(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271405
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】ゼオライト膜を用いた脱水方法
(51)【国際特許分類】
B01D 61/36 20060101AFI20180122BHJP
B01D 71/02 20060101ALI20180122BHJP
C01B 39/14 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
B01D61/36
B01D71/02
C01B39/14
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-246591(P2014-246591)
(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公開番号】特開2016-107201(P2016-107201A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】三井造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正和
【審査官】
河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−035163(JP,A)
【文献】
米国特許第07585490(US,B1)
【文献】
特開平11−011938(JP,A)
【文献】
特開平06−107411(JP,A)
【文献】
特開2014−028333(JP,A)
【文献】
特開2005−075702(JP,A)
【文献】
特開2006−263561(JP,A)
【文献】
特表2014−526429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00 − 71/82
C02F 1/44
B01J 20/00 − 20/34
C01B 33/20 − 39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水および有機化合物を含む被処理体をゼオライト膜に接触させて水を分離する脱水方法であって、前記被処理体をゼオライト膜に接触させる脱水工程の前に、前記被処理体をゼオライト系固形混合物に接触させる前処理工程を有し、前記ゼオライト系固形混合物として、下記の製造工程1および2により調製された固形混合物を使用することを特徴とするゼオライト膜を用いた脱水方法。
製造工程1;前記ゼオライト膜を合成するとともに廃ゲルを排出する工程、
製造工程2;前記廃ゲルを、温度70〜250℃で5〜200時間反応させて、ゲルを含むゼオライト系固形混合物を合成する工程。
【請求項2】
前記製造工程2において、ゼオライト前駆体および/または微結晶を更に含むゼオライト系固形混合物が合成されることを特徴する請求項1に記載のゼオライト膜を用いた脱水方法。
【請求項3】
前記前処理工程の前または後に、前記被処理体を加熱手段により昇温または蒸気化させる加熱工程を有し、この昇温または蒸気化した被処理体を前記脱水工程に供給することを特徴する請求項1または2に記載のゼオライト膜を用いた脱水方法。
【請求項4】
前記ゼオライト膜が、NaA型ゼオライト膜、T型ゼオライト膜、Y型ゼオライト膜、ZSM−5型ゼオライト膜から選ばれることを特徴する請求項1〜3のいずれかに記載のゼオライト膜を用いた脱水方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト膜を長寿命化するようにした脱水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水等を不純物として含むバイオエタノールから水を分離し高純度のエタノールを精製する方法や、被汚染水からPCBなどの有害物質を分離除去する方法として、ゼオライト膜を用いた脱水方法が積極的に採用されている。水を含む液体混合物または気体混合物を、ゼオライト膜を用いて脱水する方法としては、液体混合物を分離膜の片側(供給側)に接触させて、反対側(透過側)を減圧することにより、水(透過物質)を気化させ分離するパーベーパレーション法(浸透気化法)、気体混合物または液体混合物を蒸気状態で供給し分離膜に接触させて、透過側を減圧して水蒸気を分離するベーパーパーミエイション法などがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
これら膜分離法の商業プラントは、耐熱性および耐薬品に優れたゼオライト膜を円筒状に形成し、これを多数本配置した膜モジュールを使用している。しかし、高い濃度の水分を含む液体混合物および気体混合物をゼオライト膜を用いて脱水操作(膜分離)を行うと、ゼオライト膜が加水分解を起こすため膜劣化が進み、ゼオライト膜の寿命が短くなることが問題になっていた。一つの膜モジュール内に配置された円筒状ゼオライト膜の本数は約38〜2250本であり、高価なゼオライト膜を比較的短期間に多数交換することは、多額の費用と多大な労力がかかりゼオライト膜を用いた脱水の処理コストが増大することが懸念されていた。
【0004】
非特許文献1では、水分濃度が10重量%、50重量%、80重量%の3種類の水/エタノール混合液を、NaA型ゼオライト膜を使用し70℃で脱水処理した結果、10重量%の混合液を除きゼオライト膜が劣化し脱水処理を継続することができなかった。このように被処理体の水分濃度が高くなるとゼオライト膜の劣化が顕著になるという問題があった。
【0005】
特許文献2は、膜分離操作の前処理として、前処理装置内に充填したゼオライト粒子に被処理体を接触させた後、その被処理体をゼオライト膜で分離する方法を提案している。このゼオライト膜を用いた膜分離方法は、ゼオライト膜を長寿命化する効果が認められるものの、前処理装置内にゼオライト粒子を充填することにより、前処理コストが高くなるという課題があった。またゼオライト膜の長寿命化に対する需要者の要求レベルはより高いものであり、ゼオライト膜を一層長寿命化することが求められている。特に30重量%を超える高い水分濃度の被処理体を処理する場合でもゼオライト膜を長寿命化することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−263561号公報
【特許文献2】特開2012−35163号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Y. Li, et al., "Hydrothermal stability of LTA zeolite membranes in pervaporation", J. Membr. Sci. 297, 10 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ゼオライト膜を長寿命化するようにした脱水方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のゼオライト膜を用いた脱水方法は、水および有機化合物を含む被処理体をゼオライト膜に接触させて水を分離する脱水方法であって、前記被処理体をゼオライト膜に接触させる脱水工程の前に、前記被処理体をゼオライト系固形混合物に接触させる前処理工程を有し、前記ゼオライト系固形混合物として、下記の製造工程1および2により調製された固形混合物を使用することを特徴とする。
製造工程1;前記ゼオライト膜を合成するとともに廃ゲルを排出する工程、
製造工程2;前記廃ゲルを、温度70〜250℃で5〜200時間反応させて、ゲ
ルを含むゼオライト系固形混合物を合成する工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゼオライト膜を用いた脱水方法は、被処理体をゼオライト膜に接触させて脱水する前に、ゲル
を含み、任意にゼオライト前駆体および/または微結晶を含むゼオライト系固形混合物に、被処理体を接触させる前処理を行うようにしたので、被処理体がゼオライト膜の加水分解に対し平衡状態になるため、この被処理体をゼオライト膜に接触させても、ゼオライト膜が加水分解するのを抑制することができる。したがって、水分濃度が高い被処理体をゼオライト膜に接触させ脱水処理した場合でもゼオライト膜の寿命を短くすることがない。また、ゼオライト膜の劣化因子となる不純物(例えば有機酸等)を含有する被処理体の脱水処理においてもゼオライト膜の寿命を短くすることがない。
【0011】
本発明の脱水方法は、前記前処理工程の前または後に、前記被処理体を加熱手段により昇温または蒸気化させる加熱工程を有し、この昇温または蒸気化した被処理体を前記脱水工程に供給することができる。
【0012】
本発明で使用するゼオライト膜としては、NaA型ゼオライト膜、T型ゼオライト膜、Y型ゼオライト膜、ZSM−5型ゼオライト膜から選ぶことができる。これら親水性が高いゼオライト膜を使用することにより、脱水効率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のゼオライト膜を用いた脱水方法の実施形態の一例を示すプロセスフローの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のゼオライト膜を用いた脱水方法は、液体混合物または気体混合物からなる被処理体に対しゼオライト膜を使用したパーベーパレーション法、ベーパーパーミエイション法、気相分離法のいずれの膜分離操作にも使用することができる。
【0015】
図1は、本発明のゼオライト膜を用いた脱水方法の実施形態の一例を示すプロセスフローの説明図である。
【0016】
図1において、本発明のゼオライト膜を用いた脱水方法を適用した膜分離システムは、前処理装置1、膜モジュール2、加熱手段3、透過物捕集手段4、供給ポンプ5からなる。水および有機化合物を含む被処理体Rは、供給ポンプ4により加圧され、前処理装置1で処理された後に膜モジュール2に導入される。膜モジュール2に導入された被処理体は、ゼオライト膜で脱水操作(膜分離)が行われ、被処理体中の水分は、ゼオライト膜を透過し、透過物捕集手段4で凝縮され、透過水Wとして取り出される。また有機化合物はゼオライト膜を透過せず、脱水された有機化合物P(製品)として取り出される。
【0017】
なお、図示の例のように、供給ポンプ5と前処理装置1の間に加熱手段3を設け、被処理体を昇温または蒸気化して前処理装置1に送り、前処理を行った後に昇温または蒸気化した被処理体を、膜モジュール2へ供給してもよい。或いは加熱手段3を前処理装置1と膜モジュール2の間に設けてもよい。このとき前処理を行った被処理体を、昇温または蒸気化させて、前処理装置1に供給することになる。いずれも場合も、膜モジュール2での脱水効率を高くすることができる。
【0018】
本発明のゼオライト膜を用いた脱水方法は、先ず前処理工程で水および有機化合物を含む被処理体を、ゼオライト系固形混合物に接触させた後、脱水工程に移送し、ゼオライト膜に接触させて脱水する。ここでゼオライト系固形混合物は、ゼオライト膜の合成に使用した廃ゲルから調製されたゲル、ゼオライト前駆体および/または微結晶からなる。これらゼオライト系固形混合物の化学組成は、脱水工程で使用するゼオライト膜の化学組成と実質的に同じである。このため被処理体を予めゼオライト系固形混合物に接触させると、ゲル、ゼオライト前駆体および微結晶を加水分解させることにより、被処理体自らが化学平衡の状態になる。このように加水分解について化学平衡状態になった被処理体を、脱水工程に供しゼオライト膜に接触させても、ゼオライト膜を加水分解させることがない、或いは加水分解を大幅に抑制することができる。ゼオライト膜の劣化因子となる不純物を含有する被処理体についても同様に、この被処理体を予めゼオライト系固形混合物に接触させると、ゲル、ゼオライト前駆体および微結晶により原因物質に対し化学平衡状態になるように処理し、ゼオライト膜が劣化するのを抑制することができる。
【0019】
本発明において、ゼオライト系固形混合物は、下記の製造工程1および2により調製された固形混合物である。
製造工程1;脱水工程で使用するゼオライト膜を合成するとともに廃ゲルを排出する工程、
製造工程2;製造工程1で得られた廃ゲルを、温度70〜250℃で5〜200時間反応させることにより、ゲル、ゼオライト前駆体および/または微結晶を含むゼオライト系固形混合物を合成する工程。
【0020】
製造工程1では、ゼオライト膜を通常の条件で合成するとともに、その反応液の残渣である廃ゲルを得る。このゼオライト膜は、脱水工程で使用する親水性が高い分離膜であり、水および有機化合物を含む被処理体を膜分離し、水を除去するのに有利である。このようなゼオライト膜としては、例えばNaA型ゼオライト膜、T型ゼオライト膜、Y型ゼオライト膜、ZSM−5型ゼオライト膜を挙げることができる。ゼオライト膜の合成は、通常の原材料を使用し、通常の合成方法および条件で行うことができる。製造工程1では、ゼオライト膜とともに、廃ゲルを取得する。廃ゲルは、ゼオライト膜を合成した反応液の残渣であり、通常の方法により、合成されたゼオライト膜と分離し、製造工程2に供される。
【0021】
製造工程2では、得られた廃ゲルを、温度70〜250℃で、5〜200時間反応させることにより、ゲル、ゼオライト前駆体および/または微結晶を含むゼオライト系固形混合物を合成する。製造工程1で得られた廃ゲルは、そのまま使用することができる。また不純物や反応阻害物を取り除いたり、そのゲル組成を微調整したりした後、反応させることもできる。
【0022】
製造工程2で廃ゲルを反応させる条件は、温度70〜250℃、合成時間5〜200時間である。この製造工程2の反応条件は、製造工程1におけるゼオライト膜を合成するときに適用される通常の合成条件と同じにすることが好ましい。廃ゲルの反応条件をゼオライト膜の合成条件と同じにすることにより、ゼオライト系固形混合物の性状をゼオライト膜に近似させることができ、好ましい。
【0023】
製造工程2で合成されるゼオライト系固形混合物は、ゲル、ゼオライト前駆体、ゼオライト微結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む固形混合物である。ここでゲルは反応しなかった廃ゲル、ゼオライト前駆体は廃ゲルの反応により生成したゼオライトの前駆体、ゼオライト微結晶は廃ゲルの反応により生成したゼオライトの微結晶で膜を形成していないものである。
【0024】
本発明の脱水方法において、前処理工程の前または後に、被処理体を加熱手段により昇温または蒸気化させる加熱工程を行うことができる。これにより加水分解に対し化学平衡状態になり、かつ昇温または蒸気化した被処理体を脱水工程に供給し、ゼオライト膜に接触させることにより、脱水効率をより高くすることができる。
【0025】
本発明で使用する前処理装置として、ゼオライト系固形混合物を充填した充填塔を例示することができる。この充填塔は加熱手段を有してもよい。被処理体を充填塔に導入しゼオライト系固形混合物に接触させるとともに加熱して、昇温または蒸気化した被処理体を、膜モジュールへ供給することができる。或いは加熱手段として蒸気加熱装置等を用いるとき、この蒸気加熱装置の内部にゼオライト系固形混合物を入れてもよい。このときも被処理体を加水分解に対し化学平衡状態にするとともに昇温または蒸気化することができる。
【0026】
本発明で脱水処理する被処理体は、液体混合物または気体混合物である。被処理体は、例えばアルコール類、カルボン酸類、ケトン類またはハロゲン化炭化水素等の有機化合物と、水との混合物を挙げることができる。アルコール類としてはメタノール、エタノール、イソプロパノールなどが例示される。カルボン酸類としては酢酸、プロピオン酸、酪酸などが例示される。ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトンなど、ハロゲン化炭化水素としては四塩化炭素、トリクロロエチレンなどが例示される。特に、水−エタノール、水−プロパノール、水−酢酸などの脱水分離においては、処理能力、すなわち全透過量および分離係数が高く、高い分離性能を得ることができる。
【0027】
被処理体は水を必ず含み、被処理体中の水分濃度は好ましくは30重量%以上、より好ましくは95〜30重量%、更に好ましくは90〜30重量%であるとよい。被処理体の水分濃度が30重量%未満であると、前処理装置がなくてもゼオライト膜単独で処理することができ、本発明の効果を十分に奏することができない。
【0028】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例により限定するものではない。
【実施例】
【0029】
実施例1
脱水工程で使用するNaA型ゼオライト膜を、ステンレス製合成容器を使用し、組成比をAl
2O
3:SiO
2:Na
2O:H
2O=1:2:2:120にした原材料を用いて、合成圧力が1atm、合成温度が100℃、反応時間が3.5時間の合成条件で作製した。同時に廃ゲル1000gを得た。
【0030】
上記で得られた廃ゲル1000gをPP容器(ポリプロピレン製容器)に入れ、100℃に保持された恒温槽で19時間加熱した結果、ゼオライト系固形混合物101gを得た。このゼオライト系固形混合物は、ゲル、ゼオライト前駆体および微結晶を含むことを誘導結合プラズマ発光分析、X線回折、および電界放射型走査電子顕微鏡により確認した。得られたゼオライト系固形混合物のうち20gを内径5mmのステンレス管に充填し、前処理装置とした。
【0031】
被処理体として、水90重量%、イソプロパノール10重量%からなるIPA水溶液を調製した。このIPA水溶液を
図1に示した膜分離システムを用いて脱水処理した。IPA水溶液の供給量は、2.4g/分になるように供給ポンプを調整した。加熱手段として150℃の電気炉内を通した内径4mmのステンレス製蒸発管を用い、この蒸発管にIPA水溶液を流して昇温、蒸気化した。蒸気化したIPA水溶液を、125℃に温調した前処理装置に通し、ゼオライト系固形混合物と接触させた。この前処理したIPA水溶液を、125℃に温調した膜モジュールに供給した。なお、蒸発管から膜モジュールまでの配管は、リボンヒータで125℃に温調した。
【0032】
膜モジュールに使用したゼオライト膜は、上記で合成した円筒形をしたNaA型ゼオライト膜(直径12mm、膜長40mm、膜面積0.00151m
2)とし、蒸気温度125℃、膜1次側圧力(系内圧力)0.33MPaG、膜2次側圧力0.80kPa(6Torr)の条件で、パーベーパレーション法(浸透気化法)により、水を透過させ脱水処理を行った。脱水処理の開始からの経過時間に対し、透過液流量[g/時]、水換算の透過液流束[kg/m
2時]、透過液中の水濃度[重量%]、透過液中のIPA濃度[重量%]を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
実施例1で行った脱水方法では、27時間経過後も、透過液の水濃度が99.9重量%、透過液流束が9kg/m
2時と大きな流束を維持しており、ゼオライト膜が劣化した兆候が認められないことが確認された。
【0035】
比較例1
実施例1の脱水方法において、前処理装置をバイパスするように配管し前処理工程を行わなかったことを除き、実施例1と同様に脱水処理を行った。比較例1の脱水処理の開始後の経過時間に対する、透過液流量[g/時]、水換算の透過液流束[kg/m
2時]、透過液中の水濃度[重量%]、透過液中のIPA濃度[重量%]を測定し、得られた結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
比較例1で行った脱水方法では、前処理工程を行わなかったので、透過液の水濃度が5時間経過後に99.35重量%、7時間経過後に93.63重量%と悪化した。比較例1の脱水方法でゼオライト膜が劣化した兆候が認められたのは5時間経過後であった。比較例1におけるゼオライト膜の寿命が、実施例1のゼオライト膜と比べ大幅に低下したことが確認された。
【符号の説明】
【0038】
1 前処理装置
2 膜モジュール
3 加熱手段
4 透過物捕集手段
5 供給ポンプ
R 被処理体
P 脱水された有機化合物
W 透過水