【文献】
Heejung Yu et al,Coverage extetion for IEEE802.11ah,IEEE 802.11-11/0035r1,2011年 1月12日,Slides 1-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、前記情報源符号化部は2系統のデジタル音声信号処理手段を備えており、2系統の前記デジタル音声信号処理手段で処理されたデータをパラレル/シリアル変換した後に、前記伝送路符号化部の処理を行うことを特徴とするワイヤレスマイク用OFDM送信装置。
請求項1又は2に記載のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、OFDM変調処理のクロック周波数を選択可能とすることで、情報圧縮率及び/又は伝送帯域幅が異なる複数のOFDM変調方式を切り替えて使用できるようにしたことを特徴とするワイヤレスマイク用OFDM送信装置。
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、前記付加情報をパリティビット又は他の制御情報として利用することを特徴とするワイヤレスマイク用OFDM送信装置。
請求項1に記載のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、伝送帯域幅を600kHz以下、288kHz以下、又は192kHz以下のいずれかとすることを特徴とするワイヤレスマイク用OFDM送信装置。
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、音声信号の情報圧縮は、圧伸則に基づく瞬時圧縮又はADPCM(adaptive differential pulse code modulation:適応的差分パルス符号変調)符号化処理であることを特徴とするワイヤレスマイク用OFDM送信装置。
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、前記OFDM変調部は、時間インターリーブ部を備えていることを特徴とするワイヤレスマイク用OFDM送信装置。
請求項14記載のワイヤレスマイク用OFDM送受信システムは、イヤーモニター用OFDM送受信システムであることを特徴とするワイヤレスマイク用OFDM送受信システム。
請求項13ないし15のいずれか一項に記載のワイヤレスマイク用OFDM送受信システムにおいて、クロック周波数を選択可能とすることで、情報圧縮率及び/又は伝送帯域幅が異なる複数のOFDM変調方式を切り替えて使用できるようにしたことを特徴とするワイヤレスマイク用OFDM送受信システム。
請求項13ないし16のいずれか一項に記載のワイヤレスマイク用OFDM送受信システムにおいて、時間インターリーブを用いることを特徴とするワイヤレスマイク用OFDM送受信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来のデジタル方式のワイヤレスマイクシステムでは、周波数帯域を節約するために、圧縮符号化部63により圧縮処理を行い、伸張復号部76により圧縮処理された信号の伸張処理を行っており、これらの処理による遅延時間が生じている。
図10に示した従来のデジタル方式のワイヤレスマイクシステムでは、ワイヤレスマイク送信装置60とワイヤレスマイク受信装置70で合わせて約3msの遅延時間が生じている。そのうち、圧縮符号化部63の圧縮処理及び伸張復号部76の伸張処理による遅延時間は、合計で約1msであると言われている。
【0010】
また、屋外や移動しながらワイヤレスマイクを使用する場合には、マルチパスによるフェージングが発生し、品質が低下する。
【0011】
したがって、本発明の目的は、音声信号の送受信による遅延時間を減少させ、且つ、マルチパスフェージングによる受信品質の低下を防止するワイヤレスマイク用OFDM送信装置、受信装置及び送受信システムを提供することにある。
【0012】
また、これまでワイヤレスマイクの設計にあたっては、その使用周波数帯域や伝送帯域幅に応じて各種の伝送パラメータ設定や回路設計を行っていたため、それぞれが各伝送モードに専用の送受信装置となっていた。仮に複数の伝送モードを選択して利用する装置を作製する場合には、回路規模が大きなものとなっていた。
【0013】
したがって、本発明の他の目的は、複数の伝送モードで使用可能な小型のワイヤレスマイク用OFDM送信装置、受信装置及び送受信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明に係るワイヤレスマイク用OFDM送信装置は、音声信号をOFDM変調方式により送信するワイヤレスマイク用OFDM送信装置であって、デジタルの音声信号に対する音声圧縮部と、付加情報付加部とを含む、情報源符号化部と、誤り訂正符号化部と、OFDM変調部とを含む、伝送路符号化部とを備え、
前記伝送路符号化部は、複数の伝送ビットレートが選択可能であり、前記音声圧縮部は、複数の情報圧縮率が選択可能であり、前記付加情報付加部は、情報源符号化部の出力が
選択された前記伝送ビットレートと等しい所定の情報ビットレートになるように、付加情報を付加することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、前記情報源符号化部は2系統のデジタル音声信号処理手段を備えており、2系統の前記デジタル音声信号処理手段で処理されたデータをパラレル/シリアル変換した後に、前記伝送路符号化部の処理を行うことが望ましい。
【0016】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、OFDM変調処理のクロック周波数を選択可能とすることで、情報圧縮率及び/又は伝送帯域幅が異なる複数のOFDM変調方式を切り替えて使用できるようにすることが望ましい。
【0017】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、前記付加情報をパリティビット又は他の制御情報として利用することが望ましい。
【0018】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、伝送帯域幅を600kHz以下、288kHz以下、又は192kHz以下のいずれかとすることが望ましい。
【0019】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、音声信号の情報圧縮は、圧伸則に基づく瞬時圧縮又はADPCM(adaptive differential pulse code modulation:適応的差分パルス符号変調)符号化処理であることが望ましい。
【0020】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、前記OFDM変調部は、時間インターリーブ部を備えていることが望ましい。
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送信装置において、前記伝送路符号化部は、前記誤り訂正符号化部の符号化率と前記OFDM変調部のキャリア変調方式の少なくとも一方を複数種類備え、選択可能であることが望ましい。
【0021】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るワイヤレスマイク用OFDM受信装置は、前述のワイヤレスマイク用OFDM送信装置により送信されるOFDM信号を受信するワイヤレスマイク用OFDM受信装置であって、OFDM信号を復調するOFDM復調部と、復調された信号に対して誤り訂正の復号処理を行う誤り訂正復号部と、前記復号処理の後に、付加情報を処理する音声信号抽出部と、圧縮された音声信号を復元する音声データ復元部とを備え、
送信装置で選択された情報圧縮率に対応する情報伸張率が選択可能であり、
音声信号を出力することを特徴とする。
【0022】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM受信装置において、前記音声データ復元部を含むデジタル音声信号処理手段を2系統備え、前記誤り訂正復号部により処理されたデータをシリアル/パラレル変換した後、2系統の前記デジタル音声信号処理手段で処理することが望ましい。
【0023】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM受信装置において、イヤーモニター用OFDM受信装置であることが望ましい。
【0024】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM受信装置において、OFDM復調処理のクロック周波数を選択可能とすることで、情報圧縮率及び/又は伝送帯域幅が異なる複数のOFDM変調方式を切り替えて使用できるようにすることが望ましい。
【0026】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る音声信号をOFDM変調方式により送受信するワイヤレスマイク用OFDM送受信システムは、ワイヤレスマイク用OFDM送信装置は、デジタルの音声信号に対する音声圧縮部と、付加情報を付加する付加情報付加部と、誤り訂正符号化部と、OFDM変調部とを備え、ワイヤレスマイク用OFDM受信装置は、OFDM復調部と、誤り訂正復号部と、付加情報を処理する音声信号抽出部と、圧縮された音声信号を復元する音声データ復元部とを備え、
前記ワイヤレスマイク用OFDM送信装置は、前記音声圧縮部の情報圧縮率が選択可能であるとともに、情報ビットレートの異なる複数のモードが選択可能であり、前記付加情報は、音声信号を含む伝送信号が
選択された前記モードに対応する所定の情報ビットレートになるように調整されることを特徴とする。
【0027】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送受信システムにおいて、ワイヤレスマイク用OFDM送信装置は、2系統のデジタル音声信号処理手段を備え、2系統の前記デジタル音声信号処理手段で処理されたデータをパラレル/シリアル変換した後に、OFDM変調処理を行い、ワイヤレスマイク用OFDM受信装置は、圧縮されたデジタル信号を復元する音声データ復元部を含むデジタル
音声信号処理手段を2系統備え、OFDM復調処理されたデータをシリアル/パラレル変換した後、2系統の前記デジタル音声信号処理手段で処理することが望ましい。
【0028】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送受信システムにおいて、イヤーモニター用OFDM送受信システムであることが望ましい。
【0029】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送受信システムにおいて、クロック周波数を選択可能とすることで、情報圧縮率及び/又は伝送帯域幅が異なる複数のOFDM変調方式を切り替えて使用できるようにすることが望ましい。
【0030】
また、本発明のワイヤレスマイク用OFDM送受信システムにおいて、時間インターリーブを用いることが望ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、音声信号の送受信による遅延時間を減少させ、且つ、マルチパスフェージングによる受信品質の低下を防止することができるようになる。
【0032】
また、本発明によれば、伝送帯域幅が600kHz(600kHz以下を意味する。他の帯域幅も同様)のLPCM(Linear Pulse Code Modulation)低遅延ラジオマイクと、伝送帯域幅が288kHz及び192kHzの多チャンネル低遅延ラジオマイクの送受信部の回路が共用できるので、複数の伝送モードを選択して利用する場合に回路規模を大幅に削減できる。さらに、ステレオワイヤレスマイク(イヤーモニター)も共通の回路で実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
OFDM変調方式は、従来から高速・広帯域伝送を可能とする変調方式として、デジタルテレビ放送等に利用されており、高度な誤り訂正機能を付加することができ、電波障害に強い方式として知られている。
【0035】
しかし、このOFDM変調方式を様々な信号伝送に利用しようとするアイデアは存在していたとしても、ワイヤレスマイクシステムにOFDM変調方式を利用する際に、どのように変調方式及び復調方式を最適化するか、また、どのような回路構成とするかは、これまで十分に検討されていない。
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、本明細書において、ワイヤレスマイクは、モノラル、ステレオの双方を含み、送信装置はマイクヘッドとともに用いられるマイク本体や、電子楽器に直接接続する小型トランスミッター等の形態を含む。また、受信装置も固定的な装置のみならず、ヘッドフォンやイヤーモニター等、様々な形態を含むものである。
【0037】
(実施の形態1)
実施の形態1として、モノラルのワイヤレスマイク用OFDM送受信装置について説明する。
【実施例1】
【0038】
[ワイヤレスマイク用OFDM送信装置]
図1は、本発明の実施例1に係るワイヤレスマイク用OFDM送信装置1の構成を示すブロック図である。実施例1のOFDM送信装置1は、情報源符号化部Aと伝送路符号化部Bから構成されている。
【0039】
図1に示すように、OFDM送信装置1は、A/D変換部11と、音声圧縮部12と、付加情報付加部13と、エネルギー拡散部21と、誤り訂正符号化部22と、キャリア変調部23と、周波数インターリーブ部24と、時間インターリーブ部25と、OFDMフレーム構成部26と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部27と、ガードインターバル付加部28とを備える。これらの構成のうち、A/D変換部11と、音声圧縮部12と、付加情報付加部13は、情報源符号化部Aを構成する。また、エネルギー拡散部21から、ガードインターバル付加部28までは、伝送路符号化部Bを構成する。なお、キャリア変調部23と、周波数インターリーブ部24と、時間インターリーブ部25と、OFDMフレーム構成部26と、IFFT部27と、ガードインターバル付加部28は、OFDM変調部を構成する。また、図では省略されているが、OFDM変調部から出力される変調信号は、その後、D/A変換部でアナログ信号に変換し、さらに、送信周波数変換部により送信周波数に変調し、電力増幅して送信アンテナから送信することは、当該技術分野において自明のことである。
【0040】
各構成要素について説明する。A/D変換部11は、マイクから入力されるアナログの音声信号をデジタル信号に変換し、音声圧縮部12に出力する。音声信号の情報源符号化(サンプリング)は、例えば、サンプリング周波数として48kHz、量子化ビット長として24bitが利用される。なお、サンプリング周波数として32kHzを利用しても良く、量子化ビット長としては、20bit、18bit又は16bitを利用しても良い。
【0041】
音声圧縮部12は、所定の情報圧縮率で音声データを圧縮するものであり、各種の音声データの圧縮手段を総括的に表記したものである。例えば、音声圧縮部は、瞬時圧縮部であり、又は、ADPCM(adaptive differential pulse code modulation:適応的差分パルス符号変調)符号化部であり、又は、瞬時圧縮部とADPCM符号化部と選択部から構成される情報圧縮手段が選択可能な圧縮部であっても良い。また、他の適切な情報圧縮手段を採用しても良い。さらに、伝送路の伝送ビットレートが大きい場合は、圧縮率を1/1(すなわち、情報圧縮を行わない)としても良く、実質的に非圧縮の場合も含むものである。音声圧縮部12で圧縮処理された信号は、付加情報付加部13に出力される。
【0042】
音声データの圧縮手段について簡単に説明する。瞬時圧縮は、例えば圧縮率1/2の処理を行うとき、予め24bit→12bit圧伸則を定めておき、その対応関係に従ってデータの圧縮をする方法であり、極めて小さい時間遅延で、直ちに情報圧縮をすることができる。また、24bitで量子化を行った後、不要な下位の8bitの情報を削除し、その後に16bit→12bitの圧伸則に従ってデータの圧縮をしても良い。なお、データの圧縮率は1/2に限られるものではなく、適切な圧縮率でデータ量に圧縮を行うことができる。
【0043】
また、極めて小さい時間遅延で処理するデジタル信号のデータ量の圧縮・復元手段として、ADPCM処理により、データの圧縮(符号化)と復元(復号)を行っても良い。ADPCMは、過去の信号標本と現在の信号標本との差分信号を符号化する差分パルス符号変調(DPCM、差分PCM)を改良した方法であって、適応予測及び適応量子化を利用し、量子化幅を変化させて効率的な情報圧縮を行うものである。当該技術分野において一般的な情報圧縮技術であるので、詳細な説明は省くが、ADPCM符号化処理を利用することより、極めて小さい時間遅延で情報圧縮をすることができる。
【0044】
付加情報付加部13は、後段の伝送路符号化部Bで共通の処理が可能となるよう、情報ビットレートを一定にするための付加情報を音声データに付加する。例えば、伝送路符号化部Bで1248kbpsの情報ビットレートを前提とした伝送路符号化処理が予定されているとき、量子化ビット数24bit、サンプリング周波数48kHzのデジタル音声データは、情報圧縮率1/1の音声圧縮、すなわち、圧縮なしで伝送することができる。このとき、24bitの音声データあたり、2bitの付加情報を選択して付加する。これにより、音声レートは1152kbpsとなり、付加情報レートは96kbpsとなって、全体の情報ビットレートが1248kbpsとなる。なお、音声レートと目的とする情報ビットレートが一致した場合は、付加情報が0ビットとなる場合もあり得る。
【0045】
この付加情報は、単純に情報ビットレートの調整に利用しても良いが、さらに、例えば、パリティビットとして利用したり、制御に利用可能な他の情報(例えば、圧縮モード、送信電力、バッテリー残量、データ繰り返し回数等の情報)を持たせる等、様々な情報を持ったデータとすることもできる。また、付加情報付加部13は、必要に応じてデータのブロック化も行う。ここまでが、情報源符号化部Aの処理となる。
【0046】
次に、伝送路符号化部Bの構成について説明する。エネルギー拡散部21は、音声情報の偏りによりOFDMの特定のキャリアにエネルギーが集中しないように、付加情報付加部13の出力信号を、擬似ランダム信号等を用いてランダム化する。
【0047】
誤り訂正符号化部22は、エネルギー拡散部21から入力される信号に対して、例えば、畳み込み符号化等を行い、その後データ誤りが発生しても訂正できるように符号化をする。誤り訂正符号化部21の符号化率は、例えば、1/2や、2/3等を選択することができる。符号化したデータはキャリア変調部23に出力する。
【0048】
キャリア変調部23は、その内部にビットローテーション部231とマッピング部232を備えている。ビットローテーション部231は、大きな時間遅れを生じさせないOFDMシンボル内でのビット単位でのデータの並び替え(ビットインターリーブ)として、誤り訂正符号化部22から入力される信号に対し、ビットローテーションを行う。ビットローテーションとは、一群のビット列について、ビット列の初めの所定数のビットをビット列の最後に移動して、ビットを順次ローテーションさせるようにビット配置を変更するものである。例えば、78ビットのデータを1ブロックとして、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)の変調方式を採用する場合、ビット列(b
0,b
1,b
2・・・b
77)がシリアル/パラレル変換で2つのビット列(各ビット数39)に変換される。その後、一方のビット列に対して例えば30ビットシフトのローテーションを行い、次いで、2つのビット列をマッピング部232に出力する。マッピング部232は、キャリアごとに所定の変調方式(変調多値数M)に応じてIQ平面へのマッピングを行い、キャリア変調信号を生成し、周波数インターリーブ部24に出力する。
【0049】
周波数インターリーブ部24は、周波数選択性フェージングなど特定の搬送波が妨害を受けた場合の耐性を向上させるために、同一シンボル内でのキャリア番号を並び替え、データを周波数的に分散するものである。周波数インターリーブは、総キャリア数46(データキャリア数39)の場合、例えば、次式が用いられる。
【0050】
インターリーブ後のキャリア番号
=(インターリーブ前のキャリア番号×20+シンボル番号)mod39 (1)
【0051】
周波数インターリーブ部24は、並び替えたデータを時間インターリーブ部25に出力する。
【0052】
時間インターリーブ部25は、移動受信時の伝送特性を改善する目的、例えばOFDM信号の帯域全体が同時に減衰するようなフラットフェージング環境下では、周波数インターリーブの効果が得られないため、時間的にデータを分散させる時間インターリーブを施すことで、強力な伝送路符号化とするものである。信号処理の遅延を生じる可能性もあるが、許容できる範囲で時間インターリーブを行うことは有効である。時間インターリーブは、畳み込みインターリーブを用いる。
図5(a)に時間インターリーブ回路の構成を示す。当該回路において、各バッファに対して入力及び出力を順次切り替えることにより、時間インターリーブされたデータが得られる。
【0053】
図5(a)で、m
iは例えば、m
i = (i×5) mod 39 とする。ncは、データキャリアの本数(この例では39)、iはシンボル内キャリア番号を示す。シンボルバッファのI×m
iの値が整数でない場合は、小数点以下を切り上げて整数とする。
【0054】
時間インターリーブ長は、
図5(b)に示すようにセル長(I)の値を変えることで6種類のパラメータを選択できる。時間インターリーブを行わないときには、I=0を選択してもよいし、時間インターリーブ部25を省略してもよい。時間インターリーブ後のフレームの先頭は、一番遅延されたデータが入っているシンボルの先頭とする。時間インターリーブ部25で並び替えたデータは、OFDMフレーム構成部26に出力する。
【0055】
OFDMフレーム構成部26は、時間インターリーブ部25から入力される信号に対して、パイロット信号等を挿入して配置することによりOFDMフレームを生成し、IFFT部27に出力する。パイロット信号は、信号生成時の振幅及び位相が既知であるため、受信側において伝送路特性を推定することができる。OFDMフレーム構成部26は、パイロット信号として、分散して配置されるSP(Scattered Pilot)信号に加え、シンボル方向に連続して配置されるCP(Continual Pilot)信号を挿入してもよい。また、OFDMフレーム構成部26は、制御情報を伝送するための信号であるTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号を挿入する。OFDMフレーム構成は、例えば、総キャリア数46(データキャリア数39)のものが利用される。また、総キャリア数31(データキャリア数26)等の他のフレーム構成としても良い。
【0056】
IFFT部27は、OFDMフレーム構成部26から入力されるOFDMフレームに対して、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)処理を施して有効シンボル期間のIFFT出力信号を生成する。
【0057】
ガードインターバル付加部28は、IFFT部27から入力される有効シンボル期間のIFFT出力信号の先頭に、有効シンボル期間のIFFT出力信号の後半部分をコピーしたガードインターバルを挿入する。これにより、送信すべきOFDMシンボル信号が生成される。このエネルギー拡散部21からガードインターバル付加部28までの処理を、伝送路符号化部Bとして共通化できる。
【0058】
なお、その後は、図示しないD/A変換部により、作成されたOFDMシンボル信号に対して、デジタル/アナログ変換をし、さらに、図示しない周波数変換部によりアナログ信号化されたデータを送信周波数に変換する。その後、送信周波数に変換された信号を、電力増幅して送信アンテナから送信する。このように、実施例1のOFDM送信装置1が構成され、信号処理が行われる。
【0059】
次に、本実施例1の情報符号化処理における代表的な数値(帯域幅600kHz)を例示する。先に説明したように、情報圧縮率1/1、24bitの音声データあたり、2bitの付加情報を選択して付加することにより、全体の情報ビットレートが1248kbpsのデータを付加情報付加部13から出力できる(mode4)。また、量子化ビット数24bit、サンプリング周波数48kHzのデジタル音声データを、情報圧縮率19/24の音声圧縮を行って19bitの音声データとし、19bitの音声データあたり、0.5bitの付加情報を選択して付加する。これにより、音声レートは912kbpsとなり、付加情報レートは24kbpsとなって、全体の情報ビットレートが936kbpsとなる(mode3)。
【0060】
また、量子化ビット数24bit、サンプリング周波数48kHzのデジタル音声データに、情報圧縮率13/24の音声圧縮を行って13bitの音声データとし、付加情報は0bitとする。これにより、音声レートは624kbpsとなり、付加情報レートは0kbpsであって、全体の情報ビットレートが624kbpsとなる(mode2)。また、情報圧縮率9/24の音声圧縮を行って9bitの音声データとし、9bitの音声データあたり、0.75bitの付加情報を選択して付加する。これにより、音声レートは432kbpsとなり、付加情報レートは36kbpsとなって、全体の情報ビットレートが468kbpsとなる(mode1)。
【0061】
本実施例1の伝送路符号化処理における代表的な数値を例示する。誤り訂正符号として畳み込み符号とし、符号化率として2/3又は1/2、キャリア変調として16QAM又はQPSKとする。OFDMのキャリア変調方式と誤り訂正符号化率を変えることで、4つの伝送パラメータ(mode4、mode3、mode2、mode1)に対応可能である。OFDM変調において、FFTサイズ128、FFTクロック周波数1.632MHz、シンボル長83.33μs、有効シンボル長78.43μs、キャリア間隔12.75kHz、キャリア数46(データキャリア数39)といったパラメータが利用できる。
【0062】
伝送路符号化処理の共通化について説明する。伝送路符号化処理として、占有帯域幅600kHzのOFDM変調としたとき、キャリア変調16QAMで、伝送ビットレート1872kbpsの伝送、又は、キャリア変調QPSKで、伝送ビットレート936kbpsの伝送が可能である。
【0063】
したがって、各モードについて、情報ビットレートが1248kbpsのデータ(mode4)を、符号化率2/3で符号化し、1872kbpsの伝送ビットレートとして、16QAMでOFDM変調を行うことができる。また、情報ビットレートが936kbpsのデータ(mode3)を、符号化率1/2で符号化し、1872kbpsの伝送ビットレートとして、16QAMでOFDM変調を行うことができる。同様に、情報ビットレートが624kbpsのデータ(mode2)を、符号化率2/3で符号化し、936kbpsの伝送ビットレートとして、QPSKでOFDM変調を行うことができる。また、情報ビットレートが468kbpsのデータ(mode1)を、符号化率1/2で符号化し、936kbpsの伝送ビットレートとして、QPSKでOFDM変調を行うことができる。このように、異なる情報圧縮率の音声信号に対して、その後のOFDM変調処理等の伝送路符号化処理を共通化できる。なお、上記の情報源符号化処理及び伝送路符号化処理の数値は、いずれも、
図6に記載された各伝送パラメータに対応している。
【0064】
また更に、本実施例1の伝送路符号化処理のOFDM変調において、FFTサイズ128、FFTクロック周波数0.7532MHz、シンボル長180.56μs、有効シンボル長169.93μs、キャリア間隔5.88kHz、キャリア数46(データキャリア数39)といったパラメータが利用でき、この数値により、伝送帯域幅288kHzが実現できる。このように、OFDMフレーム構成を変更することなく、クロック周波数を逓倍又は分周することにより、異なる伝送帯域幅の伝送路符号化処理に対応できる。この場合も、誤り訂正符号として畳み込み符号とし、符号化率として2/3又は1/2、キャリア変調として16QAM又はQPSKとし、OFDMのキャリア変調方式と誤り訂正符号化率を変えることで、4つの伝送パラメータ(mode4、mode3、mode2、mode1)に対応可能である。
【0065】
したがって、実施例1のOFDM送信装置1は、音声圧縮部における情報圧縮率、及び、クロック周波数を選択可能にすることにより、様々な伝送モードに対応した送信処理が可能となる。
【実施例2】
【0066】
[ワイヤレスマイク用OFDM受信装置]
図2は、本発明の実施例2に係るモノラルのワイヤレスマイク用OFDM受信装置2の構成を示すブロック図である。実施例2のOFDM受信装置2は、実施例1のOFDM送信装置1から送信した信号を受信するための受信装置である。
【0067】
図2に示すように、OFDM受信装置2は、少なくとも1系統の受信系統を備えており、ガードインターバル除去部31と、FFT(Fast Fourier Transform)部32と、波形等化部33と、時間デインターリーブ部34と、周波数デインターリーブ部35と、キャリア復調部36と、誤り訂正復号部37と、エネルギー逆拡散部38と、音声信号抽出部39と、音声データ復元部40と、D/A変換部41とから成る。これらの構成のうち、ガードインターバル除去部31と、FFT部32と、波形等化部33と、時間デインターリーブ部34と、周波数デインターリーブ部35と、キャリア復調部36は、OFDM復調部を構成する。なお、図では省略されているが、アンテナから受信された受信信号は、受信周波数変換部により中間周波数に変換され、A/D変換部でデジタル信号に変換し、ガードインターバル除去部31に入力されることは、当該技術分野において自明のことである。なお、
図2においては、1系統のみの受信系統が記載されているが、複数の受信系統によりダイバーシティ受信を行い、最大比合成部により、各受信信号をレベルに応じて重み付けして合成してもよい。
【0068】
各構成要素について説明する。まず、ガードインターバル除去部31は、デジタル信号に変換された受信信号から、ガードインターバルを除去し、有効シンボル信号を作成し、FFT部32に出力する。
【0069】
FFT部32は、ガードインターバルが除去された信号に対してFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理を施す。
【0070】
波形等化部33は、伝送路の影響により変化した信号を、パイロット信号等を利用して伝送路の伝達関数を求め、この伝達関数の逆特性で処理することにより、本来の信号波形に戻す処理を行う。
【0071】
時間デインターリーブ部34は、FFT処理及び波形等化処理された信号に対して、時間デインターリーブ処理を行い、時間的に並び替えられたデータを元に戻す。送信側で時間インターリーブを行わないときは、時間デインターリーブ部34でI=0を選択してもよいし、時間デインターリーブ部34を省略してもよい。
【0072】
周波数デインターリーブ部35は、FFT処理及び波形等化処理された信号に対して、周波数デインターリーブ処理を行い、周波数的に並び替えられたデータを元に戻す。
【0073】
キャリア復調部36は、周波数デインターリーブ部35から入力される信号に対して、キャリアごとに復調を行い、誤り訂正復号部37に出力する。キャリア復調部36は、その内部にデマッピング部361と逆ビットローテーション部362を備えており、デマッピング部361でI信号値とQ信号値を得て、ビット単位のデータに復調した後、と逆ビットローテーション部362において、送信側のキャリア変調部においてビット単位で並べ替えたデータを、元の配列に戻す。
【0074】
誤り訂正復号部37は、キャリア復調部36から入力される信号に対して、例えば、ビタビ復号等の所定の復号処理を行い、データの誤り訂正を行う。
【0075】
次に、エネルギー逆拡散部38は、エネルギー逆拡散を施して、元の信号に戻す。ここまでで、送信側の伝送路符号化処理部Bで行った符号化処理が復号される。
【0076】
音声信号抽出部39は、エネルギー逆拡散部38からデータの復調処理が終了したデータ信号を受け取り、その中から音声信号を抽出する。この音声信号抽出処理は、送信側の付加情報付加部13の処理に対応する逆変換処理に相当する。なお、単に付加情報を除去するだけではなく、送信側で付加情報としてパリティビットを付加した場合は、そのパリティビットを利用した誤り訂正復号処理をさらに追加しても良い。また、図示されていないが、さらに、誤り訂正復号部で訂正できなかった誤りデータに対して、例えば、前後のデータで線形補間を行ったり、誤りが発生する直前の値を保持する等のコンシールメント処理を行っても良い。
【0077】
音声データ復元部40は、送信側の音声圧縮処理を復元するものであり、各種の音声データの伸張・復号手段を総括的に表記したものである。すなわち、音声データ復元部は、瞬時伸張部であり、又は、ADPCM復号部であり、又は、瞬時伸張部とADPCM復号部と選択部から構成されるデータ伸張・復号手段が選択可能な復元部であっても良い。また、他の適切な音声データ復元手段を採用しても良い。音声データ復元部40で復元された信号は、D/A変換部41に出力される。
【0078】
音声データ復元処理について簡単に説明する。瞬時伸張部は、予め設定した圧伸則を用いることにより、極めて小さい時間遅延でデータの伸張処理ができる。ADPCM復号部は、入力されたデジタル信号(例えば12ビット)をADPCM復号処理により、元の24ビットのデジタル信号に復号する。この復号処理は、ADPCM符号化の逆処理であって、公知の手段を利用して、極めて小さい時間遅延でデータの復号処理ができる。また、選択部を利用して、これら瞬時伸張部とADPCM復号部とを選択可能としても良い。
【0079】
D/A変換部41は、伸張されたデジタルデータを、デジタル/アナログ変換し、アナログ音声信号を出力する。
【0080】
このように実施例2のOFDM受信装置によれば、受信したOFDM信号から音声信号を出力できる。
【0081】
実施例2のOFDM受信装置は、実施例1のOFDM送信装置で用いた伝送パラメータに対応して設計される。したがって、音声データ復元部における情報伸張率、及び、FFT処理等に用いるクロック周波数を選択可能にすることにより、様々な伝送モードに対応した受信処理が可能となる。
【0082】
(実施の形態2)
実施の形態2として、ステレオワイヤレスマイク用OFDM送受信装置(イヤーモニター)について説明する。
【実施例3】
【0083】
[ステレオワイヤレスマイク用OFDM送信装置]
図3は、本発明の実施例3に係るステレオワイヤレスマイク用OFDM送信装置3の構成を示すブロック図である。ここでは、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付し、説明を簡略化する。
実施例3に係るステレオワイヤレスマイク用OFDM送信装置3は、実施例1に係る構成と比較して、音声入力が2系統(ステレオ伝送)となっている点が相違する。なお、実施例1のモノラル信号を伝送するワイヤレスマイク(ラジオマイク)と互換性のある伝送パラメータを採用することで、実施例1のワイヤレスマイクと装置の共有化を図ることも可能である。
【0084】
図3に示すように、OFDM送信装置3は、2系統のA/D変換部11(11
1,11
2)と、音声圧縮部12(12
1,12
2)と、付加情報付加部13(13
1,13
2)、及び、パラレル/シリアル(P/S)変換部14とを有し、これらで情報源符号化部Aを構成する。さらに、エネルギー拡散部21と、誤り訂正符号化部22と、キャリア変調部23と、周波数インターリーブ部24と、時間インターリーブ部25と、OFDMフレーム構成部26と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部27と、ガードインターバル付加部28とにより、伝送路符号化部Bを構成することは実施例1と同じである。キャリア変調部23は、ビットローテーション部231と、マッピング部232とを備える。これらの構成のうち、キャリア変調部23と、周波数インターリーブ部24と、時間インターリーブ部25と、OFDMフレーム構成部26と、IFFT部27と、ガードインターバル付加部28は、OFDM変調部を構成する。また、図では省略されているが、OFDM変調部から出力される変調信号は、その後、D/A変換部でアナログ信号に変換し、さらに、送信周波数変換部により送信周波数に変調し、電力増幅して送信アンテナから送信することは、当該技術分野において自明のことである。
【0085】
各構成要素について説明する。A/D変換部11(11
1,11
2)は、マイクから入力されるアナログの音声信号(右側音声信号と左側音声信号)をそれぞれデジタル信号に変換するものであり、実施例1のA/D変換部11と同等である。A/D変換部11(11
1,11
2)、それぞれ、音声圧縮部12(12
1,12
2)にデジタル信号を出力する。
【0086】
音声圧縮部12(12
1,12
2)は、入力されたデジタル信号(例えば24ビット)を極めて小さい時間遅延で情報圧縮(情報量の削減)を行い、例えば情報圧縮率1/2で、12ビットのデジタル信号に変換する。
【0087】
極めて小さい時間遅延のデジタル信号のデータ量圧縮手段としては、例えば、瞬時圧縮や、ADPCM処理によるデータの圧縮(符号化)が利用できる。また、瞬時圧縮部とADPCM符号化部と選択部とにより、圧縮手段を選択可能としても良く、同様に、処理時間が低遅延である他のデータの圧縮手段を用いても良い。
【0088】
付加情報付加部13(13
1,13
2)は、ステレオ2系統の各々の信号ごとに付加情報を付加し、パラレル/シリアル(P/S)変換部14に出力する。付加情報付加部13は、情報ビットレートを一定にするための付加情報を音声データに付加する。この処理は実施例1と同様である。なお、付加情報付加部13とP/S変換部14の配置を反対にして、P/S変換後のシリアルデータに対して付加情報の付加処理を行うこともできる。
【0089】
付加情報は、単純に情報ビットレートの調整に利用しても良いが、さらに、例えば、パリティビットとして利用したり、制御に利用可能な他の情報(例えば、圧縮モード、送信電力、バッテリー残量、データ繰り返し回数等の情報)を持たせる等、様々な情報を持ったデータとすることもできる。
【0090】
パラレル/シリアル(P/S)変換部14は、上述した2系統のデジタル音声信号処理手段により処理された信号をパラレル/シリアル変換処理してシリアル信号とした後、エネルギー拡散部21に出力する。ここまでが、情報源符号化部Aの処理となる。
【0091】
伝送路符号化部Bの処理は、実施例1と同様である。エネルギー拡散部21から、誤り訂正符号化部22、OFDM変調部(キャリア変調部23、周波数インターリーブ部24、時間インターリーブ部25、OFDMフレーム構成部26、IFFT部27、及びガードインターバル付加部28)を経てOFDM信号を生成する。その後、D/A変換部でアナログ信号に変換し、さらに、送信周波数変換部により送信周波数に変調し、電力増幅して送信アンテナから送信することも、実施例1のOFDM送信装置と共通である。ビットローテーションや周波数インターリーブのインターリーブ処理も実施例1と同様に行うことができる。
【0092】
本実施例3のステレオワイヤレスマイクにおける情報源符号化処理の代表的な数値を例示すると、音声信号の情報源符号化(サンプリング)を左右の系統ごとに量子化ビット長24bit、サンプリング周波数fs=48kHzで行い、これを瞬時圧縮で12bitに圧縮することにより、全体(2系統合計)の音声ビットレートは実施例1と同様に、1152kbps(12bit×2[ステレオ]×48kHz)となる。また、付加情報として、音声ビット数(12+12)bitあたり2bitを付加する。これにより、付加情報レートは96kbpsとなって、全体の情報ビットレートが1248kbpsとなる(mode4)。
【0093】
また、本実施例3のステレオワイヤレスマイクにおいて、音声信号の情報源符号化(サンプリング)を左右の系統ごとに量子化ビット長24bit、サンプリング周波数fs=48kHzで行い、これを情報圧縮率9/24の瞬時圧縮で9bitに圧縮することにより、全体(2系統合計)の音声ビットレートは、864kbps(9bit×2[ステレオ]×48kHz)となる。また、付加情報として、音声ビット数(9+9)bitあたり1.5bitを付加する。これにより、付加情報レートは72kbpsとなって、全体の情報ビットレートが936kbpsとなる(mode3)。
【0094】
また、本実施例3のステレオワイヤレスマイクにおいて、音声信号の情報源符号化(サンプリング)を左右の系統ごとに量子化ビット長24bit、サンプリング周波数fs=48kHzで行い、これを情報圧縮率1/4の瞬時圧縮で6bitに圧縮することにより、全体(2系統合計)の音声ビットレートは、576kbps(6bit×2[ステレオ]×48kHz)となる。また、付加情報として、音声ビット数(6+6)bitあたり1bitを付加する。これにより、付加情報レートは48kbpsとなって、全体の情報ビットレートが624kbpsとなる(mode2)。同様に、各系統を情報圧縮率1/8の瞬時圧縮で4bitに圧縮することにより、全体(2系統合計)の音声ビットレートは、384kbps(4bit×2[ステレオ]×48kHz)となる。また、付加情報として、音声ビット数(4+4)bitあたり1.75bitを付加する。これにより、付加情報レートは84kbpsとなって、全体の情報ビットレートが468kbpsとなる(mode1)。
【0095】
次に、本実施例3の伝送路符号化処理における代表的な数値を例示する。誤り訂正符号として畳み込み符号とし、符号化率として2/3又は1/2、キャリア変調として16QAM又はQPSKとする。OFDM変調において、FFTサイズ128、FFTクロック周波数1.632MHz、シンボル長83.33μs、有効シンボル長78.43μs、キャリア間隔12.75kHz、キャリア数46(データキャリア数39)といったパラメータが利用できる。これは、実施例1における帯域幅600kHzの伝送路符号化処理のパラメータと同一である。
【0096】
伝送路符号化処理の共通化について説明する。実施例1で説明したとおり、上記の伝送路符号化パラメータにより、キャリア変調16QAMで、伝送ビットレート1872kbpsの伝送、又は、キャリア変調QPSKで、伝送ビットレート936kbpsの伝送が可能である。したがって、各モードについて、情報ビットレートが1248kbpsのデータ(mode4)を、符号化率2/3で符号化し、1872kbpsの伝送ビットレートとして、16QAMでOFDM変調を行うことができる。また、情報ビットレートが936kbpsのデータ(mode3)を、符号化率1/2で符号化し、1872kbpsの伝送ビットレートとして、16QAMでOFDM変調を行うことができる。同様に、情報ビットレートが624kbpsのデータ(mode2)を、符号化率2/3で符号化し、936kbpsの伝送ビットレートとして、QPSKでOFDM変調を行うことができる。また、情報ビットレートが468kbpsのデータ(mode1)を、符号化率1/2で符号化し、936kbpsの伝送ビットレートとして、QPSKでOFDM変調を行うことができる。このように、その後のOFDM変調処理等の伝送路符号化処理を共通化できる。なお、上記の情報源符号化処理及び伝送路符号化処理の数値は、いずれも、
図9に記載された各伝送パラメータに対応している。
【0097】
このような伝送パラメータを採用することで、ステレオマイクのパラメータを共通化するばかりではなく、さらに、実施例1のモノラルのワイヤレスマイク用OFDM送信装置とのパラメータの共通化も可能である。したがって、実施例1のワイヤレスマイク(ラジオマイク)と、伝送路符号化部B以降の回路構成について、装置の共有化が図ることができる。
【実施例4】
【0098】
[ステレオワイヤレスマイク用OFDM受信装置]
図4は、本発明の実施例4に係るステレオワイヤレスマイク用OFDM受信装置の構成を示すブロック図である。ステレオワイヤレスマイク用OFDM受信装置の具体例としては、ステージ・舞台等で使用するイヤーモニターがあげられる。ここでは、実施例2(実施の形態1の受信装置)と同一の構成については同一の符号を付し、説明は簡略化する。実施例4に係るステレオワイヤレスマイク用OFDM受信装置4は、実施例2に係る構成と比較して、音声出力が2系統(ステレオ伝送)となっている点が相違する。
【0099】
図4に示すように、OFDM受信装置4は、少なくとも1系統の受信系統を有し、ガードインターバル除去部31と、FFT部32と、波形等化部33と、時間デインターリーブ部34と、周波数デインターリーブ部35と、デマッピング部361及び逆ビットローテーション部362から構成されるキャリア復調部36と、誤り訂正復号部37と、エネルギー逆拡散部38とを有し、更に、シリアル/パラレル(S/P)変換部42と、2系統の音声信号抽出部39(39
1,39
2)と、音声データ復元部40(40
1,40
2)と、D/A変換部41(41
1,41
2)とから成る。これらの構成のうち、ガードインターバル除去部31と、FFT部32と、波形等化部33と、時間デインターリーブ部34と、周波数デインターリーブ部35と、キャリア復調部36は、OFDM復調部を構成する。また、図では省略されているが、アンテナから受信された受信信号は、受信周波数変換部により中間周波数に変調され、A/D変換部でデジタル信号に変換し、OFDM復調部に入力されることは、当該技術分野において自明のことである。なお、
図4においては、1系統のみの受信系統が記載されているが、複数の受信系統によりダイバーシティ受信を行い、最大比合成部により、各受信信号をレベルに応じて重み付けして合成してもよい。
【0100】
ガードインターバル除去部31から、FFT部32、波形等化部33、時間デインターリーブ部34、周波数デインターリーブ部35、キャリア復調部36、誤り訂正復号部37、エネルギー逆拡散部38に至る信号処理は、実施例2のOFDM受信装置2と同じである。エネルギー逆拡散部38の処理までで、送信側の伝送路符号化処理部Bで行った符号化処理が復号される。
【0101】
エネルギー逆拡散部38は、エネルギー逆拡散を施して、信号(シリアル信号)をシリアル/パラレル(S/P)変換部42に出力する。
【0102】
シリアル/パラレル(S/P)変換部41は、エネルギー逆拡散後の信号をシリアル/パラレル変換処理により2系統の信号に分離し、それぞれの信号を音声信号抽出部39(39
1,39
2)に出力する。
【0103】
音声信号抽出部39(39
1,39
2)は、それぞれの信号列から音声信号を抽出し、音声データ復元部40(40
1,40
2)に出力する。この音声信号抽出処理は、送信側の付加情報付加部13の処理に対応する逆変換処理に相当する。なお、単に付加情報を除去するだけではなく、送信側で付加情報としてパリティビットを付加した場合は、そのパリティビットを利用した誤り訂正復号処理をさらに追加しても良い。また、さらに、図示されていないが、誤り訂正復号部で訂正できなかった誤りデータに対して、例えば、前後のデータで線形補間を行ったり、誤りが発生する直前の値を保持する等のコンシールメント処理を行っても良い。なお、送信側において、P/S変換後のシリアルデータに対して付加情報の付加処理を行った場合は、音声信号抽出部39とS/P変換部42の配置を反対にして、音声信号抽出処理を行った後に2系統の信号に分離することとなる。
【0104】
音声データ復元部40(40
1,40
2)は、入力されたデジタル信号(例えば12ビット)を極めて小さい時間遅延でデータ復元(圧縮されていた情報量の復元)を行い、例えば24ビットのデジタル信号に変換する。この極めて小さい時間遅延のデータ復元としては、実施例2と同様に、例えば、圧伸則を用いる瞬時伸張や、ADPCM復号処理を用いることができる。データ復元部40(40
1,40
2)で復元(伸張)された信号は、それぞれD/A変換部41(41
1,41
2)に出力される。
【0105】
D/A変換部41(41
1,41
2)は、伸張されたデジタルデータを、デジタル/アナログ変換し、アナログ音声信号を出力する。2系統のデジタル音声信号処理手段を設けることにより、出力はステレオ音声信号となる。このように実施例4のOFDM受信装置4よれば、受信したOFDM信号からステレオ音声信号を出力できる。
【0106】
本実施例4のステレオワイヤレスマイク用OFDM受信装置4は、実施例3において説明した伝送パラメータを採用することで、様々なステレオモードのOFDM信号に対応可能となる。また更に、実施例2のワイヤレスマイク用OFDM受信装置2と、受信アンテナからエネルギー逆拡散部38までの回路構成について、共有化を図ることもできる。
【0107】
なお、
図9では伝送帯域幅600kHzのパラメータのみ記載されているが、情報圧縮により音声ビット数をさらに小さくすれば、更に狭い伝送帯域幅でステレオワイヤレスマイク用OFDM送受信システムが実現できることは言うまでもない。なお、伝送帯域幅を可変とするためには、送信装置及び受信装置において、FFTクロック周波数を可変とすることは、実施例1,2と同様である。
【0108】
図6ないし
図9は、本発明の各実施例において利用できる各伝送パラメータの一例である。
図6は、帯域幅600kHzの低遅延の標準マイクの伝送パラメータであり、
図7は、帯域幅288kHzの低遅延の多チャンネルマイクの伝送パラメータであり、
図8は、帯域幅192kHzの低遅延の多チャンネルマイクの伝送パラメータである。また、
図9は、帯域幅600kHzの低遅延のステレオマイク(イヤーモニター)の伝送パラメータである。いずれの伝送方式も全キャリア数が46(データキャリア数39)のOFDMフレーム構成を用いており、FFTクロック周波数を変えるだけで、同じシステム構成で対応することができ、様々な伝送方式に対してシステムの共通化をおこなうことができる。なお、伝送帯域幅をさらに異ならせた伝送方式も、必要に応じて設定可能であり、伝送パラメータはこれらに限られるものではない。
【0109】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各構成等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段や構成等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。