(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物とは異なる、少なくとも1つのさらなるモノマーがポリマー中に含有されていることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項に記載のポリマー。
前記モノエチレン性不飽和モノマーが酸基を含むモノマーであり、その際に、前記酸基は、完全にまたは部分的に中和されていてもよいことを特徴とする、請求項11記載のポリマー。
前記ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸無水物、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸もしくはメチレンマロン酸またはこれらの塩の群から選択されたカルボン酸基を有する、少なくとも1つのモノマーを含むことを特徴とする、請求項13記載のポリマー。
前記ポリマーが、ビニルホスホン酸、(ポリ)リン酸とヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくはヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとのエステル、リン酸モノビニルエステル、アリルホスホン酸、リン酸モノアリルエステル、3−ブテニルホスホン酸、リン酸(モノ−3−ブテニル)エステル、リン酸モノ−(4−ビニルオキシブチル)エステル、リン酸モノ−(−2−ヒドロキシ−3−ビニルオキシ−プロピル)エステル、リン酸モノ−(1−ホスホンオキシメチル−2−ビニルオキシ−エチル)−エステル、リン酸モノ−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル)エステル、リン酸モノ−2−(アリルオキシ−1−ホスホンオキシメチル−エチル)エステル、2−ヒドロキシ−4−ビニルオキシメチル−1,3,2,−ジオキサホスホル、2−ヒドロキシ−4−アリルオキシメチル−1,3,2−ジオキサホスホルまたはこれらの塩の群から選択された、リン酸基またはホスホン酸基を有する、少なくとも1つのモノマーを含むことを特徴とする、請求項13記載のポリマー。
前記ポリマーが、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドメチルドデシルスルホン酸、2−(メタ)アクリルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリルオキシプロパンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸またはこれらの塩の群から選択されたスルホン酸基を有する、少なくとも1つのモノマーを含むことを特徴とする、請求項13記載のポリマー。
少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリレート、マレイン酸(無水物)、(イソ)プレニルアルコキシレート、(メタ)アリルアルコキシレートまたはヒドロキシブチルビニルエーテルアルコキシレートが含有されている、請求項17記載のポリマー。
一般式(I)の不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリレート、マレイン酸(無水物)、(イソ)プレニルアルコキシレート、(メタ)アリルアルコキシレートまたはヒドロキシブチルビニルエーテルアルコキシレート以外にさらなるモノマーは含有されていない、請求項18記載のポリマー。
一般式(I)の不飽和化合物およびアクリル酸およびメタクリル酸、またはアクリル酸およびマレイン酸(無水物)、またはメタクリル酸およびマレイン酸(無水物)以外にさらなるモノマーは含有されていない、請求項17記載のポリマー。
前記の一般式(I)、(Ia)または(Ib)の不飽和化合物が、ポリマー中のモノマーの全体量に対して、5〜99.9質量%含有されていることを特徴とする、請求項7から21までのいずれか1項に記載のポリマー。
それぞれモノマーの全体量に対して、一般式(I)の不飽和化合物が5〜99.9質量%含有され、およびさらなるモノエチレン性不飽和モノマーが95〜0.1質量%含有されていることを特徴とする、請求項7から21までのいずれか1項に記載のポリマー。
それぞれモノマーの全体量に対して、一般式(I)の不飽和化合物が5〜99.9質量%含有され、およびアクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリレート、マレイン酸(無水物)、(イソ)プレニルアルコキシレート、(メタ)アリルアルコキシレートまたはヒドロキシブチルビニルエーテルアルコキシレートが全部で95〜0.1質量%含有されている、請求項18記載のポリマー。
請求項7から26までのいずれか1項に記載のポリマーの製造法において、不飽和化合物(I)ならびに任意に少なくとも1つのさらなるモノマーをラジカル重合させることを特徴とする、前記方法。
共重合であり、この共重合で不飽和化合物(I)ならびに少なくとも1つのモノエチレン性不飽和の、さらなるモノマーがラジカル重合されることを特徴とする、請求項27記載の方法。
モノエチレン性不飽和モノマーが、酸基を含むモノマーであり、その際に、前記酸基は、完全にまたは部分的に中和されていてもよいことを特徴とする、請求項28記載の方法。
不飽和化合物(I)、(Ia)または(Ib)の一部、さらなるモノマーの一部ならびに重合開始剤の一部を反応器中に予め装入し、および不飽和化合物(I)、(Ia)または(Ib)の残量、さらなるモノマーの残量ならびに重合開始剤の残量を少しずつ重合反応器中に供給することにより、ラジカル重合を行うことを特徴とする、請求項28から35までのいずれか1項に記載の方法。
セメント添加剤、セメントを製造する際の粉砕助剤、コンクリート流動化剤、水硬性結合材への添加剤、プラスチック、ゴムもしくはラテックスを製造するための反応性可塑剤、会合性増粘剤、酸化防止剤としての、またはポリエーテルシロキサンを製造するための、請求項7から26までのいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、S−ビニルチオアルカノールのアルコキシレートおよびS−ビニルチオアルカノールの当該アルコキシレートをモノマーとして含有するポリマーに関する。さらに、本発明の対象は、S−ビニルチオアルカノールのアルコキシレートをモノマーとして含有するポリマーの製造法である。本発明のさらなる対象は、当該ポリマーの使用および当該ポリマーを含有する混合物である。
【0002】
本発明のさらなる実施態様は、特許請求の範囲、明細書および実施例から確認することができる。本発明による対象の前記特徴および以下にさらに説明すべき特徴がそれぞれ具体的に記載されて組み合わされるだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組合せで使用可能であることは、自明のことである。また、殊に、本発明による対象の全ての特徴が好ましい意味を有するかまたは特に有利な意味を有する、本発明の実施態様は、好ましいかまたは特に有利である。
【0003】
WO 93/06142A1は、ヒドロキシアルキルビニルエーテルとヒドロキシアルキルビニルエーテルおよび/またはポリテトラヒドロフランビニルエーテルへのC2〜C4アルキレンオキシドの付加生成物と任意に他の共重合可能なモノマーとからなるコポリマーに関する。
【0004】
WO 94/04580A1には、エチレン性不飽和の、酸基を含む水溶性モノマーとポリアルコキシシーケンスを含むモノマーとを重合させることによって製造されるコポリマーが記載されている。前記コポリマーは、さらなるモノマーを含んでいてよい。
【0005】
WO 02/066528A2には、添加剤としてコンクリート中に使用されてよい、アルコキシル化されたアクリレートマクロモノマーおよびメタクリレートマクロモノマーが記載されている。前記マクロモノマーと他のモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸とのコポリマーは、同様に、WO 02/066528A2中に述べられている。
【0006】
WO 2005/000922A1には、モノマーとして、とりわけアルコキシル化されたアリルアルコールスルフェートおよび任意にさらなるアルコキシル化されたアリルアルコール基を含む、セメント組成物のために分散剤が記載されている。
【0007】
WO 2005/005500A1には、アルコキシル化されたジアリルアミン誘導体、エチレン性不飽和モノカルボン酸もしくはエチレン性不飽和ジカルボン酸、これらの無水物またはこれらの混合物ならびに任意に、1つ以上のさらなるエチレン性不飽和モノマーを含有する、水溶性ポリマーまたは水中で分散可能なポリマーに関する。前記ポリマーは、とりわけ、鉱物質建築材料における添加剤として使用される。
【0008】
WO 2009/040042A1には、無機顔料のためのコンクリート流動化剤または分散剤としての使用に適しているポリカルボキシレートエーテルが記載されている。
【0009】
ドイツ連邦共和国特許第2058120号明細書には、二段階の方法により製造される、2−ヒドロキシエチルビニルスルフィドが開示されているかまたは陽イオンポリマーを含む、その誘導体が開示されている。第1の段階で、2−ヒドロキシエチルビニルスルフィドは、任意にコモノマー、例えばアクリレートと一緒に重合される。得られた(コ)ポリマーは、第2の段階でアルキル化剤と反応され、その際に、S原子は、アルキル化されてスルホニウム基を形成する。アルキル化剤として、アルキルスルフェート、例えばジメチルスルフェート、アルキルハロゲン化物またはアルキレンオキシドが使用されてよく、その際に、アルキレンオキシドを使用する場合には、無機酸または有機酸は、当mol量で使用されなければならない。
【0010】
技術水準のポリマーの場合には、一部、製造の際に問題が起きる。例えば、アリルアルコールエトキシレートは、重合または共重合の際に、あまり高くない反応性を示し、かつ幾つかの副反応もまねく。イソプレノールエトキシレートは、同様にあまり反応性ではなく、かつ製造プロセスの際に、イソプレンを生じうる。幾つかのアルコキシレート、例えばヒドロキシブチルビニルエーテル−エトキシレート(HBVEエトキシレート)は、殊に酸性環境で制限されてのみ加水分解安定性である。
【0011】
本発明の課題は、上記の欠点を有しないポリマーを提供すべきであった。本発明の一部の課題は、効率的な重合反応に対して反応性のアルコキシレートモノマーを開発することであった。本発明のさらなる一部の課題として、モノマーとしてもポリマーに重合導入されても、高められた加水分解安定性を有する当該アルコキシレートモノマーを提供すべきであった。
【0012】
この課題および他の課題は、本発明の開示内容から明らかなように、本発明のさまざまな実施態様によって、殊に一般式(I)
【化1】
〔式中、
R
1、R
2、R
3は、互いに独立して、同一かまたは異なり、H、CH
3、有利にHであり、
R
4は、直鎖状または分枝鎖状のC
1〜C
30アルキレン、有利にC
2〜C
10アルキレン、特に有利にC
2〜C
4アルキレン、殊に−CH
2−CH
2−であり、
R
5、R
6は、互いに独立して、同一かまたは異なり、H、C
1〜C
20アルキル、C
3〜C
15シクロアルキル、アリール、−CH
2−O−C
1〜C
20アルキル、−CH
2−O−C
2〜C
20アルケニルであり、その際に、R
5およびR
6は、一緒になってC
3〜C
6アルキレンを形成してもよく、好ましくは、テトラメチレンを形成してもよく、好ましくは、H、−CH
3、−CH
2−CH
3、−C
3〜C
11−アルキル、C
12〜C
22アルキル、フェニル、−CH
2−O−C
1〜C
10アルキル、−CH
2−O−C
2〜C
10アルケニルであり、
特に好ましくは、H、−CH
3、−CH
2−O−CH
2−CH=CH
2、−CH
2−O−2−エチルヘキシルであり、殊に好ましくは、Hまたは−CH
3であり、とりわけ好ましくは、Hであり、R
7は、互いに独立して、同一かまたは異なり、H、C
1〜C
4アルキルまたは
【化2】
好ましくは、HまたはC
1〜C
4アルキルであり、特に好ましくは、Hであり、
R
8は、C
1〜C
22アルキル、C
2〜C
22アルケニルであり、好ましくは、C
12〜C
18アルキル、C
12〜C
18アルケニルであり、
nは、2〜200、殊に2〜160、好ましくは5〜140、特に好ましくは、10〜80、例えば20〜30の整数である〕の不飽和化合物によって解決される。
【0013】
式C
a−C
bの用語は、本発明の範囲内で、一定の数の炭素原子を有する化合物または置換基を意味する。炭素原子の数は、aおよびbを含めて、a〜bの全範囲から選択されてよく、aは、少なくとも1であり、およびbは、常に、aよりも大きい。化合物または置換基は、式C
a−C
b−Vの用語によってさらに詳説される。この場合、Vは、化合物種または置換基種、例えばアルキル化合物またはアルキル置換基を表す。
【0014】
詳細には、さまざまな置換基に対して記載された集合概念は、次の意味を有する:
C
1〜C
22アルキル:22個までの炭素原子を有する、直鎖状または分枝鎖状の炭化水素基、例えばC
1〜C
10アルキルまたはC
11〜C
22アルキル、有利にC
1〜C
10アルキル、例えばC
1〜C
3アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはC
4〜C
6アルキル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、またはC
7〜C
10アルキル、例えばヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニルまたはデシルならびにこれらの異性体。
【0015】
C
2〜C
20アルケニル:2〜20個の炭素原子および任意の位置に1、2または3個の、有利に1個の二重結合を有する、直鎖状または分枝鎖状の不飽和炭化水素基、例えばC
2〜C
10アルケニルまたはC
11〜C
20アルケニル、有利にC
2〜C
10アルケニル、例えばC
2〜C
4アルケニル、例えばエテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、またはC
5〜C
6アルケニル、例えば1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−1−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、4−メチル−1−ペンテニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−1−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−1−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、3,3−ジメチル−1−ブテニル、3,3−ジメチル−2−ブテニル、1−エチル−1−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルまたは1−エチル−2−メチル−2−プロペニル、ならびにC
7〜C
10アルケニル、例えばヘプテニル、オクテニル、ノネニルまたはデセニルの異性体。
【0016】
C
1〜C
30アルキレン:1〜30個の炭素原子を有する、直鎖状または分枝鎖状の炭化水素基、例えばC
1〜C
10アルキルまたはC
11〜C
20アルキレン、有利にC
1〜C
10アルキレン、殊にメチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレンまたはヘキサメチレン。
【0017】
C
3〜C
15シクロアルキル:3個から最大限15個までの炭素環員を有する、単環式飽和炭化水素基、有利にC
3〜C
8シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルならびに飽和環系または不飽和環系、例えばノルボルニルまたはノルベニル。
【0018】
アリール:6〜14個の炭素環員を含む、1〜3核の芳香環系、例えばフェニル、ナフチルまたはアントラセニル、有利に1〜2核、特に有利に1核の芳香環系。
【0019】
本発明の好ましい実施態様において、不飽和化合物(I)は、一般式(Ia)
【化3】
の当該不飽和化合物である。
【0020】
式(Ia)中で、R
3は、Hまたはメチル、有利にHを表し、R
4は、直鎖状または分枝鎖状のC
2〜C
10アルキレン基、有利に直鎖状C
2〜C
10アルキレン基、殊に直鎖状または分枝鎖状C
2〜C
4アルキレン基、有利に直鎖状のC
2〜C
4アルキレン基を表す。例は、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基および1,4−ブチレン基を含み、殊に有利にR
4は、1,2−エチレン基 −CH
2CH
2−を含む。
【0021】
式(Ia)中の基−[−O−CHR
5−CHR
6−]
n−は、n個のアルコキシ基−O−CHR
5−CHR
6−を含むポリアルコキシ基であり、その際に、アルコキシ基は、そのつど同一かまたは異なっていてよい。R
5およびR
6は、互いに独立して、H、メチルまたはエチル、有利にHまたはメチル、殊にHであり、ただし、アルコキシ基1個当たりの基R
5およびR
6中の炭素原子の総和は、そのつど0〜2であるものとする。すなわち、換言すれば、ポリアルコキシ基は、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基の群から選択された基を含む。さまざまなアルコキシ基が存在する場合には、前記アルコキシ基は、任意の順序で、例えばランダムに、交互に、またはブロック状に、配置されていてよい。好ましい実施態様において、アルコキシ基の少なくとも50mol%、有利に少なくとも80mol%は、エトキシ基である。特に有利には、エトキシ基だけであり、すなわち、R
5およびR
6は、Hである。
【0022】
式(Ia)中で、nは、2〜200、有利に5〜160、特に有利に10〜140、殊に有利に20〜140、例えば20〜30の数を表す。
【0023】
本発明のさらなる好ましい実施態様において、不飽和化合物(I)は、一般式(Ib)
【化4】
〔式中、nは、2〜200、有利に5〜160、特に有利に10〜140、殊に有利に20〜140、例えば20〜30の数を表す〕の当該不飽和化合物である。
【0024】
化合物(I)、殊に式(Ia)の化合物は、殊に、一般式(II)
【化5】
の不飽和化合物をアルコキシル化することによって製造されうる。そのために、化合物(II)は、望ましい量のアルキレンオキシドまたはアルキレンエーテルオキシド、殊にC
2〜C
4アルキレンオキシド、特に有利に酸化エチレンと反応される。
【0025】
アルコキシル化の実施は、当業者に原則的に公知である。この場合には、定期的に、アルコキシル化のための触媒としての酸を回避させることが望ましい。本発明の好ましい実施態様において、アルコキシル化は、塩基触媒によるアルコキシル化である。そのために、出発物質として使用される化合物(II)には、圧力反応器中で塩基性触媒、殊にアルカリ金属水酸化物、有利に水酸化カリウム、またはアルカリ金属アルコラート、例えばカリウムメチラートが混合されうる。
【0026】
あるいはまた、アルコキシル化は、他の方法により行うことができる。例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4325237号明細書A1に記載されたような層状二重水酸化物クレー(Doppelhydroxidtone)が使用されてもよいし、二重金属シアン化物触媒(DMC触媒)が使用されてもよい。適当なDMC触媒は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10243361号明細書A1、殊に段落[0029]〜[0041]ならびにそこに引用された刊行物中に開示されている。例えば、Zn−Co型の触媒が使用されてよい。反応の実施のために、アルコール(R
1)(R
2)−CH−CH
2−OHには、触媒が混合されてよく、この混合物は、上記の記載と同様に脱水され、かつ前記の記載と同様にアルキレン酸化物と反応される。通常、前記混合物に対して触媒1000ppm以下が使用され、触媒は、この僅かな量に基づいて生成物中に残留しうる。触媒量は、たいてい、1000ppm未満、例えば250ppmまたはそれ以下であることができる。
【0027】
本発明のさらなる対象は、一般式(I)、有利に一般式(Ia)、特に有利に一般式(Ib)の化合物を含有する混合物である。当該混合物中の一般式(I)の化合物の量は、混合物の使用目的に依存して、広い範囲に亘り変動しうる。当該混合物中の一般式(I)の化合物の量は、たいてい、混合物の全体量に対して、1〜99質量%、有利に10〜95質量%である。
【0028】
この種の混合物は、例えば、一般式(I)、有利に一般式(Ia)、特に有利に一般式(Ib)のさまざまな化合物相互の混合物であることができる。さらに、例えば、溶剤、他のモノマーおよび/またはさらなる添加剤、例えば重合を抑制するための安定剤、界面活性剤および/または他の添加剤および添加物との混合物であることができる。
【0029】
本発明の好ましい実施態様において、当該混合物は、一般式(I)の化合物の水溶液である。一般式(I)の化合物の当該水溶液の利点は、殊に計量供給の際の簡単な取り扱い可能性である。
【0030】
本発明のさらなる対象は、一般式(I)の化合物、有利に一般式(Ia)の当該化合物、特に有利に一般式(Ib)の当該化合物をモノマーとして含有するポリマーである。化合物(I)のホモポリマーまたは化合物(I)を含むコポリマーであることができる。
【0031】
本発明の好ましい実施態様において、本発明によるポリマーは、一般式(I)の化合物とは異なる、少なくとも1つのさらなるモノマー(他のモノマー)を含む。勿論、一般式(I)の化合物とは異なる幾つかのモノマーがポリマー中に含まれていてもよい。
【0032】
特に好ましくは、少なくとも1つのさらなるモノマーは、モノエチレン性不飽和モノマーである。
【0033】
適当なさらなるモノマーは、C
2〜C
24アルケン、例えばエテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、ジイソブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−オクタデセンである。
【0034】
また、適当なさらなるモノマーは、共役C
4〜C
10ジエン、例えばブタジエン、イソプレンまたはクロロプレンである。
【0035】
さらなるモノマー、殊にモノエチレン性不飽和のさらなるモノマーは、殊に酸基を含むモノマーであることができ、その際に、酸基は、全体的または部分的に中和されていてもよい。この場合には、殊にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩または有機アンモニウムイオンの塩であることができる。好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基またはホスホン酸基の群から選択された酸基を含むモノマーであることができる。
【0036】
カルボン酸基を有する適当な、さらなるモノマーの例は、C
3〜C
12モノエチレン性不飽和モノカルボン酸またはC
3〜C
12のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、これらの無水物または塩、例えばアクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸無水物、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸またはメチレンマロン酸およびこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩を含む。前記酸は、全体的または部分的に中和された形で使用されてよい。
【0037】
リン酸基またはホスホン酸基を有する、適当な、さらなるモノマーの例は、モノエチレン性不飽和ホスホン酸エステルまたはモノエチレン性不飽和(ポリ)リン酸エステルおよびこれらの塩、例えばビニルホスホン酸、またはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくはヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと(ポリ)リン酸とのエステルおよびこれらのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、リン酸モノビニルエステル、アリルホスホン酸、リン酸モノアリルエステル、3−ブテニルホスホン酸、リン酸(モノ−3−ブテニル)エステル、リン酸モノ−(4−ビニル−オキシブチル)エステル、リン酸モノ−(−2−ヒドロキシ−3−ビニルオキシ−プロピル)エステル、リン酸モノ−(1−ホスホンオキシメチル−2−ビニルオキシ−エチル)−エステル、リン酸モノ−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル)エステル、リン酸モノ−2−(アリルオキシ−1−ホスホンオキシメチル−エチル)エステル、2−ヒドロキシ−4−ビニルオキシメチル−1,3,2−ジオキサホスホル、2−ヒドロキシ−4−アリルオキシメチル−1,3,2−ジオキサホスホルを含む。塩および/またはエステル、殊にリン酸のC
1〜C
8モノアルキルエステル、C
1〜C
8ジアルキルエステルならびに任意にトリアルキルエステルおよび/またはホスホン酸基を有するモノマーが使用されてもよい。
【0038】
スルホン酸基を有する適当な、さらなるモノマーの例は、モノエチレン性不飽和スルホン酸およびその塩、例えばビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドメチルドデシルスルホン酸、2−(メタ)アクリルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリルオキシプロパンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびこれらの相応するアンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含む。
【0039】
また、適当なさらなるモノマーは、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸またはモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、殊に上記のモノエチレン性不飽和C
3〜C
12カルボン酸のエステル、アミドおよびイミド、殊にC
1〜C
40、有利にC
1〜C
22、特に有利にC
2〜C
12のエステル、アミドまたはイミドである。この場合、置換基は、さらなるヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ジカルボン酸は、その半エステルまたは半アミドの形で、例えばC
1〜C
4半エステルとして存在することができる。前記のアミドおよびイミドは、N−モノアルキル化された形または任意にN,N−ジアルキル化された形で存在してよい。
【0040】
エステルは、殊に(メタ)アクリル酸のエステル、殊に脂肪族または脂環式のエステル基、殊にC
1〜C
22、有利にC
2〜C
12エステル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることができる。当該化合物の例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、1−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレートまたはシトロネロール(メタ)アクリレートを含む。
【0041】
前記エステル基は、ヘテロ原子、殊にO原子および/またはN原子を含んでいてもよい。この種のエステルの例は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチルジグリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピルカルバメート(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、3−フェニルプロピル(メタ)アクリレート、ウレイド(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルピロリドン(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートを含む。(メタ)アクリル酸の好ましいエステルの例は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートならびにヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを含む。
【0042】
(メタ)アクリルエステル中のアルコール成分は、アルコキシル化されたアルコールであることができる。ここでは、殊に、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレンまたはその混合物を2〜80mol有する、アルコキシル化されたC
1〜C
18アルコールを挙げることができる。この種のアルコキシル化された生成物の例は、メチルポリグリコール(メタ)アクリレート、または酸化エチレン3、5、7、10または30molと反応されたC
13/C
15オキソアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、またはこれらの混合物を含む。
【0043】
エステル、アミドまたはイミドのさらなる例は、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、ジメチルマレエート、N−置換されたマレインイミド、例えばN−メチルマレインイミド、N−フェニルマレインイミドおよびN−シクロヘキシルマレインイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−(1−メチルウンデシル)(メタ)アクリルアミド、10−アクリルアミドウンデカン酸、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル−N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、(メタ)アクリロイルモルホリンを含む。
【0044】
アミノ基またはイミノ基を有していてもよいモノマーは、プロトン化されていてもよいか、またはその四級塩の形で、例えば塩化メチレン、ジメチルスルフェートもしくはジエチルスルフェートで四級化することによって存在していてもよい。前記モノマーは、プロパンスルトンと反応して相応するベタインとされていてもよい。
【0045】
同様に、適当なさらなるモノマーは、N−ビニル基を含むモノマー、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、四級化N−ビニルイミダゾール誘導体、例えば1−ビニル−3−メチルイミダゾリウムクロリドまたはメトスルフェート、N−ビニル−1,2,4−トリアゾール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルホルムアミド、2−メチル−1−ビニルイミダゾリンである。
【0046】
適当なさらなるモノマーは、ビニルアルコールとモノカルボン酸とのC
1〜C
24エステル、例えばビニルホルメート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニル−n−ブチレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、またはコッホ酸、例えば2,2−ジメチルプロパン酸、2,2−ジメチルブタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2−エチル−2−メチルブタン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸のビニルエステルである。
【0047】
さらに、ビニルエーテルまたはアリルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニル−4−ヒドロキシブチルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、2−(ジ−n−ブチルアミノ)エチルビニルエーテルもしくはメチルジグリコールビニルエーテルまたは相応するアリル化合物である。
【0048】
さらに、不飽和アルコール、例えば3−ブテン−1−オール、2−ブテン−1−オール、アリルアルコール、イソプレノール、プレノール、メタリルアルコールが適している。
【0049】
さらに、EO単位またはEO単位とPO単位との混合物1〜150molを有する、アルコキシル化された、ビニルエーテル、アリルエーテル、メタリルエーテルまたはイソプレニルエーテルが適している。
【0050】
適当なさらなるモノマーは、同様に、N−アリル化合物、例えばジアリルアミン、N,N−ジメチル−N,N−ジアリルアンモニウムクロリドである。
【0051】
また、適当なさらなるモノマーは、3〜10個の炭素原子を有する、α,β−モノエチレン性不飽和ニトリル、例えばアクリルニトリル、メタクリルニトリル、フマニトリル、マレオニトリルである。
【0052】
さらに、適当なさらなるモノマーは、ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、ビニルトルエンまたはα−メチルスチレンである。さらなるスチレン誘導体は、一般式IV
【化6】
〔式中、R
11およびR
21は、水素またはC
1〜C
8アルキルを表し、およびnは、0、1、2または3に等しい〕のスチレン誘導体で十分である。さらに、芳香環は、ヘテロ原子を有することができ、例えば2−ビニルピリジンおよび4−ビニルピリジンであることができる。
【0053】
さらに、適当なさらなるモノマーは、ハロゲン化アルケン、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフルオルエチレン、テトラフルオルエチレン、ならびにアクロレイン、メタクロレインである。
【0054】
さらなるモノマーは、架橋作用を有するモノマーであってよい。適当な架橋性のさらなるモノマーの例は、幾つかのエチレン性不飽和基を有する分子、例えばジ(メタ)アクリレート、例えばエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、ブタンジオール−1,4−ジ(メタ)アクリレートもしくはヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートまたはポリ(メタ)アクリレート、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートを含むか、そうでなければ、オリゴアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、例えばジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートもしくはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートもしくはテトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを含む。さらなる例は、ジビニルベンゼン、ジビニルエチレン尿素、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、イソプレニル(メタ)アクリレート、プレニル(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレートまたはブタンジオールジビニルエーテルを含む。同様に、ポリヒドロキシ化合物のジアリルエーテルおよびオリゴアリルエーテルまたはジビニルエーテルおよびオリゴビニルエーテル、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリトリットトリアリルエーテルまたはペンタエリトリットテトラアリルエーテルが適している。同様に、オリゴアリルアミン、例えばトリアリルアミンまたはテトラアリルアンモニウムクロリドが適している。同様に、ポリカルボン酸のジアリルエステルおよびオリゴアリルエステル、例えばジアリルフタレート、ジアリルマレエート、トリアリルトリメリテート、ジカルボン酸、例えばコハク酸およびアジピン酸のジビニルエステルが適している。同様に、ジ(メタ)アクリルアミド、トリ(メタ)アクリルアミドまたはオリゴ(メタ)アクリルアミド、例えばN,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドが適している。架橋性モノマーの含量は、たいてい、全てのモノマーの全体数に対して、0〜20mol%、有利に0〜10mol%、殊に有利に0〜5mol%であり、殊に好ましくは、本発明によるポリマーは、架橋性モノマーを含まない。
【0055】
好ましいモノエチレン性不飽和のさらなるモノマーの例は、スチレン、ブタジエン、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、ジブチルマレエート、メチル−α−シアンアクリレート、アクリルニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸(無水物)、イタコン酸、ビニルホスホン酸、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル−N,N−ジアリルアンモニウムクロリド、アクリルアミド、ビニルイミダゾール、ビニルアセテート、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を含み、殊にアクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、マレイン酸(無水物)、(イソ)プレニルアルコキシレート、(メタ)アリルアルコキシレートまたはヒドロキシブチルビニルエーテルアルコキシレートが好ましい。アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリレート、マレイン酸(無水物)、(イソ)プレニルアルコキシレート、(メタ)アリルアルコキシレートまたはヒドロキシブチルビニルエーテルアルコキシレートが殊に好ましい。
【0056】
本発明によるポリマーのさらなる好ましい実施態様において、一般式(I)の化合物とは異なる、少なくとも1つのさらなるモノマーとして、アクリル酸がポリマー中に含まれている。特に有利に、この場合には、一般式(I)の不飽和化合物およびアクリル酸以外に、さらなるモノマーは、含まれていない。
【0057】
本発明によるポリマーのさらなる好ましい実施態様において、一般式(I)の化合物とは異なる、少なくとも1つのさらなるモノマーとして、メタクリル酸がポリマー中に含まれている。特に有利に、この場合には、一般式(I)の不飽和化合物およびメタクリル酸以外に、さらなるモノマーは、含まれていない。一般式(I)の本発明による化合物は、相応するビニルエーテル化合物とは違って、(メタ)アクリル酸およびその誘導体と良好に共重合しうる。
【0058】
本発明によるポリマーのさらなる好ましい実施態様において、一般式(I)の化合物とは異なる、少なくとも1つのさらなるモノマーとして、マレイン酸(無水物)がポリマー中に含まれている。特に有利に、この場合には、一般式(I)の不飽和化合物およびマレイン酸(無水物)以外に、さらなるモノマーは、含まれていない。
【0059】
本発明によるポリマーは、モノマーとしての一般式(I)の一定の化合物および/または一般式(I)の化合物とは異なる、さらなるモノマーだけから製造されるとしても、該モノマーの製造形式に基づいて、もちろん微少量の開始剤または調節剤を含んでいてよい。
【0060】
本発明によるポリマーのさらなる好ましい実施態様において、一般式(I)の不飽和化合物、アクリル酸およびメタクリル酸またはアクリル酸およびマレイン酸(無水物)またはメタクリル酸およびマレイン酸(無水物)以外に、さらなるモノマーは、含まれていない。
【0061】
本発明によるポリマーのさらなる好ましい実施態様において、一般式(I)の不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸(無水物)以外に、さらなるモノマーは、含まれていない。
【0062】
本発明によるポリマーの組成は、そのつどの使用目的に依存して、広い範囲に亘り変動しうる。当業者であれば、適当に選択をする。
【0063】
たいてい、本発明によるポリマーは、そのつどポリマー中のモノマーの全体量に対して、一般式(I)の不飽和化合物を1〜99.9質量%、殊に5〜99.9質量%、有利に10〜99.9質量%、殊に有利に30〜99.5質量%、特に有利に50〜99質量%、殊に有利に55〜96質量%含む。
【0064】
本発明の好ましい実施態様において、本発明によるポリマーは、そのつどモノマーの全体量に対して、一般式(I)の飽和化合物、有利に化合物(Ia)、特に有利に化合物(Ib)1〜99.9質量%とモノエチレン性不飽和のさらなるモノマー99〜0.1質量%、有利に化合物(I)10〜99.9質量%とモノエチレン性不飽和のさらなるモノマー90〜0.1質量%、特に有利に化合物(I)30〜99.9質量%とモノエチレン性不飽和のさらなるモノマー70〜0.1質量%とを含み、ただし、式(I)の化合物とモノエチレン性不飽和のさらなるモノマーとの全体量は、少なくとも80質量%、有利に少なくとも90質量%、特に有利に少なくとも95質量%であるものとする。殊に有利に、式(I)の化合物およびモノエチレン性不飽和のさらなるモノマー以外に、他のモノマーは、含まれていない。
【0065】
さらなる好ましい実施態様において、本発明によるポリマーは、一般式(I)の不飽和化合物、有利に化合物(Ia)、特に有利に化合物(Ib)1〜99.9質量%、有利に10〜99.9質量%、特に有利に30〜99.9質量%および全部でさらなるモノマー99〜0.1質量%、有利に90〜0.1質量%、特に有利に70〜0.1質量%を含み、その際に、記載された量は、そのつど、ポリマー中のモノマーの全体量に対するものであり、およびさらなるモノマーは、
(1)モノエチレン性不飽和の、カルボン酸基を含むモノマーまたはその無水物もしくは塩、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸または無水マレイン酸、
(2)モノエチレン性不飽和の、リン酸基もしくはホスホン酸基を含むモノマーまたはその塩、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくはヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと(ポリ)リン酸とのエステル、
(3)モノエチレン性不飽和の、スルホン酸基を含むモノマーまたはその塩、例えばビニルスルホン酸または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
(4)(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、例えばヒドロキシエチルアクリレートまたはヒドロキシプロピルアクリレート、
(5)ポリアルコキシ基を含む、モノエチレン性不飽和モノマー、例えば(イソ)プレニルアルコキシレート、(メタ)アリルアルコキシレート、ヒドロキシブチルビニルエーテルアルコキシレートまたは(メタ)アクリル酸アルコキシレート、
の群から選択された少なくとも1つである。
【0066】
さらなる好ましい実施態様において、本発明によるポリマーは、少なくとも1つの化合物(I)、有利に(Ia)、特に有利に(Ib)とともに少なくとも2つのさまざまなさらなるモノマー、殊に少なくとも2つのさまざまなさらなるモノエチレン性不飽和モノマーを含む。有利に、さらなるモノマーは、少なくとも1個の酸基を含む、モノエチレン性不飽和モノマー、有利に上記の群(1)、(2)および(3)から選択されたモノマーならびにOH基および/またはポリアルコキシ基を含む、モノエチレン性不飽和モノマー、有利に上記の群(4)および(5)から選択されたモノマーである。この好ましい実施態様において、化合物(I)、有利に化合物(Ia)、特に有利に化合物(Ib)の量は、たいてい、そのつどポリマー中の全てのモノマーの全体量に対して、1〜99.9質量%、有利に10〜99.9質量%、特に有利に30〜99.9質量%であり、2つのさらなるモノマーの量は、一緒になって、99〜0.1質量%、有利に90〜0.1質量%、特に有利に70〜0.1質量%である。
【0067】
本発明の好ましい実施態様において、本発明によるポリマーは、少なくとも1つの化合物(Ib)70〜99質量%、有利に80〜98質量%および(メタ)アクリル酸1〜30質量%、有利に2〜20質量%を含む。
【0068】
本発明によるポリマーは、組成に依存して、広い範囲に亘り変動しうるモル質量分布を有する。当業者であれば、ポリマーの所望の使用目的に応じて適当なモル質量を選択する。数平均モル質量Mnは、例えば1000g/mol〜1000000g/molであることができる。
【0069】
殊に、本発明によるポリマーは、1000〜200000g/mol、有利に2000〜180000g/mol、特に有利に3000〜150000g/mol、殊に5000〜100000g/mol、例えば10000g/mol〜50000g/molの数平均M
nを有するモル質量分布(分子量分布)を有する。
【0070】
本発明のさらなる対象は、ポリマーの製造法である。製造は、殊に、一般式(I)、有利に(Ia)、特に有利に(Ib)の不飽和化合物ならびに任意にさらなるモノマーのラジカル重合により行うことができる。モノマーをラジカル重合させる方法は、原則的に当業者に公知である。
【0071】
ラジカル重合は、団塊中で行うことができるか、または有利に溶液中で行うことができる。溶液中での重合の場合、溶剤の選択は、不飽和化合物(I)の種類ならびに任意にさらなるモノマーの種類により、殊にモノマーの親水性により左右される。重合は、殊に極性溶剤中、有利に水溶液中で行うことができる。好ましくは、使用される溶剤または溶剤混合物が水を少なくとも50質量%含む水溶液が使用されてよい。そのうえ、水と混和性のさらなる溶剤、例えばアルコールが存在していてよい。好ましくは、水性溶剤は、水を少なくとも70質量%、特に有利に水を少なくとも90質量%含む。例えば、専ら水中で作業されうる。
【0072】
重合を開始させるために、原則的に公知の方法でラジカル重合のための開始剤が使用され、これは、殊に、熱重合開始剤、例えば過酸化物またはアゾ開始剤であることができる。重合温度は、当業者により所望の結果に応じて選択される。殊に、水溶液中での重合の場合には、50℃〜100℃の温度が有効であることが証明された。しかし、ラジカル重合は、他の技術により行われてもよく;例えば、光開始剤を使用する光重合である。
【0073】
水溶液中での重合の過程におけるpH値は、当業者により所望の結果に応じて選択されうる。本発明による化合物(I)は、酸性範囲内でも加水分解安定性である。このことは、技術水準で公知の類似の、酸性範囲内で、殊に3未満のpH値で加水分解の傾向があるビニルエーテル化合物H
2C=CH−O−R−(AO)
xとは区別される。このことは、前記ビニルエーテル化合物の使用可能性を明らかに減少させる。特に好ましくは、本発明による化合物は、任意にさらなるモノマーと一緒に、水溶液中で酸性のpH範囲内、殊にpH1〜6、有利に1〜5、殊にpH1〜3でラジカル重合されてよい。
【0074】
ラジカル重合は、例えば、バッチ法、半バッチ法で、または連続的方法により実施されうる。適当な連続的方法は、例えばWO 2009/100956A2中に記載されている。
【0075】
不飽和化合物(I)、有利に化合物(Ia)、特に有利に化合物(Ib)をさらなるモノマー、殊に酸基を含むさらなるモノマー、例えばアクリル酸と水溶液中でラジカル重合させる場合には、さまざまな技術が使用されてよい。
【0076】
本発明の実施態様において、モノマーの混合物は、それ自体として、または溶液で反応容器中に装入され、かつその後に、重合は、例えば熱重合開始剤の添加および温度の上昇によって開始される。本発明のさらなる実施態様において、不飽和化合物(I)の溶液、ならびに任意に、さらなるモノマーの一部および熱重合開始剤の一部は、反応容器中に装入される。この実施態様の場合、さらなるモノマーは、25質量%以下で装入されるべきであった。さらなるモノマーの残留量ならびに開始剤の残留量は、重合の開始後、殊に重合温度への加熱後に添加される。この場合、好ましくは、さらなるモノマーの溶液および開始剤の溶液が連続的に反応容器中に供給される。
【0077】
本発明の好ましい実施態様において、不飽和化合物(I)ならびにさらなるモノマーは、少しずつ重合反応器中に供給され、この場合この重合反応器は、或る程度の量の少なくとも1つの溶剤、殊に水性溶剤を含む。この実施態様の場合、不飽和化合物(I)、さらなるモノマーならびに開始剤の一部だけが反応容器中に装入され、その際に、装入されたモノマーの量は、全体量の25質量%、有利にモノマーの設けられた全体量の10質量%を上回るべきではなく、およびさらに、装入されたモノマーのmol比は、ポリマーに設けられた比に相応して選択されるべきであった。ずれは、たいてい、設けられた比の+/−20%以内、有利に+/−10%以内であるべきであった。特に好ましくは、装入されたモノマーの比は、所望のモノマー比に相応する。
【0078】
装入された割合のモノマーの重合が最初に開始される。このことは、バッチ量を所望の重合温度に加熱することにより、行うことができる。それとは別に、重合を既に室温で開始させる開始剤、例えばレドックス開始剤が添加されうる。重合は、開始剤をモノマーに添加した時に開始される。開始後に、不飽和化合物(I)およびさらなるモノマーが、有利に溶液として供給される。この場合には、前記モノマーが別々に供給されてよいか、または不飽和化合物(I)とさらなるモノマーとの混合物、有利に適当な溶剤中の不飽和化合物(I)とさらなるモノマーとの溶液が供給されてもよい。最初の場合に重合中の比が変動されてもよい一方で、最後の場合には、さらなるモノマーに対する不飽和化合物の比は、もちろん、確定されている。前記開始剤は、同様に、適当な溶剤中の溶液として供給される。
【0079】
この場合、不飽和化合物(I)ならびにさらなるモノマーの添加の際の計量供給速度は、そのつど、反応容器中で大過剰すぎて重合されない不飽和化合物(I)または重合されないさらなるモノマーが回避されるように選択されるべきであった。殊に、過剰の重合されない不飽和化合物(I)は、回避されるべきであった。不飽和化合物(I)/さらなるモノマーのmol比は、以下、xと呼ぶこととする。前記モノマーの計量供給速度は、有利に、反応器中に流入するモノマーのmol比が設けられた比の+/−20%以下、有利に+/−10%以下ずれないように選択されるべきであり、その際に、もちろん、前記モノマーの全体量は、所望の値に相応しなければならない。
【0080】
前記重合の記載された実施態様は、特に良好な使用技術的性質を有するコポリマーをもたらす。利点は、不飽和化合物(I)とさらなる酸基を有するさらなるモノマー、例えばアクリル酸との水溶液中での共重合の際に特に明らかである。このことは、実施例の一部に詳説される。それによって、一定の理論に確定されることなく、効果は、好ましい実施態様でモノマーが特に均一に組み込まれることに起因するものと思われる。
【0081】
本発明のさらなる対象は、ポリマーの製造法であり、その際に、
a.一般式(II)
【化7】
の不飽和化合物を含有するモノマーのラジカル重合および
b.工程a.で生じたポリマーと一般式(III)
【化8】
の化合物との重合類似の反応が行われ、その際に、符号および係数は、上記の意味を有する。
【0082】
本発明のさらなる対象は、セメント添加剤、セメント製造する際の粉砕助剤、水硬性結合材への添加剤、コンクリート流動化剤、プラスチック(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチルアルデヒド)、ゴムもしくはラテックス(例えば、スチレン/ブタジエンゴム−SBR、ニトリル/ブタジエンゴム−NBR)を製造するための反応性可塑剤、会合性増粘剤、酸化防止剤としての、またはポリエーテルシロキサンを製造するための本発明によるポリマーの使用である。
【0083】
本発明のさらなる対象は、本発明によるポリマーを含有する混合物である。
【0084】
好ましくは、本発明によるポリマーは、コンクリート流動化剤として、有利にコンクリートの流動化に使用される混合物中で使用される。当該混合物は、たいてい、ポリカルボキシレートエーテル型の流動化剤を、任意にリグニンスルホネート型および/またはβ−ナフタリンスルホン酸−ホルムアルデヒド共縮合物型のコンクリート流動化剤、空気連行剤、空気細孔形成剤、促進剤または遅延剤ならびに水と組み合わせて含有する。
【0085】
コンクリート流動化剤として使用するには、殊に、不飽和化合物(I)ならびに少なくとも1つのさらなるモノマー、殊に少なくとも1つのモノエチレン性不飽和のさらなるモノマーを含むコポリマーが適している。前記使用のための不飽和化合物(I)は、有利に化合物(Ia)、特に有利に化合物(Ib)であり、その際に、式(Ib)中のnは、有利に20〜140、殊に20〜60、殊に有利に20〜30である。コンクリート流動化剤としての使用に特に適したさらなるモノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートホスフェート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートホスフェートを含む。
【0086】
コンクリート流動化剤としての使用に適したコポリマーは、たいてい、不飽和化合物(I)55〜99.9質量%ならびにモノエチレン性不飽和のさらなるモノマー0.1〜45質量%を含み、その際に、不飽和化合物(I)ならびにモノエチレン性不飽和のさらなるモノマー、殊に当該のモノエチレン性不飽和のさらなるモノマーの全体量は、少なくとも90質量%、特に有利に少なくとも95質量%である。殊に、式(I)の化合物ならびにモノエチレン性不飽和のさらなるモノマー以外に他のモノマーは含まれていない。数平均分子量M
nは、前記使用のために、有利に1000g/mol〜100000g/mol、殊に5000g/mol〜10000g/mol、および例えば10000g/mol〜40000g/molである。
【0087】
さらなる好ましい混合物は、本発明によるポリマーと他のポリマー、有利にエラストマーとの混合物である。当該ポリマーの例は、ゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルクロリド、ポリビニルブチルアルデヒドである。
【0088】
好ましくは、ポリマーとしてゴムが選択される場合には、当該ゴムは、SBRゴム、例えばS−SBRゴムまたはE−SBRゴム、BRゴム、EPMゴム、EPDMゴム、SBゴム、IIRゴム、NBRゴムおよびCRゴムからなる群から選択されたゴム種、有利にSBRゴム、NBRゴムを含む。
【0089】
本発明は、効率的に加水分解安定性のポリマーへと反応されうる、加水分解安定性を有する反応性のアルコキシレートモノマーを提供することである。
【0090】
本発明は、実施例によって詳説されるが、しかし、実施例は、本発明の対象を限定するものではない。
【0091】
例:
VME:ビニルメルカプトエタノール H
2C=CH−S−CH
2CH
2OH
HBVE:ヒドロキシブチルビニルエーテル H
2C=CH−O−CH
2CH
2CH
2CH
2OH
測定法:
OH価:
OH価(OHZ)は、試料中に含まれているアルコール基のための基準である。測定は、アルコール基を過剰の無水酢酸でエステル化することにより、行われる。未反応の無水酢酸の加水分解後に、残留する遊離酢酸は、KOHで滴定される。OH価は、mg KOH/g 試料の単位で記載される。すなわち、OH価は、物質1gをアセチル化した際に結合された量の酢酸と当量である量のKOHの“mg”数に相応する。
【0092】
PEG含量:
ポリエチレングリコール含量として、非イオン性界面活性剤およびEO付加物中のPEGの薄層クロマトグラフィーにより測定可能な割合が当てはまる。この割合は、100グラム当たりのg数で記載される。ポリエチレングリコールを、薄層クロマトグラフィーにより、HPTLC完成プレートを用いて物質斑点中のオキシエチレートから分離し、かつドラーゲンドルフ試薬での誘導体化後に、軽減場所での軽減曲線の測定(Remissionsortskurvenmessung)によって数値化する。評価は、PEG標準(PEG 1000)での較正後に行われる。
【0093】
GPC測定
(試験5a〜5g以外の全ての試験ならびに比較試験5a〜5cについて):
カラム:
PSS Mainz社の次のカラムを順次に接続した:
・ PSS Suprema 前置カラム
・ PSS Suprema 30オングストローム、10μ 8×300mm
・ PSS Suprema 1000オングストローム、10μ 8×300mm
・ PSS Suprema 3000オングストローム、10μ 8×300mm
および35℃に温度調節した。
【0094】
カラム材料:
変性アクリレートコポリマー網状組織。
【0095】
溶離剤:
リン酸塩緩衝液 pH値9.7、
0.0239mol/L リン酸水素二ナトリウム(二水和物)、
pH 9.7 NaOH 2mol/Lで調節した、
0.5g/L ナトリウムアジド。
【0096】
試料を溶離剤で希釈した。
機器/ソフトウェア:
ChemStationを備えたAgilent 1100−System、PSS WinGPC Unityでの評価。
【0097】
条件:
試料の希釈:
1.5 mL 溶離剤+10μl アセトン(内部標準)+20μl 試料(最大50%までの溶液、より高い濃度で より少ない)、
注入量:50μl、針洗浄で、
流量:0.8 mL/分、
実行時間:60分間、
検出器:RID(Agilent G1362A)、35℃。
【0098】
較正:
PSSの較正標準:高いモル質量のための、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)。流量偏差を補正するための内部標準:アセトン。
【0099】
試験5a〜5gならびに比較試験5a〜5cのためのGPC法(第4表参照):
カラムの組合せ:Shodex、日本、のOH−Pak SB−G、OHピーク SB 804 HQおよびOH−Pak SB 802.5 HQ;溶離剤:HCO
2NH
4の水溶液80容量%(0.05mol/l)およびアセトニトリル20容量%;注入容量100μl;貫流速度0.5ml/分。平均モル質量を測定するための較正は、直鎖状ポリエチレングリコール標準で行われた。変換のための基準として、1の相対高さに対するポリマーのピークが規格化され、および未反応のマクロモノマー/PEG含有オリゴマーのピークの高さは、残留モノマー含量のための基準として使用される。
【0100】
例1:S−ビニルチオアルカノールのアルコキシレートの製造
実施例1a:
反応スキーム:
【化9】
【0101】
ビニルメルカプトエタノール104g(1.00mol)および(50質量%の)水酸化カリウム水溶液2.18g(KOH19.4mmol)を70℃で2Lのオートクレーブ中に予め装入し、かつ20ミリバール未満で2時間以内に脱水した。引き続き、このオートクレーブを窒素でパージし、および温度を130℃に高めた。酸化エチレン440g(10.0mol)を4時間以内に添加した。得られた反応混合物を130℃で10時間、さらに攪拌し、かつ100℃への冷却後に、真空中で揮発性成分を取り除いた。褐色の液体572gが得られた。
OHZ=102.5mg KOH/g(理論値 103.0mg KOH/g)。
【0102】
実施例1b:
反応スキーム:
【化10】
【0103】
ビニルメルカプトエタノール
*10EO(実施例1a)164g(0.30mol)および(50質量%の)水酸化カリウム水溶液686mg(KOH6.11mmol)を100℃で2Lのオートクレーブ中に予め装入し、かつ20ミリバール未満で2時間以内に脱水した。引き続き、このオートクレーブを窒素でパージし、および温度を130℃に高めた。酸化エチレン172g(3.90mol)を1.5時間以内に添加した。得られた反応混合物を130℃で8時間、さらに攪拌し、かつ100℃への冷却後に、真空中で揮発性成分を取り除いた。褐色の固体337gが得られた。
OHZ=55.6mg KOH/g(理論値 50.2mg KOH/g);PEG含量=10.5質量%。
【0104】
実施例1c:
反応スキーム:
【化11】
【0105】
ビニルメルカプトエタノール52.1g(0.50mol)および(メタノール中で32質量%の)メタノール性カリウムメチラート溶液410mg(KOMe1.87mmol)を65℃で2Lのオートクレーブ中に予め装入し、かつメタノールを20ミリバール未満で2時間以内に除去した。引き続き、このオートクレーブを窒素でパージし、および温度を120℃に高めた。酸化エチレン528g(12.0mol)を4時間以内に添加した。得られた反応混合物を120℃で10時間、さらに攪拌し、かつ100℃への冷却後に、真空中で揮発性成分を取り除いた。褐色の固体606gが得られた。
OHZ=47.5mg KOH/g(理論値 48.8mg KOH/g);PEG含量:1質量%未満。
【0106】
実施例1d:
反応スキーム:
【化12】
【0107】
ビニルメルカプトエタノール104g(1.00mol)およびKOHフレーク289mg(90%で、KOH4.50mmol)をトルエン416g中で60℃で2Lのオートクレーブ中に予め装入し、かつ窒素でパージした。引き続き、温度を120℃に高めた。酸化エチレン1057g(24.0mol)を13時間以内に添加した。得られた反応混合物を120℃で10時間、さらに攪拌し、かつ105℃への冷却後に、真空中で揮発性成分を取り除いた。明褐色の固体1181gが得られた。
OHZ=50.6mg KOH/g(理論値 48.8mg KOH/g);PEG含量:1質量%未満。
【0108】
実施例1e:
反応スキーム:
【化13】
【0109】
ビニルメルカプトエタノール104g(1.00mol)および(メタノール中で32質量%の)メタノール性カリウムメチラート溶液641mg(KOMe2.97mmol)を60℃で2Lのオートクレーブ中に予め装入し、かつメタノールを20ミリバール未満で2時間以内に除去した。引き続き、このオートクレーブを窒素でパージし、および温度を130℃に高めた。酸化プロピレン581g(10.0mol)を10時間以内に添加した。得られた反応混合物を130℃で10時間、さらに攪拌し、かつ100℃への冷却後に、真空中で揮発性成分を取り除いた。暗褐色の固体629gが得られた。
OHZ=88.0mg KOH/g(理論値 81.9mg KOH/g)。
【0110】
実施例1f:
反応スキーム:
【化14】
【0111】
ビニルメルカプトエタノール
*10 PO 188g(275mmol)(例1e)および(50質量%の)水酸化カリウム水溶液1.85g(KOH16.6mmol)を100℃で2Lのオートクレーブ中に予め装入し、かつ20ミリバール未満で2時間以内に脱水した。引き続き、このオートクレーブを窒素でパージし、および温度を120℃に高めた。酸化エチレン396g(9.00mol)を6時間以内に添加した。得られた反応混合物を120℃で5時間、さらに攪拌し、かつ90℃への冷却後に、真空中で揮発性成分を取り除いた。明褐色の固体597gが得られた。
OHZ=31.8mg KOH/g(理論値 28.8)。
【0112】
実施例1g:
反応スキーム:
【化15】
【0113】
ビニルメルカプトエタノール
*10 PO 68.4g(0.10mmol)(例1e)および(50質量%の)水酸化カリウム水溶液0.62g(KOH5.52mmol)を100℃で2Lのオートクレーブ中に予め装入し、かつ20ミリバール未満で2時間以内に脱水した。引き続き、このオートクレーブを窒素でパージし、および温度を120℃に高めた。酸化エチレン550g(12.5mol)を6時間以内に添加した。得られた反応混合物を120℃で5時間、さらに攪拌し、かつ90℃への冷却後に、真空中で揮発性成分を取り除いた。褐色の固体610gが得られた。
OHZ=12.2mg KOH/g(理論値 9.2)、PEG含量:1.4質量%。
【0114】
実施例1h:
反応スキーム:
【化16】
【0115】
ビニルメルカプトエタノール46.7g(448mmol)およびカリウムメタノラート120mg(1.71mmol)をトルエン100ml中で60℃で2Lのオートクレーブ中に予め装入し、かつ窒素でパージした。引き続き、温度を120℃に高めた。酸化エチレン1321g(30.0mol)を20時間以内に添加した。得られた反応混合物を120℃で10時間、さらに攪拌し、かつ100℃への冷却後に、真空中で揮発性成分を取り除いた。明褐色の固体1396gが得られた。
OHZ=21.2mg KOH/g(理論値 18.4mg KOH/g)、PEG含量:1.4質量%。
【0116】
実施例1i:
反応スキーム:
【化17】
【0117】
ビニルメルカプトエタノール23.4g(224mmol)およびカリウムメタノラート120mg(1.71mmol)をトルエン50ml中で60℃で2Lのオートクレーブ中に予め装入し、かつ窒素でパージした。引き続き、温度を120℃に高めた。酸化エチレン1332g(30.2mol)を36時間以内に添加した。得られた反応混合物を120℃で12時間、さらに攪拌し、かつ100℃への冷却後に、真空中で揮発性成分を取り除いた。明褐色の固体1388gが得られた。
OHZ=12.1mg KOH/g(理論値 9.3mg KOH/g)、PEG含量:2.0質量%。
【0118】
比較例1j:
HBVE−24 EOの製造
実施例1cと同様に行ったが、VMEの代わりに相応する量のHBVEを使用した。
【0119】
比較例1k:
HBVE−67 EOの製造
実施例1hと同様に行ったが、VMEの代わりに相応する量のHBVEを使用した。
【0120】
比較例1l:
HBVE−135 EOの製造
実施例1iと同様に行ったが、VMEの代わりに相応する量のHBVEを使用した。
【0121】
例2:ポリマーの製造、方法(A)
方法(A)の場合、VMEアルコキシレートまたはHBVEアルコキシレートを重合のために予め装入する。
【0122】
実施例2a:
VME−23EO 89質量%とアクリル酸11質量%とからなるコポリマー
pH2〜3での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中で、実施例1bによるVMEエトキシレート35.6g(23EO)を水63.5g中に溶解した。溶液A(水18.4g中に溶解したアクリル酸4.4g)の部分量(1.1g)および溶液B(水38.1g中に溶解した2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44))の部分量(2g)を添加した。前記溶液を窒素の下で70℃へ加熱することによって、重合を開始させ、かつ引き続き溶液AおよびBの残留量を添加し、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0123】
実施例2b:
実施例2aと同様に行ったが、開始剤の量を1.6gから1.2gへ減少させた。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0124】
実施例2c:
実施例2aと同様に行ったが、開始剤の量だけ、1.6gから0.8gへ減少させた。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0125】
比較例2a:
HBVE−24EO 89質量%とアクリル酸11質量%とからなるコポリマー
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中で、比較例1iによるHBVE−24EO35.6gを水63.5g中に溶解した。溶液A(水18.4g中に溶解したアクリル酸4.4g)の部分量(1.1g)および溶液B(水38.1g中に溶解した2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44))の部分量(2g)を添加した。前記溶液を窒素の下で70℃へ加熱することによって、重合を開始させ、かつ引き続き溶液AおよびBの残留量を添加し、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0126】
比較例2b:
例2と同様に行ったが、開始剤の量を1.6gから1.2gへ減少させた。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0127】
比較例2c:
例2と同様に行ったが、開始剤の量を1.6gから0.8gへ減少させた。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0128】
実施例2aおよび比較例2aからの反応生成物のGPC測定は、HBVE−24EO(比較試験2a)の場合に、さらなる強い顕著な低分子ピークを示した。HBVEエトキシレートの場合には、大きな割合のモノマーが重合中に加水分解された。
【0129】
さらに、比較例2a、2bおよび2cの
1H−NMR測定で、ビニル化合物は、もはや観察されなかった。
【0130】
実施例2d:
VME−23EO 85質量%とアクリル酸ナトリウム15質量%とからなるコポリマー
pH7〜8での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中で、実施例1bによるVMEエトキシレート−23EO34.0gを水63.5g中に溶解した。溶液A(水18.4g中に溶解したアクリル酸Na塩6.0g)の部分量(1.2g)および溶液B(水38.1g中に溶解した2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44))の部分量(2g)を添加した。前記溶液を窒素の下で70℃へ加熱することによって、重合を開始させ、かつ引き続き溶液AおよびBの残留量を添加し、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0131】
比較例2d:
HBVE−24EO 85質量%とアクリル酸ナトリウム15質量%とからなるコポリマー
pH7〜8での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中で、実施例1iによるHBVE−24EO34.0gを水63.5g中に溶解した。溶液A(水18.4g中に溶解したアクリル酸Na塩6.0g)の部分量(1.2g)および溶液B(水38.1g中に溶解した2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44))の部分量(2g)を添加した。前記溶液を窒素の下で70℃へ加熱することによって、重合を開始させ、かつ引き続き溶液AおよびBの残留量を添加し、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。
【0132】
中性のpHの場合、HBVEエトキシレートの加水分解は、観察されなかった。ポリマーの
1H−NMR測定は、使用されたHBVEエトキシレートの約8%が重合されていなかったことをもたらす。HBVEエトキシレート/アクリル酸コポリマーのモル質量は、VMEエトキシレート−アクリル酸コポリマーのモル質量よりも明らかに低かった。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0133】
実施例2e:
VME−23EO 89質量%とアクリル酸11質量%とからなるコポリマー
pH1.9での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中で、実施例1dによるVMEエトキシレート−24EO42.7gを水38.8g中に溶解した。前記溶液を窒素の下で95℃に加熱し、および溶液A(水41.4g中に溶解したアクリル酸5.3g)およびB(水31.4g中に溶解したペルオキソ二硫酸ナトリウム1.9g)の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、4時間で添加され、および溶液Bは、5時間で添加された。引き続き、反応混合物を95℃で2時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0134】
比較例2e:
HBVE−24EO 89質量%とアクリル酸11質量%とからなるコポリマー
pH1.9での重合
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中で、比較例1jによるHBVE−24EO42.7gを水38.8g中に溶解した。前記溶液を窒素の下で95℃に加熱し、および溶液A(水41.4g中に溶解したアクリル酸5.3g)およびB(水31.4g中に溶解したペルオキソ二硫酸ナトリウム1.9g)の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、4時間で添加され、および溶液Bは、5時間で添加された。引き続き、反応混合物を95℃で2時間攪拌した。HBVEエトキシレートの強い加水分解が観察された。GPCにおいて、小さなモル質量の際に大きなピークが観察された。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0135】
実施例2f:団塊中での重合
VME−24EO 89質量%とアクリル酸11質量%とからなるコポリマー
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、実施例1dによるVME−24EO71.2gおよび2−メルカプトエタノール2.4gを予め装入した。混合物を窒素の下で85℃に加熱し、およびアクリル酸8.7gおよびt−ブチルペルオクトエート3.2gの添加を開始させ、その際に、アクリル酸は、3時間で添加され、および開始剤は、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を85℃で4時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0136】
比較例2f:
HBVE−24EO 89質量%とアクリル酸11質量%とからなるコポリマー
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、比較例1jによるHBVE−24EO71.2gおよび2−メルカプトエタノール2.4gを予め装入した。混合物を窒素の下で85℃に加熱し、およびアクリル酸8.7gおよびt−ブチルペルオクトエート3.2gの添加を開始させ、その際に、アクリル酸は、3時間で添加され、および開始剤は、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を85℃で4時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0137】
本発明によるポリマーは、団塊中でも(溶剤なしに)製造されうる。団塊中での重合のために、モノマーにアゾ開始剤が混合される。例えば、VMEエトキシレートとアクリル酸とを団塊中で開始剤としてのペルオクトエートを用いて85℃で共重合させることも可能である。団塊中での重合の場合には、調整剤、例えばメルカプトエタノールまたはメルカプトプロピオン酸が使用されてもよい。
【0138】
実施例2g:長鎖状VMEエトキシレートの重合
VME−67EO 81質量%とアクリル酸19質量%とからなるコポリマー
pH2〜3での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中で、実施例1hによるVMEエトキシレート32.6g(67EO)を水63.5g中に溶解した。溶液A(水18.4g中に溶解したアクリル酸7.6g)の部分量(1.3g)および溶液B(水38.1g中に溶解した2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44))の部分量(2g)を添加した。前記溶液を窒素の下で70℃へ加熱することによって、重合を開始させ、かつ引き続き溶液AおよびBの残留量を添加し、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0139】
比較例2g:
HBVE−67EO 81質量%とアクリル酸19質量%とからなるコポリマー
pH2〜3での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中で、比較例1kによるHBVEエトキシレート32.4g(67EO)を水57.6g中に溶解した。溶液A(水24.0g中に溶解したアクリル酸7.6g)の部分量(1.6g)および溶液B(水38.4g中に溶解した2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44))の部分量(2g)を添加した。前記溶液を窒素の下で70℃へ加熱することによって、重合を開始させ、かつ引き続き溶液AおよびBの残留量を添加し、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0140】
実施例2gおよび比較例2gからの反応生成物のGPC測定は、HBVE−24EO(比較試験2g)の場合に、さらなる強い顕著な低分子ピークを示した。HBVEエトキシレートの場合には、大きな割合のモノマーが重合中に加水分解された。さらに、比較例2gの
1H−NMR測定で、ビニル化合物は、もはや観察されなかった。
【0141】
実施例2h:
VME−135EO 81質量%とアクリル酸19質量%とからなるコポリマー
pH2〜3での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中で、VMEエトキシレート32.3g(135EO)を水63.5g中に溶解した。溶液A(水18.4g中に溶解したアクリル酸7.7g)の部分量(1.3g)および溶液B(水38.2g中に溶解した2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44))の部分量(2g)を添加した。前記溶液を窒素の下で70℃へ加熱することによって、重合を開始させ、かつ引き続き溶液AおよびBの残留量を添加し、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0142】
比較例2h:
HBVE−135EO 81質量%とアクリル酸19質量%とからなるコポリマー
pH2〜3での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中で、比較例1lによるHBVEエトキシレート32.3g(135EO)を水57.6g中に溶解した。溶液A(水24.0g中に溶解したアクリル酸7.7g)の部分量(1.6g)および溶液B(水38.4g中に溶解した2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44))の部分量(2g)を添加した。前記溶液を窒素の下で70℃へ加熱することによって、重合を開始させ、かつ引き続き溶液AおよびBの残留量を添加し、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第1表中にまとめられている。
【0143】
【表1】
【0144】
例3:ポリマーの製造、(方法(B))
方法(B)の場合、VMEアルコキシレートまたはHBVEアルコキシレートは、重合のために予め装入されるのではなく、重合中に少しずつ添加される。
【0145】
実施例3a:
VME−23EO 89質量%とアクリル酸11質量%とからなるコポリマー(mol比1:2)
pH2.8での重合(過酸化物開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水66g、溶液A(実施例1bによるVME−23EO35.6gならびに水18g中に溶解したアクリル酸4.4g)の部分量(2.9g)および溶液B(t−ブチルペルピバレート0.8g(75%溶液)およびイソプロパノール36g)の部分量(1.9g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で75℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加により、重合を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を75℃で2時間攪拌した。イソプロパノールを留去した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第2表中にまとめられている。
【0146】
実施例3b:
VME−23EO 89質量%とアクリル酸11質量%とからなるコポリマー
pH2.6での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水66g、溶液A(実施例1bによるVME−23EO35.6g、水18g中に溶解したアクリル酸4.4g)の部分量(2.9g)および溶液B(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44)および水36g)の部分量(1.9g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で70℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第2表中にまとめられている。
【0147】
比較例3a:
HBVE−24EO 86質量%とアクリル酸ナトリウム14質量%とからなるコポリマー
pH8.5での重合(過酸化物開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水288.7g、溶液A(実施例1iによるHBVE−24EO150.8g、30%のアクリル酸ナトリウム溶液80.6gおよび水48.5g)の部分量(14g)および溶液B(t−ブチルペルピバレート3.5g(75%溶液)およびイソプロパノール131.2g)の部分量(6.7g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で75℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を75℃で2時間攪拌した。反応混合物をpH7.5〜8.0で一定に保持した。引き続き、イソプロパノールを留去した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第2表中にまとめられている。
【0148】
比較例3b
HBVE−24EO 86質量%とアクリル酸ナトリウム14質量%とからなるコポリマー
pH2〜3での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水252g、溶液A(実施例1iによるHBVE−24EO150.8g、30%のアクリル酸ナトリウム溶液80.6gおよび水48.5g)の部分量(14g)および溶液B(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩3.5g(Wako VA−44)および水168g)の部分量(8.6g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で70℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。反応混合物をpH7.5〜8.0で一定に保持した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第2表中にまとめられている。
【0149】
実施例3c:
VME−135EO 97質量%とアクリル酸ナトリウム3質量%とからなるコポリマー
pH9.4での重合(過酸化物開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水39.4g、溶液A(実施例1hによるVME−135EO36.4g、30%のアクリル酸ナトリウム溶液3.7gおよび水48g)の部分量(4.4g)および溶液B(t−ブチルペルピバレート0.75g(75%溶液)およびイソプロパノール22g)の部分量(1.16g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で75℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を75℃で2時間攪拌した。イソプロパノールを留去した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第2表中にまとめられている。
【0150】
実施例3d:
VME−135EO 97質量%とアクリル酸ナトリウム3質量%とからなるコポリマー
pH8.6での重合(アゾ開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水45g、溶液A(実施例1hによるVME−135EO36.7g、30%のアクリル酸ナトリウム溶液3.7gおよび水48g)の部分量(4.4g)および溶液B(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩0.75g(Wako VA−44)および水17g)の部分量(0.88g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で70℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第2表中にまとめられている。
【0151】
比較例3c:
HBVE−135EO 94質量%とアクリル酸ナトリウム6質量%とからなるコポリマー
pH7.7での重合(過酸化物開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水238.7g、溶液A(比較例1jによるHBVE−135EO164.9g、30%のアクリル酸ナトリウム溶液33.7gおよび水131.4g)の部分量(14.0g)および溶液B(t−ブチルペルピバレート3.5g(75%溶液)およびイソプロパノール131.2g)の部分量(6.7g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で75℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を75℃で2時間攪拌した。反応混合物をpH7.5〜8.0で一定に保持した。引き続き、イソプロパノールを留去した。合成のためのデータならびに得られたポリマーのM
n、M
wおよびPDIは、第2表中にまとめられている。
【0152】
【表2】
【0153】
例4:
VMEエトキシレートとメタクリル酸との重合
【化18】
【0154】
実施例4a:
VME−24EO 87質量%とメタクリル酸ナトリウム13質量%とからなるコポリマー
pH7.5〜8.0での重合(アゾ開始剤)、方法(A)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水57g、VME−24EO34.8g、溶液A(30%のメタクリル酸ナトリウム溶液17.2gおよび水12g)の部分量(1.4g)および溶液B(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44)および水38.4g)の部分量(2.0g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で70℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。結果は、第3表中にまとめられている。
【0155】
実施例4b:
VME−23EO 82質量%とメタクリル酸ナトリウム18質量%とからなるコポリマー
pH7.5〜8.0での重合(過酸化物開始剤)、方法(A)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水70g、VME−23EO33g、溶液A(30%のメタクリル酸ナトリウム溶液24gおよび水20g)の部分量(2.1g)および溶液B(t−ブチルペルピバレート1.6g(75%溶液)およびイソプロパノール14.4g)の部分量(0.8g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で75℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を75℃で2時間攪拌した。イソプロパノールを留去した。結果は、第3表中にまとめられている。
【0156】
例4c:
VME−23EO 87質量%とメタクリル酸ナトリウム13質量%とからなるコポリマー
pH2.5〜3.0での重合(過酸化物開始剤)、方法(A)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水70g、VME−23EO 35g、溶液A(水36g中に溶解したメタクリル酸5.2g)の部分量(2.0g)および溶液B(t−ブチルペルピバレート1.6g(75%溶液)およびイソプロパノール14.4g)の部分量(0.8g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で75℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を75℃で2時間攪拌した。イソプロパノールを留去した。結果は、第3表中にまとめられている。
【0157】
実施例4d:
VME−23EO 89質量%とメタクリル酸ナトリウム11質量%とからなるコポリマー
pH7.5〜8.0での重合(アゾ開始剤)、方法(B)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水66g、溶液A(VME−23EO35.6g、水18g中に溶解したメタクリル酸4.4g)の部分量(2.9g)および溶液B(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44)および水36g)の部分量(1.9g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で70℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。結果は、第3表中にまとめられている。
【0158】
実施例4e:
VME−23EO 89質量%とメタクリル酸ナトリウム11質量%とからなるコポリマー
pH7.5〜8.0での重合(過酸化物開始剤)、方法(B)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水66g、溶液A(VME−23EO35.6g、水18g中に溶解したメタクリル酸4.4g)の部分量(2.9g)および溶液B(t−ブチルペルピバレート0.8g(75%溶液)およびイソプロパノール36g)の部分量(1.9g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で75℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を75℃で2時間攪拌した。イソプロパノールを留去した。
【0159】
結果は、第3表中にまとめられている。
【0160】
比較例4f:
HBVE−23EO 87質量%とメタクリル酸ナトリウム13質量%とからなるコポリマー
pH7.5〜8.0での重合(アゾ開始剤)、方法(A)
反応スキーム:
【化19】
【0161】
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水57.6g、HBVE−24EO35g、溶液A(30%のメタクリル酸ナトリウム溶液17gおよび水12g)の部分量(1.5g)および溶液B(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44)および水38.4g)の部分量(2.0g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で70℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。結果は、第3表中にまとめられている。
【0162】
比較例4g:
HBVE−23EO 87質量%とメタクリル酸ナトリウム13質量%とからなるコポリマー
pH7.5〜8.0での重合(アゾ開始剤)、方法(B)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水66g、溶液A(VME−23EO35.6g、水18g中に溶解したメタクリル酸4.4g)の部分量(2.9g)および溶液B(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩1.6g(Wako VA−44)および水36g)の部分量(1.9g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で70℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。結果は、第3表中にまとめられている。
【0163】
実施例4h:
VME−24EO 87質量%とメタクリル酸ナトリウム13質量%とからなるコポリマー
pH7.5〜8.0での重合(過酸化物開始剤)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導管および計量供給導管を装備したガラス反応器中に、水66g、溶液A(VME−23EO35.6g、水18g中に溶解したアクリル酸4.4g)の部分量(2.9g)および溶液B(t−ブチルペルピバレート0.8g(75%溶液)およびイソプロパノール36g)の部分量(1.9g)を予め装入した。予めの装入物を窒素の下で75℃に加熱し、および溶液AおよびBの残留量の添加を開始させ、その際に、溶液Aは、3時間で添加され、および溶液Bは、4時間で添加された。引き続き、反応混合物を75℃で2時間攪拌した。イソプロパノールを留去した。結果は、第3表中にまとめられている。
【0164】
【表3】
【0165】
例5:
HBVEアルコキシレートと比較した、VMEアルコキシレートとHEMAおよびHPMAリン酸塩との共重合
実施例5a:
VME−67EO80質量%とヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート20質量%とからなるコポリマー
試験装置は、1000mlの二重壁反応器とサーモスタットとパドルミキサーを備えた攪拌モータと温度センサーとpHプローブとN
2供給管とから構成されている。反応器中に水172.80gおよびVME−67EO103.38gを装入する。引き続き、N
2を導入し、かつ酸素を排除する。サーモスタットをT=75℃に調節し、かつ反応器内容物を加熱する。およそ60℃で水137.12g中のヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート25.94g(HEMA−P)を添加する。約1.0〜1.5のpH値が生じる。その後に、50%のNaOH9.02gを添加して、pH値を約3に調節する。HEMA−P溶液を添加した際に、温度は、50℃にまで低下する。引き続き、反応器内容物を60℃に加熱する。そのために、水13.2g中のWako VA−044 1.32g(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩)を添加する。3時間の反応時間後、反応器内容物を25℃に冷却する。生じた黄色の僅かに混濁した生成物は、約2.5のpH値および30%の固体含量を有する。ポリマーの平均モル質量(Mw)は、29000g/molである。多分散性指数1.25。転化率は、ポリマー約75%である(GPCによる測定)。結果は、第4表中にまとめられている。
【0166】
実施例5b:
VME−135EO 84質量%とヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート16質量%とからなるコポリマー
実施例5aと同じ装置を使用した。反応器中に水172.80gおよびVME−135EO 106.38gを装入する。引き続き、N
2を導入し、かつ酸素を排除する。サーモスタットをT=75℃に調節し、かつ反応器内容物を加熱する。約60℃で、水104.6g中のヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート19.79g(HEMA−P)の添加を行う。約1.0〜1.5のpH値が生じる。その後に、50%のNaOH7.05gを添加して、pH値を約3に調節する。HEMA−P溶液を添加した際に、温度は、50℃にまで低下する。引き続き、反応器内容物を60℃に加熱する。そのために、水11.3g中のWako VA−044 1.26g(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩)を添加する。3時間の反応時間後、反応器内容物を25℃に冷却する。結果は、第4表中にまとめられている。
【0167】
実施例5c:
VME−135EO 89質量%とヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート11質量%とからなるコポリマー
実施例5aと同じ装置を使用した。反応器中に水328.3gおよびVME−135EO 202.12gを装入する。引き続き、N
2を導入し、かつ酸素を排除する。サーモスタットをT=75℃に調節し、かつ反応器内容物を加熱する。約60℃で、水132.5g中のヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート25.06g(HEMA−P)の添加を行う。約1.0〜1.5のpH値が生じる。その後に、50%のNaOH8.90gを添加して、pH値を約3に調節する。HEMA−P溶液を添加した際に、温度は、50℃にまで低下する。引き続き、反応器内容物を60℃に加熱する。そのために、水21.6g中のWako VA−044 2.27g(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩)を添加する。3時間の反応時間後、反応器内容物を25℃に冷却する。結果は、第4表中にまとめられている。
【0168】
実施例5d:
VME−135EO 92質量%とヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート8質量%とからなるコポリマー
実施例5aと同じ装置を使用した。反応器中に水328.3gおよびVME−135EO 202.12gを装入する。引き続き、N
2を導入し、かつ酸素を排除する。サーモスタットをT=75℃に調節し、かつ反応器内容物を加熱する。約60℃で、水88.31g中のヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート16.71g(HEMA−P)の添加を行う。約1.0〜1.5のpH値が生じる。その後に、50%のNaOH5.78gを添加して、pH値を約3に調節する。HEMA−P溶液を添加した際に、温度は、50℃にまで低下する。引き続き、反応器内容物を60℃に加熱する。そのために、水21.6g中のWako VA−044 2.19g(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩)を添加する。3時間の反応時間後、反応器内容物を25℃に冷却する。結果は、第4表中にまとめられている。
【0169】
実施例5e:
VME−10PO−125EO 84質量%とヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート16質量%とからなるコポリマー
実施例5aと同じ装置を使用した。反応器中に水328.3gおよびVME−10PO−125EO 202.12gを装入する。引き続き、N
2を導入し、かつ酸素を排除する。サーモスタットをT=75℃に調節し、かつ反応器内容物を加熱する。約60℃で、水198.7g中のヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート37.59g(HEMA−P)の添加を行う。約1.0〜1.5のpH値が生じる。その後に、50%のNaOH13.45gを添加して、pH値を約3に調節する。HEMA−P溶液を添加した際に、温度は、50℃にまで低下する。引き続き、反応器内容物を60℃に加熱する。そのために、水21.6g中のWako VA−044 2.4g(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩)を添加する。3時間の反応時間後、反応器内容物を25℃に冷却する。結果は、第4表中にまとめられている。
【0170】
実施例5f:
VME−135EO 84質量%とヒドロキシプロピルメタクリレートホスフェート16質量%とからなるコポリマー
実施例5aと同じ装置を使用した。反応器中に水328.3gおよびVME−135EO 202.12gを装入する。引き続き、N
2を導入し、かつ酸素を排除する。サーモスタットをT=75℃に調節し、かつ反応器内容物を加熱する。約60℃で、水198.7g中のヒドロキシプロピルメタクリレートホスフェート38.81g(HPMA−P)の添加を行う。約1.0〜1.5のpH値が生じる。その後に、50%のNaOH11.5gを添加して、pH値を約3に調節する。HPMA−P溶液を添加した際に、温度は、50℃にまで低下する。引き続き、反応器内容物を60℃に加熱する。そのために、水21.6g中のWako VA−044 2.4g(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩)を添加する。3時間の反応時間後、反応器内容物を25℃に冷却する。結果は、第4表中にまとめられている。
【0171】
実施例5g:
VME−135EO 98質量%と無水マレイン酸2質量%とからなるコポリマー
実施例5aと同じ装置を使用した。反応器中に水218.88gおよびVME−135EO 134.75gを装入する。引き続き、N
2を導入し、かつ酸素を排除する。サーモスタットをT=75℃に調節し、かつ反応器内容物を加熱する。約60℃で、水7.9g中の無水マレイン酸2.67g(MSA)の添加を行う。その後に、40%のKOH2.68gを添加してpH値を約3に調節する。MSA溶液の添加後、温度は、50℃にまで低下する。引き続き、反応器内容物を60℃に加熱する。そのために、水12.37g中のWako VA−044 1.37g(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩)を添加する。3時間の反応時間後、反応器内容物を25℃に冷却する。結果は、第4表中にまとめられている。
【0172】
比較例5a:
HBVE−135EO 84質量%とヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート16質量%とからなるコポリマー
実施例5aと同じ装置を使用した。反応器中に水217.15gおよびHBVE−135EO133.68gを装入する。引き続き、N
2を導入し、かつ酸素を排除する。サーモスタットをT=75℃に調節し、かつ反応器内容物を加熱する。約60℃で、水135.95g中のヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート25.72g(HEMA−P)の添加を行う。その後に、50%のNaOH9.13gを添加してpH値を約6.5に調節する。HEMA−P溶液の添加後、温度は、50℃にまで低下する。引き続き、反応器内容物を60℃に加熱する。そのために、水11.34g中のWako VA−044 1.59g(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩)を添加する。3時間の反応時間後、反応器内容物を25℃に冷却する。結果は、第4表中にまとめられている。
【0173】
比較例5b:
HBVE−135EO 89質量%とヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート11質量%とからなるコポリマー
実施例5aと同じ装置を使用した。反応器中に水217.15gおよびHBVE−135EO133.68gを装入する。引き続き、N
2を導入し、かつ酸素を排除する。サーモスタットをT=75℃に調節し、かつ反応器内容物を加熱する。約60℃で、水90.64g中のヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート17.15g(HEMA−P)の添加を行う。その後に、50%のNaOH9.5gを添加してpH値を約6.5に調節する。HEMA−P溶液の添加後、温度は、50℃にまで低下する。引き続き、反応器内容物を60℃に加熱する。そのために、水11.34g中のWako VA−044 1.51g(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩)を添加する。3時間の反応時間後、反応器内容物を25℃に冷却する。結果は、第4表中にまとめられている。
【0174】
比較例5c:
HBVE−135EO 98質量%と無水マレイン酸2質量%とからなるコポリマー
実施例5aと同じ装置を使用した。反応器中に水434.3gおよびHBVE−135EO267.37gを装入する。引き続き、N
2を導入し、かつ酸素を排除する。サーモスタットをT=75℃に調節し、かつ反応器内容物を加熱する。約60℃で、水28.62g中の無水マレイン酸5.48g(MSA)の添加を行う。その後に、40%のKOH5.3gを添加してpH値を約6.5に調節する。MSA溶液の添加後、温度は、50℃にまで低下する。引き続き、反応器内容物を60℃に加熱する。そのために、水24.55g中のWako VA−044 2.73g(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩)を添加する。3時間の反応時間後、反応器内容物を25℃に冷却する。結果は、第4表中にまとめられている。
【0175】
【表4】
【0176】
使用試験
試験方法:
HBVEエトキシレートと比較した、VMEエトキシレートをベースとするポリカルボキシレートエーテル流動化剤での広がり試験
DIN EN 196−1により、ハイデルベルガーセメントCEM I、42.5R 450gと標準砂1350gと水225g(流動化剤と一緒に添加すべき水を差し引いて)とからなるモルタルを製造した。流動化剤(セメントに対して0.1〜0.3質量%)を、消泡剤トリイソブチルホスフェート(流動化剤の乾燥団塊に対して7質量%)と一緒にモルタル調製してから90秒後に添加した。添加後、なお60秒間、混合した。引き続き、モルタルを円錐形の金属型内に充填し、この金属型を、揺動テーブル上の中心で、二軸(cm単位)を有する座標系の原点に位置付けた。上縁部の過剰のモルタルを落とし、型を取り外し、その結果、円錐形のモルタルケークをフローテーブル上に留めた。揺動テーブルによる15回の衝撃(ストローク衝撃)後に、前記ケークの直径を前記軸に沿って測定した。前記モルタルケークの直径が大きくなればなるほど、モルタルの流動特性は、ますます良好になる。同一のモルタル試料を用いて、測定を30分後、60分後、および90分後に繰り返した。温度は、23+/−1℃であった。
【0177】
そのつど使用されたポリマー、その量ならびに試験結果は、第5表中にまとめられている。
【0178】
【表5-1】
【0179】
【表5-2】
【0180】
【表5-3】
【0181】
使用技術的試験に対する注釈
表中の例は、VMEエトキシレートを用いる試験がHBVEに基づく試験よりもモルタル流動化に関連して良好な作用を有することを示す。
【0182】
零試験において、前記モルタルケークの直径は、1分後に17.65cmであった。HBVEをベースとする流動化剤0.12%(比較例V2)の添加は、1分後に直径19.55cmのモルタルケークをもたらす。相応するVMEをベースとする生成物(例2)を用いて、21.15cmを達成する。濃度を2倍にした場合でもVMEをベースとする生成物は、より良好であり;VMEをベースとする生成物を用いると、26cm(試験4)が達成されるが、HBVEをベースとする生成物を用いると、21.1cmだけであった。
【0183】
さらに、試験は、方法(B)により製造されたポリマーを用いると、方法(A)により製造されたポリマーよりも良好な使用技術的結果が達成されることを示す。0.12質量%の量で、方法(A)により製造されたVMEをベースとする生成物での最も良好な試験は、21.15cmをもたらした(試験2)。方法(B)により製造されたVMEをベースとする生成物での試験7および9の場合には、0.1質量%を有するポリマー量が試験2(0.12質量%)の場合よりもむしろ少ないとしても、約28〜29cmが達成された。
【0184】
それによって、このことは、理論的に確定されることなく、化合物(I)が当該化合物(I)の比較的高い反応性に基づいて比較的簡単に自己重合することに起因するものと思われる。方法(A)の場合には、化合物(I)が予め装入されかつコモノマーが少しずつ添加されるので、ブロック構造の形成は、促進される。2つのモノマーが少しずつ添加される方法(B)は、コポリマー中へのVMEモノマーの均一な組込みがもたらされるものと思われる。それによって、コンクリート流動化剤としての明らかにより良好な作用が達成されうることは、明白である。