【実施例】
【0044】
以下に実施例、比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によってなんら限定されるものではない。
【0045】
[アルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体の合成]
製造例1
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコに、アクリル酸45g(0.625モル)、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてのブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製:メタクリル酸ステアリルが10〜20質量部、メタクリル酸エイコサニルが10〜20質量部、メタクリル酸ベヘニルが59〜80質量部およびメタクリル酸テトラコサニルの含有量が1質量部以下の混合物)0.45g、ノルマルヘキサン150gおよび2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)を仕込んだ。引き続き、均一に撹拌、混合した後、反応容器の上部空間、原料および溶媒中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、60〜65℃に保持して4時間反応させた。反応終了後、生成したスラリーを90℃に加熱して、ノルマルヘキサンを留去し、さらに、110℃、10mmHgにて8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体(重合体1)43gを得た。
【0046】
製造例2
製造例1において、ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製)の使用量を0.45gから1.35gに変更した以外は、製造例1と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体(重合体2)44gを得た。
【0047】
製造例3
製造例1において、ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製)の使用量を0.45gから2.25gに変更した以外は、製造例1と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体(重合体3)45gを得た。
【0048】
製造例4
製造例1において、アクリル酸45g(0.625モル)、ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製)0.45g、ノルマルヘキサン150g、2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)に加えて、ペンタエリトリトールアリルエーテル0.02gを用いた以外は製造例1と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体(重合体4)43gを得た。
【0049】
製造例5
製造例4において、ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製)の使用量を0.45gから1.35gに変更した以外は、製造例4と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体(重合体5)44gを得た。
【0050】
製造例6
製造例4において、ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製)の使用量を0.45gから2.25gに変更した以外は、製造例4と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体(重合体6)45gを得た。
【0051】
製造例7
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコに、アクリル酸45g(0.625モル)、ペンタエリトリトールアリルエーテル0.02g、ノルマルヘキサン150gおよび2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)を仕込んだ。引き続き、均一に撹拌、混合した後、反応容器の上部空間、原料および溶媒中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、60〜65℃に保持して4時間反応させた。反応終了後、生成したスラリーを90℃に加熱して、ノルマルヘキサンを留去し、さらに、110℃、10mmHgにて8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末状のカルボキシル基含有水溶性重合体(重合体7)42gを得た。
【0052】
製造例8
製造例7において、ペンタエリトリトールアリルエーテルの使用量を0.02gから0.27gに変更した以外は製造例7と同様にして、白色微粉末状のカルボキシル基含有水溶性重合体(重合体8)42gを得た。
【0053】
なお、各製造例で用いたペンタエリトリトールアリルエーテルは、全てペンタエリトリトールテトラアリルエーテルである。
【0054】
[アルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体の評価]
製造例1〜8で得られた重合体1〜8の増粘剤としての特性を評価するため、それぞれの1質量%中和粘稠液、およびそれらに塩化ナトリウムを添加し撹拌して調製した電解質添加溶液について、粘度および透過率を測定した。
(1)評価試料の調製
評価試料としての重合体について3g毎の所定個数を量りとり、それぞれ脱イオン水280gに撹拌下、徐々に投入して溶解させた後、さらに撹拌しながら6重量%水酸化ナトリウム17gを加えて均一溶液として重合体の1質量%中和粘稠液とした。これら中和粘稠液はpH6.5〜7.5であった。また、前記中和粘稠液の各300gに、塩化ナトリウム0.75、1.5、2.25、3、6、9、12および15gを添加し、撹拌、溶解して、塩化ナトリウム添加量の異なる各電解質添加溶液を調製した。なお、下記評価では、前記1質量%中和粘稠液および塩化ナトリウムを添加した各電解質添加溶液を1時間静置したものを評価試料として用いた。
(2)粘度測定
各評価試料について、BH型回転粘度計を用いて、25℃でスピンドルローターNo.6の回転速度を毎分20回転として1分後の粘度を測定した。測定結果を表1〜4に示す。
(3)透過率測定
各評価試料について、遠心分離器にて毎分2000回転で5分間の操作により脱泡した後、光路長1cmのセルを用いて、測定波長を425nmとして透過率を測定した。通常、透過率が90%以上であれば目視において透明であるといえる。測定結果を表1〜4に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
実施例1
製造例1で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水50gと多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール5gとグリセリン5gとをそれぞれ加え均一にした後、6質量%水酸化ナトリウム水溶液9gを加えた。更に8gの塩化ナトリウムを含む水溶液31gを添加し(NaCl濃度4質量%)、ジェル状組成物を調製した。
【0060】
実施例2
製造例2で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水50gと多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール5gとグリセリン5gとをそれぞれ加え均一にした後、6質量%水酸化ナトリウム水溶液9gを加えた。更に1gの塩化ナトリウムを含む水溶液31gを添加し(NaCl濃度0.5質量%)、ジェル状組成物を調製した。
【0061】
実施例3
製造例3で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水50gと多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール5gとグリセリン5gとをそれぞれ加え均一にした後、6質量%水酸化ナトリウム水溶液9gを加えた。更に0.5gの塩化ナトリウムを含む水溶液31gを添加し(NaCl濃度0.25質量%)、ジェル状組成物を調製した。
【0062】
実施例4
製造例4で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水50gと多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール5gとグリセリン5gとをそれぞれ加え均一にした後、6質量%水酸化ナトリウム水溶液9gを加えた。更に8gの塩化ナトリウムを含む水溶液31gを添加し(NaCl濃度4質量%)、ジェル状組成物を調製した。
【0063】
実施例5
製造例5で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水50gと多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール5gとグリセリン5gとをそれぞれ加え均一にした後、6質量%水酸化ナトリウム水溶液9gを加えた。更に1gの塩化ナトリウムを含む水溶液31gを添加し(NaCl濃度0.5質量%)、ジェル状組成物を調製した。
【0064】
実施例6
製造例6で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水50gと多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール5gとグリセリン5gとをそれぞれ加え均一にした後、6質量%水酸化ナトリウム水溶液9gを加えた。更に0.5gの塩化ナトリウムを含む水溶液31gを添加し(NaCl濃度0.25質量%)、ジェル状組成物を調製した。
【0065】
比較例1
製造例4で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水60gを加え均一にした後、6質量%水酸化ナトリウム水溶液9gを加えた。更に8gの塩化ナトリウムを含む水溶液31gを添加し(NaCl濃度4質量%)、ジェル状組成物を調製した。
【0066】
比較例2
製造例5で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水60gを加え均一にした後、6質量%水酸化ナトリウム水溶液9gを加えた。更に1gの塩化ナトリウムを含む水溶液31gを添加し(NaCl濃度0.5質量%)、ジェル状組成物を調製した。
【0067】
比較例3
製造例6で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水60gを加え均一にした後、6質量%水酸化ナトリウム水溶液9gを加えた。更に0.5gの塩化ナトリウムを含む水溶液31gを添加し(NaCl濃度0.25質量%)、ジェル状組成物を調製した。
【0068】
比較例4
カルボキシル基含有水溶性重合体として製造例6で得られた重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水81gと多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール5gとグリセリン5gとを加え均一にした後、6質%水酸化ナトリウム水溶液9gを加えジェル状組成物を調製した。
【0069】
比較例5
カルボキシル基含有水溶性重合体として製造例7で得られた重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水50gと多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール5gとグリセリン5gとを加え均一にした後、6質量%水酸化ナトリウム水溶液9gをそれぞれ加えた。更に1gの塩化ナトリウムを含む水溶液31gを添加し(NaCl濃度0.5質量%)、ジェル状組成物を調製した。
【0070】
比較例6
カルボキシル基含有水溶性重合体として製造例8で得られた重合体2gを純水(脱イオン水)98gに撹拌下、徐々に投入して均一に分散させて、2質量%水溶液とし、この水溶液100gに純水85.5gと多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール5gとグリセリン5gとを加え均一にした後、6重量%水酸化ナトリウム水溶液4.5gをそれぞれ加えて、ジェル状組成物を調製した。
実施例1〜6および比較例1〜6で得られたジェル状組成物について、粘度、レオロジー、およびプルプル感、滑らかさを以下の方法により測定した。ただし、比較例4、5については低粘度でゲル状とならなかったため、レオロジーの測定はできなかった。
(1)粘度測定
各評価試料について、BH型回転粘度計を用いて、25℃でスピンドルローターNo.6の回転速度を毎分20回転として1分後の粘度を測定した。
(2)レオロジー測定
各評価試料について、市販の粘弾性測定装置(レオメーター)を用いて周波数1Hz〜10Hz における周波数分散および周波数1Hzにおける歪分散を測定した。
【0071】
測定条件
レオメーター:TAインスツルメント製 AR−2000ex
プレート:60mm、4°コーンプレート
測定温度:25℃
歪分散測定:0.1%〜1000% (1Hz)
周波数分散測定:10Hz〜1Hz (歪み0.1%)
図1に示すように各周波数におけるG’(貯蔵弾性率)、G”(損失弾性率)からG”/G’=tanδ(損失正接)が得られる。なお、
図1は実施例5を測定した結果を示す。
【0072】
このtanδと周波数(Hz)について、累乗近似式:tanδ=a×周波数(Hz)
b で近似することによってa、bの値を算出した。
【0073】
下記官能評価の結果も勘案すると、プルプル感および滑らかさを好ましく両立する組成物は、0>b 且つ 0.5>a>0.05の範囲であると考えられた。
図2に実施例5および比較例6における周波数分散の測定例を示す。
図3に実施例5および比較例6における歪分散の測定例を示す。
図3において、G”:損失弾性率の変局点における線形歪(%)を求めた。(
図3では、矢印で示す。)下記官能評価の結果も勘案すると、線形歪が30%以上であれば、より好ましいプルプル感を示すと考えられた。
(3)プルプル感、滑らかさの評価(官能評価)
各実施例及び比較例で得られた各組成物を化粧料として、10名のパネラーによる官能試験により評価した。
【0074】
プルプル感については、直径5cmの円筒容器にサンプルを入れ、軽く左右に振って評価した際、10名中10名がプルプル感が強いと感じたものは◎、8名以上プルプル感があると回答したものは○、7名以下は×とした。また、滑らかさについては、手の甲に塗った際、10名中8名以上が滑らかであると回答したものは○、7名以下は×とした。
【0075】
以上の結果を表5に示す。
【0076】
【表5】