(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリアリーレンエーテル溶液は、分割装置から流出した後に、流出箇所から沈殿浴表面までの0.10m〜1.20mの落下距離を落下する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、
i) 10〜1400Hzの範囲内の周波数で振動する分割装置中で、ポリアリーレンエーテル溶液を分割して液滴を得る工程、
ii) 液滴を沈殿浴中に移して、この沈殿浴中でポリアリーレンエーテルビーズを形成させる工程を有し、ここで、この沈殿浴は、
(A) 少なくとも1種の非プロトン性溶媒(成分(1))及び少なくとも1種のプロトン性溶媒(成分(2))を含み、
(B) 0℃〜T
cまでの温度を有し、ここで、[℃]で示される臨界温度T
cは、数値方程式T
c=(77−c)/0.58で決定することができ、cは、沈殿浴中の成分(1)の、[質量%]で示す濃度であり、かつ
(C) 成分(1)を5質量%〜c
cまでの濃度で有し、ここで、[質量%]で示す臨界濃度c
cは、数値方程式c
c=77−0.58・Tで決定することができ、Tは、沈殿浴中の、[℃]で示す温度であり、ここで、
上記の質量%は、それぞれ沈殿浴中の成分(1)及び成分(2)の質量%の合計を基準とする、ポリアリーレンエーテル溶液からポリアリーレンエーテルビーズを製造する方法に関する。
【0002】
同様に、本発明は、上記方法からのポリアリーレンエーテルビーズ、及びポリアリーレンエーテル生成物の製造のためのその使用に関する。
【0003】
ポリマーの製造の場合に、このポリマーは頻繁にポリマー溶液の形で生じる。この場合、このポリマー溶液は、ポリマーの製造の際、例えば溶媒中でのモノマーの重縮合(溶液重合)の際に直接生じることがある。溶媒の不在でのモノマーの重縮合(塊状重合)の場合でも、得られるポリマーは、頻繁に更なる後処理のために溶媒中に溶かされる。
【0004】
ポリマー溶液中に含まれるポリマーを、純粋な固体の状態に移行させるために、先行技術において多様な方法が記載されている。この場合、通常の方法は、ポリマー溶液を、このポリマーを溶解しない他の溶媒中に導入することである。このポリマーを溶解しない他の溶媒は、一般に沈殿浴ともいわれる。
【0005】
ポリマービーズの製造のために、先行技術の場合に、更に、このポリマー溶液を液滴に分割し、この液滴から沈殿浴中で後続してポリマービーズを得る方法が記載されている。先行技術に記載された方法において、ここでは、沈殿浴は主にポリマーを溶解しない他の溶媒から構成されなければならない。ポリマーを溶解する溶媒の、沈殿浴中での割合は、この場合、できる限り低く保たれる。これは、沈殿を確実に保証するために必要である。沈殿浴中で、ポリマーを溶解する溶媒の割合をできる限り低く保つために、一般に、大量の沈殿浴中に少量のポリマー溶液を滴加するか、又は沈殿浴を連続的に交換して、新規の浴に置き換えることである。
【0006】
ポリマービーズの製造方法は、例えば独国特許発明第3 644 464号明細書及び欧州特許第2 305740号明細書に記載されている。この独国特許発明第3 644 464号明細書は、ポリアリールエーテルスルホンビーズの製造方法を記載していて、この場合、ポリアリールエーテルスルホンとN−メチルピロリドンとを含む溶液を、水からなる沈殿浴に滴加している。欧州特許第2 305740号明細書も、ポリマービーズの製造方法を記載していて、この場合、純水が沈殿浴として使用される。この沈殿浴として使用される水は、この場合、N−メチルピロリドンの濃度をできる限り低く保ちかつ形成されるポリマービーズを後続するプロセス段階に更に輸送するために常に交換される。
【0007】
先行技術に記載された、ポリマービーズの製造方法の場合にまだ改善する余地がある。先行技術で記載された方法により得られたポリマービーズは、凝集する傾向がある。更に、真球度の値は未だに満足できるものではない。先行技術に記載された方法の場合に、更に、いわゆる微細分が大量に生じる。この微細分とは、粒度が極めて小さいポリマービーズのことであり、これはポリマービーズの更なる後処理又は加工の際に問題を引き起こす。
【0008】
本発明の課題は、沈殿浴中で凝集せず、それにより他の後処理工程なしで更に加工することができるポリアリーレンエーテルビーズを提供する方法を開発することにある。
【0009】
慣用の分割法及び沈殿浴は、比較的広い粒度分布を示す粒子を製造する。よって、この課題は、少量の微細分しか生じない方法を提供することが好ましい、というのも、微細分はふるいを詰まらせかねないためである。同様に、多すぎる粗大分も生じないのが好ましい、というのも、この大きすぎるポリアリーレンエーテルビーズは、抽出するのが困難なためである。更に、この方法は確実に行えるのが好ましい。
【0010】
本発明による課題は、冒頭に記載された方法により解決される。
【0011】
意外にも、ポリアリーレンエーテルビーズの製造のために、少なくとも1種の非プロトン性溶媒を大量に含む沈殿浴を使用することが好ましいことが判明した。使用される沈殿浴が、ポリマーを良好に溶解する溶媒をできる限り少量で含むべきであるとする先行技術に記載された先入観に対して、沈殿浴中の少なくとも1種の非プロトン性溶媒(成分1)の、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも8質量%、特に好ましくは少なくとも12質量%の濃度により、不所望な微細分の形成を抑制又は少なくとも低減できることが見出された。
【0012】
非プロトン性溶媒の存在は沈殿浴の表面張力を低下させ、それにより微細分の形成は低減されることが予想される。
【0013】
「微細分」とは、本発明の範囲内で、≦1000μm(1000μm以下)の粒度のポリアリーレンエーテルビーズであると解釈される。この粒度の決定は篩い分析によって行う。60℃で乾燥したポリアリーレンエーテルビーズを測定する。
【0014】
本発明による方法の一実施態様の場合に、この方法の開始時に、非プロトン性溶媒を含まない沈殿浴を使用する。この実施態様の場合に、成分(1)の濃度は開始時に0質量%である。成分(1)の少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10質量%の本発明による濃度は、この実施態様の場合に、沈殿浴にポリマー溶液を滴加することにより生じる。本発明による方法の他の実施態様の場合に、沈殿浴中の成分(1)の濃度は、この方法の開始時に、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも8質量%、特に好ましくは少なくとも12質量%の濃度である。この実施態様が好ましい。
【0015】
従って、沈殿浴中の成分(1)の濃度の下限は、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも8質量%、特に好ましくは少なくとも12質量%である。この場合、上述の質量%は、それぞれ沈殿浴中の成分(1)及び成分(2)の質量%の合計を基準とする。
【0016】
沈殿浴中の成分(1)の濃度の上限は温度に依存する。この上限は臨界濃度c
cともいわれる。c
cの単位は[質量%]である。
【0017】
[質量%]で示されるこの臨界濃度c
cは、数値方程式
c
c=77−0.58・T
によって決定される。
【0018】
この場合、Tは、沈殿浴の[℃]で示される温度である。従って、Tは、沈殿浴の実際の温度を示す。沈殿浴の実際の温度を前提として、質量%で示される臨界濃度c
cを算出することができる。この場合、この質量%は、沈殿浴中の成分(1)及び(2)の合計を基準とする。
【0019】
5質量%からc
cまでの本発明による濃度範囲内で、微細分の形成並びにポリアリーレンエーテルビーズの凝集は十分に抑制される。
【0020】
ポリアリーレンエーテルは、当業者にポリマーの種類として公知である。原則として当業者に公知の及び/又は公知の方法により製造可能な全てのポリアリーレンエーテルが挙げられる。相応する方法は更に下記に説明されている。好ましいポリアリーレンエーテルは、一般式Iの構成要素から構成される:
【化1】
前記式中、記号t、q、Q、T、Y、Ar及びAr
1は、次の意味を有する:
t、qは、互いに無関係に、0、1、2又は3であり、
Q、T、Yは、それぞれ互いに無関係に、化学結合又は、−O−、−S−、−SO
2−、S=O、C=O、−N=N−及び−CR
aR
b−から選択される基を表し、ここで、R
a及びR
bは、それぞれ互いに無関係に、水素原子又はC
1〜C
12−アルキル基、C
1〜C
12−アルコキシ基又はC
6〜C
18−アリール基を表し、ここで、Q、T及びYの少なくとも1つは、−SO
2−を表し、かつ
Ar、Ar
1は、互いに無関係に、6〜18個の炭素原子を有するアリーレン基を表す。
【0021】
Q、T又はYは、上記の前提条件の下で、化学結合である場合、これは、左側に隣接する基と右側に隣接する基とが互いに化学結合を介して直接結合して存在すると解釈される。
【0022】
好ましくは、式I中のQ、T及びYは、もちろん互いに無関係に、−O−及び−SO
2−から選択されるが、ただし、Q、T及びYからなる基の少なくとも1つは、−SO
2−を表す。
【0023】
Q、T又はYが、−CR
aR
b−である場合、R
a及びR
bは、互いに無関係に、それぞれ水素又はC
1〜C
12−アルキル基、C
1〜C
12−アルコキシ基又はC
6〜C
18−アリール基を表す。
【0024】
好ましくは、C
1〜C
12−アルキル基は、1〜12個の炭素原子を有する、線状及び分枝状の飽和アルキル基を含む。特に次の基を挙げることができる:C
1〜C
6−アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−又は3−メチル−ペンチル及びより長鎖の基、例えば非分枝のヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル及びこれらの1箇所以上が分枝した同族体。
【0025】
上述の使用可能なC
1〜C
12−アルコキシ基中のアルキル基として、更に上記に定義された1〜12個の炭素原子を有するアルキル基が挙げられる。好ましくは使用可能なシクロアルキル基は、特にC
3〜C
12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロペンチルブチル、シクロペンチルペンチル、シクロペンチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルジメチル及びシクロヘキシルトリメチルを含む。
【0026】
Ar及びAr
1は、互いに無関係に、C
6〜C
18−アリーレン基を意味する。更に下記の出発物から出発して、Arは、好ましくは、電子が豊富な、容易に求電子性に攻撃可能な芳香族の物質から誘導され、この物質は、好ましくはヒドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシナフタレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン、及び4,4′−ビスフェノールからなる群から選択される。好ましくは、Ar
1は、非置換のC
6〜C
12−アリーレン基である。
【0027】
C
6〜C
18−アリーレン基のAr及びAr
1として、特にフェニレン基、例えば1,2−フェニレン、1,3−フェニレン及び1,4−フェニレン、ナフチレン基、例えば1,6−ナフチレン、1,7−ナフチレン、2,6−ナフチレン及び2,7−ナフチレン、並びにアントラセン、フェナントレン及びナフタセンから誘導されるアリーレン基が挙げられる。
【0028】
好ましくは、Ar及びAr
1は、式Iの好ましい実施態様の場合に、互いに無関係に、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフチレン、特に2,7−ジヒドロキシナフチレン、及び4,4′−ビスフェニレンからなる群から選択される。
【0029】
好ましいポリアリーレンエーテルは、特に次の構成要素Ia〜Ioの少なくとも1つを繰り返し構造単位として含むものである:
【化2】
【化3】
【0030】
好ましい構成要素Ia〜Ioに対して付加的に、ヒドロキノンから誘導された1つ以上の1,4−フェニレン単位は、レゾルシンから誘導された1,3−フェニレン単位に、又はジヒドロキシナフタレンから誘導されたナフチレン単位に置き換えられている構成要素も好ましい。
【0031】
一般式Iの構成要素として、構成要素Ia、Ig及びIkが特に好ましい。更に、成分(A)のポリアリーレンエーテルが、主に一般式Iの1種の構成要素から構成されているのが特に好ましく、殊にIa、Ig及びIkから選択される1つの構成要素から構成されているのが特に好ましい。
【0032】
特に好ましい実施値態様の場合に、Ar=1,4−フェニレン、t=1、q=0、Tは化学結合及びY=SO
2である。上述の繰返単位から構成された特に好ましいポリアリーレンエーテルスルホン(A)は、ポリフェニレンスルホン(PPSU)といわれる(式Ig)。
【0033】
更に特に好ましい実施態様の場合に、Ar=1,4−フェニレン、t=1、q=0、T=C(CH
3)
2及びY=SO
2である。上述の繰返単位から構成された特に好ましいポリアリーレンエーテルスルホン(A)は、ポリスルホン(PSU)といわれる(式Ia)。
【0034】
更に特に好ましい実施態様の場合に、Ar=1,4−フェニレン、t=1、q=0、T=Y=SO
2である。上述の繰返単位から構成された特に好ましいポリアリーレンエーテルスルホンは、ポリエーテルスルホン(PESU)といわれる(式Ik)。
【0035】
PPSU、PESU及びPSUのような省略記号は、本発明の範囲内で、DIN EN ISO 1043-1(プラスチック−識別記号及び省略記号−第1部:基本ポリマー及びその特別な特徴(Kunststoffe - Kennbuchstaben und Kurzzeichen -Teil 1 : Basis-Polymere und ihre besonderen Eigenschaften)(ISO 1043-1 :2001);ドイツ語版EN ISO 1043-1 :2002)に対応する。
【0036】
これらのポリアリーレンエーテルは、標準としての狭い分布のポリメチルメタクリラートに対して溶媒のジメチルアセトアミド中でのゲル浸透クロマトグラフィーによって決定して、好ましくは10,000〜150,000g/モル、特に15,000〜120,000g/モル、特に好ましくは18,000〜100,000g/モルの質量平均分子量M
wを有する。
【0037】
更に、これらのポリアリーレンエーテルは、好ましくは、350℃/1150s
-1で150〜300Pa s、好ましくは150〜275Pa sの見掛け溶融粘度を有する。
【0038】
流動性を溶融粘度に基づき評価した。溶融粘度は、毛管式レオメーターを用いて決定した。この場合、350℃での見掛け粘度を剪断速度の関数として、長さ30mm、半径0.5mmの環状毛管を備え、180°の毛管流入角で、溶融物の貯蔵容器直径12mmで、かつ予熱時間5分で、毛管式粘度計(Goettfert Kapillarviskosimeter Rheograph 2003)中で決定した。1150s
-1で決定された値が記載されている。
【0039】
上述のポリアリーレンエーテルを生じる製造方法は当業者に公知であり、例えばHerman F. Mark著、「Encyclopedia of Polymer Science and Technology」、第3版、第4巻、2003、2〜8頁の「ポリスルホン」の章、並びにHans R. Kricheldorf著、「Aromatic Polyethers」、Handbook of Polymer Synthesis、第2版、2005、427〜443頁に記載されている。
【0040】
特に、非プロトン性極性溶媒中で、水不含のアルカリ金属炭酸塩、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム又はこれらの混合物の存在での、2つのハロゲン置換基を有する少なくとも1種の芳香族化合物と、上述のハロゲン置換基に対して反応性の2つの官能基を有する少なくとも1種の芳香族化合物との反応が好ましく、ここで、炭酸カリウムが特に最も好ましい。特に適した組み合わせは、溶媒としてのN−メチルピロリドンと、塩基としての炭酸カリウムである。
【0041】
好ましくはこれらのポリアリーレンエーテルは、ハロゲン末端基、特にクロロ末端基、又はエーテル化された末端基、特にアルキルエーテル末端基を有し、これらは、OH末端基又はフェノラート末端基の適切なエーテル化剤との反応により得られる。
【0042】
適切なエーテル化剤は、例えば単官能性アルキルハロゲニド又はアリールハロゲニド、例えばC
1〜C
6−アルキルクロリド、C
1〜C
6−アルキルブロミド又はC
1〜C
6−アルキルヨージド、好ましくは塩化メチル、又は塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル又はこれらの混合物である。これらの成分のポリアリーレンエーテルの範囲内での好ましい末端基は、ハロゲン、特に塩素、アルコキシ、特にメトキシ、アリールオキシ、特にフェノキシ又はベンジルオキシである。
【0043】
ポリアリーレンエーテル溶液とは、1種以上の溶媒、1種以上のポリアリーレンエーテルを含むことができる溶液であると解釈される。このポリアリーレンエーテル溶液は、更に、製造プロセスに由来する材料を含んでいてもよい。これらには不純物も、使用原料も数えられる。特に、このポリアリーレンエーテル溶液は、モノマー並びにポリアリーレンエーテルの製造プロセスからの塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム又は塩化ナトリウムを含んでいてもよい。副生成物及び/又は分解生成物も、ポリアリーレンエーテル溶液中に存在してもよい。
【0044】
ポリアリーレンエーテル溶液用の溶媒として、1種以上の非プロトン性溶媒を使用することができる。非プロトン性溶媒とは、溶媒分子中の1つ以上の水素原子がプロトンとして脱離することができる官能基を有しない溶媒であると解釈される。特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、1,2−ジクロロベンゼン、ヘキサメチル−リン酸トリアミド及び/又はジフェニルスルホン又はこれらの混合物を使用することができる。
【0045】
非プロトン性溶媒として、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン及び/又はジフェニルスルホンからなる群から選択される少なくとも1種の溶媒である。
【0046】
非プロトン性溶媒として特に好ましいのは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ジメチルスルホキシド、スルホラン及び/又はこれらの溶媒の混合物である。
【0047】
本発明の一実施態様の場合に、このポリアリーレンエーテル溶液は、沈殿浴と同じ非プロトン性溶媒を含む。従って、本発明の主題は、ポリアリーレンエーテル溶液と沈殿浴とが同じ非プロトン性溶媒を含む方法でもある。
【0048】
ポリアリーレンエーテル溶液は、好ましくは、非プロトン性溶媒中にポリアリーレンエーテル5〜50質量%の濃度を有し、ここで、質量%は、ポリアリーレンエーテル及び非プロトン性溶媒の質量%の合計を基準とする。特に、ポリアリーレンエーテル溶液は、非プロトン性溶媒中にポリアリーレンエーテル5〜40質量%、好ましくは5〜35質量%、特に好ましくは5〜34質量%、例えば6〜30質量%の濃度を有し、ここで、質量%はポリアリーレンエーテル及び非プロトン性溶媒の質量%の合計を基準とする。
【0049】
ポリアリーレンエーテル溶液は、粘度0.05〜1.30Pa sを有していてもよく、ここで、粘度は、剪断応力調整された回転式粘度計中で、例えばクエット形状(DIN 53019-1)で、分割を実施する温度で、及び10
-1 s
-1の剪断速度で測定する。
【0050】
このポリアリーレンエーテル溶液は、分割工程において、15〜250℃、殊に20〜120℃、例えば20〜110℃の温度を有することができ、ここで、温度は、温度計を用いて、例えば抵抗温度計PT100によって分割装置に接して測定することができ、ここから、ポリアリーレンエーテル溶液は分割を実施するために分割装置に供給される。
【0051】
ポリアリーレンエーテル溶液からポリアリーレンエーテルビーズを製造する方法の場合に、ポリアリーレンエーテル溶液は、液滴の形成のために分割工程を通過する。この場合、多様な種類の分割装置を使用することができる。ポリマー溶液を、例えば噴霧又は滴下することができる。
【0052】
ポリマー溶液を噴霧する場合、分割装置として、一流体ノズル、二流体ノズル又は多流体ノズルを使用することができる。二流体ノズル又は多流体ノズルは、ポリアリーレンエーテル溶液が沈殿浴中の沈殿溶液に当たる前にすでに沈殿溶液と接触させるべき場合に、特に適用することができる。
【0053】
殊に、できる限り大きなビーズを達成するスプレーノズルを選択することができる。より大きなビーズを達成するために、スプリングコーン型ノズル(Federkegelduesen)を使用することができ、つまり、バネにより作動する加圧ノズルを使用することができる。できる限り小さなビーズを達成するために、ホローコーンノズルを使用することができる。
【0054】
ポリアリーレンエーテル溶液を分割するために、分割装置として、1枚以上の多孔板を使用することが提案される。多孔板とは、複数の孔を備えた金属製、ガラス製又はプラスチック製のプレートであると解釈され、この孔を通してポリアリーレンエーテル溶液は分割される。
【0055】
多孔板の1つの孔の直径は、0.1〜5.0mmであることができる。殊に、多孔板の1つの孔の直径は0.5〜4.0mmであることができる。好ましくは、多孔板の1つの孔の直径は0.5〜2.5mm、特に0.5〜2.0mmである。
【0056】
同様に、分割装置として、ポリアリーレンエーテル溶液の滴下のために1つ以上の毛管を使用することができる。毛管とは、金属製、ガラス製及び/又はプラスチック製であることができる境界部により取り囲まれている長く延びた中空空間であると解釈される。
【0057】
毛管の内径は、0.1〜5.0mmであることができる。殊に、毛管の内径は0.5〜4.0mmであることができる。好ましくは、この毛管の直径は0.5〜2.5mm、殊に0.5〜2.0mmであることができる。
【0058】
ポリアリーレンエーテル溶液を液滴に分割する際に、この分割装置を10〜1400Hz、好ましくは50〜1000Hz、殊に1000〜800Hzの周波数で振動させる。この分割装置は、縦方向又は横方向に振動させることができる。縦方向の振動を引き起こすために、この分割装置を、例えば膜に固定し、この膜を音響発生器による振動子によって縦方向に振動させることができる。音響発生器の代わりに、圧電性の変換器を使用することもできる。分割装置の縦方向又は横方向の振動を達成するために、発振器又は振動器を使用することもできる。
【0059】
横方向の振動は、一般にバイブレータを用いて作製される。
【0060】
分割装置を振動させて、ポリアリーレンエーテル溶液を液滴に分割する場合に、振動の振幅を−300〜+300dBVに設定することができる。
【0061】
一実施態様の場合に、分割方法に関して、過圧でポリアリーレンエーテル溶液を分割する。一態様の場合に、ポリアリーレンエーテル溶液を、0.1〜50bar、殊に1〜40bar、好ましくは1〜10bar、特に好ましくは1〜9barの過圧で分割する。この圧力は、分割装置と、分割されるべきポリアリーレンエーテル溶液を有する貯蔵容器との間で、過圧測定機(例えば、管状ばね過圧測定機(Rohrfeder-Ueberdruckmessgeraet)が適している)を用いて測定される。
【0062】
この沈殿浴は、成分(1)として1種以上の非プロトン性溶媒を含む。非プロトン性溶媒とは、溶媒分子中の1つ以上の水素原子がプロトンとして脱離することができる官能基を有しない溶媒であると解釈される。特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン及び/又はジフェニルスルホン又はこれらの混合物を使用することができる。
【0063】
沈殿浴は、更に、成分(2)として1種以上のプロトン性溶媒を含む。
【0064】
この沈殿浴は、成分(2)として水及び/又は少なくとも1種のアルコールを含むことができる。水として、鉱化水又は脱塩水を使用することができる。アルコールとして、1価又は2価のアルコールを使用することができる。好ましくは、1価のアルコールを使用する。1価のアルコールとして、特にメタノール、エタノール、1−プロパノール及び/又は2−プロパノールを使用することができる。
【0065】
本発明の主題は、
iii) 10〜1400Hzの範囲内の周波数で振動する分割装置中で、ポリアリーレンエーテル溶液を分割して液滴を得る工程、
iv) 液滴を沈殿浴中に移して、この沈殿浴中でポリアリーレンエーテルビーズを形成させる工程を有し、ここで、この沈殿浴は、
(D) 少なくとも1種の非プロトン性溶媒(成分(1))及び少なくとも1種のプロトン性溶媒(成分(2))を含み、
(E) 0℃〜T
cまでの温度を有し、ここで、[℃]で示される臨界温度T
cは、数値方程式T
c=(77−c)/0.58で決定することができ、cは、沈殿浴中の成分(1)の、[質量%]で示す濃度であり、かつ
(F) 成分(1)を、5質量%〜c
cまでの濃度で有し、ここで、[質量%]で示す臨界濃度c
cは、数値方程式c
c=77−0.58・Tで決定することができ、Tは、沈殿浴中の、[℃]で示す温度であり、ここで、
質量%は、それぞれ沈殿浴中の成分(1)及び成分(2)の質量%の合計を基準とし、かつここでこの沈殿浴は、成分(2)として水及び/又はアルコールを含む、
ポリアリーレンエーテル溶液からポリアリーレンエーテルビーズを製造する方法である。
【0066】
好ましくは、沈殿浴は、成分(1)としての非プロトン性溶媒と、成分(2)としての水及び/又は少なくとも1種のアルコールとの混合物を含む。
【0067】
この沈殿浴は、好ましくは、5質量%〜c
cの非プロトン性溶媒を含む混合物を含み、ここで、質量%は、非プロトン性溶媒(成分(1))及び水及び/又はアルコール(成分(2))の質量%の合計を基準とし、かつこの合計は100質量%となる。
【0068】
殊に、この沈殿浴は、8質量%〜c
cの非プロトン性溶媒を含む混合物を含み、ここで、質量%は、非プロトン性溶媒(成分(1))及び水及び/又はアルコール(成分(2))の質量%の合計を基準とし、かつこの合計は100質量%となる。
【0069】
殊に、この沈殿浴は、成分(1)として5〜70質量%の非プロトン性溶媒及び成分(2)として30〜95質量%の水及び/又はアルコールを含み、ここで、成分(1)と成分(2)との質量%の合計は100質量%となる。殊に、この沈殿浴は、成分(1)として8〜70質量%の非プロトン性溶媒と、成分(2)として30〜92質量%の水及び/又はアルコールとからなる混合物を含み、ここで、成分(1)と成分(2)との質量%の合計は100質量%となる。
【0070】
特に好ましくは、この沈殿浴は、成分(1)として5〜70質量%の非プロトン性溶媒及び成分(2)として30〜95質量%の水を含み、ここで、成分(1)と成分(2)との質量%の合計は100質量%となる。特に、この沈殿浴は、成分(1)として8〜70質量%の非プロトン性溶媒と、成分(2)として30〜92質量%の水及び/又はアルコールとからなる混合物を含み、ここで、成分(1)と成分(2)との質量%の合計は100質量%となる。
【0071】
特に全く好ましくは、この沈殿浴は、成分(1)として5〜70質量%のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ジメチルスルホキシド及び/又はスルホランと、成分(2)として30〜95質量%の水とを含み、ここで、成分(1)及び成分(2)の質量%の合計は100質量%となる。殊に、この沈殿浴は、成分(1)として8〜70質量%のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ジメチルスルホキシド及び/又はスルホランと、成分(2)として30〜92質量%の水とからなる混合物を含み、ここで、成分(1)及び(2)の質量%の合計は100質量%となる。
【0072】
他の特に好ましい実施態様の場合に、この沈殿浴は、成分(1)を5〜50質量%、更に好ましくは8〜50質量%、特に好ましくは12〜50質量%を含み、ここで、質量%は、それぞれ、沈殿浴中の成分(1)及び成分(2)の質量%の合計を基準とする。
【0073】
他の特に好ましい実施態様の場合に、この沈殿浴は、成分(1)を5〜70質量%、更に好ましくは8〜70質量%、特に好ましくは12〜70質量%を含み、ここで、質量%は、それぞれ、沈殿浴中の成分(1)及び成分(2)の質量%の合計を基準とする。
【0074】
下限として、沈殿浴は、一般に、少なくとも0℃、好ましくは少なくとも5℃の温度を有する。沈殿浴の温度の上限は、沈殿浴中の成分(1)の濃度cに依存する。この温度の上限は、臨界温度T
cともいわれる。T
cの単位は[℃]である。
【0075】
[℃]で示される臨界温度T
cは、数値方程式
T
c=(77−c)/0.58
によって決定される。
【0076】
ここで、cは、[質量%]で示される、沈殿浴中の成分(1)の濃度である。従って、cは、沈殿浴中の成分(1)の実際の濃度を示す。沈殿浴中の成分(1)の実際の濃度をから出発して、[℃]で示される臨界温度T
cを算出することができる。この場合、この質量%は、沈殿浴中の成分(1)及び(2)の合計を基準とする。
【0077】
0℃からT
cまで、好ましくは5℃からT
cまでの本発明による温度範囲内で、微細分の形成並びにポリアリーレンエーテルビーズの凝集は十分に抑制される。
【0078】
本発明の一実施態様の場合に沈殿浴は運動させられている。特に、この沈殿浴は撹拌されていてもよい。更に、この分割工程は、流動する沈殿浴中で実施することができる。
【0079】
一実施態様の場合に、この分割工程を閉鎖された沈殿浴中で行い、ここで、分割のための適用は、閉鎖された容器中の又は閉鎖された容器に接して、沈殿溶液の上方に取り付けられている。
【0080】
ポリアリーレンエーテルビーズの製造方法の場合に、このポリアリーレンエーテル溶液は、流出箇所から沈殿浴表面までの0.10m〜1.20mの落下距離を落下することができる。例えば、このポリアリーレンエーテル溶液は、流出箇所から沈殿浴表面までの0.15m〜1.00mの落下距離を落下することができる。
【0081】
更に、本発明の主題は、非プロトン性溶媒を含み、かつ非プロトン性溶媒中のポリアリーレンエーテルの5〜50質量%の濃度を有し、ここで、質量%は、ポリアリーレンエーテル及び非プロトン性溶媒の質量%の合計を基準とするポリアリーレンエーテル溶液からポリアリーレンエーテルビーズを製造する方法であって、
i) 10〜1400Hzの範囲内の周波数で振動する分割装置中で、ポリアリーレンエーテル溶液を分割して液滴を得る工程、ここで、この分割の際のポリアリーレンエーテル溶液は15〜250℃の温度を有する、
ii) 液滴を沈殿浴中に移して、この沈殿浴中でポリアリーレンエーテルビーズを形成させる工程を有し、ここで、この沈殿浴は、
(A) 少なくとも1種の非プロトン性溶媒(成分(1))及び少なくとも1種のプロトン性溶媒(成分(2))を含み、
(B) 0℃〜Tcまでの温度を有し、ここで、[℃]で示される臨界温度T
cは、数値方程式T
c=(77−c)/0.58で決定することができ、cは、沈殿浴中の成分(1)の、[質量%]で示す濃度であり、かつ
(C) 成分(1)を5〜70質量%の濃度で有し、ここで、
質量%は、それぞれ、沈殿浴中の成分(1)及び成分(2)の質量%の合計を基準とする、ポリアリーレンエーテル溶液からポリアリーレンエーテルビーズを製造する方法である。
【0082】
同様に、本発明の主題は、非プロトン性有機溶媒を含み、かつ非プロトン性溶媒中のポリアリーレンエーテルの5〜50質量%の濃度を有し、ここで、質量%は、ポリアリーレンエーテル及び非プロトン性有機溶媒の質量%の合計を基準とするポリアリーレンエーテル溶液からポリアリーレンエーテルビーズを製造する方法であって、
i) 10〜1400Hzの範囲内の周波数で振動する分割装置中で、ポリアリーレンエーテル溶液を分割して液滴を得るが、ここで、この分割の際のポリアリーレンエーテル溶液は15〜250℃の温度を有する工程、
ii) 液滴を沈殿浴中に移して、この沈殿浴中でポリアリーレンエーテルビーズを形成させる工程を有し、ここで、この沈殿浴は、
(A) 少なくとも1種の非プロトン性溶媒(成分(1))及び少なくとも1種のプロトン性溶媒(成分(2))を含み、
(B) 0℃〜T
cまでの温度を有し、ここで、[℃]で示される臨界温度T
cは、数値方程式T
c=(77−c)/0.58で決定することができ、cは、沈殿浴中の成分(1)の、[質量%]で示す濃度であり、かつ
(C) 成分(1)を、5質量%〜c
cまでの濃度で有し、ここで、[質量%]で示す臨界濃度c
cは、数値方程式c
c=77−0.58・Tで決定することができ、Tは、沈殿浴中の、[℃]で示す温度であり、ここで、この質量%は、それぞれ、沈殿浴中の成分(1)及び成分(2)の質量%の合計を基準とし、かつ、ここで、沈殿浴は成分(2)として、水及び/又はアルコールを含み、かつ非プロトン性溶媒は、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、1,2−ジクロロベンゼン、ヘキサメチルリン酸トリアミド及びこれらの混合物からなる群から選択される、ポリアリーレンエーテル溶液からポリアリーレンエーテルビーズを製造する方法である。
【0083】
更に、本発明は、ポリアリーレンエーテルビーズの製造方法からのビーズに関する。このビーズは、分割工程後に沈殿浴溶液中に存在する。このビーズは、沈殿浴中に存在する他の成分から、適切な手段により分離することができる。例えば、このビーズは篩い分けによって分離することができる。
【0084】
一般に、このビーズの、沈殿溶液中での滞留時間は1分〜2日である。
【0085】
本願は、ポリアリーレンエーテル生成物を製造するための、このビーズの使用にも関する。ポリアリーレンエーテル生成物とは、抽出、乾燥及び/又は付形法に供した生成物であると解釈される。本願は、この方法から、抽出及び乾燥のような後処理によって販売可能な形にした、ペレット、粉末、顆粒、チップ、粒子又は繊維のような生成物にも関する。
【0086】
実施例
この試験1〜25を、表1に全てが記載されている多様な例示的なポリアリーレンエーテル溶液を用いて実施した。
【0087】
この使用された溶液をそれぞれの濃度に調節した。
【表1】
【0088】
粘度数の決定は、ISO1628に従って、25℃でフェノール/ジクロロベンゼン(1:1)中の0.01g/mlの溶液から実施した。
【0089】
【化4】
【0090】
濃度が調節されたポリアリールエーテル溶液を、分割のために、貯蔵容器から一定の供給速度で毛管を通させて、液滴を形成させた。これらの試験は、分割装置として毛管を用いて実施し、ここで、この毛管はバイブレータの取り付けによって振動させることができた。毛管の直径、毛管の出口から沈殿浴の表面までの落下距離及び振動パラメータを、次の表中に示されたように変えた。
【0091】
分割後に、それぞれのポリマー溶液の液滴は沈殿浴中に落下する。沈殿浴の温度及び組成を、試験の間に一定に保持した。
【0092】
この過程で生じるビーズを篩いによって分離した。この生成物の調査のために、沈殿したポリマーを、95℃の温度を有する水で20時間抽出した。このために、このビーズを槽中に入れ、この槽に1時間当たり160リットルの水を流通させた。引き続き、このビーズを真空中で150℃で2日間乾燥した。
【0093】
多様な分析を実施した。
【0094】
篩い分析を、抽出及び乾燥したポリアリールエーテルスルホンビーズで実施した。生成物の量は、それぞれ40〜75gであった。このビーズを計量し、引き続き、振盪機中に充填した。この振盪機は複数の篩いからなり、ここで、それぞれより粗い篩いをより高く配置した。これらの篩いの目開きは、3.15mm、2.5mm、2mm、1.6mm、1.25mm、1.0mm、0.63mm、0.5mm、0.4mm、0.2mmであった。この振盪機を15分間稼働した。引き続き、個々の篩上の残分を計量し、質量を合計し、それにより粒度分布を決定した。7時間の抽出後に試料を抽出槽から取り出し、粒子中のNMP含有率を、ガスクロマトグラフィー(GC)分析により決定した。
【0095】
実施例1〜9:振動の影響
実施例1〜7において、溶液1を使用した。分割装置でのポリアリールエーテル溶液の温度は70℃であった。この沈殿浴は、水/NMP混合物(水80質量%/NMP20質量%)からなっていた。この沈殿浴の温度を35℃で一定に保持した。落下高さも、同様に80cmに一定に保持した。
【表2】
【0096】
実施例1及び2は、振動する分割装置の使用によりビーズの抽出性の改善を示す(NMP含有率は、ポリアリールエーテル粒子中で36%低下した)。
【表3】
【0097】
実施例6及び7は、振動する分割装置の使用によりビーズの抽出性の改善を示す(NMP含有率は、ポリアリールエーテル粒子中で57%低下した)。
【0098】
実施例8〜10において、溶液2を使用した。毛管でのポリアリールエーテル溶液の温度は、70℃であった。この沈殿浴は、水/NMP混合物(水80質量%/NMP20質量%)からなっていた。この沈殿浴の温度を35℃で一定に保持した。落下高さも、同様に80cmに一定に保持した。
【表4】
【0099】
実施例8及び9の場合に、狭い粒度分布の達成によりビーズの抽出性の改善が達成された(NMP含有率はポリアリールエーテル粒子中で47%の低下した)。
【0100】
実施例10〜25:沈殿浴組成の影響
実施例10〜17において、溶液3を使用した。毛管でのポリアリールエーテル溶液の温度は、70℃であった。毛管直径は、0.7mmであった。落下高さは、80cmで一定に保持した。処理量は、同様に2064g/hで一定に保持した。
【0101】
試験を、表に記載されているような多様な温度で及び多様な組成で実施した。
【0102】
沈殿浴中のNMP含有率を、20質量%から、沈殿浴中に存在するビーズが凝集するまで高めた。ビーズの凝集は好ましくない、というのもこのようなビーズは更に加工することができないためである。
【0103】
沈殿浴温度35℃での沈殿浴のNMP含有率のバリエーション:
【表5】
【0104】
沈殿浴温度50℃での沈殿浴のNMP含有率のバリエーション:
【表6】
【0105】
実施例18〜25において、溶液4を使用した。毛管でのポリアリールエーテル溶液の温度は、70℃であった。毛管直径は、0.7mmであった。落下高さは、80cmで一定に保持した。処理量は、同様に3780g/hで一定に保持した。
【0106】
沈殿浴温度及び沈殿浴組成は、1つの試験の間に一定に保持した。試験を、下記の表に記載されているような多様な温度で及び多様な組成で実施した。
【0107】
沈殿浴中のNMP含有率を、20質量%から、沈殿浴中に存在するビーズが凝集するまで高めた。ビーズの凝集は好ましくない、というのもこのようなビーズは更に加工することができないためである。
【0108】
沈殿浴温度35℃での沈殿浴のNMP含有率のバリエーション:
【表7】
【0109】
沈殿浴温度50℃での沈殿浴のNMP含有率のバリエーション:
【表8】
【0110】
この実施例26〜31は、沈殿浴中での非プロトン性溶媒の濃度の、微細分の形成への影響を示す。「微細分」とは、ここでは、≦1000μmの粒度のポリアリーレンエーテルビーズであると解釈される。
【0111】
このため、スルホラン又はNMP中のポリアリーレンエーテルの溶液5を製造した。ポリアリーレンエーテルとして、BASF SE社のUltrason(登録商標) E2020を使用した。スルホラン中のポリアリーレンエーテルの濃度は16.0質量%であり、NMP中のポリアリールエーテルの濃度は、18.0質量%であった。
【0112】
ポリアリーレンエーテルを、滴下によって沈殿させ、引き続き抽出した。
【0113】
滴下のために、溶液5を貯蔵容器中に注ぎ込み、所望の温度に調節した。歯車ポンプを用いて溶液5を毛管を介して滴下した。沈殿を、ビーズを分離する振動式篩いにオーバーフローする沈殿浴中で行った。この沈殿浴溶液を緩衝液容器中に捕集し、引き続き、また沈殿浴に返送した。
【0114】
沈殿浴中でのNMP又はスルホランの濃度を屈折率によって監視し、VE水の添加により補償した。滴下の完了後にビーズ/レンズを吸い取り、VE水で洗浄し、引き続き抽出した。
【0115】
滴下の間の条件は、次の表に記載されている:
【表9】
【0116】
水による抽出の際の条件は次のようであった:
抽出された湿ったビーズ/レンズを、乾燥庫中で60℃で乾燥し、引き続き分布を塔型篩い中で手による篩い分けで測定した。この結果は、次の表中に示されている。
【表10】
【0117】
実施例30及び31を、実施例26〜29と同様に実施した。落下高さ及び温度を変更し、沈殿浴の濃度を変えた。この結果は、次の表中に示されている。
【表11】
【0118】
実施例26〜31は、沈殿浴中での非プロトン性溶媒の本発明による濃度範囲内で、微細分が明らかに低いポリアリーレンエーテルビーズが得られることを示す。