の処理時間と理解するものとする。少なくとも2つの個別の処理工程のそれぞれについて、同じ又は異なる処理条件を適用することができる。したがって、本発明は、(ii)による処理を少なくとも2つの別個の工程で行い、少なくとも2つの工程の間に、ゼオライト材料を好ましくは100〜150℃の範囲の温度で乾燥する、上文で規定した方法及びそれにより得られる又は得られたゼオライト材料に関する。適切な乾燥雰囲気は、工業用窒素、空気又は希薄空気を含む。
【0042】
(ii)による処理の後に、得られたMWW骨格構造を有するゼオライト材料を懸濁液から適切に分離する。それぞれの懸濁液からMWW骨格構造を有するゼオライト材料を分離するすべての方法を想定できる。これらの方法は、例えば、ろ過、限界ろ過、透析ろ過及び遠心分離法、又は例えば、噴霧乾燥法及び噴霧造粒法などである。これらの方法の2つ以上の組合せを適用することができる。本発明によれば、MWW骨格構造を有するゼオライト材料を好ましくはろ過により懸濁液から分離する。好ましくは、好ましくは水による洗浄にかけることが好ましいろ過ケーキが得られる。洗浄を適用する場合、洗浄水が最大限でも1000マイクロジーメンス/cm、より好ましくは最大限でも850マイクロジーメンス/cm、より好ましくは最大限でも700マイクロジーメンス/cmの伝導率を有するまで洗浄工程を継続することが好ましい。
【0043】
一般的に、本発明の方法は、(ii)で得られたMWW骨格構造を有するゼオライト材料の後処理並びに/又はさらなる物理的及び/若しくは化学的変換のためのさらなる工程を場合によって含み得る。得られたゼオライト材料は、例えば、一連の単離及び/又は洗浄処置にかけることはでき、ゼオライト材料は、少なくとも1つの単離及び少なくとも1つの洗浄処置にかけることが好ましい。
【0044】
好ましくはろ過により達成される、懸濁液からのMWW骨格構造を有するゼオライト材料の分離の後、及び洗浄の後、例えば、ろ過ケーキを空気、希薄空気又は窒素などの適切な気流、好ましくは窒素流にさらすことによって、MWW骨格構造を有するゼオライト材料を含む洗浄済みろ過ケーキを場合によって乾燥にかける。したがって、(iii)の前の本発明の特定の好ましい実施形態によれば、ゼオライト材料を乾燥にかける。乾燥の継続時間及び温度に関しては、特定の制約は存在しない。好ましくは、乾燥は、100〜180℃、好ましくは120〜150℃の範囲の温度で、10〜70時間、好ましくは15〜25時間の範囲の期間にわたり行う。噴霧乾燥を行う場合、ゼオライト材料を含む液体溶媒系を場合によって濃縮後に噴霧乾燥に直接かけることが考えられる。さらに、洗浄され、場合によって前乾燥されたゼオライト材料の場合によって適切な再懸濁の後に、分離及び洗浄済みゼオライト材料を噴霧乾燥にかけることが考えられる。
【0045】
好ましくはろ過による懸濁液からのゼオライト材料の分離後に、好ましくは洗浄後及び乾燥前に、洗浄済みゼオライト材料は、例えば、空気、希薄空気又は窒素などの適切な気流、好ましくは窒素流に好ましくは4〜10時間、より好ましくは5〜8時間の範囲の時間にわたりさらすことにより、前乾燥にかけることができる。
【0046】
(ii)によれば、好ましくは乾燥済みゼオライト材料を焼成に場合によってかける。好ましくは、焼成は、空気、希薄空気又は窒素などの適切な雰囲気中で400〜700℃、好ましくは550〜650℃の範囲の温度で、1〜10時間、好ましくは2〜6時間の範囲の期間にわたり行う。
【0047】
本発明によれば、液体溶媒系を用いる(ii)による処理により、ゼオライト材料の骨格のX
2O
3:YO
2のモル比が低下する。したがって、それは、MWW骨格構造からXを少なくとも部分的に除去するための処置である。したがって、(ii)から得られるMWW骨格構造を有するゼオライト材料のX
2O
3:YO
2モル比は、(i)で準備したMWW骨格構造を有するゼオライト材料のX
2O
3:YO
2モル比より高い。本発明の好ましい実施形態によれば、(ii)において得られるX
2O
3:YO
2モル比は、最大限でも0.02:1、好ましくは0.001:1〜0.01:1、より好ましくは0.001:1〜0.005:1、より好ましくは0.001:1〜0.003:1の範囲である。したがって、本発明の特に好ましい実施形態によれば、最大限でも0.02:1、好ましくは最大限でも0.01:1の、より好ましくは0.001:1〜0.01:1、より好ましくは0.001:1〜0.005:1、より好ましくは0.001:1〜0.003:1の範囲であるB
2O
3:SiO
2モル比を有するMWW骨格構造を有するゼオライト材料が(ii)から得られる。
【0048】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、(ii)から得られるゼオライト材料は、粉末の形、好ましくは噴霧粉末の形であり、噴霧粉末は、上記のように、(i)における噴霧乾燥及び/又は(ii)における噴霧乾燥により得られる。好ましくは、噴霧乾燥は、(i)において行い、(ii)において噴霧乾燥を行わない。
【0049】
工程(iii)
(ii)の後、MWW骨格構造を有するゼオライト材料、好ましくはMWW骨格構造を有する分離済み及び乾燥済みゼオライト材料を5.5〜8の範囲のpH及び少なくとも75℃の温度を有する液体水性系による処理にかける。
【0050】
本発明によれば、考えられる量の水を液体水性系に含めることができる、ただし、液体水性系の含水率が50質量%より大きく、液体水性系のpHは、上記の範囲である。一般的に、液体水性系に含まれる水の量は、少なくとも85質量%、好ましくは少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、さらにより好ましくは少なくとも99.9質量%である。さらにより好ましくは、(iii)において用いる液体水性系は、本質的に水からなり、水に含まれている、好ましくは用いられる脱イオン水に好ましくは含まれている特定の不純物を含む可能性がある。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、(iii)において、液体水性系は、少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%の水を含む。
【0051】
(iii)において用いる水性系のpHに関しては、5.5〜8の範囲のpHが好ましい。液体水性系のpHは、pH感受性ガラス電極を用いて測定する。本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、(iii)において用いる液体水性系は、6〜7.5、好ましくは6.5〜7.5の範囲のpHを有する。
【0052】
(iii)による液体水性系による処理の継続時間に関しては、特定の制約は存在しない。好ましくは、(iii)において、ゼオライト材料を0.5時間〜24時間、好ましくは1時間〜18時間、より好ましくは8時間〜14時間の範囲の期間にわたり液体水性系により処理する。
【0053】
さらに、液体水性系の温度に関する特定の制約は存在せず、ただし、水性系は、その液体状態にある。したがって、下記の好ましい温度に関して、当業者は、溶媒系をその液体状態に維持するために(ii)による処理が行われているもとでのそれぞれの圧力を選択する。
【0054】
好ましくは、(iii)において、ゼオライト材料を75〜200℃、好ましくは90〜180℃、より好ましくは100〜160℃、より好ましくは110〜160℃、より好ましくは110〜150℃の範囲の温度で液体水性系により処理する。
【0055】
(iii)において加熱が行われる容器の種類に関して、特定の制約は存在しないが、水性系がその液体状態にある、上記の温度でゼオライト材料を処理することを可能にするために容器を適切に選択する。したがって、より高い温度が関係する限りは、(iii)による処理は、閉鎖系内で自生圧力下において行う。
【0056】
本発明の考えられる実施形態によれば、(iii)における加熱は、開放系において行う。この場合、水性系をその液体状態に維持するために処理を用いる水性系の沸騰温度未満で行うので、反応条件は、温度により制約される。
【0057】
好ましい実施形態によれば、(iii)における加熱を閉鎖系において行う。したがって、(iii)における加熱は、好ましくは、例えば、オートクレーブ又はソルボサーマル条件を得るのに適する他の容器中で、ゼオライト材料を液体水性系の自生圧力下で液体水性系により処理することを意味する、ソルボサーマル条件下で行う。
【0058】
したがって、本発明の特定の好ましい実施形態によれば、(iii)において、ゼオライト材料を閉鎖系内、好ましくはオートクレーブ中で、自生圧力下において液体水性系により処理する。
【0059】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、(ii)による処理を開放系において好ましくは還流下で行い、(iii)による処理を閉鎖系で好ましくは自生圧力下において行い、(ii)において、溶媒系は、その液体状態にあり、(iii)において、水性系は、その液体状態にある。
【0060】
したがって、本発明はまた、
(ii)(i)において準備したゼオライト材料を開放系において還流下で95〜105℃の範囲の温度で液体溶媒系、好ましくは水で処理し、それにより、最大限でも0.02:1のX
2O
3:YO
2、好ましくはB
2O
3:SiO
2モル比を有するゼオライト材料を得る工程と、ゼオライト材料を液体溶媒系から少なくとも部分的に分離する工程と、
(iii)(ii)から得られたゼオライト材料を閉鎖系内で、自生圧力下において6.5〜7.5の範囲のpH及び110〜160℃の範囲の温度を有する液体水性系、好ましくは水で処理する工程と
を含む、上文で規定した方法に関する。
【0061】
(iii)による処理中、液体水性系を適切に撹拌することがさらに好ましい。(iii)による処理中、撹拌速度を本質的に一定に維持するか、又は変化させ、したがって、処理を2つ以上の異なる撹拌速度で行う。最も好ましくは、ゼオライト材料を第1の撹拌速度で液体水性系に懸濁し、上記の温度での(iii)による処理中に、撹拌速度を変化させる、好ましくは増加させる。撹拌速度は、例えば、液体溶媒系の体積、用いるゼオライト材料の量、所望の温度などによって、そのように適切に選択することができる。好ましくは、上記の温度において処理が行われる撹拌速度は、好ましくは50〜300r.p.m.、より好ましくは120〜250r.p.m.、より好ましくは190〜210r.p.m.の範囲である。
【0062】
用いられるゼオライト材料の量に対して(iii)において用いられる液体水性系の量に関する限りは、特定の制約は存在しない。好ましくは、(iii)において、ゼオライト材料に対する液体水性系の質量比は、35:1〜5:1、好ましくは30:1〜10:1、より好ましくは25:1〜15:1の範囲である。
【0063】
(iii)による処理の後、MWW骨格構造を有するゼオライト材料を好ましくは懸濁液から分離する。ゼオライト材料の分離は、例えば、ろ過、限外ろ過、透析ろ過並びに遠心分離及び/又は傾斜法を含むあらゆる考えられる方法により達成することができ、ろ過法は、吸引及び/又は加圧ろ過工程を含み得る。その後、分離されたゼオライト材料を1回又は複数回の場合による洗浄処置にかける。用いることができる洗浄剤は、例えば、水、メタノール、エタノール若しくはプロパノールなどのアルコール又はそれらの2種以上の混合物である。混合物の例としては、メタノール及びエタノール若しくはメタノール及びプロパノール若しくはエタノール及びプロパノール若しくはメタノール及びエタノール及びプロパノールなどの2種以上のアルコールの混合物、又は水及びメタノール若しくは水及びエタノール若しくは水及びプロパノール若しくは水及びメタノール及びエタノール若しくは水及びメタノール及びプロパノール若しくは水及びエタノール及びプロパノール若しくは水及びメタノール及びエタノール及びプロパノールなどの水及び少なくとも1種のアルコールの混合物などがある。水又は水及び少なくとも1種のアルコール、好ましくは水及びエタノールの混合物が好ましく、蒸留水が唯一の洗浄剤として非常にとりわけ好ましい。適用される通りに洗浄する場合、洗浄水が最大限でも1000マイクロジーメンス/cm、より好ましくは最大限でも850マイクロジーメンス/cm、より好ましくは最大限でも700マイクロジーメンス/cmの伝導率を有するまで洗浄工程を継続することが好ましい場合がある。
【0064】
一般的に、本発明の方法は、(iii)で得られたMWW骨格構造を有するゼオライト材料の後処理並びに/又はさらなる物理的及び/若しくは化学的変換のためのさらなる工程を場合によって含み得る。得られたゼオライト材料は、例えば、一連の単離及び/又は洗浄処置にかけることはでき、(iii)から得られたゼオライト材料は、少なくとも1つの単離及び少なくとも1つの洗浄処置にかけることが好ましい。
【0065】
好ましくはろ過により達成される、懸濁液からのMWW骨格構造を有するゼオライト材料の分離の後、及び洗浄の後、例えば、ろ過ケーキを適切な気流、好ましくは窒素流にさらすことによって、MWW骨格構造を有するゼオライト材料を含む洗浄済みろ過ケーキを場合によって乾燥にかける。したがって、(iii)における本発明の特定の好ましい実施形態によれば、ゼオライト材料を乾燥にかける。乾燥の継続時間及び温度に関しては、特定の制約は存在しない。好ましくは、乾燥は、空気、希薄空気又は窒素などの適切な雰囲気中で、100〜180℃、好ましくは120〜150℃の範囲の温度で、5〜70時間、好ましくは10〜20時間の範囲の期間にわたり行う。
【0066】
好ましくはろ過による、懸濁液からのゼオライト材料の分離の後並びに好ましくは洗浄後及び乾燥の前に、洗浄済みゼオライト材料を好ましくは4〜10時間、より好ましくは5〜8時間の範囲の時間にわたり例えば、空気、希薄空気又は窒素などの適切な気流にさらすことにより、前乾燥にかけることができる。
【0067】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、(iii)においてゼオライト材料を、場合によって乾燥後に、焼成にかける。好ましくは、焼成は、350〜600℃、好ましくは400〜500℃の範囲の温度で、1〜10時間、好ましくは2〜6時間の範囲の期間にわたり行う。適切な焼成雰囲気は、窒素、空気又は希薄空気を含む。
【0068】
驚くべきことに、本発明による方法により、(i)において準備したゼオライト材料と比べてX
2O
3:YO
2モル比の低下を有するゼオライト材料を得ることができ、同時に、(i)において準備したゼオライト材料の結晶化度を一定に維持すること又は増加させることさえできたことが見いだされた。特に、本発明による方法により、(i)において準備したゼオライト材料と比べてB
2O
3:SiO
2モル比の低下を有するゼオライト材料を得ることができ、同時に、(i)において準備したゼオライト材料の結晶化度を一定に維持すること又は増加させることさえできたことが見いだされた。したがって、(ii)による脱ホウ素化工程と液体水性系によるその後の処理との組合せが先行技術の不都合を克服することが見いだされた。
【0069】
さらに、本発明による方法を用いて、本明細書で述べるように水取込み量の測定により特徴付けられる、ゼオライト材料の疎水性を一定に維持すること又は増大させることさえできることが見いだされた。そのような疎水性の増大は、触媒活性物質のようなゼオライト材料の可能な用途で望ましい。
【0070】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、(iii)から得られるゼオライト材料の結晶化度は、(i)において準備されるゼオライト材料の結晶化度と等しいか、又はより高く、(iii)から得られるゼオライト材料の水取込み量は、(i)において準備されるゼオライト材料の水取込み量より低い。
【0071】
例として、XRD分析により測定される、(iii)から得られるゼオライト材料の結晶化度は、(i)において準備されるゼオライト材料の結晶化度より少なくとも1%、好ましくは少なくとも2%、より好ましくは少なくとも3%、より好ましくは少なくとも4%、より好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも6%、より好ましくは少なくとも7.5%高い。さらに例として、(iii)から得られるゼオライト材料の水取込み量は、(i)において準備されるゼオライト材料の水取込み量より少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも18%低い。
【0072】
特に好ましくは、本発明の方法は、(iii)の前にも、その実施中にも、その後にも、蒸気処理、特に水蒸気処理を含まない。したがって、好ましくは、本発明による方法により得られるゼオライト材料は、全工程中蒸気処理にかけない。
【0073】
さらに好ましくは、本発明の方法は、(iii)の前にも、その実施中にも、その後にも、5.5より低い又は8より高いpHを有する水溶液によるゼオライト材料の処理を含まない。したがって、好ましくは、本発明の方法により得られるゼオライト材料は、全工程中酸処理又は塩基処理にかけない。
【0074】
本発明はさらに、本発明による方法により得られる又は得られたゼオライト材料に関する。
【0075】
好ましいゼオライト材料
上記のように、本発明による方法は、出発ゼオライト材料と比べて低いX
2O
3:YO
2モル比を有する好ましくは粉末又は噴霧粉末である、ゼオライト材料の結晶化度及びまた疎水性に関する重要な利点を示す。上文で定義したように、Yは、好ましくはSi、Ti、Sn、Zr、Ge及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、Yは、好ましくはSiであり、Xは、好ましくはAl、B、In、Ga、Fe及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、Xは、好ましくはBである。
【0076】
したがって、本発明はまた、MWW骨格構造を有するゼオライト材料であって、骨格構造がYO
2及びX
2O
3を含み、Yが4価元素であり、Xが3価元素であり、前記ゼオライト材料が、最大限でも0.02:1のX
2O
3:YO
2モル比、少なくとも75%の、XRD分析により測定された結晶化度及び最大限でも11質量%の水取込み量を有し、ゼオライト材料の骨格構造の好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%がX
2O
3及びYO
2からなる。特に、本発明は、MWW骨格構造を有するゼオライト材料であって、骨格構造がB
2O
3及びSiO
2を含み、前記ゼオライト材料が最大限でも0.02:1のB
2O
3:SiO
2モル比、少なくとも75%の、XRD分析により測定された結晶化度及び最大限でも11質量%の水取込み量を有し、ゼオライト材料の骨格構造の好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%がB
2O
3及びSiO
2からなるゼオライト材料に関する。
【0077】
好ましくは、X
2O
3:YO
2モル比、好ましくはB
2O
3:SiO
2モル比は、最大限でも0.01:1であり、好ましくは0.001:1〜0.01〜1、より好ましくは0.001:1〜0.003:1の範囲であり、ゼオライト材料の結晶化度は、75〜90%、好ましくは75〜85%の範囲であり、ゼオライト材料の水取込み量は、4〜11質量%、好ましくは6〜10質量%の範囲である。
【0078】
さらに、本発明によるゼオライト材料が3710〜3750cm
−1の領域に極大を有する第1の吸収帯により表される第1の種類のシラノール基及び3480〜3540cm
−1の領域に極大を有する第2の吸収帯により表される第2の種類のシラノール基を示す赤外スペクトルによって特徴づけられることが見いだされた。好ましくは、前記第2の吸収帯の強度と相対的な前記第1の吸収帯の強度は、少なくとも1.0である。したがって、本発明はまた、上で定義したゼオライト材料に関し、ゼオライト材料のIRスペクトルは、3710〜3750cm
−1の範囲に極大を有する第1の吸収帯及び3480〜3540cm
−1の範囲に極大を有する第2の吸収帯を示し、第2の吸収帯の強度に対する第1の吸収帯の強度の比は、少なくとも1.0である。好ましくは、前記比は、少なくとも1.3である。本発明で述べるIR測定に関しては、本発明の参照例4を参照すること。
【0079】
さらに、本発明によるゼオライト材料が
−99.0ppm+/−3.0ppm、好ましくは+/−2.5ppmにおける第1のピーク、
−104.9ppm+/−0.9ppm、好ましくは+/−0.5ppmにおける第2のピーク、
−110.7ppm+/−0.7ppm、好ましくは+/−0.4ppmにおける第3のピーク、
−112.5ppm+/−1.5ppm、好ましくは+/−1.0ppmにおける第4のピーク、
−115.1ppm+/−0.7ppm、好ましくは+/−0.4ppmにおける第5のピーク、
−118.9ppm+/−0.7ppm、好ましくは+/−0.4ppmにおける第6のピーク
を含む
29Si−NMRスペクトルによって特徴づけられ、第6のピークの積分が総積分の少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%、より好ましくは少なくとも9%であることが見いだされた。本発明で述べる
29Si−NMR測定に関しては、本発明の参照例3を参照すること。
【0080】
好ましい用途
好ましくは本発明による方法により得られる又は得られた、本発明によるMWW骨格構造を有するゼオライト材料は、好ましくは触媒として、触媒担体として、又は触媒成分として用いる。例として、ディーゼル酸化触媒(DOC)における貴金属触媒担体としての用途又はDOCにおけるウォッシュコート成分としての用途について述べることができる。さらに、ゼオライト材料は、本発明のゼオライト材料に基づいて、少なくとも1種のヘテロ原子、好ましくはTi及び/又はZn、好ましくはTi及びZnを含むゼオライト材料が適切に製造され、少なくとも1種のヘテロ原子がゼオライト材料の骨格構造に含まれ、及び/又は骨格構造外要素として存在する、プロペンなどのオレフィンのエポキシ化用のゼオライト触媒の製造のための出発物質として用いることができる。
【0081】
したがって、本発明はまた、本発明による或いは本発明による方法により得られる又は得られたゼオライト材料を触媒として又は触媒成分として用いる、触媒過程に関する。さらに、本発明はまた、本発明による或いは本発明による方法により得られる又は得られたゼオライト材料を触媒前駆体として用いる、ゼオライト触媒の製造の方法に関する。
【0082】
一般的に、また特に、本発明によるゼオライト材料を触媒として用いる場合、例えば、ゼオライト材料と少なくとも1種の結合剤及び/又は少なくとも1種の結合剤前駆体並びに場合による少なくとも1種の細孔形成剤及び/又は少なくとも1種の可塑剤と適切に混合することにより、ゼオライト材料を含む成形品を製造することが可能である。成形品は、例えば、四角形、三角形、六角形、正方形、楕円形又は円形断面を有するひも状物、星状物、錠剤、球体、中空円柱などのあらゆる考えられる形状に成形することができる。そのような結合剤の例は、例えば、SiO
2、Al
2O
3、TiO
2、ZrO
2若しくはMgO若しくは粘土などの金属酸化物又はこれらの酸化物の2種以上の混合物又はSi、Al、Ti、Zr及びMgの少なくとも2種の混合酸化物である。メソ細孔形成剤などの細孔形成剤は、ポリエチレンオキシドのようなポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステルなどの重合ビニル化合物を含む。糊剤(pasting agent)は、セルロースのような炭水化物などの有機、特に親水性ポリマー、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、及びジャガイモデンプンなどのデンプン、壁紙プラスター、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリイソブテン又はポリテトラヒドロフランを含む。糊剤としての、水、アルコール若しくはグリコール又はこれらの混合物、例えば水及びアルコールの混合物、又は水及びグリコールの混合物、例えば水及びメタノール、又は水及びエタノール、又は水及びプロパノール、又は水及びプロピレングリコールの使用が挙げられ得る。
【0083】
本発明を以下の実施例により例示する。
【実施例】
【0084】
参照例1
水取込み量の測定
水吸着/脱着等温線測定は、TA Instruments製のVTI SA機器で段階等温線プログラムに従って行った。実験は、機器の内部の微量てんびんパン上に置いた試料物質について行ったラン又は一連のランからなっていた。測定を開始する前に、試料を窒素流中で100℃まで加熱し(5℃/分の昇温勾配)、それを6時間保持することにより、試料の残存水分を除去した。乾燥プログラムの後、セル内の温度を25℃に低下させ、測定中一定に維持した。微量てんびんを校正し、乾燥試料の質量を均衡させた(最大質量偏差0.01質量%)。試料の水取込み量は、乾燥試料と比較した質量の増加として測定した。最初に、試料が曝露された相対湿度(RH)(セルの内部の雰囲気中の水の質量%として表した)を増加させ、試料による水取込み量を平衡として測定することにより吸着曲線を測定した。RHを5%から85%まで10%の段階で増加させ、各段階においてシステムがRHを制御し、試料が平衡状態に達するまで試料の質量をモニターし、取込み質量を記録した。試料を85質量%RHに曝露した後、試料の総吸着水を測定した。脱着測定時に、RHを85質量%から5質量%まで10%の段階で減少させ、試料の質量の変化(水取込み量)をモニターし、記録した。
【0085】
参照例2
結晶化度の測定
本発明によるゼオライト材料の結晶化度は、XRD分析により測定した。2つのゼオライト材料の反射面を比較し、所定の材料の結晶化度を参照ゼオライト材料と比較して表す。参照ゼオライト材料は、CAS登録番号1318−02−1のもとに市販されているゼオライトアンモニウムベータ粉末であった。結晶化度の測定は、Bruker AXS製のD8 Advanceシリーズ2回折計で行った。回折計は、0.1°の発散スリットの開口部及びLynxeye検出器で構成されていた。試料及び参照ゼオライト材料は、19°〜25°(2シータ)の範囲で測定した。ベースライン補正の後、評価ソフトウエアEVA(Bruker AXS製)を用いて反射面を測定した。反射面の比を百分率値として示す。
【0086】
参照例3
29Si−NMR測定
すべての
29Si固体NMR実験は、300MHz
1Hラーモア周波数を用いたBruker Avance分光計(Bruker Biospin、Germany)を用いて実施した。試料を7mm ZrO
2ローターに封入し、室温で5kHz未満のマジック角回転で測定した。スペクトルにおける−65ppmに対応する
29Siキャリヤ周波数を有する5マイクロ秒パルスによる(pi/2)パルス励起及び120秒のスキャンリサイクル遅延を用いて
29Si直接分極スペクトルを得た。シグナルは、45kHzハイパワープロトンデカップリングのもとで25m秒間取得し、10〜17時間蓄積した。スペクトルは、Bruker Topspinを用いて全スペクトルにわたる30Hz指数関数的線幅拡大マニュアルフェージング及びマニュアルベースライン補正により処理した。トリメチルシリル基の共鳴を12.5ppmに設定して、スペクトルを外部二次標準としてのポリマーQ8M8と参照した。次いで、スペクトルを、識別できる共鳴の数による一連のガウス線形状を用いて当てはめた。当てはめは、DMFit(Massiotら、Magnetic Resonance in Chemistry、40(2002)、70〜76頁)を用いて行った。ピークを可視ピーク極大又はショルダーにマニュアルで定めた。ピーク位置及び線幅の両方を無拘束のままとした。すなわち、当てはめられたピークを特定の位置に固定しなかった。当てはめ結果は、数値的に安定であった。すなわち、上述の初期の当てはめにおけるひずみは、同様な結果をもたらした。当てはめピーク面積は、DMFitにより実施されたようにさらに標準化して用いた。
【0087】
参照例4
IR測定
IR測定は、Nicolet 6700分光計で行った。ゼオライト材料を、添加物を用いずに自己支持型ペレットに圧縮した。ペレットを高真空セルに導入し、IR装置に入れた。測定前に試料を高真空(10
−5mバール)中で300℃において3時間前処理した。セルを50℃に冷却した後にスペクトルを収集した。スペクトルは、2cm
−1の分解能で4000cm
−1〜800cm
−1の範囲で記録した。得られたスペクトルは、x軸上に波数(cm
−1)を、y軸上に吸光度(任意単位)を有するプロットにより表した。ピーク高さ及びピーク間の比の定量的測定のために、ベースライン補正を行った。3000〜3900cm
−1の領域における変化を解析し、複数の試料を比較するために、1800±5m
−1における吸収帯を対照標準として選択した。
【実施例1】
【0088】
本発明による方法
(i)出発物質(骨格構造MWWのゼオライト材料)の準備
480kgの脱イオン水を容器に準備した。70rpm(1分当たりの回転数)での撹拌のもとで、166kgのホウ酸を室温の水に懸濁した。懸濁液を室温でさらに3時間撹拌した。その後、278kgのピペリジンを加え、混合物をさらに1時間撹拌した。得られた溶液に、400kgのLudox(登録商標)AS−40を加え、得られた混合物を室温において70rpmでさらに1時間撹拌した。最終的に得られた混合物を結晶化容器に移し、自生圧力下及び撹拌(50rpm)下で5時間以内に170℃に加熱した。170℃の温度を120時間にわたり本質的に一定に維持した。これらの120時間中、混合物を50rpmで撹拌した。その後、混合物を50〜60℃の温度に冷却した。B−MWWを含む水性懸濁液は、pH感受性電極による測定により決定したとき11.3のpHを有していた。前記懸濁液から、ろ過によりB−MWWを分離した。次いで、洗浄水が700マイクロジーメンス/cm未満の伝導率を有するまで、ろ過ケーキを室温において脱イオン水で洗浄した。そのように得られたろ過ケーキを水と混合して、15質量%の固体含量を有する懸濁液を得た。この懸濁液を以下の噴霧乾燥条件を用いて噴霧塔内での噴霧乾燥にかけた。
【0089】
乾燥ガス、ノズルガス: 工業用窒素
乾燥ガス温度:
噴霧塔温度(入口): 235℃
噴霧塔温度(出口): 140℃
ノズル:
上部部品ノズル 供給業者Gerig;サイズ0
ノズルガス温度: 室温
ノズルガス圧力: 1バール
運転モード: 窒素直流(nitrogen straight)
使用装置: 単一ノズル付き噴霧塔
構成: 噴霧塔−フィルター−スクラバー
ガス流量: 1500kg/時
フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト20m
2
可撓管ポンプによる投与: SP VF15(供給業者:Verder)
【0090】
噴霧塔は、2650mmの長さ、1200mmの直径を有する垂直に配置された円筒で構成されており、円筒は、底部で円錐状に狭められていた。円錐部の長さは、600mmであった。円筒の上部に、噴霧手段(2部品ノズル)が配置されていた。噴霧乾燥された物質は、噴霧塔の下流のフィルターで乾燥ガスから分離され、乾燥ガスは、スクラバーに通された。懸濁液は、ノズルの内側開口部に通され、ノズルガスは、開口部を取り囲んでいる環状スリットに通された。
【0091】
噴霧乾燥物質は、次いで600℃で10時間の焼成にかけられた。焼成済み物質は、参照例2に従って測定された、0.06のB
2O
3:SiO
2モル比及び74%の結晶化度を有していた。
【0092】
(ii)液体溶媒系による処理−脱ホウ素化
9kgの脱イオン水及び実施例1(i)により得られた600gの噴霧乾燥物質を250r.p.m.で撹拌しながら100℃で10時間還流した。得られた脱ホウ素化ゼオライト材料をろ過により懸濁液から分離し、室温において8lの脱イオン水で洗浄した。ろ過の後、ろ過ケーキを120℃の温度で16時間乾燥した。
【0093】
MWW骨格構造を有する乾燥ゼオライト材料は、0.0022のB
2O
3:SiO
2モル比及び参照例1に従って測定された、12%の水取込み量、並びに参照例2に従って測定された、77%の結晶化度を有していた。
【0094】
(iii)液体水性系による処理
2kgの脱イオン水を容器に入れ、77%の結晶化度及び12質量%の水取込み量を有する実施例1(ii)により得られた100gの脱ホウ素化ゼオライト材料を撹拌下で加えた。懸濁液を室温で10分間撹拌した。その後、懸濁液をオートクレーブ中で、自生圧力下において140℃で12時間加熱した。得られたゼオライト材料をろ過により懸濁液から分離し、脱イオン水で洗浄した。ろ過の後、ろ過ケーキを120℃の温度で16時間乾燥した。
【0095】
次いで乾燥ゼオライト材料を焼成にかけた。ゼオライト材料を5.5時間以内に450℃に加熱し、この温度で2時間加熱した。焼成済み物質は、0.0015のB
2O
3:SiO
2モル比、83%の結晶化度及び8.9質量%の水取込み量を有していた。
【0096】
実施例1の結果
本発明により、液体溶媒系(水)を用いた脱ホウ素処置と液体水性系(水)による処理の組合せを実施した。この組合せは、一方で、ゼオライト材料が0.06:1から0.0015:1に低下しているB
2O
3:SiO
2モル比を有するMWW骨格構造を有することにつながり、他方で、結晶化度を74%(又は脱ホウ素化後77%)から83%に増加させた。
【0097】
さらに、ゼオライト材料の疎水性を特徴づけ、したがって、ゼオライト材料の重要な化学的パラメーターであるゼオライト材料の水取込み量は、有意に変化しなかった(出発物質の12質量%、生成物の8.9質量%)。
【実施例2】
【0098】
本発明による方法
(iii)液体水性系による処理
1600gの脱イオン水を容器に入れ、0.002のB
2O
3:SiO
2モル比、77%の結晶化度及び12質量%の水取込み量を有する実施例1(ii)により得られた80gの脱ホウ素化ゼオライト材料を撹拌下で加えた。懸濁液を室温で10分間撹拌した。その後、懸濁液をオートクレーブ中で、自生圧力下において140℃で12時間加熱した。
【0099】
得られたゼオライト材料をろ過により懸濁液から分離し、脱イオン水で洗浄した。ろ過の後、ろ過ケーキを120℃の温度で10時間乾燥した。
【0100】
次いで乾燥ゼオライト材料を焼成にかけた。焼成のために、ゼオライト材料を5.5時間以内に450℃に加熱し、この温度に2時間維持した。焼成済み物質は、0.0023:1のB
2O
3:SiO
2モル比、87%の結晶化度及び9.3質量%の水取込み量を有していた。
【0101】
実施例2の結果
実施例1のように、実施例2においても、本発明による方法は、ゼオライト材料が0.06:1から0.0021:1に低下しているB
2O
3:SiO
2モル比を有するMWW骨格構造を有することにつながり、同時に、結晶化度を74%(又は脱ホウ素化後77%)から87%に増加させることが示されている。
【0102】
さらに、ゼオライト材料の疎水性を特徴づけ、したがって、ゼオライト材料の重要な化学的パラメーターであるゼオライト材料の水取込み量は、有意に変化しなかった(出発物質の12質量%、生成物の9.3質量%)。
【実施例3】
【0103】
本発明による方法
(iii)液体水性系による処理
1600gの脱イオン水を容器に入れ、0.002のB
2O
3:SiO
2モル比、77%の結晶化度及び12質量%の水取込み量を有する実施例2(ii)により得られた80gの脱ホウ素化ゼオライト材料を撹拌(200rpm)下で加えた。懸濁液を室温で10分間撹拌した。その後、懸濁液をオートクレーブ中で、自生圧力下において140℃で14時間加熱した。
【0104】
得られたゼオライト材料をろ過により懸濁液から分離し、脱イオン水で洗浄した。ろ過の後、ろ過ケーキを120℃の温度で10時間乾燥した。
【0105】
次いで乾燥ゼオライト材料を焼成にかけた。ゼオライト材料を5.5時間以内に450℃に加熱し、この温度で2時間加熱した。焼成済み物質は、0.0008のB
2O
3:SiO
2モル比、85%の結晶化度及び10.7質量%の水取込み量を有していた。
【0106】
実施例3の結果
実施例1及び2のように、自生圧力下で14時間行った実施例3においても、本発明による液体溶媒系(水)を用いた脱ホウ素処置と液体水性系(水)による処理の組合せが、ゼオライト材料が0.06:1から0.0008:1に低下しているB
2O
3:SiO
2モル比を有するMWW骨格構造を有することにつながり、同時に、結晶化度を74%(又は脱ホウ素化後77%)から85%に増加させることが示されている。
【0107】
さらに、ゼオライト材料の疎水性を特徴づけ、したがって、ゼオライト材料の重要な化学的パラメーターであるゼオライト材料の水取込み量は、有意に変化しなかった(出発物質の12質量%、生成物の10.7質量%)。
【0108】
比較例1
蒸気処理
0.0022のB
2O
3:SiO
2モル比、77%の結晶化度及び12質量%の水取込み量を有する実施例2(ii)により得られた100gの脱ホウ素化ゼオライト材料のシャローベッド(shallow bed)試料をマッフルオーブンに入れ、650℃(昇温勾配5K/分)に加熱した。蒸気処理のために、6L/分のガス流量(空気中10%蒸気)を用い、水の投与を200℃の温度で開始した。蒸気処理は、650℃で1時間行った。
【0109】
得られた材料は、0.0026のB
2O
3:SiO
2モル比、74%の結晶化度及び9.7質量%の水取込み量を有していた。DIN66131に従って77Kにおける窒素吸着により測定した多点BET比表面積は、413m
2/gであった。
【0110】
したがって、B
2O
3:SiO
2のモル比を低下させるために行われた従来技術による脱ホウ素化ゼオライト材料の蒸気処理は、結晶化度を一定に維持できる又は結晶化度を増加させることさえできる本発明の方法とは異なり、結晶化度の低下をもたらす。
【0111】
比較例2
蒸気処理
0.0022のB
2O
3:SiO
2モル比、77%の結晶化度及び12質量%の水取込み量を有する実施例2(ii)により得られた100gの脱ホウ素化ゼオライト材料のシャローベッド試料をマッフルオーブンに入れ、850℃(昇温勾配5℃/分)に加熱した。蒸気処理のために、6L/分のガス流量(空気中10%蒸気)を用い、水の投与を200℃で開始した。蒸気処理は、850℃で1時間行った。
【0112】
得られた材料は、0.0027のB
2O
3:SiO
2モル比、54%の結晶化度及び7.5質量%の水取込み量を有していた。DIN66131に従って77Kにおける窒素吸着により測定した多点BET比表面積は、397m
2/gであった。
【0113】
したがって、B
2O
3:SiO
2のモル比を低下させるために行われた従来技術による脱ホウ素化ゼオライト材料の蒸気処理は、結晶化度を一定に維持できる又は結晶化度を増加させることさえできる本発明の方法とは異なり、結晶化度の低下をもたらす。
【0114】
引用文献
欧州特許出願公開第0013433号
国際公開第02/057181号パンフレット
国際公開第2009/016153号パンフレット