特許第6272689号(P6272689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6272689ビット深度分解割当装置、ビット深度結合復元装置、画像符号化装置、画像復号装置、及びこれらのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6272689
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】ビット深度分解割当装置、ビット深度結合復元装置、画像符号化装置、画像復号装置、及びこれらのプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/41 20060101AFI20180122BHJP
   H04N 19/30 20140101ALI20180122BHJP
   H04N 19/88 20140101ALI20180122BHJP
【FI】
   H04N1/41 B
   H04N19/30
   H04N19/88
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-264944(P2013-264944)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-122605(P2015-122605A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年10月31日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】井口 和久
(72)【発明者】
【氏名】松尾 康孝
(72)【発明者】
【氏名】千田 和博
(72)【発明者】
【氏名】境田 慎一
【審査官】 松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−303690(JP,A)
【文献】 特開平05−022751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00− 1/64
H04N 19/00−19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のビット深度を有する高ビット深度画像の画像信号を、当該所定のビット深度よりも低いビット深度を有する複数の低ビット深度画像の画像信号に分解して割り当てるビット深度分解割当装置であって、
前記高ビット深度画像の画像信号における各ビットを予め指定したビット単位で複数種に分解し、当該分解した複数種の各ビットを前記複数種に対応する複数の低ビット深度画像の画像信号用に割り当てるビット深度分解割当手段と、
当該割り当てられた各ビットについて当該高ビット深度画像の画像信号における最上位ビット側からの深度順位を維持して、上位のビット位置から順に配列することにより、当該複数の低ビット深度画像の画像信号の各々を生成する低ビット深度信号生成手段と、
を備え
前記複数の低ビット深度画像に対して、複数種類の圧縮率での画像符号化処理が予定されている際に、
前記ビット深度分解割当手段は、前記高ビット深度画像の画像信号のビット深度について、上位ビット、中位ビット及び下位ビットの3種類のビット領域に分類されたビット領域の各ビットを当該複数種類の数に応じて複数種に分解し、当該分解した複数種の各ビットを上位からのビット順位を優先して、前記複数種に対応する複数の低ビット深度画像の画像信号用に割り当てる手段を有し、
前記上位ビットのビット領域に属するビットは、前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像符号化処理が予定されている低ビット深度画像の画像信号用に割り当て、
前記下位ビットのビット領域に属するビットは、前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の高い画像符号化処理が予定されている低ビット深度画像の画像信号用に割り当て、
前記中位ビットのビット領域に属するビットは、前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像符号化処理が予定されているものから順に、ビット単位で前記複数の低ビット深度画像の画像信号用に順次割り当てるように構成されていることを特徴とするビット深度分解割当装置。
【請求項2】
前記ビット深度分解割当手段は、前記高ビット深度画像の画像信号について、n種類に分解する際に、nを法とする剰余でビット位置を分解し、当該分解したn種類の各ビットを前記n種類に対応する複数の低ビット深度画像の画像信号用に割り当てる手段を有することを特徴とする、請求項1に記載のビット深度分解割当装置。
【請求項3】
所定のビット深度を有する複数の低ビット深度画像の画像信号を、当該所定のビット深度よりも高いビット深度を有する高ビット深度画像の画像信号用に結合するビット深度結合復元装置であって、
当該複数の低ビット深度画像の画像信号を受信する低ビット深度信号受信手段と、
当該受信した複数の低ビット深度画像の画像信号の各ビットを分解し、当該高ビット深度画像の画像信号における最上位ビット側からの深度順位を維持して結合することにより前記高ビット深度画像の画像信号を再構成し、前記高ビット深度画像を復元するビット深度結合復元手段と、
を備え
前記複数の低ビット深度画像が複数種類の圧縮率での画像復号処理が施されたものであり、当該複数の低ビット深度画像の各々の画像信号が高ビット深度画像の画像信号のビット深度について、上位ビット、中位ビット及び下位ビットの3種類のビット領域に分類されたビット領域の各ビットが当該複数種類の数に応じて複数種に分解されたものである際に、
前記ビット深度結合復元手段は、当該複数の低ビット深度画像の画像信号について、当該複数種類の圧縮率の画像復号処理に応じて前記高ビット深度画像の画像信号を再構成するために、
前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像復号処理が施された画像信号から、前記上位ビットのビット領域に属するビットを抽出し、
前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の高い画像復号処理が施された画像信号から、前記下位ビットのビット領域に属するビットを抽出し、
前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像復号処理が施された画像信号から順に、ビット単位で前記中位ビットのビット領域に属するビットを抽出することにより、前記高ビット深度画像の画像信号を復元するように構成されていることを特徴とするビット深度結合復元装置。
【請求項4】
当該複数の低ビット深度画像の各々の画像信号が高ビット深度画像の画像信号についてnを法とする剰余でビット位置をn種類に分解されたものである際に、
前記ビット深度結合復元手段は、当該分解されたn種類の各ビットに対応するよう前記複数の低ビット深度画像の画像信号を分解し、前記高ビット深度画像の画像信号用に結合する手段を有することを特徴とする、請求項に記載のビット深度結合復元装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1又は2に記載のビット深度分解割当装置として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
コンピュータを、請求項3又は4に記載のビット深度結合復元装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの高ビット深度画像を複数の低ビット深度画像に変換して伝送する技術に関し、特に、高ビット深度画像信号を複数の低ビット深度画像信号用に分解して割り当てるビット深度分解割当装置、複数の低ビット深度画像信号を高ビット深度画像信号用に結合するビット深度結合復元装置、高ビット深度画像信号のビット深度を分解して変換し複数の低ビット深度画像信号を生成して符号化する画像符号化装置、符号化された複数の低ビット深度画像信号を復号し結合して高ビット深度画像を復元する画像復号装置、及びこれらのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の一般的な画像符号化装置では、符号化対象とする画像のビット深度は8ビットもしくは10ビットであり、特に8ビットのみを対象とする場合も多い。一方、高ビット深度画像として、10ビット、12ビットあるいは16ビットの画像が扱われる。これらの高ビット深度画像を当該一般的な画像符号化装置により符号化する場合の技法は、大きく分けて、高ビット深度画像を低ビット深度画像にマッピングして符号化する技法と、高ビット深度画像を複数の低ビット深度画像に分離して符号化する技法の2種類が知られている。
【0003】
(高ビット深度画像を低ビット深度画像にマッピングして符号化する技法)
高ビット深度画像を低ビット深度画像にマッピングして符号化する技法は、高ビット深度画像を低ビット深度画像にマッピングし、低ビット深度画像を当該一般の画像符号化装置により符号化することが基本となっている。復号側では、低ビット深度画像を復号し、逆マッピングにより高ビット深度画像に戻すことになる。マッピングの方法や、原画の高ビット深度画像と復号した高ビット深度画像との差に関する補助情報を符号化側から復号側に伝送する技法についても、様々な技法がある。
【0004】
例えば、高ビット深度画像に対し、そのヒストグラムに基づくLloyd‐Max量子化法により低ビット深度画像を求め、得られた低ビット深度画像信号を符号化するとともに、量子化代表値のコードブックを符号化して伝送する技法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、典型的なビット深度変換符号化技法が、従来技術として開示されている。
【0005】
(高ビット深度画像を複数の低ビット深度画像に分離して符号化する技法)
一方、高ビット深度画像を複数の低ビット深度画像に分離して符号化する技法の例として、高ビット深度画像の画像信号を複数の低ビット深度画像の画像信号に分離し、当該一般の画像符号化装置を複数用いて符号化する技法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1の技法では、モノクロの16ビット深度画像信号を、最上位ビット(MSB)側8ビットと最下位ビット(LSB)側8ビットに分離し、このMSB側8ビットを輝度信号に、LSB側8ビットを色差信号に割り当てて、カラー信号として符号化する。復号側では、輝度信号・色差信号により符号化された低ビット深度画像信号を復号し、当該MSB側8ビットを上位側に、LSB側8ビットを下位側にして、単純に結合することにより、モノクロの16ビット深度画像を復元する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5027171号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】E. Francois, et al., “AHG18: On 16-bits support for Range Extensions”,JCTVC-N0142, JCT-VC, MPEG-H, July 23, 2013,[online]、[平成25年11月21日検索]、インターネット〈URL:http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/current_document.php?id=7858〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術において、高ビット深度画像を低ビット深度画像にマッピングして符号化する技法では、当該一般的な符号化装置に加え、マッピング・逆マッピングする装置や、高ビット深度画像の残差信号を符号化する装置が必要となり、構成が複雑となるという問題がある。
【0009】
一方、高ビット深度画像を複数の低ビット深度画像に分離して符号化する技法では、当該一般的な符号化装置に加え、ビットの分解・結合という極めて簡便な装置の追加で済むため構成が簡易である。しかし、この技法では、復元時の高ビット深度画像の画質が劣化しやすいという問題がある。
【0010】
例えば、非特許文献1の技法に関する原理と課題について、図6に示す。非特許文献1の技法では、16ビット深度のモノクロ画像の原画(16ビット画像信号)について(図6(A))、MSB側8ビットとLSB側8ビットに“分離”し(図6(B))、得られた2つの8ビット画像信号(図6(C))に対してそれぞれ画像符号化処理を施し(図6(D))、符号化ストリーム(図6(E))を得る。復号側では、符号化ストリームに対して画像復号処理を施し(図6(F))、2つの8ビット復号画像信号を得る(図6(G))。一般に、符号化画像では上位ビットより下位ビットの方に劣化が現れやすい。そこで、図6(G)では、色の濃さとして模式的に符号化劣化を示している(色が濃いほど劣化が大きいことを表す)。次に、2つの8ビット復号画像信号について、MSB側8ビットを上位側に、LSB側8ビットを下位側にして、“単純に結合する”ことにより(図6(H))、16ビット深度の画像信号を復元し、16ビット深度のモノクロ画像を出力として得る(図6(I))。
【0011】
一般に、上位ビットが劣化するほど符号化画質は低下する。このため、非特許文献1の技法で得られる復元した高ビット深度画像は、図6(I)に色の濃淡で表すように、下位8ビット中の上位ビットの劣化より、上位8ビット中の下位ビットの劣化が大きくなる(大きくなりやすい)という問題がある。
【0012】
本発明の目的は、上述の問題を鑑みて為されたものであり、高ビット深度画像と複数の低ビット深度画像との間でビット深度変換を行ない、高ビット深度画像の復元時の画質劣化を低減させるための装置として、高ビット深度画像信号を複数の低ビット深度画像信号用に分解して割り当てるビット深度分解割当装置、複数の低ビット深度画像信号を高ビット深度画像信号用に結合するビット深度結合復元装置、高ビット深度画像信号のビット深度を分解して変換し複数の低ビット深度画像信号を生成して符号化する画像符号化装置、符号化された複数の低ビット深度画像信号を復号し結合して高ビット深度画像を復元する画像復号装置、及びこれらのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のビット深度分解割当装置は、所定のビット深度を有する高ビット深度画像の画像信号を、当該所定のビット深度よりも低いビット深度を有する複数の低ビット深度画像の画像信号に分解して割り当てるビット深度分解割当装置であって、前記高ビット深度画像の画像信号における各ビットを予め指定したビット単位で複数種に分解し、当該分解した複数種の各ビットを前記複数種に対応する複数の低ビット深度画像の画像信号用に割り当てるビット深度分解割当手段と、当該割り当てられた各ビットについて当該高ビット深度画像の画像信号における最上位ビット側からの深度順位を維持して、上位のビット位置から順に配列することにより、当該複数の低ビット深度画像の画像信号の各々を生成する低ビット深度信号生成手段と、を備え、前記複数の低ビット深度画像に対して、複数種類の圧縮率での画像符号化処理が予定されている際に、前記ビット深度分解割当手段は、前記高ビット深度画像の画像信号のビット深度について、上位ビット、中位ビット及び下位ビットの3種類のビット領域に分類されたビット領域の各ビットを当該複数種類の数に応じて複数種に分解し、当該分解した複数種の各ビットを上位からのビット順位を優先して、前記複数種に対応する複数の低ビット深度画像の画像信号用に割り当てる手段を有し、前記上位ビットのビット領域に属するビットは、前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像符号化処理が予定されている低ビット深度画像の画像信号用に割り当て、前記下位ビットのビット領域に属するビットは、前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の高い画像符号化処理が予定されている低ビット深度画像の画像信号用に割り当て、前記中位ビットのビット領域に属するビットは、前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像符号化処理が予定されているものから順に、ビット単位で前記複数の低ビット深度画像の画像信号用に順次割り当てるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のビット深度分解割当装置において、前記ビット深度分解割当手段は、前記高ビット深度画像の画像信号について、n種類に分解する際に、nを法とする剰余でビット位置を分解し、当該分解したn種類の各ビットを前記n種類に対応する複数の低ビット深度画像の画像信号用に割り当てる手段を有することを特徴とする。
【0016】
更に、本発明のビット深度結合復元装置は、所定のビット深度を有する複数の低ビット深度画像の画像信号を、当該所定のビット深度よりも高いビット深度を有する高ビット深度画像の画像信号用に結合するビット深度結合復元装置であって、当該複数の低ビット深度画像の画像信号を受信する低ビット深度信号受信手段と、当該受信した複数の低ビット深度画像の画像信号の各ビットを分解し、当該高ビット深度画像の画像信号における最上位ビット側からの深度順位を維持して結合することにより前記高ビット深度画像の画像信号を再構成し、前記高ビット深度画像を復元するビット深度結合復元手段と、を備え、前記複数の低ビット深度画像が複数種類の圧縮率での画像復号処理が施されたものであり、当該複数の低ビット深度画像の各々の画像信号が高ビット深度画像の画像信号のビット深度について、上位ビット、中位ビット及び下位ビットの3種類のビット領域に分類されたビット領域の各ビットが当該複数種類の数に応じて複数種に分解されたものである際に、前記ビット深度結合復元手段は、当該複数の低ビット深度画像の画像信号について、当該複数種類の圧縮率の画像復号処理に応じて前記高ビット深度画像の画像信号を再構成するために、前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像復号処理が施された画像信号から、前記上位ビットのビット領域に属するビットを抽出し、前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の高い画像復号処理が施された画像信号から、前記下位ビットのビット領域に属するビットを抽出し、前記複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像復号処理が施された画像信号から順に、ビット単位で前記中位ビットのビット領域に属するビットを抽出することにより、前記高ビット深度画像の画像信号を復元するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のビット深度結合復元装置において、当該複数の低ビット深度画像の各々の画像信号が高ビット深度画像の画像信号についてnを法とする剰余でビット位置をn種類に分解されたものである際に、前記ビット深度結合復元手段は、当該分解されたn種類の各ビットに対応するよう前記複数の低ビット深度画像の画像信号を分解し、前記高ビット深度画像の画像信号用に結合する手段を有することを特徴とする。
【0021】
更に、本発明による一態様のプログラムを、本発明のビット深度分解割当装置として機能させるためのプログラムである。
【0022】
更に、本発明による別態様のプログラムを、本発明のビット深度結合復元装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、1つの高ビット深度画像を複数の低ビット深度画像に変換して伝送する際に、簡易な構成で、復元した高ビット深度画像の画質劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による一実施形態のビット深度分解割当装置と、2つの低ビット深度信号符号化装置とを備える画像符号化システムの概略を示すブロック図である。
図2】本発明による一実施形態のビット深度結合復元装置と、2つの低ビット深度信号復号装置とを備える画像復号システムの概略を示すブロック図である。
図3】(A)〜(I)は、本発明による一実施形態のビット深度分解割当装置及びビット深度結合復元装置における一実施例の概略動作を示す説明図である。
図4】本発明による一実施形態の画像符号化装置の概略を示すブロック図である。
図5】本発明による一実施形態の画像復号装置の概略を示すブロック図である。
図6】(A)〜(I)は、従来技術における原理と課題を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず、本発明の理解を容易にするため、以下のように用語を定義する。
・高ビット深度画像 :入力する高ビット深度の画像
(Mビット深度画像信号から構成される画像)
・低ビット深度画像A:高ビット深度画像を2つに分解したときの一方の低ビット深度
の画像(Aビット深度画像信号から構成される画像)
・低ビット深度画像B:高ビット深度画像を2つに分解したときの他方の低ビット深度
の画像(Bビット深度画像信号から構成される画像)
・高ビット深度画像のMSBから順に各ビットをM1,M2,… と呼ぶ。
・低ビット深度画像AのMSBから順に各ビットをa1,a2,… と呼ぶ。
・低ビット深度画像BのMSBから順に各ビットをb1,b2,… と呼ぶ。
【0026】
以下に説明する各実施形態では、主に、16ビット深度の高ビット深度画像を、8ビット深度の低ビット深度画像A,Bの2つに分解する例を示す。
【0027】
まず、本発明による第1実施形態のビット深度分解割当装置及びビット深度結合復元装置について説明する。
【0028】
<第1実施形態>
〔実施例1〕
第1実施形態のビット深度分解割当装置及びビット深度結合復元装置において、複数の実施例が想定され、まず、実施例1について説明する。実施例1は、高ビット深度画像の画像信号(Mビット深度画像信号)のうち、奇数ビットと偶数ビットを2つの低ビット深度画像の画像信号(Aビット深度画像信号及びBビット深度画像信号)へと交互に分解する例である。
【0029】
(ビット深度分解割当装置を備える画像符号化システム)
図1は、本発明による一実施形態のビット深度分解割当装置20と、2つの低ビット深度信号符号化装置30,40とを備える画像符号化システム10のブロック図を示している。
【0030】
まず、16ビットの高ビット深度画像の画像信号(Mビット深度画像信号)がビット深度分解割当装置20に入力される。ビット深度分解割当装置20は、高ビット深度画像信号を複数の低ビット深度画像信号用に分解して割り当てる装置であり、ビット深度分解割当部21、低ビット深度信号生成部22‐1,22‐2及び補助情報生成部23を備える。
【0031】
ビット深度分解割当部21は、Mビット深度画像信号の各ビットを予め指定したビット単位で2種類に分解し、分解した2種類の各ビットをその2種類に対応する2つの低ビット深度画像の画像信号用に割り当て、それぞれ低ビット深度信号生成部22‐1,22‐2に出力する。実施例1では、ビット深度分解割当部21は、Mビット深度画像信号について、奇数ビットと偶数ビットで分解し、分解した奇数ビットと偶数ビットを2つの低ビット深度画像の画像信号用に交互に割り当て、それぞれ低ビット深度信号生成部22‐1,22‐2に出力する。例えば、高ビット深度画像における16ビット深度画像信号(M1,M2,M3,M4,…,M16)を分解し割り当てる場合、奇数ビットであるM1,M3,M5,…,M15を低ビット深度信号生成部22‐1における低ビット深度画像Aの画像信号(a1,a2,…,a8)用に割り当て、偶数ビットであるM2,M4,M6,…,M16を低ビット深度信号生成部22‐2における低ビット深度画像Bの画像信号(b1,b2,…,b8)用に割り当てる。
【0032】
低ビット深度信号生成部22‐1は、割り当てられたMビット深度画像信号のビット(M1,M3,M5,…,M15)についてMSB側からの深度順位を維持して、上位のビット位置から順に配列することにより低ビット深度画像Aの画像信号(a1,a2,…,a8)を生成し、ビットストリームとして低ビット深度信号符号化装置30に出力する。
【0033】
低ビット深度信号生成部22‐2は、割り当てられたMビット深度画像信号のビット(M2,M4,M6,…,M16)についてMSB側からの深度順位を維持して、上位のビット位置から順に配列することにより低ビット深度画像Bの画像信号(b1,b2,…,b8)を生成し、ビットストリームとして低ビット深度信号符号化装置40に出力する。
【0034】
補助情報生成部23は、Mビット深度画像信号から低ビット深度画像の画像信号(Aビット深度画像信号及びBビット深度画像信号)へと分解して割り当てる際の分解割り当て法を示す分解割当情報をビット深度分解割当部21から取得し、補助情報ストリームとして外部に出力する。尚、補助情報については、符号化せずに伝送してもよいし、符号化して伝送するように構成してもよい。ただし、送受間(符号化側と復号側との間)で、ビットの分解及び割り当て法が予め定められているときは、補助情報生成部23の機能は不要である。
【0035】
低ビット深度信号符号化装置30は、低ビット深度画像Aの画像信号(Aビット深度画像信号)のビットストリームを入力して8ビット深度用の画像符号化処理を施すことにより第1符号化ストリームを生成し、外部に出力する。ここで、8ビット深度用の画像符号化処理は、一般的な画像符号化処理を含み任意の画像符号化処理とすることができる。
【0036】
低ビット深度信号符号化装置40は、低ビット深度画像Bの画像信号(Bビット深度画像信号)のビットストリームを入力して8ビット深度用の画像符号化処理を施すことにより第2符号化ストリームを生成し、外部に出力する。上記と同様に、8ビット深度用の画像符号化処理は、一般的な画像符号化処理を含み任意の画像符号化処理とすることができる。
【0037】
このように、本実施例のビット深度分解割当装置20は、Mビット深度画像信号から低ビット深度画像の画像信号(Aビット深度画像信号及びBビット深度画像信号)へと分解して割り当てる際に、低ビット深度画像A及び低ビット深度画像Bの符号化劣化が少ない上位ビットに対してMビット深度画像信号における上位ビットを割り当てる(即ち、Mビット深度画像信号におけるMSB側からの深度順位を維持して、上位のビット位置から順に配列することにより割り当てる)。
【0038】
(ビット深度結合復元装置を備える画像復号システム)
図2は、本発明による一実施形態のビット深度結合復元装置80と、2つの低ビット深度信号復号装置60,70とを備える画像復号システム50のブロック図を示している。画像復号システム50は、画像符号化システム10から伝送された各符号化ストリームを入力し、それぞれの符号化ストリームにおける画像信号を復号し結合して、高ビット深度画像を復元するように構成される。
【0039】
低ビット深度信号復号装置60は、入力される第1符号化ストリームに対して、8ビットの低ビット深度信号符号化装置30における画像符号化処理に対応する画像復号処理を施すことにより、低ビット深度画像Aの画像信号(Aビット深度画像信号)のビットストリームを復号し、ビット深度結合復元装置80における低ビット深度信号受信部81‐1に出力する。
【0040】
低ビット深度信号復号装置70は、入力される第2符号化ストリームに対して、8ビットの低ビット深度信号符号化装置40における画像符号化処理に対応する画像復号処理を施すことにより、低ビット深度画像Bの画像信号(Bビット深度画像信号)のビットストリームを復号し、ビット深度結合復元装置80における低ビット深度信号受信部81‐2に出力する。
【0041】
ビット深度結合復元装置80は、複数の低ビット深度画像信号を高ビット深度画像信号用に結合する装置であり、低ビット深度信号受信部81‐1,81‐2、ビット深度結合復元部82及び補助情報受信部83を備える。
【0042】
低ビット深度信号受信部81‐1は、低ビット深度画像Aの画像信号(a1,a2,…,a8)を受信し、ビット深度結合復元部82に出力する。同様に、低ビット深度信号受信部81‐2は、低ビット深度画像Bの画像信号(b1,b2,…,b8)を受信し、ビット深度結合復元部82に出力する。
【0043】
補助情報受信部83は、画像符号化システム10から伝送される補助情報ストリームから、当該低ビット深度画像A,Bの画像信号に関するビットの分解・割り当て情報を含む補助情報を取得し、ビット深度結合復元部82に出力する。尚、補助情報は、符号化せずに伝送されていれば補助情報ストリームから抽出するのみでよいし、符号化して伝送されていれば対応する復号処理を施すことにより補助情報ストリームから抽出することができる。また、送受間(符号化側と復号側との間)で、ビットの分解及び割り当て法が予め定められているときは、補助情報受信部83の機能は不要である。
【0044】
ビット深度結合復元部82は、低ビット深度信号受信部81‐1,81‐2で受信した低ビット深度画像A,Bのそれぞれの画像信号の各ビットを分解し、これらの各ビットを補助情報に示される所定のビット割り当てに応じて結合し(即ち、当該Mビット深度画像信号におけるMSB側からの深度順位を維持して結合し)、Mビット深度画像信号を再構成して、16ビットの高ビット深度画像を復元する。
【0045】
図3に、第1実施形態の実施例1におけるビット深度分解割当装置20及びビット深度結合復元装置80における概略動作の説明図を示す。図3では、送信側(符号化側)で、16ビットの高ビット深度画像を、8ビットの低ビット深度画像A,Bの2つに分解して画像符号化処理を施して伝送し、受信側(復号側)で、2つの低ビット深度画像に対して画像復号処理を施して高ビット深度画像を復元する例を示している。
【0046】
図3を参照するに、本発明による第1実施形態における実施例1として、16ビット深度のカラー又はモノクロの原画(16ビット画像信号)について(図3(A))、MSB側からビットを順次、奇数ビットと偶数ビットに“分解”し2つの8ビット画像信号に割り当て(図3(B))、得られた8ビット画像信号(図3(C))に対して画像符号化処理を施し(図3(D))、符号化ストリーム(図3(E))を得る。復号側では、符号化ストリームに対して画像復号処理を施し(図3(F))、2つの8ビット復号画像信号を得る(図3(G))。図6を参照して前述したように、一般に、符号化画像では上位ビットより下位ビットの方に劣化が現れやすい。そこで、図3(G)においても、色の濃さとして模式的に符号化劣化を示している(色が濃いほど劣化が大きいことを表す)。次に、2つの8ビット復号画像信号について、MSB側からビットを順次、奇数ビットと偶数ビットに“分解”し、“交互に結合する”ことにより(図3(H))、16ビット深度の画像信号を再構成し、16ビット深度画像を復元して出力として得る(図3(I))。
【0047】
本実施例において、Mビット深度画像信号から低ビット深度画像の画像信号へと分解して割り当てる際の分解割り当て法を示す分解割当情報に関して送受間(符号化側と復号側との間)で予め定めている場合には、必ずしも補助情報生成部23及び補助情報受信部83を設ける必要はなく、補助情報を伝送したり受信したりする必要はない。
【0048】
このように、本発明による第1実施形態における実施例1によれば、簡易な構成であるとともに、非特許文献1の技法のような16ビット画像信号における下位8ビット中の上位ビットの符号化劣化より上位8ビット中の下位ビットの符号化劣化が大きくなる(大きくなりやすい)という問題を解消することができる。したがって、16ビット画像信号におけるLSB側に画質劣化が集中することから、高ビット深度画像信号について複数の低ビット深度画像信号を用いて符号化する場合においても、復元した高ビット深度画像の画像品質を改善することができる。
【0049】
〔実施例2〕
次に、第1実施形態のビット深度分解割当装置20及びビット深度結合復元装置80において、実施例2について説明する。実施例2は、2つの低ビット深度信号符号化装置30,40がそれぞれ異なる圧縮率で画像符号化処理を行う場合に、Mビット深度画像信号のビット深度について、上位ビット、中位ビット及び下位ビットの3種類のビット領域に分類し、この3種類に分類されたビット領域の各ビットをこの複数種類の数に応じて複数種に分解し、割り当てる例である。
【0050】
本例では、低ビット深度信号符号化装置30が輝度信号(色差信号より圧縮率の低い信号)用の画像符号化処理を有し、低ビット深度信号符号化装置40が色差信号(輝度信号より圧縮率の高い信号)用の画像符号化処理を有するものとして説明する。一般的な画像符号化装置では、色差信号の符号化劣化の方が、輝度信号の符号化劣化より大きくなるように制御を行うことが多いことに留意する。これは、輝度信号の劣化と比べ、色差信号の劣化の方が人間の視覚的に目立たちにくいためである。
【0051】
(ビット深度分解割当装置を備える画像符号化システム)
実施例2においても、図1に示すように、ビット深度分解割当装置20は、2つの低ビット深度信号符号化装置30,40を備える画像符号化システム10に設けられる。ただし、実施例2は、ビット深度分解割当部21の動作が実施例1とは相違する。
【0052】
図1を参照するに、まず、16ビットの高ビット深度画像の画像信号(Mビット深度画像信号)がビット深度分解割当装置20に入力される。
【0053】
ビット深度分解割当部21は、Mビット深度画像信号のビット深度について、上位ビット、中位ビット及び下位ビットの3種類のビット領域に分類し、この3種類に分類されたビット領域の各ビットを当該圧縮率に関する複数種類の数に応じて複数種に分解し、それぞれ低ビット深度信号生成部22‐1,22‐2用にビットの割り当てを行って出力する。より具体的には、Mビット深度画像信号の上位ビットは輝度信号用の低ビット深度画像A(低ビット深度信号符号化装置30向け)に割り当て、Mビット深度画像信号の中位ビットは輝度信号用と色差信号用の低ビット深度画像A,B(低ビット深度信号符号化装置30,40向け)の交互に割り当て、Mビット深度画像信号の下位ビットは色差信号用の低ビット深度画像B(低ビット深度信号符号化装置40向け)に割り当てる。
【0054】
例えば、高ビット深度画像における16ビット深度画像信号(M1,M2,M3,M4,…,M16)を分解して割り当てる場合、上位ビットとしてM1〜M4、中位ビットとしてM5〜M12、下位ビットとしてM13〜M16の3種類のビット領域に分類し、M1〜M4(Mビット深度画像信号の上位ビット)及びM5,M7,M9,M11(Mビット深度画像信号の中位ビットの奇数ビット)を低ビット深度画像Aの画像信号(a1,a2,…,a8)に割り当て、M6,M8,M10,M12(Mビット深度画像信号の中位ビットの偶数ビット)及びM13〜 M16(Mビット深度画像信号の下位ビット)を低ビット深度画像Bの画像信号(b1,b2,…,b8)に割り当てる。
【0055】
低ビット深度信号生成部22‐1,22‐2や補助情報生成部23の動作は、前述した実施例1と同様である。
【0056】
また、低ビット深度信号符号化装置30,40は、それぞれ圧縮率が異なるのみであり、その動作についても、前述した実施例1と同様である。
【0057】
このように、第1実施形態における実施例2のビット深度分解割当装置20においても、実施例1と同様に、Mビット深度画像信号から低ビット深度画像の画像信号(Aビット深度画像信号及びBビット深度画像信号)へと分解して割り当てる際に、低ビット深度画像A及び低ビット深度画像Bの符号化劣化が少ない上位ビットに対してMビット深度画像信号における上位ビットを割り当てる(即ち、Mビット深度画像信号におけるMSB側からの深度順位を維持して、上位ビットから配列することにより割り当てる)。
【0058】
(ビット深度結合復元装置を備える画像復号システム)
実施例2においても、図2に示すように、ビット深度結合復元装置80は、2つの低ビット深度信号復号装置60,70を備える画像復号システム50に設けられる。ただし、実施例2は、ビット深度結合復元部82の動作が実施例1とは相違する。
【0059】
図2を参照するに、低ビット深度信号復号装置60,70は、実施例1と同様に、入力される符号化ストリームに対して、低ビット深度信号符号化装置30,40における画像符号化処理にそれぞれ対応する画像復号処理を施し、低ビット深度画像A,Bの画像信号(Aビット深度画像信号及びBビット深度画像信号)のビットストリームを復号し、それぞれビット深度結合復元装置80における低ビット深度信号受信部81‐1,81‐2に出力する。
【0060】
低ビット深度信号受信部81‐1は、低ビット深度画像Aの画像信号(a1,a2,…,a8)を受信し、ビット深度結合復元部82に出力する。同様に、低ビット深度信号受信部81‐2は、低ビット深度画像Bの画像信号(b1,b2,…,b8)を受信し、ビット深度結合復元部82に出力する。
【0061】
ビット深度結合復元部82は、低ビット深度信号受信部81‐1,81‐2で受信した低ビット深度画像A,Bのそれぞれの画像信号の各ビットを分解し、これらの各ビットを補助情報に示される所定のビット割り当てに応じて結合し(即ち、当該複数種類の圧縮率の画像符号化処理に応じて分解された各ビットを、当該3種類に分類されたビット領域ごとにMビット深度画像信号におけるMSB側からの深度順位を維持して結合し)、Mビット深度画像信号を再構成して、16ビットの高ビット深度画像を復元する。
【0062】
より具体的に、実施例2では、ビット深度結合復元部82は、低ビット深度画像Aの画像信号(a1,a2,…,a8)におけるa1〜a4を、再構成するMビット深度画像信号の上位ビットM1〜M4に割り当て、a5〜a8を、再構成するMビット深度画像信号の中位ビットの奇数ビットM5,M7,M9,M11に割り当てる。さらに、ビット深度結合復元部82は、低ビット深度画像Bの画像信号(b1,b2,…,b8)におけるb1〜b4を、再構成するMビット深度画像信号の中位ビットの偶数ビットM6,M8,M10,M12に割り当て、b5〜b8を、再構成するMビット深度画像信号の下位ビットM13〜M16に割り当てる。このように、ビット深度結合復元部82は、低ビット深度画像A,Bの各画像信号のビットを交互に結合し、16ビットの高ビット深度画像を復元する。
【0063】
本実施例においても、Mビット深度画像信号から低ビット深度画像の画像信号へと分解して割り当てる際の分解割り当て法を示す分解割当情報に関して送受間(符号化側と復号側との間)で予め定めている場合には、必ずしも補助情報生成部23及び補助情報受信部83を設ける必要はなく、補助情報を伝送したり受信したりする必要はない。
【0064】
このように、本発明による第1実施形態における実施例2によれば、実施例1と同様の効果を得るとともに、異なる圧縮率の画像符号化処理に応じて高ビット深度画像を分解するため、高ビット深度画像信号について複数の低ビット深度画像信号を用いて異なる圧縮率の画像符号化処理を行う場合に、復元した高ビット深度画像の画像品質を改善することができる。
【0065】
〔実施例3〕
次に、第1実施形態のビット深度分解割当装置20及びビット深度結合復元装置80において、実施例3について説明する。前述した実施例2では、高ビット深度の画像信号(Mビット深度画像信号)の上位ビットをM1〜M4と定めた例を示したが、上位ビット・中位ビット・下位ビットとして分類する好適なビット数は、目標とするビットレートや、低ビット深度用の符号化装置やその符号化ソフトウェアの設定によって異なる。そこで、実施例3として、MSBから何ビットまでを上位ビットとして指定するかを示す分解割当情報を補助情報として伝送する例を説明する。
【0066】
(ビット深度分解割当装置を備える画像符号化システム)
実施例3は、実施例2と同様に構成され、図1に示すように、ビット深度分解割当装置20は、2つの低ビット深度信号符号化装置30,40を備える画像符号化システム10に設けられる。ただし、実施例3は、補助情報生成部23が不可欠の構成要素としてビット深度分解割当装置20に設けられる点で、実施例2とは相違する。
【0067】
補助情報生成部23は、Mビット深度画像信号から低ビット深度画像の画像信号へと分解して割り当てる際の分解割り当て法を示す分解割当情報をビット深度分解割当部21から取得し、補助情報として外部に出力するように構成される。ただし、実施例3における補助情報生成部23は、高ビット深度画像の画像信号(Mビット深度画像信号)のビット深度が3種類のビット領域に分類された際に、1つ以上のビット領域のビット数に関する分解割当情報を補助情報として伝送する。例えば、Mビット深度画像信号のうちMSBから何ビットまでを上位ビットとして指定するかを示す分解割当情報を補助情報として伝送する。このとき伝送するデータは、上位ビットとして扱うビット数が分かる形式であれば如何なる態様でもよい。
【0068】
例えば、
・“上位ビットのビット数(例えば4)”もしくは“上位ビットのビット数(例えば4)を表す符号語”を伝送する、
・“上位ビットのビット数1(例えば3)”もしくは“上位ビットのビット数1(例えば3)を表す符号語”を伝送する、
・“上位ビットのビット数/2(例えば2)”もしくは“上位ビットのビット数/2(例えば2)を表す符号語”を伝送する、
・“上位ビットのビット数/2−1(例えば1)”もしくは“上位ビットのビット数/2−1(例えば1)を表す符号語”を伝送する、
などが想定される。
【0069】
なお、上位ビットとともに、中位ビットや下位ビットのビット数も伝送してもよいが、例えば下位ビットのビット数=上位ビットなどのように、1種類のビット領域のビット数を基に残りの2つのビット領域のビット数も計算により求まるように送受間(符号化と復号側との間)で定めておけば、1種類のビット領域のビット数のみの伝送で済むことになる。
【0070】
また、1種類のビット領域のビット数から、残り2種類のビット領域のビット数も計算により求めるように構成した場合は、上位ビットのビット数ではなく中位ビット又は下位ビットのビット数を伝送してもよいし、あるいは、予め定めておいたビット数のテーブルの番号を伝送してもよい。
【0071】
(ビット深度結合復元装置を備える画像復号システム)
実施例3は、実施例2と同様に構成することができるため、図2に示すように、ビット深度結合復元装置80は、2つの低ビット深度信号復号装置60,70を備える画像復号システム50に設けられる。ただし、実施例3は、ビット深度結合復元装置80が伝送される補助情報を必ず参照するように構成される点で、実施例2とは相違する。
【0072】
低ビット深度信号受信部81‐1,81‐2は、それぞれ低ビット深度画像Aの画像信号(a1,a2,…,a8)及び低ビット深度画像Bの画像信号(b1,b2,…,b8)を受信し、ビット深度結合復元部82に出力する。
【0073】
補助情報受信部83は、画像符号化システム10から伝送される補助情報ストリームから、当該低ビット深度画像の画像信号に関するビットの分解・割り当て情報を含む補助情報を取得し、ビット深度結合復元部82に出力する。この補助情報として、高ビット深度画像におけるMビット深度画像信号のビット深度が3種類のビット領域に分類された際に、1つ以上のビット領域のビット数に関する分解割当情報が伝送される。例えば、Mビット深度画像信号のうちMSBから何ビットまでを上位ビットとして指定するかを示す分解割当情報が補助情報として伝送される。この分解割当情報を基に、送受間で予め定めた法に従って(例えば、下位ビットのビット数=上位ビットなどのように1種類のビット領域のビット数を基に残りの2つのビット領域のビット数も計算により)、当該分解された上位ビット、中位ビット及び下位ビットのビット位置を判別する。
【0074】
これにより、ビット深度結合復元装置80は、送信側によって指定された3種類のビット領域を適切に判別し、Mビット深度画像信号を再構成することが可能となる。
【0075】
実施例3によれば、送信側(ビット深度分解割当装置20側)で、例えば輝度信号と色差信号の予想される符号化劣化に応じて、上位ビットとして分類し指定するビット数を可変に制御することが可能となるため、受信側(ビット深度結合復元装置80)で復元した高ビット深度画像について、画質劣化をより抑制できるようになる。
【0076】
例えば、上位ビットとして指定するビット数の制御として、輝度信号と色差信号の符号化劣化に差がない場合(即ち、輝度信号と色差信号の量子化特性値が同じ場合)には、最上位1ビットのみを上位ビットとし、輝度信号より色差信号の符号化劣化が大きくなる(即ち、輝度信号の量子化特性値よりも色差信号の量子化特性値が大きくなる)につれて、上位ビットとして指定するビット数を増やすように制御するのが好適である。
【0077】
〔その他の実施例〕
上述した各実施例では、高ビット深度画像信号を2つの低ビット深度画像信号に分解する例について示したが、本発明は、3つ以上の低ビット深度画像信号に分解する場合にも適用することが可能である。
【0078】
また、上述した各実施例では、分解する高ビット深度画像信号のビット位置に関して、奇数ビットと偶数ビットで分解する例を説明したが、送信側では、ビット深度分解割当部21により、n種類(n>1)に分解する際に、nを法とする剰余でビット位置を分解し、当該分解したn種類の各ビットを当該n種類に対応する複数の低ビット深度画像の画像信号用に割り当てるように構成すればよい。このとき、受信側では、ビット深度結合復元部82により、当該分解されたn種類の各ビットに対応するよう当該複数の低ビット深度画像の画像信号を分解し、高ビット深度画像の画像信号用に結合するように構成する。
【0079】
また、上述した各実施例において、高ビット深度画像信号のビット数が、分解した低ビット深度画像信号のビット数の総計より少ない場合も想定される。この場合は、低ビット深度画像信号の上位ビットのみに高ビット深度画像信号のビットを割り当て、ダミービット(例えば、0)を下位ビット側に用いることができる。
【0080】
例えば、現時点において想定される、高ビット深度画像信号を複数の低ビット深度画像信号に分解する態様は、以下のとおりである。ここで、“高ビット深度画像信号のビット深度”→“複数の低ビット深度画像信号のビット深度”で、分解する態様を表す。
・16ビット → 8ビット又は10ビット、或いはこれらの組み合わせ
・12ビット → 8ビット又は10ビット、或いはこれらの組み合わせ
・10ビット → 8ビット
【0081】
一例として、高ビット深度画像における16ビット深度画像信号(M1,M2,M3,M4,…,M16)を、10ビット深度の低ビット深度画像A(画像信号a1,a2,…,a10)と低ビット深度画像B(画像信号b1,b2,…,b10)の画像信号に分解し割り当てる場合、
(M1,M3,M5,…,M15,0,0)→(a1,a2,…,a10)
(M2,M4,M6,…,M16,0,0)→(b1,b2,…,b10)
とすればよい。
【0082】
また、3つ以上に分解し割り当てる場合に、ダミービット(例えば、0)を下位ビット側に用いることができる。この場合も、Mビット深度画像信号におけるMSB側からの深度順位を維持して、上位ビットから配列することにより割り当てる。例えば、実施例1の応用例の態様として、高ビット深度画像における16ビット深度画像信号(M1,M2,M3,M4,…,M16)を、8ビット深度の低ビット深度画像A(画像信号a1,a2,…,a8)、低ビット深度画像B(画像信号b1,b2,…,b8)及び低ビット深度画像C(画像信号c1,c2,…,c8)の画像信号に分解し割り当てる場合、
(M1,M4,M7,M10,M13,M16,0,0)→(a1,a2,…,a8)
(M2,M5,M8,M11,M14,0,0,0)→(b1,b2,…,b8)
(M3,M6,M9,M12,M15,0,0,0)→(c1,c2,…,c8)
とすればよい。
【0083】
また、上述した実施例2,3では、2つの低ビット深度画像A,Bの各々に対して、それぞれ2種類の異なる圧縮率での画像符号化処理が予定されている際に、ビット深度分解割当部21は、高ビット深度画像の画像信号のビット深度について、上位ビット、中位ビット及び下位ビットの3種類のビット領域に分類されたビット領域の各ビットを当該2種類の異なる圧縮率の画像符号化処理に応じて分解する例を説明した。ここで、高ビット深度画像信号を分解し割り当てた3つ以上の低ビット深度画像について、複数種類の異なる圧縮率での画像符号化処理が予定されている際にも本発明を応用することができる。
【0084】
即ち、3つ以上の低ビット深度画像について、それぞれ複数種類の異なる圧縮率での画像符号化処理が予定されている際には、同一圧縮率のものを含む場合を考慮し上位からのビット順位を優先して、上位ビットのビット領域に属するビットは、当該複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像符号化処理が予定されている低ビット深度画像の画像信号用に割り当て、下位ビットのビット領域に属するビットは、当該複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の高い画像符号化処理が予定されている低ビット深度画像の画像信号用に割り当て、中位ビットのビット領域に属するビットは、当該複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像符号化処理が予定されているものから順に、ビット単位で当該複数の低ビット深度画像の画像信号用に順次割り当てるように構成すればよい。この場合においても、複数の低ビット深度信号生成部の各々は、当該割り当てられた各ビットについて当該高ビット深度画像の画像信号におけるMSB側からの深度順位を維持して、上位のビット位置から順に配列することにより当該低ビット深度画像の画像信号を生成する。
【0085】
そして、受信側では、ビット深度結合復元部82は、当該複数の低ビット深度画像の画像信号について、当該複数種類の圧縮率の画像復号処理に応じて高ビット深度画像信号を再構成するために、複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像復号処理が施された画像信号から、上位ビットのビット領域に属するビットを抽出し、当該複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の高い画像復号処理が施された画像信号から、下位ビットのビット領域に属するビットを抽出し、当該複数種類の圧縮率のうち最も圧縮率の低い画像復号処理が施された画像信号から順に、ビット単位で前記中位ビットのビット領域に属するビットを抽出することにより、高ビット深度画像の画像信号を復元するように構成する。
【0086】
例えば、実施例3の態様を鑑みて、上位ビット、中位ビット及び下位ビットの3種類のビット領域に分類した各ビットを3つ以上に分解し割り当てる場合にも、ダミービット(例えば、0)を下位ビット側に用いることができる。この場合も、Mビット深度画像信号におけるMSB側からの深度順位を維持して、上位ビットから配列することにより割り当てる。一例として、高ビット深度画像における16ビット深度画像信号(M1,M2,M3,M4,…,M16)を上位ビット(M1〜M4)、中位ビット(M5〜M12)及び下位ビット(M13〜M16)としたとき、輝度信号用として低圧縮率での符号化が予定されている8ビット深度の低ビット深度画像A(画像信号a1,a2,…,a8)、第1の色差信号用として高圧縮率での符号化が予定されている低ビット深度画像B(画像信号b1,b2,…,b8)及び第2の色差信号用として高圧縮率(第1の色差信号と同じ圧縮率)での符号化が予定されている低ビット深度画像C(画像信号c1,c2,…,c8)の画像信号に分解し割り当てる場合、中位ビット(M5〜M12)及び下位ビット(M13〜M16)については、同一圧縮率のものを含む場合を考慮し上位からのビット順位を優先して、
(M1,M2,M3,M4,M5,M8,M11,0)→(a1,a2,…,a8)
(M6,M9,M12,M14,M16,0,0,0)→(b1,b2,…,b8)
(M7,M10,M13,M15,0,0,0,0)→(c1,c2,…,c8)
とすればよい。
更に輝度信号用として用意される符号化処理が複数ある場合も鑑みて、上位ビット(M1〜M4)、中位ビット(M5〜M12)及び下位ビット(M13〜M16)について、上位からのビット順位を優先して、割り当てるように構成すればよい。
【0087】
次に、本発明による第2実施形態として、画像符号化装置及び画像復号装置について説明する。
【0088】
<第2実施形態>
(画像符号化装置)
図4は、本発明による一実施形態の画像符号化装置10aのブロック図である。前述した第1実施形態では、ビット深度分解割当装置20と、2つの低ビット深度信号符号化装置30,40とを個別の装置として説明したが、第2実施形態は、ビット深度分解割当装置20の機能と2つの低ビット深度信号符号化装置30,40の機能を有する、1つ画像符号化装置10aとして構成した例である。
【0089】
画像符号化装置10aは、ビット深度分解割当部21a、低ビット深度信号生成部22a‐1,22a‐2、補助情報生成部23a及び低ビット深度信号符号化部30a,40aを備える。
【0090】
ビット深度分解割当部21a、低ビット深度信号生成部22a‐1,22a‐2、補助情報生成部23a及び低ビット深度信号符号化部30a,40aの各動作は、前述した第1実施形態におけるビット深度分解割当部21、低ビット深度信号生成部22‐1,22‐2、補助情報生成部23及び低ビット深度信号符号化装置30,40の各動作にそれぞれ対応する。
【0091】
(画像復号装置)
図5は、本発明による一実施形態の画像復号装置50aのブロック図である。前述した第1実施形態では、ビット深度結合復元装置80と、2つの低ビット深度信号復号装置60,70とを個別の装置として説明したが、第2実施形態は、ビット深度結合復元装置80の機能と2つの低ビット深度信号復号装置60,70の機能を有する、1つ画像復号装置50aとして構成した例である。
【0092】
画像復号装置50aは、低ビット深度信号復号部60a,70a、ビット深度結合復元部82a及び補助情報受信部83aを備える。
【0093】
低ビット深度信号復号部60a,70a、ビット深度結合復元部82a及び補助情報受信部83aの各動作は、前述した第1実施形態における低ビット深度信号復号部60,70、ビット深度結合復元部82及び補助情報受信部83aの各動作にそれぞれ対応する。
【0094】
したがって、第2実施形態においても、前述した第1実施形態における各実施例のように構成することができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
また、各実施形態のビット深度分解割当装置20及びビット深度結合復元装置80、並びに画像符号化装置10a及び画像復号装置50aのそれぞれの各構成要素の機能は、コンピュータにより実現することができ、当該コンピュータに、本発明に係る各構成要素を実現させるためのプログラムは、当該コンピュータの内部又は外部に備えられるメモリ(図示せず)に記憶される。コンピュータに備えられる中央演算処理装置(CPU)などの制御で、各構成要素の機能を実現するための処理内容が記述されたプログラムを、適宜、メモリから読み込んで実行することにより、各実施形態の装置のそれぞれの各構成要素の機能をそれぞれコンピュータにより実現させることができる。ここで、各構成要素の機能をハードウェアの一部で実現してもよい。
【0096】
以上、特定の実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の各実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、補助情報の伝送に関して、補助情報ストリームとして伝送する例を説明したが、画像信号の伝送に関するビットストリーム又は符号化ストリームのいずれか1つ又は全てに対して多重するように構成することもできる。また、ビットストリーム、符号化ストリーム及び補助情報ストリームは、既存の伝送システムに適合させた形態で実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明によれば、1つの高ビット深度画像を複数の低ビット深度画像に変換して伝送する際に、簡易な構成で、復元した高ビット深度画像の画質劣化を抑制することが可能となるので、高ビット深度画像の画像信号を複数の低ビット深度画像用の画像符号化処理により符号化し伝送する用途に有用である。
【符号の説明】
【0098】
10 画像符号化システム
10a 画像符号化装置
20 ビット深度分解割当装置
21,21a ビット深度分解割当部
22‐1,22‐2,22a‐1,22a‐2 低ビット深度信号生成部
23,23a 補助情報生成部
30,40 低ビット深度信号符号化装置
30a,40a 低ビット深度信号符号化部
50 画像復号システム
50a 画像復号装置
60,70 低ビット深度信号復号装置
60a,70a 低ビット深度信号復号部
80 ビット深度結合復元装置
81‐1,81‐2 低ビット深度信号受信部
82,82a ビット深度結合復元部
図1
図2
図3
図4
図5
図6