特許第6267491号(P6267491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267491
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】流体切換装置
(51)【国際特許分類】
   F17D 1/20 20060101AFI20180115BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20180115BHJP
   G05D 7/06 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   F17D1/20
   G01N1/00 101S
   G01N1/00 101T
   G05D7/06 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-232150(P2013-232150)
(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2015-94380(P2015-94380A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】河内 雄司
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−091651(JP,A)
【文献】 特開平07−122498(JP,A)
【文献】 特表2007−535819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17D 1/20
G01N 1/00
G05D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量を制御された第1流体が導入される第1流路と、
流量を制御された第2流体が導入される第2流路と、
前記第1流体または第2流体を導出するための第1導出流路と、
前記第1流体または第2流体を排出するための第2導出流路と、
前記第1流路が前記第1導出流路に連通するとともに前記第2流路が前記第2導出流路に連通する第1連通態様と、前記第2流路が前記第1導出流路に連通するとともに前記第1流路が前記第2導出流路に連通する第2連通態様とを切り換える切換機構と、
前記第2導出流路の圧力と前記第1導出流路の圧力とを取得して比較しながら前記第2導出流路の圧力を前記第1導出流路の圧力に近づけるべく制御する圧力制御機構とを具備することを特徴とする流体切換装置。
【請求項2】
前記第1流路に設けられる第1可変絞り弁と、
前記第2流路に設けられる第2可変絞り弁と、をさらに具備し、
前記切換機構が、前記第1流路の前記第1可変絞り弁よりも下流側が前記第1導出流路に連通するとともに前記第2流路の前記第2可変絞り弁よりも下流側が前記第2導出流路に連通する第1連通態様と、前記第2流路の前記第2可変絞り弁よりも下流側が前記第1導出流路に連通するとともに前記第1流路の前記第1可変絞り弁よりも下流側が前記第2導出流路に連通する第2連通態様とを切り換えるものである請求項1記載の流体切換装置。
【請求項3】
前記第1導出流路が、前記第1流体または第2流体を他機器に供給するためのものであり、
前記第2導出流路が、前記第1流体または第2流体を排出するためのものである請求項1記載の流体切換装置。
【請求項4】
前記切換機構よりも下流側の流路上に設けられた流体抵抗部材をさらに具備している請求項1記載の流体切換装置。
【請求項5】
前記第1流路が2本に分岐してその一方が第1導出流路に、その他方が第2導出流路に接続されており、
前記第2流路が2本に分岐してその一方が第1導出流路に、その他方が第2導出流路に接続されており、
前記切換機構が、分岐した第1流路のいずれか一方を開通させるとともに他方を閉止する第1切換弁と、分岐した第2流路のいずれか一方を開通させ、他方を閉止する第2切換弁とを具備したものであり、
前記流体抵抗部材が、分岐した一対の第1流路および分岐した一対の第2流路のそれぞれに設けてある請求項記載の流体切換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガスなどの流体を用いた試験に適用される流体切換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、ガスを切り換えて触媒や各種センサの過渡特性を評価する場合や、ピースタイムを短縮する場合などにおいて、流量の制御されたガスを別種(別組成)のガスに素早く切り換えるための技術として、従来、図6に示すような流体切換装置100’が用いられている。
【0003】
この流体切換装置100’は、流量制御装置3a、3bによって流量を所定値に制御された2種類のガスがそれぞれ導入される第1流路11’及び第2流路12’と、例えばガスを他機器に供給するための送出ポートOTP及びガスを排出するための排出ポートEXPという2つの出力ポートと、各流路11’、12’を前記送出ポートOTPまたは排出ポートEXPのいずれかに排他的に切り換える切換機構4とを有したものである。
【0004】
すなわち、この流体切換装置100によれば、一方のガスが流れる第1流路11’が送出ポートOTPに接続され、当該一方のガスが他機器に供給されているときには、第2流路12’は排出ポートEXPに接続されて他方のガスは垂れ流される状態となる。
【0005】
このように、第1流路11’及び第2流路12’に常にガスが流れ続けるように構成する、すなわち、流量制御装置3a、3bに常に一定流量のガスが流れるように構成しておくことで、送出ポートOTPから他機器へ供給すべきガスを切り換えたときに生じる流量変動を小さくして速やかにガス種を切り換えられるようにしている。
【0006】
しかしながら、例えば送出ポートOTPに接続される他機器の状態によっては、該送出ポートOTPと排出ポートEXPとの間に比較的大きな圧力差が生じているときがある。
【0007】
このような場合に、ガスを切り換えると、その際に流路11’、12’に瞬間的な圧力変動が生じ、それに起因して各切換弁41’〜44’に作用している差圧に急峻な変動が生じることになる。圧力の急峻な変動は、過渡的な流量変動を生じさせ、特にガスのような圧縮性流体であると、図7に示すように、流量の鈍りやハンチングが顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−134166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、ガスや液体などの流体を、設定流量に追随させつつ可及的速やかに、別種の流体に切り換えることのできる流体切換装置を提供することをその主たる所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の流体切換装置は、以下の構成を有することを特徴とする。
(1)流量を制御された第1流体が導入される第1流路。
(2)流量を制御された第2流体が導入される第2流路。
(3)前記第1流体または第2流体を導出するための第1導出流路。
(4)前記第1流体または第2流体を排出するための第2導出流路。
(5)前記第1流路が前記第1導出流路に連通するとともに前記第2流路が前記第2導出流路に連通する態様と、前記第2流路が前記第1導出流路に連通するとともに前記第1流路が前記第2導出流路に連通する態様とを切り換える切換機構。
(6)前記第2導出流路の圧力を前記第1導出流路の圧力に近づけるべく制御する圧力制御機構。
【0011】
このようなものであれば、前記切換機構によって、第1流体と第2流体とが切り換わったときに生じる流体流量の鈍りやハンチングが、圧力制御機構がないものと比べると飛躍的に低減される。
【0012】
その結果、鈍りやハンチングが生じている期間は、例えば試験を行うことができないなどの不具合があるが、その期間が短縮されるため、ピースタイムをより短縮することができるし、また、切換時の立ち上がりが極めて速いので、例えば各種センサの過渡特性をより精度よく評価することができるようになる。
【0013】
本発明の効果が特に顕著となる実施態様としては、前記第1導出流路が、前記第1流体または第2流体を他機器に供給するためのものであり、前記第2導出流路が、前記第1流体または第2流体を排出するためのものを挙げることができる。
【0014】
切換時の流体流量の鈍りやハンチングをさらに低減させるためには、前記切換機構よりも下流側の流路上に設けられた流体抵抗部材をさらに具備しているものが好ましい。
【0015】
具体的な実施態様としては、前記第1流路が2本に分岐してその一方が第1導出流路に、その他方が第2導出流路に接続されており、前記第2流路が2本に分岐してその一方が第1導出流路に、その他方が第2導出流路に接続されており、前記切換機構が、分岐した第1導出路のいずれか一方を開通させるとともに他方を閉止する第1切換弁と、分岐した第2導出路のいずれか一方を開通させ、他方を閉止する第2切換弁とを具備したものであり、前記流体抵抗部材が、分岐した一対の第1導出流路および分岐した一対の第2導出流路のそれぞれに設けてあるものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、圧力制御機構によって、第2導出流路の圧力が第1導出流路の圧力と等しくなるように制御されているので、第1流体と第2流体とが切り換わったときに圧力差が生じず、その際の流体流量の鈍りやハンチングを飛躍的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における流体切換装置の全体回路図。
図2】本発明の他の実施形態における流体切換装置の一部を示す部分回路図。
図3】本発明のさらに他の実施形態における流体切換装置の一部を示す部分回路図。
図4】本発明のさらに他の実施形態における流体切換装置の一部を示す部分回路図。
図5】本発明のさらに他の実施形態における流体切換装置の一部を示す部分回路図。
図6】従来の流体切換装置の概要を示す回路図。
図7】流体の切換時に生じる流量のハンチングや鈍りを示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る流体切換装置の一実施形態について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態の流体切換装置100は、種類の異なる2種類の原ガスを異なる比率で混合して組成の違う2種類のガス(ここでは例えば排ガスの模擬ガス)を生成するとともに、この2種類のガスを交互に切り換えて、例えば排ガスの清浄に用いられる触媒に供給し、その性能試験をするために用いられるものである。
そのために、この流体切換装置100は、図1に示すように、以下の構成要素を有している。
【0020】
(a)前記2種類の原ガスがそれぞれ導入される第1導入ポートIP1及び第2導入ポートIP2。
(b)導入された各原ガスを異なる比率で混合して組成の違う2種類のガス(請求項でいう第1流体および第2流体に相当し、以下、第1ガスG1及び第2ガスG2という。)を生成するガス混合機構3。
(c)前記ガス混合機構3から出力される、流量の制御された第1ガスG1および第2ガスG2がそれぞれ流れる第1流路11及び第2流路12。
(d)前記第1ガスG1または第2ガスG2を送出するための送出流路21(請求項でいう第1導出流路に相当する。)。
(e)前記第1ガスG1または第2ガスG2を排出するための排出流路22(請求項でいう第2導出流路に相当する。)。
(f)前記第1流路11が前記送出流路21に連通するとともに前記第2流路12が前記排出流路22に連通する第1連通態様と、前記第2流路12が前記送出流路21に連通するとともに前記第1流路11が前記排出流路22に連通する第2接続態様とを切り換える切換機構4。
(j)前記排出流路22の圧力を前記送出流路21の圧力に近づけるべく制御する圧力制御機構5。
【0021】
次に、上述した各構成要素について詳述する。
第1導入ポートIP1及び第2導入ポートIP2は、例えば、この流体切換装置100が収容されている筐体に形成したものであり、この第1導入ポートIP1及び第2導入ポートIP2に、種類の異なる原ガスを貯留した例えばタンク(図示しない)がそれぞれ配管を介して接続されている。
【0022】
ガス混合機構3は、第1導入ポートIP1に接続された第1導入路31と、第2導入ポートIP2に接続された第2導入路32と、前記第1導入路31から分岐して前記第2導入路32に接続された第1分岐路31aと、前記第2導入路32から分岐して前記第1導入路31に接続された第2分岐路32bとを具備し、第1導入路31および第2導入路32の終端から各原ガスを混合したガスが出力されるように構成したものである。
【0023】
また、各導入路31、32および各分岐路31a、32aには、流量をフィードバック制御して目標値に調整する流量制御装置33a〜33dがそれぞれ設けてあり、これら流量制御装置33a〜33dによって、各導入路31、32および各分岐路31a、32aを流れる原ガス流量が制御され、原ガスの混合比および流量が所望の値にそれぞれ調整された2種類のガス(第1ガスG1および第2ガスG2)が出力されるように構成してある。なお、流量制御装置としては、差圧式のものや熱式のもの、超音波式のものなどを適宜適用してよい。
【0024】
第1流路11は、前記第1導入路31の終端に接続されて、流量制御装置によって組成(原ガスの混合比)および流量を制御された第1ガスG1が導入されるものである。そして、この第1流路11は、2本に分岐してその一方11(1)が後述する送出流路21(請求項でいう第1導出流路に相当する。)に、その他方11(2)が後述する排出流路22(請求項でいう第2導出流路に相当する。)に接続されている。
【0025】
第2流路12は、前記第2導入路32の終端に接続されて、流量制御装置33a〜33dによって組成(原ガスの混合比)および流量を制御された第2ガスG2が導入されるものである。そしてこの第2流路12は、2本に分岐してその一方12(1)が後述する送出流路21に、その他方12(2)が後述する排出流路22に接続されている。
なお、ここでは第1ガスG1と第2ガスG2との組成は異なる一方、その流量は同一又は異なるようにしてある。
【0026】
送出流路21は、後述する切換機構4により前記第1流路11または第2流路12のいずれかに排他的に連通するものであって、その終端には、例えば他の機器に接続するための送出ポートOTPが設けてある。
【0027】
排出流路22は、後述する切換機構4により前記第1流路11または第2流路12のいずれかに排他的に連通するものであって、その終端には、ガスを排出するための排出ポートEXPが設けてある。
【0028】
切換機構4は、この実施形態では、リモート操作可能な4つの開閉バルブ(第1のバルブ41〜第4のバルブ44)と、前記開閉バルブ41〜44を開閉制御する図示しないコントローラと、各バルブ41〜44に直列してそれぞれ設けられた可変絞り弁45〜48とを具備したものである。
【0029】
第1のバルブ41は、分岐した一方の第1流路11(1)上に設けられたものである。第2のバルブ42は、分岐した他方の第1流路11(2)上に設けられたものである。これら第1のバルブ41と第2のバルブ42とは、常に開閉状態が逆となるように前記コントローラによって動作するものであり、請求項でいう第1切換弁に相当する。
【0030】
第3のバルブ43は、分岐した一方の第2流路12(1)上に設けられたものである。第4のバルブ44は、分岐した他方の第2流路12(2)上に設けられたものである。これら第3のバルブ43と第4のバルブ44とは、常に開閉状態が逆となるように前記コントローラによって動作するものであり、請求項でいう第2切換弁に相当する。
【0031】
可変絞り弁45〜48は、各バルブ41〜44の下流側に設けられた手動型のものである。これら可変絞り弁45〜48は、各バルブ41〜44の抵抗に係る器差を軽減し、抵抗特性を揃えるために設けてある。すなわち、各バルブ41〜44には、開状態のときでの、シール特性などのバラつきによる流路抵抗にバラつきがあることから、この絞り弁45〜48の開度をそれぞれ調整することによって、上述したように、各バルブ41〜44とそれらに対応する各絞り弁45〜48とをペアで見たときの特性を合致させることができる。その意味では、バルブ41〜44とそれらに対応する各絞り弁45〜48とは、それぞれ一対で1つのバルブと見ることもできる。
【0032】
また、この絞り弁45〜48は、これよりも下流側での他機器の接続などによる流路抵抗の変動影響を軽減し、それに起因する圧力変動を小さくする働きもする。
【0033】
そして、前記コントローラからの指令により、第1のバルブ41および第4のバルブ44は常に同じ開閉状態に維持され、また、第2のバルブ42および第3のバルブ43は常に同じ開閉状態に維持される。
【0034】
この構成によって、前述したように、前記第1流路11が前記送出流路21に連通するとともに前記第2流路12が前記排出流路22に連通する第1接続態様と、前記第2流路12が前記送出流路21に連通するとともに前記第1流路11が前記排出流路22に連通する第2接続態様とが排他的に切り換えられる。
【0035】
前記圧力制御機構5は、ここでは、前記送出流路21および排出流路22上にそれぞれ設けられた圧力センサ51、52と、同送出流路21および排出流路22上であって、前記圧力センサ51、52よりも下流側にそれぞれ設けられたリモート式の可変絞り弁53、54と、前記可変絞り弁53、54の絞り開度を制御する図示しないコントローラとを具備したものである。
可変絞り弁53、54は、例えばピエゾ素子によって絞り開度を調整できるようにしたものであるが、電磁式のもの等であってもよい。
【0036】
そして、前記コントローラが、各圧力センサ51、52の検出した、前記送出流路21および排出流路22を流れるガスの圧力をそれぞれ取得して比較し、排出流路22を流れるガスの圧力が送出流路21を流れるガスの圧力に等しくなるように、排出流路22側の可変絞り弁54を制御するようにしてある。
【0037】
また、排出流路22側の可変絞り弁54を制御する理由は、可変絞り弁がない状態では、通常、排出流路22の圧力の方が低いため、当該排出流路22側の可変絞り弁54を制御する方が圧力を等しくする制御を確実に行えるからである。もちろん、送出流路21が真空機器に接続される場合など、送出流路21側の圧力が低くなる場合は、送出流路21側の可変絞り弁53を制御するようにしてもよい。
【0038】
一方、この実施形態では、排出流路22側の可変絞り弁54のみを制御しているので、送出流路21側の可変絞り弁53の絞り開度は、この可変絞り弁53によって生じる送出流路21内の最低ガス圧力が、可変絞り弁54が最大開度での排出流路22内のガス圧力(つまり排出ポートEXPでのガス圧力)以上となるように設定してある。なぜならば、送出流路21内の最低ガス圧力の方が排出流路22内のガス圧力よりも低くなると、排出流路22側の可変絞り弁54のみの制御では、圧力を等しくすることができなくなるからである。
この実施形態における流体切換装置100は、上述した構成要素(a)〜(j)の他に、図1中符号61、62、71〜74で示される構成要素を有している。
【0039】
符号61、62は、第1導入路31および第2導入路32の終端部に設けられたリモート型の可変絞り弁である。この可変絞り弁61、62は、これより下流側の圧力が仮に変動しても、その圧力が直接的に流量制御装置に作用しないようにするものであり、適度の背圧を与え、流量制御装置33a〜33dによる流量制御を円滑に行わせるためのものである。また、その機能から言えば、これら可変絞り弁61、62は、送出ポートOTPと排出ポートEXPとの間に圧力差があっても、その圧力差が流量制御装置33a〜33dに直接的に影響することを防止するので、切換時に生じる圧力変動の影響を抑制することができ、前記圧力制御機構5を補助する機能を果たすものでもある。
【0040】
次に、以上のように構成した本流体切換装置100の作用効果について説明する。
前記切換機構4によって、第1ガスG1と第2ガスG2とが交互に送出ポートOTPから送出されるが、このとき、圧力制御機構5がないものと比べると、切換時に生じるガス流量の立ち上がりの鈍りやハンチングが飛躍的に軽減される。
【0041】
その結果、鈍りやハンチングが生じている期間は、例えば試験を行うことができないなどの不具合があるが、その期間が短縮されるため、ピースタイムを短縮することができる。また、切換時の立ち上がりが極めて速いので、例えば各種センサの過渡特性をより精度よく評価することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、図2に示すように、圧力制御機構5における可変絞り弁53、54を一方の流路(図2では送出流路21)のみに設けても構わない。
【0042】
圧力制御機構5において、図3に示すように、流路間の差圧を検出する差圧センサ56を設けておき、その差圧が0になるように、可変絞り弁53または54のいずれかを制御するようにしてもよい。
切換機構4には、開閉弁ではなく、図4に示すように、三方弁49a、49bを用いても構わない。
【0043】
可変絞り弁45〜48は、必ずしも必要ない。この可変絞り弁71〜74は、前述したように、最大吐出流量を制限するデメリットがあるので、この可変絞り弁45〜48を省略することによって、最大吐出流量を増大させることができる。逆に言えば、本流体切換装置によれば、圧力制御機構5が存在するので、可変絞り弁45〜48を不要化したり、あまり絞らないようにしたりすることによって、最大吐出流量を担保しつつ、切換時の流量変動を抑制することができるようになる。
ガス混合機構3は、必須ではない。
【0044】
第1流体及び第2流体は、前記実施形態のように、それぞれ構成成分は同じであるが各構成成分の濃度比の異なる2種類の流体であってもよいし、構成成分が異なる2種類の流体であってもよい。また、同一流体であってもよい。同一流体の場合は、各流量を互いに異ならせておくことにより、切換時に流量を応答性良く変化させることができる。
【0045】
図5に示すように、3以上のガスのいずれか1つを切換可能に選択して送出ポートOTPから送出するようにしたものでも構わない。この場合、切換機構4は、選択された1つのガスが導入される導入路1k(kは1〜nまでの整数)と送出流路21とを連通した場合には、他の全ての導入路は、排出流路22に連通させる。排出流路22は、同図のように共通であってもよいし別々であってもよい。
前記実施形態では、排出流路22によって第1ガスG1又は第2ガスG2を排出していたが、排出ではなく、別に利用するようにしてもよい。
【0046】
第1ガス又は第2ガスが供給される対象(例えば触媒などのテストピースや、その他の機器)は、前記実施形態で述べたように、送出ポートOTPより下流に設けてもよいが、送出ポートOTPが大気圧近傍の場合などにおいては、圧力センサ51と可変絞り弁53の間の流路に設けてもよい。
その他、本発明は、その趣旨に反しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0047】
100・・・流体切換装置
11・・・第1流路
G1・・・第1ガス(第1流体)
12・・・第2流路
G2・・・第2ガス(第2流体)
21・・・送出流路(第1導出流路)
22・・・排出流路(第2導出流路)
3・・・切換機構
4・・・圧力制御機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7