(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6273990
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】燃焼排ガスの処理方法
(51)【国際特許分類】
B03C 3/014 20060101AFI20180129BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20180129BHJP
C22B 19/30 20060101ALI20180129BHJP
C22B 7/02 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
B03C3/014
F27D17/00 104D
F27D17/00 105A
C22B19/30
C22B7/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-84302(P2014-84302)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-202474(P2015-202474A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】越野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】日下部 武
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘志
(72)【発明者】
【氏名】藤山 哉
【審査官】
高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−017916(JP,A)
【文献】
特開2005−207697(JP,A)
【文献】
特開2010−023004(JP,A)
【文献】
特開2009−195860(JP,A)
【文献】
特開平07−035325(JP,A)
【文献】
特開平07−071709(JP,A)
【文献】
特開昭61−096392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00 − 11/00
C22B 1/00 − 61/00
F27D 17/00 − 99/00
B01D 51/00 − 51/10、
53/00 − 53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を含有する亜鉛含有鉱を、1100℃程度の温度で加熱処理する、酸化亜鉛鉱の製造プロセスにおける還元焙焼工程から排出される燃焼排ガスの処理方法であって、
前記燃焼排ガスを冷却する排ガス冷却処理と、
前記排ガス冷却処理後の燃焼排ガス中のダストを乾式電気集塵装置によって集塵するダスト集塵処理と、
を行う排ガス浄化工程を備え、
前記排ガス冷却処理においては、前記燃焼排ガスを冷却水の直接噴霧によって250℃以上305℃以下に冷却することにより、前記乾式電気集塵装置におけるダスト除去率を99.0%以上に維持する燃焼排ガスの処理方法。
ダスト除去率:JIS Z 8808 「ダスト濃度測定方法」によって得た乾式電気集塵装置入口におけるダスト濃度と乾式電気集塵装置出口におけるダスト濃度の差を、乾式電気集塵装置入口におけるダスト濃度で除した値(%)
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼排ガスの処理方法を用いる酸化亜鉛鉱の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼排ガスの処理方法に関する。更に詳しくは、酸化亜鉛鉱の製造プロセス等における加熱処理を伴う工程において、原材料の燃焼時に発生する燃焼排ガスから、ダスト類を効率よく除去することのできる燃焼排ガスの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、亜鉛製錬所における亜鉛地金の原材料として酸化亜鉛鉱が広く用いられているが、この酸化亜鉛鉱は、鉄鋼ダスト等の亜鉛含有鉱に還元焙焼処理を施す工程を経て製造される。この鉄鋼ダストの還元焙焼処理は、一般に、ロータリーキルンによる還元焙焼処理によって1100℃程度の焙焼温度において行われる。
【0003】
このような原材料の加熱処理を伴う工程では、通常、燃焼排ガス中に一定量のダストが同伴する。そして、このような工程の実施に際しては、ダストを集塵する手段として、乾式電気集塵装置が広く用いられている(特許文献1参照)。
【0004】
又、特許文献2には、乾式電気集塵装置を含む複数の装置からなる処理システムによる排ガスの処理方法が開示されており、この方法においては、乾式電気集塵装置に送られる排ガスは、その後の別工程における排ガスの洗浄処理を促進するために、170℃〜180℃程度にまで冷却されることが好ましいものとされている。
【0005】
しかし、特許文献2の方法は、乾式電気集塵装置で集めた排ガスを洗浄するための別施設を更に下流側に増設することを前提としており、これに伴い工程数も増える方法であり、設置コスト及び操業コストが嵩む点で好ましくない。
【0006】
上記コストを抑えた比較的簡易な処理方法としては、乾式電気集塵装置とバグフィルターの組合せによる排ガス処理装置による処理方法が一般的である。しかし、このような簡易な処理方法を採用する場合には、処理対象の排ガスのガス温度の変化によってダストの除去率に大きなばらつきがあることが知られている。
【0007】
しかしながら、上記のばらつきを抑えて、安定的に高いダストの除去率を維持するための効果的な手段は、未だ見出されておらず、乾式電気集塵装置を用いた簡易な設備による燃焼排ガスの処理方法について、ダストの除去率を安定的に高めるための更なる改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−234333号公報
【特許文献2】特開2009−195860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記状況に鑑み、燃焼排ガスから排ガス中のダストを分離除去する燃焼排ガスの処理方法として、乾式電気集塵装置を用いた簡易な設備による燃焼排ガスの処理方法であって、高いダスト除去率を安定的に維持できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、乾式電気集塵装置によってダストを集塵する燃焼排ガスの処理において、当該乾式電気集塵装置の入口における排ガス温度を最適化することによって、当該乾式電気集塵装置それ自体の集塵効率を最大化できること、そしてこれにより、低コストでありながら、高いダスト除去率を安定的に維持しつつ、燃焼排ガスの処理が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。より、具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
(1) 原材料を加熱処理する燃焼工程から排出される燃焼排ガスの処理方法であって、前記燃焼排ガスを冷却する排ガス冷却処理と、前記排ガス冷却処理後の燃焼排ガス中のダストを乾式電気集塵装置によって集塵するダスト集塵処理と、を行う排ガス浄化工程を備え、前記冷却処理においては、前記燃焼排ガスを冷却水の噴霧によって230℃以上305℃以下に冷却することを特徴とする燃焼排ガスの処理方法。
【0012】
(2) (1)に記載の燃焼排ガスの処理方法を用いる酸化亜鉛鉱の製造方法。
【0013】
(3) 原材料を加熱処理する燃焼工程から排出される燃焼排ガスの処理設備であって、前記燃焼排ガスを冷却水の噴霧によって230℃以上305℃以下に冷却する排ガス冷却手段と、前記冷却後の燃焼排ガス中のダストを、乾式電気集塵装置によって集塵するダスト集塵手段と、を備える燃焼排ガスの処理設備。
【0014】
(4) 前記排ガス冷却手段が、前記ダスト集塵手段の上流側の前記燃焼排ガスの排出経路上に設置された一又は複数の冷却水スプレーである(3)に記載の燃焼排ガスの処理設備。
【0015】
(5) (3)又は(4)に記載の燃焼排ガスの処理設備を備える酸化亜鉛鉱の製造設備。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、乾式電気集塵装置を用いた簡易な設備による燃焼排ガスの処理方法であって、高いダスト除去率を安定的に維持できる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】燃焼排ガスを、本発明の燃焼排ガスの処理方法によって処理する工程を含む全体プロセスの一例である酸化亜鉛鉱の製造プロセスを示すフローチャートである。
【
図2】本発明の燃焼排ガスの処理方法における排ガス処理工程の一例を示すフローチャートである。
【
図3】乾式電気集塵装置における、装置入り口排ガス温度と、乾式電気集塵装置出口排ガス中ダスト濃度との相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好ましく適用することができる製造プロセスの一例として酸化亜鉛鉱製造の全体プロセスを挙げ、同プロセスに本発明の燃焼排ガスの処理方法を適用した実施態様を、好ましい一実施態様として説明する。但し、本発明は以下の実施態様に限定されるものではない。一定量のダストが同伴される燃焼排ガスを処理する工程を含む全体プロセスであれば、その他の金属回収或いは金属製錬プロセス等にも広く適用可能なものである。
【0019】
<全体プロセス>
図1に示すように、原材料である鉄鋼ダスト等を還元焙焼して、亜鉛成分を揮発分離させる燃焼工程(還元焙焼工程)S10、燃焼工程(還元焙焼工程)S10で発生した燃焼排ガスからダスト類を分離除去して排ガスを浄化する排ガス浄化工程S20、燃焼工程(還元焙焼工程)S10において鉄鋼ダストから分離回収した粗酸化亜鉛からカドミウム等を分離回収して粗酸化亜鉛ケーキを得る湿式工程S30、湿式工程S30で得た酸化亜鉛ケーキを乾燥加熱して酸化亜鉛鉱を得る乾燥加熱工程S40、及び排水処理工程S50を備える全体プロセスである。
【0020】
<燃焼排ガスの処理方法>
本発明の燃焼排ガスの処理方法は、上記全体プロセスのうち、排ガス冷却処理ST21と、ダスト集塵処理ST22とを行う、排ガス浄化工程S20を、必須の構成要件とする処理方法である。又、より詳しくは、本発明の燃焼排ガスの処理方法は、乾式電気集塵装置による燃焼排ガスからのダスト集塵を、ダスト集塵時の排ガス温度条件を本願独自の知見に基づいて独自範囲に最適化することによって、高いダスト除去率を安定的に維持することができる方法である。
【0021】
<燃焼工程(還元焙焼工程)>
本明細書において、「燃焼工程」とは、有機物を含有する各種原材料を加熱する処理を広く含む概念である。よって、燃焼工程S10は、特定の加熱処理に限定されるものではない。但し、本明細書では、酸化亜鉛鉱の製造プロセスにおける「還元焙焼工程」を、本発明の燃焼排ガスの処理方法を極めて好ましく適用することができる燃焼工程の代表的な具体例として取り上げ、燃焼工程S10が即ち還元焙焼工程S10である場合について説明する。
【0022】
還元焙焼工程S10は、還元焙焼ロータリーキルン(RRK)による還元焙焼処理によることが一般的である。このRRK内で、原材料として投入された鉄鋼ダストは還元焙焼され、揮発した金属亜鉛は排ガス中で再酸化されて粉状の酸化亜鉛となる。
【0023】
<排ガス浄化工程>
本発明の燃焼排ガスの処理方法は、
図2に示す通り、この排ガス浄化工程S20において、冷却水の噴霧によって、燃焼排ガスを所定温度範囲にまで冷却する排ガス冷却処理ST21と、排ガス冷却処理ST21を経た燃焼排ガスに対して、乾式電気集塵装置(
図2において「EP」と示す)を用いてダスト集塵を行うダスト集塵処理ST22とを行う工程である。
【0024】
還元焙焼工程S10で揮発後に再酸化した亜鉛は、亜鉛品位が50〜60%程度で、その他の金属やハロゲン成分を一部含有する粗酸化亜鉛として分離回収され、更に次工程である湿式工程S30へと搬送される。そして、排ガス冷却処理ST21による冷却後に、粗酸化亜鉛を分離除去した燃焼排ガスは、ダスト集塵処理ST22において、燃焼排ガス中のダスト濃度を所望の濃度以下に低減して無害化した後に、清浄な浄化済排ガスとして大気中に放出される。
【0025】
[排ガス冷却処理]
排ガス冷却処理ST21は、RRKから排出される高温の燃焼排ガスに冷却水を噴霧することによって、当該燃焼排ガスを所望の温度にまで冷却する処理である。本発明における燃焼排ガスの上記冷却温度は230℃以上305℃以下である。
【0026】
排ガス冷却処理ST21においては、乾式電気集塵装置入り口の段階での排ガス温度を230〜305℃とすることによって、乾式電気集塵装置の集塵率を高率に維持することができる。本発明の製造方法は、従来、燃焼排ガスの処理設備において着目されることのなかった、上記排ガス温度と、乾式電気集塵装置の集塵率との相関に着目することによって、上記ガス温度を最適化する方法である点に特徴がある。
【0027】
排ガス冷却処理ST21においては、乾式電気集塵装置入り口の段階での燃焼排ガスの温度を230℃以上とすることにより、活性炭の吸着作用と、バグフィルターによるろ過分離によって、ガス状の有機物をも含めて、ダスト類を十分な回収率で分離回収することができる。
【0028】
排ガス冷却処理ST21は、還元焙焼工程S10の燃焼設備とダスト集塵処理ST22を行う乾式電気集塵装置やバグフィルター等からなるダスト集塵手段との間を繋ぐ燃焼排ガスルートに、簡易な冷却水スプレーやミスト噴霧器等、冷却水を燃焼排ガスに直接噴霧可能な一、又は複数の冷却手段を設置し、当該手段により、上記の燃焼排ガスに冷却水を直接噴霧することによって行うことができる。
【0029】
この排ガス冷却処理ST21は、当該燃焼排ガスの冷却温度を305℃以下の温度範囲とすれば足りるものであるため、上記の簡易な冷却手段によっても必要十分な冷却が可能である。
【0030】
排ガス冷却処理ST21を行うための設備としては、上記の通り、上述した冷却水スプレーやミスト噴霧器等汎用的で入手と設置が容易な冷却手段を既存の製造ライン内に付加的に設置すればよい。例えば、専用の冷却設備としての減温塔等を本来必要な製造ラインとは別途に設ける必要はない。これらの簡易な冷却手段は、必要に応じてその設置数を一又は任意の複数の範囲で適宜調整すればよく、又、継続使用による消耗時には必要な部分、設置個数だけを適宜交換できるため保守性においても優れている。
【0031】
[ダスト集塵処理]
ダスト集塵処理ST22は、乾式電気集塵装置やバグフィルター等からなるダスト集塵手段において、排ガス冷却処理ST21によって上記の所定冷却温度範囲にまで冷却された燃焼排ガスからダスト類を分離除去する処理である。具体的には、乾式電気集塵装置によって集塵された上記燃焼排ガスに活性炭を吹き込み、その吸着作用によりダストを集塵し、これらをバグフィルターでろ過回収して燃焼排ガスの浄化を行う処理によることが好ましい。
【0032】
尚、本発明の処理方法によれば、排ガス冷却処理ST21で燃焼排ガスを上記の通り、230℃以上305℃以下の温度範囲に冷却することによって、350℃付近で最も生じやすいとされているダイオキシンのデノボ合成を抑制することもできる。
【0033】
本発明の燃焼排ガスの処理方法は、特段の追加設備の別途設置を必要とせず、燃焼排ガスの冷却温度と活性炭の吸着能についても、使用する水や活性炭の量を抑え、比較的経済的負担の少ない処理方法と処理条件を選択可能な方法である。よって、専用の冷却装置を必須とする従来プロセスよりも、簡易な設備構成によって、効率よく低コストで、燃焼排ガスのダスト濃度を必要十分な低濃度にまで低減させ無害化することができる。
【0034】
<湿式工程>
湿式工程S30では、還元焙焼工程S10を経て回収された粗酸化亜鉛を、処理液によってレパルプすることにより粗酸化亜鉛をスラリーとし、粗酸化亜鉛に含有されるカドミウム等の不純物を処理液中に分配する。そして上記処理を経た粗酸化亜鉛スラリーを脱水し、酸化亜鉛ケーキとして、次工程の乾燥加熱工程S40に投入する。
【0035】
<乾燥加熱工程>
湿式工程S30で得た粗酸化亜鉛ケーキを、乾燥加熱ロータリーキルン(DRK)等の乾燥加熱装置に装入して焼成する乾燥加熱工程S40により、カドミウム等の濃度を更に低減した酸化亜鉛鉱を製造することができる。
【0036】
<排水処理工程>
排水処理工程S50では、湿式工程S30において粗酸化亜鉛から分離されたカドミウム等を含有する廃液から、カドミウム等の不純物を分離回収し、更に、廃液中に微量含まれる重金属を中和処理により析出し、最終的にpHを調整して無害の排水とする。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
還元焙焼工程S10、ダスト集塵処理ST22、湿式工程S30、及び、乾燥加熱工程S40を備える全体プロセスを実施可能な既存の製造設備の製造ライン上に、上記において説明した態様で、排ガス冷却処理ST21を実施可能な冷却水スプレーを、還元焙焼工程S10を行うRRKとEPを結ぶ燃焼排ガスの搬送経路である煙道内に4機設置し、本発明の排ガスの処理方法を用いた酸化亜鉛の製造を試験的に実施した。
【0039】
排ガス冷却処理ST21として、還元焙焼工程S10で発生した燃焼排ガスを、上記冷却水スプレーによる冷却水の噴霧により217℃〜345℃の範囲のそれぞれ異なる温度で冷却した場合のEPにおけるダストの除去率の差異を測定した。ダストの除去率は、JIS Z 8808 「ダスト濃度測定方法」によって得たEP入口におけるダスト濃度とEP出口におけるダスト濃度の差を、EP入口におけるダスト濃度で除した値(%)とした。
【0040】
図3は、上記試験で得た結果に基づき、燃焼排ガス処理時のガス冷却温度と、EPにおけるダスト除去率の相関を示すものとして作成したグラフである。一般的には、EPの操業において、集塵対象の粒子の見かけ電気抵抗率と集塵率は同様な傾向が見られることが知られている。
図3においては、この従来の知見及び上記試験結果から蓋然性をもって推定される燃焼排ガス処理時のガス冷却温度とEPにおけるダスト除去率の相関関係を破線で示した。
【0041】
図3より、燃焼排ガス処理時のガス冷却温度を横軸におけるl(230℃)からh(305℃)の範囲とすることで、EPにおけるダスト除去率を99.0%以上という極めて好ましい数値に維持できることが分る。尚、当然にダストに付着する塩素含有有機化合物等も併せて除去することができる。
【0042】
又、230℃から305℃の温度範囲であれば、上述した通り、別途の冷却設備等を設置することなく、本実施例に用いた簡易な冷却水スプレーであっても十分に冷却可能である。しかし、例えばフリーエアーによる冷却を用いる場合には、305℃以下にまで燃焼排ガスの温度を冷却するのは極めて困難である。
【0043】
以上より、本発明の燃焼排ガスの処理方法によれば、排ガス浄化工程における浄化処理の温度条件を本願独自の範囲において行うことにより、従来方法よりも低コストで、効率よく、燃焼排ガスからダストを分離回収できる方法であることが分かる。
【符号の説明】
【0044】
S10 燃焼工程(還元焙焼工程)
S20 排ガス浄化工程
ST21 排ガス冷却処理
ST22 ダスト集塵処理
S30 湿式工程
S40 乾燥加熱工程
S50 排水処理工程