特許第6274353号(P6274353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DIC株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274353
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、及び、粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/00 20060101AFI20180129BHJP
   C09J 4/06 20060101ALI20180129BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20180129BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180129BHJP
   C09J 7/00 20180101ALI20180129BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20180129BHJP
【FI】
   C09J133/00
   C09J4/06
   C09J4/02
   C09J11/06
   C09J7/00
   C09J7/02 Z
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-510435(P2017-510435)
(86)(22)【出願日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】JP2016083344
(87)【国際公開番号】WO2017104314
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2017年2月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-244155(P2015-244155)
(32)【優先日】2015年12月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】山本 辰弥
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−222894(JP,A)
【文献】 特開2012−227232(JP,A)
【文献】 特開2007−291147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルボキシル基を有する(メタ)アクリルポリマー(A)、芳香族又は脂環式ポリイソシアネート(b1)と、水酸基及び3〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物(b2)との反応物であるウレタン(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリル化合物(C)(ただし、前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)とは異なる)、架橋剤(D)、及び、光重合開始剤(E)を含有し、前記架橋剤(D)が、エポキシ架橋剤であることを特徴とする粘着剤組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリルポリマー(A)がラジカル重合性基を有しないものである請求項1記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)由来の(メタ)アクリロイル基濃度が、粘着剤組成物中0.2〜3.5mmol/kgの範囲である請求項1又は2記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の含有量が、粘着剤組成物中3〜30質量%の範囲である請求項1〜3のいずれか1項記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル化合物(C)が、(メタ)アクリロイル基を3〜6個有するものである請求項1〜4のいずれか1項記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル化合物(C)の含有量が、粘着剤組成物中5〜30質量%の範囲である請求項1〜5のいずれか1項記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の粘着剤組成物の硬化皮膜を有することを特徴とする粘着テープ。
【請求項8】
紫外線照射前の粘着力が、2〜25N/25mmの範囲である請求項7記載の粘着テープ。
【請求項9】
1J/cmの紫外線を照射した後の粘着力が、0.1N/25mm以下である請求項7又は8記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルの製造等に使用される粘着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレットの普及によりタッチパネル市場が爆発的に成長している。前記タッチパネルの構成としては、カバーガラスにタッチセンサーを直接形成したカバーガラス一体型タッチパネル(以下、「OGS」(One Glass Solution)と略記する。)が近年の主流となりつつある(例えば、特許文献1及び2を参照。)。
【0003】
前記OGSを製造する際には、最近まで、ガラス基板にフッ化水素溶液を使用した化学的処理を行い、その後、酸化インジウムスズ(以下、「ITO」と略記する。)蒸着等を施したガラス基板を裁断し、タッチパネルを製造する方法が使用されていた。しかしながら、前記フッ化水素溶液を使用した加工方法は危険な作業であるため、安易で安全な加工方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−88946号公報
【特許文献2】国際公開第2013/047676号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、紫外線照射前には被着体を固定できる粘着力を有するものの、紫外線照射により被着体から糊残りなく剥離できる程度に粘着力が低下する仮着用の粘着テープが得られる粘着剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリルポリマー(A)、芳香族又は脂環式ポリイソシアネート(b1)と、水酸基及び3〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物(b2)との反応物であるウレタン(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリル化合物(C)、架橋剤(D)、及び、光重合開始剤(E)を含有することを特徴とする粘着剤組成物を提供するものである。
【0007】
また、本発明は前記粘着剤組成物の硬化皮膜を有することを特徴とする粘着テープを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粘着剤組成物は、紫外線照射前には被着体を固定できる粘着力(以下、「初期粘着力」と略記する。)を有するものの、紫外線照射により被着体から糊残りなく剥離できる程度に粘着力が低下する(以下、「再剥離性」と略記する。)ものであるから、OGS製造時のガラス基板仮着用の粘着テープとして特に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の粘着剤組成物は、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリルポリマー(A)、芳香族又は脂環式ポリイソシアネート(b1)と、水酸基及び3〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物(b2)との反応物であるウレタン(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリル化合物(C)、架橋剤(D)、及び、光重合開始剤(E)を必須成分として含有するものである。
【0010】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを示し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを示し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを示す。
【0011】
前記(メタ)アクリルポリマー(A)は、後述する架橋剤(C)との架橋反応により良好な初期粘着力を得るうえで水酸基及び/又はカルボキシル基を有するものであり、好ましくはラジカル重合性基を有しないものであり、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−1)と、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(a−2)及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物(a−3)とを必須成分とする(メタ)アクリル化合物(a)を重合して得られるものを用いることができる。
【0012】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−1)のアルキル基の炭素原子数としては、より一層優れた初期粘着力が得られる点から、1〜20の範囲であることが好ましく、2〜12の範囲がより好ましく、4〜8の範囲が更に好ましい。
【0013】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−1)の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた重合性及び初期粘着力が得られる点で、n−ブチル(メタ)アクリレート及び/又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0014】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−1)の使用量としては、より一層優れた初期粘着力が得られる点から、前記(メタ)アクリル化合物(a)中50〜99.5質量%の範囲であることが好ましく、60〜97質量%の範囲がより好ましい。
【0015】
前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(a−2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリル、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(a−2)を用いる場合の使用量としては、架橋剤(C)との良好な架橋反応を形成し、より一層優れた初期粘着力が得られる点から、前記(メタ)アクリル化合物(a)中0.001〜20質量%の範囲であることが好ましく、0.01〜5質量%の範囲がより好ましい。
【0017】
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物(a−3)としては、例えば、(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物(a−3)を用いる場合の使用量としては、架橋剤(C)との良好な架橋反応を形成し、より一層優れた初期粘着力が得られる点から、前記(メタ)アクリル化合物(a)中0.1〜20質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜15質量%の範囲がより好ましい。
【0019】
前記(メタ)アクリルポリマー(A)を得る際には、必要に応じて前記(メタ)アクリル化合物(a)以外にその他のビニル化合物を併用してもよい。
【0020】
前記その他のビニル化合物としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記(メタ)アクリルポリマー(A)の製造方法としては、例えば、前記(メタ)アクリル化合物(a)が有する重合性二重結合に起因したラジカル重合法が挙げられる。具体的には、前記成分(メタ)アクリル化合物(a)、必要に応じて前記その他のビニル化合物、及び、ラジカル重合開始剤を、好ましくは40〜90℃の温度下で混合、撹拌し、ラジカル重合を進行させる方法が挙げられる。
【0022】
前記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2'−アゾビス−(2−アミノジプロパン)2塩酸塩、2,2'−アゾビス−(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物などを用いることができる。これらの重合開始剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記重合開始剤の使用量としては、良好な重合性が得られる点から、(メタ)アクリルポリマー(A)の仕込み原料中0.001〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0024】
前記(メタ)アクリルポリマー(A)の重量平均分子量としては、良好な初期粘着力が得られる点から、1万〜200万の範囲であることが好ましく、10万〜100万の範囲であることがより好ましい。なお、前記(メタ)アクリルポリマー(A)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
【0025】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0026】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0027】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、優れた初期粘着力が得られる点から、芳香族又は脂環式ポリイソシアネート(b1)と、水酸基及び3〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物(b2)との反応物を用いることが必須である。凝集力の高い(b1)及び(b2)を原料として用いることにより優れた初期粘着力が得られ、また、前記(メタ)アクリルポリマー(A)との相溶性を向上し、粘着剤組成物の白濁化を防止することができる。
【0028】
前記芳香族又は脂環式ポリイソシアネート(b1)は、優れた初期粘着力を得るうえで必須の成分である。前記ポリイソシアネート(b1)を用いることにより、ウレタン(メタ)アクリレート(B)の分子間のパッキング効果により、ハードセグメントとソフトセグメントの海島構造をより明確に形成し、優れた凝集力が発現することから、上記効果が得られる。前記ポリイソシアネート(b1)の代わりに、例えば脂肪族ポリイソシアネートを用いた場合には凝集力が足りず良好な初期粘着力が得られない。
【0029】
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等を用いることができる。これらの芳香族ポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、適度な鎖長により良好なハードセグメントを形成できる点から、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上の芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましい。
【0030】
前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を用いることができる。これらの中でも、適度な鎖長により良好なハードセグメントを形成できる点から、イソホロンジイソシアネート、及び/又はジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いることが好ましい。
【0031】
前記(メタ)アクリル化合物(b2)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、凝集力が高く一層優れた初期粘着力が得られる点から、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及び、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の化合物を用いることが好ましい。
【0032】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の製造方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、前記芳香族又は脂環式ポリイソシアネート(b1)と前記(メタ)アクリル化合物(b2)とを反応させてウレタン(メタ)アクリレートを得る方法等が挙げられる。
【0033】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリロイル基の当量重量としては、前記(メタ)アクリルポリマー(A)との相溶性及び初期粘着力をより一層向上できる点から、70〜300の範囲であることが好ましく、100〜250の範囲であることがより好ましい。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリロイル基の当量重量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の原料の合計質量を、前記(メタ)アクリル化合物(b2)由来の(メタ)アクリロイル基の当量で除した値を示す。
【0034】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の重量平均分子量としては、前記(メタ)アクリルポリマー(A)との相溶性及び初期粘着力をより一層向上できる点から、500〜2,000の範囲であることが好ましく、600〜1,200の範囲であることがより好ましい。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の重量平均分子量は、前記(メタ)アクリルポリマー(A)の重量平均分子量と同様に測定して得た値を示す。
【0035】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)由来の(メタ)アクリロイル基濃度としては、初期粘着力、再剥離性及び(メタ)アクリルポリマー(A)との相溶性の点から、紫外線硬化型再剥離性粘着剤組成物中0.2〜3.5mmol/gの範囲であることが好ましく、0.4〜1.5mmol/kgの範囲であることがより好ましい。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリロイル基濃度は、下記計算式(1)より算出された値を示す。
【0036】
ウレタン(メタ)アクリレート(B)由来の(メタ)アクリロイル基濃度(mmol/g)=[{((B−1)の配合量(g)/(B−1)の数平均分子量)×(B−1)の(メタ)アクリロイル基数}+{((B−2)の配合量(g)/(B−2)の重量平均分子量)×(B−2)の(メタ)アクリロイル基数}+・・・・・+{((B−n)の配合量(g)/(B−n)の重量平均分子量)×(B−n)の(メタ)アクリロイル基数}]/粘着剤組成物に使用する原料の合計質量(g) (1)
(なお、上記式(1)中、(B−1)、(B−2)・・・(B−n)は、n種のウレタン(メタ)アクリレート(B)を示す。)
【0037】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)を用いる場合の含有量としては、初期粘着力、再剥離性及び(メタ)アクリルポリマー(A)との相溶性をより一層向上できる点から、粘着剤組成物中3〜30質量%の範囲であることが好ましく、5〜25質量%の範囲がより好ましい。
【0038】
前記(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリル化合物(C)は、粘着剤組成物の低粘度化、及び、優れた初期粘着力と再剥離性とを得るうえで必須の成分であり、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1、10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を2個有する(メタ)アクリル化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の(メタ)アクリロイル基を3個有する(メタ)アクリル化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を4個以上有する(メタ)アクリル化合物などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、架橋性と凝集力向上による一層優れた初期粘着力及び再剥離性が得られる点から、(メタ)アクリロイル基を3〜6個の範囲で有するものを用いることが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を用いることがより好ましい。
【0039】
前記(メタ)アクリル化合物(C)由来のアクリロイル基濃度としては、より一層優れた初期粘着力及び再剥離性が得られる点から、粘着剤組成物中0.5〜3.5mmol/gの範囲であることが好ましく、0,7〜1.6mmol/kgの範囲であることがより好ましい。なお、前記(メタ)アクリル化合物(C)の(メタ)アクリロイル基濃度は、下記計算式(2)より算出された値を示す。
【0040】
(メタ)アクリル化合物(C)由来の(メタ)アクリロイル基濃度(mmol/g)=[{((C−1)の配合量(g)/(C−1)の数平均分子量)×(C−1)の(メタ)アクリロイル基数}+{((C−2)の配合量(g)/(C−2)の数平均分子量)×(C−2)の(メタ)アクリロイル基数}+・・・・・+{((C−n)の配合量(g)/(C−n)の数平均分子量)×(C−n)の(メタ)アクリロイル基数}]/粘着剤組成物に使用する原料の合計質量(g) (2)
(なお、上記式(2)中、(C−1)、(C−2)・・・(C−n)は、n種の(メタ)アクリル化合物(C)を示す。)
【0041】
前記(メタ)アクリル化合物(C)の含有量としては、初期粘着力をより一層向上できる点から、粘着剤組成物中3〜30質量%の範囲であることが好ましく、5〜27質量%の範囲がより好ましい。
【0042】
前記架橋剤(D)としては、例えば、エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、メラミン化合物、金属キレート等を用いることができる。これらの中でも、一層優れた(メタ)アクリルポリマー(A)との架橋性及び初期粘着力が得られる点から、エポキシ架橋剤及び/又はポリイソシアネート架橋剤を用いることが好ましく、エポキシ架橋剤がより好ましい。
【0043】
前記エポキシ架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等を用いることができる。これらの架橋剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記ポリイソシアネート架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等のポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト等を用いることができる。これらの架橋剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記架橋剤(D)の使用量としては、初期粘着力をより一層向上できる点から、粘着剤組成物中0.001〜5質量部の範囲であることが好ましく、0.005〜1質量部の範囲がより好ましい。
【0046】
前記光重合開始剤(E)としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン、チオキサントン誘導体、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、良好な重合性を有し、かつ、本発明の粘着テープを蛍光灯下で放置しても粘着力の変化が非常に少なく継時安定性に優れる点から、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを用いることが好ましい。
【0047】
前記光重合開始剤(E)の使用量としては、紫外線による硬化性及び再剥離性をより一層向上できる点から、粘着剤組成物中0.01〜2質量%の範囲であることが好ましい。
【0048】
本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリルポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリル化合物(C)、架橋剤(D)、及び、光重合開始剤(E)を必須成分として含有するものであるが、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
【0049】
前記その他の添加剤としては、例えば、有機溶剤、重合禁止剤、レベリング剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、整泡剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、シランカップリング剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0050】
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン、3−ペンタノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0051】
本発明の粘着テープは、前記粘着剤組成物の硬化被膜を有するものである。前記粘着テープを作製する方法としては、例えば、前記粘着剤組成物を基材上に塗工した後、必要に応じて乾燥やエージングを行う方法が挙げられる。
【0052】
前記粘着剤組成物を基材上に塗工する方法としては、例えば、アプリケーター、ロールコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、T−ダイコーター等を使用して塗工する方法が挙げられる。
【0053】
前記粘着剤が塗工される基材としては、例えば、プラスチック基材、フレキシブルプリント基材、ガラス基材、これらの基材に離型処理を施した基材やITOを蒸着した基材等を用いることができる。
【0054】
前記プラスチック基材としては、例えば、アクリル樹脂、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、TAC(トリアセチルセルロース)等を原料として得られるプラスチックフィルム等を使用することができる。
【0055】
前記粘着テープにおける粘着剤皮膜の厚さとしては、例えば、1〜100μmの範囲であることが好ましく、本発明の粘着テープがOGS製造時のガラス基板仮着用の粘着テープとして使用される場合には、5〜50μmの範囲であることが好ましい。
【0056】
前記粘着テープは、紫外線を照射する前においては、被着体を固定できる初期粘着力を有するものであり、その粘着力としては、2〜25N/25mmの範囲であることが好ましく、3〜15N/25mmの範囲がより好ましく、5〜12N/25mmの範囲がより好ましい。なお、前記紫外線照射前の粘着テープの粘着力の測定方法は後述する実施例に記載する。
【0057】
前記紫外線照射前の粘着テープのゲル分率としては、初期粘着力をより一層向上できる点から、10〜60質量%の範囲であることが好ましく、14〜50質量%の範囲がより好ましい。なお、前記紫外線照射前の粘着テープのゲル分率の測定方法は、後述する実施例に記載する。
【0058】
前記粘着テープは、紫外線照射により被着体から糊残りなく剥離できる程度に粘着力が低下するものである。
【0059】
前記粘着テープに紫外線照射する方法としては、例えば、キセノンランプ、キセノン−水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等の公知の紫外線光照射装置を使用する方法が挙げられる。
【0060】
前記紫外線の照射は、好ましくは0.05〜5J/cm、より好ましくは0.1〜3J/cm、特に好ましくは0.3〜1.5J/cmの範囲であることがよい。なお、前記紫外線の照射量は、GSユアサ株式会社製UVチェッカー「UVR−N1」を用いて300〜390nmの波長域において測定した値を基準とした。
【0061】
前記粘着テープの紫外線照射後の粘着力としては、被着体に糊残りがないよう、1J/cmの紫外線を照射した後の粘着力が0.1N/25mm以下であることが好ましく、0.05〜0.1N/25mmの範囲であることがより好ましい。なお、前記紫外線照射後の粘着テープの粘着力の測定方法は後述する実施例にて記載する。
【0062】
前記紫外線照射後の粘着テープのゲル分率としては、再剥離性をより一層向上できる点から、80〜99質量%の範囲であることが好ましく、90〜99質量%の範囲がより好ましい。なお、前記紫外線照射後の粘着テープのゲル分率の測定方法は、後述する実施例に記載する。
【0063】
以上、本発明の粘着テープは、外線照射前には被着体を固定できる粘着力を有するものの、紫外線照射により被着体から糊残りなく剥離できる程度に粘着力が低下するものであるから、OGS製造時のガラス基板仮着用の粘着テープとして特に好適に使用することができる。
【0064】
具体的には、化学処理により強化された大板のガラス基板を本発明の粘着テープを使用して台に固定し、ガラス基板上にITO蒸着等を施してタッチセンサーを形成した後に、カバーガラスとして前記ガラス基板を所定の小片に裁断し、その後、紫外線照射して本発明の粘着テープを剥離することによってOGSを製造することができる。本発明の粘着テープは、このようなOGS製造時のガラス基板仮着用の粘着テープとして特に好適に使用することができ、OGSを安易で、かつ安全に製造することができる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0066】
[合成例1]
<アクリルポリマー(A−1)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート89.9質量部、アクリル酸10質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.1質量部、及び、酢酸エチル200質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら72℃まで昇温させた。
次に、前記混合物に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液2質量部(固形分2.4質量%)を添加し、攪拌下、70℃で4時間ホールドした後、75℃で5時間ホールドした。
次に、前記混合物を酢酸エチル98質量部で希釈し、200メッシュ金網でろ過することによって、重量平均分子量75万のアクリルポリマー(A−1)溶液(不揮発分25質量%、粘度3,000mPa・s)を得た。
【0067】
[合成例2]
<アクリルポリマー(A−2)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート62.0質量部、2−エチルヘキシルアクリレート5質量部、シクロヘキシルアクリレート30質量部、アクリル酸4質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート3.0質量部、及び、メチルエチルケトン50質量部、酢酸エチル50質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら72℃まで昇温させた。 次に、前記混合物に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液1質量部(固形分2.9質量%)を添加し、攪拌下、70℃で4時間ホールドした後、75℃で5時間ホールドした。
次に、前記混合物を酢酸エチル22質量部で希釈し、200メッシュ金網でろ過することによって、重量平均分子量30万のアクリルポリマー(A−2)溶液(不揮発分45質量%、粘度3,500mPa・s)を得た。
【0068】
[合成例3]
<ウレタンアクリレート(B−1)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(和光純薬工業株式会社製)298.3質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、イソホロンジイソシアネート97質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(B−1)を得た。得られたウレタンアクリレート(B−1)は、アクリロイル基の当量が127g/eq.(有効数字2桁に四捨五入。ペンタエリスリトールトリアクリレートの分子量は298.3とした。以下、同じ。)、重量平均分子量が760であった。
【0069】
[合成例3]
<ウレタンアクリレート(B−2)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(新中村化学工業株式会社製「A−DPH」)532.1質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、イソホロンジイソシアネート94質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(B−2)を得た。得られたウレタンアクリレート(B−2)は、アクリロイル基の当量が121g/eq.(有効数字2桁に四捨五入。ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物の分子量は532とした。以下、同じ。)、重量平均分子量が1,090であった。
【0070】
[合成例4]
<ウレタンアクリレート(B−3)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレートとエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物(新中村化学工業株式会社製「ATM−4EL」)590質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、イソホロンジイソシアネート68質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(B−3)を得た。得られたウレタンアクリレート(B−3)は、アクリロイル基の当量が194g/eq.(有効数字2桁に四捨五入。エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレートとエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物の分子量は590とした。以下、同じ。)、重量平均分子量が944であった。
【0071】
[比較合成例1]
<ウレタンアクリレート(B‘−1)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、2−ヒドロキシエチルアクリレート116質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、イソホロンジイソシアネート111質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(B‘−1)を得た。得られたウレタンアクリレート(B‘−1)は、アクリロイル基の当量が172g/eq.(有効数字2桁に四捨五入。ヒドロキシエチルアクリレートの分子量は116とした。以下、同じ。)、重量平均分子量が343であった。
【0072】
[比較合成例2]
<ウレタンアクリレート(B‘−2)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、4−ヒドロキシブチルアクリレート144質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、イソホロンジイソシアネート111質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(B‘−1)を得た。得られたウレタンアクリレート(B‘−1)は、アクリロイル基の当量が255g/eq.(有効数字2桁に四捨五入。4−ヒドロキシブチルアクリレートの分子量は144とした。以下、同じ。)、重量平均分子量が510であった。
【0073】
[実施例1]
合成例1で得られたアクリルポリマー(A−1)100質量部に対して、合成例3で得られたウレタンアクリレート(B−1)を9質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(C)を10質量部、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(D)を0.012質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(E)を0.38質量部を混合することによって、粘着剤組成物を得た。
【0074】
[実施例2〜4、6、7、参考例1及び比較例1〜2]
用いるアクリルポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリル化合物(C)、架橋剤(D)、及び、光重合開始剤(E)の種類及び/又は量を表1に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
【0075】
[粘着テープ(紫外線照射前)の作製方法]
表面に離型処理された厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「離型PET」と略記する。)の表面に、乾燥後における膜厚が20μmとなるように実施例及び比較例で得られた粘着剤組成物を塗工し、100℃で3分間乾燥した。その後、粘着剤組成物の塗工面上に厚さ25μmのポリエチレンテレフタラートフィルムを貼り合せた。その後、23℃で7日間、次いで40℃で3日間エージングして、粘着テープを得た。
【0076】
[紫外線照射前の粘着テープの粘着力の測定方法]
前述の方法で得られた粘着テープを縦横25mm幅に裁断したものを試験片とした。これをガラス板に対し、接着面積が25mm×60mmとなるように2kgロールを2往復させ貼付した。貼付け1時間後に23℃、湿度50%の雰囲気下で180度剥離強度(N/25mm)を測定し、粘着力とした。
【0077】
[紫外線照射前の粘着テープのゲル分率の測定方法]
前述の方法で得られた粘着テープを縦横25mm幅に裁断したものを試験片とした。前記試験片の質量(G1)を測定した後に、該試験片をトルエンに浸漬させ24時間放置した、そして、浸漬後の試験片のトルエン溶液混合物を300メッシュ金網で濾過し、105℃で1時間乾燥した後の質量(G2)と離型PETの質量(G0)を測定し、下記式(3)によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(質量%)=[(G2−G0)/(G1−G0)]×100 (3)
【0078】
[紫外線照射後の粘着テープの粘着力の測定方法]
前述の方法で得られた粘着テープを縦横25mm幅に裁断したものを試験片とした。これをガラス板に対し、接着面積が25mm×60mmとなるように2kgロールを2往復させ貼付した。次いで、UV−A領域の波長の積算光量が1J/cmとなるように紫外線を照射し、その後、23℃、湿度50%の雰囲気下で180度剥離強度(N/25mm)を測定し、粘着力とした。
【0079】
[糊残りの評価方法]
前記[紫外線照射後の粘着テープの粘着力の測定方法]において、180度剥離強度を測定した後のガラス板を目視観察し、以下のように評価した。
「T」:糊残りが確認されない。
「F」:糊残りが確認できる。
【0080】
[紫外線照射後の粘着テープのゲル分率の測定方法]
前記[紫外線照射後の粘着テープの粘着力の測定方法]において、紫外線を照射した後の粘着テープを縦横25mm幅に裁断したものを試験片とした。前記試験片の質量(G3)を測定した後に、該試験片をトルエンに浸漬させ24時間放置した、そして、浸漬後の試験片のトルエン溶液混合物を300メッシュ金網で濾過し、105℃で1時間乾燥した後の質量(G4)と離型PETの質量(G0)を測定し、下記式(4)によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(質量%)=[(G4−G0)/(G3−G0)]×100 (4)
【0081】
【表1】
【0082】
本発明の粘着テープは、紫外線照射前には被着体を固定できる粘着力を有するものの、紫外線照射により被着体から糊残りなく剥離できる程度に粘着力が低下することが分かったため、仮着用の粘着テープとして有効であることが分かった。
【0083】
一方、比較例1及び2は、ウレタン(メタ)アクリレート(B)として、(メタ)アクリル化合物(b2)の代わりに、水酸基及び(メタ)アクリロイル基を1つずつ有するアクリル化合物を用いた態様であるが、紫外線照射後も粘着力が高いため、仮着用の粘着テープとしては使用できないことが分かった。