(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の第一は、下記の一般式(I)
【0012】
(上記一般式(I)中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7およびX
8はお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基を表わし、
S
1及びS
2は、お互いに独立して、炭素原子数1〜12のアルキレン基または単結合を表わし、かつ当該アルキレン基中のメチレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして、酸素原子、−COO−、−OCO−または−OCOO−に置き換えられてもよく、
L
1は、−CH=CH−COO−または−C
2H
4COO−を表わし、
L
2及びL
3はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−CO−NR
11−、−NR
11−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−OCOCH
2−、−CH
2COO−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−または−C≡C−を表わし(式中、R
11は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)、
M
1は1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイルおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基からなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ当該M
1は無置換または置換基により置換されてよく、M
1の基中の水素原子が置換される前記置換基としては、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基であり、
R
1は以下の式(R−I)から式(R−IX)
【0014】
の何れかを表わし、前記式(R−I)〜(R−IX)中、R
2〜R
6はお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基または炭素原子数1〜5個のハロゲン化アルキル基であり、Wは単結合、−O−またはメチレン基であり、p、tおよびqはそれぞれ独立して、0、1または2であり、
Zは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,3−ジイル基、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−1,8−ジイル基、1,2,4,5−ベンゼンテトライル基、1,4,5,8−ナフタレンテトライル基、単結合または下記式(i)もしくは式(ii):
【0016】
を表わし、当該Zは無置換または置換基により置換されてよく、Zの基中の水素原子が置換される前記置換基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、エステル基(−COO−R
Z R
z:炭素原子数1〜10個のアルキル基)、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基であり、
mは0、1または2を表し、nは2または4を表わす。mが2を表す場合、2個存在するM
1及びL
2は同一であっても異なっていても良く、nが2及び4を表す場合、2個、あるいは4個存在するR
1、M
1、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7、X
8、L
1、L
2、L
3、S
1、S
2、及びmは同一であっても異なっていても良い。)で表わされる重合性化合物である。
【0017】
前記一般式(I)において、S
1及びS
2はお互い独立してスペーサー基又は単結合を表すが、スペーサー基としては、炭素数1〜10のアルキレン基又は単結合が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基又は単結合がより好ましく、当該アルキレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとしてメチレン基が酸素原子、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良い。また、S
2は炭素数2〜6のアルキレン基又は単結合がさらに好ましい。
【0018】
前記一般式(I)において、L
1は、―CH=CH−COO−、又は―C
2H
4COO−を表わし、大きな吸光度を要求される場合には、π電子の共役を広くする―CH=CH−COO−が更に好ましく、L
2、L
3はお互い独立して、単結合、−C
2H
4−、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−CF
2O−又は−C≡C−が好ましく、安価に製造、液晶配向性の観点から、単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−C
2H
4−、−C≡C−又は−O−がより好ましく、単結合、―COO−、−OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−又は−O−がさらにより好ましい。また、L
3は単結合、―COO−、−OCO−又は−O−がさらにより好ましい。
【0019】
前記一般式(I)において、M
1は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、またはピリミジン−2,5−ジイル基が好ましく、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基またはテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基がより好ましく、かつ当該M
1は無置換または置換基により置換されてもよく、M
1の基中の水素原子が置換される前記置換基としては、炭素原子数1〜6個のアルキル基、炭素原子数1〜6個のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基であることが好ましい。また、M
1は無置換であり、1,4−フェニレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基またはナフタレン−2,6−ジイル基がより好ましい。
【0020】
前記一般式(I)において、R
1は重合性基を表すが、重合性基の具体的な例としては、下記に示す構造が挙げられる。
【0022】
(前記式(R−I)〜(R−IX)中、R
2〜R
6はお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基または炭素原子数1〜5個のハロゲン化アルキル基であり、Wは単結合、−O−またはメチレン基であり、p、tおよびqはそれぞれ独立して、0、1または2である。)
これらの重合基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、及びアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R−I)、式(R−II)、式(R−IV)、式(R−VI)、式(R−VII)又は式(R−IX)が好ましく、式(R−I)、式(R−IV)、式(R−VI)又は式(R−VII)がより好ましく、式(R−I)がより好ましい。
【0023】
また、前記式(R−I)としては、下記式(R−1)〜式(R−3)のいずれか一つであることがより好ましい。
【0025】
前記式(R−II)としては、下記式(R−4)または式(R−5)であることがより好ましい。
【0027】
前記式(III)としては、下記式(R−6)がより好ましい。
【0029】
前記式(IV)としては、下記式(R−7)または(R−8)がより好ましい。
【0031】
前記式(V)としては、下記式(R−9)または式(R−10)がより好ましい。
【0033】
前記式(VI)としては、下記式(R−11)が好ましい。
【0035】
前記式(VII)としては、下記式(R−12)または式(R−13)がより好ましい。
【0037】
上記R
1としては、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−IX)がさらに好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)又は式(R−13)がさらにより好ましく、式(R−1)又は式(R−2)が特に好ましい。
【0038】
前記一般式(I)において、Zは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,3−ジイル基、1,2,4,5−ベンゼンテトライル基、1,4,5,8−ナフタレンテトライル基または単結合がより好ましく、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,3−ジイル基、1,2,4,5−ベンゼンテトライル基または1,4,5,8−ナフタレンテトライル基がさらに好ましく、1,2−フェニレン基、1,2−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,3−ジイル基または1,2,4,5−ベンゼンテトライル基が、液晶組成物中でお互いの重合性基が近傍にあるため、重合が促進され易くさらにより好ましい。
【0039】
前記一般式(I)において、mは0または1が好ましく、nは2及び4を表わす。nが2及び4を表す場合、2個、あるいは4個存在するM
1、X
1、X
2、L
1、L
2、L
3、S
1、S
2、m及びR
1は同一であっても異なっていても良い。
【0040】
本発明に係る一般式(I)で表される重合性化合物の特に好ましい形態は、互いに同一または異なる重合性基R
1間の距離が短くなるような化学構造が好ましく、例えば、一例として以下のようなシス体を備えた下記の一般式(I−A)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
(上記一般式(I−A)中、Zは、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,3−ジイル基、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−1,8−ジイル基、1,2,4,5−ベンゼンテトライル基、1,4,5,8−ナフタレンテトライル基、単結合または下記式(i)もしくは式(ii):
【0044】
を表わし、当該Zは無置換または置換基により置換されてよく、Zの基中の水素原子が置換される前記置換基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、エステル基(−COO−R
Z R
z:炭素原子数1〜10個のアルキル基)、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基であり、
U
1aおよびU
1bは互いに独立して、単結合、式(L−1)〜(L−3):
【0046】
(上記式(L−1)〜(L−3)中、pおよびqは0以上12以下の整数である。)
のいずれか一つであり、
U
2aおよびU
2bは互いに独立して、単結合またはカルボニル基であり、
U
3aおよびU
3bは互いに独立して、単結合または−O−C(=O)−であり、
S/Dは単結合または二重結合であり、
p
1a、p
2a、p
1bおよびp
2bは、0以上12以下の整数であり、
R
1aおよびR
1bならびにX
1〜X
8はお互いに独立して、R
1aおよびR
1bは前記一般式(I)のR
1と同一であり、X
1〜X
8は前記一般式(I)のX
1〜X
8と同一である。
また、lが1または2の場合において、2個または4個のX
1〜X
8はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物であることが好ましい。
【0047】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物は、より具体的には、下記の式(I−1)〜式(I−26)で表される化合物が特に好ましい。
【0053】
(上記式(I−1)〜(I−26)中、p及びqはそれぞれ独立して、0〜12の整数を表すが、0の場合は芳香環に結合している酸素原子は除去する。)
本発明に係る重合性化合物は、上記式(I−1)〜式(I−26)のうち、式(I−1)、(I−3)、(I−5)、(I−6)(I−7)、(I−13)、(I−24)が好ましく、式(I−1)、(I−3)、(I−6)(I−7)、(I−13)がより好ましく、式(I−3)、(I−6)(I−7)が特に好ましい。
【0054】
本発明の化合物は以下に記載する合成方法で合成することができる。
【0055】
(製法1)一般式(I−1)で表される化合物の製造
4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニルとアクリル酸ターシャリーブチルとのパラジウム触媒による溝呂木−ヘック反応により、ビフェニル誘導体(S−1)を得て、更に塩化アクリロイルとのエステル化反応により、アクリロイル基を有するビフェニル誘導体(S−2)を得る。更にトリフルオロ酢酸により、ターシャリーブチル基を脱離させてカルボン酸基に変換したビフェニル誘導体(S−3)を得る。
【0057】
次いで1,2−ヒドロキシベンゼンと6−クロロヘキサノールとを炭酸カリウム等の塩基存在下でエーテル化反応させて水酸基を有する化合物(S−4)を得る。更に(S−3)と(S−4)とをジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応により目的化合物(I−1)を得ることができる。
【0059】
(製法2) 一般式(I−5)で表される化合物の製造
2−フルオロ−4−ブロモビフェニルと塩化アセチルとを塩化アルミニム(III)を用いたフリーデルクラフト反応を行い、更にギ酸と過酸化水素水による過ギ酸によりフッ素原子により置換したヒドロキシビフェニル化合物(S−6)を得る。更にアクリル酸ターシャリーブチルとのパラジウム触媒による溝呂木−ヘック反応により、ビフェニル誘導体(S−7)を得る。次いで6−クロロヘキシルアクリレートと炭酸カリウム等の塩基存在下でエーテル化反応させて、アクリロイル基を有するビフェニル誘導体(S−8)を得る。更にトリフルオロ酢酸により、ターシャリーブチル基を脱離させてカルボン酸基に変換したビフェニル誘導体(S−9)を得る。
【0061】
次いで、1,2−ヒドロキシベンゼンと6−クロロヘキサノールとのエーテル化反応により得られる(S−4)と(S−9)とをジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応により目的化合物(I−5)を得ることができる。
【0063】
(製法3) 一般式(I−9)で表される化合物の製造
水酸基を有するビフェニル誘導体(S−1)にパラジウムカーボンを用いた接触水素還元により、ビフェニル誘導体(S−10)を得る。更に塩化アクリロイルとのエステル化反応により、アクリロイル基を有するビフェニル誘導体(S−11)を得る。更にトリフルオロ酢酸により、ターシャリーブチル基を脱離させてカルボン酸基に変換したビフェニル誘導体(S−12)を得る。
【0065】
次いで、イソフタル酸と6−クロロヘキサノールとの炭酸カリウム等を用いたエステル化反応により得られる(S−13)と(S−12)とをジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応により目的化合物(I−9)を得ることができる。
【0067】
(製法4) 一般式(I−14)で表される化合物の製造
ヒドロキシベンジルアルコールとクロロメチルメチルエーテル(MOM−Cl)とを炭酸カリウム等の塩基存在下でエーテル化反応させてメトキシメチルエーテル保護(MOM保護)した化合物(S−14)を得る。次いで、プロトカテク酸ブチルエステルとの光延反応を利用したエーテル化、更に、塩酸による脱メトキシメチルエーテル基によりフェノール性水酸基を2つ有する化合物(S−15)を得る。
【0069】
ビフェニル誘導体(S−10)と6−クロロヘキシルアクリレートと炭酸カリウム等の塩基存在下でエーテル化反応させて、アクリロイル基を有するビフェニル誘導体(S−16)を得る。更にトリフルオロ酢酸により、ターシャリーブチル基を脱離させてカルボン酸基に変換したビフェニル誘導体(S−17)を得る。次いで、得られた(S−17)と(S−15)とをジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応により目的化合物(I−14)を得ることができる。
【0071】
(製法5) 一般式(I−21)で表される化合物の製造
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(商品名EOXA,東亜合成社製)と1−ブロモ−3−クロロプロパンとを水酸化ナトリウム等の塩基の存在下でエーテル化反応させ、オキセタン誘導体(S−18)を得る。次いで、4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニルとを炭酸カリウム等の塩基存在下でエーテル化反応させて、オキセタン基を有するビフェニル誘導体(S−19)を得る。
【0073】
ピロメリット酸とヒドロキシエチルアクリレートとのジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応により4官能のアクリレート(S−20)を得る。更にオキセタン基を有するビフェニル誘導体(S−19)とのパラジウム触媒による溝呂木−ヘック反応により、目的化合物(I−21)を得ることができる。
【0075】
本願発明の重合性化合物は、ネマチック液晶、スメクチック液晶、キラルネマチック、キラルスメクチック、及びコレステリック液晶組成物に使用できる。本願発明の液晶組成物は、本願発明の一般式(I)で表される化合物を一種以上用いる以外に、任意の範囲で他の重合性化合物を添加しても構わない。本願発明の重合性液晶組成物中に含まれる重合性液晶化合物としては、重合性官能基として、式(R−I)を有すものがより好ましく、アクリロイルオキシ基(R−1)又はメタアクリロイルオキシ基(R−2)を有するものが特に好ましい。更に重合性液晶化合物としては、重合性官能基を分子内に2つ以上持つものが好ましい。また、本願発明の液晶組成物がコレステリック液晶の場合は、キラル化合物の添加が好ましい。更にPSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶表示装置、PSVA(Polymer Stabilised Vertical Alignment)型液晶表示装置、PS−IPS(in−plane switching)型液晶表示装置に使用するためには、非重合性の液晶組成物に添加する。
【0076】
本願発明以外の重合性化合物の具体例としては、一般式(I)で表される化合物を含有する以外に制限はないが、組み合わせて使用する重合性液晶化合物としては、化合物中に式(R−I)(例えば、アクリロイルオキシ基(R−1)又はメタアクリロイルオキシ基(R−2))を有するものが好ましく、重合性官能基を分子内に2つ以上持つものがより好ましい。
【0077】
本発明に係る重合性化合物において、一般式(I)で表される重合性化合物以外の重合性化合物を含んでもよく、また、本発明に係る重合性化合物を、重合性基を有しない液晶組成物と混合してもよく、一般式(I)で表される重合性化合物単独でも、または当該一般式(I)で表される重合性化合物と他の重合性化合物とを含んだ液晶組成物でもよい。
【0078】
本発明において、一般式(I)で表される重合性化合物と組み合わせて使用する他の重合性化合物は液晶性を示すことが好ましく、具体的には一般式(III):
【0080】
(上記一般式(III)中、R
11は重合性基であり、
S
11はお互い独立して、単結合又は1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、ここで前記アルキレン基中の一つ以上の−CH
2−は、酸素原子同士が直接結合しないものとしてメチレン基が酸素原子、−COO−、−OCO−または−OCOO−に置き換えられても良く、
L
11及びL
12はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、―COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−CO−NR
13−、−NR
13−CO−、−CH=N−、−SCH
2−、−CH
2S−、―CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、―COOC
2H
4−、―OCOC
2H
4−、―C
2H
4OCO−、―C
2H
4COO−、−OCOCH
2−、―CH
2COO−、−CH=CH−、−C
2H
4−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−を表わすが(式中、R
13は炭素原子1〜4のアルキル基を表わす。)、
M
11及びM
12はお互い独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表わすが、M
1及びM
1はお互い独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基、又はニトロ基に置換されていても良く、
l
11は0、1、2又は3を表わし、l
11が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するL
12及びM
12は同一であっても異なっていても良く、
A
11は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアネート基(−SCN)、トリフルオロメトキシ基、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を表し、1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は酸素原子、硫黄原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO、−CH=CH−、−C≡C−で置換されて良く、又はA
11は−L
13−S
12−R
12(式中、L
13、S
12及びR
12はL
11、S
11及びR
11と同じ意味を表す。)で表す化合物が好ましい。
【0081】
また、前記一般式(III)において、L
11、L
12及びL
13がお互い独立して、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、M
11及びM
12がお互い独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基で表される化合物が特に好ましい。
【0082】
一般式(III)で表される化合物は具体的には、一般式(III−1)〜一般式(III−23)で表される化合物が好ましい。
【0088】
(上記一般式(III−1)〜式(III−43)中、a及びbはそれぞれ独立して、0〜12の整数を表わすが、aが0の場合は芳香環に結合している酸素原子は除去する。)
本願発明の液晶組成物がキラルスメクチック液晶あるいはコレステリック液晶の場合は、通常キラル化合物を添加するが、具体的な化合物としては一般式(IV−1)〜一般式(IV−8)に示される。当該キラル化合物の配合量は、液晶組成物に対して、0.5〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。
【0090】
(上記式(IV−1〜IV−8)中、a及びbは、0〜12の整数を表わすが、0の場合は芳香環に結合している酸素原子は除去する。)
本発明の重合性化合物を、重合性基を有しない液晶組成物に添加してもよく、通常の液晶デバイス、例えばSTN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)液晶や、TN(ツイステッド・ネマチック)液晶、TFT(薄膜トランジスタ)液晶等に使用されるネマチック液晶組成物、強誘電液晶組成物等が挙げられる。
【0091】
一般式(I)で表される化合物は、重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物が重合することにより液晶配向能が付与され、液晶組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。特に液晶分子の傾斜を制御するPSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶表示装置、PSVA(Polymer Stabilised Vertical Alignment)型液晶表示装置、PS−IPS(in−plane switching)型液晶表示装置、FFSに有効であり、駆動方式としては、AM−LCD(アクティブマトリックス液晶表示素子)、TN(ネマチック液晶表示素子)及びSTN−LCD(超ねじれネマチック液晶表示素子)に有用であるが、AM−LCDに特に有用である。
【0092】
本発明の第二は、上記重合性化合物及び非重合性液晶化合物を含有する液晶組成物である。また、本発明に係る液晶組成物は、一般式(I)で表される重合性化合物を少なくとも1種を含有することが好ましく、1種〜5種含有することがより好ましく、1種〜3種含有することがさらに好ましい。また、一般式(I)で表される化合物の含有率は、少ないと非重合性液晶化合物に対する配向規制力が弱くなり、多すぎると重合時の必要エネルギーが上昇し、重合せず残存してしまう重合性化合物の量が増してしまうため、下限値は0.01質量%であることが好ましく、0.03質量%であることがより好ましく、上限値は2.0質量%であることが好ましく、1.0質量%であることがより好ましい。
【0093】
本発明に係る液晶組成物において、非重合性の液晶組成物としては、後述する7種類の液晶性化合物のうち少なくとも1種含むことが好ましい。具体的には、本発明に係る液晶組成物は、一般式(V)、一般式(VIa)、一般式(VIb)、一般式(VIc)、一般式(VIIa)、一般式(VIIb)および一般式(VIIc)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
【0094】
本発明に係る液晶組成物は、一般式(V):
【0096】
(上記一般式(V)中、R
21及びR
22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
M
21、M
22及びM
23はお互い独立して
(a)トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)、
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい。)、3−フルオロ−1,4−フェニレン基及び3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、及び
(c)1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、oは0、1又は2を表し、L
21及びL
22はお互い独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=CH−、−CH=N−N=CH−又は−C≡C−を表し、L
22が複数存在する場合は同一でも良く異なっていても良く、M
23が複数存在する場合は同一でも良く異なっていても良い。)で表される化合物を適宜含んでも良い。
【0097】
本発明に係る一般式(I)で表される重合性化合物を含む液晶組成物(以下、重合性化合物含有液晶組成物とも称する。)において、一般式(V)で表される化合物の含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量(100質量%)に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては30質量%であることが好ましい。あるいは本発明の別の実施形態では20質量%であることが好ましい。また、本発明の別の実施形態では10質量%であることが好ましい。また、本発明の別の実施形態では5質量%であることが好ましい。
【0098】
さらに、本発明に係る重合性化合物含有液晶組成物において、一般式(V)で表される化合物の含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量(100質量%)に対して、本発明の実施形態では95質量%であることが好ましい。さらに、本発明の別の実施形態では80質量%であることが好ましい。
【0099】
本発明に係る液晶組成物は、一般式(VIa)、一般式(VIb)及び一般式(VIc):
【0101】
(上記一般式(VIa)〜一般式(VIc)中、R
31、R
32及びR
33はお互い独立して、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
M
31、M
32、M
33、M
34、M
35、M
36、M
37及びM
38はお互い独立して、
(d)トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)、
(e)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)、3−フルオロ−1,4−フェニレン基及び3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、及び
(f)1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及びデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(d)、基(e)及び基(f)に含まれる水素原子はお互い独立してシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、
L
31、L
32、L
33、L
34、L
35、L
36、L
37及びL
38はお互い独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−又は−C≡C−を表し、M
32、M
34、M
35、M
37、M
38、L
31、L
33、L
35、L
36、及び/又はL
38が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
X
31、X
32、X
33、X
34、X
35、X
36及びX
37はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
31、Y
32及びY
33はお互い独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はジフルオロメトキシ基を表し、
X
31、X
32、又はY
31のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はジフルオロメトキシ基を表すか、M
31又はM
32に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、
X
33、X
34、X
35又はY
32のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基又はジフルオロメトキシ基を表すか、M
33、M
34又はM
35、に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、
X
36、X
37又はY
33のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基又はジフルオロメトキシ基を表すか、M
36、M
37及びM
38に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、c、d、e、f及びgはお互い独立して、0、1又は2を表すが、d+e及びf+gは2以下である。)で表される化合物を適宜含んでも良い。
【0102】
本発明に係る一般式(I)で表される重合性化合物を含む液晶組成物(以下、重合性化合物含有液晶組成物とも称する。)において、一般式(VIa)〜(VIc)で表される化合物の含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量(100質量%)に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては30質量%であることが好ましい。あるいは本発明の別の実施形態では20質量%であることが好ましい。また、本発明の別の実施形態では10質量%であることが好ましい。また、本発明の別の実施形態では5質量%であることが好ましい。
【0103】
さらに、本発明に係る重合性化合物含有液晶組成物において、一般式(VIa)〜(VIc)で表される化合物の含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量(100質量%)に対して、本発明の実施形態では95質量%であることが好ましい。さらに、本発明の別の実施形態では80質量%であることが好ましい。
【0104】
本発明に係る液晶組成物は、一般式(VIIa)、一般式(VIIb)及び一般式(VIIc):
【0106】
(上記式(VIIa)〜式(VIIc)中、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45及びR
46はお互い独立して、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−に置換されていても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
M
41、M
42、M
43、M
44、M
45、M
46、M
47、M
48及びM
49はお互い独立して、
(g)トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)、
(h)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び、
(i)1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及びデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(d)、基(e)及び基(f)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、
L
41、L
42、L
43、L
44、L
45、L
46、L
47、L
48及びL
49はお互い独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−又は−C≡C−を表し、M
42、M
43、M
45、M
46、M
48、M
49、L
41、L
43、L
44、L
46、L
47及び/又はL
49が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
X
41、X
42はお互い独立してトリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はフッ素原子を表し、X
43、X
44、X
45、X
46、X
47、及びX
48はお互い独立して水素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はフッ素原子を表すが、X
41及びX
42の何れか一つはフッ素原子を表し、X
43、X
44及びX
45の少なくとも一つはフッ素原子を表し、X
46、X
47及びX
48の少なくとも一つはフッ素原子を表すが、X
46及びX
47は同時にフッ素原子を表すことはなく、X
46及びX
48は同時にフッ素原子を表すことはない、Gは−CH
2−又は−O−を表し、h、i、j、r、s、及びtはお互い独立して、0、1又は2を表すが、h+i、j+r及びs+tは2以下である。)で表される化合物を適宜含んでも良い。
【0107】
本発明に係る一般式(I)で表される重合性化合物を含む液晶組成物(以下、重合性化合物含有液晶組成物とも称する。)において、一般式(VIIa)〜(VIIc)で表される化合物の含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量(100質量%)に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては30質量%であることが好ましい。あるいは本発明の別の実施形態では20質量%であることが好ましい。また、本発明の別の実施形態では10質量%であることが好ましい。また、本発明の別の実施形態では5質量%であることが好ましい。
【0108】
さらに、本発明に係る重合性化合物含有液晶組成物において、一般式(VIIa)〜(VIIc)で表される化合物の含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量(100質量%)に対して、本発明の実施形態では95質量%であることが好ましい。さらに、本発明の別の実施形態では80質量%であることが好ましい。
【0109】
液晶組成物は一般式(V)で表される化合物、一般式(VIa)、一般式(VIb)及び一般式(VIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物又は一般式(VIIa)、一般式(VIIb)及び一般式(VIIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1つ含有しているものが好ましく、一般式(V)で表される化合物を一種又は二種以上を含有し、更に一般式(VIa)、一般式(VIb)及び一般式(VIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上を含有する液晶組成物及び一般式(V)で表される化合物を一種又は二種以上を含有し、更に一般式(VIIa)、一般式(VIIb)及び一般式(VIIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上を含有する液晶組成物が好ましい。
【0110】
本発明に係る光学異方体用組成物は、本発明に係る重合性化合物と、溶媒とを含有することが好ましい。
【0111】
当該組成物で用いられる溶媒は、特に限定はないが、重合性化合物が良好な溶解性を示す溶媒が使用できる。例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。また、後述の添加剤を添加することもできる。
【0112】
当該溶媒の比率は、本発明に用いられる光学異方体用組成物が通常塗布により行われることから、塗布した状態を著しく損なわない限りは特に制限はないが、光学異方体用組成物の固形分と溶媒の比率(重量比)が0.1:99.9〜80:20が好ましく、塗布性を考慮すると、1:99〜60:40がさらに好ましい。
【0113】
また、本発明の光学異方体用組成物は配向した状態で重合するため、必要に応じて配向を促進する界面活性剤、又は高分子などの添加剤を用いてもよい。本発明の光学異方体用組成物で用いられる、配向を促進する界面活性剤は、組成物に可溶で、かつ、組成物の塗布乾燥時に、基材とは反対側の空気界面に偏析する材料であれば、使用する界面活性剤としては特に限定はないが、重合性官能基を有する化合物よりも表面張力が小さい界面活性剤が好ましい。そのような界面活性剤としては、例えば、フッ素含有ノニオン系界面活性剤、オルガノシラン系界面活性剤、ポリアクリル酸エステル系界面活性剤、等が挙げられる。前記界面活性剤は、重合した際により強固なフィルムにするために重合性基を有してもよい。
【0114】
本発明の光学異方体用組成物で用いられる、配向を促進する高分子も、組成物に可溶で、かつ、組成物の塗布乾燥時に、基材とは反対側の空気界面に偏析する材料であれば、使用する高分子としては特に限定はないが、重合性官能基を有する化合物よりも表面張力が小さい高分子が好ましい。そのような高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、パラフィン、流動パラフィン、塩素化ポリプロピレン、塩素化パラフィン、又は塩素化流動パラフィン、ポリフッ化ビニリデン、等が挙げられる。
【0115】
前記高分子の質量平均分子量は200〜1000000であることが好ましく、300〜100000であることがさらに好ましく、400〜10000であることが特に好ましい。
【0116】
本発明の光学異方体用組成物は、均一に塗布するため、膜厚の均一なコレステリック反射フィルムを得るため、あるいは、各々の目的に応じて汎用の添加剤を使用することもできる。例えば、レベリング剤、チキソ剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、表面処理剤等の添加剤を液晶の配向能を著しく低下させない程度添加することができる。
【0117】
本発明に係る光学異方体は、前記重合性化合物を含有する光学異方体用組成物を重合体することにより構成されることが好ましく、本発明に係る液晶表示素子は、当該光学異方体を用いることが好ましい。
【0118】
本発明に係る高分子安定化液晶表示素子は、本発明に係る液晶組成物を用いることが好ましく、本発明に係る重合性液晶組成物を使用し、当該重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合することにより液晶配向能を付与した液晶表示素子であることが好ましい。
【0119】
本発明に係る液晶表示素子の構成は、透明導電性材料からなる共通電極を具備した第一の基板と、透明導電性材料からなる画素電極および各画素に具備した前記画素電極を制御する薄膜トランジスタを形成した薄膜トランジスタ層を含む第二の基板と、前記第一の基板と第二の基板との間に充填された液晶組成物を有し、該液晶組成物中の液晶分子の電圧無印加時の配向が前記基板に対して略垂直である液晶表示素子であって、該液晶組成物として前記本発明の液晶組成物を用いたことに特徴を有するものである。
【0120】
また前記第一の基板および前記第二の基板は、一対の偏光板により挟持されてもよい。さらに、前記第一の基板と共通電極との間にカラーフィルターを設けてもよい。
【0121】
すなわち、本発明に係る液晶表示素子は、第二の偏光板と、第二の基板と、薄膜トランジスタを含む電極層(又は薄膜トランジスタ層とも称する)と、配向膜と、液晶組成物を含む層と、配向膜と、共通電極と、カラーフィルターと、第一の基板と、第一の偏光板と、が順次積層された構成である。
【0122】
前記液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板(第一の基板、第二の基板)はガラス、又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。共通電極や画素電極などで透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0123】
前記カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法、又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0124】
前記透明電極(層)や薄膜トランジスタ層が形成された第一、二の基板を、透明電極(層)等が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましく、1.5から10μmがより好ましい。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0125】
上記のように2枚の基板を対向して貼り合わせることにより形成した液晶組成物を収容する液晶組成物収容空間に対して重合性化合物を含有した液晶組成物を導入する方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。しかし、真空注入法による重合性モノマー含有液晶組成物を導入する方法では滴下痕は発生しないものの、注入の痕が残る課題を有しているものであるが、本願発明においては、ODF法を用いて製造する表示素子により好適に使用することができる。
【0126】
本発明において、重合性化合物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有液晶組成物に交流を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性およびコントラストの観点からプレチルト角を80度から89度に制御することが好ましい。
【0127】
また、重合性官能基を有する化合物であって、液晶性を示さない化合物を添加することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができるが、その添加量は組成物として液晶性を呈するように調整する必要がある。
【0128】
本発明に係る液晶組成物は、重合開始剤を添加しなくても熱及び光による重合が可能であるが、光重合開始剤の添加が好ましい。添加する光重合開始剤の濃度は、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜10質量%がさらに好ましく、0.4〜5質量%が特に好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0129】
また、本発明に係る液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%がさらに好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。
【0130】
また、本発明に係る液晶組成物を位相差フィルム、偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料、保護膜等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
【0131】
次に本発明の光学異方体について説明する。本発明の重合性化合物含有液晶組成物を重合させることによって製造される光学異方体は種々の用途に利用できる。例えば、本発明の重合性化合物含有液晶組成物を、配向させない状態で重合させた場合、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、本発明の重合性液晶組成物を配向させた状態において、重合させることにより製造された光学異方体は、物理的性質に光学異方性を有しており、有用である。このような光学異方体は、例えば、本発明の重合性化合物含有液晶組成物表面を、布等でラビング処理した基板、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング処理した基板、あるいはSiO
2を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶を重合させることによって製造することができる。
【0132】
重合性化合物含有液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性化合物含有液晶組成物をそのまま使用してもに有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、セロソルブ、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン、アセトキシ−2−エトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルアセタート、N−メチルピロリジノン類を挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。また、その添加量は90質量%以下が好ましい。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加するのも有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けるのは、重合性液晶材料を重合させて得られる光学異方体と基板の密着性が良くない場合に、密着性を向上させる手段としても有効である。
【0133】
本発明に係る液晶組成物を基板間に充填させる方法としては、毛細管現象を利用した注入法が挙げられる。基板間に形成された空間を減圧し、その後液晶材料を注入する手段も有効である。
【0134】
ラビング処理、あるいはSiO
2の斜方蒸着以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用や、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。この方法は、例えば、ポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜、光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、好ましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜を形成するものである。この光配向法に光マスクを適用することにより配向のパターン化が容易に達成できるので、光学異方体内部の分子配向も精密に制御することが可能となる。
【0135】
前記基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0136】
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られない場合、公知の方法に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしても良い。また、通常のTN液晶デバイス又はSTN液晶デバイスで使用されているプレチルト角を与えるポリイミド薄膜は、光学異方体内部の分子配向構造を更に精密に制御することができることから、特に好ましい。
【0137】
また、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用する。この場合、電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成するのが好ましい。
【0138】
本発明に係る液晶組成物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm
2〜2W/cm
2が好ましい。強度が0.1mW/cm
2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm
2以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0139】
上記重合によって得られた本発明の光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲で、また熱処理時間は30秒〜12時間の範囲が好ましい。
【0140】
このような方法によって製造される本発明の光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0141】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は「質量%」を意味する。
【0142】
(実施例1)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニル 10g(40.1ミリモル)、ターシャリーブチルアクリレート 6.2g(48.2ミリモル)、トリエチルアミン 4.8g(48ミリモル)、酢酸パラジウム 530mg、ジメチルホルムアミド 300mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を100℃に加熱し反応させた。反応終了後、酢酸エチル、THFを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(1)に示す化合物 11gを得た。
【0143】
【化40】
【0144】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(1)に示す化合物3g(10.1ミリモル)、アクリル酸クロリド 1g(11ミリモル)、ジクロロメタン50mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。次いでトリエチルアミン 1.2g(12ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、20℃以下で3時間反応させた。反応終了後、ジクロロメタンを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(2)に示す化合物 3.6gを得た。
【0145】
【化41】
【0146】
更に撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(2)に示す化合物3.6gをジクロロメタン 10mlに溶解させた後、トリフルオロ酢酸 10mlを滴下し、室温で30分攪拌した。反応終了を確認後、トルエン 200mlを加え結晶を析出させた。析出物をろ過し、式(3)に示す化合物 2.4gを得た。
【0147】
【化42】
【0148】
次に、1,2−ヒドロキシベンゼン 5.5g(10ミリモル)、炭酸カリウム 4.1g(30ミリモル)、6−クロロヘキサノール 3g(22ミリモル)、ジメチルホルムアミド 100mlを、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に仕込み、90℃で4時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル及び純水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(4)に示す化合物 2.5gを得た。
【0149】
【化43】
【0150】
次いで、上記式(4)に示す化合物 1g(3.4ミリモル)及び上記式(3)に示す化合物 2g(6.8ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 90mg、ジクロロメタン 30mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 940mg(7.5ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン 50mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、ジクロロメタン/メタノールによる再結晶により式(5)に示す目的の化合物 1.2gを得た。この化合物は、99℃から131℃以上まで幅広い温度で液晶相を示した。
【0151】
【化44】
【0152】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:1.48−1.60(m,8H),1.72−1.77(m,4H),1.82−1.89(m,4H),4.00(t,4H),4.29(t,4H),6.02(d,2H),6.31−6.38(m,2H),6.44−6.50(m,2H),6.66(d,2H),6.89(s,4H),7.20−7.29(m,6H),7.59−7.62(m,10H),7.76(d,2H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:25.9,28.8,29.3,64.8,69.0,118.0,120.9,121.8,126.8,127.3,127.6,128.4,130.7,132.7,142.3,143.8,158.5,165.9,166.8
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809 cm
−1
融点:99℃
(実施例2)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に塩化アルミニウム(III)を12.8g(96ミリモル)、ジクロロメタン 100mlを加え攪拌した。次いで塩化アセチル 8.4g(110ミリモル)を90分かけてゆっくり滴下し、更に4−ブロモ−2−フルオロビフェニル 20g(80ミリモル)のジクロロメタン溶液80mlを2時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、更に2時間攪拌し、反応を終了させた。反応液を500mlの氷水にゆっくり注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、乾燥を行ってアセチル基を導入した化合物を23g得た。次いで、撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に前記アセチル基を導入した化合物 23g、ギ酸 300mlを仕込み、34.5%の過酸化水素水 20mlを加え、加熱還流を6時間行った。反応終了後、10%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液 450mlを加え、過酸化物を分解した。析出した固体をろ過し酢酸エチルで溶解させ水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(6)に示す化合物 18gを得た。
【0153】
【化45】
【0154】
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記の式(6)に示す化合物 10g(37.4ミリモル)、ターシャリーブチルアクリレート 5.7g(44.8ミリモル)、トリエチルアミン 5.6g(56ミリモル)、酢酸パラジウム 410mg、ジメチルホルムアミド 300mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を100℃に加熱し反応させた。反応終了後、酢酸エチル、THFを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(7)に示す化合物 10.5gを得た。
【0155】
【化46】
【0156】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(7)に示す化合物 10.5g(33.4ミリモル)、アクリル酸クロリド 3.6g(40ミリモル)、ジクロロメタン100mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。次いでトリエチルアミン 4g(40ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、20℃以下で3時間反応させた。反応終了後、ジクロロメタンを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、アクリル基を有する化合物 10.5gを得た。
【0157】
更に撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、アクリル基を有する化合物 10.5gをジクロロメタン 20mlに溶解させた後、トリフルオロ酢酸 30mlを滴下し、室温で30分攪拌した。反応終了を確認後、トルエンを加え結晶を析出させる。析出物をろ過し、式(8)に示す化合物 8.9gを得た。
【0158】
【化47】
【0159】
次に、1,2−ヒドロキシベンゼン 5.5g(10ミリモル)、炭酸カリウム 4.1g(30ミリモル)、3−クロロプロパノール 2.1g(22ミリモル)、ジメチルホルムアミド 100mlを、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に仕込み、90℃で4時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル及び純水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(9)に示す化合物 2.0gを得た。
【0160】
【化48】
【0161】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(8)に示す化合物 5.5g(17.6ミリモル)、式(9)に示す化合物 2g(8.8ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 250mg、ジクロロメタン 150mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 2.7g(21ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン 200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、ジクロロメタン/メタノールによる再結晶により式(10)に示す目的の化合物 6.1gを得た。この化合物は、144℃から153℃以上までの温度で液晶相を示した。
【0162】
【化49】
【0163】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:2.17−2.28(m,4H),4.12(t,4H),4.49(t,4H),6.03−6.18(m,2H),6.32−6.44(m,2H),6.62(d,2H),6.65(m,2H),6.94(s,4H),7.21−7.23(m,4H),7.31−7.34(m,4H),7.42−7.44(m,4H),7.56−7.58(m,2H),7.61(d,2H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:28.7,61.5,65.6,114.2,119.0,121.2,121.4,127.4,129.7,132.5,142.3,143.8,148.3,164.8,166.8
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809cm
−1
融点:144℃
(実施例3)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、実施例1に記載の式(1)に示す化合物 5g(16.8ミリモル)、炭酸カリウム 2.8g(20ミリモル)、3−クロロプロピルアクリレート 3g(20ミリモル)、ジメチルホルムアミド 50mlを仕込み、90℃で4時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル及び純水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(11)に示す化合物 5.6gを得た。
【0164】
【化50】
【0165】
更に撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(11)に示す化合物 5.6gをジクロロメタン 10mlに溶解させた後、トリフルオロ酢酸 20mlを滴下し、室温で30分攪拌した。反応終了を確認後、トルエンを加えて結晶を析出させた。析出物をろ過し式(12)に示す化合物 4.5gを得た。
【0166】
【化51】
【0167】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(12)に示す化合物 10.5g(33.4ミリモル)、実施例1に記載の式(4)に示す化合物 5.2g(16.7ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 400mg、ジクロロメタン 150mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 5g(40ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン 200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、ジクロロメタン/メタノールによる再結晶により式(13)に示す目的の化合物 13gを得た。この化合物は、114℃から119℃以上までの温度で液晶相を示した。
【0168】
【化52】
【0169】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:1.45−1.60(m,8H),1.73−1.77(m,4H),1.83−1.87(m,4H),2.15−2.20(m,4H),3.99(t,4H),4.02(t,4H),4.22(t,4H) 4.36(t,4H),5.82(d,2H),6.10−6.17(m,2H),6.39−6.47(m,4H),6.89(s,4H),6.94(d,4H),7.51−7.55(m,12H),7.65(m,6H),7.67(d,2H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:25.9,28.7,28.8,29.3,61.3,64.4,64.5,69.0,113.9,114.7,117.5,120.9,126.8,127.9,128.1,128.4,130.7,132.5,132.6,142.3,144.0,148.9,158.5,165.9,166.9
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1662−1622,809 cm
−1
融点:114℃
(実施例4)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、ピロメリット酸 5g(20ミリモル)、ヒドロキシエチルアクリレート 9.3g(80ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 1.2g、ジクロロメタン 150mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 940mg(96ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン 50mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、式(14)に示す化合物 11gを得た。
【0170】
【化53】
【0171】
次いで、撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記の式(14)に示す化合物 5g(7.7ミリモル)、4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニル 7.6g(31ミリモル)、トリエチルアミン 6.2g(62ミリモル)、テトラブチルアンモニウムブロミド 10g(31ミリモル)、酢酸パラジウム 250mg、ジメチルホルムアミド 300mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を70℃に加熱し反応させた。反応終了後、酢酸エチル、THFを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(15)に示す化合物 7.6gを得た。
【0172】
【化54】
【0173】
さらに、上記の式(15)に示す化合物 5g(3.8ミリモル)、アクリル酸クロリド 1.5g(16.6ミリモル)、ジクロロメタン 50mlを、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。その後、トリエチルアミン 1.7g(16.6ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、20℃以下で3時間反応させた。反応終了後、ジクロロメタンを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(16)に示す目的の化合物 4gを得た。
【0174】
【化55】
【0175】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:4.48(m,8H),4.56(m,8H),5.90(d,4H),6.10−6.30(m,4H),6.40−6.50(m,4H)6.66(d,4H),7.15(m,8H),7.44−7.49(m,12H),7.59−7.62(m,8H),7.76(m,8H),8.24(s,2H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:61.8,63.3,116.2,122.1,126.9,127.5,127.8,129.5,129.6,134.1,140.0,145.1,150.2,164.3,166.5
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809 cm
−1
(実施例5)
ベンジルオキシフェノール 10g(50ミリモル)、ドデカンジカルボン酸 5.75g(25ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 300mg、ジクロロメタン 150mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 7.56(60ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン 50mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、メタノールによる分散洗浄を行い、式(17)に示す化合物を13g得た。
【0176】
【化56】
【0177】
次いで、上記の式(17)に示す化合物13gをテトラヒドロフラン80mlに溶解させ、250mlのオートクレーブに仕込んだ。更にエタノール20ml、5%パラジウムカーボン600mgを加え、水素圧0.4Mpaで6時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液を濃縮し、式(18)に示す化合物を9g得た。
【0178】
【化57】
【0179】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(18)に示す化合物 9g(22ミリモル)、及び下記の式(19)に示す化合物 16g(43.4ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 260mg、ジクロロメタン 150mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 6.5g(50ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン 200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
【0180】
【化58】
【0181】
溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、ジクロロメタン/メタノールによる再結晶により式(20)に示す目的の化合物 13gを得た。この化合物は、152℃から200℃以上までの温度で液晶相を示した
【0182】
【化59】
【0183】
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:1.26−1.30(m,12H),1.52(t,4H),2.11(m,4H),2.20−2.25(m,4H),2.30(t,4H),4.10−4.15(m,4H),4.20−4.25(m,4H),6.31(s,2H),6.40(m,2H),6.44−6.48(m,2H),7.02−7.05(m,4H),7.24−7.26(m,8H),7.44−7.48(m,6H),7.59(m,4H),7.62−7.68(m,4H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:18.3,25.0,25.9,28.8,29.3,29.6,33.5,34.2,61.8,64,9,114.9,115.5,122.0,122.2,126.9,127.8,129.3,129.7,132.4,134.1,136.0,142.3,143.8,148.1,158.5,165.9,166.8
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809 cm
−1
(実施例6)
以下に示す組成の重合性液晶組成物(組成物1)を調製した。
【0184】
【化60】
【0185】
重合性液晶組成物は、良好な相溶安定性を有し、ネマチック液晶相を示した。この組成物に光重合開始剤 イルガキュアー907(チバスペシャリティーケミカル社製)を3%添加して重合性液晶組成物(組成物2)を調製した。この組成物2のシクロヘキサノン溶液を、ポリイミド付きガラスにスピンコートし、これに高圧水銀ランプを用いて4mW/cm
2の紫外線を120秒間照射したところ、組成物2が均一な配向状態を保ったまま重合し、光学異方体が得られた。この光学異方体の表面硬度(JIS−S−K−5400による)はHであった。得られた光学異方体の加熱前の位相差を100%としたとき、240℃、1時間加熱後の位相差は90%であり、位相差減少率は10%だった。
【0186】
(比較例1)
以下に示す組成の重合性液晶組成物(組成物3)を調製した。
【0187】
【化61】
【0188】
重合性液晶組成物は、ネマチック液晶相を示したが、溶解性が悪く室温1時間で結晶が析出した。
【0189】
(比較例2)
以下に示す組成の重合性液晶組成物(組成物4)を調製した。
【0190】
【化62】
【0191】
重合性液晶組成物は、良好な保存安定性を有し、ネマチック液晶相を示した。この組成物に光重合開始剤 イルガキュアー907(チバスペシャリティーケミカル社製)を3%添加して重合性液晶組成物(組成物5)を調製した。この組成物5を用い実施例6と同様な方法により光学異方体を得た。得られた光学異方体はラビング処理を施した、組成物5が均一な配向状態を保ったまま重合していることが確認できた。この光学異方体の表面硬度(JIS−S−K−5400による)はFであった。得られた光学異方体の加熱前の位相差を100%としたとき、240℃、1時間加熱後の位相差は82%であり、位相差減少率は18%だった。
【0192】
このように、比較例2の組成物5は、本願発明の組成物2と比較して、作製できる光学異方体の位相差減少率が大きく、耐熱性に劣ることが明らかである。又、表面硬度Fと不十分なものであった。
【0193】
(実施例6)
下記に示す化合物を含有した液晶組成物LC−1を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0194】
【化63】
【0195】
液晶物性項目
Tniはネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)、Δnは20℃における屈折率異方性、Δεは25℃における誘電率異方性を示す。
【0196】
上記LC−1の液晶物性は以下の通りであった。
【0197】
Tni:85℃、 Δε:5.5、 Δn:0.090
上記液晶組成物LC−1に、実施例1で合成した式(5)で表される化合物を0.3%添加した。この重合性化合物含有液晶組成物は−10℃で1週間保管しても析出は見られず、保存安定性に優れていた。この重合性化合物含有組成物を3.5μmの配向処理を施したポリイミド付きガラスセル注入し、紫外線を10J照射後、ガラスセルから液晶組成物を抽出し、高速液体クロマトグラフィーで残存モノマーを分析したが、検出限界以下であった。
【0198】
(実施例7)
下記に示す化合物を含有した液晶組成物LC−2を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0199】
【化64】
【0200】
液晶物性項目
Tniはネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)、Δnは20℃における屈折率異方性、Δεは25℃における誘電率異方性を示す。
【0201】
上記LC−1の液晶物性は以下の通りであった。
【0202】
Tni:78.3℃、 Δε:−2.59、 Δn:0.101
上記液晶組成物LC−2(100質量部)に、実施例1で合成した式(5)で表される化合物を0.15質量部添加した。この重合性化合物含有液晶組成物は−10℃で1週間保管しても析出は見られず、保存安定性に優れていた。この重合性化合物含有組成物を3.5μmの配向処理を施したポリイミド付きガラスセル注入し、紫外線を10J照射後、ガラスセルから液晶組成物を抽出し、高速液体クロマトグラフィーで残存モノマーを分析したが、検出限界以下であった。