(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に原料粒子が導入される炉心管と、該炉心管内部で前記原料粒子に接触しながら運動することで前記原料粒子を攪拌する攪拌羽と、前記炉心管の内部に有機物ガスを導入するガス導入管とを具備し、前記炉芯管内部に導入された前記原料粒子を、前記炉心管の中心軸に平行な方向に前記炉心管内部の中心軸の長さの30%以上99%以下の範囲の長さを有する攪拌部を具備する前記攪拌羽によって攪拌しながら、前記ガス導入管により前記炉心管の内部に有機物ガスを導入し、600℃以上1300℃以下の温度下で化学蒸着することにより、前記原料粒子に炭素被膜を被覆する炭素被覆処理装置であって、
前記攪拌羽は、回転運動するものであり、前記攪拌羽の回転数は、10rpm以上1000rpm以下であって、
前記攪拌羽のうち、前記炉心管の内部に位置する部分の時間平均の体積V1と、前記炉心管の内径をRとした場合の、前記炉心管の中心軸からの距離がR/10以内である円柱領域を前記炉心管の内部から除いた領域内に位置する前記攪拌羽の部分の時間平均の体積V2との比が、V2/V1≧0.1の関係を満たすものであることを特徴とする炭素被覆処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献8のように、粒子に炭素被膜を形成する場合、高い生産性で、均一な炭素被膜を原料粒子の表面に十分に被覆可能な方法は確立されていなかった。
【0009】
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、均一な炭素被膜を原料粒子に十分に被覆可能で、炭素被膜を有する粒子を生産性良く製造することが可能な炭素被覆処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、内部に原料粒子が導入される炉心管と、該炉心管内部で前記原料粒子に接触しながら運動することで前記原料粒子を攪拌する攪拌羽と、前記炉心管の内部に有機物ガスを導入するガス導入管とを具備し、前記炉芯管内部に導入された前記原料粒子を前記攪拌羽によって攪拌しながら、前記ガス導入管により前記炉心管の内部に前記有機物ガスを導入し、前記原料粒子に炭素被膜を被覆する炭素被覆処理装置であって、前記攪拌羽のうち、前記炉心管の内部に位置する部分の時間平均の体積V
1と、前記炉心管の内径をRとした場合の、前記炉心管の中心軸からの距離がR/10以内である円柱領域を前記炉心管の内部から除いた領域内に位置する前記攪拌羽の部分の時間平均の体積V
2との比が、V
2/V
1≧0.1の関係を満たすものであることを特徴とする炭素被覆処理装置を提供する。
【0011】
このように、攪拌羽を有する炭素被覆処理装置は、攪拌羽を有していない静置型の装置と比較し、均一な被膜を形成することができ、また有機物ガスのカーボン転化率も向上する。さらに、V
2/V
1≧0.1の関係を満たすように運動する攪拌羽を具備していれば、撹拌羽への原料粒子の付着を抑制することで原料粒子の凝集を抑制し、原料粒子の表面全体に炭素被膜を被覆できるため、炭素被覆処理を生産性良く実施することができるとともに、より均一な炭素被膜を原料粒子に被覆することが可能である。
【0012】
このとき、前記V
1とV
2の比が、V
2/V
1≧0.3の関係を満たすものであることが好ましい。
【0013】
このようなものであれば、撹拌羽への原料粒子の付着を顕著に抑制することができるため、原料粒子にさらに均一な炭素被膜を被覆することが可能な炭素被覆処理装置となる。
【0014】
またこのとき、前記攪拌羽の攪拌部が、前記炉心管の中心軸に平行な方向に、前記炉心管内部の中心軸の長さの30%以上99%以下の範囲の長さを有するものであることが好ましい。
【0015】
このような範囲で撹拌部が存在することで、原料粒子の撹拌が炉心管内の広域で行われ、原料粒子の表面全体を効率的かつ均一に炭素被覆することができる。
【0016】
このとき、前記攪拌羽は、回転運動するものであることが好ましい。
【0017】
このような攪拌羽であれば、炉心管内部の原料粒子をより均一に攪拌できる。
【0018】
またこのとき、前記攪拌羽の回転数は、10rpm以上1000rpm以下であることが好ましい。
【0019】
このような回転数で攪拌羽が運動することで、原料粒子の撹拌が良好に行われ、その表面全体を効率的かつ均一に炭素被覆することができる。
【0020】
また、本発明は、上記目的を達成するために、前記原料粒子として、Si及びGeのうち一種以上の元素を含有する粒子を準備し、上記のいずれかの炭素被覆処理装置を用いて、前記原料粒子の表面に炭素被膜を被覆して、非水電解質二次電池用負極活物質を製造することを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法を提供する。
【0021】
炭素被覆処理においては、特に上記のような元素を含む原料粒子が撹拌羽へ付着し易く、所望の炭素被膜を持つ粒子の回収率が低下し易かったが、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法のように、本発明の炭素被覆処理装置を使用すれば、撹拌羽への原料粒子の付着を少なく抑えることができ、市場の要求する特性レベルを満たした負極活物質を低コストに製造できる。
【0022】
このとき、前記原料粒子は、一般式SiO
x(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素を含有する粒子を含むことが好ましい。
【0023】
このような原料粒子を使用して非水電解質二次電池用負極活物質を製造すれば、充放電容量をより向上できる負極活物質が製造できる。また、上記のような酸化珪素を含む原料粒子に炭素を被覆する際には、本発明の製造方法を使用することがより効果的である
【0024】
またこのとき、前記原料粒子の表面に、前記有機物ガス中で、600℃以上1300℃以下で化学蒸着することにより、炭素被膜で被覆することが好ましい。
【0025】
処理温度が600℃以上であれば、効率的に炭素被覆が行われ、処理時間も短時間にできるため生産性が良い。また、処理温度が1300℃以下であれば、化学蒸着処理により粒子同士が融着、凝集を起こすことがなく、原料粒子の全面に炭素被膜が均一に形成されるので、良好なサイクル性能を有する負極活物質が得られる。また、原料粒子が珪素を含有する粒子の場合には、珪素を含有する粒子中の珪素微粒子の意図しない結晶化が進み難く、リチウムイオン二次電池の負極活物質として用いた場合の充電時の膨張を小さく抑えられる。
【0026】
また、本発明は、上記目的を達成するために、上記のいずれかの非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法により製造したものであることを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質を提供する。
【0027】
本発明の製造方法により製造された非水電解質二次電池用負極活物質は、安価に導電性を適切に付与されたものとなる。
【0028】
さらに、本発明は、上記の非水電解質二次電池用負極活物質を含むものであることを特徴とするリチウムイオン二次電池を提供する。
【0029】
このように本発明の非水電解質二次電池用負極活物質を使用したものであれば、低コストで高品質のリチウムイオン二次電池となる。
【0030】
さらに、本発明は、上記の非水電解質二次電池用負極活物質を含むものであることを特徴とする電気化学キャパシタを提供する。
【0031】
このように本発明の非水電解質二次電池用負極活物質を使用したものであれば、低コストで高品質の電気化学キャパシタとなる。
【0032】
また、本発明は上記目的を達成するために、非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法であって、一般式SiO
x(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素を含有する粒子を含む原料粒子を炉芯管の内部に導入する導入工程と、前記炉心管内部に導入した前記原料粒子を、前記炉心管の中心軸に平行な方向に前記炉心管内部の中心軸の長さの30%以上99%以下の範囲の長さを有する攪拌部を具備する攪拌羽を使用して攪拌しながら、前記炉心管の内部に有機物ガスを導入し、600℃以上1300℃以下の温度下で化学蒸着することにより、前記原料粒子の表面に炭素被膜を被覆する被覆工程を有し、該被覆工程において、前記攪拌羽のうち、前記炉心管の内部に位置する部分の時間平均の体積V
1と、前記炉心管の内径をRとした場合の、前記炉心管の中心軸からの距離がR/10以内である円柱領域を前記炉心管の内部から除いた領域内に位置する前記攪拌羽の部分の時間平均の体積V
2との比が、V
2/V
1≧0.1の関係を満たすように前記攪拌羽を運動させて前記原料粒子を攪拌しながら前記原料粒子の表面に前記炭素被膜を被覆して、非水電解質二次電池用負極活物質を製造することを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法を提供する。
【0033】
このように、攪拌羽をV
2/V
1≧0.1になるように運動させれば、炭素被覆処理を生産性良く実施することができるとともに、より均一な炭素被膜を原料粒子に被覆できる。また、上記のような攪拌部の長さであれば、原料粒子の撹拌が炉心管内の広域で行われる。また、化学蒸着における処理温度が600℃以上であれば、効率的に炭素被覆できる。また、処理温度が1300℃以下であれば、化学蒸着処理により粒子同士が融着、凝集を起こすことがない。さらに、処理温度が1300℃以下であれば、珪素を含有する粒子中の珪素微粒子の意図しない結晶化が進み難い。
【発明の効果】
【0034】
本発明の炭素被覆処理装置は、所望の品質の炭素被膜を有する粒子を多量に製造することが可能である。また、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法は、原料粒子の表面上に高品質の炭素被膜を被覆できるので活物質の導電性を向上させることができ、市場の要求する特性レベルを満たした負極活物質を低コストに量産できる。また、本発明の負極活物質は、高品質の炭素被膜を形成したものであるので良好な導電性を有している。この本発明の負極活物質を用いて、本発明のリチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタを作製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
図1は、本発明の炭素被覆処理装置の一例を示す概略図である。
図1に示すように、炭素被覆処理装置1は、主に、内部に原料粒子が導入される炉心管2、炉心管2の内部で原料粒子に接触しながら運動することで原料粒子を攪拌する攪拌羽3、炉心管2の内部に炭素被膜源となる有機物ガスを導入するガス導入管4、炉心管2内部から排気するための排気口5、炉心管2を加熱し炉心管2の内部を昇温するヒーター6等を具備している。また、上記の炉心管2、ヒーター6等はチャンバー8の内部に収容されている。
【0038】
このような炭素被覆処理装置1は、炉芯管2の内部に導入された原料粒子を攪拌羽3によって攪拌しながら、ガス導入管4から炉心管2の内部に有機物ガスを導入し、排気口5からの排気量を調整しながら、ヒーター6で炉心管2内の温度を所定の温度まで昇温・保持することで、原料粒子の表面に炭素被膜を被覆することができる。
【0039】
そして、本発明の炭素被覆処理装置1は、原料粒子を攪拌する際に、攪拌羽3のうち、炉心管2の内部に位置する部分の時間平均の体積V
1と、炉心管2の内径をRとした場合の、炉心管2の中心軸からの距離がR/10以内である円柱領域を炉心管2の内部から除いた領域内に位置する攪拌羽3の部分の時間平均の体積V
2との比が、V
2/V
1≧0.1の関係を満たすものである。
【0040】
ここで
図2に、本発明の炭素被覆処理装置における、炉心管2の内径をRとした場合の、炉心管2の中心軸からの距離がR/10以内である円柱領域を炉心管2の内部から除いた領域の概略を図示した。なお、
図2は、炉心管を円筒形状とし、その内径は上記のようにR、高さをLとした場合を図示している。
【0041】
まず、炉心管2の中心軸からの距離がR/10以内である円柱領域とは、
図2に示すように、炉心管2の内部における、炉心管2の中心軸Cからの距離がR/10以内である円柱領域Aである。なお、円柱領域Aの高さはLに等しい。そして、この円柱領域Aを炉心管2の内部から除いた領域とは、この場合、
図2に示すように、底面の直径がR、高さがLの円柱領域Bから円柱領域Aを除いた領域である。
【0042】
本発明では、原料粒子の攪拌の際に、上記のような円柱領域Bから円柱領域Aを除いた領域内に位置する攪拌羽3の部分の時間平均の体積をV
2と定義している。攪拌羽3の時間平均の体積V
2とは、原料粒子の攪拌の際に円柱領域Bから円柱領域Aを除いた領域内に位置する攪拌羽3の部分が占める体積V
2が、時間経過に従って変化することがあるので、その変化するV
2の平均をとったものである。なお、本発明でいう、攪拌羽3の炉心管2内部に位置する部分の時間平均の体積V
1とは、原料粒子の攪拌の際に炉心管2内部に位置する攪拌羽3の部分が占める体積V
1が、時間経過に従って変化することがあるので、その変化するV
1の平均をとったものである。
【0043】
本発明は、このように定義した時間平均の体積V
1と時間平均の体積V
2の比が、V
2/V
1≧0.1の関係を満たすものである。また、時間平均の体積V
1と時間平均の体積V
2の比が、V
2/V
1≧0.3の関係を満たすものであることがより好ましい。このようなものであれば、撹拌羽3への原料粒子の付着を抑制することができるため、炭素被覆処理を生産性良く実施することができるとともに、より均一な炭素被膜を原料粒子に被覆することが可能である。そして、このような撹拌羽3への原料粒子の付着を抑制することで原料粒子の凝集を抑制し、原料粒子の全面に炭素被膜を被覆でき、有機物ガスのカーボン転化率が高まるため、所望の炭素被膜を効率的に形成し生産性を向上させることが可能である。
【0044】
ここで本発明の炭素被覆処理装置1において、攪拌羽3の攪拌部7が、炉心管の中心軸Cに平行な方向に、炉心管内2部の中心軸Cの長さの30%以上99%以下の範囲の長さを有するものであることが好ましい。ここでいう攪拌部7とは、原料粒子の攪拌に直接寄与する攪拌羽3の部分のことである。
図1を参照して説明すると、炉心管2の内部に位置する攪拌部7の炉心管の中心軸Cに平行な方向の長さdが、炉心管2内部の中心軸Cの長さd
cの30%以上99%以下の範囲の長さであることが好ましい。すなわち、dは0.3d
c≦d≦0.99d
cを満たすことが好ましい。このようなものであれば、原料粒子の撹拌が炉心管2内の広い領域で行われ、原料粒子の表面全体を効率的かつ均一に炭素被覆することができる。
【0045】
また本発明の炭素被覆処理装置において、攪拌羽3は、回転運動するものであることが好ましい。さらに、攪拌羽の回転数は、10rpm以上1000rpm以下であることが好ましい。このような攪拌羽であれば、炉心管内部の原料粒子をより均一に攪拌できる。さらに、上記のような範囲内の回転数で攪拌羽が運動することで、原料粒子の撹拌が良好に行われ、また、攪拌羽3により炭素被膜が破壊され難いため、原料粒子の表面全体を効率的かつ均一に被覆することができる。
【0046】
また、攪拌羽3の攪拌部7の形状は、特に限定されることは無いが、例えば
図3の(a)〜(e)にそれぞれ示すような形状にできる。
【0047】
図3の(a)では、攪拌部7を格子型としている。
図3の(b)では、攪拌部7を、ジェット型としている。なお、ここでいうジェット型とは、
図3の(b)に示すように、芯棒部から複数の攪拌用の棒が延伸している形状である。また、
図3の(a)、(b)のように、攪拌部7を一個(一軸)としても良いし、
図3の(c)〜(e)のように攪拌部7を二個(二軸)としても良い。また、
図3の(e)のように、上記の格子型とジェット型を組み合わせたジェット/格子合体型としても良い。
【0048】
[非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法]
続いて、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法について説明する。本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法では、上記のような本発明の炭素被覆処理装置1を用いることができる。以下では、
図1に示した炭素被覆処理装置1を参照して説明する。
【0049】
まず、炭素被覆する対象となる原料粒子として、Si及びGeのうち一種以上の元素を含有する粒子を準備することができる。本発明の炭素被覆処理装置1はSi及びGeを含まない原料粒子に炭素被覆することもできるが、Si及びGeのうち少なくともいずれかを含む粒子に対して炭素被覆する場合に特に好適である。炭素被覆処理においては、炭素系活物質等の滑りが良い原料粒子は撹拌羽へ比較的付着難いが、一方で、特にSi及びGeのような元素を含む原料粒子は撹拌羽へ付着し易く、所望の炭素被膜を持つ粒子の回収率が低下し易かった。しかしながら、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法のように、本発明の炭素被覆処理装置を使用すれば、撹拌羽への原料粒子の付着を少なく抑えることができ、市場の要求する特性レベルを満たした負極活物質を低コストに製造できる。
【0050】
Si元素を含有する粒子としては、特に、Si(金属珪素)、珪素(Si)と二酸化珪素(SiO
2)との複合分散体、SiO
x(0.5≦x<1.6、特に1.0≦x<1.3)といった酸化珪素、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した微細な構造(複合構造)を有する粒子、珪素低級酸化物(いわゆる酸化珪素)等の珪素系物質が使用できる。原料粒子は、Siを含有する粒子として、一般式SiO
x(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素を含有する粒子を含んでいることが特に好ましい。
【0051】
原料粒子としては、上記のようなSiを含有する粒子の他に、下記式M1O
a(式中、M1はGe、Sn、Pb、Bi、Sb、Zn、In、Mgから選ばれる少なくとも1種であり、a=0.1〜4の正数である。)で表される珪素を含まない金属酸化物、もしくは、下記式LiM2
bO
c(式中、M2はGe、Sn、Pb、Bi、Sb、Zn、In、Mg、Siから選ばれる少なくとも1種であり、b=0.1〜4の正数、c=0.1〜8の正数である。)で表される(珪素を含んだものであってもよい)リチウム複合酸化物を準備することもできる。具体的には、GeO、GeO
2、SnO、SnO
2、Sn
2O
3、Bi
2O
3、Bi
2O
5、Sb
2O
3、Sb
2O
4、Sb
2O
5、ZnO、In
2O、InO、In
2O
3、MgO、Li
2SiO
3、Li
4SiO
4、Li
2Si
3O
7、Li
2Si
2O
5、Li
8SiO
6、Li
6Si
2O
7、Li
4Ge
9O
7、Li
4Ge
9O
2、Li
5Ge
8O
19、Li
4Ge
5O
12、Li
5Ge
2O
7、Li
4GeO
4、Li
2Ge
7O
15、Li
2GeO
3、Li
2Ge
4O
9、Li
2SnO
3、Li
8SnO
6、Li
2PbO
3、Li
7SbO
5、LiSbO
3、Li
3SbO
4、Li
3BiO
5、Li
6BiO
6、LiBiO
2、Li
4Bi
6O
11、Li
6ZnO
4、Li
4ZnO
3、Li
2ZnO
2、LiInO
2、Li
3InO
3、又はこれらの非量論的化合物等が挙げられる。
【0052】
特に、理論充放電容量の大きなSi、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合構造を有する粒子、酸化珪素のいずれか、又はこれらのうち2以上の混合物を用いた場合に、充放電容量をより向上でき、さらには本発明の製造方法が効果的に使用できる。
【0053】
この場合、Siの粒子や、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合構造を有する粒子等のSi元素を含有する粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、0.01μm以上50μm以下とすることができ、0.1μm以上20μm以下がより好ましく、0.5μm以上15μm以下がさらに好ましい。平均粒子径が0.01μm以上であれば、表面積が大きくなり過ぎないため、表面酸化の影響を受け難いので純度を高く保つことができ、非水電解質二次電池の負極活物質として用いた場合、高い充放電容量を維持できる。また、平均粒子径が0.01μm以上であれば、嵩密度も大きくすることができ、単位体積あたりの充放電容量を大きくすることができる。平均粒子径が50μm以下であれば、電極作製時に、非水電解質二次電池負極活物質を混合したスラリーが、例えば集電体等に塗布しやすいものとなる。なお、平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における体積平均粒子径で表すことができる。
【0054】
また、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合構造を有する粒子において、珪素系化合物については、不活性なものが好ましく、製造しやすさの点において二酸化珪素が好ましい。また、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合構造を有する粒子は下記に記す性状(i)、(ii)を有していることが好ましい。
【0055】
(i) 銅を対陰極としたX線回折(Cu−Kα)において、2θ=28.4°付近を中心としたSi(111)に帰属される回折ピークが観察され、その回折線の広がりをもとに、シェーラーの式によって求めた珪素の微粒子(結晶)の粒子径が、好ましくは1〜500nm、より好ましくは2〜200nm、更に好ましくは2〜20nmである。珪素の微粒子の大きさが1nm以上であれば、充放電容量を高く維持できるし、逆に500nm以下であれば充放電時の膨張収縮が小さくなり、サイクル性が向上する。なお、珪素の微粒子の大きさは透過型電子顕微鏡写真により測定することもできる。
【0056】
(ii) 固体NMR(
29Si−DDMAS)測定において、そのスペクトルが−110ppm付近を中心とするブロードな二酸化珪素のピークとともに、−84ppm付近にダイヤモンド型結晶構造の特徴であるピークが存在する。なお、このスペクトルは、通常の酸化珪素(SiOx:x=1.0+α)とは全く異なるもので、構造そのものが明らかに異なっているものである。また、透過電子顕微鏡によって、Siの結晶が無定形の二酸化珪素に分散していることが確認される。この珪素/二酸化珪素分散体(Si/SiO
2)中における珪素微粒子(Si)の分散量は、2質量%以上36質量%以下、特に10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。この分散珪素量が2質量%以上であれば、高い充放電容量を維持でき、36質量%以下であると良好なサイクル性が得られる。尚、固体NMR測定における化学シフトの基準物質は、測定温度で固体であるヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いる。
【0057】
なお、上記珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合構造を有する粒子(珪素複合体粉末)は、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子であり、上記した好ましい平均粒子径0.01μm以上50μm以下を有するものであれば、その製造方法は特に限定されるものではないが、下記の方法を好適に採用することができる。
【0058】
例えば、一般式SiO
x(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素の粒子(粉末)を、不活性ガス雰囲気下、900℃以上1400℃以下の温度域で熱処理を施して不均化する方法を好適に採用できる。
【0059】
なお、この場合の酸化珪素とは、通常、二酸化珪素と金属珪素との混合物を加熱して生成した一酸化珪素ガスを冷却・析出して得られた非晶質の珪素酸化物の総称である。酸化珪素粉末は一般式SiOxで表され、平均粒子径の下限は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.5μm以上である。平均粒子径の上限は、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下である。BET比表面積は、好ましくは0.1m
2/g以上、より好ましくは0.2m
2/g以上で、上限として好ましくは30m
2/g以下、より好ましくは20m
2/g以下である。xの範囲は0.5≦x<1.6であり、より好ましくは0.8≦x<1.3、更に好ましくは0.8≦x≦1.0であることが望ましい。
【0060】
酸化珪素粉末の平均粒子径及びBET比表面積が上記範囲内であれば、所望の平均粒子径及びBET比表面積を有する珪素複合体粉末を得ることが容易である。また、xの値が0.5以上のSiOx粉末はサイクル特性が良好であり、xの値が1.6未満のものは、熱処理による不均化反応を行った際に、不活性なSiO
2の割合が小さくなるため、リチウムイオン二次電池に使用した場合、高い充放電容量を有するものとなる。
【0061】
また、酸化珪素の不均化において、熱処理温度が900℃以上であれば、不均化が効率よく進行するし、Siの微細なセル(珪素の微結晶)の形成を短時間で行えるので、効率的である。また熱処理温度が1400℃以下であれば、酸化珪素中の二酸化珪素部の構造化が進みにくく、リチウムイオンの往来が阻害されることがないので、リチウムイオン二次電池としての機能が低下するおそれがない。また、より好ましい熱処理温度は1000℃以上1300℃以下、特に1000℃以上1200℃以下である。
【0062】
上記不均化処理は、加熱機構を有する反応装置を用いて不活性ガス雰囲気で行うことができ、反応装置としては特に限定されず、連続法、回分法での処理が可能な炉で、具体的には流動層反応炉、回転炉、竪型移動層反応炉、トンネル炉、バッチ炉、ロータリーキルン等をその目的に応じて適宜選択することができる。この場合、不均化処理ガスとしては、Ar、He、H
2、N
2等の上記処理温度にて不活性なガス単独もしくはそれらの混合ガスを用いることができる。不均化処理は、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法において炭素被膜の被覆と同時に行っても良い。不均化処理と炭素被膜の被覆を同時に行う場合、本発明の炭素被覆処理装置等を適宜使用することができる。以上のようなものを原料粒子として準備できるが、もちろん原料粒子はこれらの物質のみに限定されることは無い。
【0063】
続いて、原料粒子に、
図1のような本発明の炭素被覆処理装置1を用いて炭素被膜を被覆することができる。
【0064】
この際、原料粒子の表面に、有機物ガス中で、600℃以上1300℃以下で化学蒸着することにより、炭素被膜で被覆することが好ましい。さらに、この化学蒸着時の処理温度を900℃以上1100℃以下とすることがより好ましい。
【0065】
処理温度が600℃以上であれば、効率的に炭素被覆が行われ、処理時間も短時間にできるため生産性が良い。また、処理温度が1300℃以下であれば、化学蒸着処理により粒子同士が融着、凝集を起こすことがなく、原料粒子の全面に炭素被膜が均一に形成されるので、良好なサイクル性能を有する負極活物質が得られる。また、原料粒子が珪素を含有する粒子の場合には、珪素を含有する粒子中の珪素微粒子の意図しない結晶化が進み難く、リチウムイオン二次電池の負極活物質として用いた場合の充電時の膨張を小さく抑えられる。ここで、処理温度とは炭素被覆処理装置内における最高設定温度のことで、
図1に示す本発明の炭素被覆処理装置1のような攪拌羽3を有する流動層の場合、炉心管2の中央部の温度が該当することが多い。
【0066】
なお、処理時間は目的とする炭素被覆量、処理温度、有機物ガスの濃度(流速)や有機物ガスの導入量等によって適宜選定されるが、通常、最高温度域での滞留時間として1〜20時間、特に2〜10時間が経済的にも効率的である。
【0067】
本発明において炉心管2内へ供給する有機物ガスを発生する原料として用いられる有機物としては、特に非酸性雰囲気下において、上記熱処理温度で熱分解して炭素を生成し得るものを選択できる。例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン、ペンタン、イソブタン、ヘキサン等の炭化水素の単独もしくは混合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、ナフタレン、フェノール、クレゾール、ニトロベンゼン、クロルベンゼン、インデン、クマロン、ピリジン、アントラセン、フェナントレン等の1環から3環の芳香族炭化水素又はこれらの混合物が挙げられる。また、タール蒸留工程で得られるガス軽油、クレオソート油、アントラセン油、ナフサ分解タール油又はこれらの混合物も用いることができる。
【0068】
次に本発明の製造方法により、原料粒子の表面に炭素被膜の被覆を施すことで作製した負極活物質の物性について説明する。負極活物質の炭素被覆量は特に限定されるものではないが、原料粒子と炭素被膜の合計に対し0.3質量%以上40質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは2質量%以上20質量%以下である。炭素被覆量が0.3質量%以上であれば、十分な導電性を維持でき、非水電解質二次電池に用いた場合にサイクル性が良好なものとなる。炭素被覆量が40質量%以下であれば、負極材料に占める炭素の割合が適量となる。これを、特に一般式SiO
x(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素の粒子等のケイ素を含有する粒子を原料粒子として作製した負極活物質を非水電解質二次電池に用いた場合、高い充放電容量を得られる。
【0069】
また、負極活物質の炭素被膜の被覆率、すなわち負極活物質の表面に占める炭素被膜の割合は、以下のようなラマンスペクトル分析を用いて評価できる。例えば、原料粒子として珪素化合物を使用した場合を例に説明する。顕微ラマン分析(即ち、ラマンスペクトル分析)で得られるラマンスペクトルにより、原料粒子表面の珪素に由来する部分とグラファイト構造を有する炭素材の部分の比率を求めることができる。即ち、珪素はラマンシフトが500cm
−1付近にピーク、グラファイトはラマンシフトが1580cm
−1付近に鋭いピークを示し、これらのピークの強度比I
500/I
1580により簡易的に炭素被膜による被覆率に対応した値を得ることができる。この場合、強度比I
500/I
1580は1.3以下であることが好ましく、1.0以下であることが好ましい。強度比I
500/I
1580が1.3以下である場合、炭素被膜による原料粒子の表面の被覆が十分であると言え、良好な初回効率及び容量維持率が得られる。
【0070】
また、本発明の非水電解質二次電池負極活物質を用いて、高品質で低コストのリチウムイオン二次電池や電気化学キャパシタを製造することができる。例えばリチウムイオン二次電池は、上記負極活物質を用いる点に特徴を有し、負極に用いるその他の材料や、正極、電解質、セパレータなどの材料及び電池形状などは限定されない。例えば、正極活物質としてはLiCoO
2、LiNiO
2、LiMn
2O
4、V
2O
5、MnO
2、TiS
2、MoS
2などの遷移金属の酸化物及びカルコゲン化合物などを用いることができる。電解質としては、例えば、過塩素酸リチウムなどのリチウム塩を含む非水溶液が用いることができ、非水溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン等又はこれらのうち2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、それ以外の種々の非水系電解質や固体電解質も使用できる。
【0071】
なお、本発明で製造した非水電解質二次電池用負極活物質を用いて負極を作製する場合、負極活物質に黒鉛等の導電剤を添加することができる。この場合においても導電剤の種類は特に限定されず、構成された電池において、分解や変質を起こさない電子伝導性の材料であればよく、具体的にはAl、Ti、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、Sn、Si等の金属粉末や金属繊維又は天然黒鉛、人造黒鉛、各種のコークス粉末、メソフェーズ炭素、気相成長炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、各種の樹脂焼成体等の黒鉛を用いることができる。
【0072】
[負極の製造方法]
負極の製造方法としては、具体的には、上記炭素被膜を形成した粒子と必要に応じて炭素系活物質等を混合するとともに、これらの負極活物質粒子とバインダー(負極結着剤)、導電助剤など他の材料とを混合し負極合剤としたのち、有機溶剤又は水などを加えてスラリーとする。
【0073】
次に、負極集電体の表面に、この負極合剤のスラリーを塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成する。この時、必要に応じて加熱プレスなどを行っても良い。このように製造した負極の一例を
図4に示す。
図4に示す負極40では、負極集電体41の両面に負極活物質層42が形成されている。負極活物質層42は、負極集電体41の片面のみに形成しても良い。
【0074】
<リチウムイオン二次電池>
次に、上記した本発明の負極を用いた非水電解質二次電池の具体例として、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池について説明する。
【0075】
[ラミネートフィルム型リチウムイオン二次電池の構成]
図5に示すラミネートフィルム型二次電池50は、主にシート状の外装部材55の内部に倦回電極体51が収納されたものである。この倦回体は正極、負極間にセパレータを有し、倦回されたものである。また正極、負極間にセパレータを有し積層体を収納した場合も存在する。どちらの電極体においても、正極に正極リード52が取り付けられ、負極に負極リード53が取り付けられている。電極体の最外周部は保護テープにより保護されている。
【0076】
正負極リードは、例えば、外装部材55の内部から外部に向かって一方向で導出されている。正極リード52は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成され、負極リード53は、例えば、ニッケル、銅などの導電性材料により形成される。
【0077】
外装部材55は、例えば、融着層、金属層、表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムであり、このラミネートフィルムは融着層が電極体51と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外周縁部同士が融着、又は、接着剤などで張り合わされている。融着部は、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどのフィルムであり、金属部はアルミ箔などである。保護層は例えば、ナイロンなどである。
【0078】
外装部材55と正負極リードとの間には、外気侵入防止のため密着フィルム54が挿入されている。この材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン樹脂である。
【0079】
[正極]
正極は、例えば、負極と同様に、正極集電体の両面又は片面に正極活物質層を有している。
【0080】
正極集電体は、例えば、アルミニウムなどの導電性材により形成されている。
【0081】
正極活物質層は、リチウムイオンの吸蔵放出可能な正極材のいずれか1種又は2種以上を含んでおり、設計に応じて正極結着剤、正極導電助剤、分散剤などの他の材料を含んでいても良い。
【0082】
正極材料としては、リチウム含有化合物が望ましい。このリチウム含有化合物は、例えばリチウムと遷移金属元素からなる複合酸化物、又はリチウムと遷移金属元素を有するリン酸化合物があげられる。これら記述される正極材の中でもニッケル、鉄、マンガン、コバルトの少なくとも1種以上を有する化合物が好ましい。これらの化学式として、例えば、Li
xM
11O
2あるいはLi
yM
12PO
4で表される。式中、M
11、M
12は少なくとも1種以上の遷移金属元素を示す。x、yの値は電池充放電状態によって異なる値を示すが、一般的に0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10で示される。
【0083】
リチウムと遷移金属元素とを有する複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(Li
xCoO
2)、リチウムニッケル複合酸化物(Li
xNiO
2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物などが挙げられる。リチウムニッケルコバルト複合酸化物としては、例えばリチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物(NCA)やリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(NCM)などが挙げられる。
【0084】
リチウムと遷移金属元素とを有するリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO
4)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe
1−uMn
uPO
4(0<u<1))などが挙げられる。これらの正極材を用いれば、高い電池容量を得ることができるとともに、優れたサイクル特性も得ることができる。
【0085】
[負極]
負極は、リチウムイオン二次電池用負極と同様の構成を有し、例えば、集電体の両面に負極活物質層を有している。この負極は、正極活物質剤から得られる電気容量(電池としての充電容量)に対して、負極充電容量が大きくなることが好ましい。これにより、負極上でのリチウム金属の析出を抑制することができる。
【0086】
正極活物質層は、正極集電体の両面の一部に設けられており、同様に負極活物質層も負極集電体の両面の一部に設けられている。この場合、例えば、負極集電体上に設けられた負極活物質層は対向する正極活物質層が存在しない領域が設けられている。これは、安定した電池設計を行うためである。
【0087】
上記の負極活物質層と正極活物質層とが対向しない領域では、充放電の影響をほとんど受けることが無い。そのため、負極活物質層の状態が形成直後のまま維持され、これによって負極活物質の組成など、充放電の有無に依存せずに再現性良く組成などを正確に調べることができる。
【0088】
[セパレータ]
セパレータは正極、負極を隔離し、両極接触に伴う電流短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば合成樹脂、あるいはセラミックからなる多孔質膜により形成されており、2種以上の多孔質膜が積層された積層構造を有しても良い。合成樹脂として例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0089】
[電解液]
活物質層の少なくとも一部、又は、セパレータには、液状の電解質(電解液)が含浸されている。この電解液は、溶媒中に電解質塩が溶解されており、添加剤など他の材料を含んでいても良い。
【0090】
溶媒は、例えば、非水溶媒を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、1,2−ジメトキシエタン、又はテトラヒドロフランなどが挙げられる。この中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種以上を用いることが望ましい。より良い特性が得られるからである。またこの場合、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの高粘度溶媒と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒を組み合わせることにより、より優位な特性を得ることができる。これは、電解質塩の解離性やイオン移動度が向上するためである。
【0091】
合金系負極を用いる場合、特に溶媒としてハロゲン化鎖状炭酸エステル又はハロゲン化環状炭酸エステルのうち少なくとも1種を含んでいることが望ましい。これにより、充放電時、特に充電時において負極活物質表面に安定な被膜が形成されるからである。ハロゲン化鎖状炭酸エステルは、ハロゲンを構成元素として有する(少なくとも1つの水素がハロゲンにより置換された)鎖状炭酸エステルである。ハロゲン化環状炭酸エステルは、ハロゲンを構成元素として有する(少なくとも1つの水素がハロゲンにより置換された)環状炭酸エステルである。
【0092】
ハロゲンの種類は特に限定されないが、フッ素がより好ましい。他のハロゲンよりも良質な被膜を形成するからである。また、ハロゲン数は、多いほど望ましい。得られる被膜がより安定的であり、電解液の分解反応が低減されるからである。
【0093】
ハロゲン化鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ジフルオロメチルメチルなどがあげられる。ハロゲン化環状炭酸エステルとしては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。
【0094】
溶媒添加物として、不飽和炭素結合環状炭酸エステルを含んでいることが好ましい。充放電時に負極表面に安定な被膜が形成され、電解液の分解反応が抑制できるからである。不飽和炭素結合環状炭酸エステルとして、例えば炭酸ビニレン又は炭酸ビニルエチレンなどが挙げられる。
【0095】
また溶媒添加物として、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいることが好ましい。電池の化学的安定性が向上するからである。スルトンとしては、例えばプロパンスルトン、プロペンスルトンが挙げられる。
【0096】
さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性が向上するからである。酸無水物としては、例えば、プロパンジスルホン酸無水物が挙げられる。
【0097】
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種類以上含むことができる。リチウム塩として、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF
4)などが挙げられる。
【0098】
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.5mol/kg以上2.5mol/kg以下であることが好ましい。これは、高いイオン伝導性が得られるからである。
【0099】
[ラミネートフィルム型二次電池の製造方法]
【0100】
最初に上記した正極材を用い正極電極を作製する。まず、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤、正極導電助剤などを混合し正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させ正極合剤スラリーとする。続いて、ナイフロール又はダイヘッドを有するダイコーターなどのコーティング装置で正極集電体に合剤スラリーを塗布し、熱風乾燥させて正極活物質層を得る。最後に、ロールプレス機などで正極活物質層を圧縮成型する。この時、加熱しても良く、また圧縮を複数回繰り返しても良い。
【0101】
次に、上記したリチウムイオン二次電池用正極の作製と同様の作業手順を用い、負極集電体に負極活物質層を形成し負極を作製する。
【0102】
正極及び負極を作製する際に、正極及び負極集電体の両面にそれぞれの活物質層を形成する。この時、どちらの電極においても両面部の活物質塗布長がずれていても良い(
図4を参照)。
【0103】
続いて、電解液を調整する。続いて、超音波溶接などにより、正極集電体に正極リードを取り付けると共に、負極集電体に負極リードを取り付ける。続いて、正極と負極とをセパレータを介して積層、又は巻回させて巻回電極体を作製し、その最外周部に保護テープを接着させる。次に、扁平な形状となるように巻回体を成型する。続いて、折りたたんだフィルム状の外装部材の間に巻回電極体を挟み込んだ後、熱融着法により外装部材の絶縁部同士を接着させ、一方向のみ解放状態にて、巻回電極体を封入する。続いて、正極リード、及び負極リードと外装部材の間に密着フィルムを挿入する。続いて、解放部から上記調整した電解液を所定量投入し、真空含浸を行う。含浸後、解放部を真空熱融着法により接着させる。以上のようにして、ラミネートフィルム型二次電池を製造することができる。
【0104】
上記作製したラミネートフィルム型二次電池等の本発明の非水電解質二次電池において、充放電時の負極利用率が93%以上99%以下であることが好ましい。負極利用率を93%以上の範囲とすれば、初回充電効率が低下せず、電池容量の向上を大きくできる。また、負極利用率を99%以下の範囲とすれば、Liが析出してしまうことがなく安全性を確保できる。
【実施例】
【0105】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0106】
(実施例1−1)
原料粒子として平均粒子径5μmの一般式SiO
x(x=1.02)で表される酸化珪素粒子1000gを準備し、
図1に示す本発明の炭素被覆処理装置の炉心管に仕込んだ。ただし、攪拌羽は、
図3の(e)に示すようなジェット/格子合体型の二軸の撹拌部を有するものを使用した。この攪拌羽を200rpmで回転させながら、メタンガスと窒素ガスを体積比4:1で混合した有機物ガスを1NL/minのレートで炉心管内に導入し、昇温2時間、温度保持(保持温度は1018℃とした)8時間で化学蒸着を行った。この際、攪拌羽のうち、炉心管の内部に位置する部分の時間平均の体積V
1と、炉心管の中心軸からの距離がR/10以内である円柱領域を炉心管の内部から除いた領域内に位置する攪拌羽の部分の時間平均の体積V
2との比V
2/V
1は0.9であった。
【0107】
炉心管内部の温度を降温した後、目開き50μmの篩で分級し、炭素被膜付きの酸化珪素粉末を得た。この際、篩下に残った炭素被膜付きの酸化珪素粉末の質量を、炭素被膜形成前の原料粒子の仕込み重量で割った回収率を算出した。これにより、原料粒子のうち、炉心管の中で凝集を起こさず、所望の炭素被膜を形成できた粒子の割合を評価できる。さらに、篩下に残った炭素被膜付きの酸化珪素粉末の炭素被覆量(質量%)を算出した。回収率及び炭素被覆量を下記の表1に示す。
【0108】
次に、製造した炭素被膜付きの酸化珪素粉末を負極活物質として用いた場合の電池特性を評価するために、以下のようにリチウムイオン二次電池を作製した。
【0109】
最初に正極を作製した。正極活物質はコバルト酸リチウム(LiCoO
2)を95質量部と、正極導電助剤(アセチレンブラック)2.5質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン、PVDF)2.5質量部とを混合し正極合剤とした。続いて正極合剤を有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン、NMP)に分散させてペースト状のスラリーとした。続いてダイヘッドを有するコーティング装置で正極集電体の両面にスラリーを塗布し、熱風式乾燥装置で乾燥した。この時、正極集電体は厚み15μmのものを用いた。最後にロールプレスで圧縮成型を行った。
【0110】
次に負極を作製した。作製した珪素系活物質を負極活物質として用い、導電助剤(アセチレンブラック)、ポリアクリル酸を85:5:10の乾燥質量比で混合した後、純水で希釈し負極合剤スラリーとした。
【0111】
また、負極集電体としては、電解銅箔(厚さ15μm)を用いた。最後に、負極合剤のスラリーを負極集電体に塗布し真空雰囲気中で100℃×1時間の乾燥を行った。乾燥後の、負極の片面における単位面積あたりの負極活物質層の堆積量(面積密度とも称する)は3mg/cm
2であった。
【0112】
次に、溶媒(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC))、エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC))を混合したのち、電解質塩(六フッ化リン酸リチウム:LiPF
6)を溶解させて電解液を調製した。この場合には、溶媒の組成を体積比でFEC:EC:DMC=10:20:70とし、電解質塩の含有量を溶媒に対して1.2mol/kgとした。
【0113】
次に、以下のようにして二次電池を組み立てた。最初に、正極集電体の一端にアルミリードを超音波溶接し、負極集電体にはニッケルリードを溶接した。続いて、正極、セパレータ、負極、セパレータをこの順に積層し、長手方向に巻回させ巻回電極体を得た。その捲き終わり部分をPET保護テープで固定した。セパレータは多孔性ポリプロピレンを主成分とするフィルムにより多孔性ポリエチレンを主成分とするフィルムに挟まれた積層フィルム12μmを用いた。続いて、外装部材間に電極体を挟んだのち、一辺を除く外周縁部同士を熱融着し、内部に電極体を収納した。外装部材はナイロンフィルム、アルミ箔及び、ポリプロピレンフィルムが積層されたアルミラミネートフィルムを用いた。続いて、開口部から調整した電解液を注入し、真空雰囲気下で含浸した後、熱融着し封止した。
【0114】
続いて、このように作製した二次電池のサイクル特性及び初回効率を評価した。
【0115】
サイクル特性については、以下のようにして調べた。最初に、電池安定化のため25℃の雰囲気下、2サイクル充放電を行い、2サイクル目の放電容量を測定した。続いて、総サイクル数が50サイクルとなるまで充放電を行い、その都度放電容量を測定した。最後に、50サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で割り、容量維持率を算出した。なお、サイクル条件として、4.2Vに達するまで定電流密度、2.5mA/cm
2で充電し、電圧に達した段階で4.2V定電圧で電流密度が0.25mA/cm
2に達するまで充電した。また、放電時は2.5mA/cm
2の定電流密度で電圧が2.5Vに達するまで放電した。
【0116】
初回効率については、以下の式より算出した。
初回効率(%)=(初回放電容量/初回充電容量)×100
なお、雰囲気及び温度はサイクル特性を調べた場合と同様にし、充放電条件はサイクル特性の0.2倍で行った。すなわち、4.2Vに達するまで定電流密度、0.5mA/cm
2で充電し、電圧が4.2Vに達した段階で4.2V定電圧で電流密度が0.05mA/cm
2に達するまで充電し、放電時は0.5mA/cm
2の定電流密度で電圧が2.5Vに達するまで放電した。
【0117】
(実施例1−2〜実施例1−6)
攪拌羽の攪拌部の形状を
図3の(a)〜(d)のいずれかに示す形状に変更し、V
2/V
1の値を表1に示す値に変えたこと以外、実施例1−1と同様に炭素被膜付きの酸化珪素粉末を製造した。また、製造した炭素被膜付きの酸化珪素粉末について、実施例1−1と同様に回収率及び炭素被覆量を算出した。さらに、実施例1−1と同様に二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
【0118】
(比較例1−1)
攪拌羽を有していない従来の炭素被覆処理装置を用い、炭素被膜の被覆中に原料粒子の攪拌を行わなかったこと以外、実施例1−1と同様に炭素被膜付きの酸化珪素粉末を製造した。また、製造した炭素被膜付きの酸化珪素粉末について、実施例1−1と同様に回収率及び炭素被覆量を算出した。さらに、実施例1−1と同様に二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
【0119】
(比較例1−2)
V
2/V
1の値を0.05としたこと以外、実施例1−1と同様に炭素被膜付きの酸化珪素粉末を製造した。また、製造した炭素被膜付きの酸化珪素粉末について、実施例1−1と同様に回収率及び炭素被覆量を算出した。さらに、実施例1−1と同様に二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
【0120】
実施例1−1〜実施例1−6、比較例1−1、比較例1−2の結果を表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
表1からわかるように、V
2/V
1≧0.1の関係を満たす実施例1−1〜1−6は、比較例よりも回収率及び炭素被覆量が多くなり、電池特性も良好となることが分かった。また、一軸の撹拌羽よりも二軸の撹拌羽の方が、回収率が大幅に高く、所望の炭素被膜を形成できた粒子の割合が大きいことがわかった。一方で、比較例では、回収率及び炭素被覆率が極端に低く所望の炭素被膜を形成した粒子を量産できないことが分かった。
【0123】
(実施例2−1〜実施例2−7)
炉心管内の保持温度、すなわち化学蒸着時の処理温度を表2のように変更したこと以外、実施例1−1と同様に炭素被膜付きの酸化珪素粉末を製造した。また、製造した炭素被膜付きの酸化珪素粉末について、実施例1−1と同様に回収率及び炭素被覆量を算出した。さらに、実施例1−1と同様に二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
【0124】
実施例2−1〜実施例2−7の結果を表2に示す。
【0125】
【表2】
【0126】
化学蒸着の処理温度は600℃以上が好適であり、処理温度が高いほど有機物ガスが十分に分解され、原料粒子に十分な導電性の付与ができた。そのため、処理温度が高いほど電池初回効率が増加している。一方で、処理温度が1300℃以下であれば、意図しない酸化珪素の不均化が進むことが無いため、維持率を高く保つことができた。
【0127】
(実施例3−1〜実施例3−6)
攪拌羽の回転速度を表3のように変更したこと以外、実施例1−1と同様に炭素被膜付きの酸化珪素粉末を製造した。また、炭素被膜付きの酸化珪素粉末の炭素被膜の被覆率、すなわち酸化珪素の表面に占める炭素被膜の割合を、ラマンスペクトル分析によって得られるピークの強度比I
500/I
1580を用いて評価した。
【0128】
また、製造した炭素被膜付きの酸化珪素粉末について、実施例1−1と同様に回収率及び炭素被覆量を算出した。さらに、実施例3−1〜実施例3−6では、また、実施例1−1と同様に二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
【0129】
実施例3−1〜実施例3−6の結果を表3に示す。
【0130】
【表3】
【0131】
表3に示すように、撹拌機構動作部分の回転速度を変更したところ、回転数を10rpm以上にすることで、回収率及び炭素被覆量が向上した。また、回転数が1000rpm以下であれば、ラマンスペクトルのI
500/I
1580の値が小さく、原料粒子の表面において珪素の割合が小さく炭素の割合が高いことがわかった。すなわち、炭素被膜による被覆率が良好であることがわかった。これは撹拌羽によって、炭素被膜が破壊されることがほとんどなかったためと考えられる。
【0132】
(実施例4−1〜実施例4−4)
炉心管内部の中心軸の長さに対する、攪拌羽の攪拌部の炉心管の中心軸に平行な方向の長さの割合を、表4に示すように変更したこと以外、実施例1−1と同様に炭素被膜付きの酸化珪素粉末を製造した。なお、表4における攪拌部の下端及び上端の位置は、炉心管の中心軸方向に座標を取り、炉心管の下端の座標を原点0、上端の座標をLとした場合の値を示している。すなわちこの場合、中心軸の長さはLとなる。また、攪拌部の炉心管の中心軸に平行な方向の長さは、攪拌部の上端の位置と下端位置との差の値となる。
【0133】
また、製造した炭素被膜付きの酸化珪素粉末について、実施例1−1と同様に回収率及び炭素被覆量を算出した。さらに、実施例1−1と同様に二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
【0134】
実施例4−1〜実施例4−4の結果を表4に示す。
【0135】
【表4】
【0136】
表4に示すように、撹拌部の位置を変更したところ、炉心管内部の中心軸の長さに対する、攪拌羽の攪拌部の炉心管の中心軸に平行な方向の長さの割合が30%以上99%以下であり、かつその割合が大きいほど、回収率およびカーボン量が向上した。これは、撹拌部の存在する領域で撹拌が起こるためで、その領域が広いほど原料粒子が均一に撹拌されるためである。
【0137】
(実施例5−1〜実施例5−5)
原料粒子の種類を表5に示すように変更したこと以外、実施例1−1と同様に原料粒子に炭素被膜を被覆した。表5中に示されているD
50とは、レーザー光回折法による粒度分布測定における体積平均粒子径である。なお、実施例5−3では、原料粒子としてSnとCoを質量比1:1で混合したものを使用し、保持温度を700℃、保持時間を10時間として炭素被膜の被覆を行った。また、製造した粒子について、実施例1−1と同様に炭素被覆量を算出した。さらに、実施例1−1と同様に二次電池を作製し、サイクル特性及び初回効率を評価した。
【0138】
実施例5−1〜実施例5−5の結果を表5に示す。
【0139】
【表5】
【0140】
表5に示すように、原料粒子の種類を変更したところ、それぞれ電池維持率および初回効率が変化した。特に、SiOx(x=0.95)の材料が、もっともバランスの取れた電池特性となった。これは、xの値(酸素量)が0.9以上1.1以下であれば、リチウムをトラップする不可逆成分が適切な量となり、良好な初回効率が得られるからであると考えられる。また、Ge及びSn/CoよりもSiの方が、容量維持率が高かった。
【0141】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。