特許第6267546号(P6267546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267546
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】コンタクト位置制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20180115BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   H01L21/66 B
   G01R1/073 Z
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-42246(P2014-42246)
(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公開番号】特開2015-170627(P2015-170627A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(74)【代理人】
【識別番号】100060575
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】村上 敬
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−008311(JP,A)
【文献】 特開平11−145221(JP,A)
【文献】 特開2007−324181(JP,A)
【文献】 特開2004−170263(JP,A)
【文献】 特開2009−058448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブカードに設けたプローブに対して載置台上に配置された被検体をコンタクトさせて、該被検体の電気的特性検査を行うためのコンタクト位置制御方法において、
被検体を配置した前記載置台を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に移動させた後、更に前記基準位置S1からコンタクト位置までZ軸方向に指定量X移動させて、該被検体を前記プローブに対してコンタクトさせて基準となる荷重を基準トルク値Taとして取得するステップ(I)と、
コンタクト状態にある前記被検体または前記被検体に続く次の被検体が配置された該載置台をコンタクト位置からZ軸方向に指定量Xの往復移動を行い電気特性検査中に変化した荷重を測定トルク値Tbとして取得するステップ(II)と、
前記基準トルク値Taと前記測定トルク値Tbとを比較し、測定トルク値Tbが略基準トルク値Taとなるまで前記載置台をZ軸方向にステップ量Y移動させた後、該載置台を指定量X往復移動させる動作を繰り返しながら前記基準位置S1を更新するステップ(III)と、
を備え、以後、前記ステップ(II)と前記ステップ(III)を繰り返しながら前記被検体が前記プローブに対してコンタクトする位置を制御することを特徴とするコンタクト位置制御方法。
【請求項2】
前記被検体、電子デバイスが形成された半導体ウェーハであることを特徴とする請求項1記載のコンタクト位置制御方法。
【請求項3】
プローブカードに設けたプローブに対して載置台上に配置されたクリーニング材をコンタクトさせて前記プローブをクリーニングするためのコンタクト位置制御方法において、
前記クリーニング材を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に移動させた後、更に前記基準位置S1からコンタクト位置までZ軸方向に指定量X移動させて、該クリーニング材を前記プローブに対してコンタクトさせて基準となる荷重を基準トルク値Taとして設定しておくステップ(I)と、
前記プローブをクリーニングする際、前記クリーニング材を前記基準位置S1からZ軸方向に指定量X移動させて前記プローブにコンタクトさせ、そのコンタクト時のトルクを測定トルク値Tbとして取得するステップ(II)と、
前記基準トルク値Taと前記測定トルク値Tbとを比較し、測定トルク値Tbが略基準トルク値Taとなるまで前記クリーニング材Z軸方向にステップ量Y移動させた後、該載置台を指定量X往復移動させる動作を繰り返しながら前記基準位置S1を更新して、前記クリーニング材が前記プローブに対してコンタクトする位置を制御することを特徴とするコンタクト位置制御方法。
【請求項4】
前記クリーニング材が、ウェーハ状をしたディスクで形成されていることを特徴とする請求項3に記載のコンタクト位置制御方法。
【請求項5】
前記クリーニング材が、前記プローブに対してZ軸方向に移動する交換可能なステージ上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のコンタクト位置制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンタクト位置制御方法に関するものであり、特に、プローブカードに設けたプローブに対して半導体ウェーハなどの被検体をコンタクトさせて、該被検体の電気的特性検査を行うのに最適なプローブと被検体とのコンタクト位置、あるいはプローブカードに設けたプローブに対してクリーニング材をコンタクトさせて該プローブのクリーニングを行うのに最適なプローブとクリーニング材とのコンタクト位置を得るための、コンタクト位置制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、薄い円板状の半導体ウェーハに各種の処理を施して、それぞれ電子デバイスを有する複数のチップ(ダイ)を形成する。各チップは電気的特性が検査され、その後ダイサーで切り離された後、リードフレームなどに固定されて組み立てられる。上記の電気特性の検査は、一般に、プローブカード(プローバ)とテスタを使用して行われる(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)
【0003】
特許文献1及び特許文献2で知られる電気特性の検査では、半導体ウェーハをステージ上に固定すると共に、プローバをステージの上方に固定して配置し、各チップの電極パッドをステージと共に上昇させてプローブカードに接触させる。テスタは、プローブの端子に電源や各種の試験信号を供給すると共に、各チップの電極に出力される信号を取得してテスタで解析し、正常に動作するかを確認する。
【0004】
このように、プローブと半導体ウェーハとを接触させて電気特性を見る検査では、その接触(コンタクト)を最適な状態にするために、常に、予め決められた位置まで半導体ウェーハを移動させて適正なコンタクトが行われるように、最適な移動量を管理する方法がとられている。また、その移動量の最適値を得るようにするのに、検査装置を構成する部品などのばらつきや変形などの影響を考慮して様々な補正が行われている。
【0005】
また、上述したような半導体ウェーハにおける各チップの電極パッドをプローブに接触させて電気特性の検査を行う方法では、各チップの電極パッドと接触するプローブの接触面(コンタクト面)が汚れていると正確な試験が行われない虞があるため、プローブの接触面におけるクリーニングを定期的に行うようにしている。そのクリーニング作業では、例えばシート状をしたクリーニング材をステージ上に固定すると共にプローブカードをステージの上方に固定して配置し、その状態でクリーニング材をステージと共に上昇させてプローブに接触させ、プローブの接触面のクリーニングが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4878919号公報
【特許文献2】特許第5221118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電子デバイスの電気特性の検査において、プローブに対して半導体ウェーハを接触させるのに、半導体ウェーハの最適な移動量を管理する方法では、半導体ウェーハとプローブの接触時の変形や温度変化による熱変形などの影響により、最適な接触状態を作り出すためには何度も変位量の測定と補正を繰り返す必要がある。
【0008】
そこで、移動量の補正を変える手段として、対象軸のモータ電流やトルク(以下、これ
らを総称して「モータ電流」という)を制御する仕組みが検討されている。しかし、モー
タ電流を制御する場合、接触荷重以外に対象の軸の駆動に影響する力成分(ステージを駆動する際の摩擦力やステージ自身の重量など)がある。そのため、同じ接触荷重でも例えば静止中と動作中など、軸の振る舞いによってモータ電流の計測値は異なってしまう。また、計測されたモータ電流値を用いてフィードバック制御を行う場合、正しい接触荷重を得るためには半導体ウェーハをテストする前やテスト中に補正動作を行う必要がある。しかし、その補正動作により半導体ウェーハとプローブカードの接触状態がその都度変わってしまい、接触抵抗値が変化することでテスト結果に影響を及ぼす可能性が大きい。
【0009】
すなわち、モータ電流値の計測を行う場合に影響する力は、接触荷重以外に対象の軸を駆動する際に影響する力成分(摩擦力及び重量など)がある。そのため、同じ接触荷重でも軸の振る舞いによって計測値が異なってしまう。したがって、適切な接触荷重を得るためには、それ以外の成分を取り除く複雑な演算が必要となり、その結果、システムが複雑になる問題点があった。
【0010】
また、プローブのクリーニング作業において、電気特性検査と同様に、プローブに対してクリーニング材を接触させるのに、最適な接触状態を作り出すためには同様に変位量の測定と補正を繰り返して複雑な演算を行う必要があり、システムが複雑になるという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、被検体の電気特性検査において、複雑な演算を行うことなく、プローブと被検体との適切な接触荷重を得ることができるコンタクト位置制御方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、プローブとクリーニング材の接触荷重を一定にしてプローブに対するクリーニング精度を向上させることができるコンタクト位置制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、プローブカードに設けたプローブに対して載置台上に配置された被検体をコンタクトさせて、該被検体の電気的特性検査を行うためのコンタクト位置制御方法において、被検体を配置した前記載置台を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に移動させた後、更に前記基準位置S1からコンタクト位置までZ軸方向に指定量X移動させて、該被検体を前記プローブに対してコンタクトさせて基準となる荷重を基準トルク値Taとして取得するステップ(I)と、コンタクト状態にある前記被検体または前記被検体に続く次の被検体が配置された該載置台をコンタクト位置からZ軸方向に指定量Xの往復移動を行い電気特性検査中に変化した荷重を測定トルク値Tbとして取得するステップ(II)と、前記基準トルク値Taと前記測定トルク値Tbとを比較し、測定トルク値Tbが略基準トルク値Taとなるまで前記載置台をZ軸方向にステップ量Y移動させた後、該載置台を指定量X往復移動させる動作を繰り返しながら前記基準位置S1を更新するステップ(III)と、を備え、以後、前記載置台が前記基準位置からZ軸方向に移動する前記所定量を(H+h)に更新して、前記ステップ(II)と前記ステップ(III)を繰り返しながら前記被検体が前記プローブに対してコンタクトする位置を制御するようにしたコンタクト位置制御方法を提供する。
【0014】
この方法によれば、ステップ(I)とステップ(II)では、載置台をZ軸方向にそれぞれ指定量X移動させた後に、ステップ(I)では基準トルク値Taを取得し、ステップ(II)で測定トルク値Tbを取得する。そして、ステップ(III)では基準トルク値Taと測定トルク値Tbとを比較して、測定トルク値Tbが略基準トルク値Taとなるように、載置台を(指定量X−ステップ量Y)移動させた後に指定量Xを移動する動作を繰り返しながらZ軸方向に単位量(ステップ量Y)ずつ高さh移動させて、載置台の高さ位置を(H+h)に補正する。また、以後は、載置台が基準位置からZ軸方向に移動する所定量H、すなわちコンタクト位置を(H+h)に更新し、更にステップ(II)とステップ(III)を繰り返しながらプローブに対する被検体のコンタクト位置を制御するようにしたことで、接触荷重の変位によってのみモータ電流値に差が現れるような状態を作り出せる。その結果、外乱条件を排する演算など無しに、簡易に計測したモータ電流値の変位量を得て、そのまま制御に使用することができる。
【0015】
さらに、接触荷重補正後の高さを、次のコンタクト動作の高さとすることで、次のコンタクト動作で指定の高さ位置(H+h)に移動するだけで最適荷重でのコンタクトを再現できる。この場合、モータ電流によるフィードバック動作を行う必要がないため、テスト前に接触荷重を補正する必要がなく、被検体とプローブの接触抵抗を一定にすることができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の方法において、前記被検体、電子デバイスが形成された半導体ウェーハであるコンタクト位置制御方法を提供する。
【0017】
この方法によれば、載置台上に載置されたウェーハをプローブカードに設けたプローブに対しコンタクトさせて、半導体ウェーハにおける電気デバイスなどの電気的特性検査を行うことができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、プローブカードに設けたプローブに対して載置台上に配置されたクリーニング材をコンタクトさせて前記プローブをクリーニングするためのコンタクト位置制御方法において、前記クリーニング材を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に移動させた後、更に前記基準位置S1からコンタクト位置までZ軸方向に指定量X移動させて、該クリーニング材を前記プローブに対してコンタクトさせて基準となる荷重を基準トルク値Taとして設定しておくステップ(I)と、前記プローブをクリーニングする際、前記クリーニング材を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に移動させた後、更に前記基準位置S1からZ軸方向に指定量X移動させて前記プローブにコンタクトさせ、そのコンタクト時のトルクを測定トルク値Tbとして取得するステップ(II)と、前記基準トルク値Taと前記測定トルク値Tbとを比較し、測定トルク値Tbが略基準トルク値Taとなるまで前記クリーニング材をZ軸方向にステップ量Y移動させた後、該載置台を指定量X往復移動させる動作を繰り返しながら前記基準位置S1を更新して、前記クリーニング材が前記プローブに対してコンタクトする位置を制御するようにしたコンタクト位置制御方法を提供する。
【0019】
この方法によれば、ステップ(I)では、基準トルクTaを設定し、ステップ(II)では、クリーニング材を基準位置からZ軸方向にそれぞれ所定量H移動させて測定トルク値Tbを取得し、ステップ(III)では基準トルク値Taと測定トルク値Tbとを比較して、測定トルク値Tbが略基準トルク値Taとなるようにクリーニング材をZ軸方向に単位量(ステップ量Y)ずつ高さh移動させて、そのクリーニング材の高さを(H+h)に補正する。また、以後は、クリーニング材が基準位置からZ軸方向に移動する所定量H、すなわちコンタクト位置を(H+h)に更新し、更にステップ(II)とステップ(III)を繰り返しながらプローブに対するクリーニング材のコンタクト位置を制御するようにしたことで、接触荷重の変位によってのみモータ電流値に差が現れるような状態を作り出せる。その結果、外乱条件を排する演算など無しに、簡易に計測したモータ電流値の変位量を得て、そのまま制御に使用することができる。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の方法において、前記クリーニング材が、ウェーハ状をしたディスクで形成されているコンタクト位置制御方法を提供する。
【0021】
この方法によれば、クリーニング材とプローブカードに設けたプローブとの最適な接触圧を常に維持し、プローブに過剰な力がかかることによる破損や磨耗量の増加を防ぐことができ、プローブの寿命延長に寄与する。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の方法において、前記クリーニング材が、前記プローブに対してZ軸方向に移動する交換可能なステージ上に配置されているコンタクト位置制御方法を提供する。
【0023】
この方法によれば、クリーニング材を交換する際、クリーニング材が配置されているステージを交換するだけで簡単に対応することができ、交換作業の向上に寄与する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被検体の電気特性検査において、外乱条件を排する複雑な演算を行うことなく、簡易な方法によりプローブと被検体との接触荷重を適切な荷重にして精度良く行うことができる。
【0025】
また、電気特性検査の場合と同様に、外乱条件を排する複雑な演算を行うことなく、簡易な方法によりプローブとクリーニング材との接触荷重を適切な荷重にして、プローブのクリーニングを行うことができるので、クリーニング精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態によるコンタクト位置制御方法を適用した検査システムの第1実施例を示すもので、その要部構成を説明する図である。
図2】コンタクト位置制御方法におけるプローブと被検体とのコンタクト動作を説明する図であり、(a)は1枚目の半導体ウェーハへのコンタクト(ステップ(I))時の動作を説明する図、(b)は半導体ウェーハの電気特性検査中にプローブカード等の高さが変動し変化した載置台にかかる荷重を計測するステップ(II)時の動作を説明する図、(c)はステップ(II)に続くステップ(III)以後の動作を説明する図である。
図3】本発明の第1実施例におけるコンタクト位置制御方法の基本構成を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態によるコンタクト位置制御方法を適用した検査システムの第2実施例を示すもので、その要部構成を説明する図である。
図5】本発明の第2実施例におけるコンタクト位置制御方法の基本構成を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態によるコンタクト位置制御方法を適用した検査システムの第3実施例を示すもので、その要部構成を説明する図である。
図7】本発明の第3実施例におけるコンタクト位置制御方法の基本構成を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、被検体の電気特性検査において、複雑な演算を行うことなく、プローブと被検体との適切な接触荷重を得ることができるコンタクト位置制御方法を提供するという目的を達成するために、プローブカードに設けたプローブに対して載置台上に配置された被検体をコンタクトさせて、該被検体の電気的特性検査を行うためのコンタクト位置制御方法において、被検体を配置した前記載置台を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に移動ささせた後、更に前記基準位置S1からコンタクト位置までZ軸方向に指定量X移動させて、該被検体を前記プローブに対してコンタクトさせて基準となる荷重を基準トルク値Taとして取得するステップ(I)と、コンタクト状態にある前記被検体または前記被検体に続く次の被検体が配置された該載置台をコンタクト位置からZ軸方向に指定量Xの往復移動を行い電気特性検査中に変化した加重を測定トルク値Tbとして取得するステップ(II)と、前記基準トルク値Taと前記測定トルク値Tbとを比較し、測定トルク値Tbが略基準トルク値Taとなるまで前記載置台をZ軸方向にステップ量Y移動させた後、該載置台を指定量X往復移動させる動作を繰り返しながら前記基準位置S1を更新するステップ(III)と、を備え、以後、前記載置台が前記基準位置からZ軸方向に移動する前記所定量を(H+h)に更新して、前記ステップ(II)と前記ステップ(III)を繰り返しながら前記被検体が前記プローブに対してコンタクトする位置を制御するようにしたことにより実現した。
【0028】
また、本発明は、プローブとクリーニング材の接触荷重を一定にしてプローブに対するクリーニング精度を向上させることができるコンタクト位置制御方法を提供するという目的を達成するために、プローブカードに設けたプローブに対して載置台上に配置されたクリーニング材をコンタクトさせて前記プローブをクリーニングするためのコンタクト位置制御方法において、前記クリーニング材を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に移動させた後、更に前記基準位置S1からコンタクト位置までZ軸方向に指定量X移動させて、該クリーニング材を前記プローブに対してコンタクトさせて基準となる荷重を基準トルク値Taとして設定しておくステップ(I)と、前記プローブをクリーニングする際、前記クリーニング材を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に移動させた後、更に前記基準位置S1からZ軸方向に指定量X移動させて前記プローブにコンタクトさせ、そのコンタクト時のトルクを測定トルク値Tbとして取得するステップ(II)と、前記基準トルク値Taと前記測定トルク値Tbとを比較し、測定トルク値Tbが略基準トルク値Taとなるまで前記クリーニング材をZ軸方向にステップ量Y移動させた後、該載置台を指定量X往復移動させる動作を繰り返しながら前記基準位置S1を更新して、前記クリーニング材が前記プローブに対してコンタクトする位置を制御するようにしたことにより実現した。
【0029】
以下、本発明の実施形態によるコンタクト位置制御方法を、半導体ウェーハなどの被検体の電気的特性検査を行うシステムに適用した場合を例として、好適な実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0030】
(第1実施例)
図1は本発明に係るコンタクト位置制御方法を適用した検査システムの第1実施例を示すもので、その要部構成を説明するための説明図である。
【0031】
同図において、検査装置10は、被検体としての半導体ウェーハをプローブカードのプローブにコンタクトさせて、半導体ウェーハの電気的特性検査を行うものであり、基台(
ベース)11と、その基台11上に設けられたZステージ移動機構12、載置台(チャック)13、高さ位置検出手段14及びZ軸駆動用サーボモータ15の他に、Z軸モータ駆動部16と、Z軸電流測定部17と、載置台高さ位置制御部18と、主制御部19と、前記プローブカード20などを有する。
【0032】
前記基台11には、上方に向かって突設された複数本のリニアガイド21が設けられているとともに、その複数本のリニアガイド21で囲まれた領域の略中心位置に、該基台11を上下方向に貫通してボールネジ22が配設されている。
【0033】
前記ボールネジ22は、前記基台11の上下方向に貫通しているネジ穴23に螺合されており、その螺合により回転方向に応じて上下方向へ移動可能になっている。また、基台11の裏面(下面)側に突出している前記ボールネジ22の下端部には、前記Z軸駆動用サーボモータ15のロータ部(図示せず)が取り付けられており、そのロータ部と一体に正逆両方向に回転する。なお、前記Z軸駆動用サーボモータ15は、図示しないステータ部側となるハウジングが基台11の裏面側に固定して取り付けられている。そして、ロータ部の回転に連動してボールネジ22を正逆二方向に回転させるようになっている。従って、Z軸駆動用サーボモータ15も正逆二方向に回転する。一方、基台11の表面(上面)側に突出している前記ボールネジ22の上端部には、前記Zステージ移動機構12がネジ送り可能に取り付けられている。
【0034】
前記Zステージ移動機構12は、前記基台11の表面側において、前記複数本のリニアガイド21と連結されており、前記ボールネジ22でのネジ送り時、そのリニアガイド21の案内により上下方向へ移動可能になっている。また、そのZステージ移動機構12の上部には、被検体である前記半導体ウェーハWをチャックして位置決め保持可能な前記載置台13が、Zステージ移動機構12と一体移動可能に取り付けられている。
【0035】
前記高さ位置検出手段14は、前記Zステージ移動機構12に一体移動可能に取り付けられているリニアスケール14aと、該リニアスケール14aと対向して基台11上に固定して取り付けられているスケールヘッド14bとでなる。スケールヘッド14bは、Zステージ移動機構12と一体に上下方向へ移動するリニアスケール14aの高さ位置を検出し、その検出された高さ位置を載置台13の基台11からの高さ位置の情報とし、前記載置台高さ位置制御部18へ向けて出力可能になっている。
【0036】
前記Z軸モータ駆動部16は、前記載置台高さ位置制御部18からの信号に応じて前記Z軸駆動用モータ15を駆動する。また、そのZ軸駆動用モータ15を駆動している電流値は、前記Z電流測定部17を介して載置台高さ位置制御部18を介して主制御部19に入力される。
【0037】
前記主制御部19は、前記検査装置10の中心的処理機能を担う、例えばコンピュータであって、各種の処理を行う。また、主制御部19には、メモリ19aが設けられている。メモリ19aには、各種の処理プログラムの他に、前記プローブカード20のプローブ20aと半導体ウェーハWにおける電子デバイスの電極パッドとのコンタクト時に、半導体ウェーハWとプローブ20aの先端の配列面との傾き、及びプローブ20aの先端位置のばらつきなどを考慮して、半導体ウェーハW側の電極パッドとプローブ20aが確実に接触するように、プローブ20aの先端位置より高い位置まで半導体ウェーハWを上昇させるためのオーバードライブ量(O.D量)などが記憶されている。
【0038】
前記プローブカード20は、図2に示すように、載置台13の上方において、図示しないテスタ本体のカードホルダ23に交換可能に取り付けられており、その載置台13と対向して配置されている。また、各プローブカード20には、載置台13と対向する面(下面)側に、半導体ウェーハWの電極パッドとコンタクトする前記複数のプローブ20aが設けられている。プローブ20aは、バネ性を有し、プローブ20aの先端位置より電極パッドのコンタクト位置(接触点)を上昇させることにより、半導体ウェーハWの電極パッドと所定の接触圧で接触する。従って、すべてのプローブ20aが所定の接触圧で半導体ウェーハWの電極パッドに接触していれば、載置台13全体には、1本のプローブ20aの接触圧にプローブ本数を乗じた接触圧力がかかる。この接触圧力は、Z軸駆動用モータ15を駆動するZ軸モータ駆動部16で使用される電流値をZ軸電流測定部17で測定することにより知ることができ、またその電流値を変換してトルクの値として知ることができる。
【0039】
図3は、本発明の第1実施例におけるコンタクト位置制御方法の基本構成を示すフローチャートである。このフローチャートに示す制御手順は、前記主制御部19内の処理プログラムに従って実行される。
【0040】
次に、そのフローチャートに示すコンタクト位置制御動作を図2に示すコンタクト動作と共に説明する。なお、以下の説明では図2において、コンタクト位置制御動作をする際に、載置台13が所定位置S0からZ軸方向に移動して、半導体ウェーハWをプローブ20aにオーバードライブした状態でコンタクトさせるのに必要な移動量を「所定量H」、接触荷重以外の力成分を無視させるためにトルク計測前に載置台13を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に予め移動させ、基準位置S1から前記コンタクトされる位置(以下、「コンタクト」位置という)まで移動させる量を「指定量X」、Z軸駆動用モータ15を駆動して、測定トルク値Tbが基準トルク値Taになるように載置台13をZ軸方向に移動させるときの最小単位移動量を「ステップ量Y」として説明する。ここで、指定量Xは、実験または経験的に決まるものである。
【0041】
まず、フローチャートは大きく分けると、被検体である半導体ウェーハWが配置された載置台13を、所定位置S0からZ軸方向に(所定量H−指定量X)移動した基準位置S1から指定量X移動する動作で、半導体ウェーハWをプローブ20aに対してコンタクトさせ、そのコンタクト時におけるトルクを基準トルク値Taとして取得するステップ(I)と、コンタクト状態にある前記被検体または前記半導体ウェーハWに続く次の半導体ウェーハWが載置された載置台13を、前記基準位置S1とコンタクト位置の間を往復移動、すなわちZ軸方向に指定量Xの往復移動を行わせて、そのコンタクト時におけるトルクを測定トルク値Tbとして取得するステップ(II)と、前記基準トルク値Taと前記測定トルク値Tbとを比較し、前記測定トルク値Tbが略前記基準トルク値Taとなるように、載置台13をZ軸方向へ(指定量X−ステップ量Y)単位量移動して前記基準位置S1を更新し、該更新された基準位置S1から指定量Xを移動する動作を繰り返しながら補正するステップ(III)とからなる。
【0042】
前記ステップ(I)は、ステップ101〜ステップ103よりなる。まず、オペレータなどによる外部操作により、電気特性検査が開始されると、主制御部19は図示しないX、Yの各駆動軸を制御し、載置台13及びボールネジ22、Zステージ移動機構12、Z軸駆動用モータ15が、プローブカード20の下、すなわち所定位置S0に配置されるように、基台11を移動させる。
【0043】
次いで、主制御部19は、ステップ101において、載置台高さ位置制御部18を制御し、Z軸モータ駆動部16を介してZ軸駆動用モータ15を正方向にステップ回転させ、載置台13をボールネジ22及びZステージ移動機構12と共に前記所定位置S0からZ軸方向へ(所定量H−所定量X)移動された基準位置S1に移動させ、更に基準位置S1から指定量X移動する動作で上昇させ、基準位置S1から指定量X上昇したコンタクト位置に配置する。その指定量X上昇されたコンタクト位置は、載置台13上の半導体ウェーハWの電極パッドとプローブカード20のプローブ20aとが所定のオーバードライブ量ODでコンタクトしている位置であり、例えば図2の(a)に示すような状態にある。
【0044】
なお、載置台13のZ軸方向への移動は、高さ位置検出手段14におけるリニアスケール14aとスケールヘッド14bの相対位置変化もしくはモータに取り付けられている回転型エンコーダによって検出される。また、検出された載置台13の位置情報は、スケールヘッド14bもしくはモータに取り付けられている回転型エンコーダから載置台高さ位置制御部18を介して主制御部19に入力され、主制御部19ではその位置情報から載置台13の現在の高さ位置を知ることができる。
【0045】
また、ステップ102で、そのZ軸駆動用モータ15の駆動電流(Z軸モータ電流)をZ軸電流測定部17により検出する。そして、ステップ103で、そのZ軸モータ電流の値からトルクTaと、前記高さ位置検出手段14から得られた基準位置S0からZ軸方向に移動された載置台13の移動量Hを各々取得し、それらの値を基準高さ位置H、基準トルク値Taとしてメモリ19aに記憶する。
【0046】
続いて、前記ステップ(II)に入り、半導体ウェーハの電気特性検査中にプローブカード等の高さが変動し、変化した載置台13にかかる荷重を計測する動作を開始する。そのステップ(II)は、ステップ104〜ステップ107よりなる。ステップ(II)では、ステップ106でモータ電流計測前動作としてZ軸方向に指定量Xの往復移動を行う。ステップ107では、Z軸モータ電流の値を測定するとともに、そのZ軸モータ電流の値から測定トルクTbを検出する。ここで得られる測定トルクTbが基準トルクTaと異なるのは、プローブカード20の変形などによってプローブ20aが上下方向に、図2の(b)に示すように移動することにより生じる違いである。
【0047】
次いで、前記ステップ(III)に入り、トルク再現動作を開始する。そのステップ(III)はステップ108〜ステップ110よりなる。ステップ108では、前記基準トルク値Taと前記測定トルクTbとを比較し、測定トルクTbが基準トルク値Taの範囲内(基準値の範囲内)にあるかを判定する。基準値の範囲にない場合は、ステップ109で範囲内よりも大きいか小さいかにより載置台13を補正のために移動する方向(上方向又は下方向)を決定する。そして、ステップ110で載置台13をZ軸方向に(指定量X−ステップ量Y)単位、上又は下方向に移動して基準位置S1を更新し、該更新された基準位置S1から載置台13をZ軸方向に指定量Xを動かしステップ107へ戻るようにして、図2の(c)に示すように載置台13を繰り返し上又は下方向へ微動調整して測定トルク値Tbが基準トルク値Taの範囲内(Tb→Ta)となるように補正する。
【0048】
一方、ステップ108で測定トルクTbが基準トルク値Taの範囲内(基準値の範囲内)にある、あるいは補正により範囲内になった場合は、ステップ111へ移行する。そして、ステップ111で現在のコンタクト高さ(載置台13の高さ位置)を測定し、ステップ112で前記コンタクト高さHと比較し、高さが変化しているかを判定する。ここでコンタクト高さHが高さh分変化している場合、すなわち高さが(H+h)となっている場合は、その差hからオーバードライブ量を演算するとともに、載置台13を所定位置S0から所定量上昇させる基準高さ(H)を(H+h)に更新し、その後、ステップ114へ移行し、載置台13を所定位置S0まで下降させる。
【0049】
ステップ114からはステップ115へ移行し、検査を行っている半導体ウェーハWが最後の半導体ウェーハで、また最後のウェーハコンタクト位置であるかどうかを判定し、最後の場合は終了し、最後でない場合はステップ116に移行する。
【0050】
ステップ116では、主制御部19が図示しないXY軸を制御し、次の半導体ウェーハWの電子デバイスをプローブ20aと対応する位置へ移動させる。その後、ステップ117では、載置台13を所定位置S0からZ軸方向に(H+h)移動させ、図2の(d)に示すように最適なオーバードライブ量でプローブ20aとのコンタクトを行う。また、ステップ118ではその時のZ軸モータ電流から測定トルクTaを測定する。その後、ステップ119へ移行する。
【0051】
ステップ119では、ステップ118でZ軸モータ電流から得られた測定トルクTbが基準トルク値Taの範囲内(基準値の範囲内)にあるか否かを検出し、基準の範囲内にある場合は、ステップ104に移行し、以下、同じ動作を繰り返す。一方、ステップ119で測定トルクTbが基準トルク値Taの範囲内(基準値の範囲内)にない場合は、エラーとして処理される。すなわち、前記ステップ(III)以降は、載置台13が所定位置S0からZ軸方向に移動する所定量Hを(H+h)に更新し、かつ、モータ電流の測定を指定量Xの動作後に行って、前記ステップ(II)と前記ステップ(III)を繰り返しながら前記プローブに対する前記被検体(ウェーハW)のコンタクト位置を制御する。
【0052】
したがって、第1実施例によれば、被検体の電気特性検査において、外乱条件を排する複雑な演算を行うことなく、簡易な方法によりプローブと被検体とのコンタクト位置が適正な位置となるように制御し、常に適切な基準トルクTaを再現して付与するので、電気特性の検査を精度良く行うことができる。
【0053】
(第2実施例)
図4は本発明に係るコンタクト位置制御方法を適用した検査システムの第2実施例を示すもので、その要部構成を説明するための説明図である。この第2実施例は、図1図3に示した第1実施例の検査装置10を使用して、プローブカード20におけるプローブ20aのコンタクト面をクリーニングする際、コンタクト位置を制御する場合を示している。したがって、図4において図1及び図2に対応する部材は同じ符号を付して重複説明は省略する。
【0054】
同図において、検査装置10のプローブカード20におけるプローブ20aをクリーニングする場合は、半導体ウェーハWを位置決めして配置する載置台13の上に、半導体ウェーハWに変えてクリーニング材25を位置決めして配置し、そのクリーニング材25を載置台13と共に上下方向に移動させて、クリーニング材25のクリーニング面をプローブ20aのコンタクト面に当接させてクリーニングを行うものである。また、ここでのクリーニング材25は、半導体ウェーハWと略同じウェーハ状をしたディスクとして形成されており、プローブカード20と対向する面にクリーニング面を設けている。
【0055】
図5は、本発明の第2実施例におけるコンタクト位置制御方法の基本構成を示すフローチャートである。このフローチャートに示す制御手順は、前記主制御部19内の処理プログラムに従って実行される。
【0056】
次に、そのクリーニング時におけるコンタクト位置制御動作を図5に示すフローチャートに従って説明する。まず、フローチャートは大きく分けると、クリーニング材25を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に移動させた後、更に基準位置S1からZ軸方向に指定量X移動させて、プローブ20aに対して該クリーニング材25をコンタクトさせ、そのコンタクト時におけるトルクを基準トルク値Taとして主制御部19のメモリ19a内に予め設定しておくステップ(I)と、前記基準トルク値Taを取得した後から前記プローブをクリーニングする際、前記クリーニング材25を所定位置S0から基準位置S1までZ軸方向に移動させた後、更に前記基準位置S1からZ軸方向に指定量X移動させて前記プローブにコンタクトさせ、そのコンタクト時のトルクを測定トルク値Tbとして取得するステップ(II)と、前記基準トルク値Taと前記測定トルク値Tbとを比較し、前記測定トルク値Tbが略前記基準トルク値Taとなるように前記クリーニング材25をZ軸方向に高さh移動させて高さ位置を補正するステップ(III)とからなる。
【0057】
前記ステップ(I)は、例えばオペレータなどによる外部操作により予め設定しておく。前記ステップ(II)は、クリーニングの指示があると、ステップ201で主制御部19が図示しないX、Yの各駆動軸を制御し、載置台13及びボールネジ22、Zステージ移動機構12、Z軸駆動用モータ15が、プローブカード20の下、すなわち所定位置S0に配置するように、基台11を移動させる。
【0058】
次いで、主制御部19は、ステップ202において、載置台高さ位置制御部18を制御し、Z軸モータ駆動部16を介してZ軸駆動用モータ15を正方向に回転させ、載置台13をボールネジ22及びZステージ移動機構12と共に所定位置S0からZ軸方向へ(所定量H−指定量X)移動後された基準位置S1に移動させ、更に基準位置S1から指定量X上昇移動させ、基準位置S1から指定量X上昇したコンタクト位置に載置台13を配置する。その指定量X上昇されたコンタクト位置は、載置台13上のクリーニング材25のコンタクト面とプローブカード20のプローブ20aとが所定のクリーニング高さでコンタクトしている位置である。また、ステップ203で、そのZ軸駆動用モータ15の駆動電流(Z軸モータ電流)をZ軸方向に指定量Xの往復移動を行ってからZ軸電流測定部17により検出する。
【0059】
次いで、前記ステップ(III)に入る。そのステップ(III)はステップ204であり、前記基準トルク値Taと前記測定トルクTbとを比較し、測定トルクTbが基準トルク値Taの範囲内(基準値の範囲内)にあるかを判定する。基準値の範囲にない場合は、ステップ205で範囲内よりも大きいか小さいかにより載置台13を補正のために移動する方向(上方向又は下方向)を決定し、ステップ206で載置台13をZ軸方向にステップ量Y移動させた後、該載置台13を指定量X往復移動させる動作を繰り返しながら、ステップ203で測定トルクTbを測定し、測定トルク値Tbが基準トルク値Taの範囲内(Tb→Ta)となるように補正する。
【0060】
一方、ステップ204で測定トルクTbが基準トルク値Taの範囲内(基準値の範囲内)にある、あるいは補正により範囲内になった場合は、ステップ207へ移行する。そして、ステップ207で現在のコンタクト高さ(載置台13の高さ位置)を測定し、その高さ位置を(H+h)に更新してメモリ19aに記憶すると共にステップ208でクリーニングをし、初期位置に戻る。これにより一回目のクリーニングを終了する。
【0061】
二回目以降のクリーニングは、クリーニング指示あるとステップ209で、載置台13及びボールネジ22、Zステージ移動機構12、ボールネジ22、Z軸駆動用モータ15が、基台11と共にプローブカード20の下に配置され、さらに初期載置台13が基準位置S0から一回目のクリーニングで更新された、前記所定の高さ位置(H+h)へ徐々に上昇移動される。
【0062】
そして、ステップ210でクリーニング高さからZ軸方向に指定量Xの往復移動を行ってからZ軸モータ電流値を測定し、Z軸モータ電流値より測定トルクTbを測定し、ステップ211で測定トルクTbが基準トルク値Taの範囲内(基準値の範囲内)にあるか否かを判定する。そして、基準値の範囲内にある場合はステップ210でクリーニングを行う。範囲内でない場合はステップ202へ戻り、基準トルク値Ta及び所定の高さ位置(H+h)を再び更新し、以後、その制御を繰り返す。
【0063】
したがって、第2実施例によれば、プローブ20aのクリーニングにおいて、外乱条件を排する複雑な演算を行うことなく、簡易な方法によりプローブ20aとクリーニング材25とのコンタクト位置が適正な位置となるように制御し、常に適切な基準トルクTaを再現して付与するので、クリーニングを精度良く行うことができる。
【0064】
(第3実施例)
図4は本発明に係るコンタクト位置制御方法を適用した検査システムの第3実施例を示すもので、その要部構成を説明するための説明図である。図4及び図5に示した第2実施例は検査装置10の載置台13上に、半導体ウェーハWに変えてクリーニング材25を配置してクリーニングを行うようにした構造を開示したが、第3実施例では、検査装置10とは別に専用のクリーニング装置を用意し、そのクリーニング装置を使用してプローブカード20におけるプローブ20aのコンタクト面をクリーニングするようにしたものである。なお、以下で説明するF軸は載置台13の移動方向であって、第1、第2実施例で説明したZ軸と同じである。
【0065】
同図において、クリーニング装置30は、基台(ベース)31と、その基台31上に設けられたFステージ移動機構32、載置台(クリーニングステージチャック)33、高さ位置検出手段34及びF軸駆動用サーボモータ35の他に、F軸モータ駆動部36と、F軸電流測定部37と、載置台高さ位置制御部38と、主制御部39などを有する。なお、プローブカード20は、第1,第2実施例のプローブカードと同じである。
【0066】
前記基台31には、上方に向かって突設された複数本のリニアガイド41が設けられているとともに、その複数本のリニアガイド41で囲まれた領域の略中心位置に、該基台31を上下方向に貫通してボールネジ42が配設されている。
【0067】
前記ボールネジ42は、前記基台31の上下方向に貫通しているネジ穴43に螺合されており、その螺合により回転方向に応じて上下方向へ移動可能になっている。また、基台31の裏面(下面)側に突出している前記ボールネジ42の下端部には、前記F軸駆動用サーボモータ35のロータ部(図示せず)が取り付けられており、そのロータ部と一体に正逆両方向に回転する。なお、前記F軸駆動用サーボモータ35は、図示しないステータ部側となるハウジングが基台31の裏面側に固定して取り付けられている。そして、ロータ部の回転に連動してボールネジ42を正逆二方向に回転させるようになっている。従って、F軸駆動用サーボモータ35も正逆二方向に回転する。一方、基台31の表面(上面)側に突出している前記ボールネジ42の上端部には、前記Fステージ移動機構32がネジ送り可能に取り付けられている。
【0068】
前記F軸ステージ移動機構32は、前記基台31の表面側において、前記複数本のリニアガイド41と連結されており、前記ボールネジ42でのネジ送り時、そのリニアガイド41の案内により上下方向へ移動可能になっている。また、そのFステージ移動機構32の上部には、シート状をしたクリーニング材45が貼り付けられた前記載置台33が、Fステージ移動機構12と一体移動可能に取り付けられている。
【0069】
前記高さ位置検出手段34は、前記Fステージ移動機構32に一体移動可能に取り付けられているリニアスケール34aと、該リニアスケール34aと対向して基台31上に固定して取り付けられているスケールヘッド34bとでなる。スケールヘッド34bは、Fステージ移動機構32と一体に上下方向へ移動するリニアスケール34aの高さ位置を検出し、その検出された高さ位置を載置台33の基台31からの高さ位置の情報とし、前記載置台高さ位置制御部38へ向けて出力可能になっている。また、載置台33の基台31からの高さ位置の情報は、高さ位置検出手段34にかわりモータに取り付けられている回転型エンコーダからでも出力可能なものとする。
【0070】
前記F軸モータ駆動部36は、前記載置台高さ位置制御部38からの信号に応じて前記F軸駆動用モータ35を駆動する。また、そのF軸駆動用モータ35を駆動している電流値は、前記F軸電流測定部37を介して載置台高さ位置制御部38を介して主制御部39に入力される。
【0071】
前記主制御部39は、前記クリーニング装置10の中心的処理機能を担う、例えばコンピュータであって、各種の処理を行う。また、主制御部39には、各種の処理プログラムの他に、前記プローブカード20のプローブ20aとクリーニング材45とのコンタクト時に、クリーニング材45とプローブ20aの先端の配列面との傾き、及びプローブ20aの先端位置のばらつきなどを考慮して、クリーニング材45とプローブ20aが確実に接触するように、プローブ20aの先端位置より高い位置までクリーニング材45を上昇させるためのクリーニング高さなどが記憶されたメモリ39aなどが設けられている。
【0072】
図7は、本発明の第3実施例におけるコンタクト位置制御方法の基本構成を示すフローチャートである。このフローチャートに示す制御手順は、前記主制御部39内の処理プログラムに従って実行される。
【0073】
次に、そのクリーニング時におけるコンタクト位置制御動作を図7に示すフローチャートに従って説明する。まず、フローチャートは大きく分けると、クリーニング材45を基準位置S0からF軸方向に所定量H移動させて、プローブ20aに対して該クリーニング材45をコンタクトさせ、そのコンタクト時におけるトルクを基準トルク値Taとして主制御部39のメモリ39a内に予め設定しておくステップ(I)と、前記基準トルク値Taを取得した後から前記プローブ20aをクリーニングする際、前記クリーニング材45を前記基準位置S0からF軸方向に所定量H移動させてプローブ20aにコンタクトさせ、そのコンタクト時のトルクを測定トルク値Tbとして取得するステップ(II)と、基準トルク値Taと測定トルク値Tbとを比較し、測定トルク値Tbが略基準トルク値Taとなるようにクリーニング材45をF軸方向に高さh(ステップ量Y)移動させて高さ位置を補正するステップ(III)とからなる。
【0074】
前記ステップ(I)は、例えばオペレータなどによる外部操作により基準トルクTaを予め設定しておく。前記ステップ(II)は、クリーニングの指示あると、ステップ301で主制御部39が図示しないX、Yの各駆動軸を制御し、載置台33及びボールネジ42、Fステージ移動機構32、F軸駆動用モータ35が、プローブカード20の下、すなわち所定位置S0に配置するように、基台31を移動させる。
【0075】
次いで、主制御部39は、ステップ302において、載置台高さ位置制御部38を制御し、F軸モータ駆動部36を介してF軸駆動用モータ35を正方向にステップ回転させ、載置台33をボールネジ42及びFステージ移動機構32と共にF軸方向に(所定量H−指定量X)移動された基準位置S1に移動させ、更に基準位置S1から指定量X移動する動作で上昇移動させ、基準位置S1から指定量X上昇したコンタクト位置に載置台33を配
置する。その所定量H上昇された位置は、載置台33上のクリーニング材45のコンタクト面とプローブカード20のプローブ20aとが所定のクリーニング高さでコンタクトしている位置である。また、ステップ303で、そのF軸駆動用モータ35の駆動電流(F軸モータ電流)をF軸方向に指定量Xの往復移動を行ってからF軸電流測定部37により検出する。
【0076】
次いで、前記ステップ(III)に入る。そのステップ(III)はステップ304であり、前記基準トルク値Taと前記測定トルクTbとを比較し、測定トルクTbが基準トルク値Taの範囲内(基準値の範囲内)にあるかを判定する。基準値の範囲にない場合は、ステップ305で範囲内よりも大きいか小さいかにより載置台33を補正のために移動する方向(上方向又は下方向)を決定し、ステップ306で載置台33をF軸方向にステップ量Y移動させた後、該載置台33を指定量X往復移動させる動作を繰り返しながら、ステップ303で測定トルクTbを測定し、測定トルク値Tbが基準トルク値Taの範囲内(Tb→Ta)となるように補正する。
【0077】
一方、ステップ304で測定トルクTbが基準トルク値Taの範囲内(基準値の範囲内)にある、あるいは補正により範囲内になった場合は、ステップ307へ移行する。そして、ステップ307で現在のコンタクト高さ(載置台13の高さ位置)を測定し、その高さ位置を(H+h)に更新してメモリ39aに記憶すると共に、ステップ308でクリーニングをし、初期位置に戻る。これにより一回目のクリーニングを終了する。
【0078】
二回目以降のクリーニングは、クリーニング指示あるとステップ309で、載置台33及びボールネジ42、Fステージ移動機構32、ボールネジ42、F軸駆動用モータ35が、基台31と共にプローブカード20の下に配置され、さらに載置台33が基準位置S0から一回目のクリーニングで更新された、前記所定の高さ位置(H+h)へ徐々に上昇移動される。
【0079】
そして、ステップ310でF軸方向に基準位置S1から指定量Xの往復移動を行ってからF軸モータ電流値を測定し、F軸モータ電流値より測定トルクTbを測定し、ステップ311で測定トルクTbが基準トルク値Taの範囲内(基準値の範囲内)にあるか否かを判定する。そして、基準値の範囲内にある場合はステップ312でクリーニングを行う。範囲内でない場合はステップ302へ戻り、基準トルク値Ta及び所定の高さ位置(H+h)を再び更新し、以後、その制御を繰り返す。
【0080】
したがって、第3実施例によれば、プローブ20aのクリーニングにおいて、外乱条件を排する複雑な演算を行うことなく、簡易な方法によりプローブ20aとクリーニング材25とのコンタクト位置が適正な位置となるように制御し、常に適切な基準トルクTaを再現して付与するので、クリーニングを精度良く行うことができる。
【0081】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は半導体ウェーハWとプローブをコンタクトさせる以外の技術にも応用できる。
【符号の説明】
【0083】
10 検査装置
11 基台(ベース)
12 Zステージ移動機構
13 載置台(チャック)
14 高さ位置検出手段
14a リニアスケール
14b スケールヘッド
15 Z軸駆動用モータ
16 Z軸モータ駆動部
17 Z軸電流測定部
18 載置台高さ位置制御部
19 主制御部
19a メモリ
20 プローブカード
20a プローブ
21 リニアガイド
22 ボールネジ
23 ネジ穴
24 カードホルダ
25 クリーニング材
30 クリーニング装置
31 基台(ベース)
32 Fステージ移動機構
33 載置台(クリーニングステージ)
34 高さ位置検出手段
34a リニアスケール
34b スケールヘッド
35 F軸駆動用モータ
36 F軸モータ駆動部
37 F軸電流測定部
38 載置台高さ位置制御部
39 主制御部
39a メモリ
41 リニアガイド
42 ボールネジ
43 ネジ穴
45 クリーニング材
W 半導体ウェーハ(被検体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7