(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記気密パッキンの、前記フレキ管の外周面に密着する内孔のフレキ管入口側の端部にスリットが形成されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のフレキ管継手。
【符号の説明】
【0011】
F;フレキ管、J;フレキ管継手
1;継手本体、1b;オネジ部、1d;スパナ掛け部、1e;凹段部、1e´;凹溝
1f;リテーナ押え収容部(入口側部外周)、1g;オネジ、1h;入口側端部、
1j;本体溝、1i;ピン孔、1k;継手本体内孔、1m;係止段部
1s;環状溝、1v;入口部
2;リテーナ押え、2a;はみ出し部、2b;リテーナ押え内孔(管挿入孔)
2c;環状溝、2d;テーパ内面、2u;ピン孔、2w;リテーナ押え溝(環状溝)、
2x;入口側露出部分、2y;端面
3;リテーナ、3b;リテーナ爪、3d;テーパ外面
4;気密パッキン、4b;面取り、4d;スリット、4f;気密パッキン内孔
5;コイルばね、
6;スプリングガイド、6b;先反り部、6c;脚片部、6d;元リング部
7;移動片、7b;肉厚部、7d;端部
11;水密パッキン、12;インジケータリング、13;通気性部材、
14;水密Oリング、15;ストップリング、16;耐火パッキン
19;金属製ガイド、20;ばね伸長防止リング
101;ビニールフィルム、
111;ロックキャップ(ネジなし)、111b;係止突起、111c;キャップ片、
111d;内面、111f;切り欠き、111m;鍔、111n;フレキ管挿入孔
121;ロックキャップ(ネジあり)、
121m;鍔、121n;フレキ管挿入孔
121c;円筒部,121b;メネジ、121d;内面、121f;のぞき窓、
131;クリップ、131b;ツマミ部、131d;係止線部、131f;弾性変形部
141;ピン、141b;ピン先、
【0012】
フレキ管継手の概要
図1〜7及び
図9〜11に示すフレキ管継手Jの内部構造は、基本的には、特開2011−52762や国際公開2010/131609に開示されたものと同じである。ここでは、全体の構成・作用の概要を説明する。本願の実施形態のフレキ管継手Jは、筒状の継手本体1と、その内部に収容された諸部品からなる。
【0013】
継手本体1の外側は、
図1・2の右から左に見て、オネジ部1b、スパナ掛け部1d、リテーナ押え収容部1fなどとなっている。オネジ部1bは、ガス供給管側の継手のメネジにつなぎ込まれる。スパナ掛け部1dは、そのネジ接続の際にスパナを掛けるところである。リテーナ押え収容部1fは、後述するリテーナ押え2が内部に収容されるところであり、その入口側端部1h(図の左端)はフレキ管Fの先端部が継手内に挿入される口の部分である。この明細書では、このフレキ管F挿入口の側(
図1〜7及び
図9〜11の左側)を「入口側」といい、その反対側のフレキ管が挿入される奥の側(
図1〜7及び
図9〜11の右側)を「奥側」という。継手本体1の内孔は、図の右端部のオネジ部1bの内孔1aがガスを受け入れる孔であり、その入口側(左側)に諸部品を収容する孔(内孔1k)が入口側端部1hまでつながっている。
【0014】
継手本体1内孔1kに収容されている諸部品は、
図1・2の右から左に見て(奥側から入口側に見て)、移動片7、スプリングガイド6、コイルばね5、気密パッキン4、リテーナ3、リテーナ押え2などである。移動片7とスプリングガイド6は、本発明にいう「ばね解除機構」を構成している。すなわち、フレキ管Fの先端が継手本体内孔1kの奥の挿入完了位置まで挿入された時点で、移動片7がフレキ管先端FT(
図2参照)に押されて奥側に進み、スプリングガイド6との係合が外れる。すると、スプリングガイド6の奥側係合片6bは内側に変形可能になり、本体内孔係止段部1mから脱離可能となる。これにより、コイルばね5は動作を解除され、入口側に伸長する。これにより、コイルばね5は、その入口側の気密パッキン4を介してリテーナ3を入口側に押す。
【0015】
気密パッキン4は、継手本体内孔1k内に配置されており、挿入されたフレキ管Fの外周面に密着して、継手本体内孔1kの内部を通るガスが継手外に洩れるのを防ぐ。該気密パッキン4の入口側には、耐火パッキン16が配置されている。この耐火パッキン16は、火災時に膨張して継手本体内孔1kとフレキ管F外面との間を塞ぐ。
【0016】
リテーナ3は、継手本体1の内孔内で拡縮径可能であって、縮径時にフレキ管Fの環状凹部に係合して固定するリテーナ爪3b(
図2参照)を有する。また、リテーナ3は、その入口側部分に、奥側に向かって大径になるテーパ外面3dを有する。
【0017】
リテーナ押え2は、継手本体内孔1kの入口部1vに取り付けられており、フレキ管Fの挿入される管挿入孔2bを有する筒状のものである。リテーナ押え2の奥側内面には、奥側に向かって大径になるテーパ内面2dが形成されている。このテーパ内面2dは、リテーナ3がコイルばね5で入口側に押されたときに、リテーナ3のテーパ外面3dと当接・摺動し、リテーナ爪3bを縮径させる。
【0018】
リテーナ押え2の外面には、入口側から奥側に向かって、インジケータリング12、通気性部材13、水密Oリング14、ストップリング15が配置されている。また、内孔入口側には、水密パッキン11が配置されている。
【0019】
ストップリング15は、C字状の止めリングであり、リテーナ押え2を(結局リテーナ3を介してフレキ管Fを)継手本体1に固定するものである。ストップリング15は、リテーナ押え2の外周に切られた環状溝2cにその内側が入り込んでいる。ストップリング15の外側は、継手本体内孔1kに切られた環状溝1sに入り込んでいる。環状溝1sは、比較的幅が入・奥方向に広いので、ストップリング15は、この溝幅内を入・奥方向に移動可能である(したがって、リテーナ押え2も少々移動可能である)。すなわち、
図1の状態から、
図2の状態まで、寸法Sだけ移動可能である。なお、継手本体内面の環状溝1sの奥側が径大となっているのは、メンテ時などにリテーナ押え2を継手本体1から抜くことができるようにするためである。
【0020】
インジケータリング12もC字型の止め輪であり、リテーナ押え2の入口側の部分(はみ出し部2a)の外周に固定されている。なお、この実施形態のリテーナ押え2は、その入口側約四分の一の部分が継手本体1から外に出ているが、この部分全体をはみ出し部とはいわず、インジケータリング12の嵌った部分、すなわち継手接続完了時に継手本体1から出てくる部分を「はみ出し部2a」と呼ぶ。リテーナ押え2は、継手接続完了時に、リテーナ3を介してコイルばね5に前側に押されて僅かにスライド(上記寸法Sだけ)して、リテーナ押え2の入口側の一部(はみ出し部2a)が継手本体内孔1kの入口部1vの中から外(入口側)にはみ出す。インジケータリング12の外面は、視認しやすいように、隣接する他の部分(リテーナ押え2、継手本体1)とは違う色(例えば青)に着色されている。
【0021】
このフレキ管継手Jの基本的な作用は以下のとおりである。
所定長さ被覆剥きしたフレキ管Fの先端部を継手内に挿入し(差し込み)、リテーナ押え2の内孔(挿入孔)2b→リテーナ爪3bの内側→気密パッキン4の内側と通し、継手奥のばね解除機構(移動片7とスプリングガイド6)まで進める。このばね解除機構は、フレキ管の先FTが継手本体内孔1kの奥の挿入完了位置まで挿入された時点で上述のように作動して、コイルばね5の継手入口方向への伸長を許す。この伸長するコイルばね5により、リテーナ3は、パッキン4・16を介して入口方向に押される。これにより、リテーナ3はリテーナ押え2のテーパ内面2dに押し当てられて、リテーナ爪3bが縮径されてフレキ管Fの環状凹部に係合し、フレキ管Fがリテーナ3に固定される。リテーナ押え2は、リテーナ3を介してコイルばね5に押され上記寸法Sだけスライドして、該リテーナ押え2の一部はみ出し部2aだけ継手本体内孔1kの入口部1vからはみ出す。インジケータリング12は、リテーナ押え2の「はみ出し部2a」の外周に固定されており、リテーナ押え2が継手本体内孔1kの入口部1vから外へはみ出すと、インジケータリング12は継手外面に現れて視認可能となる。これにより、施工者・検査者が、施工の正常完了を認識可能となる。
【0022】
ここで、継手本体内孔1kの奥までのフレキ管Fの挿入やコイルばね5の伸長、リテーナ爪3bの閉が起こる前に、リテーナ押え2がスライドして継手本体1からはみ出しては、誤った継手接続完了を表示することとなる。そこで、本発明では、リテーナ押えスライド防止手段(
図1・2ではビニールフィルム101)を設け、該手段を、リテーナ押え及び前記継手本体の外周部から視認及び操作可能とした。これにより、リテーナ押えスライド防止手段の状況を外から確認可能とするとともに、施工・検査の進行状況によっては、リテーナ押えスライド防止手段を操作可能として、柔軟な作業を行えるようにした。
【0023】
以下、本発明のフレキ管継手における具体的なスライド防止手段としての、「巻き透明フィルム型」、「ロックキャップ型」、「クリップ型」、「ピン型」について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
巻き透明フィルム型;図1・2
このタイプのフレキ管継手においては、スライド防止手段が透明な樹脂製のフィルム101である。同フィルム101は、リテーナ押え2の入口側露出部分2xと継手本体1の入口側部外周1f(リテーナ押え収容部の外周)に巻かれている。この例のフィルム101は、リテーナ押えなどの外周に被せたビニールフィルムを、熱収縮させて、リテーナ押え入口側露出部分2xや本体入口側部外周1fなどに密着させている。より具体的には、ビニールフィルム101は、リテーナ押え入口側露出部分2xの端面2yや外周面に密着して覆っている。また、ビニールフィルム101は、継手本体1の入口側部(リテーナ押え収容部)外周1fに密着して覆っている。ビニールフィルム101の奥側先端は、本体入口側部外周1fの奥側に形成された凹段部1eに達している。
【0025】
フィルム101は、リテーナ爪3bなどにフレキ管凹部(谷)が引っ掛かった状態でフレキ管を抜く方向に引っ張っても伸びず(リテーナ押え2が継手本体1に対してスライドせず)、フレキ管挿入完了後にコイルばね5が伸びたときにはフィルム101も伸びて、リテーナ押え2が継手本体1に対してスライドし、「はみ出し部2a」が継手本体1の外にでる。これにより、はみ出し部2aの外側に装着されているインジケータリング12を、施工者は、透明なビニールフィルム101を通して外部から視認可能となる。このとき、もし、インジケータリング12が視認できないときは、施工完了していないことになる。そこで、インジケータリング12が視認できないときは、ビニールフィルム101を取り去る前に、再び継手内にフレキ管Fを奥まで挿入することを試みることができる。以上のようなフィルムの伸び特性が実現できるよう、フィルムの材質・厚さ・熱収縮温度やコイルばねの強さなどをコントロールする。
【0026】
このビニールフィルム101に関連する諸元の一例は、以下のとおりである。
継手呼び径15A、本体入口側部外周1fの外径Φ35mm・長さ14mm、
リテーナ押えの入口側露出部分2xの外径29mm、長さ5.5mm
コイルばね5の押し力;解除前90N、解除後50N
ビニールフィルム101の厚さ0.06mm、商品名「三菱樹脂株式会社製 PET シュリンクフィルム Lx−10s」、収縮前径Φ35mm
熱収縮温度130℃
【0027】
ビニールフィルム101には、引き破るためのミシン目を入れておくこともできる。例えば、施工後の検査時において、検査者が、ビニールフィルム101を被ったままの状態でインジケータリング12が出ていることを確認した後に、ビニールフィルム101を破り取るようなことが考えられる。この巻き透明フィルム型は、材料費があまりかからず、施工時における不意の脱落・誤操作の危険性が比較的少ないと考えられる。
【0028】
ロックキャップ(ネジなし)型;図3・4
ロックキャップ111は、内凸の鍔111m付きの薄いスリーブ状のものである。鍔111mの内径部には、フレキ管挿入孔111nが存在する。鍔111mの奥側(図の右側)には、断面が円弧状のキャップ片111cが延びている。ロックキャップ111装着時には、鍔111mはリテーナ押え2の入口側端面2yに当たり、キャップ片111cは継手本体1の入口側部外周1fの外面に沿う。キャップ片111cには切り欠き111fが形成されている。キャップ片111cの内面111dの奥側には、係止突起111bが内側に突設されている。この係止突起111bは、継手本体1の入口側部外周1fに形成された凹溝1e´に入り込んで係止される。
【0029】
継手の差込接続の施工前には、
図3に示すように、ロックキャップ111は、継手の入口側部に係止されている。この状態では、リテーナ押え2の継手本体1に対するスライドは防止されている。ここで継手内にフレキ管Fを奥まで挿入すると、前述のように、コイルばね5がリテーナ3を入口側に押して、そのリテーナ爪3bを縮径させる。また、リテーナ押え2もコイルばね5によって、入口側に押される。こうなっても、ロックキャップ111は
図3の係止位置にある(係止突起111bと凹溝1e´との係止力のほうがコイルばね5の押し力よりも強い)。
【0030】
ここで、
図4のように、ロックキャップ111を入口側に抜くと、コイルばね5の力に押されて、リテーナ押え2のはみ出し部2aが継手本体1から外に出る。これにより、はみ出し部2aの外側に装着されているインジケータリング12を、施工者は外部から視認可能となる。このとき、もし、インジケータリング12が視認できないときは、施工完了していないことになる。そこで、インジケータリング12が視認できないときは、ロックキャップ111を継手の入口側部に係止させて、再び継手内にフレキ管Fを奥まで挿入することを、試みることができる。
【0031】
ロックキャップ(ネジあり)型;図5・6
ロックキャップ121は、内凸の鍔121m付きの薄いスリーブ状のものである。鍔121mの内径部には、フレキ管挿入孔121nが存在する。鍔121mの奥側(図の右側)には、円筒部121cが延びている。ロックキャップ121装着時には、鍔121mはリテーナ押え2の入口側端面2yに当たり、円筒部121cは継手本体1の入口側部外周1fの外面に沿う。円筒部121cの入り奥方向中央部にはスリット状ののぞき窓121fが形成されている。円筒部121cの内面121dの奥側には、メネジ121bが形成されている。このメネジ121bは、継手本体1の入口側部外周1fに形成されたオネジ1gと螺合している。
【0032】
継手の差込接続の施工前には、
図3に示すように、ロックキャップ121は継手本体1にねじ込まれた状態である。すなわち、ロックキャップ121の鍔121mが、リテーナ押え2の入口側端面2yに当った状態であり、リテーナ押え2の継手本体1に対するスライドは防止されている。ここで継手内にフレキ管Fを奥まで挿入すると、前述のように、コイルばね5がリテーナ3を入口側に押して、そのリテーナ爪3bを縮径させる。また、リテーナ押え2もコイルばね5によって、入口側に押される。こうなっても、ロックキャップ121は
図3の係止位置にある。
【0033】
ここで、
図6のように、ロックキャップ121を回して入口側に抜くと、コイルばね5の力に押されて、リテーナ押え2のはみ出し部2aが継手本体1から図の左方向に移動する。そして、はみ出し部2aの外側に装着されているインジケータリング12を、ロックキャップのぞき窓121fから視認可能となる。このとき、もし、インジケータリング12が視認できないときは、施工完了していないことになる。そこで、インジケータリング12が視認できないときは、ロックキャップ121を継手の入口側部に係止させて、再び継手内にフレキ管Fを奥まで挿入することを試みることができる。
【0034】
クリップ型;図7〜9
この実施形態では、
図8・7で示すように、クリップ131の係止線部131dを、本体溝1jとリテーナ押え溝(環状溝)2wの間に入れて、リテーナ押え2のスライド防止を行っている。すなわち、リテーナ押え2の外面に環状のリテーナ押え溝2wを形成し、同溝2wにちょうど合う位置(未施工状態で)に継手本体1の摺り割り溝1jを形成する。そして、これらの溝2w・1jにかかる線径のクリップ係止線部131dを差し込む。これにより、上記両溝2w・1jは相対的に移動不能となり、クリップのスライド防止作用が生じる。クリップ131は、
図8に示すように、全体として二股状に成形された金属線であり、継手を挟むように対向している一対の係止線部131d、両線部をつなぐ位置にあるツマミ部131b、線の両端に形成された弾性変形部131fなどを有する。
【0035】
クリップ131を継手から外すときは、ツマミ部131bをつまんで
図8の左側に引っ張れば、両弾性変形部131fが外に開いて、クリップ131が抜き取れる。そうすると、上記両溝2w・1jは相対的に移動可能となり、クリップのスライド防止作用がなくなる。その結果、コイルばね5に押されているリテーナ押え2は、
図9に示すように図の左側にスライドして(はみ出し)、はみ出した部分の外周に存在するインジケータリング12が外部から視認可能となる。このとき、もし、インジケータリング12が視認できないときは、施工完了していないことになる。そこで、インジケータリング12が視認できないときは、クリップ131を溝2w・1jに差し込んで、再び継手内にフレキ管Fを奥まで挿入することを試みることができる。
【0036】
ピン型;図10・11
この実施形態では、
図10で示すように、ピン141のピン先141b(丸棒状)を、本体1のピン孔1iとリテーナ押え2のピン孔2uの中に貫通させて、リテーナ押え2のスライド防止を行っている。すなわち、リテーナ押え2の外面にピン孔2uを開けておき、同孔2uにちょうど合う位置(未施工状態で)に継手本体1のピン孔1iを開けておく。そして、ピン141のピン先141bを継手本体ピン孔1iを貫通させたうえ、さらにリテーナ押えピン孔2uにピン先141bが没入するように、ピン141を差し込む。これにより、上記両孔2u・1iは相対的に移動不能となり、クリップのスライド防止作用が生じる。
【0037】
ピン141を継手から外すときは、フランジ状のツマミ部141dをつまんで
図11の上に引き抜けば、ピン141を抜き取れる。そうすると、上記両孔2u・1iは相対的に移動可能となり、ピン141のスライド防止作用がなくなる。その結果、コイルばね5に押されているリテーナ押え2は、
図11に示すように図の左側にスライドして(はみ出し)、はみ出した部分の外周に存在するインジケータリング12が外部から視認可能となる。このとき、もし、インジケータリング12が視認できないときは、施工完了していないことになる。そこで、インジケータリング12が視認できないときは、ピン141を孔2u・1iに差し込んで、再び継手内にフレキ管Fを奥まで挿入することを試みることができる。
【0038】
気密パッキンの変形例について説明する。
図12は気密パッキンの変形例を示す図である。(A)はフレキ管継手の主要部の側面断面図であり、(B)は気密パッキンの要部の側面断面図である。
図1と同じ符号は、
図1と同じ部位を示す。
図13は、
図12の気密パッキンの正面図(A)及び斜視図である(B)。
【0039】
この変形例の気密パッキン4´における変更点は、内孔4fのフレキ管入口側の端部に、面取り4b及びスリット4dが形成されていることである。
図12(B)に示すように、気密パッキン4´は、その入口側において、断面L字形の金属製ガイド19に接合(インサート成形)されており、金属製ガイド19のL字の区画内には耐火パッキン16が固定されている。面取り4bは、ほぼ36°の角度で、金属製ガイド19の内表面からパッキン4の内孔4fに至っている。この面取り4bの大きさは、例えば呼び径20Aの継手で半径方向高さ1mm、軸方向長さ1.4mmである。
【0040】
スリット4dは、面取り4bの傾斜面をえぐるように切り込まれている。スリット4dは、この例では、
図13(A)に示すように、径方向に分散させて4箇所設けられている。スリット4dは、最低1箇所あればよい。
【0041】
このスリット4dの作用は次のとおりである。フレキ管を、継手内に正しく奥まで挿入すれば、
図2などに示すように、フレキ管F外面の山2つ以上が、気密パッキン4の内孔4fに係合する(フレキ管の山が気密パッキンの内孔4fにめり込む)。これによって、継手内を通るガスが外部に漏れ出さないようにシールされる。ところが、フレキ管の挿入不足により、フレキ管の先端の山が一つしか気密パッキンの内孔4fにかかっておらず、スリット4dが塞がれていないような場合は、配管完成後の気密検査時に、上記スリット4dを通ってガスが外に洩れ、この洩れを配管内の圧力降下などにより検知することができる。このため、フレキ管継手施工の品質管理の向上につながる。
【0042】
次に、ばね解除機構の変形例について説明する。
図14は、ばね解除機構の変形例を示す図であって、フレキ管挿入前の状態におけるフレキ管継手の側面断面図(上半分)である。
図1と同じ符号は、
図1と同じ部位を示す。
図15は、
図14のフレキ管継手の、フレキ管差込接続完了の状態を示す側面断面図(上半分)である。
図1と同じ符号は、
図1と同じ部位を示す。
図16は、
図14のフレキ管継手のばね伸長防止リングの斜視図である。
図17は、
図14のフレキ管継手のスプリングガイドの自由姿勢における斜視図である。
【0043】
このフレキ管継手Jは、ばね解除機構が、 ア)以下ア1)〜ア3)を有するスプリングガイド6と、 ア1)環状の元リング部6d、 ア2)該元リング部の内径部から奥側に突出する、前記コイルばね5が外嵌される、帯状の脚片部6c、及び、 ア3)該脚片部の奥側端から外側に反り返る先反り部6b、 イ)該スプリングガイド6の前記脚片部6cの内側に当接して、該脚片部の内側への傾きを拘束する拘束位置と、継手内に挿入される前記フレキ管Fの先端FTに押されて移動して、前記脚片部6cの内側への傾きを許す開放位置との間で移動可能な移動片7と、 ウ)前記移動片7が前記拘束位置にあるときには、前記コイルばね5の奥側端部と前記スプリングガイド6の前記先反り部6bとの間に挟まれており、前記移動片7が開放位置にあるときには、前記先反り部6bから離脱するばね伸長防止リング20と、を具備することを特徴とする。
【0044】
このフレキ管継手Jのばね解除機構の変形例の特徴点は、
図14に示すように、コイルばね5の奥側端部とスプリングガイド6の先反り部6bとの間に、ばね伸長防止リング20が設けられていることである。比較のために
図1を見ると、コイルばね5の奥側には、継手本体内孔1kの内側に突出する係止段部1mが存在しているが、この変形例ではそのような係止段部は存在しない。ばね伸長防止リング20は、
図16に示すように、単純な環状のリングである。
【0045】
スプリングガイド6は、
図17に分かり易く示すように、環状の元リング部6dと、この元リング部6dの内径部から奥側に突出する帯状の脚片部6cと、この脚片部6cの奥側端から外側に反り返る先反り部6bと、を有する。この例では、脚片部6c及び先反り部6bは、円周方向に分散されて4箇所設けられている。なお、
図17は、スプリングガイド6が他のものに拘束されていない自由状態を示し、脚片部6cはやや内側に傾いている。しかし、
図14に示す、継手組み立て後のフレキ管挿入前の状態においては、脚片部6cは、その内側を移動片7の肉厚部7b外周に拘束されて、まっすぐ奥側に延びている。
図15のフレキ管差込接続完了状態では、実際には、スプリングガイド6の脚片部6cは、奥側に向かってやや内側に傾く。なお、移動片7は、入口側・奥側に移動可能な筒状の部材であって、その奥側に肉厚部7bが形成されている。移動片7は、移動が円滑になるよう、エンジニアリングプラスチックのような比重の小さい材料からなる。
【0046】
図14のフレキ管挿入前の状態では、コイルばね及びばね解除機構の部材は、内側から外側に向かって、移動片7→スプリングガイド6→圧縮されたコイルばね5及びばね伸長防止リング20と組み立てられた状態で、継手本体内孔1kの奥側に配置されている。この状態で、ばね伸長防止リング20は、コイルばね5の奥側端部と、スプリングガイド6の先反り部6bとの間に挟まれて固定されている。そのため、ばね伸長防止リング20は、圧縮状態のコイルばね5によって奥側に押されているが、ばね伸長防止リング20は奥側には動かず、コイルばね5は伸長しない。
【0047】
実際の組立工程においては、上記のようにコイルばね及びばね解除機構の部材を組み立てた状態で、継手本体内孔1kの中にはめ込む。そのため、各部材の状態、例えば、ばね伸長防止リング20が正しくスプリングガイド6の先反り部6bとコイルばね5との間に位置しているかなどを、容易に目視確認できる。
【0048】
フレキ管継手Jにフレキ管Fを、図の左側(入口側)から図の右側(奥側)に向けて挿入すると、フレキ管Fの先端FT(
図15参照)が、
図14における移動片7の入口側の端部7dに当たり、移動片7を奥側に押す。そして、移動片7が奥側に移動して、その肉厚部7bがスプリングガイド6の奥側の先反り部6bから外れる(スプリングガイド6の奥側は継手本体内孔1kの奥の段部に当たっているので移動しない)。
【0049】
すると、スプリングガイド6の脚片部6c及び先反り部6bは、移動片7の内側からのサポートを失うとともに、コイルばね5がばね伸長防止リング20を奥側に押す力によって、内側傾斜姿勢(お辞儀姿勢)になる。このため、ばね伸長防止リング20は、スプリングガイド6の先反り部6bの拘束を外れて、奥側に移動し、継手本体内孔1kの奥側の段部に当たって止まる。同時に、コイルばね5は伸びの拘束がなくなって、コイルばね5が伸長する。この伸長するコイルばね5に押されて、気密パッキン4・リテーナ3が入口側に移動するとともに、リテーナ爪3bがフレキ管Fの外周凹部に差し込まれて、フレキ管Fが固定される。また、前述のように、リテーナ押え2も少し入口側に移動する。
【0050】
この例のばね解除機構は、上述のように、コイルばね及び機構を構成する部材を組み立てた状態で、継手本体内孔1kの中に装着できるので、フレキ管継手の組立が容易になる。
【0051】
他の形態のフレキ管継手は、 外周に環状の凹凸が連続的に形成されたフレキ管を差込式にガス管路に接続するための継手であって、 内孔及び前記ガス管路への接続部を有する筒状の継手本体と、 該継手本体の内孔内に配置され、前記フレキ管の外周面に密着する気密パッキンと、 前記継手本体の内孔内に配置された、拡縮径可能であって縮径時に前記フレキ管の環状凹部に係合して固定する爪を有するリテーナと、を備え、 前記気密パッキンの、前記フレキ管の外周面に密着する内孔のフレキ管入口側の端部にスリットが形成されていることを特徴とする。