特許第6275841号(P6275841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6275841非対称光導波路格子共振器及びDBRレーザ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275841
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】非対称光導波路格子共振器及びDBRレーザ
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/12 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   H01S5/12
【請求項の数】17
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-532602(P2016-532602)
(86)(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公表番号】特表2017-500735(P2017-500735A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】US2013077995
(87)【国際公開番号】WO2015099764
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2016年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シサク、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ボヴィントン、ジョック
【審査官】 吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/100738(WO,A1)
【文献】 特表2012−517030(JP,A)
【文献】 特開2001−036192(JP,A)
【文献】 特開2008−160130(JP,A)
【文献】 特開平03−040481(JP,A)
【文献】 特開昭63−166281(JP,A)
【文献】 特開2003−218462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路であって、前記導波路の長手方向長さに沿って基板から延びる複数の側壁によって画定される横断方向の導波路幅を有する、光導波路と、
前方格子長に沿って前記導波路内に配置される前方回折格子セクションと、
後方格子長に沿って前記導波路内に配置される後方回折格子セクションと、を備え、
前記前方回折格子セクション及び前記後方回折格子セクションの少なくとも一方は、第1波形構造体及び第2波形構造体を更に有し、前記第1波形構造体は、前記横断方向の導波路幅の一部によって前記第2波形構造体から横方向に隔てられ
前記第1波形構造体を前記第2波形構造体から隔てる前記光導波路の中央部分の幅は、前記前方格子長にわたって変化し、又は前記前方格子長と前記後方格子長との間で変化する、
レーザダイオード。
【請求項2】
前記後方回折格子セクションの強度は、前記前方回折格子セクションの強度より大きい、
請求項1に記載のレーザダイオード。
【請求項3】
前記前方格子長は、前記後方格子長より長い、請求項2に記載のレーザダイオード。
【請求項4】
前記前方回折格子セクション内の前記導波路の有効屈折率は、前記後方回折格子セクション内の前記導波路の有効屈折率におよそ等しい、請求項2又は3に記載のレーザダイオード。
【請求項5】
前記前方回折格子セクションは、一定周期及びデューティサイクルを有する複数の第1波形構造体、及び前記一定周期及び前記デューティサイクルを有する複数の第2波形構造体の第1の組を有し、
前記後方回折格子セクションは、前記一定周期及び前記デューティサイクルを有する複数の第1波形構造体、及び前記一定周期及び前記デューティサイクルを有する複数の第2波形構造体の第2の組を有する、
請求項1から4の何れか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項6】
前記導波路は、第1の材料を含み、
前記第1波形構造体及び前記第2波形構造体は、前記第1の材料内に組み込まれる第2の材料を含む、請求項1から5の何れか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項7】
前記第2の材料は、前記第1波形構造体及び前記第2波形構造体を横方向に隔てる前記導波路の領域内の前記第1の材料の高さより小さい前記導波路の深さまで組み込まれる、請求項6に記載のレーザダイオード。
【請求項8】
前記第2の材料は、前記導波路の前記複数の側壁を横断する、請求項6又は7に記載のレーザダイオード。
【請求項9】
前記前方格子長に沿った前記導波路は、前記後方格子長に沿った第2の幅より小さい第1の幅を有する、請求項1から8の何れか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項10】
前記前方回折格子セクションと前記後方回折格子セクションとの間のアポダイズ格子セクションを更に備え、
前記アポダイズ格子セクション内の前記導波路の幅は、前記第1の幅から前記第2の幅に変化し、
前記第1の幅は、前記前方回折格子セクションと前記後方回折格子セクションとの間で前記導波路の有効屈折率を一致させるのに十分である量だけ前記第2の幅より小さい、請求項9に記載のレーザダイオード。
【請求項11】
前記導波路は、シリコン及びIII−V族半導体を含むハイブリッド導波路であり、
前記前方回折格子セクション及び前記後方回折格子セクションは、前記ハイブリッド導波路のエバネセント領域内にあり、
前記前方回折格子セクションは、前記後方回折格子セクションより、1/4波長関数だけ位相変化させられている、請求項1から10の何れか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項12】
フォトニック集積回路(PIC)であって
請求項1から11の何れか一項に記載の前記レーザダイオードと、
前記基板の上方に配置され、前記導波路によって前記前方回折格子セクションを通って前記レーザダイオードに光学的に結合される1又は複数の光波長合分波器(WDM)又は光変調器を備える
PIC。
【請求項13】
プロセッサと、
メモリと、
前記プロセッサ及び前記メモリのうちの少なくとも1つに通信可能に結合される光受信モジュールチップとを備え、前記光受信モジュールチップは請求項12に記載の前記PICをさらに備える
電子デバイス。
【請求項14】
光導波路であって、前記導波路の長手方向長さに沿って基板から延び、前記導波路の横断方向幅で隔てられる対向する複数の側壁を有する、光導波路と、
前記長手方向長さに沿って前記導波路内に配置される非対称共振格子であって、前記非対称共振格子は、第1の格子長に沿った第1の格子強度と、前記第1の格子長より短い第2の格子長に沿った、前記第1の格子強度より高い第2の格子強度とを有する、非対称共振格子とを備え、
前記第1の格子長内の前記導波路の有効屈折率は、前記第2の格子長内の前記導波路の有効屈折率におよそ等しく、
前記第1の格子長及び前記第2の格子長の少なくとも一方は、第1波形構造体及び第2波形構造体を更に有し、前記第1波形構造体は、前記光導波路の横断方向幅の一部によって前記第2波形構造体から横方向に隔てられ、
前記第1波形構造体を前記第2波形構造体から隔てる前記光導波路の中央部分の幅は、前記第1の格子長にわたって変化し、又は前記第1の格子長と前記第2の格子長との間で変化する、
モノリシック非対称光導波路格子共振器。
【請求項15】
前記第1の格子長に沿った前記導波路は、前記第2の格子長に沿った第2の幅より小さい第1の幅を有し、
前記非対称共振格子は、前記第1の格子長と前記第2の格子長との間にアポダイズ格子長をさらに含み、
前記導波路の横断方向幅は、前記アポダイズ格子長内で前記第1の幅から前記第2の幅へと変化する、
請求項14に記載のモノリシック非対称光導波路格子共振器。
【請求項16】
ハイブリッドシリコン非対称分布帰還型(DFB)レーザダイオードを製造する方法であって、
誘電体材料層の上方に配置されるシリコン半導体デバイス層を有する基板を受容する段階と、
光導波路の中に前記デバイス層をパターニングする段階であって、前記光導波路は、前記基板から延びる複数の側壁を有し、前記導波路の長手方向長さに沿った前記導波路の横断方向幅を画定する、段階と、
前記導波路の第1の部分に沿って第1の回折格子を、及び前記導波路の第2の部分に沿って第2の回折格子を形成する段階であって、前記第2の回折格子は、前記第1の回折格子より強く、前記第1の回折格子は、前記第2の回折格子より前記導波路の長い長手方向長さを占有する、段階と、
前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子に隣接し、前記第1の回折格子と前記第2の回折格子との間に延びるIII−V族化合物半導体を配置する段階とを備え
前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子のうち少なくとも1つを形成する段階は、第1の一対の開口を前記デバイス層の中にエッチングする段階をさらに有し、前記第1の一対の開口のそれぞれは、前記光導波路の中央領域で互いに隔てられ、
前記光導波路の中央領域の幅は、前記第1の回折格子にわたって変化し、又は前記第1の回折格子と前記第2の回折格子との間で変化する、
方法。
【請求項17】
前記第1の一対の開口を前記デバイス層の中にエッチングする段階は、第1導波路側壁に近接した複数の第1の開口のセット、及び第2導波路側壁に近接した複数の第2の開口のセットをエッチングする段階を更に有し、前記第1の一対の開口は、前記複数の第1の開口及び前記複数の第2の開口のそれぞれから1つの開口を含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の複数の実施形態は、概して、モノリシックフォトニック集積回路(PIC)に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトニック集積回路(PIC)は、モノリシックに集積された複数のフォトニックデバイス又はフォトニック要素を含み、光通信及び高性能コンピューティングなどの複数の用途において光データリンクとして有用である。モバイルコンピューティングプラットフォームについても、複数のPICは、ホストデバイス及び/又はクラウドサービスに合わせて携帯機器を迅速に更新又は同期するための有望なI/Oを提供する。そのような複数の光リンクは、1又は複数の受動フォトニックデバイス又は能動フォトニックデバイスを通して光を伝播する1又は複数の光導波路を含む光送信機及び/又は光受信機を含む光I/Oインタフェースを使用する。
【0003】
複数のPICは、その小型なサイズと、より低いコストと、高度な機能及び/又は性能とにより、複数の別個の光コンポーネントで構築される複数の光学システムより好まれる。シリコンフォトニック(SiPh)技術は、製造可能性及び拡張可能性の点で明確な利点を有する。複数のレーザは、送信PIC又は送受信機PICに内に含まれることがある。SiPh技術にはハイブリッドシリコンレーザが使用されることがある。ハイブリッドシリコンレーザは、シリコン半導体デバイス層上に接合された、又はシリコン半導体デバイス層上でエピタキシャル成長させられた(例えば、III−V族の)化合物半導体ゲイン媒体を含む。
【0004】
複数のDFBレーザアーキテクチャは、典型的に、対称な出力を有し(つまり、同じ光量がレーザの両端から発生し)、このことは、ほとんどの光学システムにおいてデメリットとなる。なぜなら、レーザの一端のみが光学システムにおいて複数の他のコンポーネントに機能的に結合されるからである。複数の別個の光コンポーネントで構築される複数の光学システムには、DFBレーザの一端に高反射コーティング(例えば、金属コーティング)を付けて、当該光学システムに結合されないレーザ出力のその他の部分を無駄にすることを避けることができる。しかしながら、この解決法は多くの場合複数のPICにとって実用的ではない。
【0005】
また、複数のDFBレーザアーキテクチャは、多くの場合、「空間的ホールバーニング」(SHB)として知られる現象に悩まされる。SHBは、温度に対するレーザ性能及び出力、並びに/又はモード安定性を劣化させる。SHB効果は、高度に非対称な光子分布及び電界分布から生じる。
【0006】
従って、製造可能性を残しつつ、これらの欠点に対処する複数のDFBレーザアーキテクチャが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書において記載される内容は、例として示されるのであり、複数の添付の図における限定として示されるのではない。説明を簡潔かつ明確にすべく、複数の図において示される複数の要素は必ずしも縮尺どおりに描かれてはいない。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にすべく、他の複数の要素に対して誇張されている場合がある。さらに、適切と見なされる場合には、対応する又は類似する複数の要素を示すべく、参照ラベルが複数の図面間で繰り返されている。
図1A】一実施形態による、モノリシック非対称光導波路格子共振器の平面図である。
図1B】一実施形態による、図1Aにおいて示されるb−b'線に沿った、図1Aにおいて描かれる導波路格子共振器の断面図である。
図1C】一実施形態による、図1Aにおいて示されるc−c'線に沿った、図1Aにおいて描かれる導波路格子共振器の断面図である。
図2A】一実施形態による、モノリシック非対称ハイブリッドシリコンDFBレーザダイオードの断面図である。
図2B】一実施形態による、図2Aにおいて描かれるDFBレーザの平面図である。
図2C】一実施形態による、図2Bにおいて示されるc−c'線に沿った、図2Bにおいて描かれるDFBレーザの断面図である。
図2D】一実施形態による、図2Aにおいて示されるd−d'線に沿った、図2Bにおいて描かれるDFBレーザの断面図である。
図2E】代替的実施形態による、図2Aにおいて示されるd−d'線に沿った、図2Bにおいて描かれるDFBレーザの断面図である。
図3】アポダイズ格子領域を有さない実施形態による、非対称DFBレーザダイオード内の位置の関数としての光子密度のグラフである。
図4】1又は複数のアポダイズ格子領域を含む実施形態による、非対称DFBレーザダイオード内の位置の関数としての光子密度のグラフである。
図5A】例示的なアポダイゼーションの実施形態による、非対称DFBレーザダイオードの前方導波路格子の平面図である。
図5B】例示的なアポダイゼーションの実施形態による、非対称DFBレーザダイオードの前方導波路格子の平面図である。
図6】例示的なセンターレス格子の例示的実施形態による、導波路幅の関数としての実効屈折率を示すグラフである。
図7A】複数の実施形態による、導波路におけるセンターレス格子の平面図である。
図7B】複数の実施形態による、導波路におけるセンターレス格子の平面図である。
図7C】リッジ型導波路の実施形態による、図7Bにおいて示されるc−c'線に沿ったセンターレス格子の断面図である。
図8】一実施形態による、ハイブリッドシリコン非対称DFBレーザダイオードを製造するための方法を示すフロー図である。
図9】一実施形態による、非対称DFBレーザダイオードを有するPICを含む光送信若しくは光送受信モジュールを用いるモバイルコンピューティングプラットフォーム及びデータサーバマシンを図示する。
図10】一実施形態による、電子コンピューティングデバイスの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
同封の複数の図を参照して複数の実施形態が説明される。特定の複数の構成及び配置が描写され、詳細に説明されるが、このことは例示の目的のためだけに成されることが理解されるべきである。当業者ならば、説明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の複数の構成及び配置が可能であることを認識するであろう。本明細書において説明される複数の技術及び/又は配置が、本明細書において詳細に説明されるもの以外の様々な他のシステム及び用途において用いられてよいことが当業者らには明らかであろう。
【0009】
以下の詳細な説明においては添付の複数の図面を参照する。それらの図面は、本明細書の一部を成し、複数の例示的な実施形態を図示するものである。さらに、他の複数の実施形態が使用されてよく、構造的及び/又は論理的な複数の変更が特許請求の範囲に記載された主題の範囲を逸脱することなく成されてよいことが理解されるべきである。例えば、上、下、上部、底部等の複数の方向及び複数の基準は、複数の図面中の複数の特徴の説明を単に容易にするために使用されてよく、特許請求の範囲に記載された主題の適用を制限することは意図されていないこともまた留意されるべきである。従って、以下の詳細な説明は、限定的意味で理解されるべきでなく、特許請求の範囲に記載された主題の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によってのみ定義される。
【0010】
以下の説明において、多数の詳細が述べられる。しかしながら、複数の実施形態がこれらの特定の詳細なしに実施されてよいことは当業者には明らかであろう。いくつかの例において、周知の複数の方法及びデバイスは、複数の例示的な実施形態の発明の態様を曖昧にすることを避けるべく、詳細にではなくブロック図の形で示される。本明細書全体における「ある実施形態」又は「一実施形態」への参照は、当該実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、機能、又は特性が、少なくとも一実施形態において含まれることを意味する。従って、本明細書中の様々な箇所において「ある実施形態において」又は「一実施形態において」という文言を用いるが、それは必ずしも同じ実施形態を指しているしているわけではない。さらに、複数の特定の特徴、構造、機能、又は特性は、1又は複数の実施形態において任意の適した態様で組み合わせられてよい。例えば、第1の実施形態は、第1及び第2の実施形態に関連付けられる複数の特定の特徴、構造、機能、又は特性が互いに排他的でない場合はどこにおいても第2の実施形態と組み合わせられてよい。
【0011】
複数の例示的な実施形態の説明、及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈において明確に別段の指示がない限り、複数形も同様に含むことが意図される。本明細書において使用されるとき、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された複数の項目の1又は複数のもののありとあらゆる可能な組み合わせを指し、包含することもまた理解されるであろう。本明細書全体において、及び特許請求の範囲において使用されるとき、「のうちの少なくとも1つ」又は「のうちの1又は複数」という用語によって結び付けられる項目のリストは、列挙されたそれらの項目の任意の組み合わせを意味することができる。例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という文言は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、又は、A、B及びCを意味することができる。
【0012】
「結合」及び「接続」という用語、並びにそれらの派生語は、コンポーネント間の機能的又は構造的関係を説明すべく本明細書において使用されてよい。これらの用語が互いに同義語として意図されていないことが理解されるべきである。むしろ、複数の特定の実施形態において、「接続」は、2つまたはそれより多くの要素が、互いに直接的な、物理的接触、光学的接触、又は電気的接触を持っていることを示すべく使用されてよい。「結合」は、2つまたはそれより多くの要素が、互いに直接的又は(それらの間の他の複数の介在要素を有して)間接的の何れかの、物理的接触、光学的接触、又は電気的接触を持っていること、及び/又は、2つまたはそれより多くの要素が、(例えば、因果関係において見られるように)互いに協同する又は相互作用することを示すべく使用されてよい。
【0013】
「上方」、「下方」、「間」、及び「上」という用語は、本明細書において使用されるとき、そのような物理的関係が特筆すべきものである複数の他のコンポーネント又は複数の層に対する一コンポーネント又は一材料層の相対的位置を指す。例えば、複数の材料層がある状況において、他の層の上方又は下方に配置される1つの層は、その他の層と直接接触していてよい、又は1又は複数の介在層を有してよい。さらに、2つの層の間に配置される1つの層は、その2つの層と直接接触していてよい、又は1又は複数の介在層を有してよい。その一方で、第2の層「上」の第1の層は、その第2の層と直接接触している。複数のコンポーネントのアセンブリがある状況において、同様の複数の区別が成される。
【0014】
以下により詳細に説明されるように、複数のモノリシック非対称光導波路格子共振器は、導波路中に配置される非対称共振格子を含む。非対称性のために、複数の格子は異なる強さを有する。第1の格子強度は第1の格子長に沿って設けられ、第1の格子強度より高い第2の格子強度は、第2の格子長に沿って設けられる。複数の有利な実施形態において、第1の格子長に沿った共振格子の実効屈折率は、導波路及び複数の格子パラメータの適切な設計によって、第2の格子長に沿った実効屈折率に実質的に一致させられる。良好に一致させられた実行屈折率により、共振格子が高度に非対称な(例えば、100:1又はさらには1000:1の前方:後方出力比の)単一縦モード(SLM)で動作することを可能にし得る。同様に以下に詳細に説明される複数の例示的な実施形態において、本明細書において説明されるような導波路及び複数の格子パラメータを有する前方及び後方格子セクションを備える非対称モノリシックDFBレーザダイオードは、主に前方格子セクションを通じて高度に非対称で狭帯域なレーザ出力を提供できる。同様に以下に詳細に説明される複数のさらなる実施形態において、ほぼ一定の実効屈折率を有する非対称DFBレーザは、高容量に容易に拡張可能であるロバストなSiPh技術を使用して製造されてよい。なぜなら、複数の格子のパターニングは、電子ビームリソグラフィなどの複数の低容量の技術を必要としないからである。
【0015】
複数の実施形態において、モノリシック非対称共振格子は、基板上に配置される光導波路を含む。回折格子は、共振キャビティの第1の端部において第1の格子長で、及び、共振キャビティの第2の端部において第2の格子長で導波路内に配置される。第1の格子長は第1の格子強度を有し、第2の格子長は、第1の強度とは異なる第2の格子強度を有する。複数の有利な実施形態において、第1の格子強度と第2の格子強度とは、2倍より大きく、有利には少なくとも4倍、及び、最も有利には10倍又はそれより大きく異なる。導波路の実効屈折率は格子によってもたらされ、故に、異なる強さの複数の格子は、キャビティ内での複数のモードの共振をもたらし得る実効屈折率の変化を引き起こすことができることに留意して、複数の有利な実施形態は、キャビティの長さにわたる実効屈折率の変化を減少させる態様で、キャビティの長さにわたって変化する格子及び光導波路のアーキテクチャを使用する。そのような一実施形態において、共振キャビティの第1の端部に近接する第1の格子長に沿った格子の実効屈折率は、共振キャビティの第2の端部に近接する第2の格子長に沿った第2の格子の実効屈折率におよそ等しい。
【0016】
図1Aは、例示的な実施形態による、モノリシック非対称光導波路格子共振器101の平面図である。導波路格子共振器101は、基板105の上方に配置される導波路110を含む。導波路110は、導波路の長手方向長さLWGに沿って基板から延び、導波路の横断方向幅WWGだけ隔てて対向する側壁111A、111Bを有する。導波路長LWG内で、格子共振器101は、導波路長の第1の端部における第1の格子長115と、導波路長の第2の端部における第2の格子長120とを含む。2つの格子長は、格子欠損部140で隔てられてよい。格子欠損部140は、二重縮退パターン(double degenerate patterns)を抑制するよう機能できる。そのような一欠損部は、格子における1/4波長シフト(QWS)である。共振器101のために、導波路110は、格子長115(neff,1)と格子長120(neff,2)との間で良好に一致している実効屈折率を有する。
【0017】
図1Bは、一実施形態による、図1Aにおいて示されるb−b'線に沿った導波路格子共振器101の断面図である。図1Bにおいて示されるように、QWS141が第1の格子長115を第2の格子長120から隔てる。格子共振器101は、表面(上面)波形の状態で示されているが、任意の回折格子アーキテクチャが使用されてよい(例えば、側壁波形等)。格子を作る構造要素にかかわらず、第1の格子長115に沿った格子強度(κ)は、第2の格子長120に沿った格子強度とは異なる。例えば、例示された実施形態において、導波路110内の格子は、第2の格子長120に沿った強度に比べてより低い、第1の格子長115に沿った格子強度(κ)を有する。第2の格子長120に沿った強度はより高い(κ)。
【0018】
複数の実施形態において、変化する格子強度を有するモノリシック非対称共振導波路格子は、第1の格子長に沿った第1の一連の波形構造体と、第2の格子長に沿った第2の一連の波形構造体とを有する。複数のさらなる実施形態においては、第1及び第2の一連の波形構造体の両方は、同じ一定周期及びデューティサイクルを有する。従って、格子欠損部を除いては、共振格子は一定の周期及びデューティサイクルを有してよい。複数のそのような実施形態にとって、格子の空間変調は、格子周期及びデューティサイクルとは無関係であり、このことにより、ロバスト及び製造を可能にする。なぜなら、複数のパターニング要件は緩和されてよいからである。複数の波形構造体は、多種多様な配置を取ってよいが、一般には、隣接する複数の波形構造体の間の領域において導波路材料によって画定される複数の表面の平面の下方に組み込まれる、又は当該複数の表面の平面から延びる異なる材料の複数の領域である。図1Bの例を参照すると、複数の波形構造体150は、格子長115及び格子長120の両方内の第2の材料の複数の領域である。複数の波形構造体150は、同じ格子周期Pを有利に有する。同様に、波形構造体150は一定の長さLを有し、QWS141を除く導波路共振器の長さLWGにわたってデューティサイクルを一定にする。
【0019】
複数の実施形態において、実効屈折率は、少なくとも部分的には導波路幅の空間変調によって、異なる強度の複数の格子の間で一致させられる。図1Aを再度参照すると、導波路110は、第1の格子長115に沿った第1の横断方向幅WWG,1を有する。示される例示的な実施形態において、導波路幅WG,1は、第1の格子長115が延びる導波路の長さLWG,1にわたって一定である。導波路110は、第2の格子長120に沿った第2の横断方向幅WWG,2を有する。示される例示的な実施形態において、導波路幅WWG,2は、第2の格子長115が延びる導波路の長さLWG,2にわたって一定である。格子強度が第1の格子長115に沿って一番低いこの例示的な実施形態について、第1の導波路幅WG,1は第2の導波路幅WWG,2より小さい。導波路幅WWG,1と導波路幅WWG,2との差は、例えば、導波路媒体、目的波長、及び、格子長115と120との間の格子強度の非対称性の大きさに応じて大幅に変化し得る。複数の例示的な実施形態において、導波路幅WWG,2は、導波路幅WWG,1より、3倍、又はそれより大きい大きさまで至ってよい。
【0020】
複数の実施形態において、変化する導波路幅及び格子強度を有するモノリシック非対称共振導波路格子は、共振キャビティの対向する両端部において配置される格子長の間にアポダイズ格子長をさらに含む。1又は複数の導波路及び格子パラメータは、共振キャビティ内において光子密度分布を調節すべく、アポダイズ格子長にわたって調節されてよい。複数の有利な実施形態において、格子強度及び導波路幅のうちの少なくとも1つは、アポダイズ格子長にわたって調節される。導波路幅及び格子強度は、所望のアポダイゼーション関数(例えば、ガウシアン、レイズドコサイン等)を得るべく、必要に応じて、導波路内の位置の線形又は非線形関数であってよい。図1A及び図1Bにおいて示されるように、アポダイズ格子長130は、第1の格子長115と第2の格子長120との間に配置される。アポダイズ格子長130内において、導波路幅は、共振器101の2つの端部の間のモード整形遷移として、導波路幅WG,1から導波路幅WWG,2へと変化する。例示された実施形態について、導波路幅は位置と共に線形的に変化する(つまり、断熱テーパ)。複数のさらなる実施形態において、格子強度に影響を及ぼす格子パラメータもまた、多重パラメータアポダイゼーション関数のために、アポダイズ格子長130にわたって変化させられてよい。複数の有利な実施形態において、格子のピッチはアポダイズ格子長130にわたって一定のままである(例えば、格子ピッチPは維持されてよい)。格子のデューティサイクルもまた、アポダイズ格子長130内で有利に一定である。
【0021】
複数の実施形態において、非対称導波路共振格子内の少なくとも1つの一連の波形構造体は、格子の一周期内に複数の波形構造体をさらに備える。図1Cは、本明細書において「センターレス(center−less)」格子と呼ばれる一実施形態による、図1Aにおいて示されるc−c'線に沿った導波路格子共振器101の断面図である。センターレス格子アーキテクチャにおいて、複数の波形構造体は光導波路110内に形成されるが、導波路110の中央はパターンを有さないままにされる。センターレス格子は導波路の表面の変調によって光モードを乱すが、波形構造体を中央において2つの横方向に対向する表面構造体150A及び150Bへと分割することによって、基本モードの中央の乱れは回避される。構造体150A及び150Bは、導波路110の(上部)表面の中央部分を備える間隙で隔てられる。導波路長LWGにわたる中央導波路幅Wを調節することにより、格子強度を変化させ得る。従って、より低い格子強度のためにより大きいWが格子長115内において使用されてよい一方で、第2の格子長120内においてはより高い格子強度のためにより小さいWが使用されてよい。W及び導波路幅WWGの両方の調節によって、高度に非対称なSLM動作が共振器101によって実現されるであろう。
【0022】
図1Cにおいて描写されるように、センターレス表面波形格子は、導波路側壁111A、111Bのz方向高さより小さい格子のz方向高さHを有する横方向に対向する複数の表面構造体を備える導波路110の複数の角を乱す。そのため、一対の波形構造体150A、150Bのプロファイルは、リソグラフィによって画定された歯ではなくエッチプロファイルによって画定されてよく、このことは、より繰返し可能性に優れた波形をもたらすことができる。波形構造体150Aは、導波路幅WWGの第1の部分を横切って導波路側壁111Aから対向する側壁111Bの方に延びる。波形構造体150Bは、導波路幅WWGの第2の部分を横切って側壁111Bから側壁111Aの方に延びる。本明細書において他の箇所でさらに説明されるように、センターレス格子は、波形構造体150A、150Bが当該複数の導波路側壁の上部を通って延びないように、導波路幅より小さい幅を有してよい。しかしながら、導波路幅が1つの格子長(例えば、格子長115)に沿って減少させられる場合、格子幅は導波路幅より大きくなる可能性がある。そのとき、波形構造体150A、150Bは、複数の導波路側壁の上部を通って延びるであろう。
【0023】
センターレス格子は、単一の開口/周期アーキテクチャなどの、従来の複数の表面波形格子設計で実現可能なものより低い格子強度を実現することもできる。単一の開口/周期を備える複数の格子は、例えば、電子ビームリソグラフィ技術又はホログラフィ技術を要求しながら、十分な格子強度の変化を提供すべく、多くの場合非常に高い分解能を必要とする。単一の開口/周期を備える複数の格子は、多くの場合、非常に浅い波形のz方向高さ、多くの場合は10nmより低いz方向高さ、も必要とする。
【0024】
導波路格子共振器101は、限定されないが、複数の結合共振器を用いる複数の光フィルタ、及びそのような1つの共振器を用いる複数のレーザダイオードなどのいくつかの光デバイス内に組み込まれてよい。DFBレーザダイオードのために、導波路格子共振器101はゲイン媒体が組み込まれてよい。一致させられた屈折率と高い格子非対称性が、高度に非対称なレーザ出力を可能にし得る。導波路格子共振器101は、InGaAsの導波路等といったゲイン媒体において直接製造されてよいが、図2Aは、有利なSiPhの実施形態による、モノリシック非対称ハイブリッドシリコンDFBレーザダイオード201の断面図である。
【0025】
ハイブリッドシリコンDFBレーザダイオードは、III−V族半導体の光ゲイン媒体にエバネッセント結合されるシリコンベース半導体内に共振導波路格子を含む。図2の例示的な実施形態について、ハイブリッドシリコンDFBレーザダイオードは、基板205のシリコン半導体デバイス層内にパターニングされた光導波路210を含む。基板205は、限定されないが、半導体基板、semiconductor−on−insulator(SOI)基板、絶縁体基板(例えば、サファイア)、若しくは同様のもの、及び/又はそれらの組み合わせなどの、ICを形成するのに適しているとして当該技術において既知の任意の基板であってよい。複数の有利な実施形態において、光導波路210は、シリコンなどの結晶性(例えば、実質的に単結晶性)の半導体層である。ゲルマニウム又はSiGeなどの複数の代替的な半導体も可能である。光導波路210は、導波路材料との十分に高い屈折率差を有する基板材料208上に配置される。光導波路210がシリコンであり、基板205がシリコンのベース基板材料206を有するシリコンSOI基板である例示的な実施形態において、材料208はシリカである。
【0026】
III−V族のゲイン媒体は、導波路210に隣接して、接合される、又はエピタキシャル成長させられる。図2Aの例示的な実施形態において、III−V族材料の積層は、導波路210の上部表面の上方に接合される、又はエピタキシャル成長させられ、前方回折格子セクション215及び後方回折格子セクション220に広がり、縦波共振光学モード(resonant longitudinal optical mode)の伝播方向に平行な導波路210に沿って延びるゲイン媒体半導体材料界面を提供する。導波路210の複数の寸法に応じて、共振光学モードの一部はIII−V族のゲイン媒体材料の積層の内部にある。ゲイン媒体材料の積層は、ダイオード構造体(diodic structure)を通って電気的にポンピングされて、前方及び後方格子セクション215、220によって画定される共振キャビティ内で光を発生させることができる。複数の実施形態において、ゲイン媒体材料の積層は、第1の導電型(例えば、n型)を有するInPなどのIII−V族半導体材料層280を含む。特定の一実施形態において、多重量子井戸(MQW)は、ゲイン媒体として機能し、限定されないが、AlGaInAs、InGaAs、及び/又はInP/InGaAsP、及び/又は同様のものなどの様々な材料の薄型積層を含んでよい。ダイオード構造体は、層280の導電型に対して相補的な導電型(例えば、p型)を有するIII−V族半導体材料層284で完成される。
【0027】
レージングは導波路210内において実現されてよい。導波路210内において、ゲイン媒体材料は、共振光学キャビティを作る複数の導波路格子を備えるシリコン導波路にエバネッセント結合されるアクティブなIII−V族材料の積層を含む。示される例において、後方格子セクション220は、前方格子セクション215が有する強度より高い格子強度(κ)を有し、それにより、共振波長λの光学ビームが、主にレーザ201の「前方」側から非対称に出力されるようになる。複数の有利な実施形態において、前方格子セクションと後方格子セクションとの間の格子強度は、2倍より大きく、有利には少なくとも4倍、及び、より有利には10倍又はそれより大きく異なる。格子強度のそのような複数の差異は、1000:1又はそれより大きいレーザ出力の非対称性をより多く提供する。前方格子セクション215から延びて、導波路210は続いてよく、レーザ201からの出力を、例えばPIC内の複数の他のコンポーネントに結合する。格子セクション215及び220の反射能は、格子長及び格子強度の何れか又は両方に基づいて調整されてよい。複数の実施形態において、前方格子セクション215及び後方格子セクション220の両方は、同じz方向高さ(つまり、深さ)を有する一連の表面波形構造体(それぞれ250、260)を備える。各表面波形構造体250、260は、導波路210の材料とは異なる材料を含み、例示的な実施形態においては、各表面波形構造体250、260はシリカの領域である。示される例示的な実施形態において、第1及び第2の一連の波形構造体250、260は、同じ一定の周期(つまり、P=P)と、同じデューティサイクルを有する。格子がシリコン/シリカ系統であり、レーザ波長が1310nmを中央とする複数の例示的な実施形態について、P(P)はおよそ200nmであってよい。格子ピッチ及び格子深さが一定に保持される複数の実施形態について、複数の異なる格子強度は、表面波形構造体250と表面波形構造体260との間の空間変調によって実現されてよい。
【0028】
図2Bは、一実施形態による、モノリシック非対称ハイブリッドシリコンDFBレーザダイオード201の平面図である。図2Aにおいて例示されるa−a'線が参照のために図2Bにおいて示される。光導波路210は、長手方向長さに沿って基板205から延び、前方回折格子セクション215が位置付けられる前方格子長LG,Fに沿って第1の横断方向幅WWG,Fで隔てられる、対向する複数の側壁を有する。導波路210は、後方回折格子セクション220が位置付けられる後方格子長LG,Bに沿ってより広い幅WWG,Bを有する。導波路210は、リブ導波路、ストリップ導波路、又は同様のものであってよい。前方導波路幅WWG,Fは、表面波形構造体250と260との間の空間変調から生じるいかなる実効屈折率差も十分に無効にするように、後方導波路幅WWG,Bより狭く設計されてよい。従って、レージングに必要な所望の狭帯域の共振が維持され得る。導波路210がシリコンであり、1310nmの波長が関心のある波長である複数の特定の実施形態において、前方格子セクション215の有効屈折率(neff,f)を後方格子セクション220の有効屈折率(neff,b)に一致させるべく、導波路幅WWG,F及びWWG,Bはそれぞれ、およそ0.4μmと1.1μmとの間で変化してよい。
【0029】
複数の実施形態において、レーザダイオードは、前方格子セクションと後方格子セクションとの間にアポダイズ格子セクションをさらに含む。アポダイズされたセクションは、レーザキャビティの内部において光子密度を平坦化できる。レーザの長さに沿った平坦化された光子密度プロファイルは、SHB効果を有利に減少させる。図3及び図4は、複数の実施形態による、アポダイズ格子セクションを有する、及びアポダイズ格子セクションを有さない、非対称DFBレーザダイオード内の位置の関数としての光子密度のグラフである。図3及び図4において、基準(0)位置は、ビーム出力点(前方格子内の最も外側の波形構造体)にある。図3は、非対称な格子強度を有するが格子アポダイゼーションを有さない複数の実施形態について、正規化された光子密度が、共振キャビティ内でどれだけ強くピークに達するかを示している。しかしながら、図4において示されるように、適切にアポダイズされた格子を有すると、正規化された光子密度は、密度が後方格子セクション内において急激に減少する位置に至るまでキャビティ全体にわたって平らである。
【0030】
前方及び後方格子セクションを隔てる格子欠損部を含む複数のレーザダイオードについて、アポダイズ格子セクションは、格子欠損部に対するアポダイズ格子セクションの位置に応じて、後方格子セクションの一部若しくは前方格子セクションの一部、又は両方と見なされてよい。図2A及び2Bにおいて示される例示的な実施形態において、アポダイズ格子セクション230は、格子欠損部240(例えば、QWS)と後方格子セクション220との間に配置される。アポダイズ格子セクション230は、アポダイズ格子130に関連して既に記載された複数の特性の何れかを有してよい。例えば、1又は複数の導波路及び格子パラメータは、レーザ201内の光子密度分布を調節すべくアポダイズ格子セクション230にわたって調節されてよい。複数の有利な実施形態において、格子強度及び導波路幅のうちの少なくとも1つは、アポダイズ格子セクション230にわたって調節され、図2Bに描写される例示的な実施形態においては両方が調節される。導波路幅及び格子強度は、所望のアポダイゼーション関数(例えば、ガウシアン、レイズドコサイン等)を得るべく、必要に応じて、導波路内の位置の線形又は非線形関数であってよい。アポダイズ格子セクション230内において、導波路幅は導波路幅WWG,Fから導波路幅WWG,Bへと変化する。複数のさらなる実施形態において、格子強度に影響を及ぼす格子パラメータもまた、多重パラメータアポダイゼーション関数のコンポーネントとしてアポダイズ格子長130にわたって変化させられてよい。例えば、センターレス格子について、一対の横方向に対向する波形構造体の間の導波路の中央部分の幅は、アポダイズ格子セクション230内で変化させられる。そのような一実施形態において、前方格子セクション215の中央幅は、前方格子セクション215に近接するアポダイズ格子セクション230の第1の端部において用いられ、後方格子セクション220に近接する第2の端部における後方格子セクション220の中央幅にまで減少する。
【0031】
アポダイゼーションが非対称レーザダイオードの前方格子の中に延びる複数の実施形態において、導波路幅は前方格子セクション内の位置に応じて変化してよい。複数の他の実施形態において、前方格子セクションはセンターレスであり、中央導波路部分の幅は前方格子セクション内の位置に応じて変化してよい。複数の他の実施形態において、導波路幅及び中央導波路幅の両方が、前方格子セクション内の位置に応じて変化する。図5Aは、アポダイズされた前方格子515を備える非対称DFBレーザダイオード501の平面図である。一実施形態によると、導波路幅WWG,Fは、前方格子長LG,Fの少なくとも一部にわたって変化し、中央幅Wは一定である。導波路幅は、導波路位置と共に線形的又は非線形的に変化してよい。導波路幅WWG,Fの変化の大きさは、前方及び後方の導波路幅WWG,FとWWG,Bとの差より小さいと予期される。図5Bは、アポダイズされた前方格子515を備える非対称DFBレーザダイオード502の平面図である。この実施形態において、導波路幅WWG,Fは一定であり、センターレス格子の中央幅Wは、前方格子長LG,Fの少なくとも一部にわたって変化する。導波路中央幅は、導波路位置と共に線形的又は非線形的に変化してよい。中央幅Wの変化の大きさは、前方導波路セクションと後方導波路セクションとの間の中央幅の差より小さいと予期される。
【0032】
複数の実施形態において、非対称DFBレーザダイオードの少なくとも前方格子は、共振導波路内に形成される格子の一周期内に一対の波形構造体を含む。換言すると、少なくとも前方格子は、センターレスアーキテクチャを有する。格子の強度は、一対の波形構造体の間隔の関数であるので、前方格子セクションのより低い格子強度は、一対の波形構造体の間の適切な間隔によって実現されてよい。前方格子セクションと後方格子セクションとの間で望まれる格子強度の差の大きさに応じて、後方格子セクションは、前方格子セクションの場合より対の間隔はより小さいものではあるが、格子の一周期内の一対の波形構造体を有し、センターレスであってもよい。或いは、後方格子セクションは、導波路幅全体にわたって、又は、導波路の一部にだけわたって延びるただ1つの波形構造体を有してよい(例えば、中心表面波形構造体)。
【0033】
図2Cは、一実施形態による、図2Bにおいて示されるc−c'線に沿った、DFBレーザ201の断面図である。図2Dは、さらなる実施形態による、図2Bにおいて示されるd−d'線に沿った、DFB201の断面図である。図2Cにおいて示されるように、前方格子セクション215内で、波形構造体対250A及び250Bは、幅WC,Fの中央導波路部分によって横方向に隔てられている。図2Dにおいて示されるように、第2の格子セクション220内で、波形構造体対260A及び260Bは、幅WC,Bの中央導波路部分によって横方向に隔てられている。波形構造体250A,B及び260A,Bは全て同じ格子深さDを有する。当該格子深さは、側壁211A、211Bの高さよりいくらかの量小さい。シリコン/シリカ格子システムを有する例示的な1310nm帯域幅レーザについて、より具体的には、Dは、例えば10nmと50nmとの間で変化してよい。次に、格子強度の変化は、中央幅WC,FとWC,Bとの差の関数である。より低い格子強度のためには、WC,FはWC,Bより大きく作成される。前方及び後方の導波路幅WWG,F及びWWG,Bに応じて、中央幅WC,F及びWC,Bは、0μmと1μmとの間の範囲に及んでよい。例えば、後方格子セクション220は、図2Eにおいて示されるように、各格子周期について単一の表面波形特徴260だけを有してよい。そのような代替的実施形態は、(より狭い、又は導波路と同程度に広い)センター格子及びセンターレス格子の両方を用いるデバイスの一例である。比較的より大きいWC,Fによって引き起こされる有効屈折率の変化を無効にすべく、導波路幅WWG,Fは、導波路幅WWG,Bと差をつけられる。
【0034】
図6は、一対の波形構造体の間の中央導波路幅が0.3μmに設定される例示的なセンターレス格子の例示的実施形態による、導波路幅の関数としての実効屈折率を示すグラフである。格子セクションの実効屈折率が、導波路幅の関数としてプロットされている。示されるように、0.4μmから0.8μmに変化させられる導波路幅の例示的なシリコン/シリカセンターレス格子について、屈折率は、〜3.24と〜3.3との間で変化させられてよい。この屈折率の制御は、非対称DFBレーザ201の設計において適用されてよく、又はより一般には、任意の光学フィルタに適用されてよい。
【0035】
図7A及び図7Bは、複数の実施形態による、導波路内のセンターレス格子の平面図である。図7A図7Bにおけるセンターレス格子構造体は、例えば、共振器101又はレーザダイオード201の何れかにおいて使用されてよい。図7Aにおいて示されるように、基板205の平面から延びる対向する側壁211A,211Bは、導波路幅WWGを画定する。図7Aにおいて示される実施形態において、横方向に対向する波形構造体250A,250Bは、中央高さHを有する、中央導波路幅WC、1によって離間される複数の内縁を有する。波形構造体250A,250Bの外縁は、導波路幅WWGより小さい格子幅WG,1を画定する。図7Bにおいて示される実施形態において、横方向に対向する波形構造体250A,250Bは、中央導波路幅WC,2によって離間される複数の内縁を有する。波形構造体250A,250Bの外縁は、導波路幅WWGより大きい格子幅WG,2を画定する。図7A及び7Bにおいて示される内縁及び外縁の位置は、第3の実施形態においては横線で引かれてよい。図7Cは、格子幅が導波路幅より大きいリッジ型導波路の実施形態による、図7Bにおいて示されるc−c'線に沿った、センターレス格子の断面図である。図7Cにおいて例示されるように、波形構造体250A及び250Bは、導波路側壁211A及び211Bの一部を通って延びる。波形構造体250A,250Bの一部は、側壁211A及び211Bの基部に配置されてもよい。より大きい格子幅により、中央幅Wが小さいという緩和されたパターニング要件のためのより大きい複数の波形構造体が可能になる。格子マスクと導波路マスクとの間のオーバーレイ(overlay)は、次に、中央幅Wと併せて格子強度を設定するために使用されてよい。
【0036】
図8は、一実施形態による、ハイブリッドシリコン非対称DFBレーザダイオードを製造する方法を示すフロー図である。方法801は、例示的なハイブリッドシリコン非対称DFBレーザダイオード201において上述された複数の特徴を形成すべく実行されてよい。方法802は、工程801においてシリコンSOI基板などのSOI基板を受容することで開始する。工程820において、半導体デバイス層が、第1の幅を持つ第1の部分と、第1の幅より大きい第2の幅を持つ第2の部分とを有する光導波路の中にパターニングされる。例示的な実施形態において、第1及び第2の導波路部分は合計して長さが50μmと1mmとの間になり、各部分は、幅が0.4と1.5μmとの間である。
【0037】
工程830において、より弱い回折格子が第1の導波路部分に沿って形成され、より強い回折格子が第2の導波路部分に沿って形成される。一例示的実施形態において、第1及び第2の格子のうち少なくとも1つを形成する段階は、各格子周期内においてデバイス層の中に一対の開口をエッチングする段階をさらに備える。導波路の中央領域は一対の開口を隔て、各開口は、複数の導波路側壁の高さより小さい深さを有する。複数のさらなる実施形態において、導波路の中央領域は0.4と1.1μmとの間である。格子のパターニングは、導波路のパターニングの前又は後に別個のマスクによるエッチングとして実行されてよい。なぜなら、両工程は、同じデバイス半導体層をエッチングすることを必要とするからである。格子が表面格子である例示的な実施形態において、格子のエッチング深さは、導波路のエッチング深さとは異なり、従って、工程820及び830は同時に行われない。工程830においてエッチングされた複数の開口は、次に、シリカなどの材料で充填されてよい。工程840において、III−V族化合物半導体が、工程830において形成された複数の回折格子に隣接して配置され、かつ、当該複数の回折格子の間から延びる。一例示的実施形態において、III−V族化合物半導体チップは、工程810において受容された基板に直接接合させられ、MQS構造体が工程820において形成された導波路の上方に配置される。
【0038】
図9は、複数の実施形態による、モノリシック非対称DFBレーザダイオードを有するPICを含む光送信若しくは光送受信モジュールを用いるモバイルコンピューティングプラットフォーム及びデータサーバマシンを示す。サーバマシン906は、例えば、例示的な実施形態においては統合システム910を含む、ラック内に配置され、かつ、電子データ処理のために一緒にネットワーク接続される任意の数の高性能コンピューティングプラットフォームを含む任意の商用サーバであってよい。モバイルコンピューティングプラットフォーム905は、電子データ表示、電子データ処理、無線電子データ送信、又は同様のもののそれぞれについて構成される任意の携帯機器であってよい。例えば、モバイルコンピューティングプラットフォーム905は、タブレット、スマートフォン、ラップトップコンピュータ等のうちの何れかであってよく、ディスプレイスクリーン(例えば、容量性、誘導性、抵抗性のタッチスクリーン)、チップレベル若しくはパッケージレベルの統合システム910、及びバッテリ915を含んでよい。
【0039】
拡大図920においてさらに示されるように統合システム910内に配置されるか、又は、スタンドアローンのパッケージングされたチップとしてかに関わらず、パッケージングされたモノリシックPIC904は、複数の実施形態によるモノリシック非対称DFBレーザダイオードを含む。複数のさらなる実施形態において、モノリシック非対称DFBレーザダイオードは光変調器及びWDMのうちの少なくとも1つと光学的に結合される。光配線953は、例えば、上面結合(top−side coupling)若しくは縁部結合(edge coupling)によって、モノリシックに統合された光導波路210から単一の光学ビームを出力する。選択された複数の波長は光合波器980と組み合わせられて、基板205上に同様に配置される複数の入力光導波路210A−210Nからの出力を結合する。入力光導波路905A−905Nはそれぞれ、DFBレーザダイオード201A,201Nの出力端の中にさらに結合される。当該DFBレーザダイオードのそれぞれは、例えば、非対称な回折格子構造体を含む。非対称DFBレーザダイオード201A−201Nは、次に、下流の統合回路999に電気的に結合される。当該統合回路は、例えば、ポンピング電源及び感知回路等をさらに含む。複数の特定の実施形態において、電源及び感知回路は、基板105上に同様に配置される複数のCMOSトランジスタで実現される。
【0040】
図10は、本開示の少なくともいくつかの実施例に従って構成されるコンピューティングデバイス1000の機能ブロック図である。コンピューティングデバイス1000は、例えばプラットフォーム1005又はサーバマシン1006の内部において見られることがあり、限定されないが、プロセッサ1004(例えば、アプリケーションプロセッサ)、及び、本明細書において記載される実施形態による1又は複数の非対称DBRレーザを組み込んでよい少なくとも1つの通信チップ1006などの、いくつかのコンポーネントをホスティングするマザーボード1002をさらに含む。プロセッサ1004は、マザーボード1002に物理的及び/又は電気的に結合されてよい。いくつかの例において、プロセッサ1004は、プロセッサ1004内にパッケージングされる集積回路ダイを含む。概して、「プロセッサ」又は「マイクロプロセッサ」という用語は、複数のレジスタ及び/又はメモリからの電子データを処理して、その電子データを、複数のレジスタ及び/又はメモリ内に格納され得る他の電子データへと変換する任意のデバイス又はデバイスの一部を指してよい。
【0041】
様々な例において、1又は複数通信チップ1006は、また、マザーボード1002に物理的及び/又は電気的に結合されてもよい。さらなる複数の実施例においては、通信チップ1006はプロセッサ1004の一部であってよい。その複数の用途に応じて、コンピューティングデバイス1000は、マザーボード1002に物理的及び電気的に結合されても又はされなくてもよい複数の他のコンポーネントを含んでよい。これらの他のコンポーネントは、揮発性メモリ、(例えば、DRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、フラッシュメモリ、グラフィクスプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、暗号プロセッサ、チップセット、アンテナ、タッチスクリーンディスプレイ、タッチスクリーンコントローラ、バッテリ、オーディオコーデック、ビデオコーデック、電力増幅器、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)デバイス、コンパス、加速度計、ジャイロスコープ、スピーカ、カメラ、及び(ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)等といった)大容量ストレージデバイス、又は同様のものを含むが、それらに限定されない。
【0042】
通信チップ1006は、コンピューティングデバイス1000との間のデータのやり取りのための無線通信を可能にし得る。「無線」という用語及びその複数の派生語は、非固体媒体を介して、変調された電磁放射を使用することによってデータを通信できる、回路、デバイス、システム、方法、技術、通信チャネル等を説明すべく使用されてよい。当該用語は、関連付けられたデバイスがいかなる有線をも含まないことを示唆するものではないが、いくつかの実施形態においては含まなくてもよい。通信チップ1006は、限定はされないが、本明細書の他の箇所において記載されたものを含む、いくつかの無線基準又はプロトコルの何れかを実装してよい。説明されたように、コンピューティングデバイス1000は複数の通信チップ1006を含んでよい。例えば、第1の通信チップは、WiFi及びBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信専用であってよく、第2の通信チップは、GPS,EDGE,GPRS、CDMA、WiMAX(登録商標)、LTE、Ev−DO、及びその他などの長距離無線通信専用であってよい。
【0043】
本明細書において述べられた特定の特徴が、様々な実施例を参照して記載されてきた一方で、この記載は限定的意味に解釈されることを意図されていない。従って、本開示が関連する分野の当業者には明らかな、本明細書において記載された複数の実施例の様々な変更、並びに他の複数の実施例は、本開示の趣旨及び範囲内にあるとみなされる。
【0044】
以下の複数の例は、複数の特定の例示的な実施形態に関連する。
【0045】
1又は複数の第1の実施形態において、モノリシック非対称レーザダイオードは、導波路の長手方向長さに沿って基板から延び、かつ、導波路の横断方向幅で隔てられる対向する複数の側壁を備える光導波路を含む。前方回折格子セクションは、前方格子長に沿って導波路内に配置される。後方回折格子セクションは、後方格子長に沿って導波路内に配置される。後方格子セクションの強度は、前方格子セクションの強度より大きく、前方格子長に沿った導波路は、後方格子長に沿った第2の幅より小さい第1の幅を有する。
【0046】
1又は複数の第1の実施形態を促進するため、レーザダイオードは、前方格子セクションと後方格子セクションとの間にアポダイズ格子セクションをさらに含む。アポダイズ格子セクション内の導波路幅は、第1の幅から第2の幅に変化し、第1の幅は、前方格子と後方格子との間で導波路の有効屈折率を一致させるのに十分である量だけ第2の幅より小さい。
【0047】
1又は複数の第1の実施形態を促進するため、レーザダイオードは、前方格子セクションと後方格子セクションとの間にアポダイズ格子セクションをさらに含む。アポダイズ格子セクション内の導波路幅は、第1の幅から第2の幅に変化する。前方及び後方格子セクションは、格子欠損部で隔てられる。前方格子セクションは、前方格子長に沿った第1の一連の波形構造体を備える。後方格子セクションは、後方格子長に沿った第2の一連の波形構造体を備える。第1及び第2の一連の波形構造体は、同じ一定周期及びデューティサイクルを有する。
【0048】
1又は複数の第1の実施形態を促進するため、第1の格子は、第1の格子長に沿った第1の一連の波形構造体を含む。第2の格子は、第2の格子長に沿った第2の一連の波形構造体を含む。少なくとも第1の一連の波形構造体は、格子の一周期内に一対の波形構造体をさらに含み、格子の強度は、一対の波形構造体の間隔の関数である。
【0049】
1又は複数の第1の実施形態を促進するため、第1の格子は、第1の格子長に沿った第1の一連の波形構造体を含む。第2の格子は、第2の格子長に沿った第2の一連の波形構造体を含む。第1及び第2の一連の波形構造体の両方は、同じ一定周期及びデューティサイクルを有する。少なくとも前方格子セクションは、格子の一周期内に一対の波形構造体をさらに含む。各一対の波形構造体は、導波路の中央部分で隔てられる、横方向に対向する複数の表面構造体を含む。横方向に対向する複数の表面構造体は、複数の導波路側壁の高さより小さい格子深さを有する。
【0050】
1又は複数の第1の実施形態を促進するため、導波路は、シリコン及びIII−V族半導体を備えるハイブリッド導波路である。前方及び後方格子セクションはハイブリッド導波路のエバネセント領域内にある。前方格子セクションは、後方格子セクションから1/4波長関数だけ位相変化させられている。前方格子セクションは、前方格子長に沿った第1の一連の波形構造体を含む。後方格子セクションは、後方格子長に沿った第2の一連の波形構造体を含む。第1及び第2の一連の波形構造体の両方は、同じ一定周期及びデューティサイクルを有する。少なくとも前方格子セクションは、格子の一周期内に一対の波形構造体をさらに含む。各一対の波形構造体は、複数の導波路側壁と同じ高さを有する導波路の中央部分で隔てられる、横方向に対向する複数の表面構造体を含む。中央導波路部分の幅は、前方格子セクションと後方格子セクションとで異なる。
【0051】
1又は複数の第1の実施形態を促進するため、導波路は、シリコン及びIII−V族半導体を備えるハイブリッド導波路である。前方及び後方格子セクションは、ハイブリッド導波路のエバネセント領域内にある。後方格子セクションは、前方格子セクションから1/4波長関数だけ位相変化させられている。前方格子セクションは、前方格子長に沿った第1の一連の波形構造体を含む。第2の格子セクションは、後方格子長に沿った第2の一連の波形構造体を含む。第1及び第2の一連の波形構造体の両方は、同じ一定周期及びデューティサイクルを有する。前方及び後方格子セクションのうちの少なくとも1つは、格子の一周期内に一対の波形構造体をさらに含む。各一対の波形構造体は、複数の導波路側壁と同じ高さを有する導波路の中央部分で隔てられる、横方向に対向する複数の表面構造体を含む。導波路の幅又は中央導波路部分の幅は前方格子長にわたって変化する。
【0052】
1又は複数の第2の実施形態において、PICは、1又は複数の第1の実施形態の何れかにおいて記載される非対称レーザダイオードを含む。PICは、基板の上方に配置され、かつ、導波路によって前方格子を通ってレーザダイオードに光学的に結合される1又は複数の光波長合分波器(WDM)又は光変調器をさらに含む。
【0053】
1又は複数の第3の実施形態において、電子デバイスは、プロセッサ、メモリ、並びに、プロセッサ及びメモリのうちの少なくとも1つに通信可能に結合される光受信モジュールチップを含む。光受信モジュールは、1又は複数の第2の実施形態のPICをさらに含む。
【0054】
1又は複数の第4の実施形態において、ハイブリッドシリコン非対称分布帰還型(DFB)レーザダイオードを製造する方法は、誘電体材料層の上方に配置されるシリコン半導体デバイス層を有する基板を受容する段階を含む。当該方法は、導波路の長手方向長さに沿って基板から延び、かつ、導波路の横断方向幅で隔てられる対向する複数の側壁を有する光導波路の中にデバイス層をパターニングする段階を含む。光導波路は、第1の幅の第1の部分と、第1の幅より大きい第2の幅の第2の部分とを含む。当該方法は、第1の導波路部分に沿って第1の回折格子を、及び、第2の導波路部分に沿って第2の回折格子を形成する段階を含む。第2の回折格子は第1の回折格子より強い。当該方法は、第1格子及び第2の格子に隣接し、第1格子と第2の格子との間に延びるIII−V族化合物半導体を配置する段階を含む。
【0055】
1又は複数の第4の実施形態を促進するため、第1及び第2の格子のうち少なくとも1つを形成する段階は、格子の一周期内においてデバイス層の中に一対の開口をエッチングする段階をさらに含む。当該一対の開口は、導波路の中央領域で隔てられ、各開口は、複数の導波路側壁の高さより小さい、同じ深さを有する。
【0056】
1又は複数の第4の実施形態を促進するため、第1及び第2の格子のうち少なくとも1つを形成する段階は、第2の格子の格子強度より少なくとも2倍強い格子強度を有する第1の格子を形成する段階をさらに含む。
【0057】
1又は複数の第4の実施形態を促進するため、第1及び第2の格子を形成する段階は、導波路の50μm−1mmの長さにわたってデバイス層の中に一連の開口をエッチングする段階をさらに含む。一連の開口は、少なくとも第1の格子の一周期内に複数対の開口を含む。一対の開口は、0.4μmから1.1μmの間の導波路の中央領域で隔てられる。
【0058】
1又は複数の第5の実施形態において、モノリシック非対称光導波路格子共振器は、導波路の長手方向長さに沿って基板から延び、かつ、導波路の横断方向幅で隔てられる対向する複数の側壁を備える光導波路を含む。非対称共振格子は、長手方向長さに沿って導波路内に配置される。格子は、第1の格子長に沿った第1の格子強度と、第1の格子強度より高い、第2の格子長に沿った第2の格子強度とを有する。第1の格子長に沿った格子の有効屈折率は、第2の格子長に沿った格子の有効屈折率におよそ等しい。
【0059】
1又は複数の第5の実施形態を促進するため、第1の格子長に沿った導波路は、第2の格子長に沿った第2の幅より小さい第1の幅を有する。非対称格子は、第1の格子長と第2の格子長との間にアポダイズ格子長をさらに含む。導波路幅は、アポダイズ格子長内において、第1の幅から第2の幅に変化する。
【0060】
1又は複数の第5の実施形態を促進するため、第1の格子長に沿った導波路は、第2の格子長に沿った第2の幅より小さい第1の幅を有する。非対称格子は、第1の格子長と第2の格子長との間にアポダイズ格子長をさらに含む。アポダイズ格子セクション内の導波路幅は、第1の幅から第2の幅に変化する。非対称格子は、第1の格子長に沿った第1の一連の波形構造体と、第2の格子長に沿った第2の一連の波形構造体とをさらに含む。第1及び第2の一連の波形構造体の両方は、同じ一定周期及びデューティサイクルを有する。
【0061】
1又は複数の第5の実施形態を促進するため、第1の格子長に沿った導波路は、第2の格子長に沿った第2の幅より小さい第1の幅を有する。非対称格子は、第1の格子長と第2の格子長との間にアポダイズ格子長をさらに含む。導波路幅は、アポダイズ格子長内において、第1の幅から第2の幅に変化する。非対称格子は、第1の格子長に沿った第1の一連の波形構造体と、第2の格子長に沿った第2の一連の波形構造体とをさらに含む。第1及び第2の一連の波形構造体のうちの少なくとも1つは、格子の一周期内に複数の波形構造体をさらに含む。
【0062】
1又は複数の第5の実施形態を促進するため、導波路は第1の材料の導波路である。非対称格子は、第1の格子長に沿った第1の一連の波形構造体と、第2の格子長に沿った第2の一連の波形構造体とをさらに含む。第1及び第2の一連の波形構造体は、第2の材料を含む。第1の一連の波形構造体のうちの少なくとも1つは、格子の一周期内に一対の波形構造体をさらに含み、一対の波形構造体のそれぞれは、導波路の中央部分で隔てられる、横方向に対向する複数の表面構造体をさらに備える。横方向に対向する複数の表面構造体は、複数の導波路側壁の高さより小さい格子高さを有する。
【0063】
1又は複数の第5の実施形態を促進するため、導波路は第1の材料の導波路である。非対称格子は、第1の格子長に沿った第1の一連の波形構造体と、第2の格子長に沿った第2の一連の波形構造体とをさらに含む。第1及び第2の一連の波形構造体は第2の材料を含む。第1及び第2の一連の波形構造体のうちの少なくとも1つは、格子の一周期内に一対の波形構造体をさらに含み、各一対の波形構造体は、導波路の中央部分で隔てられる、横方向に対向する複数の表面構造体を含む。導波路の幅、又は中央導波路部分の幅は、導波路長にわたって変化する。
【0064】
1又は複数の第5の実施形態を促進するため、導波路は第1の材料の導波路である。非対称格子は、第1の格子長に沿った第1の一連の波形構造体と、第2の格子長に沿った第2の一連の波形構造体とをさらに含む。第1及び第2の一連の波形構造体は第2の材料を含む。第1の一連の波形構造体のうちの少なくとも1つは、格子の一周期内に一対の波形構造体をさらに含む。複数の波形構造体のそれぞれは、導波路の中央部分で隔てられる、横方向に対向する複数の表面構造体を含む。横方向に対向する複数の表面構造体は、複数の導波路側壁の高さより小さい格子深さを有する。横方向に対向する複数の表面構造体は、導波路幅の第1の部分を横切って、対向する複数の導波路側壁の第1の導波路側壁から延びる第1の構造体を含む。横方向に対向する複数の表面構造体はまた、導波路幅の第2の部分を横切って、対向する複数の側壁の第2の導波路側壁から延びる各構造体対における第2の構造体を含む。
【0065】
本発明の複数の実施形態は、そのように記載された複数の例示的な実施形態に限定されないが、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、変形及び変更によって実施され得ることが理解されるであろう。例えば、上述された複数の実施形態は、複数の特徴の特定の組み合わせを含んでよい。しかしながら、上述された複数の実施形態は、この点に限定されず、様々な実施例において、上述された複数の実施形態は、そのような複数の特徴のサブセットだけを扱うこと、そのような複数の特徴の異なる順序を扱うこと、そのような複数の特徴の異なる組み合わせを扱うこと、及び/又は明示的に列挙されたそれらの特徴に対して追加の複数の特徴を扱うことを含んでよい。従って、範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる複数の等価物の全範囲と共に参照して決定されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10