特許第6267965号(P6267965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6267965複合粒子並びにそれを用いた電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267965
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】複合粒子並びにそれを用いた電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/107 20060101AFI20180115BHJP
   G03G 9/113 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   G03G9/10 331
   G03G9/10 351
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-2753(P2014-2753)
(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公開番号】特開2015-132656(P2015-132656A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】506334182
【氏名又は名称】DOWAエレクトロニクス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000224802
【氏名又は名称】DOWA IPクリエイション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 信也
【審査官】 福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−249748(JP,A)
【文献】 特開2004−361594(JP,A)
【文献】 特開平08−006306(JP,A)
【文献】 特開平05−197211(JP,A)
【文献】 特開平06−295103(JP,A)
【文献】 特開2004−286879(JP,A)
【文献】 特開平07−219279(JP,A)
【文献】 特開平01−282563(JP,A)
【文献】 特開平08−286423(JP,A)
【文献】 特開平10−010790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂中に磁性粉が分散した複合粒子であって、
見掛け密度が1.1g/cm以下であり、
真密度が3.8g/cm〜4.5g/cmの範囲であり、
粒子断面における磁性粉の占める面積割合が30%〜50%であり、前記粒子断面を複数の領域に区分して求めた前記面積割合の標準偏差σが7.0%以下である
ことを特徴とする複合粒子。
【請求項2】
結着樹脂中に磁性粉が分散した複合粒子であって、
見掛け密度が1.1g/cm以下であり、
粒子断面における磁性粉の占める面積割合が30%〜50%であり、前記粒子断面を複数の領域に区分して求めた前記面積割合の標準偏差σが7.0%以下であり、
前記結着樹脂がポリウレタン及びポリオレフィンの少なくとも一方を含む
ことを特徴とする複合粒子。
【請求項3】
体積平均粒径が20μm〜50μmの範囲である請求項1又は2記載の複合粒子。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の複合粒子の表面を樹脂で被覆したことを特徴とする電子写真現像用キャリア。
【請求項5】
請求項記載の電子写真現像用キャリアとトナーとを含むことを特徴とする電子写真用現像剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合粒子並びにそれを用いた電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたファクシミリやプリンター、複写機などの画像形成装置では、現像剤である粉体のトナーを感光体上の静電潜像に付着させ、当該付着したトナー像を所定の用紙等へ転写した後、加熱・加圧して用紙等へ溶融定着させている。ここで、現像剤としては、トナーのみを含む一成分系現像剤を用いる一成分系現像法と、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤を用いる二成分系現像法とに大別される。そして、近年は、ほとんどの場合、トナーの荷電制御が容易で安定した高画質を得ることができ、高速現像が可能であることから二成分系現像法が用いられている。
【0003】
二成分系現像法では、トナーとキャリアとを含む現像剤を現像装置内で撹拌混合し、摩擦によってトナーを所定量まで帯電させる。そして、回転する現像スリーブに現像剤を供給し、現像スリーブ上で磁気ブラシを形成させて、磁気ブラシを介して感光体へトナーを電気的に移動させて感光体上の静電潜像を可視像化する。
【0004】
近年、画像形成装置の高速化に伴い、現像剤の撹拌混合及び回転搬送の速度も速くなっている。一方、省エネルギーの観点から、現像剤を撹拌混合及び回転搬送させるための動力を抑えることが求められている。そのためには、使用するキャリアの見掛け密度を小さくするのが望ましい。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1では、断面面積基準で20%〜65%の空孔を少なくとも1つ有し、見掛け密度が0.50g/cm〜1.50g/cmの範囲である磁性コア粒子が提案されている。また、特許文献2では、所定量の強磁性体微粒子とフェノール樹脂とからなり、所定の平均粒子径と嵩密度とを有する複合体粒子からなる静電潜像現像用磁性粉体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-310104号公報
【特許文献2】特開平3-61955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、内部に空孔を有する粒子や磁性粉を樹脂に分散させた粒子は、通常、粒子の割れや欠けが発生しやすい。
【0008】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、見掛け密度が小さく、しかも所定以上の強度を維持する複合粒子を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、省エネルギー及び高速化を達成できる電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成する本発明に係る複合粒子は、結着樹脂中に磁性粉が分散した複合粒子であって、見掛け密度が1.1g/cm以下であり、粒子断面における磁性粉の占める面積割合が30%〜50%であり、前記粒子断面を複数の領域に区分して求めた前記面積割合の標準偏差σが7.0%以下であることを特徴とする。なお、粒子断面における磁性粉の占める面積割合及びその標準偏差σの求め方は、後段の実施例で詳述する。
【0011】
ここで、複合粒子の真密度は3.8g/cm〜4.5g/cmの範囲であるのが好ましい。
【0012】
また、複合粒子の体積平均粒径は20μm〜50μmの範囲であるのが好ましい。
【0013】
前記結着樹脂はポリウレタン及びポリオレフィンの少なくとも一方を含むのが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る電子写真現像用キャリアは、前記の複合粒子の表面を樹脂で被覆したことを特徴とする。
【0015】
そしてまた、本発明に係る電子写真用現像剤は、前記の電子写真現像用キャリアとトナーとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の複合粒子は、結着樹脂中に所定量の磁性粉が均一に分散してなるので、見掛け密度が小さく、しかも所定以上の強度を維持する。これにより、小さな動力で撹拌混合等を行うことができ、また、撹拌混合等による粒子の割れや欠けも大幅に減少できる。
【0017】
本発明に係る電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤は、前記複合粒子を用いるので、省エネルギー及び高速化に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の複合粒子のSEM写真である。
図2】実施例1の複合粒子の断面SEM写真である。
図3】実施例2の複合粒子のSEM写真である。
図4】実施例2の複合粒子の断面SEM写真である。
図5】実施例3の複合粒子のSEM写真である。
図6】実施例3の複合粒子の断面SEM写真である。
図7】比較例1の複合粒子のSEM写真である。
図8】比較例1の複合粒子の断面SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る複合粒子は、結着樹脂中に磁性粉が分散した複合粒子であって、見掛け密度が1.1g/cm以下であり、粒子断面における磁性粉の占める面積割合が30%〜50%であり、前記粒子断面を複数の領域に区分して求めた前記面積割合の標準偏差σが7.0%以下であることを特徴とする。粒子断面における磁性粉の占める面積割合を前記範囲とし、粒子中に磁性粉を均一に分散させることによって、見掛け密度を小さくでき且つ高い粒子強度が維持されるようになる。
【0020】
粒子断面における磁性粉の占める面積割合が30%未満であると、見掛け密度は小さくなるが粒子強度が低くなる。一方、前記面積割合が50%を超えると、粒子強度は高くなるが見掛け密度が大きくなる。前記面積割合のより好ましい範囲は、35%〜45%の範囲である。
【0021】
また、前記面積割合の標準偏差σが7.0%を超える、換言すると、粒子内における磁性粉の分散が不均一であると、粒子に強度の弱い部分が現れ、粒子の割れや欠けが生じるおそれがある。前記面積割合の標準偏差σのより好ましい上限値は6.0%である。
【0022】
複合粒子の真密度としては3.8g/cm〜4.5g/cmの範囲が好ましい。複合粒子の真密度をこの範囲とすることによって、例えば、複合粒子をキャリア芯材として用いた場合に、キャリアを含む現像剤の撹拌動力の軽減が図れるようになる。また、複合粒子が受ける撹拌ストレスを大幅に軽減することができる。より好ましい複合粒子の真密度の範囲は3.9g/cm〜4.2g/cmである。複合粒子の真密度は、結着樹脂と磁性粉との配合比率などにより制御することができる。
【0023】
複合粒子の体積平均粒径としては20μm〜50μmの範囲が好ましい。複合粒子の体積平均粒径をこの範囲とすることによって、例えば、複合粒子をキャリア芯材として用いた場合に、感光体表面へのキャリア付着を抑制でき、また、画質の鮮明化を図ることができる。さらに、複合粒子が受ける撹拌ストレスを軽減することができる。複合粒子の体積平均粒径を上記範囲とするには、複合粒子の製造工程において篩等を用いて分級処理を行えばよい。また、粒径分布はシャープであるのが好ましい。
【0024】
また、本発明の複合粒子の形状は球状であるのが好ましい。複合粒子を、例えば、キャリア芯材として用いた場合に、キャリアを含む現像剤の撹拌動力の軽減が図れるようになるからである。
【0025】
本発明で使用する磁性粉としては、Mg,Ca,Ti,Cu,Zn,Sr,Ni等の鉄以外の金属を1種類以上含むフェライト、γ−Fe、マグネタイト等が挙げられる。また、種類の異なる2種以上の磁性粉を使用してもよい。磁性粉の粒径は0.05μm〜5μmの範囲のものが好ましく、0.1μm〜3μmの範囲がより好ましい。使用する磁性粉の粒径が複合粒子の所望粒径に対してあまり大きいと、樹脂により結着させて複合粒子としたとき、粒子強度が低下するおそれがあり、また複合粒子の粒子形状が非球形化しやすくなり好ましくない。
【0026】
本発明で使用する結着樹脂としては、熱可塑性樹脂や未硬化あるいは初期縮合物の形の熱硬化性樹脂などが挙げられ、例えば、ポリスチレン等のビニル芳香族樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂を変性した樹脂でもあってもよい。これらの内でもポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂が好適に使用される。
【0027】
本発明の複合粒子をキャリア芯材として用いる場合には、それ自体公知の助剤、例えば電気抵抗を調節するためのカーボンブラック、分散剤、分散助剤、低分子又は高分子の電荷制御剤等を配合してもよい。
【0028】
本発明の複合粒子は各種用途に用いることができ、例えば、電子写真現像用キャリアや電磁波吸収材、電磁波シールド材用材料粉末、ゴム、プラスチック用充填材・補強材、ペンキ、絵具・接着剤用艶消材、充填材、補強材等として用いることができる。これらの中でも特に電子写真現像用キャリアとして好適に用いられる。
【0029】
本発明の複合粒子の製造方法に特に限定はないが、以下に説明する製造方法が好適である。
【0030】
まず、磁性粉と結着樹脂とを秤量して分散媒中に投入し混合してスラリーを作製する。本発明で使用する分散媒としては水が好適である。分散媒には、前記の磁性粉及び結着樹脂の他、必要により分散剤等を配合してもよい。分散剤の配合量としてはスラリー中の濃度が0.5〜2wt%程度とするのが好ましい。
【0031】
そして、作製されたスラリーを噴霧して造粒する。具体的には、スプレードライヤーなどの噴霧造粒機にスラリーを導入し、雰囲気中へ噴霧することによって球状に造粒する。噴霧造粒時の雰囲気温度は120℃〜250℃の範囲が好ましい。これにより、平均粒径20〜50μmの球状の造粒物が得られる。なお、得られた造粒物は、振動ふるい等を用いて、粗大粒子や微粉を除去し粒度分布をシャープなものとするのが望ましい。
【0032】
次いで、造粒物を送風乾燥機に投入し、乾燥温度(硬化温度)120℃〜200℃で0.5時間〜5時間乾燥し、結着樹脂を硬化させて複合粒子を得る。
【0033】
そして、複合粒子が互いに固着している場合には必要により解粒する。具体的には、例えば、ハンマーミル等によって複合粒子を解粒する。解粒工程の形態としては連続式及び回分式のいずれであってもよい。そして、必要により、粒径を所定範囲に揃えるため分級を行ってもよい。分級方法としては、風力分級や篩分級など従来公知の方法を用いることができる。また、風力分級機で1次分級した後、振動篩や超音波篩で粒径を所定範囲に揃えるようにしてもよい。
【0034】
以上のようにして作製した本発明の複合粒子を、電子写真現像用キャリアとして用いる場合、複合粒子をそのまま電子写真現像用キャリアとして用いることもできるが、帯電性等の観点からは、複合粒子の表面を樹脂で被覆して用いるのが好ましい。
【0035】
複合粒子の表面を被覆する樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリ塩化ビニリデン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリスチレン、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、並びにポリ塩化ビニル系やポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エストラマー、フッ素シリコーン系樹脂などが挙げられる。
【0036】
複合粒子の表面を樹脂で被覆するには、樹脂の溶液又は分散液を複合粒子に施せばよい。塗布溶液用の溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類溶媒;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒などの1種又は2種以上を用いることができる。塗布溶液中の樹脂成分濃度は、一般に0.0010wt%〜30wt%、特に0.0010wt%〜2wt%の範囲内にあるのがよい。
【0037】
複合粒子への樹脂の被覆方法としては、例えばスプレードライ法や流動床法あるいは流動床を用いたスプレードライ法、浸漬法等を用いることができる。これらの中でも、少ない樹脂量で効率的に塗布できる点で流動床法が特に好ましい。樹脂被覆量は、例えば流動床法の場合には吹き付ける樹脂溶液量や吹き付け時間によって調整することができる。
【0038】
本発明に係る電子写真用現像剤は、以上のようにして作製した電子写真現像用キャリアとトナーとを混合してなる。電子写真現像用キャリアとトナーとの混合比に特に限定はなく、使用する現像装置の現像条件などから適宜決定すればよい。一般に現像剤中のトナー濃度は1wt%〜20wt%の範囲が好ましい。トナー濃度が1wt%未満の場合、画像濃度が薄くなりすぎ、他方トナー濃度が20wt%を超える場合、現像装置内でトナー飛散が発生し機内汚れや転写紙などの背景部分にトナーが付着する不具合が生じるおそれがあるからである。より好ましいトナー濃度は3wt%〜15wt%の範囲である。
【0039】
電子写真現像用キャリアとトナーとの混合は、従来公知の混合装置を用いることができる。例えばヘンシェルミキサー、V型混合機、タンブラーミキサー、ハイブリタイザー等を用いることができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0041】
実施例1
複合粒子を下記方法で作製した。出発原料として、1000gのフェライト粉(組成:Mn0.86Fe2.14,平均粒径:2.9μm)と、231gのポリウレタン樹脂(樹脂濃度30wt%)とを、587gの純水中に分散し、濃度58.0wt%で粘度690cpの混合スラリーを得た。この混合スラリーをスプレードライヤーにて約150℃の熱風中に噴霧して造粒物を得た。得られた造粒物を送風乾燥機に投入し、温度150℃で60分間乾燥させポリウレタン樹脂を硬化させて複合粒子を得た。得られた複合粒子を振動ふるいを用いて分級し、体積平均粒径32.0μmの複合粒子を得た。
【0042】
複合粒子断面における、磁性粉の占める面積割合およびその標準偏差、複合粒子の見掛け密度、粒子強度、真密度、体積平均粒径、磁気特性、電気抵抗を下記の方法で測定した。結果を表2にまとめて示す。また、図1及び図2に、実施例1の複合粒子のSEM写真及び断面SEM写真をそれぞれ示す。
【0043】
(複合粒子における磁性粉の占める面積割合の測定)
得られた複合粒子を熱硬化性樹脂中に分散させた後、加熱により樹脂を硬化させた。この硬化物の表面をクロスセクションポリッシャー(日本電子社製)を用いて研磨した。研磨した粒子表面を走査電子顕微鏡(日本電子社製)を用いて観察し、粒子の断面写真を撮影した。そして、100個の粒子の断面をそれぞれ9つに等分し、それぞれの区分における粒子部分と樹脂部分とを画像解析ソフト「Image-Pro」を使用して計測して、総面積に対する磁性粉部分の面積比(磁性粉面積割合)を算出し、その平均値と標準偏差を算出した。
【0044】
(見掛け密度の測定)
複合粒子の見掛け密度はJIS Z 2504に準拠して測定した。
【0045】
(粒子強度)
複合粒子30gをサンプルミルに投入した。サンプルミルは、協立理工株式会社製のSK−M10型を用い、回転数14000rpmで60秒間破砕試験を行った。次いで、レーザー回折式粒度分布測定装置(「マイクロトラックModel9320−X100」日機装社製)を用いて、粒径20μm以下の累積粒子頻度を測定する。そして、サンプルミルによる処理前後の、粒径20μm以下の累積粒子頻度の増加率(%)を算出し、粒子強度の指標とした。
○:破砕後の20μm以下の破砕片における増加率が40%未満
×:破砕後の20μm以下の破砕片における増加率が40%以上
【0046】
(真密度)
複合粒子の真密度は、Quantachrome社製、「ULTRA PYCNOMETER 1000」を用いて測定を行った。
【0047】
(体積平均粒径の測定)
体積平均粒径の測定については、日機装株式会社製のマイクロトラック、Model9320−X100を用いて実施した。
【0048】
(磁気特性の測定)
VSM(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて、飽和磁化σs及び磁化σ1k、残留磁化σr、保磁力Hcをそれぞれ測定した。
【0049】
(電気抵抗)
表面を電解研磨した厚さ2mmの電極としての真鍮板2枚を、距離2mm離して対向するように配置した。電極間に複合粒子200mgを装入した後、それぞれの電極の背後に断面積240cm2の磁石(表面磁束密度が1500ガウスのフェライト磁石)を配置して、電極間に複合粒子のブリッジを形成させた。そして、1000Vの直流電圧を電極間に印加し、複合粒子に流れる電流値を測定し、電圧1000Vのときの複合粒子の電気抵抗を算出した。
【0050】
実施例2
出発原料として、1000gのフェライト粉(組成:Mn0.86Fe2.14,平均粒径:2.9μm)と、188gのポリウレタン樹脂(樹脂濃度35wt%)とを、578gの純水中に分散し、濃度57.7wt%で粘度654cpの混合スラリーを得た。この混合スラリーをスプレードライヤーにて約150℃の熱風中に噴霧して造粒物を得た。得られた造粒物を送風乾燥機に投入し、温度150℃で60分間乾燥させポリウレタン樹脂を硬化させて複合粒子を得た。得られた複合粒子を振動ふるいを用いて分級し、体積平均粒径39.9μmの複合粒子を得た。
得られた複合粒子の特性を実施例1と同様にして測定した。結果を表2にまとめて示す。また、図3及び図4に、実施例2の複合粒子のSEM写真及び断面SEM写真をそれぞれ示す。
【0051】
実施例3
出発原料として、1000gのフェライト粉(組成:Mn0.86Fe2.14,平均粒径:2.9μm)と、316gのポリオレフィン樹脂(樹脂濃度22wt%)とを、225gの純水中に分散し、濃度68.9wt%で粘度1234cpの混合スラリーを得た。この混合スラリーをスプレードライヤーにて約150℃の熱風中に噴霧して造粒物を得た。得られた造粒物を送風乾燥機に投入し、温度120℃で60分間乾燥させポリオレフィン樹脂を硬化させて複合粒子を得た。得られた複合粒子を振動ふるいを用いて分級し、体積平均粒径32.5μmの複合粒子を得た。
得られた複合粒子の特性を実施例1と同様にして測定した。結果を表2にまとめて示す。また、図5及び図6に、実施例3の複合粒子のSEM写真及び断面SEM写真をそれぞれ示す。
【0052】
比較例1
出発原料として、700gのフェライト粉(組成:Mn0.86Fe2.14,平均粒径:2.9μm)と、96gのアクリル樹脂(樹脂濃度50wt%)とを、476gの純水中に分散し、濃度63.9wt%で粘度1122cpの混合スラリーを得た。この混合スラリーをスプレードライヤーにて約150℃の熱風中に噴霧して造粒物を得た。得られた造粒物を送風乾燥機に投入し、温度180℃で60分間乾燥させアクリル樹脂を硬化させて複合粒子を得た。得られた複合粒子を振動ふるいを用いて分級し、体積平均粒径30.6μmの複合粒子を得た。
得られた複合粒子の特性を実施例1と同様にして測定した。結果を表2にまとめて示す。また、図7及び図8に、比較例1の複合粒子のSEM写真及び断面SEM写真をそれぞれ示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
表2から明らかなように、実施例1〜3の複合粒子は、見掛け密度が1.04g/cm以下と小さく、しかも粒子強度は高かった。これに対し、比較例1の複合粒子は、粒子内における磁性粉の分散が不十分で、粒子強度が低く割れや欠けが発生した。見掛け密度が高い程、強度は向上されると思われたが、比較例1においては強度不足であった。これは磁性粉の面積割合の標準偏差(%)が10を超えたためである。
【0056】
標準偏差の影響を確認するため、実施例1における磁性粉を平均粒径5.0μmのものとし、面積割合30%とした以外は、同様に実施例1の製法で確認試験をした。結果、磁性粉の面積割合の標準偏差(%)が10を超え、強度が不足していた。複合粒子内の均質性が強度に影響を与えることを確認した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8