(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ノボラック型樹脂を構成するフェノール性水酸基含有化合物原料の50モル%以上が前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)である請求項1記載のノボラック型樹脂。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のノボラック型樹脂は、トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを必須の反応原料とする。
【0017】
前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)が有するトリス(ヒドロキシアリール)メチン基は、メチル基上の三つの水素原子がヒドロキシアリール基で置換された構造部位である。ヒドロキシアリール基は、例えば、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ヒドロキシアントリル基、及びこれらの芳香核上に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、その他の官能基が一つ乃至複数置換した構造部位等が挙げられる。中でも、レジスト用途に用いた際のアルカリ現像性や解像度に優れるノボラック型樹脂となることから、ヒドロキシアリール基がヒドロキシフェニル基又はその芳香核上に前記各種の置換基が一つ乃至複数置換した構造部位であることが好ましく、より具体的には、下記構造式(1)
【0018】
【化1】
[R
1は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかであり、nは0又は1〜4の整数である。]
で表される構造部位であることが好ましい。
【0019】
前記構造式(1)中のR
1は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかであり、nは0又は1〜4の整数である。具体的には、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の脂肪族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換したアリール基;フェニルメチル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換したアラルキル基等が挙げられる。前記構造式(1)で表される構造部位の中でも、耐熱性、アルカリ現像性、光感度、解像度等の諸性能に優れるノボラック型樹脂となることから、nが全て0であるトリス(ヒドロキフェニル)メチン基が好ましい。
【0020】
前記構造式(1)中のヒドロキシ基の置換位置は特に限定されず、メチン基炭素の結合位置に対し、オルソ位、メタ位、パラ位の何れであっても良い。中でも、耐熱性、アルカリ現像性、光感度、解像度等の諸性能に優れるノボラック型樹脂となることから、メチン基炭素の結合位置に対しパラ位であることが好ましい。
【0021】
前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)は、分子構造中にトリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物であれば何れの化合物でも良く、その他の具体構造等は特に限定されない。また、本発明のノボラック型樹脂において、トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)は一種類を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)の具体例としては、例えば、下記構造式(2)
【0022】
【化2】
[R
1は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかであり、nは0又は1〜4の整数である。R
2は炭化水素基又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基を一つ乃至複数有する構造部位である。]
で表される化合物等が挙げられる。
【0023】
前記構造式(2)中のR
1は前記構造式(1)中のR
1と同義である。
【0024】
前記構造式(2)中のR
2は、炭化水素基又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基を一つ乃至複数有する構造部位である。前記炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;フェニルメチル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。また、前記アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。中でも、耐熱性、アルカリ現像性、光感度、解像度等の諸性能に優れるノボラック型樹脂となることから、R
2は炭化水素基又は炭化水素基上に水酸基を一つ乃至複数有する構造部位であることが好ましく、脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
【0025】
前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)は、例えば、ヒドロキシアリール基に相当するヒドロキシアレーン化合物(a1)と、ヒドロキシアリール基を有するケトン化合物(a2)とを酸触媒条件下で反応させる方法等により得ることができる。
【0026】
前記ヒドロキシアレーン化合物(a1)と、前記ヒドロキシアリール基を有するケトン化合物(a2)の具体例としては、例えば、前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)が前記構造式(2)で表される化合物である場合、前記ヒドロキシアレーン化合物(a1)として下記構造式(3)で表される化合物が挙げられ、前記ヒドロキシアリール基を有するケトン化合物(a2)として下記構造式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0027】
[R
1は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかであり、nは0又は1〜4の整数である。R
2は炭化水素基又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基を一つ乃至複数有する構造部位である。]
【0028】
前記アルデヒド化合物(B)は、前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)と縮合反応を生じてノボラック型樹脂構造を形成し得るものであればよく、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、テトラオキシメチレン、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)との反応性に優れることからホルムアルデヒドを用いることが好ましい。ホルムアルデヒドは水溶液の状態であるホルマリンとして用いても良いし、固形の状態であるパラホルムアルデヒドとして用いても良い。また、ホルムアルデヒドとその他のアルデヒド化合物とを併用する場合には、ホルムアルデヒド1モルに対して、その他のアルデヒド化合物を0.05〜1モルの割合で用いることが好ましい。
【0029】
本発明のノボラック型樹脂は、前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを必須の反応原料とするものであるが、前記化合物(A)と併用して、その他のフェノール性水酸基含有化合物(A’)を併用しても良い。その他のフェノール性水酸基含有化合物(A’)は、例えば、フェノール;クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール等のアルキルフェノール;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール;フェニルフェノール等のアリールフェノール;アミノフェノール、ニトロフェノール等の官能基を有するフェノール;ナフトール、アントラセノール等の縮合多環式化合物;ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、ビスフェノール等のポリヒドロキシ化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0030】
これらその他のフェノール性水酸基含有化合物(A’)を用いる場合、本発明のノボラック型樹脂が有する耐熱性、アルカリ現像性、光感度、解像度等の諸性能に優れる特徴が十分に発揮されることから、前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)と前記その他のフェノール性水酸基含有化合物(A’)との合計に対し、前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)を50モル%以上用いることが好ましく、80モル%以上用いることがより好ましく、90モル%以上用いることが特に好ましい。
【0031】
本発明のノボラック型樹脂の製造方法は特に限定されず、前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを必須の反応原料とし、一般的なフェノールノボラック樹脂と同様の方法にて製造することができる。具体例としては、例えば、前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)、アルデヒド化合物(B)、及び必要に応じて用いるその他のフェノール性水酸基含有化合物(A’)を酸触媒条件下、60〜140℃程度の温度範囲で反応させる方法が挙げられる。
【0032】
前記酸触媒は、例えば、酢酸、シュウ酸、硫酸、塩酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等が挙げられる。これらの酸触媒は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。これらの中でも、触媒活性に優れる点から硫酸、パラトルエンスルホン酸が好ましい。
【0033】
前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)、アルデヒド化合物(B)、及び必要に応じて用いるその他のフェノール性水酸基含有化合物(A’)の反応割合は、過剰な高分子量化を抑制でき、特にレジスト用に好適な分子量のノボラック型樹脂が得られることから、前記トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)と前記その他のフェノール性水酸基含有化合物(A’)との合計1モルに対し、前記アルデヒド化合物(B)が0.5〜1.2モルの範囲であることが好ましく、0.6〜0.9モルの範囲であることがより好ましい。
【0034】
反応は必要に応じて有機溶媒中で行っても良い。前記有機溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等のポリオール;2−エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル;エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の混合溶媒として用いても良い。
【0035】
反応終了後は必要に応じて、未反応原料や溶媒等を留去する工程、水洗或いは再沈殿等の精製工程等を行っても良い。
【0036】
本発明のノボラック型樹脂の重量平均分子量(Mw)は、耐熱性、アルカリ現像性、光感度、解像度等の諸性能に優れ、レジスト材料に好適なものになることから5,000〜30,000の範囲であることが好ましく、10,000〜30,000の範囲であることがより好ましい。また、ノボラック型樹脂の多分散度(Mw/Mn)は3〜20の範囲であることが好ましく、5〜15の範囲であることがより好ましい。
【0037】
なお、本発明において重量平均分子量(Mw)及び多分散度(Mw/Mn)は、下記条件のGPCにて測定される値である。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」(8.0mmФ×300mm)
カラム温度:40℃
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
【0038】
以上詳述した本発明のノボラック型樹脂は耐熱性が非常に高い特徴を有することから、フォトレジストや、液晶配向膜、プリント配線基板等の各種の電気・電子部材用途の他、接着剤や塗料等にも好適に用いることが出来る。また、本発明のノボラック型樹脂はアルカリ溶解性や光感度にも優れることから、特にレジスト用途に適しており、一般的な層間絶縁膜の他、レジスト下層膜、レジスト永久膜等の様々なレジスト部材に用いることができる。
【0039】
本発明の感光性組成物は、前記本発明のノボラック型樹脂と感光剤とを必須の成分として含有する。本発明の感光性組成物は、前記本発明のノボラック型樹脂以外に、その他の樹脂(C)を併用しても良い。その他の樹脂(C)は、アルカリ現像液に可溶なもの、或いは、酸発生剤等の添加剤と組み合わせて用いることによりアルカリ現像液へ溶解するものであれば何れのものも用いることができる。
【0040】
前記その他の樹脂(C)は、例えば、前記本発明のノボラック型樹脂以外のその他のフェノール樹脂(C−1)、p−ヒドロキシスチレンやp−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)スチレン等のヒドロキシ基含有スチレン化合物の単独重合体あるいは共重合体(C−2)、前記(C−1)又は(C−2)の水酸基をt−ブトキシカルボニル基やベンジルオキシカルボニル基等の酸分解性基で変性したもの(C−3)、(メタ)アクリル酸の単独重合体あるいは共重合体(C−4)、ノルボルネン化合物やテトラシクロドデセン化合物等の脂環式重合性単量体と無水マレイン酸或いはマレイミドとの交互重合体(C−5)等が挙げられる。
【0041】
前記その他のフェノール樹脂(C−1)は、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等のフェノール樹脂が挙げられる。
【0042】
前記他のフェノール樹脂(C−1)の中でも、感度が高く、耐熱性にも優れる感光性樹脂組成物となることから、クレゾールノボラック樹脂又はクレゾールと他のフェノール性化合物との共縮ノボラック樹脂が好ましい。クレゾールノボラック樹脂又はクレゾールと他のフェノール性化合物との共縮ノボラック樹脂は、具体的には、o−クレゾール、m−クレゾール及びp−クレゾールからなる群から選ばれる少なくとも1つのクレゾールとアルデヒド化合物とを必須原料とし、適宜その他のフェノール性化合物を併用して得られるノボラック樹脂である。
【0043】
前記クレゾール以外のその他のフェノール性化合物は、例えば、フェノール;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール等のブチルフェノール;p−ペンチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール;p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1置換フェノール;1−ナフトール、2−ナフトール等の縮合多環式フェノール;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール等が挙げられる。これらその他のフェノール性化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらその他のフェノール性化合物を用いる場合、その使用量は、クレゾール原料の合計1モルに対し、その他のフェノール性化合物が0.05〜1モルの範囲となる割合であることが好ましい。
【0044】
また、前記アルデヒド化合物は、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられ、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。中でも、反応性に優れることからホルムアルデヒドが好ましく、ホルムアルデヒドとその他のアルデヒド化合物を併用しても構わない。ホルムアルデヒドとその他のアルデヒド化合物を併用する場合、その他のアルデヒド化合物の使用量は、ホルムアルデヒド1モルに対して、0.05〜1モルの範囲とすることが好ましい。
【0045】
ノボラック樹脂を製造する際のフェノール性化合物とアルデヒド化合物との反応比率は、感度と耐熱性に優れる感光性樹脂組成物が得られることから、フェノール性化合物1モルに対しアルデヒド化合物が0.3〜1.6モルの範囲であることが好ましく、0.5〜1.3の範囲であることがより好ましい。
【0046】
前記フェノール性化合物とアルデヒド化合物との反応は、酸触媒存在下60〜140℃の温度条件で行い、次いで減圧条件下にて水や残存モノマーを除去する方法が挙げられる。ここで用いる酸触媒は、例えば、シュウ酸、硫酸、塩酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等が挙げられ、それぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、触媒活性に優れる点からシュウ酸が好ましい。
【0047】
以上詳述したクレゾールノボラック樹脂、又はクレゾールと他のフェノール性化合物との共縮ノボラック樹脂の中でも、メタクレゾールを単独で用いたクレゾールノボラック樹脂、または、メタクレゾールとパラクレゾールとを併用したクレゾールノボラック樹脂であることが好ましい。また、後者においてメタクレゾールとパラクレゾールとの反応モル比[メタクレゾール/パラクレゾール]は、感度と耐熱性とのバランスに優れる感光性樹脂組成物となることから、10/0〜2/8の範囲が好ましく、7/3〜2/8の範囲がより好ましい。
【0048】
前記その他の樹脂(C)を用いる場合、本発明のノボラック型樹脂とその他の樹脂(C)との配合割合は所望の用途により任意に調整することが出来る。例えば、本発明のノボラック型樹脂は耐熱性に優れ、かつ、アルカリ溶解性や光感度にも優れることから、これを主成分とする感光性組成物はレジスト用途に最適である。このとき、樹脂成分の合計における本発明のノボラック型樹脂の割合は、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
【0049】
また、本発明のノボラック型樹脂が有する高い耐熱性はこれまでにない突出したレベルのものであるから、その他の樹脂(C)を主成分とする感光性組成物の耐熱性を一層向上させるために、本願発明のノボラック型樹脂を一部添加して用いても良い。この場合、本発明のノボラック型樹脂とその他の樹脂(C)との配合割合は、前記その他の樹脂(C)100質量部に対し、本発明のノボラック型樹脂が3〜80質量部の範囲であることが好ましい。
【0050】
前記感光剤は、例えば、キノンジアジド基を有する化合物が挙げられる。キノンジアジド基を有する化合物の具体例としては、例えば、芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物と、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等のキノンジアジド基を有するスルホン酸との完全エステル化合物、部分エステル化合物、アミド化物又は部分アミド化物などが挙げられる。
【0051】
ここで用いる前記芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物は、例えば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシ−2’−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン化合物;
【0052】
ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−{1−[4−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール,3,3’−ジメチル−{1−[4−〔2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール等のビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン化合物;
【0053】
トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリス(ヒドロキシフェニル)メタン化合物又はそのメチル置換体;
【0054】
ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタンなどの、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン化合物又はそのメチル置換体等が挙げられる。これらの感光剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0055】
本発明の感光性組成物における前記感光剤の配合量は、光感度に優れる感光性組成物となることから、感光性組成物の樹脂固形分の合計100質量部に対し、5〜50質量部となる割合であることが好ましい。
【0056】
本発明の感光性組成物は、レジスト用途に用いた場合の製膜性やパターンの密着性の向上、現像欠陥を低減するなどの目的で界面活性剤を含有していても良い。ここで用いる界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル化合物、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル化合物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル化合物等のノニオン系界面活性剤;フルオロ脂肪族基を有する重合性単量体と[ポリ(オキシアルキレン)](メタ)アクリレートとの共重合体など分子構造中にフッ素原子を有するフッ素系界面活性剤;分子構造中にシリコーン構造部位を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0057】
これらの界面活性剤の配合量は、本発明の感光性組成物中の樹脂固形分の合計100質量部に対し0.001〜2質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0058】
本発明の感光性組成物をフォトレジスト用途に用いる場合には、本発明のノボラック型樹脂、感光剤の他、更に必要に応じてその他の樹脂(C)や界面活性剤、染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤など各種の添加剤を加え、有機溶剤に溶解することによりレジスト用組成物とすることができる。これをそのままポジ型レジスト溶液と用いても良いし、或いは、該レジスト用組成物をフィルム状に塗布して脱溶剤させたものをポジ型レジストフィルムとして用いても良い。レジストフィルムとして用いる際の支持フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられ、単層フィルムでも複数の積層フィルムでも良い。また、該支持フィルムの表面はコロナ処理されたものや剥離剤が塗布されたものでも良い。
【0059】
本発明の感光性組成物に用いる有機溶剤は特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン化合物;ジオキサン等の環式エーテル;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル化合物が挙げられる、これらはそれぞれ単独でも地いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0060】
本発明の感光性組成物は上記各成分を配合し、攪拌機等を用いて混合することにより製造することができる。また、感光性組成物が充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散或いは混合して製造することが出来る。
【0061】
本発明の感光性組成物を用いたフォトリソグラフィーの方法は、例えば、シリコン基板フォトリソグラフィーを行う対象物上に感光性組成物を塗布し、60〜150℃の温度条件でプリベークする。このときの塗布方法は、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の何れの方法でも良い。次にレジストパターンの作製であるが、本発明の感光性組成物はポジ型であることから、目的とするレジストパターンを所定のマスクを通じて露光し、露光した箇所をアルカリ現像液にて溶解することにより、レジストパターンを形成する。本発明の感光性組成物は、露光部のアルカリ溶解性と、非露光部の耐アルカリ溶解性とが共に高いことから、解像度に優れるレジストパターンの形成が可能となる。
【0062】
本発明の硬化性組成物は、前記本発明のノボラック型樹脂と、硬化剤とを必須の成分として含有する。本発明の硬化性組成物は、前記本発明のノボラック型樹脂以外に、その他の樹脂(D)を含有しても良い。ここで用いるその他の樹脂(D)は、例えば、各種のノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン等の脂環式ジエン化合物とフェノール化合物との付加重合樹脂、フェノール性水酸基含有化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物との変性ノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、及び各種のビニル重合体等が挙げられる。
【0063】
前記各種のノボラック樹脂は、より具体的には、フェノール、クレゾールやキシレノール等のアルキルフェノール、フェニルフェノール、レゾルシノール、ビフェニル、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物とを酸触媒条件下で反応させて得られる重合体が挙げられる。
【0064】
前記各種のビニル重合体は、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルカルバゾール、ポリインデン、ポリアセナフチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロデセン、ポリテトラシクロドデセン、ポリノルトリシクレン、ポリ(メタ)アクリレート等のビニル化合物の単独重合体或いはこれらの共重合体が挙げられる。
【0065】
これらその他の樹脂を用いる場合、本発明のノボラック型樹脂とその他の樹脂(D)との配合割合は、用途に応じて任意に設定することが出来るが、本発明が奏する耐熱性に優れる効果がより顕著に発現することから、本発明のノボラック型樹脂100質量部に対し、その他の樹脂(D)が0.5〜100質量部となる割合であることが好ましい。
【0066】
本発明で用いる前記硬化剤は、例えば、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、レゾール樹脂、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基等の2重結合を含む化合物、酸無水物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
【0067】
前記メラミン化合物は、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
【0068】
前記グアナミン化合物は、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
【0069】
前記グリコールウリル化合物は、例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル等が挙げられる。
【0070】
前記ウレア化合物は、例えば、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素及び1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素等が挙げられる。
【0071】
前記レゾール樹脂は、例えば、フェノール、クレゾールやキシレノール等のアルキルフェノール、フェニルフェノール、レゾルシノール、ビフェニル、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物とをアルカリ性触媒条件下で反応させて得られる重合体が挙げられる。
【0072】
前記エポキシ化合物は、例えば、ジグリシジルオキシナフタレン、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、リン原子含有エポキシ樹脂、フェノール性水酸基含有化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物との共縮合物のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0073】
前記イソシアネート化合物は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0074】
前記アジド化合物は、例えば、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビスアジド、4,4’−メチリデンビスアジド、4,4’−オキシビスアジド等が挙げられる。
【0075】
前記アルケニルエーテル基等の2重結合を含む化合物は、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0076】
前記酸無水物は例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(イソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物等の芳香族酸無水物;無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水ドデセニルコハク酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸等の脂環式カルボン酸無水物等が挙げられる。
【0077】
これらの中でも、硬化性や硬化物における耐熱性に優れる硬化性組成物となることから、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、レゾール樹脂が好ましく、グリコールウリル化合物が特に好ましい。
【0078】
本発明の硬化性組成物における前記硬化剤の配合量は、硬化性に優れる組成物となることから、本発明のノボラック型樹脂とその他の樹脂(D)との合計100質量部に対し、0.5〜50質量部となる割合であることが好ましい。
【0079】
本発明の硬化性組成物をレジスト下層膜(BARC膜)用途に用いる場合には、本発明のノボラック型樹脂、硬化剤の他、更に必要に応じてその他の樹脂(D)、界面活性剤や染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤など各種の添加剤を加え、有機溶剤に溶解することによりレジスト下層膜用組成物とすることができる。
【0080】
レジスト下層膜用組成物に用いる有機溶剤は、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン化合物;ジオキサン等の環式エーテル;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル化合物が挙げられる、これらはそれぞれ単独でも地いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0081】
前記レジスト下層膜用組成物は上記各成分を配合し、攪拌機等を用いて混合することにより製造することができる。また、レジスト下層膜用組成物が充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散或いは混合して製造することができる。
【0082】
前記レジスト下層膜用組成物からレジスト下層膜を作製するには、例えば、前記レジスト下層膜用組成物を、シリコン基板などフォトリソグラフィーを行う対象物上に塗布し、100〜200℃の温度条件下で乾燥させた後、更に250〜400℃の温度条件下で加熱硬化させるなどの方法によりレジスト下層膜を形成する。次いで、この下層膜上で通常のフォトリソグラフィー操作を行ってレジストパターンを形成し、ハロゲン系プラズマガス等でドライエッチング処理することにより、多層レジスト法によるレジストパターンを形成することが出来る。
【0083】
本発明の硬化性組成物をレジスト永久膜用途に用いる場合には、本発明のノボラック型樹脂、硬化剤の他、更に必要に応じてその他の樹脂(D)、界面活性剤や染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤など各種の添加剤を加え、有機溶剤に溶解することによりレジスト永久膜用組成物とすることができる。ここで用いる有機溶剤は、レジスト下層膜用組成物で用いる有機溶剤と同様のものが挙げられる。
【0084】
前記レジスト永久膜用組成物を用いたフォトリソグラフィーの方法は、例えば、有機溶剤に樹脂成分及び添加剤成分を溶解・分散させ、シリコン基板フォトリソグラフィーを行う対象物上に塗布し、60〜150℃の温度条件でプリベークする。このときの塗布方法は、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の何れの方法でもよい。次にレジストパターンの作製であるが、当該レジスト永久膜用組成物がポジ型の場合には、目的とするレジストパターンを所定のマスクを通じて露光し、露光した箇所をアルカリ現像液にて溶解することにより、レジストパターンを形成する。
【0085】
前記レジスト永久膜用組成物からなる永久膜は、例えば、半導体デバイス関係ではソルダーレジスト、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や集積回路素子と回路基板の接着層、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ関係では薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルター保護膜、ブラックマトリックス、スペーサーなどに好適に用いることができる。
【実施例】
【0086】
以下に具体的な例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、合成した樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び多分散度(Mw/Mn)は、下記のGPCの測定条件で測定したものである。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」(8.0mmФ×300mm)
カラム温度:40℃
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
注入量:0.1mL
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
【0087】
製造例1 ノボラック型樹脂(1)の製造
冷却管を設置した3000ml4口フラスコに、下記構造式(2−1)で表される1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン60gを仕込み、1−ブタノール100mlに溶解させた。氷浴中で冷却しながら硫酸3mlを添加し、更に92%パラホルムアルデヒド6gを仕込み、オイルバス中で90℃まで昇温させた。撹拌しながら90℃で10時間反応させた。反応混合物中に水を加えて生成物を再沈殿させ、粗生成物を得た。粗生成物をアセトンに再溶解し、更に水で再沈殿させた後、沈殿物を濾別して真空乾燥し、黄土色粉末のノボラック型樹脂(1)60gを得た。ノボラック型樹脂(1)のGPCチャートを
図1に示す。ノボラック型樹脂(1)の数平均分子量(Mn)は2,021、重量平均分子量(Mw)は17,890、多分散度(Mw/Mn)は8.85であった。
【0088】
【化3】
【0089】
比較製造例1 ノボラック型樹脂(1’)の製造
冷却管を設置した300mlの4口フラスコに、m−クレゾール648g、p−クレゾール432g、シュウ酸2.5g、42%ホルムアルデヒド492gを仕込み、100℃まで昇温して反応させた。常圧で200℃まで加熱して脱水及び蒸留し、更に230℃で6時間減圧蒸留を行い、淡黄色固形のノボラック型樹脂(1’)736gを得た。ノボラック型樹脂(1’)の数平均分子量(Mn)は1,450、重量平均分子量(Mw)は10,316、多分散度(Mw/Mn)は7.12であった。
【0090】
実施例2及び比較例1
実施例1及び比較製造例1で得たノボラック型樹脂について、下記の要領で評価した。結果を表1に示す。
【0091】
感光性組成物の製造
前記ノボラック型樹脂28質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60質量部に溶解させ、この溶液に感光剤12質量部を加えて溶解させた。これを0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、感光性組成物を得た。
感光剤は東洋合成工業株式会社製「P−200」(4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1モルと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド2モルとの縮合物)を用いた。
【0092】
耐熱性試験用組成物の製造
前記ノボラック型樹脂28質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60質量部に溶解させ、これを0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、耐熱性試験用組成物を得た。
【0093】
アルカリ現像性[ADR(Å/s)]の評価
先で得た感光性組成物を5インチシリコンウェハー上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。このウェハーを2枚用意し、一方を「露光なしサンプル」とした。他方を「露光有サンプル」としてghi線ランプ(ウシオ電機株式会社製「マルチライト」)を用いて100mJ/cm
2のghi線を照射したのち、140℃、60秒間の条件で加熱処理を行った。
「露光なしサンプル」と「露光有サンプル」の両方をアルカリ現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に60秒間浸漬した後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。各サンプルの現像液浸漬前後の膜厚を測定し、その差分を60で除した値をアルカリ現像性[ADR(Å/s)]とした。
【0094】
光感度の評価
先で得た感光性組成物を5インチシリコンウェハー上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。このウェハー上にラインアンドスペースが1:1であり、ライン幅が1〜10μmまで1μmごとに設定されたレジストパターン対応のマスクを密着させた後、ghi線ランプ(ウシオ電機株式会社製「マルチライト」)を用いてghi線を照射し、140℃、60秒間の条件で加熱処理を行った。次いで、アルカリ現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に60秒間浸漬した後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。
ghi線露光量を80mJ/cm
2から5mJ/cm
2毎に増加させた場合の、ライン幅3μmを忠実に再現することのできる露光量(Eop露光量)を評価した。
【0095】
解像度の評価
先で得た感光性組成物を5インチシリコンウェハー上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。得られたウェハー上にフォトマスクを乗せ、先のアルカリ現像性評価の場合と同様の方法でghi線200mJ/cm
2を照射し、アルカリ現像操作を行った。レーザーマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VK−X200」)を用いてパターン状態を確認し、L/S=1/1の線幅が5μmで解像できているものをA、L/S=1/1の線幅が5μmで解像できていないものをBとして評価した。
【0096】
耐熱性評価
先で得た耐熱性試験用組成物を5インチシリコンウェハー上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。得られたウェハーより樹脂分をかきとり、そのガラス転移温度(Tg)を測定した。ガラス転移温度(Tg)の測定は示差走査熱量計(DSC)(株式会社TAインスツルメント製「Q100」)を用いて、窒素雰囲気下、温度範囲25〜400℃、昇温温度10℃/分の条件で行った。
【0097】
【表1】
【0098】
実施例3及び比較例2
実施例1及び比較製造例1で得たノボラック型樹脂について、下記の要領で評価した。結果を表2に示す。
【0099】
硬化性組成物の製造
前記ノボラック型樹脂16質量部、硬化剤(東京化成工業株式会社製「1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル」)4質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30質量部に溶解させ、これを0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、硬化性組成物を得た。
【0100】
アルカリ現像性[ADR(Å/s)]の評価
先で得た硬化性組成物を5インチシリコンウェハー上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。このウェハーを2枚用意し、一方を「未硬化サンプル」とした。他方を「硬化サンプル」として230℃、60秒間の条件で加熱処理を行った。
「未硬化サンプル」と「硬化サンプル」の両方をアルカリ現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に60秒間浸漬した後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。各サンプルの現像液浸漬前後の膜厚を測定し、その差分を60で除した値をアルカリ現像性[ADR(Å/s)]とした。
【0101】
耐熱性評価
先で得た硬化性組成物を5インチシリコンウェハー上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた後、230℃、60秒間の条件で加熱処理を行った。得られたウェハーより樹脂分をかきとり、そのガラス転移温度(Tg)を測定した。ガラス転移温度(Tg)の測定は示差走査熱量計(DSC)(株式会社TAインスツルメント製「Q100」)を用いて、窒素雰囲気下、温度範囲25〜400℃、昇温温度10℃/分の条件で行った。
【0102】
【表2】
耐熱性、アルカリ現像性、光感度、解像度等の諸性能に優れるノボラック型樹脂、前記ノボラック型樹脂を含有する感光性組成物、前記ノボラック型樹脂を含有する硬化性組成物とその硬化物、前記感光性組成物又は硬化性組成物を用いてなるレジスト材料を提供する。トリス(ヒドロキシアリール)メチン基を有する化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを必須の反応原料とするノボラック型樹脂、前記ノボラック型樹脂を含有する感光性組成物、前記ノボラック型樹脂を含有する硬化性組成物とその硬化物、前記感光性組成物又は硬化性組成物を用いてなるレジスト材料による。