特許第6268092号(P6268092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268092
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20180115BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   H01L21/30 527
   G03F7/20 501
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-533399(P2014-533399)
(86)(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公表番号】特表2014-534613(P2014-534613A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012057941
(87)【国際公開番号】WO2013049584
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年4月17日
【審判番号】不服2016-6589(P2016-6589/J1)
【審判請求日】2016年5月5日
(31)【優先権主張番号】61/541,484
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/629,382
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】カスキー、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】レイディグ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マークル、デビッド
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジャンファン
【合議体】
【審判長】 小松 徹三
【審判官】 伊藤 昌哉
【審判官】 松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−146793(JP,A)
【文献】 特開2008−241877(JP,A)
【文献】 特開2005−227465(JP,A)
【文献】 特開2004−39871(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/096365(WO,A1)
【文献】 特開2008−241876(JP,A)
【文献】 特開昭63−198324(JP,A)
【文献】 特開平6−224107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/027,21/30
G03F7/20-7/24,9/00-9/02
H01L33/00-33/46
H01S5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明システムを制御するための方法であって、
複数の照明源を提供するステップと、
前記複数の照明源の光出力を或る期間にわたってモニタするステップであって、モニタされた光出力は記録されるステップと、
予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源を制御するステップとを含み、前記複数の照明源が、化学線照明源及び非化学線照明源を含み、前記複数の照明源を制御するステップが、前記記録された光出力を劣化予測モデルへ適用することによって、頻繁な測定を行わないでも、前記予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源のうちの1以上の照明源の劣化を補償するステップを含み、前記複数の照明源のうちの1以上の照明源の劣化を補償する前記ステップが、前記光出力を増加させるべくアクティブな照明源の数を増加させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数の照明源が、
第1の露光波長を有する第1のセットの照明源及び第2の露光波長を有する第2のセットの照明源を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数の照明源の光出力をモニタする前記ステップが、
前記複数の照明源のサブセットの光出力を求めるべく、前記複数の照明源のサブセットを順次測定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数の照明源を制御する前記ステップが、
前記複数の照明源の第1のセットをアクティブな状態に維持するステップと、
前記複数の照明源の第2のセットを非アクティブな状態に維持するステップと、
前記複数の照明源の前記第1のセットにおける少なくとも1つの故障した照明源を補償するべく、前記複数の照明源の前記第2のセットのうちの少なくとも1つの照明源を前記複数の照明源の前記第1のセットへ転換するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数の照明源の寿命を前記複数の照明源のパラメータに基づいて予測するステップ、及び
前記複数の照明源の定期メンテナンスを品質管理スケジュールに従って実行するステップのうちの少なくとも1つのステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
照明システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと協働するように構成された制御装置とを含み、
前記制御装置が、
複数の照明源を提供するように構成されたロジックであって、前記複数の照明源が、化学線照明源及び非化学線照明源を含む、該ロジックと、
前記複数の照明源の光出力を或る期間にわたってモニタし、モニタされた光出力は記録されるように構成されたロジックと、
予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源を制御するように構成されたロジックとを含み、前記複数の照明源を制御するように構成された前記ロジックが、前記記録された光出力を劣化予測モデルへ適用することによって、頻繁な測定を行わないでも、前記予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源のうちの1以上の照明源の劣化を補償するように構成されたロジックを含み、前記複数の照明源のうちの1以上の照明源の劣化を補償するように構成された前記ロジックが、前記光出力を増加させるべくアクティブな照明源の数を増加させるように構成されたロジックを含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項に記載のシステムであって、
前記複数の照明源が、
第1の露光波長を有する第1のセットの照明源及び第2の露光波長を有する第2のセットの照明源を含むことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項に記載のシステムであって、
前記複数の照明源の光出力をモニタするように構成された前記ロジックが、
前記複数の照明源のサブセットの光出力を求めるべく、前記複数の照明源のサブセットを順次測定するように構成されたロジックを含むことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項に記載のシステムであって、
前記複数の照明源を制御するように構成された前記ロジックが、
前記複数の照明源の第1のセットをアクティブな状態に維持するように構成されたロジックと、
前記複数の照明源の第2のセットを非アクティブな状態に維持するように構成されたロジックと、
前記複数の照明源の前記第1のセットにおける少なくとも1つの故障した照明源を補償するべく、前記複数の照明源の前記第2のセットのうちの少なくとも1つの照明源を前記複数の照明源の前記第1のセットへ転換するように構成されたロジックとを含むことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項に記載のシステムであって、
前記複数の照明源の寿命を前記複数の照明源のパラメータに基づいて予測するように構成されたロジック、及び
前記複数の照明源の定期メンテナンスを品質管理スケジュールに従って実行するように構成されたロジックのうちの少なくとも1つのロジックをさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
1以上のコンピュータシステムにより実行するためのコンピュータプログラムを格納する非一時的なデータ記録媒体であって、
複数の照明源を提供するように構成されたコードであって、前記複数の照明源が、化学線照明源及び非化学線照明源を含む、該コードと、
前記複数の照明源の光出力を或る期間にわたってモニタし、モニタされた光出力は記録されるように構成されたコードと、
予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源を制御するように構成されたコードとを含み、前記複数の照明源を制御するように構成された前記コードが、前記記録された光出力を劣化予測モデルへ適用することによって、頻繁な測定を行わないでも、前記予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源のうちの1以上の照明源の劣化を補償するように構成されたコードを含み、前記複数の照明源のうちの1以上の照明源の劣化を補償するように構成された前記コードが、前記光出力を増加させるべくアクティブな照明源の数を増加させるように構成されたコードを含むことを特徴とするデータ記録媒体
【請求項12】
請求項11に記載のデータ記録媒体であって、
前記複数の照明源が、第1の露光波長を有する第1のセットの照明源及び第2の露光波長を有する第2のセットの照明源を含むことを特徴とするデータ記録媒体
【請求項13】
請求項11に記載のデータ記録媒体であって、
前記複数の照明源の光出力をモニタするように構成された前記コードが、
前記複数の照明源のサブセットの光出力を求めるべく、前記複数の照明源のサブセットを順次測定するように構成されたコードを含むことを特徴とするデータ記録媒体
【請求項14】
請求項11に記載のデータ記録媒体であって、
前記複数の照明源を制御するように構成された前記コードが、
前記複数の照明源の第1のセットをアクティブな状態に維持するように構成されたコードと、
前記複数の照明源の第2のセットを非アクティブな状態に維持するように構成されたコードと、
前記複数の照明源の前記第1のセットにおける少なくとも1つの故障した照明源を補償するべく、前記複数の照明源の前記第2のセットのうちの少なくとも1つの照明源を前記複数の照明源の前記第1のセットへ転換するように構成されたコードとを含むことを特徴とするデータ記録媒体
【請求項15】
請求項11に記載のデータ記録媒体であって、
前記複数の照明源の寿命を前記複数の照明源のパラメータに基づいて予測するように構成されたコード、及び
前記複数の照明源の定期メンテナンスを品質管理スケジュールに従って実行するように構成されたコードのうちの少なくとも1つのコードをさらに含むことを特徴とするデータ記録媒体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年9月30日に出願された米国仮出願第61/541,484号(照明システム)に基づく優先権を主張する2012年9月27日に出願された米国非仮特許出願第13/629,382号に基づく優先権を主張するものである。上述した米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に援用されるものとする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、リソグラフィ製造の分野に関する。より具体的には、本発明は、複数の照明源を有する照明の寿命を向上させるためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ製造法は、例えば半導体集積回路(IC)、プリント基板(PCB)、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、フラットパネルディスプレイ(FPD)、水晶振動子(QO)、微小電気機械システム(MEMS)部品などの電子デバイスの製造、並びに、例えばバンプボンディング、薄膜ヘッド(TFH)及びマルチチップモジュール製造、シリコン貫通電極を用いた3Dパッケージング、及び関連する現代の電子デバイス及び/または光学デバイスなどの他の電子用途のための大量生産方法として選択されてきた。
【0004】
リソグラフィプロセスにおける大量生産についての問題の1つは、基板間、ロット間及び日々の間で、仕様範囲内での安定的かつ一定的なパターニング性能を確実にすることである。目標は、よく設定されたプロセスウィンドウを維持し、それにより、製造に使用されるリソグラフィツールの望ましくない装置休止時間を最小限に抑えながら、有益な製造歩留まりを確実にすることである。
【0005】
従来、現代の電子デバイス及び光学デバイスを製造するためのリソグラフィ技術は、半導体ICを作製するためのリソグラフィプロセス技術に由来していた。様々な種類の基板のパターニングに使用されるリソグラフィ露光ツールの大部分は、接触アライナまたは近接アライナ、プロジェクションステッパ、またはスキャナーシステムである。ツールの種類に関わらず、大体の目安としての、プロセスウィンドウ制御仕様に応じて、照射野内では照明強度を約1〜2%以下で均一に保つことが望ましい。
【0006】
そのような厳しい照明制御条件の理由は、主に、総露光エネルギーに大きく左右されるというフォトレジストの画像形成特性に起因する。化学線露光波長については、露光エネルギー(ミリジュール(mJ))は、光強度(ミリワット/平方cm)と時間(秒)の積である。プリントされたフィーチャの線幅の均一性が仕様範囲内になるように制御するためには、まず考慮すべきことは、照明強度が一定的かつ安定的になることを確実にすることである。公称露光エネルギーについては、強度レベルを高くすると、露光時間を短くすることができ、露光スループットを高めることができる。もしも照明強度が低くなったら、同じ公称露光エネルギーを得るためには、露光時間を増加させることによって補償することができる。従って、公称露光エネルギーを用いる一般的なリソグラフィ製造法では、光強度レベルをモニタすることが望ましい。
【0007】
従来のリソグラフィ露光ツールは、例えば水銀短アークランプまたはエキシマレーザを用いる単一照明源を想定して設計されてきた。水銀アークランプの寿命は、数百時間である。エキシマレーザの場合、レーザ発光に用いられるガスを、動作後の1年以内に再充填する必要がある。両タイプの照明源の寿命及び故障モードはよく特徴付けられているので、単一照明源の光強度をモニタすることは比較的容易である。
【0008】
従来は、実行可能な代案がないため、産業界は、限られた寿命及び水銀アークランプに用いられる過剰な電気エネルギーに慣れている。露光スループットを向上させるためには、より高い光強度を生成する必要がある。一般的に、1Kワットの入力電力の仕様を有する水銀アークランプでは、所望の化学線露光波長、例えば365nmを生成するためには、インライン光学フィルタを通過させる。使用する光学システムに応じて、約100〜200mワットの光強度を、フォトレジスト面に供給することができる。100mJの公称露光エネルギーについては、0.5〜1秒の露光時間が用いられる。
【0009】
前記ランプが劣化すると、化学線光出力が減少し、より長い露光時間が用いられる。数百時間の動作後は、前記ランプの出力は非常に低くなるか、または出力が完全になくなる。水銀アークランプを用いるこのようなリソグラフィ製造法では、一般的に行われるリソグラフィモニタプロセスは、光強度レベルを毎日検査することである。各プロセスロットでは、テスト露光が行われる。レジストの現像後、仕様範囲を対照として、フィーチャの線幅を測定する。その後、目標線幅がプリントされるように、露光時間を調節するか、または露光エネルギー設定を変更する。
【0010】
高圧水銀アークランプ光源の交換は、迅速なランプ交換プロセスではない。前記ランプは、扱うためには、オフにして冷却させる必要がある。新しいランプを取り付けた後、アーク光源は、光強度及び均一性が最良となるように最適化するために、焦点合わせ及び調節を行う必要がある。この作業を達成して、前記ツールが製造を再開することが可能になるまでに、通常数時間かかる。動作中は、2〜4週間毎に、ランプ交換のために、同じ作業を繰り返す必要がある。主要光出力帯域がUV付近から可視領域である水銀アークランプとは異なり、エキシマレーザでは、光出力波長は、248nmまたは193nmの深UV領域である。エキシマ照明システムのコストは、100万USドルの範囲である。照明メンテナンスは、はるかに複雑であり、数日を要する。一般的に、エキシマガスの再充填及び調節を、半年毎または1年毎に行う必要がある。
【0011】
そのため、従来の照明システムの上記の問題点を解決することが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、照明源を有する照明システムの要求を解決する方法であって、例えばLED、ダイオードレーザまたは固体レーザなどを有する照明システムの出力強度の調節及び寿命の予測をすることができる方法を提供する。本発明は、最大寿命を実現するべく、マルチエミッタ照明システムを制御及びモニタし、前記照明システムの予測寿命を立ててリファイン(精密化)し、1以上の照明源のランダムな予想外の故障を補償し、そして、前記補償が実現不能である場合に警告を発し、画像化システムのアクティブ動作時間をほとんどまたは全く犠牲にすることなく、画像化システムの動作中に照明システムをモニタする方法を含む。別の実施形態では、本発明は、所望の照明形状に形成することができ、アライメント用途または多波長露光用途にかかわらず多波長放射源と組み合わせることができるマルチエミッタベース照明源の使用を提供する。
【0013】
本発明は、照明システム及び該照明システムを制御するための方法を提供する。一実施形態では、本発明の方法は、複数の照明源を提供するステップと、前記複数の照明源の光出力を或る期間にわたってモニタするステップと、予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源を制御するステップとを含む。本発明の方法は、前記予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源のうちの1以上の光源の劣化を補償するステップと、前記照明システムの寿命を前記複数の照明源のパラメータに基づいて予測するステップと、前記複数の照明源の定期メンテナンスを品質管理スケジュールに従って実行するステップとをさらに含む。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと協働するように構成された制御装置とを含む照明システムを提供する。前記制御装置は、複数の照明源を提供するように構成されたロジックと、前記複数の照明源の光出力を或る期間にわたってモニタするように構成されたロジックと、予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源を制御するように構成されたロジックとを含む。
【0015】
さらに別の実施形態では、本発明は、1以上のコンピュータシステムにより実行するためのコンピュータプログラムを格納する非一時的な媒体を含むコンピュータプログラム製品を提供する。本発明のコンピュータプログラム製品は、複数の照明源を提供するように構成されたコードと、前記複数の照明源の光出力を或る期間にわたってモニタするように構成されたコードと、前記光出力を予め定められたレベルに維持するべく、前記複数の照明源を制御するように構成されたコードとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
上述した本発明の特長及び利点、並びにさらなる特長及び利点は、以下の図面と併せて本発明のいくつかの態様の詳細な説明を読んだ後により明確に理解できるであろう。
【0017】
図1】本発明のいくつかの態様による、照明源の光出力対注入電力の例示的なグラフを示す。
図2】本発明のいくつかの態様による、長時間にわたって一定の光出力を提供するために用いられる電流の例示的な説明を示す。
図3】本発明のいくつかの態様による、エミッタの劣化過程の例示的なシナリオを示す。
図4】本発明のいくつかの態様による、エミッタの寿命にわたる消耗の確率のプロットを示す
図5】本発明のいくつかの態様による、光出力対順方向電流のプロットを示す。
図6】本発明のいくつかの態様による、レーザダイオードをファイバに結合させる例示的な方法を示す。
図7】本発明のいくつかの態様による、ファイバ束モジュールを形成する例示的な方法を示す。
図8】本発明のいくつかの態様による、ブレンド多重露光の例示的な方法の画像出力を示す。
図9】本発明のいくつかの態様による、照明システムを制御する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明は、当業者が本発明を製造及び作成することを可能にするように記載されている。いくつかの態様および用途の具体的な説明は例としてのみ提供される。本明細書に記載の実施例の種々の改変および組み合わせは当業者には容易に明らかであり、本明細書に定義される一般原理は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施例および用途に適用することができる。従って、本発明は、説明及び図示した例に限定されるものではなく、本明細書に開示した原理及び特徴と一致する最も広い範囲を与えられる。
【0019】
本発明のいくつかの態様によれば、リソグラフィ製造におけるコスト効率の高い照明のために、従来の水銀アークランプを、LEDやレーザダイオードなどの固体光子放射源で置き換えることができる。これらの固体光子源のフォームファクタは、従来の水銀アークランプとは全く異なる。例えば、窒化ガリウム(GaN)レーザダイオードを例にとると、この光子放射デバイスは、非常に小さく、数ミリメートルの寸法を有する。最近の開発進歩からすると、単一のGaNレーザダイオードについての電力により、約1ワットの出力を生成することができる。この値は、キロワットの出力を生成することができるキロワット水銀アークランプと比較すると、非常に小さく見えるであろう。
【0020】
従来の水銀アークランプの発光は複数の波長帯域からなり、単一波長露光のためにフィルタ除去する必要がある。一方、GaNレーザダイオードは、単色露光波長を効率的に放射する。注意深い設計によってダイオードレーザ源を光ファイバに結合させた場合、光伝搬における光子損失はほんのわずかしか生じない。10〜12ワットの単一の放射源を模倣するべく、対応するGaNエミッタ(emitter)に各々接続された光ファイバ束を組み合わせると、水銀アークランプの4〜5キロワットに相当する所望の露光エネルギーのための十分すぎるほどの光照明強度を生成することができる。
【0021】
固体光子エミッタは、1万時間の動作寿命を超える範囲の長い寿命を有することが知られている。これは、時間とともに、装置休止時間が大幅に減少すること、及び、電力が大幅に節約されること示すので、製造業者にとって魅力的である。このようなマルチエミッタ(multi-emitter)照明源では、長い寿命にわたって、光強度レベルを安定かつ一定に最良に維持するための方法が課題となる。
【0022】
いくつかのリソグラフィ用途では、特に、例えば3ミクロンを超えるフィルム厚さを有する厚いフォトレジストフィルムを露光する場合は、総強度レベルを高めるために複数の露光波長を用いることが好ましい。加えて、このことにより、定常波を最小限に抑えることができ、それにより、より厚いレジストフィルムのときにより大きい焦点距離(DOF)を達成することができる。この場合、広帯域幅の光学フィルタが、照明源としての水銀アークランプに適用される。しかしながら、或る化学線波長と別の化学線波長とのピーク強度比は、水銀アーク放射源の特性によって決定される。マルチエミッタ照明光源を用いる場合、本発明の照明システムは、互いに異なる波長を放射するダイオードレーザ及び/またはLEDを含むファイバ束を組み合わせた場合、或る露光波長と別の露光波長とのピーク強度比を最適化するように構成することができる。加えて、本発明の照明システムは、LED照明源を用いたアライメント波長を含むように構成することができる。状態スライド(state slide)エミッタを用いることにより、混合比波長露光をどのように適用するかという選択を、露光中に選択的に調節することができる。
【0023】
照明システムが複数の照明源、例えばLEDやレーザに基づいている、例えばフォトリソグラフィ用のシステムでは、総照明強度を或る期間にわたって安定かつ正確に保つことが望ましい。また、製造環境の経時的変化に起因する、照明源を劣化させて寿命を短くする様々な因子を制御することが望ましい。そのような因子としては、これに限定しないが、例えば、(1)照明源の光出力が経時的に変化すること、(2)光及び電力の閾値を超えて動作させたときに損傷を受けやすいこと、(3)様々な最小駆動レベルを有すること、(4)出力が入力電流または電力に対して、あるいは特定の動作パラメータに対して一定の関係を維持しないことがある。加えて、製造工程は、より長いかつ予測可能なメンテナンスサイクルの利益を享受することができる。よって、照明寿命を最適化及び最大化するように構成されたシステムは有益である。
【0024】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、照明源の光出力対注入電流の例示的なグラフを示す。このグラフは、P/I曲線102とも呼ばれる。垂直軸はミラーファセット(mirror facet)あたりの光出力(W)を示し、水平軸は注入電流(A)を示す。光出力は、ダイオードを通過する電流を関数として変化する。閾値電流Ithよりも低くバイアスした場合、出力は低くなる。電流が閾値Ithを超えて増加する場合、出力はdP/dIの割合で増加する。閾値電流の上側でのP/I曲線の勾配は、レーザダイオードの勾配率と呼ばれ、dP/dIと定義される。dPは、光出力の変化量であり、dIは、ダイオードを通過する順方向電流の変化量である。勾配率の単位は、mW/mAである。閾値電流は一般的に、25〜250mAの範囲内であり、光出力は一般的に、1〜10mWの範囲内である。
【0025】
いくつかのエミッタ、例えばGaNレーザダイオード、及びいくつかの形態の固体レーザは、壊滅的に故障することはないが、経年劣化により故障する傾向にある。経年劣化過程中は、所与の出力を提供するためには、電流を増加させることが望ましい。図2は、本発明のいくつかの態様による、或る期間にわたって一定の光出力を提供するために用いられる電流の例示的な説明を示す。垂直軸は、一定の出力を提供するための電流を示し、水平軸は時間を示す。図2に示すように、電流対出力の比率202は、TからTまでは、実質的に同一に保たれる。しかし、時間が経つと(T後は)、同一の光出力を提供するためには、システムにとっては、電流レベルを増加させることが望ましい。例えば、Tの時点では、順方向電流レベルは、初期電流値の1.2倍が必要となる。いくつかの用途では、このより高い順方向電流レベルによって、Tでレーザダイオードの寿命末期に達したと判断することができる。いくつかの別の用途では、別の寿命末期の電流レベルが、装置の自動出力制御回路の制限に従って定義される。
【0026】
レーザダイオードは、サージ電流に起因する壊滅的光学損傷(catastrophic optical damage:COD)を受けるおそれがある。光出力を高めるために電流レベルを増加させると、レーザダイオードの縁部でショートが発生し得る。ショートが発生した場合、出力の急激な低下、及び回復不能な損傷が生じる。照明システムのレーザダイオードを損傷させるおそれがある瞬間的なまたは短時間の電流スパイクを防ぐことが望ましい。多くの場合、前記サージは、レーザダイオードを完全に破壊しないが、レーザダイオードの動作寿命を短くする。照明システムまたはレーザダイオードの寿命を向上させるためには、レーザダイオードを低電流レベルで動作させることが望ましい。
【0027】
図3は、本発明のいくつかの態様による、エミッタの経年劣化過程の例示的なシナリオを示す。垂直軸は、出力電流IOP(mA)を示し、水平軸は、劣化時間(時間)を示す。本発明のいくつかの態様によれば、本発明の照明システムは、劣化メカニズム及び特徴の割合を厳密にモニタし、パラメータを能動的に制御調節するように構成される。その結果、本発明の照明システムは、現状下での所与のエミッタの予測寿命をリファイン(精密化)することが可能となり、また、既知モデルへの外挿により、変更された動作下での寿命を予測するのに役立つ。或るアプローチでは、変更に利用可能なパラメータの1つは、電流である。別のアプローチでは、他の変数、例えばエミッタの個数が、変更に利用可能である。いくつかの実施では、温度、照明強度、電圧降下、及び駆動電流などの特徴をモニタしてもよい。
【0028】
本発明のいくつかの態様によれば、個々のデバイスの寿命は、次の条件の1つに少なくとも基づく消耗の程度として求められる。前記条件には、これに限定しないが、例えば、(1)出力の安定的な維持に、駆動電流(または電力)の一定の割合の増加が必要な時点、(2)安定的な駆動電流(または電力)で、強度が一定の割合で減少する時点、が含まれる。図4は、本発明のいくつかの態様による、エミッタの寿命を通じての、消耗の確率のプロットを示す。垂直軸は、確率(パーセンテージ)を示し、水平軸は、時間(使用時間)を示す。
【0029】
これらの変化は、数分ではなくて数時間にわたって起こるので、個々のエミッタの特徴は、画像化工程間で測定することができる。モニタ及び制御に利用可能な画像化工程間の時間は、全てのエミッタについてのモニタ/制御動作を完了するのに用いられる時間よりも短い。本発明のいくつかの態様によれば、これらの測定値は、複数のインターイメージング期間(inter-imaging period)に分布している。
【0030】
1つのアプローチは、全てのエミッタの消耗時点が等しくなるように照明レベルを設定することである。現状下での各エミッタの個々の寿命は、最初は、特徴または他のプログラムされたデータを用いたモデルに基づいて、その後は、工程の過程中に得られた測定値を加えることにより、予測することができる。制御装置は、全てのエミッタについての新しい動作パラメータを、各エミッタの出力対電流比に基づいて計算する。
【0031】
図5は、本発明のいくつかの態様による、光出力対順方向電流のプロットを示す。図5に示すように、垂直軸は、光出力P(mW)を示し、水平軸は、順方向電流のI(mA)を示す。このプロットは、照明システムの目標電力での、全てのエミッタについての等しい予測寿命をもたらす閾値及び効率の例を含む。これは、互いに異なる動作温度下では、閾値及び望ましい順方向電流がシフトされることを示す。システム信頼性の向上した確実さを提供するために、制御装置は、1以上のエミッタの故障を推定する新しい動作パラメータの同様の計算を行う。これらの新しいパラメータが、消耗または最大スペック限度に違反する場合、冗長性が失われたことを示す警報が発せられる。
【0032】
本発明のいくつかの態様によれば、本発明の照明システムは、複数の照明源(例えば、エミッタ)を含む。各エミッタの強度は、個別に遠隔制御することができる。個々のエミッタは、例えば照明センサによるビームスプリッタを通じてサンプリングされ記録される。いくつかのアプローチでは、記録されたデータは、電流対光出力モデル及び劣化予測モデルへの適用に用いることができる。劣化予測モデルは、新しい動作パラメータを計算することにより、エミッタの予測寿命を均等化するのに用いることができる。動作パラメータを積極的に適用することにより、頻繁な測定を行わないでも、照明を一定に保つことができる。いくつかの別のアプローチでは、1以上のエミッタの損失を補償しながら、冗長性に対処するために、及び照明システムの寿命を予測するために、同一のモデルを使用することができる。制御装置は、光出力の限度、電力の限度、及び各エミッタの範囲をモニタするように構成することができる。制御装置はまた、エミッタの照明出力に関連して、照明装置の予測寿命を見直す(またはリレベル(re-level)する)ように構成することができる。
【0033】
本発明のいくつかの態様によれば、画像化プロセスの最後に、光経路上に物体が存在する場合はシャッタをアクティブにし、劣化に関しての既存モデルパラメータに基づいて新しいエミッタ電流を計算して適用する。このやり方によれば、各エミッタを毎回サンプリングすることなく、照明を実質的に一定に保つことができる。時間が許せば、その後、個別のエミッタをオン、他のエミッタをオフにして、出力レベルを測定し記録する。前記出力レベルが電流モデルパラメータに適合せず、差が著しいと制御装置によって判断された場合、照明システムの照明源の新しい制御設定を決定するために、新しい出力レベルが制御装置によって計算される。
【0034】
いくつかの実施では、露光間の処理時間の利点を利用して、次回の画像化プロセスの開始前に、測定、記録及び計算のサイクルを所望に応じて何度でも繰り返すことができる。このプロセスは、各エミッタまたは各エミッタ群について繰り返される。次回の画像化プロセスの最後には、次のエミッタまたは次のエミッタ群について、測定/記録/計算のプロセスを再び開始してもよい。
【0035】
本発明の照明システムは、これに限定しないが下記の条件(1)〜(3)に従って照明源を制御及び管理するように構成することができることに留意されたい。(1)新しい電流は予測的に適用しないが、測定後に、測定レベルと所望のレベルとの差が著しかった場合に適用される。(2)照明が単一のエミッタであるが、各調節のための測定を必要とせずに照明駆動レベルを積極的に設定するために、劣化予測モデルを用いることができる。(3)1以上のエミッタの故障に基づいた予測寿命に従って、冗長性を評価することができる。
【0036】
図6は、本発明のいくつかの態様による、レーザダイオードをファイバに結合させる例示的な方法を示す。図6aに示すように、球形レンズまたはレンズダブレット202を、レーザダイオードファセット604をファイバコア606にイメージングするのに使用することができる。図6bは、ファイバレンズ610を用いて、レーザダイオードファセット604からマルチモードファイバ612への光線を速軸方向へコリメートする、別の形態の結合を示す。
【0037】
図7は、本発明のいくつかの態様による、ファイバ束モジュールを形成する例示的な方法を示す。説明を簡単にするために、図7では、ファイバコアのみを示しており、ファイバクラッド、またはファイバコアを取り囲む外層は示していないことに留意されたい。また、各円は、本発明のいくつかの例における照明源を示す。また、このタイプのファイバ束は、光通信産業では一般的に用いられている従来のタイプのファイバコンバイナ(fiber combiner)とは異なることに留意されたい。従来のタイプのファイバコンバイナでは、複数の入力ファイバが、互いに「融合されて(fused)」1本のファイバにされているか、または、「コア内で接触結合されて(touch joined)」出力として一本のファイバを有するようにされる。
【0038】
この例では、図7(a)は、同一タイプのエミッタ(円として示されている)を有する例示的なファイバ束モジュール702を示す。このモジュールは、エミッタ(またはライトパイプ)にフル実装されておらず、中央部分は空である。図7(b)は、フル実装された別の例示的なファイバ束モジュール704を示す。ファイバ束モジュール702及び704は、特定用途の要件に従って、互換的に用いることができる。言い換えれば、ファイバ束モジュール704は、照明システムにおいて、ファイバ束モジュール702と交換するために用いることができる。また、その逆も可能である。図7(c)は、アクティブな状態にある第1のセットの照明源708(円として示されている)と、非アクティブな状態にある第2のセットの照明源710(破線円として示されている)とを含むさらに別の例示的なファイバ束モジュール706を示す。図7(d)は、アクティブな状態にある第1のセットの照明源714(円として示されている)と、非アクティブな状態にある第2のセットの照明源716(破線円として示されている)とを含むさらに別の例示的なファイバ束モジュール712を示す。
【0039】
図7(e)は、化学線照明源722(円として示されている)と、非化学線照明源724(破線円として示されている)とを含むさらに別の例示的なファイバ束モジュール720を示す。ファイバ束モジュール720は、6×10アレイの照明源を含むが、図7(a)〜(d)に示したファイバ束モジュールは、4×8アレイの照明源を含むことに留意されたい。本発明のいくつかの態様によれば、物理的空間及び、特定用途の光出力要求に適合するように、ファイバ束モジュール及びコネクタモジュールの別の構成が設計され得る。図7(f)は、第1の露光波長を有する第1のセットの照明源728(白色の円として示されている)と、第2の露光波長を有する第2のセットの照明源730(灰色の円として示されている)とを含むさらに別の例示的なファイバ束モジュール726を示す。図7(g)は、複数のタイプの照明源を含むさらに別の例示的なファイバ束モジュール732を示す。例えば、ファイバ束モジュール732は、第1の露光波長を有する第1のセットの照明源734(黒色の円として示されている)と、第2の露光波長を有する第2のセットの照明源736(灰色の円として示されている)と、第3の露光波長を有する第3のセットの照明源738(白色の円として示されている)とを含み得る。
【0040】
また図7では、照明出力及び性能を向上させるための、所望の出力形状になるように束にされた複数のファイバが示されている。クラッド層は、ファイバコア間での光出力を引き起こさないため、各ファイバコアの周囲に「黒色のリング」が形成される。これは、ファイバ束の総光出力強度を低下させることになる。しかし、このことは、クラッド層をファイバコアの直径に対して非常に薄くすることができる光ファイバ材料を用いることによって、極力最小限に抑えることができる。
【0041】
本発明のいくつかの態様によれば、本発明の照明システムは、リソグラフィ照明用の固体マルチエミッタ光源を制御及びモニタするように構成することができる。加えて、マルチエミッタ照明装置は、複数の化学線波長比に関して、デジタルステップ調節制御を可能にするように構成することができる。ファイバ束の形状は、リソグラフィイメージング性能を高めるように構成することができる。このことは、固体照明源により実施することができる。各エミッタは、電気的にオン/オフすることができるからである。
【0042】
本発明の照明システムは、実質的に一定の照明出力を生成するために制御可能な態様で使用することができる複数の照明源、例えばLED、ダイオードレーザまたは他の発光デバイスなどの固体デバイスにより実施することができる。
【0043】
本発明を効果的に実施するためには、ランバートの余弦法則に厳密に従わない照明源を選択する。この法則によれば、或る表面上の任意の位置での照明は、その位置での法線と光束の方向とがなす角度の余弦(コサイン)に比例する。LED及び水銀アークランプが、そのようなタイプの照明源の例である。言い換えれば、「余弦」照明は、指向性を有していない。例えば楕円形状を有する指定リフレクタに適用した場合、本発明の照明システムは、光線を平行化するように構成することができる。「余弦」照明の特性に起因して、いくつかの特定の用途において照明光学系の入射瞳が比較的コンパクトである場合は光を集めるのはかなり非効率的である。この場合、大量の照明エネルギーが無駄になるため、少量の光しか集めることができない。それどころか、ダイオードレーザの場合、「余弦」照明タイプでは通常見られない、比較的小さい円錐広がり角を有する指向性ビームを放射する。本発明の照明システムは、レーザ出力を、光ファイバの入口に入れるための発光波長に近いスポットサイズに集束させるように構成することができる。このことにより、光ファイバを通じて伝搬される光の損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0044】
ダイオードレーザを使用することの問題の1つは、受照面上の光と暗いスポットのランダムな分布として目に見える、レーザスペックルの存在である。このレーザスペックルは、光学顕微鏡で適切な倍率により観察することができる、画像化されたフィーチャ(feature)の縁部に視覚的に非一様及び非一貫的に見える印刷パターンを生じさせ得る。これは、単色コヒーレンス照明の建設的及び破壊的な影響の避けられない結果である。照明用のダイオードレーザを選択するために、スペックルを最小限に抑えるためのメカニズムが考案された。これは、レーザ源の前にディフューザを配置することにより実施される。これは、本質的には、「余弦」照明源を模倣しようとする試みであり、そのため、多くの光損失が生じる。そのため、本出願には望ましくない。上記の問題を解決するために、本発明の照明システムは、光ファイバ束を集めたものを、それ自体のダイオードレーザ源に組み合わせ、それによりレーザスペックルをある程度まで最小化することができる。次に、本発明の照明システムは、フォトレジスト上に画像パターンを一括的に形成するために何百もの露光フラッシュを用いるピクセルブレンド画像化方法を用いる。
【0045】
本発明のいくつかの態様によれば、ピクセルブレンド画像化方法の一実施は、基板を定位置から、かつDMDに対して移動させることである。基板を移動させると、一連の短時間の露光フラッシュが適用される。各露光フラッシュの持続時間は、画像の汚れ(image smudging)を防ぐために、十分に短くする。基板を次の位置に移動させると、基板がDMDに対してどの位置に存在しているかに応じて、別のセットのマイクロミラーピクセルをオンにして露光フラッシュを行う。いくつかの実施では、フォトレジストにとって望ましい公称露光を実現するために、何百もの露光フラッシュが用いられる。従って、公称露光は、様々なマイクロミラーの多数のフラッシュの合計であり得る。図8は、本発明のいくつかの態様による、ブレンド多重露光の例示的な方法の画像出力を示す。この例示的な画像は、上述したピクセルブレンド露光方法を用いて生成した。図示のように、画像フィーチャの縁部は、滑らかでありかつ一様である。レーザスペックルの影響は観察されない。
【0046】
複数の固体光源の各々が、光ファイバに接続されている。各固体光源に対応する光ファイバ束の集合体が、リソグラフィ露光用途のための単一の均一な照明源を形成するように構成される。各光ファイバは、光ファイバ束内に含まれているが、本発明の照明システムは、各光ファイバの光出力が、その光源と一致するように識別することができるように構成することができる。従って、各光源を個別に制御することができる。
【0047】
各エミッタ光源を定期的に検査することができ、該検査は、露光フラッシュ、ウエハロット変化、基板の装填及び排出、機械が動作していないときの特定の時間、または、光強度及び/または寿命の品質チェックに適する任意の持続時間についてプログラムすることができる。寿命及び/または強度レベルの検査は、各エミッタが所定期間内に均一に検査される限りは、全てのエミッタについて一度に行ってもよいし、または、個々のエミッタを順番に行ってもよい。
【0048】
マルチエミッタリソグラフィ照明についての強度レベルステップをデジタル的に調節する1つの方法は、総強度レベルを減少させるために、いくつかのエミッタを選択的にフラッシュさせないことである。ステップダウンレベル露光中に特定のエミッタをフラッシュさせないという選択は、仕様下で照明の均一性が制御される限りは、ソフトウエアプログラムによって自動的に判断してもよいし、または人間のオペレータによって判断してもよい。
【0049】
マルチエミッタ光源を用いるリソグラフィ照明システムでは、該システムを、互いに異なる露光波長を有するいくつかのエミッタを選択的にオンにするように構成することができる。複数の露光波長を用いることにより、本発明の照明システムを、単色露光波長に起因するフォトレジストフィルムにおける定在波効果を最小限に抑えるように構成することができる。定在波は、フィーチャのCD変異を引き起こす原因の1つである。マルチエミッタ光源を用いるリソグラフィ照明システムでは、リソグラフィイメージングの全体目的を実現するために、公称露光を、各々互いに異なる化学線波長を有する多数の露光フラッシュにより形成することができる。アライメント目的のための複数の非化学線エミッタは、ファイバ束に含めることもでき、それらは、品質制御目的のための同じ調節用途に用いることもできる。
【0050】
図9は、本発明のいくつかの態様による、照明システムを制御する方法を示す。図9に示す例示的な実施形態では、制御装置は、複数の照明源を提供するように構成されたロジック(logic)を含む(ブロック902)。ブロック904では、制御装置は、前記複数の照明源の光出力を或る期間にわたってモニタするように構成されたロジックを含む。ブロック906では、制御装置は、予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源を制御するように構成されたロジックを含む。前記複数の照明源は、化学線照明源及び非化学線照明源の組み合わせ、または、第1の露光波長を有する第1のセットの照明源及び第2の露光波長を有する第2のセットの照明源の組み合わせのうちの少なくとも1つの組み合わせを含む。
【0051】
本発明の実施形態によれば、ブロック904で実施されるロジックは、ブロック908で実施されるロジックをさらに含み得る。例えば、ブロック908は、前記複数の照明源のサブセットの光出力を求めるべく、前記サブセットの光出力を順次測定するように構成されたロジックを含むことができる。
【0052】
ブロック906で実施されるロジックは、ブロック910で実施されるロジックをさらに含み得る。ブロック910は、前記予め定められたレベルの光出力を維持するべく、前記複数の照明源のうちの1以上の照明源の劣化を補償するように構成されたロジックを含むことができる。前記複数の照明源のうちの1以上の照明源の劣化を補償するように構成された前記ロジックは、ブロック912に示すように、前記光出力を増加させるべく前記複数の照明源へ印加する電流を増加させるように構成されたロジック、または、前記光出力を増加させるべくアクティブな照明源の数を増加させるように構成されたロジックのうちの少なくとも1つのロジックを含む。
【0053】
ブロック914は、前記複数の照明源の第1のセットをアクティブな状態に維持するように構成されたロジックと、前記複数の照明源の第2のセットを非アクティブな状態に維持するように構成されたロジックと、前記複数の照明源の前記第1のセットにおける少なくとも1つの故障した照明源を補償するべく、前記複数の照明源の前記第2のセットのうちの少なくとも1つの照明源を前記複数の照明源の前記第1のセットへ転換するように構成されたロジックとを含む。
【0054】
ブロック916は、前記複数の照明源における少なくとも1つの故障した照明源を検出するように構成されたロジックと、前記少なくとも1つの故障した照明源に取って代わるべく、前記複数の照明源における少なくとも1つの故障していない照明源を制御するように構成されたロジックとを含む。ブロック918は、前記照明システムの寿命を前記複数の照明源のパラメータに基づいて予測するように構成されたロジック、及び前記複数の照明源の定期メンテナンスを品質管理スケジュールに従って実行するように構成されたロジックを含む。
【0055】
上記の説明では、明確にするために、様々な機能ユニット及びプロセッサに関連して、本発明のいくつかの態様を説明したことが理解されるであろう。しかしながら、様々な機能ユニットまたはプロセッサ間の機能の任意の適切な分配も、本発明から逸脱することなく用いることができることは明らかであろう。例えば、別々のプロセッサまたは制御装置により実行されるように説明された機能は、同じプロセッサまたは制御装置によって実行してもよい。従って、特定の機能ユニットへの言及は、厳密なロジック的または物理的構造または構成ではなく、説明された機能を提供するための適切な手段への言及と見なされる。
【0056】
本開示の方法およびシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせを含む、任意の適切な形態で実施することができる。本発明は、任意選択で、1以上のデータプロセッサ及び/またはデジタル信号プロセッサ上で実行するコンピュータソフトウェアとして部分的に実施してもよい。本発明の実施形態の構成要素および部品は、任意の適切な方法で、機能的、物理的に、及びロジック的に実施してもよい。実際には、前記機能は、単一のユニット、複数のユニット、または他の機能ユニットの一部として実施することができる。このように、本発明は、単一のユニットで実施してもよいし、物理的及び機能的に異なるユニット及びプロセッサ間に分散させてもよい。
【0057】
同一の基礎となる根底メカニズム及び方法論を依然として用いながら、様々な可能な修正及び開示したいくつかの態様の組み合わせを用いることができることは、当業者であれば認識できるであろう。前述の説明は、説明目的のために、いくつかの特定の態様に関連して書かれている。しかしながら、上記の例示的な議論は、包括的であることまたは開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、様々な修正及び変形が可能である。本発明の原理及びその実際的な適用を説明するために、及び、当業者が本発明及び様々な態様を、考えられる特定の使用に適するように、様々な変形例に最適に用いることを可能にするために、いくつかの態様を選択して説明した。
図1
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図9