特許第6272866号(P6272866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6272866-重縮合によるポリアミドの製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6272866
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】重縮合によるポリアミドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/04 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
   C08G69/04
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-529039(P2015-529039)
(86)(22)【出願日】2013年9月2日
(65)【公表番号】特表2015-526578(P2015-526578A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013068075
(87)【国際公開番号】WO2014033294
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月30日
(31)【優先権主張番号】12182757.0
(32)【優先日】2012年9月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】アーヒム シュタマー
(72)【発明者】
【氏名】ファイサル−アリ エル−トウファイリ
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン グラムリヒ
(72)【発明者】
【氏名】アンゲラ ウルツヘーファー
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−183388(JP,A)
【文献】 特開昭54−046287(JP,A)
【文献】 特開平02−247224(JP,A)
【文献】 米国特許第03379696(US,A)
【文献】 特開平05−170895(JP,A)
【文献】 特開平11−228690(JP,A)
【文献】 米国特許第06133406(US,A)
【文献】 特開平02−145621(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/118441(WO,A1)
【文献】 特開昭54−039494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド形成性の、重縮合可能なモノマー及び/又はオリゴマーを、これらを含有し、含水であるが、しかし有機溶剤を含まない反応混合物中で重縮合させることによりポリアミドを製造する方法であって、
該重縮合を、ミキサーを備えた反応器中で、混合しながら、第一工程において液相中で行い、かつ該プロセス中に同じ反応器中で相変化が行われた後に、次の第二工程において固相中で行い、その際に、少なくとも第二工程において、該反応器中の温度が、該ポリアミドの融点を下回り、かつ該重縮合可能なモノマー及び/又はオリゴマーが、該重縮合の最初に、0.5:1〜5:1の範囲内の水に対する質量比で存在する、
ポリアミドを製造する方法。
【請求項2】
第二工程において、該反応器中の温度が、該ポリアミドのガラス転移温度を上回る、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該ポリアミドが、少なくとも260℃の融点を有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
第一工程における重縮合の前に、固相中での重縮合は行われない、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第二工程において、該反応器中の最高温度が、該ポリアミドの融点を少なくとも25℃下回る、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
第二工程において、該反応器中の最高温度が、該ポリアミドの融点を少なくとも30℃下回る、請求項5記載の方法。
【請求項7】
該重縮合を、最大10バールの圧力で実施する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
該反応器中の温度が、該重縮合の過程で相変化まで、連続的に及び/又は段階的に上昇する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
該重縮合中に、第一及び/又は第二工程において水及び/又は該縮合の際に生じる低沸点化合物を、気体で分離する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
第二工程に続いて、後縮合を周囲圧力で行う、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重縮合によるポリアミドの製造方法、こうして得ることができるポリアミド及び繊維、フィルム/シート又は成形体を製造するためのそれらの使用に関する。
【0002】
多くのポリマー、例えばポリアミド6,6は、それらの出発モノマーの重縮合により製造される。この際に、異なる変法が使用される。
【0003】
Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 2012, 549〜552頁には、ポリアミド6,6のバッチ製造法が記載されており、その際に該反応は、オートクレーブ中で、約270℃の最高温度及び約17バールの最高圧力で行われる。その際に、65〜80%モノマー溶液が、オートクレーブに供給され、該オートクレーブ中で該溶液は自生圧下に、1.75MPaの圧力まで、210℃に加熱される。次いで、該温度は段階的に約275℃に高められるのに対し、蒸気は、該圧力の維持を可能にする範囲で放出される。次いで、該圧力は、該反応混合物が冷却することなく、ゆっくりと低下される。最終的に、該ポリマーは、不活性ガス下に押し出される。該方法において、その融点に達する前に該バッチの凍結分離(Ausfrieren)を防止するために、十分に水が存在することに注意される。撹拌オートクレーブを使用することができる。
【0004】
DE-A 1 545 145には、ジカルボン酸及びジアミン、もしくはそれらの塩から、固相中での重縮合によりポリアミドを製造する方法が記載されており、該方法の場合に、該ポリアミド形成性モノマーをまず最初に、密閉された容器中で窒素雰囲気中で撹拌しながら、2〜6時間、該モノマーの溶融温度を10〜20℃下回る温度に加熱する。その際に、1.35〜1.40の溶液粘度を有する初期縮合物が生じるまで、13〜15ゲージ気圧(atue)の圧力に調節される。引き続き、30分かけて、熱供給を強めながら、約2ゲージ気圧に放圧され、その後、該反応生成物を、その最終重縮合物の溶融温度を20〜65℃下回る温度に高めながら、なお1〜2時間、更に縮合される。
【0005】
例えば、乾燥したAH塩は、密閉されたオートクレーブ中で、撹拌しながら、190〜195℃に4時間加熱される。引き続き、30分かけて2ゲージ気圧に放圧され、更に撹拌しながら200〜205℃で窒素流下で3時間加熱される。次いで、得られたポリアミドは冷却される。これは262〜266℃の融点を有する。
【0006】
この固相重縮合は、該処理温度が、該出発物質の融点により限定されるという欠点を有し、このことは低い生産能力をまねく。
【0007】
得られるポリマーの融点を上回る温度で行われる、バルクでの重縮合は、その高い温度に基づき副反応をまねき、このことは該ポリマー特性の悪化をまねきうる。
【0008】
選択的に、それらの出発モノマーが溶剤中に溶解されることによる、溶液重縮合も適用される。不利であるのは、得られる重縮合物が、溶剤から分離され、かつ乾燥されなければならないことであり、これは付加的な処理工程を必要とする。
【0009】
本発明の課題は、最大化された生産能力をもたらし、かつ同時に副反応の発生を低下させる温度で実施することができる、有機溶剤又は有機希釈剤の不在下での重縮合によりポリアミドを製造する方法を提供することである。
【0010】
前記課題は、本発明によれば、ポリアミド形成性の重縮合可能なモノマー及び/又はオリゴマーを、これらを含有し、かつ含水であってよいが、しかし有機溶剤を含まない反応混合物中で重縮合させることによるポリアミドの製造方法により解決され、その際に、該重縮合を、ミキサーを備えた反応器中で、混合しながら、第一工程において液相中で行い、かつ該プロセス中に同じ反応器中で相変化が行われた後に、次の第二工程において固相中で行い、その際に、少なくとも第二工程において、該反応器中の温度は、該ポリアミドの融点を下回る。
【0011】
前記課題は、そのうえ、この方法により得ることができるポリアミドにより並びに繊維、フィルム/シート又は成形体を製造するためのこれらのポリアミドの使用により、解決される。
【0012】
本発明によれば、副反応の低下と同時に高い生産能力を有するポリアミド重縮合物の製造は、該重縮合を、該モノマーの融点を上回るが、しかし生じるポリアミドの融点を下回る温度で、水とは異なる溶剤又は希釈剤の不在下で、必要な滞留時間を可能にする反応器中で行う場合に可能であることが見出された。本質的に等価量のモノマーが使用される場合に、本発明による方法により、高い分子量を有する重縮合物を得ることができる。該重縮合の過程で、分子量の増加下に、融点が通例、低分子量の前駆物質、例えばモノマー又はオリゴマーの融点を上回る、より高分子量の縮合物が形成される。該反応混合物の融点が、該反応器の操作温度よりも高い場合には、生成物凝固が生じ、かつ該反応は、該固相中で更に続けられる。該反応器中に設けられたミキサーにより、該固体重縮合物が細分される。該重縮合の過程は、例えば機械式ミキサーのエネルギー必要量により、追跡することができる。該モノマー又は低分子量の重縮合物の液状混合物が動く間は、中程度の混合エネルギーのみが必要である。該分子量の上昇及び反応器温度を上回る該重縮合物の融点になると直ちに、該反応混合物の凝固が始まり、これは該ミキサーの著しく高められたエネルギー消費をまねく。次に、該固体重縮合物が細分され、それにより、機械エネルギーの引き続きの必要量が再び低下する。
【0013】
本発明による方法は通例、場合により含水の、モノマーが、通例機械式の、ミキサーを備えている反応器中へ添加されることによる、バッチ法である。この場合に、重縮合のために常用であるような、任意に適した反応器を使用することができる。例えば、撹拌オートクレーブであってよい。混合ニーダーの使用も可能である。適した混合ニーダーは通例、軸に平行に回転する少なくとも2本の軸を有し、それらのうち主軸は、その周囲に配置される混練棒を有するディスク面を有していてよい。適した混合ニーダーは、DE-A-41 18 884及びDE-A-199 40 521に記載されている。
【0014】
本発明による方法は特に、第一工程における反応が液相中で、次いで行われる相変化と、第二工程における次の反応とが固相中で、該反応混合物がその間に排出されることなく、又は他の反応器中へ移されることなく、1つのみの反応器中で行われることにより特徴付けられている。本発明によれば、第二工程は、好ましくは第一工程の直後に、同一の反応器中で実施される。
【0015】
“相変化(Phasenumbruch)”という概念は、該反応器中での液相から固相への相転移を呼ぶ。
【0016】
少なくとも、本発明による方法の第二工程において、該反応器中の温度は、該ポリアミドの融点を下回る。好ましくは、全方法において、該反応器中の温度は、製造すべきポリアミドの融点を下回る。
【0017】
好ましくは、第二工程において、該反応器中の温度は、該ポリアミドのガラス転移温度を上回り、ひいては該ポリアミドのガラス転移温度と該ポリアミドの融点との間にある。
【0018】
特に好ましくは、少なくとも260℃、特に好ましくは少なくとも265℃の第二工程の終了後の融点を有するポリアミド(重縮合物)が、本発明による方法において製造される。
【0019】
その際に、第二工程において、該反応器中の最高温度は、該ポリアミドの融点を好ましくは少なくとも25℃、特に好ましくは少なくとも30℃、特に少なくとも35℃、下回る。特に好ましくは、該反応器中の最高温度は、該ポリアミドの融点を少なくとも40℃下回る。
【0020】
該反応器中の温度は、該重縮合の過程で、好ましくは相変化まで、連続的に及び/又は段階的に上昇する。
【0021】
第一工程における反応時間は、好ましくは0.5〜10時間、特に好ましくは2〜6時間、特に3〜4時間である。
【0022】
第二工程における反応時間は、好ましくは0.3〜5時間、特に好ましくは0.5〜2時間、特に1〜2時間である。
【0023】
好ましくは、第一工程における重縮合の前に、固相中での重縮合は行われず、このことは、本発明による重縮合が、まず最初に液相中での反応と、次にはじめて固相中での反応とを含むが、しかしながら液相中での反応の前の固相中での反応を含まないことを意味する。
【0024】
本発明による方法において、該重縮合は好ましくは、最大10バール、特に好ましくは最大7バール、特に最大5.5バールの圧力で実施される。
【0025】
該反応における最高温度は、特にポリアミド6,6の製造の場合に、好ましくは200〜250℃、特に好ましくは210〜230℃である。
【0026】
重縮合可能なモノマー及び/又はオリゴマーは、該重縮合の最初に含水であってよく、もしくは水との混合物で使用することができる。その際に、重縮合可能なモノマー対水の質量比は、好ましくは0.5:1〜5:1、特に好ましくは1:1〜2:1、特に1.2:1〜1.7:1である。
【0027】
本発明による方法の過程で、まず最初に自生圧下で、所望の目的圧(最高圧力)に達するまで、加熱することができる。次いで、気相は、所望の反応温度で、該最高圧力に調節できるように、該反応混合物から排出することができる。典型的には、該反応の過程で、該反応混合物中に存在しているか又は該重縮合により形成される水は、蒸気で排出される。該重縮合の際に生じ、該重縮合性モノマーにより遊離される低分子化合物も、蒸気で排出することができる。
【0028】
典型的には、該圧力は、周囲圧力から、第一処理工程の過程で、最高圧力にまで上昇する。第二工程の過程で、該圧力は次いで、好ましくは徐々に、周囲圧力に低下され、その際に次いで、得られた重縮合物は該反応器から排出される。
【0029】
特に好ましくは、ジカルボン酸及びジアミンの反応により得られるポリアミドの製造方法が利用される。これらのポリアミドは、ホモポリマー又はコポリマーであってよい。付加的に、ジカルボン酸及びジアミン、ラクタム、アミノニトリル又はアミノカルボン酸、例えばカプロラクタム又はカプリルラクタムを使用することも可能である。
【0030】
ジカルボン酸及びジアミンに加え、該ジカルボン酸と該ジアミンとの塩も、出発モノマーとして使用することができる。
【0031】
該ポリアミドは、脂肪族、部分芳香族又は芳香族であってよい。これらはそのうえ、非晶質、結晶性又は部分結晶性であってよい。該ポリアミドは更に、任意の適した粘度、もしくは分子量を有してよい。特に適しているのは、脂肪族、部分結晶性又は部分芳香族並びに非晶質の構造を有するポリアミドである。
【0032】
これらは、ISO 307による25℃での96質量%硫酸中0.5質量%溶液中で測定される、例えば90〜350ml/g、好ましくは110〜240ml/gの粘度数を有してよい。
【0033】
ジカルボン酸として、炭素原子6〜12個、特に6〜10個を有するアルカンジカルボン酸が、及び芳香族ジカルボン酸が、好ましくは使用可能である。ここでは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸及びテレフタル酸及び/又はイソフタル酸が酸として挙げられる。
【0034】
ジアミンとして、特に、炭素原子2〜12個、特に6〜8個を有するアルカンジアミン並びにm−キシリレンジアミン、ジ(α−アミノフェニル)メタン、ジ(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ジ(アミノフェニル)プロパン又は2,2−ジ(4−アミノシクロヘキシル)プロパン並びにp−フェニレンジアミンが適している。
【0035】
好ましいポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジピン酸アミド(PA66)及びポリヘキサメチレンセバシン酸アミド(PA610)並びにコポリアミド6/66、特に5〜20質量%の割合のカプロラクタム単位を有するものである。
【0036】
更に、高められた温度下での1,4−ジアミノブタン及びアジピン酸の縮合により誘導されるポリアミドが挙げられる(ポリアミド−4,6)。
【0037】
更に、トリアミン含量が0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満である部分芳香族コポリアミド、例えばPA 66/6Tが特に有利であることが判明している、EP-A-0 299 444及びWO 2008/074687号を参照。
【0038】
以下のリストは、最終的なものではないが、本発明の意味での、上記の並びに更なるポリアミドを含有する(括弧中にそれらのモノマーが示されている):
PA 26(エチレンジアミン、アジピン酸)
PA 210(エチレンジアミン、セバシン酸)
PA 46(テトラメチレンジアミン、アジピン酸)
PA 66(ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸)
PA 69(ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸)
PA 610(ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸)
PA 612(ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸)
PA 613(ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸)
PA 1212(1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸)
PA 1313(1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸)
PA MXD6(m−キシリレンジアミン、アジピン酸)
PA TMDT(トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸)
ポリフェニレンジアミンテレフタルアミド(p−フェニレンジアミン、テレフタル酸)。
【0039】
これらのポリアミドは、それ自体として知られている。それらの製造についての詳細を、当業者は、Ullmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie, 第4版, 第19巻, pp. 39-54, Verlag Chemie, Weinmann 1980並びにUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A21, pp. 179-206, VCH Verlag, Weinheim 1992並びにStoeckhert, Kunststofflexikon, pp. 425-428, Hanser Verlag Muenchen 1992(見出語“Polyamide”及びそれ以降)に見出す。
【0040】
そのうえ、本発明によれば、カルボキシル基又はアミノ基に結合することができ、かつ例えば少なくとも1個のカルボキシル基、ヒドロキシル基又はアミノ基を有する、該ポリアミド中の官能化する化合物を提供することが可能である。それらは、好ましくは、
・例えば少なくとも3個のカルボキシル基又はアミノ基を有する、架橋作用のあるモノマー、
・例えばエポキシ基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、アミノ基及び/又はカルボキシル基により、カルボキシル基又はアミノ基に結合することができ、かつヒドロキシル基、エーテル基、エステル基、アミド基、イミン基、イミド基、ハロゲン基、シアノ基及びニトロ基、C−C二重結合又はC−C三重結合から選択される官能基を有する、モノマー、
・又はカルボキシル基又はアミノ基に結合することができるポリマーブロック、例えばポリ−p−アラミドオリゴマー
である。
【0041】
官能化する化合物の使用により、製造されるポリアミドの特性範囲は、幅広い範囲で自由に調節することができる。
【0042】
例えば、トリアセトンジアミン化合物は、官能化するモノマーとして使用することができる。それらは好ましくは、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン又は4−アミノ−1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンであり、これらの中で、該アルキル基は、炭素原子1〜18個を有するか又はベンジル基により置き換えられている。該トリアセトンジアミン化合物は、該ポリアミドの酸アミド基1molをそれぞれ基準として、好ましくは0.03〜0.8mol%、特に好ましくは0.06〜0.4mol%の量で、存在している。更なる説明については、DE-A-44 13 177を参照することができる。
【0043】
本発明による方法の第二工程に続き、更に周囲圧力での後縮合が、好ましくは不活性ガスでフラッシングしながら、行われてよい。該後縮合により、該分子量を更に有意に高めることができる。
【0044】
本発明により得ることができるポリアミドは、公知の方法で、繊維、フィルム/シート又は成形体を製造するのに使用することができる。該ポリアミドは、熱可塑性成形材料の主要部分となっていてよい。
【0045】
本発明による熱可塑性成形材料は、更なる添加剤、例えば更なる充填剤、例えばガラス繊維、安定剤、酸化遅延剤、熱分解及び紫外線による分解に抵抗する薬剤、滑剤及び離型剤、着色剤、例えば染料及び顔料、核生成剤、可塑剤等を更に含有してよい。典型的には、これらの更なる添加剤は0〜50質量%、好ましくは0〜35質量%の量で存在する。可能な添加剤のより詳細な説明については、WO 2008/074687、31〜37頁を参照することができる。
【0046】
本発明による熱可塑性成形材料の製造は例えば、好ましくは170〜350℃、特に好ましくは200〜300℃の範囲内の温度での押出法により、行われる。
【0047】
例えば、DE-A-10 2007 029 008に記載されたような方法を使用することができる。更に、該製造についてはWO 2009/000408を参照することができる。
【0048】
該熱可塑性成形材料の更なる加工は、公知の方法により、例えば射出成形又は圧縮成形により、行うことができる。
【0049】
本発明は、以下の例によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】例1の実験条件を示す図。
【実施例】
【0051】
例1
ポリアミド6,6の製造
ポリアミド6,6を、不連続縮合により、二軸スクリューニーダー中で製造した。このために、AH塩1.3kg及び水0.9kgを、混練しながら、段階的に160℃に加熱した。生じた圧力は、その際に約5バールであった。これらの条件下で、大部分の水を留去した。該ニーダーの回転速度は約25分-1であった。約5バールの圧力レベルを、含水量が減少するにつれて、220℃に温度を高めることにより調節し、その際に、その蒸留量を手でニードル弁を用いて調節した。含水量が減少するにつれて、該混合物の蒸気圧が低下し、それにより、該温度は約220℃の最高温度で一定に調節された。
【0052】
該圧力が約1バールの周囲圧力に低下した後に、その混合室を窒素でフラッシングして、残っている水蒸気を除去し、かつ空気の進入を防止した。該含水量の低下は、該水/ポリマー混合物の粘度の増加をもたらす。その混練モーターのエネルギー吸収の最大値は、相変化を示したときに観察された。その後、該重縮合物の固体粒子が生成し、該エネルギー吸収は再び低下した。該ニーダーを開けると、該材料は自由流動性の粒状物として得られた。
【0053】
得られたポリアミド6,6は、93ml/gの粘度数、46mmol/kgのアミノ末端基含量、165mmol/kgのカルボキシル末端基含量、16200g/molの数平均分子量、39600g/molの質量平均分子量及び2.4のMw/Mn比を有していた。
【0054】
該実験条件は、添付の図1に示されている。
【0055】
その際に、図1は、時間(単位:分)に対する、圧力(単位:bar絶対)、流れ温度(Vorlauftemperatur)(単位:℃)、室温度(単位:℃)及びその駆動装置のエネルギー吸収(単位:mA)の経過を示す。相応する曲線は、該図で100分の時点で上から下への順に見ることができる。
【0056】
例2(参考例)
部分芳香族ポリアミドを製造するために、10リットル入る、電気加熱された撹拌タンク反応器を使用した。次の組成のモノマー塩混合物を、室温で導入した:
ヘキサメチレンジアミン 1726.7kg
m−フェニレンビス(メチルアミン) 99.6g
テレフタル酸 1822.3g
イソフタル酸 749.2kg
次亜リン酸ナトリウム一水和物 1.36kg。
【0057】
生じたモノマー塩の融点をDSCにより測定し、かつ228℃であった。
【0058】
次に、該反応器を密閉し、三回、10バールに窒素を押し込み、かつ排出して、痕跡量の酸素を除去した。引き続き、該反応器を250℃の温度に加熱した。該重縮合を、密閉された反応器中で、この反応器温度で2時間行った。15分の反応時間後に、該反応混合物は凝固し、該反応を、水の形成下に、2時間までの残りの時間分にわたって続けた。2時間後に、該反応器を室温に冷却し、該固体生成物をGPCにより調べた。該ポリアミドは、3820g/molの数平均分子量、8120g/molの質量平均分子量及び2.1のMw/Mn比を有していた。
【0059】
引き続き、この生成物50gを、ロータリーエバポレーターの200ml入るガラス容器中へ充填し、加熱浴中で窒素流30l/h下及び常圧下に250℃に加熱した。30時間後に、該試料を室温に冷却し、その分子量をGPC測定により決定した。得られたポリアミドは、19800g/molの数平均分子量、67500g/molの質量平均分子量及び3.4のMw/Mn比を有していた。
図1