(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。また、本発明において、値の範囲を"〜"を用いて表した場合は、その両境界の値は、範囲内に含まれるものとする。
【0019】
<構成>
本発明の3次元測定機は、手動でプローブを測定対象物(以後、単にワークと称する)の測定ポイントに接触させて測定する際のプローブ操作が、前記測定ポイントごとに設定された測定条件からはずれた操作である誤操作の場合に警告を発する警告手段を備えて構成されている。このような構成についての一実施形態を以下に説明する。
【0020】
本発明の3次元測定機の一実施形態を、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の3次元測定機の一実施形態のブロック図である。
図2は、門移動型の3次元測定機の斜視図である。
図1に示すように、本発明の3次元測定機は、測定手段10と、演算手段11と、表示手段12と、誤操作判定手段13と、測定条件記憶手段14と、警告手段15と、を主に備えて構成される。
【0021】
図2を参照して、測定手段10は、ワークの測定ポイントに接触させるためのプローブ20と、プローブをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させるための3次元移動手段21と、ワークを載置するためのテーブル22と、を含んで構成される。
【0022】
ここで、
図2では、測定手段10が門移動型である3次元測定機の構成で説明したが、これに限定されるものでは無く、
図3に示されるように、測定手段10が多関節型のものであっても良い。
図3は、多関節型3次元測定機の測定手段を示す斜視図である。
【0023】
多関節型の測定手段10は、プローブ20が、複数の関節32a,32b,32c,32d,32eで直列に接続された複数のアーム34a,34b,34c,34dの先端に接続されている。複数の関節32a,32b,32c,32d,32eは回動自在に構成されており、これにより複数のアーム34a,34b,34c,34dは揺動自在に構成されている。
【0024】
即ち、測定手段10は、プローブ20を3次元的に移動可能とするものであれば、門移動型でも、多関節型でも、それ以外のものであっても良い。ここでは、門移動型の測定手段を例によって説明する。
【0025】
図1と
図2とに戻って、3次元移動手段21は、プローブ20をX軸方向(図面視左右方向)に移動自在にするX軸スライダ23と、プローブ20をY軸方向(図面視手前から奥方向)に移動自在にするY軸スライダ24と、プローブ20をZ軸方向(図面視上下方向)に移動自在にするZ軸スライダ25とから構成することができる。
【0026】
Y軸スライダは、テーブル22の側辺を摺動することができ、X軸スライダ23は、Y軸スライダ24を構成する板状部材上を摺動することができ、Z軸スライダ25は、X軸スライダ23を構成する部材内を摺動することができる。X軸スライダ23、Y軸スライダ24、Z軸スライダ25としては、例えば、エアスライダを使用することができる。
【0027】
テーブル22は、架台26と、定盤27とから構成することができる。架台26は、エアシリンダで定盤27を支えて、定盤27が常に水平になるように制御することが好ましい。
【0028】
また、測定手段10は、以下の手段を備えることができる。
・プローブの先端の3次元座標位置を検出する座標位置検出手段
・プローブの移動速度を検出するプローブ速度検出手段
・プローブの移動加速度を検出するプローブ加速度検出手段
・パートプログラムに記載された測定すべき測定ポイントと実際に測定したポイントとの位置ずれ量を算出する位置ずれ算出手段
・プローブを測定ポイントに移動させるとき、測定ポイントに接触する寸前のプローブの移動方向ベクトルの角度検出手段(測定ポイントを通る法線に対する角度を検出する手段)
【0029】
上記各手段は、それ専用のハードウエア、例えば、プローブ加速度検出手段の場合は加速度センサ、プローブ速度検出手段の場合は速度センサとして測定手段10に搭載されていても良いし、ソフトウエア的に実現されても良い。
【0030】
即ち、3次元測定機は、プローブ20の3次元位置座標を正確に検出することができるので、プローブ20の位置座標の変化からプローブの移動速度、移動加速度、位置ずれ量、測定ポイントへ向かう角度をソフトウエアが計算で求めても良い。
【0031】
この場合、そのようなソフトウエアはコンピュータ28内の記憶装置に記憶されて、コンピュータ28によりそのソフトウエアが実行されることにより、プローブ20の位置座標の変化からプローブの移動速度、移動加速度、位置ずれ量、測定ポイントへ向かう角度が求められても良い。
【0032】
演算手段11は、座標位置検出手段が検出したプローブ20と測定ポイントとが接触した位置、即ち、プローブ20が測定ポイントとして接触した複数の場所の3次元位置座標から所望の寸法を計算する。例えば、2つの座標から2点間の長さを求めたり、3つの座標から3点を通る円の中心や半径を求めたり、平面の傾きを求めたりすることにより、部品や製品の所望の寸法の測定値を算出する。
【0033】
演算手段11としては、例えばコンピュータ28を用いることができる。
図2においては、コンピュータ28は、測定手段10とは別体として描かれているが、このように別体でも良いし、測定手段10と、コンピュータ28とが一体として構成されていても良い。
【0034】
演算手段11により算出された測定値は、表示手段12によって表示される。表示手段12としては、
図2に示すようにディスプレイ29aや、プリンタ29bのような一般的なコンピュータの表示装置を用いることができる。即ち、演算手段11により算出された測定値は、ディスプレイ29aやプリンタ29bに出力されることにより表示される。
【0035】
誤操作判定手段13は、プローブ20を使用した測定の行為が所定の条件から外れているか否かを判断する。誤操作判定手段13が、所定の条件(以後、誤操作条件と称する)から外れていると判断した場合は、警告手段15が警告を発する。誤操作条件として、以下の(1)〜(4)に示す内容を設定することができる。ここで、本発明において測定ポイントとは、測定すべき場所のことであり、パートプログラムが用いられている場合は、パートプログラムに記載された測定すべき場所のことを意味する。
【0036】
(1)測定ポイントから所定の値(所定ずれ距離と称する)以上ずれた位置で測定すること。
(2)測定ポイントから所定の距離(所定速度距離と称する)以内の空間において、前記プローブの移動速度が所定の速度(所定速度と称する)以上であること。
(3)測定ポイントから所定の距離(所定加速度距離と称する)以内の空間において、前記プローブの移動の加速度が所定の加速度(所定加速度と称する)以上であること。
(4)プローブが、前記測定ポイントに対して法線方向(または指定された方向:指定された方向をプロービングベクトルと称する)から所定角度(所定接触角度と称する)以上離れた角度で移動接触して測定すること。
【0037】
誤操作判定手段13には、上記(1)〜(4)のうち少なくとも1以上が誤操作条件として設定されていればよいが、そのすべてが設定されることにより、作業者による測定ばらつきをより効果的に低減させることができる。
【0038】
これらの誤操作条件は、コンピュータ28が記憶していてもよいし、誤操作判定手段13が記憶していてもよいし、その他のものが記憶していてもよいが、パートプログラムに記憶されていることが最も好ましい。パートプログラムとは、ワークの測定場所、測定順番等が記載されたプログラムであり、作業者は、このパートプログラムを3次元測定器に実行させ、3次元測定器がパートプログラムに従って表示する測定箇所を順番に測定してゆく。
【0039】
パートプログラムは、ワークごとに存在するので、パートプログラムに誤操作条件を組み込むことにより、ワークごとに最適の誤操作条件を設定することが可能になる。このパートプログラムについて
図4を参照して説明する。
図4は、パートプログラムの一例のリストを示した図である。
【0040】
図4に示すように、パートプログラムには、測定ポイントがX,Y,Zで示される座標(それぞれが、X座標、Y座標、Z座標を示す)で記載されている。また、プローブ20が測定ポイントに接触するときの移動方向であるプロービングベクトルが、I,J,K[プロービングベクトル(I,J,K)を示す]で示されている。
【0041】
また、L,M,N,Oには、それぞれ、所定ずれ距離、所定速度、所定加速度、所定接触角度が記載されるが、このすべてが記載されなければならないわけではなく、誤操作として警告を発したい項目のみ記載されていればよい。ここで、所定速度距離、所定加速度距離としては、所定ずれ距離が用いられてもよいし、それぞれ、P,Q(不図示)として別途記載されていてもよい。
【0042】
誤操作判定手段13は、例えばコンピュータにより構成することができる。コンピュータは、パートプログラムを読み込んで次の測定場所を表示手段12に表示させるとともに、プローブ20の動きをモニタし、座標位置検出手段、プローブ速度検出手段、プローブ加速度検出手段、位置ずれ算出手段、角度検出手段からのデータに基づいて、予定の範囲から外れた動作をした場合には、警告手段15により警告を発する。
【0043】
これらは、コンピュータを誤操作判定手段13として動作させるプログラムを実行させることによって実現することができる。このような誤操作判定手段13を備えた3次元測定機の動作例を、
図5,
図6に示すフローチャートを用いて説明する。
図5、
図6は、3次元測定機の動作例を示すフローチャートである。
【0044】
図5に示すように、測定作業者は、手動でプローブを測定ポイントに移動させる(S1)。誤操作判定手段13は、プローブ速度検出手段から送られたプローブの移動速度がパートプログラムに記載された所定速度以上であるか否かを判断する(S2)。所定速度以上であると判断した場合は、誤操作判定手段13は、警告手段15によって測定作業者に警告を発する(S3)。
【0045】
警告手段15が警告を発した後、誤操作判定手段13は、測定作業者により測定中止、または測定完了が選択されたか否かを判断し(S5)、測定中止、または測定完了が選択された場合は測定を終了し(S6)、そうでない場合は、S1に戻って実行する。
【0046】
S2において、誤操作判定手段13が所定速度以上ではなかったと判断した場合は、誤操作判定手段13は、プローブ速度検出手段から送られたプローブの移動加速度がパートプログラムに記載された所定加速度以上であるか否かを判断する(S4)。所定加速度以上であると判断した場合は、S3から実行し、所定加速度以上であると判断しなかった場合は、S5から実行する。
【0047】
次に、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、測定作業は、手動でプローブを測定ポイントに移動させる(S10)。誤操作判定手段13は、座標位置検出手段から送られたプローブの位置座標がパートプログラムに記載された位置座標から所定ずれ距離以上離れているか否かを判断する(S20)。所定ずれ距離以上離れていると判断した場合は、誤操作判定手段13は、警告手段15によって測定作業者に警告を発する(S30)。
【0048】
警告手段15が警告を発した後、誤操作判定手段13は、測定作業者により測定中止、または測定完了が選択されたか否かを判断し(S50)、測定中止、または測定完了が選択された場合は測定を終了し(S100)、そうでない場合は、S60を実行する。S60において、誤操作判定手段13は、測定作業者が測定(プロービング)のやり直しを選択しているか否かの判断を行い、測定のやり直しを選択している場合は、測定作業者は同じ場所を測定し(S80)、S20から実行する。この場合、次の測定において誤操作判定手段13は、パートプログラムの実行において、前回と同じステップを実行し、誤操作の判定に用いるデータも前回測定と同じものを使用する。
【0049】
誤操作判定手段13が、測定作業者が測定のやり直しを選択していないと判断した場合は、測定されたデータを確定し(S70)、測定作業者は、S10に戻って、次の測定場所を手動で測定する。S20において、誤操作判定手段13が座標位置検出手段から送られたプローブの位置座標がパートプログラムに記載された位置座標から所定ずれ距離以上離れていないと判断した場合は、誤操作判定手段13は、角度検出手段から送られた、プローブの測定ポイントに向かう移動角度が、プロービングベクトルより所定接触角度以上離れた角度であるか否かの判断を行う(S40)。
【0050】
S40において、所定接触角度以上離れていると判断された場合は、S30から実行を行い、そうでない場合は、S90から実行を行う。S90において、測定された座標データを確定し、S50から実行を行う。
【0051】
図5,
図6において、本発明の3次元測定機の動作例を示したがこれに限定されるものではなく、
図5、
図6の動作を任意に組み合わせて動作させてもよいし、別のフローチャートに基づいて動作させてもよい。
【0052】
図1に戻って、測定条件記憶手段14について説明する。測定条件記憶手段は、誤操作判定手段13が誤操作か否かを判定するための条件を記憶している。この条件は、誤操作判定手段13が読み込むことができるならばどこに記憶されていてもよいが、上述したようにパートプログラムに記載され記憶されていることが好ましい。
【0053】
よって、パートプログラムが記憶されるところならばどこに記憶されていてもよく、例えば、
図2に示すコンピュータ28内の記憶装置(メモリ、ハードディスク、SSD等)内に記憶されていてもよいし、コンピュータ28に接続された外部記憶装置(ハードディスク、SSD、フラッシュメモリ、CDROM、DVDROM、BD[ブルーレイディスク]等)に記憶されていてもよい。
よって、測定条件記憶手段14としては、上述したコンピュータ28で使用可能な記憶装置を用いることができる。
【0054】
次に、警告手段15(
図1)について説明する。警告手段15としては、測定作業者に警告を発することができるものならば任意のものを使用することができる。警告方法としては、様々なものが考えられるが、光、モニタ画面、音、振動等を用いる警告方法のうち、1以上警告方法を採用することができる。
【0055】
<LEDランプを用いた警告手段>
警告手段15を構成することができるこれら様々な方法について以下に図面を参照して説明する。
図7は、警告手段15としてLEDランプを用いた例を示す斜視図である。
図7に示すように、警告手段15であるLEDランプ72が、アーム70に設置されている。設置される場所は、アーム70を手でつかんでも測定作業者が視認しやすい場所が好ましい。
【0056】
アーム70は、その一方の先端部にプローブ20が装着され、反対端部はZ軸スライダ25に接続されている。測定作業者は、このアーム70を持って移動させることによりプローブ20を測定ポイントまで導いて測定ポイントに接触させる。
【0057】
このアーム70に警告手段15として、LEDランプ72が設置されている。これにより、測定作業者は、アーム70を手で持って移動、測定しているときに誤操作を行ったときは、LEDランプ72が点灯もしくは点滅して警告する。このため、測定作業者は、自らの操作の間違いを容易に知ることができる。
【0058】
このとき、正常な操作からの離れ具合、即ち誤操作の程度を点滅速度、色の変化、光の強度等で示すことができる。例えば、アーム70を移動させているとき、アーム70の移動速度が所定の速度を超えるとLEDランプ72が点滅を始め、所定速度より速く移動させるほど点滅が速くなるように構成することができる。
【0059】
ここで、
図7より明らかなように、アーム70にプローブ20が装着されているので、アーム70の移動速度と、プローブ20の移動速度は同じである。よって、以下の既述において、アーム70の移動速度とプローブ20の移動速度は同じものと考え、表現として「アーム70の移動速度」と、「プローブ20の移動速度」は等価なものと考える。これは、アーム70の移動加速度と、プローブ20の移動加速度についても同様に言えるので、表現として「アーム70の移動加速度」と、「プローブ20の移動加速度」は等価なものと考える。
【0060】
あるいは、アーム70の移動速度が所定の速度を超えるとLEDランプ72の発光色が緑色から黄色に変化し、所定速度より速く移動させるほど色が赤色に近づいてゆくように構成することもできる。さらには、アーム70の移動速度が所定の速度を超えるとLEDランプ72が点灯し、所定速度より速く移動させるほどLEDランプ72の光量が大きくなるように構成しても良い。
【0061】
ここで、警告は、パートプログラムに記載された所定速度よりも速く移動させたときに行われても良いし、パートプログラムに記載された所定速度距離内にプローブ20が入ったときであって、かつ、所定速度より速く移動したときに行われても良い。所定速度距離外または所定加速度距離外での移動速度、移動加速度は、測定ばらつきの原因になりにくいからである。しかしながら、所定速度距離外または所定加速度距離外の移動速度、移動加速度について警告を発することにより、所定速度距離内または所定加速度距離内にプローブ20が入るまでに、測定作業者が移動速度、移動加速度を調整することが容易になる。
【0062】
上記方法は、任意の組み合わせで同時に行われても良い。例えば、所定速度を超えるとLEDランプ72が点滅し、所定速度より速く移動させるほど点滅が速くなるとともに、光量も大きくなるようにしても良い。あるいは、所定速度を超えるとLEDランプ72の発光色が緑色から黄色に変化し、所定速度より速く移動させるほどLEDランプ72の発光色が赤色に近づいてゆきつつ、光量が増加するようにしても良い。
【0063】
さらには、全てを組み合わせてアーム70の移動速度が所定の速度を超えるとLEDランプ72の発光色が緑色から黄色に変化するとともに点滅し、所定速度より速く移動させるほど点滅速度が速くなるとともに発光色が赤色に近づき、更に光量が大きくなっても良い。もちろん、単純にアーム70の移動速度が所定の速度を超えると、LEDランプ72が点灯、または、点滅、または、色の変化、または光量の変化を行うことにより、測定作業者に誤操作であることを警告しても良い。
【0064】
また、
図7においては、LEDランプ72は、アーム70に設置されているが、設置位置としては、アーム70に限定されるものでは無く、測定対象物が載置されている定盤27(
図2)に設置されていても良いし、別の場所に設置されていても良い。好ましくは、測定作業者が視認しやすい場所である、アーム70か、測定対象物付近(定盤上等)に設置される方がよい。
【0065】
更に、上記においては、誤操作としてアームの移動速度を例にとって説明したが、アームの移動加速度、測定した場所の測定ポイントからの位置ずれ量、測定時の所定接触角度からの離れ量においても上記と同様に警告を行うように構成することができる。
【0066】
その際、誤操作としてのチェック内容である、アームの移動速度、アームの移動加速度、測定した場所の測定ポイントからの位置ずれ量、測定時の所定接触角度からの離れ量それぞれについて警告するためのLEDランプ72を個別に備えていても良いし、一つのLEDランプ72で上記の誤操作としてのチェック内容すべてについて警告を行うように構成しても良い。この場合は、誤操作と判断される操作をした場合は、チェック内容の如何に関わらず警告するようにしても良い。
上記では、LEDランプで説明したが、LEDランプに限られず発光するデバイスであれば、例えば、電球、有機EL等、なんでも使用することができる。
【0067】
<LEDランプアレイを用いた警告手段>
次に警告手段15としてLEDランプアレイを用いた例を、
図8を参照して説明する。
図8は、警告手段15としてLEDランプアレイを用いた例を示す斜視図である。これは、上記LEDランプ72の代わりにLEDランプアレイ80を設けたものであるので、LEDランプアレイにも当てはまる内容については説明を省略する。
【0068】
図8に示すように、LEDランプアレイ80は、アーム70に設置されている。設置される場所は、アーム70を手でつかんでも測定作業者が視認しやすい場所が好ましい。LEDランプアレイ80は、複数のLEDランプがアレイ状に並んだものであり、連続して並んでいるLEDのうち発光させるLED数を変化させることにより、発光部分の長さを変化させ棒状メータとして機能させることができる。
【0069】
これを用いることにより、誤操作の度合いを発光部分の長さで示すことができる。例えば、測定作業者が、アーム70を移動させてプローブ20を測定対象物の測定ポイントに近づけ、測定対象物に接触させたとき、所定ずれ距離(測定した場所の測定ポイントからのずれ量)に応じ、所定ずれ距離が大きいほどLEDランプアレイ80の発光部分の長さが長くなるように発光させることができる。
【0070】
これにより、誤操作の度合い、この場合は、測定ポイントと実際に測定した場所との位置ずれ量(所定ずれ距離)をLEDランプアレイ80の長さで認識することができるので、測定作業者は、直感的に誤操作の度合いを知ることができる。このとき、LEDランプアレイ80に目盛りを付け、誤操作で無い範囲と誤操作の範囲を示すことにより、測定作業者は、誤操作の度合いを更に明確に知ることができる。
【0071】
また、LEDランプアレイ80をメータのように使用し、正常の範囲は緑色で、誤操作になると黄色になり、誤操作の度合いがひどくなるにつれて赤色に近づくように構成しても良い。この際、色の変化は、LEDランプアレイ80の発光部分全体の色が変化しても良いし、メータの途中から色が変化していっても良い。
更に、上記<LEDランプを用いた警告手段>に記載したように、点滅速度、色の変化、光の強度等も併用して誤操作の度合いを示してもよい。また、LEDランプアレイ80は、ピークホールドができるようにしても良い。ピークホールドとは、LEDランプアレイ80をメータのように使用したとき、LEDランプアレイ80が示した最大のところのLEDを光らせたまま残しておくことである。
【0072】
これにより、プローブ20の移動速度をLEDランプアレイ80に示させるときなどのように、刻々と値が変化する場合は、最大ピークを表示したまま残すので、測定作業者は最大値を認識しやすくなる。
上記では、LEDランプアレイで説明したが、アレイ状の発光デバイスであれば、LEDランプアレイに限定されること無く、例えば、有機EL、電球アレイ、蛍光表示管、プラズマ表示管等何でも使用することができる。また、LED等を用いたドットマトリクスタイプの表示器も使用することができ、この場合は、簡単な文字、文章、記号の表示も可能なのでこれらを併用してよりビジュアルに誤操作の有無、誤操作の度合いを示すことができる。
【0073】
<アナログメータを用いた警告手段>
次に警告手段としてアナログメータを用いた例を、
図9を参照して説明する。
図9は、警告手段15としてアナログメータを用いた例を示す斜視図である。これは、上記LEDランプ72、LEDランプアレイ80の代わりにアナログメータ90を備えた物なので、アナログメータについても当てはまることについては説明を省略する。
【0074】
図9に示すように、アナログメータ90は、アーム70に設置されている。設置される場所は、アーム70を手でつかんでも測定作業者が視認しやすい場所が好ましい。アナログメータ90は、針が目盛り上を移動することにより測定作業者に警告を与える。また、針の位置により誤操作の度合いを示すこともできる。ここで、アナログメータ90の設置場所は、アーム70に限定されるものでは無く、測定作業者が視認しやすい場所ならばどこに取り付けても良い。
【0075】
誤操作の警告として、プローブ20の動きが所定加速度を超えていた場合を例にとって説明する。測定作業者が、アーム70持ってプローブ20を測定対象物の測定ポイントに移動させるとき、プローブ20の移動の加速度に応じてアナログメータ90の針が振れる。アナログメータ90には、目盛りが記されており、目盛りには、所定加速度の範囲が明示されている。
【0076】
これにより、測定作業者は、プローブ20の移動加速度が所定加速度の範囲を超えると、アナログメータ90の針が目盛りに記された所定加速度の範囲を超えて振れるので、自らの誤操作を明確に知ることができ、自らの動作にフィードバックをかけることができる。
【0077】
このとき、アナログメータ90は、所定加速度距離にプローブ20が入ってから初めて針が振れ初めても良いし、所定加速度距離に入る前から針が振れていても良い。例えば、所定加速度距離に入る前から針が振れているが、所定加速度距離に入ってからピークホールド機構を作動させることにより、誤操作として測定値に影響が出る場合のみ加速度を明確に表すことができるので、測定作業者にとって、再測定すべきか否かの判断が容易になる。
【0078】
このとき、アナログメータ90の針は、ピークホールド機構を有していることが好ましい。ピークホールド機構を有することにより、アナログメータ90の針は、最大ピークのところで止まったままになるので、測定作業者は、所定加速度の範囲を超えたか否かを正確に知ることができる。
【0079】
<ディスプレイを用いた警告手段>
次に警告手段としてディスプレイを用いた例を、
図10を参照して説明する。
図10は、警告手段15としてディスプレイ100を用いた例を示す斜視図である。これは、上記LEDランプ72、LEDランプアレイ80、アナログメータ90の代わりにディスプレイ100を備えた物なので、ディスプレイ100についても当てはまることについては説明を省略する。
【0080】
図10を参照して、ディスプレイ100は、測定作業者に取って視認しやすい場所ならばどこに取り付けられても良いが、例えば、取り付け場所としてアーム70は、測定作業者の近くであり視認しやすいので好ましい。ディスプレイ100は、文字、図形、グラフ等様々な情報を表示できるので、誤操作の有無や誤操作の程度を様々な形態で表示することができる。
【0081】
誤操作としてプローブ20の測定ポイントに向かう移動角度が、プロービングベクトルより所定接触角度以上離れた角度であった場合を例にとって以下に説明するがこれに限定されるものでは無く、どの誤操作の場合においてもディスプレイ100を適用することができるのは言うまでも無い。
【0082】
図11を参照して説明する。
図11は、被測定物にプローブを接触させて測定するときの接触角度を説明する説明図である。
図11に示すように、測定作業者は、プローブ20を被測定物110の測定ポイント112に向けて移動させる。このときのプローブ20の移動方向を記号114の矢印で示す。記号115で示す線は、パートプログラムで示される測定ポイント112のプロ-ビングベクトルの方向を示す。
【0083】
図11では、記号115で示す線は、測定ポイント112の法線を示し、これは、プロ-ビングベクトルが法線方向だった場合を示す。プロ-ビングベクトルに沿って測定ポイント112に接触するのが理想的であり、測定作業者は、そうなるように努力しているが、実際は、プローブ20は、プロ-ビングベクトルよりもずれた角度(
図11においてはプロ-ビングベクトルよりも角度θ
1度ずれた角度)で測定ポイント112に向かい、測定ポイント112に接触する。
【0084】
このとき、誤操作判定手段13(
図1)は、プロ-ビングベクトルからずれた角度θ
1度が、パートプログラムに記載された所定接触角度(
図11においてはθ
0度)以上であるか否かを判断し、以上であると判断した場合は、警告手段15(
図1)に警告を発せさせる。
【0085】
この警告手段15が、
図10に示すようにディスプレイ100であった場合は、ディスプレイ100は、例えば、文字、図形、グラフ、色、模様、アニメーション等を表示して測定作業者に対して誤操作であった旨を警告する。その際、単に誤操作であったことを警告しても良いが、誤操作の程度を表示しても良い。誤操作の程度は、文字、図形、グラフ、色、模様、アニメーション等で表示することができる。
【0086】
例えば、所定接触角度と、プローブの実際の移動角度とを数値で表現しても良いし、数値とグラフで表現しても良い。また、プローブの動きと所定接触角度とをアニメーションで表示しても良い。このように、ディスプレイ100を用いることで、表示できる情報量が飛躍的に大きくなるので、測定ポイントからの位置ずれ量、プローブ20の移動速度及び移動加速度、プローブ20のプロ-ビングベクトルからのずれ角度のうちの任意の内容を同時に分かりやすく表示することが可能になる。
【0087】
図10においては、アーム70には、ディスプレイ100とともにLEDランプ72も設置されているが、このように、他の種類の警告手段と併用することも可能である。その際、どの警告手段がどの内容の警告をするかは、任意に設定することが可能である。
【0088】
<音発生装置を用いた警告手段>
次に警告手段として音発生装置を用いた例を、
図12を参照して説明する。
図12は、警告手段15として音発生装置120を用いた例を示す斜視図である。これは、上記LEDランプ72、LEDランプアレイ80、アナログメータ90等の代わりに音発生装置120を備えた物なので、音発生装置120についても当てはまることについては説明を省略する。
【0089】
図12を参照して、音発生装置120は、測定作業者が音発生装置120からの音を聞きやすい場所であればどこに取り付けられても良いが、例えば、取り付け場所としてアーム70は、測定作業者の近くであり音も聞き取りやすいので好ましい。音発生装置120としては、ブザー、スピーカなどが考えられるが、スピーカの場合は、音声やその他様々な音色、音量で音を発生させることができるので好ましい。
【0090】
測定作業者が、アーム70を手で持って移動、測定しているときに誤操作を行ったときは、音発生装置120は、音を発して警告する。このため、測定作業者は、自らの操作の間違いを容易に知ることができる。警告するときに発する音は、例えば、ブザー音であっても良いし、メロディであっても良いし、音声であっても良く、即ち、任意の音を警告音にすることができる。
【0091】
このとき、誤操作の程度を、音を変えて表すことができる。例えば、警告音がブザー音の場合は、誤操作の程度が大きくなるほど音量が大きくなっても良いし、誤操作の程度が大きくなるほどブザーの断続音の間隔が小さくなって最後には連続音になっても良い。
【0092】
警告音がメロディの場合は、誤操作の程度が大きくなるほどメロディを奏でる速度が速くなっても良いし、途中でメロディの種類が変わっても良い。また、警告音が音声である場合は、音声で例えば「注意」と繰り返し発声させても良いし、誤操作の程度が大きくなるほど、音声の繰り返し発声速度を速くしても良い。また、音声の種類が、「注意」から「警告」、「中止」と変化しても良いし、上記のブザー、メロディ、音声の併用、組み合わせであっても良い。
【0093】
このように、警告に音を用いることにより、測定作業者は、視線をプローブ20や測定対象物から離すこと無く、警告を認識することができる。
図12においては、アーム70にLEDランプ72も設置されているが、このように他の種類の警告手段と併用することもできる。
【0094】
ここで、誤操作としてプローブ移動速度の超過を例にとって説明すると、測定作業者がアーム70を持って移動させることによりプローブ20を移動させるとき、所定速度よりも移動速度が大きいとき音発生装置120は、上述したような方法で警告を発する。
【0095】
ここで、既述したように、警告は、パートプログラムに記載された所定速度よりも速く移動させたときに行われても良いし、パートプログラムに記載された所定速度距離内にプローブ20が入ったときであって、かつ、所定速度より速く移動したときに行われても良い。所定速度距離外または所定加速度距離外での移動速度、移動加速度は、測定ばらつきの原因になりにくいからである。しかしながら、所定速度距離外または所定加速度距離外の移動速度、移動加速度について警告を発することにより、所定速度距離内または所定加速度距離内にプローブ20が入るまでに、測定作業者が移動速度、移動加速度を調整することが容易になる。
【0096】
上述の警告音の組み合わせについて説明すると、プローブ速度が所定速度よりも十分小さい場合は無音であって良く、所定速度にある程度近づくとブザーの断続音が発生し、所定速度に近づくにつれてブザーの断続音の間隔が小さくなるとともに一定値よりも所定速度に近づいたときは、音声で「注意」と発声しても良い。更に、所定速度に近づいたときは、ブザーの断続音の間隔が更に小さくなりつつ、音声で「警告」と発声しても良く、所定速度に達したときは、ブザー音が連続音になり、音声で「測定中止」と発声しても良い。
【0097】
上記において、警告音の組み合わせ例を示したが、これに限定されるものでは無く、任意の組み合わせが可能であり、所定速度に近づくにつれて音量を大きくしていっても良いし、音の高さが高くなっていっても良い。このように、様々な音の組み合わせが可能である。
【0098】
上記においては、誤操作としてプローブ20の移動速度を例にとって説明したが、プローブの移動加速度、測定した場所の測定ポイントからの位置ずれ量、測定時の所定接触角度からの離れ量においても上記と同様に警告を行うように構成することができる。
【0099】
その際、誤操作としてのチェック内容である、プローブの移動速度、プローブの移動加速度、測定した場所の測定ポイントからの位置ずれ量、測定時の所定接触角度からの離れ量それぞれについて警告するときは、警告する内容に応じて音色、音の高さ、メロディ、発声内容等を変えることにより、どの誤操作が生じたかを測定作業者に伝えることができる。
【0100】
例えば、音声で伝える場合は、「移動速度注意」、「移動加速度注意」、「測定ポイント位置ずれ注意」、「プロ-ビング角度注意」等のように、誤操作の内容を発声させることにより、測定作業者に、明確に誤操作の内容を伝えることができる。
【0101】
<振動発生装置を用いた警告手段>
次に警告手段として振動発生装置を用いた例を、
図13を参照して説明する。
図13は、警告手段15として振動発生装置130を用いた例を示す斜視図である。これは、上記LEDランプ72、LEDランプアレイ80、アナログメータ90等の代わりに振動発生装置130を備えた物なので、振動発生装置130についても当てはまることについては説明を省略する。
【0102】
図13を参照して、振動発生装置130は、測定作業者が振動発生装置130からの振動を感じられる場所であればどこに取り付けられても良いが、例えば、取り付け場所としてアーム70は、測定作業者が手で持って操作するものであるので振動を感じやすく好ましい。但しこの場合は、振動発生装置130からの振動がプローブ20に伝わらない構造にすることが重要になる。プローブ20が振動すると、測定ポイントへの接触時に位置合わせが困難になるとともに、プローブ20は、少しの接触でスイッチが入り測定ポイントに接触したことを電気的に3次元測定機に伝えるので、振動により誤動作する可能性があるからである。
【0103】
このため、例えば、
図14(測定作業者の腕に振動発生装置130を取り付けた状態を示す図)に示すように、振動発生装置130をベルト140によって測定作業者の腕142に装着するようにしてもよい。この場合は、振動発生装置130と3次元測定機とは、無線で接続されても良いし、有線で接続されても良いが、無線で接続される方が、コードが作業の邪魔にならないので好ましい。
【0104】
また、
図15(椅子に振動発生装置130が設置されている状態を示す斜視図)に示すように、測定作業者が座る椅子に振動発生装置130が設置されていても良い。このように、測定作業者が振動発生装置130からの振動を感じることができる場所ならば、任意の場所に振動発生装置130を設置することができる。
【0105】
振動発生装置130としては、アンバランスマス型、油圧型、動電型等の市販の振動発生器を採用することができる。アンバランスマス型とは、モーターに偏芯したおもりをつけて回転させ、その遠心力によって振動を発生させるタイプである。油圧型とは、ピストンを油圧、空気圧、電磁力等によって動かすことにより振動を発生させるタイプである。動電型とは、フレミングの法則を利用し、磁界中でコイルに電流を流すことによる起きる力を利用して振動を発生させるタイプである。どの型を使用しても良いが、振動の周波数帯域が広く小型化も容易な動電型が好ましい。
【0106】
警告手段15として振動発生装置130を使用したとき、測定作業者が、誤操作を行ったときは、振動発生装置130は、振動を発生させて警告する。このため、測定作業者は、自らの操作の間違いを容易に知ることができる。警告のときに発生させる振動は、様々な種類の振動を用いることができ、振動の種類や、振動の大きさによって誤操作の程度を表すこともできる。
【0107】
例えば、誤操作の程度が大きくなるほど振動が大きくなっても良いし、誤操作の程度が大きくなるほど振動の発生間隔が小さくなって最後には連続的な振動になっても良い。
【0108】
また、振動がリズムを有していても良く、誤操作の程度が大きくなるほどリズムの速度が速くなっても良いし、途中でリズムの種類が変わっても良い。リズムの種類は、例えば、「トン、トト、トン」、「トン、ト、トン、ト」等、無数に考えられる。
【0109】
このように、警告に振動を用いることにより、測定作業者は、視線をプローブ20や測定対象物から離すこと無く、警告を認識することができる。
図13、
図14においては、アーム70にLEDランプ72も設置されているが、このように他の種類の警告手段と併用することもできる。
【0110】
ここで、誤操作としてプローブ移動速度の超過を例にとって説明すると、測定作業者がアーム70を持って移動させることによりプローブ20を移動させるとき、所定速度よりも移動速度が大きいとき振動発生装置130は、上述したような方法で警告を発する。
【0111】
ここで、既述したように、警告は、パートプログラムに記載された所定速度よりも速く移動させたときに行われても良いし、パートプログラムに記載された所定速度距離内にプローブ20が入ったときであって、かつ、所定速度より速く移動したときに行われても良い。所定速度距離外または所定加速度距離外での移動速度、移動加速度は、測定ばらつきの原因になりにくいからである。しかしながら、所定速度距離外または所定加速度距離外の移動速度、移動加速度について警告を発することにより、所定速度距離内または所定加速度距離内にプローブ20が入るまでに、測定作業者が移動速度、移動加速度を調整することが容易になる。
【0112】
上述の振動の組み合わせについて説明すると、プローブ速度が所定速度よりも十分小さい場合は無振動であって良く、所定速度にある程度近づくと断続的な振動が発生し、所定速度に近づくにつれて振動の断続間隔が小さくなるとともに一定値よりも所定速度に近づいたときは、振動が連続なるとともに振動の強さが大きくなっても良い。
【0113】
上記において、振動組み合わせ例を示したが、これに限定されるものでは無く、任意の組み合わせが可能であり、所定速度に近づくにつれて振動の強さを大きくしていっても良いし、振動のリズムが変化していっても良い。このように、様々な振動の組み合わせが可能である。
【0114】
上記においては、誤操作としてプローブ20の移動速度を例にとって説明したが、プローブの移動加速度、測定した場所の測定ポイントからの位置ずれ量、測定時の所定接触角度からの離れ量においても上記と同様に警告を行うように構成することができる。
【0115】
その際、誤操作としてのチェック内容である、プローブの移動速度、プローブの移動加速度、測定した場所の測定ポイントからの位置ずれ量、測定時の所定接触角度からの離れ量それぞれについて警告するときは、警告する内容に応じて他の警告手段を併用して警告することもできる。
【0116】
以上、警告手段として様々な方法を、例を挙げて説明したが、これらに限定されるものでは無く、上記で説明した警告手段を任意の組み合わせで用いることもできるし、適用する誤操作の内容も任意に選ぶことができる。