(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記転写部は、前記フィルムの搬送経路における前記押圧部の上流及び前記剥離部の下流の少なくとも一方に配置された除電部を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のパターン形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなインプリント法を用いてガラス等の基板上にレジストパターンを形成することも考えられる。この場合、各ガラス基板に対して枚葉処理によってインプリントを行うため、タクトに時間を要することになる。そこで、基板に早いタクトでパターンを形成できる新たな技術の提供が望まれている。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、早いタクトで基板上にパターンを形成できるパターン形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るパターン形成装置は、基板上に塗布液を塗布する塗布部と、前記塗布液が塗布された前記基板を搬送する基板搬送部と、長尺状のフィルムに形成された所定の凹凸パターンを前記基板搬送部により搬送される前記基板上の前記塗布液に転写する転写部と、を備え、前記転写部は、前記フィルムの前記凹凸パターンを前記基板に塗布された前記塗布液に押圧する押圧部と、前記基板から前記フィルムを剥離する剥離部と、前記フィルムを巻回したロール体から巻き出した当該フィルムを前記押圧部に送り出す送出しローラーと、前記剥離部で剥離した前記フィルムを巻き取る巻取ローラーと、を含み、前記押圧部は、前記フィルムと前記基板とを挟持する、一対のローラーを含み、前記基板搬送部は、第1搬送部と第2搬送部とを含み、前記押圧部は、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間に配置されて
おり、前記一対のローラーは、前記フィルムと前記基板とを熱を加えた状態で挟持することを特徴とする。
【0007】
本発明のパターン形成装置によれば、基板搬送部により搬送される基板上の塗布液にインプリント法で凹凸パターンを転写することができる。よって、枚葉処理で各基板にパターンを転写する構成に比べ、基板上に所定のパターンを早いタクトで形成することができるパターン形成装置を提供できる。
【0008】
上記パターン形成装置において、前記転写部は、前記フィルムの前記凹凸パターンを前記基板に塗布された前記塗布液に押圧する押圧部と、前記基板から前記フィルムを剥離する剥離部と、を含む構成としてもよい。
この構成によれば、フィルムを塗布液に押圧した後、剥離することで凹凸パターンを簡便且つ確実に塗布液に転写することができる。
【0009】
上記パターン形成装置において、前記転写部は、前記基板に塗布された前記塗布液を硬化させる硬化部を備える構成としてもよい。
この構成によれば、塗布液を硬化させることで塗布膜を形成することができる。
【0010】
上記パターン形成装置において、前記乾燥部は、前記基板の搬送経路における前記押圧部の下流側に配置される第1硬化部を含む構成としてもよい。
この構成によれば、パターン転写後の塗布液を本硬化させることができ、パターン転写後の塗布液の型崩れを防止できる。
【0011】
上記パターン形成装置において、前記乾燥部は、前記基板の搬送経路における前記押圧部の上流側に配置される第2硬化部を含む構成としてもよい。
この構成によれば、押圧部によるパターン転写前に塗布液を仮硬化させることができる。
【0012】
上記パターン形成装置において、前記押圧部は、熱を加えた状態で前記基板及び前記フィルムを押圧する構成としてもよい。
この構成によれば、加熱圧着により塗布液に対してパターンを良好に転写することができる。
【0013】
上記パターン形成装置において、前記転写部は、前記フィルムを巻回したロール体から巻き出した当該フィルムを前記押圧部に送り出す送出しローラーと、前記剥離部で剥離した前記フィルムを巻き取る巻取ローラーと、を含む構成としてもよい。
この構成によれば、フィルムとして長尺状のものを採用することができ、長尺の基板に対してもパターン転写を良好に行うことができる。よって、基板の長さ方向における寸法の制約を無くすことができ、種々の大きさの基板に対してパターンを形成することができる汎用性の高いパターン形成装置を提供できる。
【0014】
上記パターン形成装置において、前記基板搬送部は、前記基板における搬送速度を調整する速度調整機構を含む構成としてもよい。
この構成によれば、基板の搬送速度を調整することで、転写部から塗布部に移行する際における基板の待機時間を短くし、結果的にパターン形成処理に要する時間を短くすることができる。
【0015】
上記パターン形成装置において、前記転写部は、前記フィルムの搬送経路における前記押圧部の上流及び前記剥離部の下流の少なくとも一方に配置された除電部を備える構成としてもよい。
この構成によれば、パターン転写時に生じた静電気を除電することができる。よって、静電気に起因する装置の破壊や誤作動といった不具合の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、早いタクトで基板上にパターンを形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
以下の各図において、本実施形態に係るパターン形成装置の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。当該XYZ座標系においては、床面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面においてパターン形成装置がパターンを形成する基板の搬送方向をX方向と表記し、XY平面上でX方向に直交する方向をY方向と表記する。XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0019】
図1はパターン形成装置の概略構成を示す側面図である。
図1に示すように、パターン形成装置1は、制御装置2と、塗布部10と、基板搬送部20と、転写部30と、基板検出部50と、を有している。制御装置2は、パターン形成装置1の各構成部材(塗布部10、基板搬送部20、転写部30、及び基板検出部50)に電気的に接続されており、各々の駆動を制御する。
【0020】
塗布部10は、例えばガラスからなる基板S上に塗布液としてのレジスト液を塗布するためのものである。本実施形態において塗布されるレジスト液としては、熱硬化型のものが用いられる。
【0021】
基板搬送部20は、塗布部10により塗布液が塗布された基板Sを搬送するためのものである。転写部30は、基板上の塗布液に所定の凹凸パターンを転写するためのものである。
【0022】
このように本実施形態に係るパターン形成装置1は、レジスト液を塗布した基板Sを基板搬送部20により転写部30に順次搬送することで、塗布工程と転写工程とを1つの装置内で一貫して行うものである。これにより、早いタクトで基板S上に所定のパターンを形成することが可能となっている。
【0023】
塗布部10は、塗布ノズル11と、基板保持部12とを有する。塗布ノズル11は、一方向(Y方向)が長手の長尺状に構成されており、フレーム13に設けられている。フレーム13は、例えば、基板保持部12の上方を幅方向(Y方向)に跨ぐような門柱状に構成され、塗布ノズル11の上面を支持している。塗布ノズル11のうち−Z方向の先端には、自身の長手方向に沿ってスリット状の開口部11aが設けられており、当該開口部11aからレジストが吐出されるようになっている。すなわち、塗布ノズル11は、所謂スリットノズルから構成されている。
【0024】
塗布ノズル11は、開口部11aの長手方向がY方向に平行になると共に、当該開口部11aが基板保持部12に対向するように配置されている。開口部11aの長手方向の寸法は、例えば基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域にレジストが塗布されないようになっている。塗布ノズル11の内部にはレジストを開口部11aに流通させる図示しない流通路が設けられており、この流通路には図示しないレジスト供給源が接続されている。このレジスト供給源は例えば図示しないポンプを有しており、当該ポンプでレジストを開口部11aへと押し出すことで開口部11aからレジストが吐出されるようになっている。
【0025】
基板保持部12は、レジスト塗布時の基板Sを保持する保持面12aを有するコンベア機構から構成されている。基板保持部12は、保持面12aをX方向に移動可能に構成されている。また、基板保持部12は、Z方向に移動可能に構成されている。コンベア機構は、例えば、モーター機構やエアシリンダー機構、リニアモーター機構などの駆動機構を含む。
【0026】
また、塗布部10は、塗布ノズル11の開口部11a、すなわち、塗布ノズル11の先端と当該ノズル先端に対向する対向面との間のZ方向上の距離を測定するセンサーを備えていても良い。この構成によれば、基板保持部12は、保持面12aに保持した基板Sと塗布ノズル11との距離を変化させることが可能となる。
【0027】
基板保持部12は、保持面12aを塗布ノズル11の下方をX方向に沿って移動させ、該保持面12a上の基板Sをノズル先端の開口部11aの直下に通過させることができる。塗布ノズル11は、基板保持部12によりX方向に沿って移動する基板S上にレジスト液を吐出することで基板Sの全面にレジスト液を塗布することができる。
【0028】
レジスト液の塗布後、基板保持部12はレジスト液が塗布された基板Sを+X方向に移動させ、基板搬送部20に受け渡す。
【0029】
基板搬送部20は、第1搬送部21と第2搬送部22と駆動部23とを含む。
第1搬送部21は、転写部30に向けて基板Sを搬送するためのものである。第1搬送部21は、前段部21a及び後段部21bを含む。前段部21aは、塗布部10から受け取った基板Sを搬送するためのものである。後段部21bは、転写部30に向けて基板Sを搬送するためのものである。前段部21a及び後段部21bは、例えば、それぞれコンベア装置から構成される。第1搬送部21は、前段部21aと後段部21bとの間で基板Sの受け渡しを行う。
【0030】
第2搬送部22は、後述する転写部30の押圧部33を通過した基板Sを搬送方向下流に向けて搬送するためのものである。第2搬送部22は、前段部22a及び後段部22bを含む。前段部22aは、押圧部33から受け取った基板Sを搬送するためのものである。後段部22bは、基板Sを外部に向けて搬出するためのものである。前段部22a及び後段部22bは、例えば、それぞれコンベア装置から構成される。
【0031】
駆動部23は、前段部21a、後段部21b、及び第2搬送部22に対して付与する駆動力をそれぞれ異ならせることが可能である。これにより、駆動部23は、基板Sの位置に応じて搬送速度をそれぞれ独立に調整することができる。
【0032】
転写部30は、送出ロール31と、巻取ロール32と、押圧部33と、硬化部34と、剥離部35と、第1中継ローラー36と、第2中継ローラー37と、第3中継ローラー38と、除電部40と、エンコーダーロール41とを有する。
【0033】
送出ロール31は、長尺状のフィルム100をロール状に巻回したロール体から構成されるものである。巻取ロール32は、送出ロール31から巻き解いたフィルム100を巻き取ることで回収するためのものである。巻取ロール32には、該巻取ロール32を回転駆動させる回転駆動部32aが設けられている。回転駆動部32aとしては、例えばモーターが用いられる。回転駆動部32aは、制御装置2に電気的に接続され、該制御装置2により、その駆動が制御されている。この構成に基づき、回転駆動部32aは巻取ロール32を回転駆動させて、フィルム100を巻き取ることで送出ロール31に巻回されているフィルム100を巻き解くことができる。すなわち、本実施形態において、巻取ロール32は主動ローラーを構成し、送出ロール31は従動ローラーを構成する。
【0034】
図2はフィルム100の断面形状を示す図である。
図2に示すように、フィルム100は、一面側に所定の凹凸パターン101が複数形成されている。複数の凹凸パターン101は、それぞれ1枚の基板の大きさに対応するものである。すなわち、フィルム100には、複数枚の基板S分に転写される凹凸パターン101が連続的に形成されたものとなっている。そのため、フィルム100は、順次搬送される複数の基板Sに対し、所定の凹凸パターン101を連続的に転写することができる。よって、従来の枚葉処理によって行われる転写方式に比べ、早いタクトで基板上に所定のパターンを形成することができる。
【0035】
フィルム100は、例えばポリイミド等の可撓性を有する樹脂から構成されている。凹凸パターン101は、基板S上に塗布された塗布液に転写されるパターンを構成するためのものである。凹凸パターン101は、凸部101aと凹部101bとを含む。凸部101aは、後述のように基板Sに押し付けられた際、塗布液を押し除け、凹部101bは凸部101aにより押し退けられた塗布液を収容する。すなわち、塗布液には、凹部101bに対応する凸パターンが転写されることとなる。
【0036】
押圧部33は、一対のローラー33a、33bを含む。一対のローラー33a、33bは、所定間隔だけ離間して互いの間に隙間が生じた状態に配置されている。
一対のローラー33a、33bは、それぞれ内部にヒーター43が内蔵されている。ヒーター43は、制御装置2に電気的に接続され、その駆動状態が制御されている。ヒーター43としては、例えば抵抗加熱方式のものが用いられるが加熱方式はこれに限定されることはなく、誘電加熱等の従来公知の方式を適宜採用可能である。なお、ヒーター43は、ローラー33a、33bの表面温度を例えば約100℃程度とする出力に設定されている。
【0037】
この構成により、一対のローラー33a、33bは、上記隙間に第1搬送部21(後段部21b)により導かれた基板Sに対し、フィルム100を熱圧着することができる。よって、フィルム100に形成されている凹凸パターン101は、基板S上に塗布されたレジスト液に良好に転写されることとなる。
【0038】
一対のローラー33a、33bは、ある程度の熱耐性を有する例えばゴムなどの耐熱性弾性材料から構成されている。これよれば、ヒーター43による劣化を防止するとともに押圧時にローラー表面が弾性変形することで基板S及びフィルム100に与えるダメージを抑制することができる。
【0039】
硬化部34は、第1硬化部34aと、第2硬化部34bとを含む。第1硬化部34aは、基板S上に塗布されたレジスト液を仮硬化させるためのものである。第1硬化部34aは、第1搬送部21の後段部21bと対向する領域に配置されている。
【0040】
第2硬化部34bは、フィルム100の押圧後の基板Sを再度加熱することでレジスト液を本硬化させるためのものである。第1硬化部34a及び第2硬化部34bとしては、例えば赤外線ヒーターがそれぞれ用いられる。第1硬化部34a及び第2硬化部34bは、それぞれレジスト液を硬化させることが可能な温度に設定されている。なお、硬化部34は、温風を用いてレジスト液を硬化させる構成であっても構わない。この構成においては、第1硬化部34a及び第2硬化部34bがそれぞれ所定温度の温風を吹き出し可能な温風ヒーターから構成される。
【0041】
剥離部35は、剥離ローラー35a及び支持ローラー35bを有する。フィルム100は、剥離ローラー35aから、第2中継ローラー37及び第3中継ローラー38を経由して巻取ロール32により巻き取られる。支持ローラー35bは、剥離ローラー35aとの間でフィルム100及び基板Sを挟持するように支持する。
第2中継ローラー37は、剥離ローラー35aに対し、基板Sの搬送方向と反対方向(−X方向)に配置されている。また、第3中継ローラー38は、第2中継ローラー37に対し、上方(+Z方向)に配置されている。
【0042】
この構成によれば、フィルム100は、剥離ローラー35aを介して180度反対方向に折り返された後、第2中継ローラー37を介して90度上方に折り曲げられ、第3中継ローラー38を介して再び+X方向(基板Sの搬送方向)に折り曲げられることで巻取ロール32に巻き取られる。
【0043】
フィルム100は、剥離ローラー35aにおいて基板Sと反対方向に折り返されることで、基板S(塗布液)に圧着された状態から剥離されることとなる。剥離ローラー35aで基板Sから剥離されたフィルム100は、第2中継ローラー37及び第3中継ローラー38を経由して巻取ロール32により巻き取られる。
フィルム100が剥離された基板Sは、支持ローラー35bを介して後段部22bに受け渡されて+X方向に搬送される。
【0044】
転写部30は、上記フィルム引き回し構造を採用することで、基板Sに押圧されたフィルム100を剥離することができる。よって、基板S上に塗布されたレジスト液に対し、所定のパターンを良好に転写することができる。
【0045】
除電部40は、第1除電部40a、第2除電部40b、及び第3除電部40cを含む。第1除電部40aは、送出ロール31の近傍に配置され、フィルム100が送出ロール31から巻き解かれた際に生じた静電気を除電するためのものであり、例えばイオナイザーから構成されるものである。第2除電部40bは、フィルム100の搬送方向における押圧部33の上流に配置され、押圧部33に搬送される前のフィルム100に帯電している静電気を除電するためのものであり、例えばイオナイザーから構成される。第3除電部40cは、フィルム100の搬送方向における剥離部35の下流に配置され、フィルム100が基板Sから剥離された際の剥離帯電による静電気を除電するためのものであり、例えばイオナイザーから構成される。
【0046】
送出ロール31から巻き出されたフィルム100は、第1中継ローラー36、エンコーダーロール41、押圧部33、剥離部35、第2中継ローラー37、及び第3中継ローラー38を経て巻取ロール32により巻き取られる。
【0047】
転写部30は、第1中継ローラー36とエンコーダーロール41との間に、フィルム押さえ部材44をさらに有している。フィルム押さえ部材44は、所定方向に搬送されるフィルム100の浮き上がりを防止し、弛みの発生を防止するためのものである。これにより、フィルム100を安定して搬送することができ、押圧部33までフィルム100を良好に搬送することができる。
【0048】
転写部30は、エンコーダーロール41と押圧部33との間に、フィルム検出センサー45をさらに有している。フィルム検出センサー45は、送出ロール31及び巻取ロール32間に設定される搬送経路内におけるフィルム100の位置情報を取得するためのものである。フィルム検出センサー45は、例えばフィルム100の表面のうち、凹凸パターン101の非形成領域に設けられた所定のマークを検出する。フィルム検出センサー45は、例えばCCDカメラが用いられる。フィルム検出センサー45は、制御装置2に電気的に接続されている。フィルム検出センサー45は、マークを検出すると、マークを検出した旨の信号を制御装置2に送信する。
【0049】
制御装置2は、この検出結果に基づき、回転駆動部32aの駆動を制御し、巻取ロール32(送出ロール31)の回転速度を調整する。これによれば、後述のようにフィルム100の搬送速度を基板Sの搬送タイミングに合わせて調整することができる。
【0050】
例えば、制御装置2は、第1搬送部21の後段部21bに搬送される基板Sが押圧部33に到達するタイミングがずれている場合、駆動部23により後段部21bの搬送速度のみを選択的に加速あるいは減速させ、フィルム100が押圧部33に到達するタイミングと基板Sが押圧部33に到達するタイミングとを合わせることができる。すなわち、駆動部23は、基板搬送部20における基板Sの搬送速度を調整する本発明の速度調整機構を構成している。これによれば、後述のように基板Sの搬送速度をフィルム100の搬送タイミングに合わせて調整することができる。
【0051】
基板検出部50は、第1基板検出センサー51と、第2基板検出センサー52とを有する。第1基板検出センサー51及び第2基板検出センサー52は、それぞれ基板搬送部20により搬送される基板Sを検出するためのものである。
【0052】
第1基板検出センサー51は、第1搬送部21における前段部21a及び後段部21bの間に配置される。第2基板検出センサー52は、第2搬送部22における前段部22a及び後段部22bの間に配置される。第1基板検出センサー51及び第2基板検出センサー52(以下、これらを総称して各センサー51、52と呼ぶこともある)は、制御装置2に電気的に接続されており、各検出結果を制御装置2に送信する。制御装置2は、上記各センサー51、52から送信される検出結果に基づき、基板Sの位置情報を取得する。
【0053】
本実施形態に係るパターン形成装置1は、上記構成に基づき、基板S上のレジスト液に所定のパターンを転写する場合、凹凸パターン101と基板Sとを位置合わせを行っている。これにより、複数の基板S上に所定のパターンを形成することができる。
【0054】
続いて、パターン形成装置1の動作として、基板S上にパターンを形成する方法について図面を参照しながら説明する。
図3、4はパターン形成装置1の動作を説明するための図である。
【0055】
はじめに、不図示のロボット装置により塗布部10の基板保持部12に基板Sが搬入される。基板Sが搬入されると、制御装置2は基板保持部12の保持面12aをX方向に沿って移動させつつ、塗布ノズル11の先端の開口部11aからレジストを吐出させる。制御装置2は、不図示のポンプを駆動し、レジスト源から開口部11aへとレジストを押し出す。このようにして、塗布ノズル11の開口部11aからレジストを吐出した状態で、基板Sを移動させることで
図3(a)に示すように基板Sの全面にレジスト液を塗布することができる。
【0056】
なお、制御装置2は、塗布部10が駆動するタイミングに合わせて、硬化部34(第1硬化部34a及び第2硬化部34b)を駆動させて待機状態にしておく。これにより、基板Sが搬送された際に所定温度の赤外線を最適なタイミングで照射できるようにしている。
また、制御装置2は、塗布部10が駆動するタイミングに合わせて、押圧部33のローラー33a、33bに内蔵されたヒーター43を駆動させて待機状態にしておく。これにより、基板Sが押圧部33に搬送されたタイミングでフィルム100を最適に熱圧着することができる。
【0057】
また、制御装置2は、転写部30をスタンバイ状態とする。ここで、転写部30のスタンバイ状態について説明する。制御装置2は、フィルム検出センサー45の検出結果に基づいてフィルム100の位置情報を取得する。制御装置2は、フィルム100の位置情報を取得できない場合、フィルム検出センサー45がフィルム100の表面に設けられた所定のマークを検出するまで巻取ロール32を駆動してフィルム100を移動させる。
このようにして制御装置2は、フィルム検出センサー45の位置における凹凸パターン101が押圧部33に到達するまでの時間を予め取得しておき、フィルム100の搬送を停止した状態で待機する。以上により、転写部30におけるスタンバイ状態が完了する。
【0058】
続いて、制御装置2は、
図3(b)に示すように基板保持部12を+Z方向に上昇させる。具体的に制御装置2は、保持面12a上の基板Sにおける下面が基板搬送部20(第1搬送部21)の搬送面と同じ高さ(面一)になるまで基板保持部12を上昇させ、その後、基板Sの下面が第1搬送部21の上面に載置される位置まで+X方向に移動する。
【0059】
この状態において、制御装置2は、基板保持部12及び第1搬送部21を駆動する。これにより、
図3(c)に示すように基板Sは、基板保持部12から第1搬送部21へと受け渡される。基板保持部12は、基板Sを第1搬送部21に受け渡した後、初期位置(塗布ノズル11による塗布を行った際の基板保持高さ)へと戻る。
【0060】
制御装置2は、基板Sが第1搬送部21に受け渡され、基板保持部12が初期位置に戻ったタイミングで不図示のロボット装置を駆動し、塗布部10の基板保持部12に別の基板Sを搬入させる。そして、塗布部10は、同様に別の基板Sに対して塗布液を塗布する。
【0061】
続いて、制御装置2は、基板Sの搬送方向先端(+X方向側の先端部)を前段部21aの終端部(+X方向側の端部)まで搬送する。制御装置2は、基板Sが前段部21aの終端部に到達すると、前段部21aの駆動を一時的に停止する。これにより、基板Sの搬送が停止される。
【0062】
具体的に、制御装置2は、第1基板検出センサー51から基板Sの検出信号が送信されるまで前段部21aを駆動する。ここで、第1基板検出センサー51は、上述のように前段部21a及び後段部21bの間に配置されている。そのため、第1基板検出センサー51により基板Sの搬送方向先端が検出された場合、基板Sの搬送方向先端は前段部21aの終端部に到達したものとみなすことができる。
【0063】
続いて、制御装置2は、前段部21a及び後段部21bを駆動することで、前段部21a側から後段部21b側へと基板Sを受け渡す。後述するタイミングにて、制御装置2は転写部30の巻取ロール32を駆動させ、フィルム100を押圧部33に向けて搬送する。
【0064】
後段部21bに搬送された基板Sは、
図3(d)に示すように、該後段部21bに対向配置される第1硬化部34aから赤外線が照射される。その後、押圧部33まで搬送される。基板S上の塗布液は、第1硬化部34aから赤外線が照射されることで仮硬化して塗布膜となる。
【0065】
ここで、制御装置2は、上述したスタンバイ状態あるフィルム100(凹凸パターン101)が押圧部33に到達するタイミングと、後段部21bにより搬送される基板Sが押圧部33に到達するタイミングとを一致させるように転写部30(巻取ロール32)及び第1搬送部21(後段部21b)を駆動させる。
【0066】
制御装置2は、例えば、フィルム検出センサー45の検出結果に基づき、回転駆動部32aの駆動を制御し、巻取ロール32(送出ロール31)の回転速度を調整することでフィルム100の搬送タイミングと基板Sの搬送タイミングとを合わせるように調整する。あるいは、制御装置2は、例えば、フィルム検出センサー45の検出結果に基づき、駆動部23により後段部21bの搬送速度のみを選択的に加速あるいは減速させることで、一定速度で搬送されるフィルム100が押圧部33に到達するタイミングと基板Sが押圧部33に到達するタイミングとを合わせるように調整する。
【0067】
これにより、
図4(a)に示すように、フィルム100の凹凸パターン101の先端位置と基板Sの搬送方向の先端部とが一致した状態(すなわち、基板Sと凹凸パターン101とが位置合わせされた状態)で押圧部33に到達する。
【0068】
そして、一対のローラー33a、33b間の隙間に基板S及びフィルム100が導かれる。ここで、押圧部33は、上述のようにローラー33a、33b内のヒーター43が予め駆動されているので、
図4(b)に示すようにフィルム100を基板Sに良好に熱圧着することができる。
【0069】
本実施形態においては、上述のように押圧部33によるパターンの転写前に第1硬化部34aによって塗布液が仮硬化されているので、パターン転写時に凹凸パターン101が押し付けられた際に、塗布液(塗布膜)が型崩れすることが防止される。よって、凹凸パターン101が押し付けられた際、凸部101aが押し退けた塗布液が凹部101b内に良好に入り込んだ状態で成型され、凹部101bに対応する凸パターンが転写されることとなる。このように本実施形態によれば、フィルム100に形成された凹凸パターン101を基板S上の塗布液に所謂インプリント法で簡便且つ確実に転写することができる。
【0070】
押圧部33を通過した基板Sは、フィルム100と一体化した状態で第2搬送部22の前段部22aに受け渡される。前段部22aに搬送される基板Sは、該前段部22aに対向配置される第2硬化部34bから赤外線が照射されることで該基板S上の塗布液がフィルム100とともに加熱され、本硬化して完全な塗布膜となる。
【0071】
制御装置2は、基板Sが第1搬送部21の後段部21bに完全に受け渡されたタイミングで塗布部10により塗布液が塗布された別の基板を前段部21a内に搬入させる。前段部21aは、第1基板検出センサー51による検出位置まで該別の基板を搬送し、別の基板を待機させておく。
また、制御装置2は、後段部21bから押圧部33に基板Sが完全に受け渡されたタイミングで前段部21a上に待機している別の基板を後段部21bに搬送させる。
【0072】
その後、フィルム100及び基板Sは、前段部22aにより剥離部35へと搬送される。
図5は剥離部35による剥離動作を説明するための図である。
フィルム100は、剥離部35(剥離ローラー35a)から、第2中継ローラー37及び第3中継ローラー38を経由して巻取ロール32により巻き取られる。剥離ローラー35aを通過したフィルム100は、
図5に示すように、基板Sの搬送方向と180度反対方向に折り返される。このとき、フィルム100は、剥離ローラー35aの外周面に沿って折り返される際、上方に急峻に折り曲げられることで基板Sから剥離されることとなる。
【0073】
剥離ローラー35aで折り曲げられたフィルム100は、第2中継ローラー37を介して90度上方に折り曲げられる。そして、第2中継ローラー37で折り曲げられたフィルム100は、第3中継ローラー38を介して再び+X方向(基板Sの搬送方向)に折り曲げられることで巻取ロール32に巻き取られる。
【0074】
なお、巻取ロール32に巻き取られたフィルム100は、例えば洗浄等を行うことで送出ロール31として再利用するようにしても構わない。これによれば、フィルム100を再利用することでパターン形成装置1のメンテナンスに要するコストを抑えることができ、結果的に基板S上にパターンを低コストで形成することができる。
【0075】
ここで、基板S上に塗布された塗布液は、上述のように硬化部34を通過することで本硬化した塗布膜となっているため、フィルム100の剥離時において、転写されたパターンが変形してしまうことが防止される。
【0076】
また、フィルム100は、上述のようにポリイミド等の可撓性を有する樹脂から構成されているので、剥離ローラー35aの外周面に沿って折り返された場合であっても、曲りや割れの発生を防止することができる。これにより、基板S上には、所定のパターンから構成されたレジスト膜が形成されたものとなる。
【0077】
剥離部35によってフィルム100と分離された基板Sは後段部22bへと搬送される。基板Sは、後段部22bにより不図示の基板搬出領域まで搬送される。ここで、制御装置2は、例えば、駆動部23により後段部22bの搬送速度を選択的に加速させ、パターン形成後の基板を基板搬出領域まで短時間で搬送するようにしてもよい。このように本実施形態によれば、基板Sの搬送位置に応じて、制御装置2が基板搬送部20の基板搬送速度を適宜調整することで基板Sが装置内に搬入されてから搬出されるまでの間に要するパターン形成工程にかかる時間を全体として短縮することができる。
【0078】
なお、第2基板検出センサー52は、剥離部35を通過した基板Sについて、搬送方向後端部を検出した旨の信号を制御装置2に送信する。これにより、制御装置2は、基板Sの全体が剥離部35を通過したことを認識する。この場合において、制御装置2は、例えば、不図示のアラームを通知することで基板Sに対するパターン形成処理が終了した旨をパターン形成装置1のオペレーター(作業者)に対して通知するようにしてもよい。
【0079】
以上述べたように、本実施形態に係るパターン形成装置1によれば、基板搬送部20により搬送される基板S上の塗布液にインプリント法で凹凸パターン101を転写することができる。よって、枚葉処理で各基板にパターンを転写する従来構成に比べ、基板S上に所定のパターンを早いタクトで形成することができる。
【0080】
また、本実施形態では、長尺状のフィルム100を基板Sに押圧した後、剥離することで所定のパターンを簡便且つ確実に塗布液に転写することができる。また、転写時にフィルム100と基板Sとを加熱圧着するので、塗布液に対してパターンを良好に転写することができる。
【0081】
また、フィルム100として長尺状のものを採用するため、基板Sの長さ方向における寸法の制約を無くすことができ、種々な大きさの基板Sに対してパターンを形成することが可能な汎用性の高い装置を提供できる。
【0082】
また、フィルム100の搬送経路の途中である送出ロール31の近傍に第1除電部40aが配置されるので、フィルム100が送出ロール31から巻き解かれた際に生じた静電気を除電することができる。また、フィルム100の搬送方向における押圧部33の上流に第2除電部40bが配置されるので、押圧部33に搬送される前のフィルム100に帯電している静電気を除電することができる。また、フィルム100の搬送方向における剥離部35の下流に第3除電部40cが配置されるので、フィルム100が基板Sから剥離された際の剥離帯電による静電気を除電することができる。
【0083】
なお、上記実施形態の説明においては、基板保持部12が塗布ノズル11に対し、Z方向に移動する構成としたが、塗布ノズル11が基板保持部12に対してZ方向に移動する構成であっても構わない。すなわち、基板保持部12の保持面12aを第1搬送部21と同じ高さに設定し、塗布ノズル11が基板保持部12に対してZ方向に昇降可能な構成を採用しても構わない。
【0084】
また、上記実施形態においては、塗布部10の基板保持部12と、第1搬送部21の前段部21aとが別々の装置から構成される場合を例に挙げたが、
図6に示すように前段部21aが基板保持部12の機能を兼ねる構成を採用しても構わない。この構成によれば、塗布部10と転写部30との間で基板Sの搬送系を共通化することができるため、塗布部10及び転写部30間での基板Sの受け渡しに要する時間を短縮することができる。よって、結果的に基板S上にパターンを形成する処理に要するタクトを短くすることができる。
【0085】
また、上記実施形態においては、基板Sにレジスト液を塗布する塗布部10として、塗布ノズル11(スリットノズル)を例示したが、本発明はこれに限定されることは無い。例えば、塗布部10として、インクジェット方式やスピンコート方式のものに置き換えるようにしても構わない。
【0086】
また、上記実施形態においては、塗布液として、熱硬化性を有するレジスト液を用いる場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されることはなく、紫外線硬化型のレジスト液を用いるようにしても構わない。この場合においては、上記硬化部34は、第1硬化部34a及び第2硬化部34bとして、紫外線照射装置を用いればよい。なお、フィルム100としては、紫外線を透過する特性を有するものを用いるのが好ましく、このようにすればフィルム100を透過して紫外線を照射し、フィルム100における紫外線照射方向と反対の面側にある塗布液を良好に硬化させることができる。
【0087】
また、上記実施形態においては、基板Sが第1搬送部21において前段部21aから後段部21bに受け渡される際、基板Sの搬送を一時的に停止する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、押圧部33までのフィルム100の到達時間が一致する場合は、前段部21a及び後段部21b間において基板Sの搬送を停止することなく(待機させることなく)、押圧部33まで基板Sを連続的に搬送するようにしてもよい。これによれば、基板Sを搬送する際の待機時間を無くすことができ、パターン形成工程におけるタクトをより短縮することができる。
【0088】
この場合において、第1搬送部21の前段部21a及び後段部21bにおける各々の搬送速度を異ならせることで押圧部33にフィルム100及び基板Sが到達するタイミングを同期させるようにしてもよい。