特許第6275240号(P6275240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6275240193nmレーザ及び193nmレーザを用いた検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275240
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】193nmレーザ及び193nmレーザを用いた検査システム
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/37 20060101AFI20180129BHJP
   G02F 1/35 20060101ALI20180129BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20180129BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20180129BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20180129BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   G02F1/37
   G02F1/35 502
   H01S3/10 Z
   H01S3/00 F
   G01N21/956 A
   H01L21/66 J
【請求項の数】18
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-504330(P2016-504330)
(86)(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公表番号】特表2016-519782(P2016-519782A)
(43)【公表日】2016年7月7日
(86)【国際出願番号】US2014030989
(87)【国際公開番号】WO2014153328
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年3月16日
(31)【優先権主張番号】61/803,108
(32)【優先日】2013年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/210,355
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュワン ユン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング ジェイ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】リオウ ジャスティン ディエンホワン
(72)【発明者】
【氏名】ドリビンスキ ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】フィールデン ジョン
【審査官】 林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−540538(JP,A)
【文献】 特開平11−121879(JP,A)
【文献】 特開2001−194693(JP,A)
【文献】 米国特許第05742626(US,A)
【文献】 特開2007−206452(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0078012(US,A1)
【文献】 特開2000−223408(JP,A)
【文献】 吉村 政志 Masashi YOSHIMURA,”新しいボレート系単結晶の開発と全固体紫外レーザの応用”,応用物理,梶山 健二 社団法人応用物理学会,2000年 5月,第69巻,p.504-510
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/35−1/39
H01S 3/00
H01S 3/10
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発生させるためのレーザであって、前記レーザは、
約1105nm〜約1130nmの対応波長を有するポンプ周波数を発生させるポンプレーザと、
前記ポンプ周波数の一部から基本周波数を発生させる基本波レーザであって、前記基本周波数は約1150nm〜約1175nmの対応波長を有する、基本波レーザと、
前記基本周波数の第5高調波を発生させる第5高調波発生器モジュールと、
前記ポンプ周波数と前記第5高調波周波数とを結合させて、約189nm〜約200nmの出力波長を発生させる周波数混合モジュールと、
を含み、
前記周波数混合モジュールが、前記ポンプ周波数の未消費部分を再循環させる光空洞をさらに備える、レーザ。
【請求項2】
前記第5高調波発生器が、前記基本周波数の一部から第2高調波を発生させる第1の段階を含む、請求項1に記載のレーザ。
【請求項3】
前記第1の段階が三硼酸リチウム(LBO)結晶を含む、請求項2に記載のレーザ。
【請求項4】
前記第5高調波発生器が、
前記第2高調波から第4高調波を発生させる第2の段階と、
前記第4高調波と前記基本周波数の一部とを結合させることにより前記第5高調波を発生させる第3の段階と、
をさらに含む、請求項2に記載のレーザ。
【請求項5】
前記第2及び第3の段階のうちの少なくとも1つが、焼鈍された硼酸セシウム・リチウム(CLBO)結晶、焼鈍されたLBO結晶、水素焼鈍されたCLBO結晶、及び水素焼鈍されたLBO結晶のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載のレーザ。
【請求項6】
前記第5高調波発生器が、
前記第2高調波の一部と前記基本周波数の一部とを結合させることにより第3高調波を発生させる第2の段階と、
前記第3高調波と前記第2高調波の一部とを結合させることにより前記第5高調波を発生させる第3の段階と、
をさらに含む、請求項2に記載のレーザ。
【請求項7】
前記第2の段階が、LBO結晶または焼鈍されたLBO結晶を含む、請求項6に記載のレーザ。
【請求項8】
前記第3の段階が、硼酸セシウム・リチウム(CLBO)結晶、焼鈍されたCLBO結晶、及び水素焼鈍されたCLBO結晶のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のレーザ。
【請求項9】
前記基本波レーザが、ラマンシフタ、ラマン発振器、及びラマン増幅器のうちの1つを備えている、請求項1に記載のレーザ。
【請求項10】
前記ラマンシフタ、ラマン発振器、またはラマン増幅器が、添加溶融石英光ファイバ、ゲルマニウム添加溶融石英光ファイバ、及び無添加溶融石英光ファイバのうちの1つを含む、請求項9に記載のレーザ。
【請求項11】
前記ポンプレーザが、イッテルビウム(Yb)添加ファイバ及び赤外線ダイオードレーザのうちの1つを含む、請求項1に記載のレーザ。
【請求項12】
記ダイオードレーザが量子ドット技術を用いる、請求項11に記載のレーザ。
【請求項13】
前記周波数混合モジュールが、焼鈍された硼酸セシウム・リチウム(CLBO)結晶または水素焼鈍されたCLBO結晶を含む、請求項1に記載のレーザ。
【請求項14】
光を発生させる方法であって、前記方法は、
約1105nm〜約1130nmの対応波長を有するポンプ周波数を発生させることと、
前記ポンプ周波数の一部から基本周波数を発生させることであって、前記基本周波数は約1150nm〜約1175nmの波長に対応する、発生させることと、
前記基本周波数から第5高調波を発生させることと、
前記ポンプ周波数と前記第5高調波とを結合させて約189nm〜約200nmの出力波長を発生させることと、
を含み、
前記ポンプ周波数と前記第5高調波とを結合させることが、前記ポンプ周波数の未消費部分を再循環させることを含む、方法。
【請求項15】
前記基本周波数の前記発生が、前記ポンプ周波数をラマンシフトさせることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポンプ周波数と前記第5高調波周波数との前記結合が、焼鈍されたCLBO結晶または水素焼鈍されたCLBO結晶を用いる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記基本周波数からの前記第5高調波周波数の前記発生が、
前記基本周波数の一部から第2高調波を発生させることと、
前記第2高調波から第4高調波を発生させることと、
前記第4高調波と前記基本周波数の一部とを結合させることにより前記第5高調波を発生させることと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記基本周波数からの前記第5高調波周波数の前記発生が、
前記基本周波数の一部から第2高調波を発生させることと、
前記第2高調波の一部と前記基本周波数の一部とを結合させることにより第3高調波を発生させることと、
前記第3高調波と前記第2高調波の一部とを結合させることにより第5高調波を発生させることと、
を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先出願
本出願は、「193nm laser and an inspection system using a 193nm laser」と題し、2013年3月18日に出願され、参照により本明細書に組み込まれている、米国仮出願第61/803,108号の優先権を主張する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、「Coherent light generation below about 200 nm」と題し、2007年4月16日に出願された米国特許出願第11/735,967号、「Solid−State Laser And Inspection System Using 193nm Laser」と題し、2012年7月25日に出願された米国特許出願第13/558,318号、及び「193 nm Laser and an Inspection System Using a 193nm Laser」と題し、2013年2月13日に出願された米国仮出願第61/764,441号、及び「193nm Laser and Inspection System」と題し、2014年1月31日に出願された米国特許出願第14/170,384号に関連しており、それらの全ては参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
本出願は、193nm付近の波長等の約189nm〜約200nmの波長の光を発生させ、フォトマスク、レチクル、またはウェーハ検査用途に好適である、光ファイバ式レーザに関する。
【背景技術】
【0004】
集積回路産業は、集積回路、フォトマスク、太陽電池、電荷結合デバイス等のいっそう小さな形体を解像し、また、その寸法がおよそ形体寸法またはそれ未満の大きさである欠陥を検出するために、さらに高解像度の検査ツールを必要としている。短波長光源、例えば200nm未満の光を発生させる光源は、そのような解像度を提供することができる。しかしながら、そのような短波長光を提供することが可能な光源は実質的に、エキシマレーザならびに少数の固体レーザ及びファイバレーザに限定されている。残念ながら、これらのレーザの各々は重大な欠点を有する。
【0005】
エキシマレーザは、集積回路の製造に通常用いられる紫外線光を発生させる。エキシマレーザは通常、紫外線光を発生させるために高圧条件下で希ガスと活性ガスの組み合わせを用いる。集積回路産業において益々待望されている波長である193.4nmの波長の光を発生させる従来のエキシマレーザは、(希ガスとして)アルゴンと(活性ガスとして)フッ素とを用いる。残念ながら、フッ素は有毒且つ腐食性であるので、所有費用が高くなる。さらに、そのようなレーザは、繰り返し率が低く(通常、約100Hz〜数kHz)、ピーク出力が極めて高く、結果として検査中にサンプルを損傷させ得るために、検査用途にあまり適していない。
【0006】
200nmを下回る出力を発生させる少数の固体レーザ及びファイバ式レーザが当該技術分野で知られている。残念ながら、これらのレーザのほとんどは、電力出力が極めて低いか(例えば、60mW未満)、あるいは、ともに複雑、不安定、高価であり、かつ/または商業的魅力に欠ける、2つの異なる基本波源または第8高調波発生等の複雑な設計である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−128330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、193nmの光を発生させることが可能でありながら、なおも上記の欠点を克服するレーザが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
約189nm〜約200nm、例えば193nmの真空波長で紫外線光を発生させるためのレーザが記載される。このレーザは、ポンプレーザ、基本波レーザ、及び周波数混合段階を含む。基本波レーザは、約1150nm〜約1175nm、例えば1171nmの波長に対応する基本周波数を発生させることができる。本明細書において波長値が無制限に与えられる場合、波長値は真空波長を指すことを想定するものとする。約1109nmの波長に対応する周波数でポンプレーザをラマンシフトさせることにより、基本周波数を発生させることができる。
【0010】
第1の段階は、第2高調波周波数を発生させるために基本周波数の一部を結合させることができる。一実施形態では、第2の段階は、第4高調波周波数を発生させるために第2の高調波周波数の一部を結合させることができる。第3の段階は、第5高調波周波数を発生させるために基本周波数の一部と第4高調波周波数とを結合させることができる。第4の段階は、約193.4nmの波長に対応する和周波数を発生させるためにポンプ周波数の一部と第5高調波周波数とを結合させることができる。第1の段階は、三硼酸リチウム(LBO)結晶を含むことができるのに対し、第2、第3、及び第4の段階の各々は、硼酸セシウム・リチウム(CLBO)結晶を含み得る。一実施形態では、第2、第3、及び第4の段階のうちの1つ以上は、CLBO結晶等の焼鈍された非線形結晶を含む。
【0011】
別の実施形態では、第2の段階は、第3高調波周波数を発生させるために基本周波数と第2高調波周波数とを結合させることができる。第3の段階は、第5高調波周波数を発生させるために第2高調波周波数と第3高調波周波数とを結合させることができる。第4の段階は、約193.4nmの和周波数を発生させるためにポンプ周波数の一部と第5高調波周波数とを結合させることができる。第1及び第2の段階はLBO結晶を含むことができ、第3の段階はベータ硼酸バリウム(BBO)結晶を含むことができ、第4の段階はCLBO結晶を含むことができる。一実施形態では、第2、第3、及び第4の段階のうちの1つ以上は、焼鈍されたLBO、BBO、及び/またはCLBO結晶を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、レーザは、基本周波数を増幅するための光増幅器を含むこともできる。この光増幅器として、添加光禁制帯型光ファイバ増幅器、ゲルマニウム添加ラマン増幅器、または無添加石英ファイバラマン増幅器を挙げることができる。種レーザとして、ラマンファイバレーザ、低出力イッテルビウム(Yb)添加ファイバレーザ、光禁制帯型ファイバレーザ、または量子ドット技術を用いたダイオードレーザ等の赤外線ダイオードレーザを挙げることができる。
【0013】
レーザは、必要に応じて第1、第2または第3の段階に基本周波数を提供するためのビーム分割器及び/またはプリズムも含むことができる。基本周波数を適切な段階に誘導するために少なくとも1つの鏡またはプリズムを用いることができる。一実施形態では、消費されていない高調波を適切な段階に誘導するために一組の鏡またはプリズムを用いることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ポンプレーザ出力の全てが基本波レーザに誘導される。基本波レーザの出力では、消費されていないポンプレーザ光が基本波レーザ光から分離され、周波数混合段階に誘導される。別の実施形態では、ポンプレーザ出力のごく一部が周波数混合段階に誘導されるのに対し、ポンプレーザ出力の大部分は基本波レーザに誘導される。
【0015】
いくつかの実施形態では、第4の段階は、非線形結晶内でポンプ周波数の高い出力密度を維持して、第4の段階の効率を高めるようにポンプ周波数を再循環させるための光空洞を備え得る。
【0016】
一実施形態では、第2の段階は、非線形結晶内で基本波の高い出力密度を維持して、第2の段階の効率を高めるために、基本波を再循環させる光空洞を備えている。別の実施形態では、第3の段階は、非線形結晶内で基本波の高い出力密度を維持して、第3の段階の効率を高めるように基本波を再循環させる光空洞を備えている。
【0017】
約189nm〜約200nmの波長の光、例えば約193nmの波長の光を発生させる方法も記載される。本方法は、約1109nmの波長に対応するポンプ周波数から、約1171nmの波長に対応する基本周波数を発生させることを含む。第2高調波を発生させるために基本周波数の一部を結合させることができる。第4高調波を発生させるために第2高調波の一部を結合させることができる。第5高調波周波数を発生させるために基本周波数と第4高調波周波数とを結合させることができる。約193.4nmの波長に対応する和周波数を発生させるために基本周波数と第5高調波周波数とを結合させることができる。本方法のいくつかの実施形態では、ポンプ周波数は、より効率的に第5高調波を出力波長に変換するために、そのポンプ周波数を第5高調波と混合させる空洞内で再循環される。本方法のいくつかの実施形態では、基本波は、より効率的に第4高調波を第5高調波に変換するために、その基本波を第4高調波と結合させる空洞内で再循環される。
【0018】
光を発生させる別の方法も記載される。この方法は、約1109nmの波長に対応するポンプ周波数から約1171nmの基本周波数を発生させることを含む。第2高調波周波数を発生させるために基本周波数の一部を結合させることができる。第3高調波周波数を発生させるために第2高調波周波数の一部を基本周波数と結合させることができる。第5高調波周波数を発生させるために第2高調波周波数と第3高調波周波数とを結合させることができる。約189nm〜約200nm、例えば193.4nmの波長に対応する和周波数を発生させるためにポンプ周波数と第5高調波周波数とを組み合わせることができる。本方法のいくつかの実施形態では、ポンプ周波数は、より効率的に第5高調波を出力波長に変換するためにそのポンプ周波数を第5高調波と混合させる空洞内で再循環される。本方法のいくつかの実施形態では、基本波は、より効率的に第2高調波を第3高調波に変換するために、その基本波を第2高調波と混合させる空洞内で再循環される。
【0019】
サンプルを検査するためのさまざまなシステムが記載される。これらのシステムは、約189nm〜約200nm、例えば約193nmの波長で放射出力ビームを発生させるためのレーザを含むことができる。このレーザは、約1109nmの波長に対応するポンプ周波数を発生させるためのポンプレーザと、約1171nmの波長に対応する基本周波数を発生させるための基本波レーザと、出力ビームを発生させるための周波数混合モジュールとを含むことができる。約193nmの放射を発生させるためにポンプ周波数、基本周波数及び複数の周波数を用いることができる。いくつかの実施形態では、レーザは、別の段階で一高調波発生器または周波数混合モジュールから少なくとも1つの消費されていない周波数を用いるように最適化される。一実施形態では、ポンプ周波数が、最終の周波数混合モジュール内で再循環される。本システムは、出力ビームをサンプル上に集束させるための手段と、サンプルから散乱または反射された光を収集するための手段とをさらに含むことができる。
【0020】
フォトマスク、レチクル、または半導体ウェーハの表面の欠陥を検査するための光学式検査システムが記載される。この検査システムは、約189nm〜約200nm、例えば約193nmの波長で光を発生させるための、本明細書に記載されるレーザのうちの1つを組み込んでいる。レーザは、約1109nmの波長に対応するポンプ周波数を発生させるためのポンプレーザと、約1171nmの波長に対応する基本周波数を発生させるための基本波レーザと、複数の周波数を発生させるための周波数混合モジュールとを含むことできる。約193nmの放射を発生させるために、ポンプ周波数、基本周波数及び複数の周波数を用いることができる。いくつかの実施形態では、レーザは、別の段階の1つの高調波発生器または周波数混合モジュールからの少なくとも1つの消費されていない周波数を用いるように最適化される。一実施形態では、ポンプ周波数は、最終の周波数混合モジュール内で再循環される。この検査システムは、2つの経路の信号または画像を同時に照射し、検出する。両方の経路は同じセンサ上で同時に検出される。2つの経路は、検出された物体が透明(例えば、レチクルまたはフォトマスク)である場合、反射及び透過強度を含んでもよく、入射角、偏光状態、波長領域、またはそれらのある組み合わせ等の2つの異なる照射モードを含んでもよい。
【0021】
フォトマスク、レチクル、または半導体ウェーハの表面の欠陥を検査するための光学式検査システムが記載される。このシステムは、光軸に沿って入射光ビームを発するための光源を含むことができ、その光源は、約1109nmの波長に対応するポンプ周波数と約1171nmの波長に対応する基本周波数とから、約189nm〜約200nm、例えば193nmの波長を発生させる。光軸に沿って配置される光学システムは、フォトマスク、レチクル、または半導体ウェーハの表面上に入射光ビームを誘導するように構成された複数の光学部品を含む。本システムは、透過光の光強度を感知するための透過光検出構成を含む。本システムは、反射光の光強度を感知するための反射光検出構成をさらに含む。
【0022】
表面検査装置も記載される。この装置は、レーザを含むことができる。約189nm〜約200nm、例えば約193nmの波長で放射ビームを発生させるためのレーザを含むことができる。このレーザは、約1109nmの波長に対応するポンプ周波数、約1171nmの波長に対応する基本周波数から放射ビームを発生させること、及び複数の周波数を発生させるための複数の高調波発生器及び周波数混合モジュールを含むことができる。ポンプ周波数、基本周波数及び複数の周波数は、約193nmの放射を発生させるのに用いられる。いくつかの実施形態では、レーザは、別の段階の1つの高調波発生器または周波数混合モジュールからの少なくとも1つの消費されていない周波数を用いるように最適化される。一実施形態では、ポンプ周波数が、最終の周波数混合モジュール内で再循環される。表面に対して垂直ではない入射角で放射ビームを集束させ、実質的に集束ビームの入射面内のその表面上に照射線を形成するように、本装置の照射システムを構成することができる。入射面は、集束ビームと集束ビームを通り且つ表面に垂直である方向とにより定義される。照射線を結像するように、本装置の収集システムを構成することができる。一実施形態では、収集システムは、照射線を含む表面の領域から散乱された光を収集するための結像レンズを含むことができる。収集光を集束させるための集束レンズを提供することができる。光感知要素アレイを含むデバイスも提供することができる。このアレイでは、照射線の拡大像の対応部分を検出するように光感知要素アレイの各々の光感知要素を構成することができる。
【0023】
サンプルの異常を検出するための光学システムも記載される。この光学検査システムは、約189nm〜約200nm、例えば約193nmの波長で光を発生させるための、本明細書に記載されるレーザのうちの1つを含む。レーザは、約1109nmの波長に対応するポンプ周波数を発生させるためのポンプレーザと、約1171nmの波長に対応する基本周波数を発生させるための基本波レーザと、複数の周波数を発生させるための複数の高調波発生器及び周波数混合モジュールとを含むことできる。約193nmの放射を発生させるためにポンプ周波数、基本周波数及び複数の周波数を用いることができる。本システムは、第1のビームを第1のチャネルに沿ってサンプルの表面上の第1のスポットの上に誘導するための第1の光学系を含むことができる。システムは、第2のビームを第2のチャネルに沿ってサンプルの表面上の第2のスポット上に誘導するための第2の光学系をさらに含むことができる。第1及び第2のチャネルは、サンプルの表面に対して異なる入射角である。収集光学系は、サンプル表面上のスポットから散乱された放射を受信し且つその散乱された放射を第1の検出器に集束させる、湾曲された鏡面を含むことができる。第1の検出器は、湾曲された鏡面によりその検出器上に集束された放射に応答して、出力値を提供する。収集光学系は、サンプル表面上のスポットから散乱された放射を受信し且つその散乱された放射を第2の検出器に集束させる、レンズをさらに含むことができる。第2の検出器は、前記レンズによりその検出器上に集束された放射に応答して、出力値を提供する。第1及び第2のスポットがサンプルの表面にわたり走査されるように、第1及び第2のビームとサンプルとの間に相対運動を生じさせる器具を提供することができる。
【0024】
サンプルの異常を検出するための別の光学システムが記載される。この光学システムは、約189nm〜約200nm、例えば約193nmの波長で光を発生させるための、本明細書に記載されるレーザのうちの1つを含む。レーザは、約1109nmの波長に対応するポンプ周波数を発生させるためのポンプレーザと、約1171nmの波長に対応する基本周波数を発生させるための基本波レーザと、複数の周波数を発生させるための、複数の高調波発生器及び周波数混合モジュールとを含むことできる。約193nmの放射を発生させるためにポンプ周波数、基本周波数及び複数の周波数を用いることができる。光学システム内の光学系は、複数の光チャネルを受信し、複数の光エネルギーチャネルを空間的に分離された結合光ビームに結合させ、空間的に分離された結合光ビームをサンプルに向けて誘導するように構成される。光学システム内のデータ取得サブシステムは、サンプルから反射された光を検出するように構成された少なくとも1つの検出器を含む。反射光を複数の光チャネルに対応する複数の受信チャネルに分離するように、データ取得サブシステムを構成することができる。
【0025】
暗視野照射を有する反射屈折式撮像システムも記載される。このシステムは、UV光を発生させるための紫外線(UV)光源を含むことができる。UV光源は、約189nm〜約200nm、例えば約193nmの波長で光を発生させるための、本明細書に記載されるレーザのうちの1つを含む。レーザは、約1109nmの波長に対応するポンプ周波数を発生させるためのポンプレーザと、約1171nmの波長に対応する基本周波数を発生させるための基本波レーザと、第5高調波発生器と、約193nmの波長の光を発生させるための周波数混合モジュールとを含むことできる。検査されている表面上の照射ビーム径及び形状を制御するために適合光学系も与えられる。対物レンズは、互いに対して動作可能な関係にある反射屈折式対物レンズと集束レンズ群と拡大用管状レンズとを含むことができる。UV光を光軸に沿ってサンプルの表面に対して垂直な入射で誘導し、サンプルの表面形体からの鏡面反射並びに対物レンズの光学面からの反射を光路に沿って結像面に誘導するためのプリズムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】約1171nmの基本周波数(ω)と約1109nmのポンプ周波数(ω0)とを用いて193nmの波長の光を発生させるための模範的なレーザのブロック図を示す。
図2A】模範的な第5高調波発生器モジュールを示す。
図2B】代わりの模範的な第5高調波発生器モジュールを示す。
図3】約1109nmのポンプ波長を発生させるための模範的なポンプ及び基本波レーザを示す。
図4】模範的な周波数混合モジュールのブロック図を示す。
図5】2つの画像または信号データチャネルを同時に収集し且つ193nmのレーザを組み込んでいる模範的な検査システムを示す。
図6】193nmレーザを組み込んでいる模範的なフォトマスクまたはレチクル検査システムを示す。
図7A】複数の収集光学系と193nmレーザとを有する模範的な検査システムを示す。
図7B】複数の収集光学系と193nmレーザとを有する模範的な検査システムを示す。
図8】193nmレーザを含む模範的な表面検査システムを示す。
図9】193nmレーザを含む別の模範的な表面検査システムを示す。
図10】複数の対物レンズと193nmレーザとを含む模範的な検査システムを示す。
図11】暗視野モードと明視野モードとを有し、193nmレーザを含む模範的な検査システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
193nm光を発生させるための改良された光ファイバ式レーザが記載される。このレーザは、193nmの光を発生させるために基本波長(1171nm付近のω)の第5高調波(5ω)をポンプ波長(1109nm付近のω0)と結合させる。非線形媒体を適切に選択することにより、以下に記載されるように、ほぼ非臨界の位相整合を用いてそのような混合を達成することができる。この混合により変換効率が高くなり、安定性が良好になり、信頼性が高くなる。
【0028】
図1は、193nmの光を発生させるための光ファイバ式レーザ100の模範的な実施形態の簡略化されたブロック図を示す。この実施形態では、レーザ100は、1109.1nmの波長等の約1109nmの波長に対応する周波数でポンプレーザ光102を発生させる、1109nm付近の波長で動作するポンプレーザ101を含む。便宜上、ポンプ波長は、本明細書ではω0で指定されることになる。ポンプレーザ101は、Yb添加光ファイバレーザまたは別のレーザを備え得る。ポンプレーザ101は、好ましくは安定化され、(約300pm以下である、95%のエネルギーを含む帯域幅すなわちE95帯域幅等)狭い帯域幅を有していなければならない。波長と帯域幅とを制御するために、ファイバブラッグ格子、回折格子またはエタロン、または分散帰還等の波長選択デバイスをポンプレーザ101とともに用いることができる。基本波レーザ光104を本明細書においてωで指定される基本周波数で発生させる基本波レーザ103にエネルギーを注入するために、ω0の周波数でのポンプレーザ光102が用いられる。好ましくは、基本周波数ωは、1171.0nmの波長等の約1171nmの波長に対応する。ラマンファイバレーザにより基本波レーザ103を実現することができる。基本波レーザ103は、好ましくは安定化され、狭い帯域を有さなければならない。ポンプレーザ101及び基本波レーザ103の一模範的実施形態は、図3により詳しく示され、以下に記載される。
【0029】
基本波レーザ103により出力される基本波レーザ光104は、第5高調波発生器モジュール105に誘導される。第5高調波発生器モジュール105は、基本波の第5高調波(5ω)106を発生させるために複数の周波数変換段階を含む。好ましい実施形態では、第5高調波106は、約234.2nmの波長に対応する。第5高調波発生器モジュール105の模範的な実施形態は図2A及び図2Bに示され、以下に記載される。
【0030】
周波数混合モジュール107は、レーザ出力108を約193.4nmの波長で発生させるために(第5高調波発生器105から)第5高調波106とポンプ光(ω0)との両方を受信する。ポンプレーザ光(ω0)は、ポンプレーザ101の出力からポンプレーザ光102’の一部を分離することにより、または基本波レーザ103からポンプレーザ光102’’を誘導することにより周波数混合モジュール107に誘導され得る。周波数混合モジュール107は、非線形結晶、好ましくは水素焼鈍されたCLBO(硼酸セシウム・リチウム)または焼鈍されたCLBOを含む。CLBOは、約187℃未満の結晶温度において、1109.1nm及び234.2nm付近の波長に対してほぼ非臨界的に位相整合される。好ましい実施形態では、CLBOの温度は、約7mradの光路ずれ角をもたらす約120℃であり、それにより長い結晶(いくつかの実施形態では、約15mm〜20mm)を使用することができる。周波数混合モジュール107の模範的な実施形態のより詳しいことは、図4に示され、以下に記載される。水素焼鈍されたCLBOを含む水素焼鈍された非線形結晶についてのより詳しいことは、2012年6月1日に出願され、本明細書に参照により組み込まれている「非線形光学結晶の水素不活性化」と題される米国特許第13/488,635号に見出すことができる。
【0031】
図2Aは、第5高調波発生器モジュール105(図1)の機能を実行するのに適した模範的な第5高調波発生器モジュール200の簡略化されたブロック図を示す。第5高調波発生器モジュール200では、基本波(ω)201は、第2高調波(2ω)203を発生させる第2高調波発生器202に直接提供される。高調波発生器が、第5高周波発生器モジュール200内で用いられるその入力光を完全には消費しないことに留意する。具体的には、第2高調波発生器202により消費されない基本波(ω)(すなわち、消費されていない基本波(ω)207)を第5高調波発生器206に提供することができる。
【0032】
一実施形態(図示されず)では、消費されていない基本波(ω)は、第4高調波発生器204により発生される第4高調波205とともに第5高調波発生器206に到達するように、第2高調波発生器202と第4高調波発生器204とを直接通過して伝搬することを許されている。この取り組みは、本明細書に記載されるポンプ及び基本波レーザに対して好ましいパルス幅である約10ps以上のパルス幅に対して実用的であり得る。時間で10psのパルス幅は、パルスの空間的長さが約3mmであり、第2高調波発生器202と第4高調波発生器204とを通過するパルス伝搬の小さな差分遅延が一般的に重要ではないことを意味する。
【0033】
別の実施形態では、消費されていない基本波(ω)207は、第2高調波発生器202の出力で第2高調波(2ω)203から分離され、部品、例えば鏡及びプリズムにより第5高調波発生器206に誘導され得る。この取り組みにより、基本波(ω)及び第4高調波(4ω)205のパルスが第5高調波発生器206に到着する時期を最適化することができ、光学系被膜、ビーム整列、及びビームくびれを個別に最適化することができる。
【0034】
第2高調波発生器202は、非線形結晶、好ましくはLBO(三硼酸リチウム)を用いる。LBOは、1171nm付近の波長に対して、約45℃の温度でXZ結晶面に対して非臨界的に位相整合され、それにより45℃付近の温度、またはそれよりも少し高い温度に対して光路ずれは重大ではなくなる。適切な分量の基本波(ω)201を第2高調波(2ω)203に変換し、且つ第5高調波発生器206用の適切な分量の消費されない基本波(ω)207を残すように結晶長を選択することができる。
【0035】
第2高調波(2ω)203は、第4高調波(4ω)205を発生させる第4高調波発生器204に誘導される。望まれる場合、いずれかの消費されていない第2高調波(2ω)211は、例えば偏光ビーム分割器により、第4高調波(4ω)204から分離され得る。消費されていない第2高調波211はそのうえ、第2高調波出力密度を結晶内で増加させて、より効率的に第2高調波(2ω)203を第4高調波(4ω)205に変換するように、消費されていないパルスが次の入力パルスに一致するような空洞内で再循環され得る。入力周波数を再循環させる例は、図4に周波数変換モジュール400に対して示される。第2高調波(2ω)203を第4高調波発生器204内で再循環させるために、図4に示される方式に類似の方式が用いられ得るであろう。
【0036】
第4高調波発生器204は、非線形結晶、好ましくはCLBOまたはLBOを用いる。CLBOは、585.5nm付近の波長に対して、120℃付近の温度に対して約52.8°の角度で、約37mradの光路ずれ角と0.7pmV−1のdeffとで臨界的に位相整合される。LBOは、585.5nm付近の波長に対して、50℃未満〜200℃超過の温度で、XY結晶面に対して67.7°と68.4°との間の角度で、約12mrad〜14mradの範囲内の低い光路ずれ角であるが、CLBOのdeffよりも著しく低い約0.3pmV−1のdeffで臨界的に位相整合される。
【0037】
第4高調波(4ω)205は、第2高調波発生器202からの消費されていない基本波(ω)207と第4高調波(4ω)205を非線形結晶内で混合することにより第5高調波(5ω)を発生させる第5高調波発生器206に誘導される。望まれる場合、消費されていない第4高調波(4ω)と消費されていない基本波(ω)(共に213と標識される)は、例えばプリズムまたは偏光ビーム分割器により第5高調波から分離され得る。いずれかの消費されていない基本波(ω)207はそのうえ、結晶内で基本波出力密度を増加させて、より効率的に第4高調波(4ω)205を第5高調波(5ω)209に変換するように、消費されていないパルスが次の入力パルスに一致するような空洞内で再循環され得る。上記のように、入力周波数を再循環させる例は、図4に周波数混合モジュール400に対して示される。消費されていない基本波(ω)207を第5高調波発生器206内で再循環させるために、図4に示される方式に類似の方式が用いられ得るであろう。
【0038】
好ましい実施形態では、第5高調波発生器204は、周波数混合のために非線形結晶としてCLBOまたはLBOを用いる。CLBOは、292.75nm及び1171nmの波長に対して、約120℃の温度で約56.1°の角度で、約38mradの光路ずれ角と約0.8pmV−1のdeffとで臨界的に位相整合される。LBOは、292.75nm及び1171nm付近の波長に対して、50℃未満〜200℃超過の温度でXY結晶面に対して約72.0°〜73.7°の角度で、約11mrad〜13mradの低い光路ずれ角であるが、CLBOのdeffよりも著しく低い約0.3pmV−1のdeffで臨界的に位相整合される。一実施形態では、第5高調波発生器206は、水素焼鈍されたCLBOまたはLBO結晶を用いる。
【0039】
図2Bは、第5高調波発生器モジュール105(図1)の機能を実行するのに適した模範的な代わりの第5高調波発生器モジュール220の簡易化されたブロック図を示す。第5高調波発生器220は、第5高調波発生器モジュール200の第5高調波発生器206に対する臨界位相整合と比較して第5高調波発生器220がその第5高調波発生器226に対してほぼ非臨界的な位相整合を用いることができる点で、第5高調波発生器200を上回る利点を有する。必要とされる出力レベル、レーザ繰り返し率、レーザパルス波長、費用及び他の因子に依存して、モジュール200またはモジュール220のどちらかが最適であり得る。
【0040】
第5高調波発生器モジュール220では、第2高調波発生器202(図2A)に対して上に記載された方法に類似の方法で、基本波(ω)221が、第2高調波(2ω)223Aを発生させる第2高調波発生器222に直接提供される。好ましくは、第2高調波発生器202に対して上に記載された方法にほぼ類似の方法で、非線形結晶に対してLBO結晶が用いられる。
【0041】
上記のように、第2高調波発生器222により入力光の全てが消費されるわけではない。第5高調波発生器モジュール220では、第2高調波発生器222は、第2高調波(2ω)223Aと消費されていない基本波(ω)223Bとを出力し、それらの両方を第3高調波(3ω)発生器224に誘導する。第2高調波(2ω)223A及び消費されていない基本波(ω)223Bを第3高調波発生器224の非線形結晶内の実質的に一致する焦点に再び集束させるために、レンズ、プリズム、鏡及び他の光学要素を用いることができる。必要に応じて、第2高調波(2ω)223Aと消費されていない基本波(ω)223Bとの間に比較的小さな遅延を導入し、第2高調波発生器222により生じるパルス間の相対的な遅延を相殺して、パルスが第3高調波発生器224の非線形結晶にほぼ同時に到達するように、適切な光学材料が用いられ得る。
【0042】
第3高調波発生器224は、非線形結晶内で第2高調波(2ω)223Aと基本波(ω)223Bとを混合することにより第3高調波(3ω)を発生させる。望まれる場合、いずれかの消費されていない基本波(ω)227は、例えばプリズムにより、第3高調波(3ω)225A及び消費されていない第2高調波(2ω)225Bから分離され得る。消費されていない基本波(ω)227はそのうえ、結晶内で基本波出力密度を増加させて、より効率的に第2高調波(ω)223Aを第3高調波(ω)225Aに変換するように、消費されていないパルスが次の入力パルスに一致するような空洞内で再循環され得る。入力周波数を再循環させる例は、図4に周波数混合モジュール400に対して示される。消費されていない基本波(ω)227を第3高調波発生器224内で再循環させるために、図4に示される方式と類似の方式が用いられ得るであろう。
【0043】
好ましい実施形態では、第3高調波発生器224は、周波数混合用の非線形結晶としてLBOを用いる。LBOは、1171nm及び585.5nm付近の波長のII型の混合のために、50℃未満〜200℃超過の温度で、YZ結晶面に対して約22.7°〜34.9°の角度で、約7mrad〜10mradの範囲内の低い光路ずれ角で臨界的に位相整合される。LBOは、I型の混合のためにXY面に対して臨界的に位相整合することもできるが、光路ずれ角は少しばかり大きく(約15mrad)、一方の入力波長の偏光は、I型混合のために、それを他方のものに整列させなければならない。
【0044】
第3高調波(3ω)225A及び消費されていない第2高調波(2ω)225Bは両方とも、非線形結晶内でそれらの周波数を共に混合することにより第5高調波(5ω)229を発生させる第5高調波発生器226に誘導される。望まれる場合、いずれかの消費されていない第3高調波及び消費されていない第2高調波(共に233と標識される)は、例えばプリズムまたは偏光ビーム分割器により第5高調波から分離され得る。消費されていない第2高調波(2ω)225Bのいずれかの部分はそのうえ、結晶内で第2高調波出力密度を増加させて、より効率的に第3高調波(3ω)225Aを第5高調波229に変換するように、消費されていないパルスが次の入力パルスと一致するような空洞内で再循環され得る。入力周波数を再循環させる例は、図4に周波数変換モジュール400に対して示される。第5高調波発生器226内で第2高調波(2ω)225Bを再循環させるために、図4に示されるものに類似の方式が用いられ得るであろう。
【0045】
第5高調波発生器226の好ましい実施形態では、非線形結晶は、585.5nm及び390.3nmの波長に対して約161℃の温度で非臨界的に位相整合されるCLBOである。そのような実施形態では、CLBO結晶は、約85.1°〜87.4°の温度で、約4mrad〜7mradの範囲内の低い光路ずれ角でほぼ非臨界的に位相整合されるように用いることができる。一実施形態では、第5高調波発生器226は、水素焼鈍されたCLBO結晶を用いる。
【0046】
図3は、ポンプレーザ及び基本波レーザ300の模範的な実施形態を示す。ポンプ種レーザ302は、好ましい実施形態では約1109.1nmの波長に対応する所望のポンプ周波数(ω0)でポンプ種303を発生させる。ポンプ種レーザ302は、好ましくは、約300pm未満、いくつかの実施形態では100pm未満のE95帯域を有する安定した狭帯域レーザである。いくつかの実施形態では、ポンプ種レーザ302は、安定化ダイオードレーザ、または安定化低出力ファイバレーザである。いくつかの実施形態では、ポンプ種レーザ302は、CWレーザである。他の実施形態では、ポンプ種レーザ302は、パルスレーザであり、主発振器308及びポンプレーザダイオード301に同期して誘発される。
【0047】
ポンプ種(ω0)303は、ポンプレーザダイオード301からのより短い波長の光と結合される。好ましくは、ポンプレーザダイオード301は、975nm付近の波長等の約900nm〜約1μmの波長を出力する。ポンプレーザダイオード301は、約1nmまたは数nmの波長領域にわたる比較的広帯域の光を発生させ得る。ポンプレーザダイオード301からの出力は、ポンプ種(ω0)303と結合され、第1のポンプ増幅器304内に供給される。第1のポンプ増幅器304は、好ましくはYb添加光ファイバを備えている。第1のポンプ増幅器304は、ポンプ種(ω0)303を数mW〜数百mWまたは数W、または約100mW〜数W等のより高い出力レベルに増幅する。いくつかの実施形態では、第1のポンプ増幅器304の出力は、ポンプ周波数(ω0)をより高い出力レベルに増幅するために第2のポンプ増幅器306に送られ得る。いくつかの実施形態(図示されず)では、ポンプ周波数ω0で出力をさらに増加させるために、第2の増幅器306に類似する追加の増幅器が鎖状に連結され得る。いくつかの実施形態では、レーザのほぼ193nmの出力波長で必要とされる出力に依存して、ポンプ周波数ω0での出力は、数W、または数十W、または一実施形態では約100Wに増加され得る。図3に示されるように、1つ以上のASE(増幅誘発発光)フィルタ305は、ASEを抑制し、その出力帯域がポンプ種レーザ302の出力帯域に実質的に同じことを確保するために、増幅鎖内に(及び/または個別の増幅器内に)分配され得る。ポンプ周波数での増幅光の(50%未満等)一部は分離され、周波数混合モジュール107(図1)に誘導される。ポンプ周波数での増幅光のその一部は、増幅鎖の末端でポンプ317として捕獲され得る、またはラマン増幅器後にポンプ317’として分離され得る。いくつかの実施形態では(図示されず)、ポンプ周波数での増幅光の一部は、増幅鎖に沿ってある程度捕獲され得る。
【0048】
この実施形態では、ポンプ周波数での増幅光は、ラマン増幅器310に誘導される。ラマン増幅器310は、主発振器308により発生される基本波種(ω)309のラマン増幅により基本周波数(ω)319を発生させる。主発振器308は、所望の基本周波数ωで、好ましくは約300pm未満、またはいくつかの実施形態では約100pm未満のE95帯域である基本波帯域で基本波種(ω)309を発生させる。好ましい実施形態では、周波数ωは、1171nm付近の波長に対応する。主発振器308は、基本波種レーザの総安定性を主に確定するので、安定していなければならない。基本波種(ω)309は、図3に示されるようにラマン増幅器310の直前でポンプ周波数での増幅光と結合されてもよく、基本波種(ω)309”として示されるように増幅鎖内のような前段階で、または基本波種(ω)309’により示されるような第1のポンプ増幅器の前で注入されてもよい。一実施形態では(図示されず)、基本波種は、ポンプ種303がポンプレーザダイオード301からの光と結合される前に、ポンプ種303と結合され得る。この構成は、レーザダイオードの高出力が結合される前に、低出力の光のみを結合させるという利点を有する。ラマン増幅器用の種をポンプ光と結合させるための異なる方式のさらなる詳細は、「Solid State Illumination Source And Inspection System」と題し、2013年11月15日に出願され、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第14/022,190号に記載される。
【0049】
好ましい実施形態では、ラマン増幅器310は、溶融石英ファイバ、またはゲルマニウム添加溶融石英ファイバを備えている。溶融石英及びゲルマニウム添加溶融石英のラマン利得は高いので、約2m以下のファイバは、(主発振器308の出力及び基本波319の所望の出力に依存して)十分な利得を与え得る。ゲルマニウム添加溶融石英の利得は純粋な溶融石英と比べて高いので、ゲルマニウムで添加されている場合、より短い長さのファイバを用いることができる。ゲルマニウムは吸湿性であるので、ゲルマニウム添加レベルは、好ましくは、約10%〜20%の添加レベル等の30%未満である。
【0050】
ポンプ光、ポンプレーザダイオードからの光、または基本波(ω)319のASEからの光のレベルを最小限にするために、ファイバブラッグ格子(図示されず)等のフィルタはラマン増幅器310の後に配置され得る。
【0051】
ラマンファイバ増幅器は、比較的広い帯域(約200cm−1)にわたり高利得を有するので、いくつかの実施形態では、1171nmからわずかにシフトした基本波波長、例えば約1150nm〜約1175nmの波長は、1109nm付近のポンプ波長から発生され得る。同様に、1171nm付近の基本波は、約1105nm〜約1130nmのポンプ波長等の、1109nmからわずかにシフトしたポンプ波長から発生され得る。ゆえに、約189nm〜約200nmのさまざまな深UV波長は、このレーザにより、周波数変換に用いられる非線形結晶の特性を考慮しつつ基本波ω及びポンプ波ω0を適切に選択することにより発生され得る。
【0052】
図4は、第5高調波(5ω)401Aをポンプ波(ω0)401Bと混合することにより、レーザ出力409(または代わりにレーザ出力409’)を193nm付近の波長で発生させる模範的な周波数変換モジュール400を示す。周波数混合モジュール400は、周波数混合モジュール107(図1)の機能を実行することができる。
【0053】
周波数混合モジュール400では、第5高調波(5ω)401Aとポンプ(ω0)401Bとを含む入力光は、ビーム結合光学系410により結合され、次に非線形結晶406に向けて誘導され、その結晶に集束される。光学系410は、光の2つの入力周波数(401A及び401B)を実質的に共線状にし、結晶に整合するようにそれらの偏光面を調節し(例えば、I型の周波数混合では偏光は実質的に整列されるべきである)、2つの周波数を非線形結晶406内で実質的に重なり合うビームくびれに集束させるために、プリズム、ビーム分割器、1/4波長板、及び/またはレンズのうちのいずれかの組み合わせを含み得る。好ましい実施形態では、非線形結晶406は、適切なブリュスター角で切断されたその入力面及び出力面を有し、第5高調波(5ω)401A及びレーザ出力409のそれぞれの面での反射損失を最小限にする。出力面がブリュスター角で切断されている実施形態では、レーザ出力409は、その表面での屈折により他の波長から十分に分離され得る。結晶406の出力面がブリュスター角ではない、または周波数の角方向の分離が十分に大きくない代わりの実施形態では、レーザ出力409’を分離するために(偏光ビーム分割器等)ビーム分割器407’が用いられてもよい。
【0054】
周波数混合モジュール400の一実施形態では、ポンプ周波数の出力密度を非線形結晶406内で増加させるために消費されていないポンプ周波数光411を再循環させる光学空洞内に非線形結晶406が含まれるが、周波数混合モジュール400に対しては総ポンプレーザ出力のごく一部のみを用いる。消費されていないポンプ波(ω0)411は、非線形結晶406を離れた後、部分的透過鏡402に到達して、実質的に次の到達ポンプ401Bパルスと一致するように、鏡403、404、及び405で反射される。鏡402は、入力されるレーザパルし401A及び401Bを透過させ、他方では再循環される消費されていないポンプ波411を反射させるように被膜される。鏡402の表面から同じ表面に戻るまでの光路全長は、再循環パルスが入力パルスと一致するように、入力パルスの間隔、またはその間隔の(二分の一または三分の一等)単位分数に等しくなければならない。例えば、レーザ繰り返し率は100MHzである場合、その空洞の光路長は2.998mまたは1.500mに近い必要がある。図4は蝶ネクタイ型環状空洞を示すが、当該技術分野で周知の環状または線状のいずれかの光学空洞を用いることができる。
【0055】
別の実施形態では、消費されていないポンプ波(ω0)411は再循環されない。そのような実施形態では、鏡402、403、404、及び405は省略され、消費されていないポンプ波(ω0)411は、非線形結晶406の後にビーム廃棄場(図示されず)に誘導される。
【0056】
いずれかの消費されていない第5高調波(5ω)413は非線形結晶406後に廃棄され得る。消費されていないポンプ波411を再循環させることにより結晶内で高出力レベルのポンプ周波数を得ることができるので、消費されていないポンプ波411を再循環させるそれらの実施形態は通常、非線形結晶406に適した長さを選択することにより、非線形結晶406内の周波数変換プロセスにおいて第5高調波の全てを主に消費することができる。
【0057】
一実施形態では、深UV放射はこれらの材料に損傷を徐々に提供するので、非線形結晶406、または非線形結晶406及びビーム分割器407は走査される。その走査は、連続的な低速走査であってもよく、出力ビーム形状または強度の劣化が検出された後に離散段階で起こってもよい。2012年6月29日に出願され、参照により本明細書に組み込まれている「周波数変換レーザ内の結晶の連続動作に対する走査率」と題する米国仮出願第61/666,675号において、非線形結晶を走査することについてのさらなる情報を見出すことができる。
【0058】
当業者に周知であるように、レーザ及びそのさまざまなモジュール内の必要とされる場所に光を誘導するのに鏡及びプリズムが用いられ得る。必要に応じて非線形結晶内部のまたはその近傍の点にビームくびれを集束させるのにレンズ及び湾曲鏡が用いられ得る。必要とされるときに各々の高調波発生器モジュールの出力で異なる波長を分離するのにプリズム、ビーム分割器、格子、または他の回折性光学要素が用いられ得る。必要に応じて高調波発生器に対する入力で異なる波長を結合させるのに、適切に被膜された鏡、ビーム分割器/結合器またはプリズムが用いられ得る。
【表1】
【0059】
上の表1は、いくつかの適切な非線形結晶と各々の周波数変換工程に対する動作条件とを要約する。第5(A)高調波発生器は、図2Aの第5高調波発生器206を指すのに対し、第5高調波(B)発生器は、図2Bの第5高調波発生器226を指す。LBOとCLBOの両方は、第4高調波発生器に、及び第5高調波(A)発生器に潜在的に適している。いくつかの段階において本発明の範囲から逸脱することなく(LBO、CLBO及びベータ硼酸バリウム、BBOを含む)他の結晶または代わりの方位のLBOに交換されてもよいことに留意する。当業者に理解され得るように、表1の結晶を、角度に対して対応する変更が行われる限り、列挙された温度とは数度異なる温度で動作させることができる。結晶の選択及び動作温度は、光路ずれ角、変換効率、(特に、深UV放射を使用または発生させるそれらの段階に対する)損傷、(LBO及びCLBO等の吸湿材料に対する)湿気吸収からの保護、適切な質及び寸法の結晶の費用及び入手可能性を含む多くの因子を考慮に入れなければならない。
【0060】
高調波発生器または周波数混合モジュールのうちのいずれかは、2012年3月5日に出願され、参照により本明細書に組み込まれている「高品質レーザ、安定な出力ビーム、及び長寿命光変換効率非線形結晶」と題する米国特許出願第13/412,564号に開示される方法及びシステムのうちのいくつかまたは全てを用い得る。
【0061】
図5〜11は、1109nm付近のポンプ波長と1171nm付近の基本波長とを用いて、193nm付近の波長を発生させる上記のレーザを含み得るシステムを示す。フォトマスク、レチクル、ウェーハ、及び他の検査用途にこれらのシステムを用いることができる。
【0062】
ある実施形態にしたがって、193nm付近の波長で動作するレーザを組み込む検査システムが記載される。その検査システムは、単一の検出器上の2つのデータチャネルを同時に検出し得る。そのような検出システムは、レチクル、フォトマスク、またはウェーハ等の基板を検査するのに用いられる場合があり、2009年5月15日にBrownらに交付され、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第7,528,943号に記載されるように動作し得る。
【0063】
図5は、模範的なレチクル、フォトマスク、またはセンサ570上に2つの画像または信号チャネルを同時に検出するウェーハ検査システム500を示す。照射源509は、本明細書に記載されるような193nmのレーザを組み込む。光源は、パルス倍増器及び/または干渉削減方式をさらに備え得る。2つのチャネルは、検査対象530が透明(例えば、レチクルまたはフォトマスク)である場合、反射及び透過強度を含んでもよく、または入射角、偏光状態、波長範囲またはそれらのある組み合わせ等の、2つの異なる照射モードを含んでもよい。
【0064】
図5に示されるように、照射中継光学系515及び520は、光源509からの検査対象530までの照射を中継する。検査対象530は、レチクル、フォトマスク、半導体ウェーハ、または検査されるべき他の物品であり得る。像中継光学系555及び560は、検査対象530により反射及び/または透過される光をセンサ570に中継する。2つのチャネルに対する検出信号または検出像に対応するデータは、データ580として示され、第1のチャネル及び第2のチャネルを同時に読み取り、データを処理のためにコンピュータ(図示されず)に伝送するように構成された回路により読み取られる。
【0065】
図6は、基板612の表面を検査するための模範的な光学式検査システム600を示す。システム600は一般に、第1の光学装置651と第2の光学装置657とを含む。図示されるように、第1の光学装置651は、少なくとも1つの光源652と検査光学系654と参照光学系656とを含むのに対し、第2の光学装置657は、少なくとも透過光光学系658と透過光検出器660と反射光光学系662と反射光検出器664とを含む。好ましい一実施形態では、光源652は、上記の改良されたレーザのうちの1つを含む。
【0066】
光源652は、光ビームを偏向し、集束させるように配置される音響光学デバイス670を通過する光ビームを発するように構成される。光源652は、本明細書に記載される193nmレーザのうちの1つを含む。音響光学デバイス670は、光ビームをY方向に偏向し、そのビームをZ方向に集束させる一対の音響光学要素、例えば音響光学事前走査装置と音響光学走査装置とを含み得る。例として、たいていの音響光学デバイスは、RF信号を水晶またはTeO等の結晶に送信することにより動作する。このRF信号により、音波は結晶を通って伝搬する。結晶は、音波の伝搬のために非対称になり、それにより屈折率が結晶の全体にわたり変化する。この変化により、入射ビームは、振動的に偏向される集束伝搬スポットを形成する。
【0067】
光ビームは、音響光学デバイス670から現れるとき、一対の1/4波長板672と中継レンズ674を通過する。中継レンズ674は光ビームを平行化するように配置される。次に平行化光ビームは、回折格子676に到達するまでその経路上で続く。回折格子676は、光ビームを裾広がりにするために、より具体的には光ビームを、空間的に互いに区別可能である(空間的に区別される)3つの個別のビームに分離するために配置される。たいていの事例では、空間的に区別されるビームは、等しく離間され、実質的に等しい光強度を有するようにも整えられる。
【0068】
3つのビームは、回折格子676を離れた後、開口680を通過し、次にビーム分割キューブ682に到達するまで続く。ビーム分割キューブ682は(1/4波長板672と組み合わせて)、ビームを2つの経路に分割するように整えられている、すなわち(図6に示される構成において)一方は下方に誘導され、他方は右に誘導される。下方に誘導される経路は、ビームの第1の光部分を基板612に分配するのに用いられるのに対し右側に誘導される経路は、ビームの第2の光部分を参照光学系656に分配するのに用いられる。たいていの実施形態では、大部分の光が基板612に分配され、小さな割合の光が参照光学系656に分配されるが、その割合は各々の光学検査システムの特定の設計にしたがって変化してもよい。一実施形態では、参照光学系656は、参照収集レンズ614と参照検出器616とを含むことができる。参照収集レンズ614は、光の強度を測定するように整えられている参照検出器616上にビームの一部を収集し、誘導するように整えられている。参照光学系は一般的に当業者によく知られており、簡潔化のために詳しくは考察されない。
【0069】
ビーム分割器682から下方に誘導される3つのビームは、光を再誘導し、拡大するいくつかのレンズ要素を含む望遠鏡688により受信される。一実施形態では、望遠鏡688は、ラレット上で回転する複数の望遠鏡を含む望遠システムの一部である。例えば、3つの望遠鏡が用いられ得る。これらの望遠鏡の目的は、基板上の走査スポットの寸法を変えることであり、それにより最小限の検出可能な欠陥寸法を選択することができる。より具体的には、望遠鏡の各々は一般に、異なる画素寸法を有する。そのように、1つの望遠鏡は、検査をより高速にし、より低感度(例えば、低解像度)にする大きなスポット寸法を発生させてもよく、検査をより低速にし、より高感度(例えば、高解像度)にする小さなスポット寸法を発生させてもよい。
【0070】
望遠鏡688から、3つのビームが、基板612の表面上にビームを集束させるために配置される対物レンズ690を通過する。ビームが3つの個別のスポットとして表面に交わるとき、反射光ビームと透過光ビームの両方が発生され得る。透過光ビームが基板612を通過するのに対し、反射光ビームは表面で反射する。例として、反射光ビームが基板の不透明な表面からで反射してもよく、透過光ビームが基板の透明領域を通って透過してもよい。透過光ビームは透過光光学系658により収集され、反射光ビームは反射光光学系662により収集される。
【0071】
透過光光学系658に関して、透過光ビームは、基板612を通過した後、第1の透過レンズ696により収集され、球面収差補正レンズ698を用いて透過プリズム610上に集束される。透過光ビームを再配置し、曲げるように整えられる透過光ビームの各々に対して面を有するようにプリズム610を構成することができる。たいていの事例では、プリズム610は、(3つの個別の検出器を有するように示される)ビームを各々が透過光検出構成660内の単一の検出器上に落ちるように分離するために用いられる。したがって、ビームは、プリズム610を離れるときに第2の透過レンズ602を通過し、そのレンズは、分離されたビームの各々を3つの検出器のうちの1つの上に個別に集束させ、それらの検出器の各々は、透過光の強度を測定するように整えられている。
【0072】
反射光光学系662に関して、反射光ビームは、基板612から反射した後、次にビームを望遠鏡688に向けて誘導する対物レンズ690により収集される。ビームは、望遠鏡688に達する前に1/4波長板604も通過する。一般論として、対物レンズ690及び望遠鏡688は、どのように入射ビームが操作されるのかに関連して、光学的に反対の様式で平行化されたビームを操作する。すなわち対物レンズ690はビームを平行化し直し、望遠鏡688はビーム径を低減する。ビームは、望遠鏡688を離れるとき、ビーム分割キューブ682に到達するまで(後方に)続く。ビーム分割器682は、1/4波長板604と協働してビームを中央経路606上に誘導するように構成されている。
【0073】
次に経路606上で続くビームは、反射光ビームの各々に対する面を含む反射プリズム609上に各々のビームを集束させる第1の反射レンズ608により収集される。反射プリズム609は、反射光ビームを再配置し、曲げるように整えられる。透過プリズム610と同様に、反射プリズム609は、ビームを各々が反射光検出構成664内の単一の検出器上に落ちるように分離するように用いられる。図示されるように、反射光検出構成664は、3つの個別に異なる検出器を含む。ビームは、反射プリズム609を離れるとき、第2の反射レンズ611を通過し、その反射レンズは、分離されたビームの各々をこれらの検出器のうちの1つの上に集束させ、それらの検出器の各々は、反射光の強度を測定するように整えられている。
【0074】
上記の光学アセンブリにより容易にされ得る複数の検査モードがある。例として、光学アセンブリは、透過光検出モード、反射光検出モード、及び同時検査モードを容易にすることができる。透過光検査モードに関して、透過モード検出は通常、透明領域と不透明領域とを有する従来のフォトマスク等の基板上の欠陥検出に用いられる。光ビームがマスク(または基板612)を走査するとき、光は、マスクを透明点で通り抜け、マスクの背後に配置され、透過光光学系658により収集された各々の光ビームの強度を測定する透過光検出器660により検出される。
【0075】
反射光検査モードに関しては、クロム、現像されたフォトレジストまたは他の形体物の形態での画像情報を包含する透明基板または不透明基板上で反射光検査を実行することができる。基板612により反射された光は、検査光学系654と同じ光路に沿って後方に通るが、次に偏光ビーム分割器682により検出器664に逸らされる。より具体的には、第1の反射レンズ608、プリズム609、及び第2の反射レンズ611は、逸らされた光ビームからの光を検出器664上に投影する。不透明基板表面の上面上の汚染を検出するために反射光検出が用いられてもよい。
【0076】
同時検査モードに関しては、欠陥の存在及び/または種類を確定するために透過光と反射光の両方を用いる。システムの2つの測定値は、透過光検出器660により感知された、基板612を通じて透過された光ビームの強度と、反射光検出器664により検出されるような反射光ビームの強度とである。次に、もしあれば基板612上の対応する点で欠陥の種類を確定するために、これら2つの測定値を処理することができる。
【0077】
より具体的には、透過反射同時検出は、透過検出器により感知される不透明な欠陥の存在を明らかにすることができ、一方では反射検出器の出力を用いて欠陥の種類を明らかにすることができる。例として、基板上のクロム点または粒子によって、両方とも、結果として透過検出器からの透過光度が低くなり得るが、反射性のクロム欠陥によって同じ反射光検出器からの反射光度が高くなり、粒子によって反射光度が低くなり得る。したがって、反射検出と透過検出の両方を用いることにより、クロム模様の上に粒子を置いてもよく、それは、欠陥の反射特性または透過特性のみが検査される場合には行うことができなかった。加えて、それらの反射光強度と透過光強度の比率等の、ある種類の欠陥に対する特徴を確定し得る。次に、欠陥を自動的に分類するためにこの情報を用いることができる。2008年4月1日に発行され、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,563,702号は、検査システム600に関する追加の詳細事項を記載する。
【0078】
図7Aは、表面領域711を検査するための照射システム701と収集システム710とを含む模範的な表面検査システム700を示す。図7Aに示されるように、レーザシステム720は、光ビーム702をレンズ703に通して誘導する。好ましい実施形態では、レーザシステム720は、上記のレーザ、焼鈍された結晶、及び結晶の焼鈍条件を維持するための筐体を含む。レーザからビームを受信し、ビームを、結晶内のまたは結晶近傍のビームくびれで楕円断面に集束させるような第1のビーム形成光学系を構成することができる。
【0079】
レンズ703は、その主面がサンプル表面711に実質的に平行であるように方位が定められ、結果として、照射線705がレンズ焦点面703内の表面711上に形成される。加えて、光ビーム702及び集束ビーム704は、表面711に直交しない入射角に誘導される。特に、光ビーム702及び集束ビーム704は、表面711に垂直な方向から約1度〜約85度の角度に誘導され得る。このように、照射線705は実質的に集束ビーム704の入射面内にある。
【0080】
収集システム710は、照射線705から散乱される光を収集するためのレンズ712と、光感知検出器アレイを含む電荷結合デバイス(CCD)714等のデバイス上に、レンズ712から入力される光を集束させるためのレンズ713とを含む。一実施形態では、CCD714は、直列検出器アレイを含み得る。そのような事例では、CCD714内の直列検出器アレイの方位を、照射線705に平行に定めることができる。一実施形態では、複数の収集システムを含むことができ、収集システムの各々は、類似の部品を含むが、方位が異なる。
【0081】
例えば、図7Bは、表面検査システムに対する収集システム731、732、及び733の模範的な配列を示す(簡易化のために、例えば照射システム701のものに類似するその照射システムは図示されず)。収集システム731内の第1の光学系は、サンプル711の表面から第1の方向に散乱された光を収集する。収集システム732内の第2の光学系は、サンプル711の表面から第2の方向に散乱された光を収集する。収集システム733内の第3の光学系は、サンプル711の表面から第3の方向に散乱された光を収集する。第1、第2及び第3の経路は、サンプル711の前記表面に対して異なる反射角であることに留意する。光学系とサンプル711との間に相対運動を生じさせ、サンプル711の全表面が走査され得るように、サンプル711を支えるプラットフォーム712を用いることができる。2009年4月28日に発行され、参考により本明細書に組み込まれている米国特許第7,525,649号は、表面検査装置700と他の複数の収集システムとをさらに詳しく記載している。
【0082】
図8は、異表面801上の常を検査するのに用いられ得る模範的な表面検査システム800を示す。この実施形態では、189nm〜200nmの波長を発生させる上記のレーザにより発生するレーザビームを含むレーザシステム830の実質的に定常の照射装置部分により表面801を照射することができる。そのビームを拡大し、集束させるために、レーザシステム830の出力を偏光光学系821、ビーム拡大器及び開口部822、及びビーム形成光学系823に連続的に通過させることができる。
【0083】
次に、結果として得られる集束レーザビーム802は、ビーム805を表面801の方に誘導し、その表面を照射するために、ビーム折り畳み部品803及びビーム偏向器804により反射される。好ましい実施形態では、ビーム805は、表面801に対して実質的に垂直または鉛直であるが、他の実施形態では、ビーム805は、表面801に対して斜角であってもよい。
【0084】
一実施形態では、ビーム805は、表面801に対して実質的に鉛直または垂直であり、ビーム偏向器804は、表面801からのビームの鏡面反射をビーム変向部品803に向けて反射し、それにより鏡面反射が偏向器に達することを防止するための遮蔽として働く。鏡面反射の方向は、サンプルの表面801に垂直である線SRに沿っている。ビーム805が表面801に垂直である一実施形態では、この線SRは、照射ビーム805の方向と一致し、この共通の参照線または方向は、本明細書では検査システム800の軸と呼ばれる。ビーム805は表面801に対して斜角である場合、鏡面反射SRの方向は、ビーム805の入力方向と一致しないであろう。そのような事例では、表面法線の方向を指し示す線SRは、検査システム800の収集部分の主軸と呼ばれる。
【0085】
小さな粒子により散乱される光は、鏡806により収集され、開口807及び検出器808に向けて誘導される。大きな粒子により散乱される光は、レンズ809により収集され、開口810及び検出器811に向けて誘導される。大きな粒子は、そのうえ収集され検出器808に誘導される光を散乱させることになり、同様にいくつかの小さな粒子は、そのうえ収集され、検出器811に誘導される光を散乱させることになるが、そのような光は、各々の検出器が検出するように設計されている散乱光の強度に比べて比較的低い強度のものであることに留意する。一実施形態では、検出器811は、光感知要素アレイを含むことができ、光感知要素のアレイの各々の光感知要素は、照射線の拡大像の対応する部分を検出するように構成される。一実施形態では、パターン形成されていないウェーハ上の欠陥を検出するのに用いられるように検査システムを構成することができる。2011年8月7日に発行され、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,271,916号は、検査システム800をさらに詳しく記載する。
【0086】
図9は、垂直及び斜角照射ビームを用いて異常検出を実施するように構成された模範的な検査システム900を示す。この構成では、約189nm〜200nmの波長を発生させる上記のレーザを含むレーザシステム930は、レーザビーム901を提供する。レンズ902は、空間フィルタ903及びレンズ904を通してビーム901を集束させ、そのビームを平行化し、偏光ビーム分割器905に運ぶ。ビーム分割器905は、第1の偏光成分を垂直照射経路に通し、第2の偏光成分を斜角照射経路に通し、ここでは第1及び第2の成分は直交する。垂直照射経路906では、第1の偏光成分は、光学系907により集束され、鏡908によりサンプル909の表面に向けて反射される。使用909により散乱される放射は、放物面鏡910により収集され、光電子倍増管911に集束される。
【0087】
斜角照射経路912では、第2の偏光成分は、ビーム分割器905により、半波長プレート914を通してそのようなビームを反射する鏡913に反射され、光学部品915によりサンプル909に集束される。斜角経路912内の斜角照射ビームから始まり、サンプル909により散乱される放射は、放物面鏡910により収集され、光電子倍増管911に集束される。光電子倍増管911がピンホール入口を有することに留意する。ピンホール及び(表面909上の直交及び斜角照射経路からの)照射スポットは、好ましくは、放物面鏡910の焦点にある。
【0088】
放物面鏡910は、サンプル909からの散乱放射を平行化ビーム916に平行化する。次に平行化ビーム916は、対物レンズ917により分析器918に通されて光電子倍増管911に集束される。放物面形以外の形を有する湾曲された表面が用いられてもよいことに留意する。器具920は、スポットが使用909の表面にわたり走査されるように、ビームとサンプル909との間の相対運動を提供することができる。2001年3月13日に発行され、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,201,601号は、検査システム900をより詳細に記載する。
【0089】
図10は、複数の対物レンズと上記のレーザのうちの1つとを含む模範的な検査システム1000を示す。システム1000では、レーザ源1001からの照射は、照射サブシステムの複数の部分に送られる。レーザ源1001は、光を約189nm〜約200nmの波長で発生させる上記のレーザのうちの1つを含む。照射サブシステムの第1の部分は要素1002a〜1006aを含む。レンズ1002aはレーザ1001からの光を集束させる。次にレンズ1002aからの光は鏡1003aから反射する。鏡1003aは、照射目的のためにこの場所に置かれており、その他の場所に配置されてもよい。次に鏡1003aからの光は、照射瞳面1005aを形成するレンズ1004aにより収集される。検査モードの要求に応じて、光を変調するための開口部、フィルタ、または他の装置が瞳面1005a内に置かれてもよい。次に瞳面1005aからの光は、レンズ1006aを通過して照射野面1007を形成する。
【0090】
照射サブシステムの第2の部分は、要素1002b〜1006bを含む。レンズ1002bはレーザ1001からの光を集束させる。次にレンズ1002bからの光は鏡1003bから反射する。次に鏡1003bからの光は、照射瞳面1005bを形成するレンズ1004bにより収集される。検査モードの要求に応じて、光を変調するための開口部、フィルタ、または他の装置が瞳面1005b内に置かれてもよい。次に瞳面1005bからの光は、レンズ1006bを通過して照射野面1007を形成する。次に、照射野面1007での照射野光エネルギーが、結合された照射部分から構成されるように、第2の部分からの光は鏡または反射表面により再誘導される。
【0091】
次に野面の光は、ビーム分割器1010で反射する前にレンズ1009により収集される。レンズ1006a及び1009は、第1の照射瞳面1005aの像を対物レンズ瞳面1011で形成する。同様に、レンズ1006b及び1009は、第2の照射瞳面1005bの像を対物レンズ瞳面1101で形成する。次に対物レンズ1012(または代わりに1013)は、瞳光を取得し、照射野1007の像をサンプル1014で形成する。サンプル1014の近傍に対物レンズ1012または対物レンズ1013を配置することができる。サンプル1014は、サンプルを所望の場所に配置するステージ(図示されず)上で移動することができる。サンプル1014から反射され、散乱される光は、高NA反射屈折性対物レンズ1012または対物レンズ1013により収集される。反射光瞳を対物レンズ瞳面1011で形成した後、光エネルギーは、撮像サブシステム内で内部野1016を形成する前にビーム分割器1010とレンズ1015とを通る。この内部結像野は、サンプル1014の像と、それに対応して照射野1007とである。この結像野は、照射野に対応する複数の野に空間的に分離され得る。これらの野の各々は、個別の結像モードに対応することができる。
【0092】
鏡1017を用いてこれらの視野のうちの1つを再誘導することができる。次に再誘導された光は、別の結像瞳1019bを形成する前にレンズ1018bを通過する。この結像瞳は、瞳1011の像と、それに対応して照射瞳1005bである。光を変更するための開口部、フィルタ、または他の装置は、検査モードの必要性に応じて瞳面1019b内に配置され得る。次に瞳面1019bからの光は、レンズ1020bを通過し、センサ1021b上に像を形成する。類似の方法では、鏡または反射表面1017のそばを通る光は、レンズ1018aにより収集され、結像瞳1019aを形成する。次に結像瞳1019aからの光は、検出器1021a上に像を形成する前にレンズ1020aにより収集される。センサ1021b上に結像される光とは異なる結像モードに対しては、検出器1021a上に結像される光を用いることができる。
【0093】
システム1000で用いられる照射サブシステムは、レーザ源1001と、収集光学系1002〜1004と、瞳面1105の近傍に配置されるビーム整形部品と、中継光学系1006及び1009とで構成される。内部野面1007がレンズ1006と1009との間に配置される。好ましい一実施形態では、レーザ源1001は上記のレーザのうちの1つを含むことができる。
【0094】
レーザ源1001に関して、2つの透過点または透過角度を有する単一の均一な塊としてとして照射されるが、実際には、これは、2つの経路の照射を、例えば要素1002a〜1006aを通過する第1の周波数でのレーザ光エネルギー等の第1の光エネルギーチャネルと、要素1002b〜1006bを通過する第2の周波数でのレーザ光エネルギー等の第2の光エネルギーチャネルとを提供することを可能にするレーザ源を必要とする。一方の経路には明視野モード、他方の経路には暗視野モード等の異なる光照射及び検出モードが用いられ得る。
【0095】
レーザ源1001からの光エネルギーは、90度で個別に発光されているように示され、要素1002a〜1006a及び1002b〜1006bが90度の角度で方向付けられているが、実際には、必ずしも2次元ではなく、さまざまな方位で発光されてもよい。部品は、図示されるのとは異なるように方向付けされてもよい。したがって、図10は、用いられる部品を単に表しているだけであり、図示される角度または距離は、調整されておらず、設計のために具体的に必要とされるものでもない。
【0096】
瞳面1005の近傍に配置される要素は、開口成形の概念を用いて現行のシステム内で用いられ得る。この設計を用いて、均一な照射またはほぼ均一な照射、並びに個別の点照射、環状照射、4極照射、または他の所望のパターンが実現され得る。
【0097】
汎用の撮像サブシステムにおいて、対物レンズに対するさまざまな実装が用いられ得る。単一の固定対物レンズが用いられ得る。撮像システムが比較的大きな視野面積と比較的高い開口数とに対応している場合に、そのような設計が達成され得る。瞳面1005a、1005b、1019a、及び1019b内に配置される内部開口を用いることにより、開口数を所望の値に低減することができる。
【0098】
図10に示されるように複数の対物レンズが用いられてもよい。例えば、2つの対物レンズ1012及び1013が示されているが、任意の数が可能である。そのような設計での各々の対物レンズは、レーザ源1001により発生される各々の波長に対して最適化され得る。これらの対物レンズ1012及び1013は、位置を固定することができる、またはサンプル1014近傍の位置に移動することができる。複数の対物レンズをサンプルの近傍に移動させるために、標準的な顕微鏡に共通するような回転タレットが用いられ得る。対物レンズをサンプルの近傍に移動させるための他の設計は、利用可能であり、対物レンズをステージ上で横手方向に並進させることと、ゴニオメータを用いて対物レンズを円弧上に並進させることとを含むがこれに限定されない。加えて、本発明にしたがって、固定された対物レンズ及びタレット上の複数の対物レンズのうちのいずれかの組み合わせを得ることができる。
【0099】
この構成の最大開口数は、0.97に近づいてもよく、超えてもよいが、ある事例においてはより高い場合がある。この高NA反射屈折撮像システムを用いて、その大きな視野面積との組み合わせた可能な幅広い照射及び収集角度により、そのシステムは複数の検査モードに同時に対応することができる。前の段落から理解され得るように、照射装置と組み合わせた単一の光学システムまたは機械を用いて、複数の結像モードを実施することができる。照射及び収集のために開かれた高いNAにより、同じ光学システムを用いて結像モードを実施することができ、それにより異なる種類の欠陥またはサンプルに対する撮像を最適化することができる。
【0100】
撮像サブシステムは、中間画像形成光学系1015も含む。画像形成光学系1015の目的は、サンプル1014の内部像1016を形成することである。この内部像1016では、検査モードのうちの1つに対応する光を再誘導するために鏡1017を配置することができる。結像モード用の光は空間的に分離しているので、光をこの場所に再誘導することができる。画像形成光学系1018(1018a及び1018b)及び1020(1020a及び1020b)は、焦点可変式拡大器、複数の集束光学部品付き無限焦点管形レンズ、または複数の画像形成磁束管を含むいくつかの異なる形態で実現することができる。2009年7月16日に公開され、本明細書に参照により組み込まれている米国出願公開出願第2009/0180176号は、システム1000に関する追加の詳細事項を記載している。
【0101】
図11は、反射屈折撮像システム1100への垂直入射レーザ暗視野照射の追加を示す。暗視野照射は、UVレーザ1101と、検査されている表面上の照射ビーム径及び半面像を制御するための適合光学系1102と、機械的筐体1104内の開口及び窓1103と、レーザを光軸に沿ってサンプル1108の表面に垂直な入射で再誘導するためのプリズム1105とを含む。プリズム1105はそのうえ、サンプル1108の表面形体からの鏡面反射及び対物レンズ1106の光学面からの反射を光路に沿って結像面1109に誘導する。対物レンズ1106のレンズは、反射屈折対物レンズ、集束レンズ群、及び拡大管レンズ部分の一般形で提供され得る。好ましい実施形態では、約189nm〜約200nmの波長を発する上記のレーザによりレーザ1101を実現することができる。1999年12月7日に発行された米国特許第5,999,310号、及び2007年1月4日に公開された米国出願第2007/0002465号は、システム1100をさらに詳しく記載している。特許と出願の両方は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0102】
他のレチクル、フォトマスク、またはウェーハシステムは、上記の改良されたレーザを有利に用いることができる。例えば、他のシステムは、米国特許第5,563,702号、5,999,310号、第6,201,601号、第6,271,916号、第7,352,457号、第7,525,649号、及び第7,528,943号に記載されるものを含む。さらなる他のシステムは、米国出願第2009/0180176号に記載されるものを含む。この改良されたレーザは、検査及び計測システムに用いられる場合、公開PCT出願WO2010/037106及び米国特許出願第13/073,986号に開示される干渉波動・斑点低減装置及び方法と有利に組み合わせられ得る。この改良されたレーザは、2012年6月1日に出願され、2012年12月13日に米国出願第2012/0314286号としてここで公開された「レーザパルス倍率器を用いた半導体検査及び計測システム」と題する米国特許出願第13/711,593号に開示される方法及びシステムと有利に組み合わせられ得る。これらの特許及び出願の全ては、参照により本明細書に組み込まれている。
【0103】
深UVレーザの最も重要な部分は、最終周波数変換段階である。1171nm付近の基本波の第5高調波を1109nm付近のポンプ波長と混合する、193nmの付近の波長を発生させる上記のレーザにより、その最終周波数変換に対して実質的に非臨界の位相整合を用いることができる。ほぼ非臨界の位相整合は、大きな結晶を用いることができ、整列の小さな変化により影響を受けないので、より効率的であり、臨界位相整合よりも適している。より長い結晶により、同じ総変換効率を維持しながら結晶の低いピーク出力密度を用いることもでき、それにより結晶への損傷の蓄積が緩やかになることに留意する。特に、本明細書で記載されるレーザは、あまり複雑ではなく、第8高調波発生よりも効率的である。したがって、上記の193nmのレーザは、フォトマスク、レチクル、またはウェーハを検査及び計測する間の十分なシステム上の利点を提供することができる。
【0104】
上記のことは、193.4nmの出力波長を生じさせる約1171nmの基本波長と約1109.1nmのポンプ波長とを記述しているが、基本周波数とポンプ周波数との適切な選択を用いたこの取り組みにより193.4nmから数nm内の他の波長が発生され得ると理解されるべきである。そのようなレーザを用いるそのようなレーザ及びシステムは、本発明の範囲内である。
【0105】
上記の本発明の構造体及び方法のさまざまな実施形態は、本発明の原理を説明するためのものであり、本発明の範囲を記載される特定の実施形態に限定することを意図していない。例えば、いくつかの周波数変換段階において、CLBO、LBO、またはBBOもしくは周期分極性材料以外の非線形結晶を用いることができる。したがって、本発明は、以下の請求項及びそれらの均等物によってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11