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特許6276005半導体基板支持体、及び、半導体基板をエッチングする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276005
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】半導体基板支持体、及び、半導体基板をエッチングする方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20180129BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20180129BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   H01L21/302 101G
   H01L21/02 Z
   H01L21/68 R
【請求項の数】24
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-240491(P2013-240491)
(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公開番号】特開2014-112672(P2014-112672A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2016年11月16日
(31)【優先権主張番号】13/690,745
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100096817
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】キース・ウィリアム・ギャフ
(72)【発明者】
【氏名】トム・アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】キース・コメンダント
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ジャン−ピン・ルー
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ロバートソン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・エー.・パペ
(72)【発明者】
【氏名】ニール・ベンジャミン
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/049620(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/054689(WO,A1)
【文献】 特開2009−123505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/02
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバ内で半導体基板を支持する半導体基板支持体であって、
前記半導体基板上の空間温度プロファイルを調整するように動作可能な温度制御素子を備えるヒーターアレイであって、前記温度制御素子は、2つ以上の電力供給ラインと2つ以上の電力戻りラインとによっ電力が供給されるように構成され、各電力供給ラインは前記温度制御素子の少なくとも2つに接続され、各電力戻りラインは前記温度制御素子の少なくとも2つに接続される、ヒーターアレイと、
前記半導体基板支持体の底板に係合される電力分配回路であって、前記ヒーターアレイの各電力供給ラインと各電力戻りラインとに接続され、前記電力分配回路は、第1の回路基板に形成され、前記第1の回路基板は、前記底板に装着された導電共有面であって前記底板の電位と同じ電位に維持される導電共有面を備える電力分配回路と、
前記電力分配回路に接続される電力切替装置であって、前記電力供給ラインの1つ及び前記電力戻りラインの1つを介して、各前記温度制御素子に独立に電力を供給することにより、複数のスイッチの時分割多重化によって各前記温度制御素子に時間平均電力を与える電力切替装置と、
各電力供給ラインと前記底板との間および各電力戻りラインと前記底板との間に接続される少なくとも1つのコンデンサであって、前記底板と前記ヒーターアレイとの間でRFを短絡させることにより、前記底板と前記ヒーターアレイとを同じRF電位にし、各コンデンサの一端は、電力供給ラインまたは電力戻りラインに接続され、各コンデンサの他端は、前記底板に装着された前記導電共有面に接続されるコンデンサと、
前記半導体基板支持体の前記底板に装着される機能プレートであって、前記底板と前記機能プレートとの間の静電的に遮蔽された空間内に少なくとも前記電力分配回路が配置される機能プレートと、
を備える半導体基板支持体。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置が、切替回路と制御回路とを備える、半導体基板支持体。
【請求項3】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置は、前記第1の回路基板上に形成される、
半導体基板支持体。
【請求項4】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置は、第2の回路基板上に形成され、
前記第2の回路基板は、前記機能プレートに装着される導電共有面であって、前記機能プレートのDC電位に維持される導電共有面を備える、半導体基板支持体。
【請求項5】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記第2の回路基板は、前記機能プレートの上面であって前記機能プレートの凹部内に装着され、これによって、前記第2の回路基板は、前記底板と前記機能プレートとの間の前記静電的に遮蔽された空間内に配置される、半導体基板支持体。
【請求項6】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記底板と前記機能プレートとの間の前記静電的に遮蔽された空間は、第1の静電的に遮蔽された空間であり、
前記半導体基板支持体は、さらに、
前記機能プレートに装着されるメタルケージであって、前記メタルケージと前記機能プレートとの間に第2の静電的に遮蔽された空間を形成するメタルケージを備える、半導体基板支持体。
【請求項7】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記第2の静電的に遮蔽された空間は、前記第1の静電的に遮蔽された空間の下に位置する、半導体基板支持体。
【請求項8】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力分配回路は、第1の回路基板上に形成され、
前記第1の回路基板は、前記底板に装着される導電共有面であって、前記底板のDC電位に維持される導電共有面を備える、半導体基板支持体。
【請求項9】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置は、第2の回路基板上に形成され、
前記第2の回路基板は、接地からDC絶縁され、接地から分離されて前記機能プレートに電気的に接続される導電共有面であって、前記機能プレートのDC電位とほぼ同じ電位に維持される導電共有面を備える、半導体基板支持体。
【請求項10】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記第2の回路基板は、前記機能プレートの下面に装着され、
前記第2の回路基板は、前記メタルケージと前記機能プレートとの間の前記第2の静電的に遮蔽された空間内に配置される、半導体基板支持体。
【請求項11】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、さらに、
前記底板と前記機能プレートの外周の間に導電性ガスケットを備える、半導体基板支持体。
【請求項12】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置の前記第2の回路基板は、前記機能プレートの第1の表面に装着され、前記第2の回路基板の少なくとも1つの表面上にトランジスタである複数のスイッチを備え、
各前記トランジスタは、前記機能プレートの前記第1の表面と前記機能プレートの第2の表面との間に伸長し、前記機能プレートの前記第2の表面上の終端点において、前記複数のトランジスタが密閉部材によってRFから遮断される、半導体基板支持体
【請求項13】
請求項1に記載の半導体基板支持体であって、さらに、
電源から電力の1つを受信するように構成される少なくとも1つのRFフィルタであって、前記電力切替装置と前記電力分配回路とを介して、前記ヒーターアレイにそれぞれ調製された電力を供給するように構成されるRFフィルタを備える、半導体基板支持体。
【請求項14】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板は、各々、複数の信号線または配線と、各配線と各導電共有電圧面との間を接続するフィルタリング部とを備える、半導体基板支持体。
【請求項15】
請求項1に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力分配回路は、前記電力切替装置の構成データ、識別情報、動作データの少なくとも1つを保存するメモリを備える、半導体基板支持体。
【請求項16】
請求項1に記載の半導体基板支持体であって、さらに、
前記電力切替装置と前記プラズマ処理チャンバの外部のプロセッサとの間で無線通信を行う通信モジュールを備える、半導体基板支持体。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置は、前記外部のプロセッサと通信されるデータ信号を暗号化及び復号化するように構成される、半導体基板支持体。
【請求項18】
請求項に記載の半導体基板支持体であって、
前記第1の回路基板は、前記底板の下面であって、前記底板の凹部内に装着される、半導体基板支持体。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体基板支持体であって、
前記底板の前記凹部と前記機能プレートの前記凹部は、RF遮蔽された空間を形成し、前記機能プレートにRFが印加されると、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板の周囲を前記機能プレートと前記底板の外表面に沿ってRF電流が流れる、半導体基板支持体。
【請求項20】
プラズマ処理チャンバ内で半導体基板をエッチングする方法であって、
前記プラズマ処理チャンバは、プラズマ処理の際に前記半導体基板を支持する静電チャックアセンブリを備え、
前記静電チャックアセンブリは、底板と、前記半導体基板上の空間温度プロファイルを調整するように動作可能な温度制御素子を備えるヒーターアレイであって、前記温度制御素子は複数のヒーター領域を規定し、2つ以上の電力供給ラインと2つ以上の電力戻りラインとによって各ヒーター領域に電力が供給され、各電力供給ラインは前記ヒーター領域の少なくとも2つに接続され、各電力戻りラインは前記ヒーター領域の少なくとも2つに接続される、ヒーターアレイと、を備え、
前記静電チャックアセンブリは、前記底板を介して電力分配アセンブリに係合され、
前記電力分配アセンブリは、前記ヒーターアレイの各電力供給ラインと各電力戻りラインとに接続される電力分配回路と、前記電力分配回路に接続される電力切替装置と、を備え、前記電力分配回路は、第1の回路基板に形成され、前記第1の回路基板は、前記底板に接続された機能プレートに接続される導電共有面を有し、
前記方法は、
前記電力供給ラインの1つ及び前記電力戻りラインの1つを介して、各前記ヒーター領域に独立に電力を供給することにより、前記電力切替装置の複数のスイッチの時分割多重化によって各前記ヒーター領域に時間平均電力を与えることと、
少なくとも1つのコンデンサを各電力供給ラインと前記底板との間および各電力戻りラインと前記底板との間に接続して、前記底板と前記ヒーターアレイとの間でRFを短絡させることにより、前記底板と前記ヒーターアレイとを同じRF電位にすることと、
を備え、
各コンデンサの一端は、電力供給ラインまたは電力戻りラインに接続され、各コンデンサの他端は、前記底板に装着された前記導電共有面に接続される、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、さらに、
前記電力分配アセンブリと外部のプロセッサとの間で命令及び制御メッセージを通信する、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、
前記静電チャックアセンブリは前記機能プレートを備え、
前記電力分配アセンブリは、少なくとも、前記底板と前記機能プレートとの間のRF遮蔽されたエンクロージャ内に配置される前記底板に装着され、
前記方法は、さらに、
前記機能プレートにRF電力を供給し、前記機能プレートと前記底板の外表面に沿って、前記RF遮蔽されたエンクロージャの周囲にRF電流を流す、方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法であって、さらに、
前記電力分配アセンブリのセンサを用いて、温度、電圧及び電流の少なくとも1つを含む種々のパラメータを監視する、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、さらに、
前記監視の対象のパラメータに関係する値をメモリに保存する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理チャンバ、たとえば、プラズマ処理の際に半導体基板上で空間温度プロファイルの分布を実現する温度制御素子アレイを備える基板支持アセンブリを有するプラズマエッチングチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマエッチング等の半導体基板製造工程において、限界寸法(CD)制御は重要である。基板全体でのCDの均一性が、基板からのチップの収率に影響する。従来の半導体製造ノードでは、1nm未満のCDの均一性が求められていた。
【0003】
温度制御は、いくつかの理由により容易ではない。第一に、熱源やヒートシンクの位置、媒体の動き、材料及び形状等、多くの要因が熱伝達に影響する。第二に、熱伝達は動的プロセスである。問題となっているシステムが熱平衡に達していない限り、熱伝達が生じ、温度プロファイルと熱伝達は時間とともに変化する。第三に、プラズマ処理で当然に存在するプラズマ等の非平衡現象により、実際のいかなるプラズマ処理装置においても熱伝達の挙動を理論的に予測することは不可能とまでは言わなくても非常に困難である。
【0004】
プラズマ処理装置内の基板温度プロファイルは、プラズマ密度プロファイル、高周波(RF)電力プロファイル、及び、静電チャックアセンブリ内の種々の加熱素子及び冷却素子の詳細な構造等、多くの要因によって影響を受ける。したがって、基板温度プロファイルは、均一にならない場合も多く、少数の加熱素子又は冷却素子での制御は難しい。この問題は、言い換えると、基板全体の処理速度が不均一になり、基板上のデバイスダイの限界寸法が不均一になることを意味する。
【0005】
従来のプラズマ処理システムにおいて、ヒーターやペルチェ素子等の1つ以上の温度制御素子を有する静電チャックシステム用の制御電子機器は、RFノイズの影響を受ける。この結果、処理チャンバの外側に制御電子機器を配置することにより、プラズマ処理のアクティブRFから制御電子機器が絶縁されている。すなわち、従来のシステムでは、基板支持アセンブリ用の制御電子機器は、プラズマ処理チャンバの外側の位置で、RFフィルタの高電圧側に配置される。静電チャック制御電子機器は、一方で、RFフィルタの低RF電圧側に配置される。この構成では、ESCヒーター電力線のRF電圧を、制御電子機器に干渉しないレベルまで低下させる。単一の温度制御素子を備える基板支持アセンブリ用等、電力線の数が少数であれば(たとえば、8〜10未満の電力線)、RFフィルタは、比較的小さな大きさでコストもそれほどかからない。しかし、複数の温度制御素子を備える静電チャックシステムの場合には、切替制御電子機器と静電チャックアセンブリとの間の電力線の数は8〜10よりもかなり多く(たとえば、16又は28対のワイヤ線)、RFフィルタは非常に大きくなりコストも非常に高くなる。静電チャックシステムにおけるRFフィルタリング部の大きさ、コスト及び複雑性により、処理の均一性を非常に厳密に制御する(たとえば、1nm未満のCD変動とする)必要がある静電チャックシステム及びプラズマ処理チャンバの設計における限界と問題が生じる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態は、プラズマ処理チャンバ内で半導体基板を支持する半導体基板支持体である。半導体基板支持体は、ヒーターアレイと、電力分配回路と、電力切替装置と、を備える。ヒーターアレイは、半導体基板上の空間温度プロファイルを調整するように動作可能な温度制御素子を備える。温度制御素子は複数のヒーター領域を規定し、2つ以上の電力供給ラインと2つ以上の電力戻りラインとによって各ヒーター領域に電力が供給され、各電力供給ラインはヒーター領域の少なくとも2つに接続され、各電力戻りラインはヒーター領域の少なくとも2つに接続される。電力分配回路は、基板支持体の底板に係合され、ヒーターアレイの各電力供給ラインと各電力戻りラインとに接続される。電力切替装置は、電力分配回路に接続され、電力供給ラインの1つ及び電力戻りラインの1つを介して、各ヒーター領域に独立に電力を供給することにより、複数のスイッチの時分割多重化によって各ヒーター領域に時間平均電力を与える。
【0007】
本発明の別の実施形態は、上述の基板支持体を備えるプラズマ処理チャンバ内でウエハ等の半導体基板をプラズマエッチングする方法である。方法は、電力供給ラインの1つ及び電力戻りラインの1つを介して、各ヒーター領域に独立に電力を供給することにより、電力切替装置の複数のスイッチの時分割多重化によって各ヒーター領域に時間平均電力を与える。
【0008】
以下、添付の図面を参照し、例示する実施形態を用いて、本発明を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に従うプラズマ処理装置の概略を示す図。
【0010】
図2】本発明の一実施形態において、静電チャックアセンブリと制御装置との第1の構成を示す概略図。
【0011】
図3】本発明の一実施形態において、電力分配アセンブリを示す概略図。
【0012】
図4】本発明の一実施形態において、静電チャックアセンブリと制御電子機器の第1の構成を示す断面図。
【0013】
図5】本発明の一実施形態において、静電チャックアセンブリと制御電子機器の第2の構成を示す概略図。
【0014】
図6】本発明の一実施形態において、静電チャックアセンブリと制御電子機器の第3の構成を示す概略図。
【0015】
図7】本発明の一実施形態において、静電チャックアセンブリと制御電子機器の第4の構成を示す概略図。
【0016】
図8A】本発明の一実施形態において、基板支持アセンブリの補助加熱層を示す図。
【0017】
図8B】本発明の一実施形態において、補助加熱層を制御するタイミング回路を示す図。
【0018】
図9】一実施形態において、温度制御素子を制御及び監視するための制御回路を示す回路図。
【0019】
図10】本発明の一実施形態において、切替電子基板の制御電子機器を示す概略図。
【0020】
図11】本発明の一実施形態において、プラズマ処理チャンバ内でウエハのプラズマエッチングを行う方法を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
プラズマ処理チャンバにおける基板支持アセンブリの表面上の温度制御の複雑さを考えると、基板支持アセンブリに独立に制御可能な複数の平面状温度制御素子を組み込むことによって、所望の空間及び時間温度プロファイルを積極的に作成及び維持可能にして、上流側処理又は下流側処理による不均一性等、CDの均一性に影響する他の有害因子を相殺することは都合がよい。さらに、RFフィルタリング部の低電圧側に、たとえば、プラズマ処理チャンバ内のある場所に電力分配、制御及び切替電子機器を配置することによって、RFフィルタリング部の大きさや数を抑制し、構造を簡単にすることが可能になる。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に従うプラズマ処理装置の概略を示す。図1に示すように、プラズマ処理装置100は、上部シャワーヘッド電極104と、下部電極を含む基板支持アセンブリ106と、を有するチャンバ102を備える。搬入ポート110を介して、基板支持アセンブリ106上にウエハ等の基板108を載置可能である。ガスライン112は上部シャワーヘッド電極104に処理ガスを供給し、シャワーヘッド電極は、処理ガスをチャンバ102内に送る。ガス源114(たとえば、適当な混合ガスを供給するマスフローコントローラ)がガスライン112に接続される。高周波(RF)電源116が上部シャワーヘッド電極104に接続される。真空ポンプ118を用いてチャンバ102を減圧にすることによって、上部シャワーヘッド電極104と基板支持アセンブリ106内の(図示しない)下部電極との間でRF電力を容量結合させて、基板108と上部シャワー電極104との間の空間で処理ガスにエネルギーを与えてプラズマを生成させるようにしてもよい。プラズマを用いて、基板108上にデバイスダイ・フィーチャを層状にエッチングするようにしてもよい。
【0023】
当然のことながらプラズマ処理装置100の詳細な設計は様々に変更可能であるが、本実施形態では、基板支持アセンブリ106を介してRF電力が結合される。容量結合プラズマチャンバを図示しているが、プラズマ処理装置は、誘導結合(トランス結合)、ヘリコン、電子サイクロトロン共鳴等、他の機構でプラズマを生成させるものでもよい。たとえば、トランス結合プラズマ(TCP(商標):transofrmer coupled plasma)処理チャンバ内、又は、電子サイクロトロン共鳴(ECR:electron cyclotron resonance)処理チャンバ内で高密度プラズマを生成させるようにしてもよい。たとえば、トランス結合プラズマ処理チャンバにおいて、誘電体窓を通してRFエネルギーをチャンバに誘導結合させる。さらに、プラズマ処理装置100が、高周波(RF:radio frequency)バイアス基板電極と共に、誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)源等の高密度プラズマ源を備えるような構成でもよい。本発明の実施形態に従うプラズマ処理装置は、上述した例に限定されるものではなく、必要に応じて、種々の適当な実施形態のいずれの形態で実現されるものでもよい。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態において、基板支持アセンブリ200と制御装置との第1の構成の概略を示す。
【0025】
基板支持アセンブリ200は、プラズマ処理の際に、基板を支持する、基板温度を調整する、高周波電力を供給する等、様々な機能を備えるように構成可能である。これらの機能を達成するために、基板支持アセンブリは、静電チャック(ESC:electrostatic chuck)アセンブリ202を備えるものでもよい。ESCアセンブリ202は、セラミック層204と、主加熱プレート206と、補助加熱層208と、冷却プレート(たとえば、底板)210と、を備えるものでもよい。セラミック層204は、処理の際に基板支持アセンブリ200上に基板を静電的に固定するための1つ以上の(たとえば、単極又は双極)クランプ電極212を備える。ESCセラミック層204は、主加熱プレート206上に配置される。一実施形態において、ESCセラミック層204は、補助加熱層208に接合され、補助加熱層208が主加熱プレート206に接合される。DC電圧がクランプ電極212に印加されると、静電クランプ力が発生し、基板108をESCセラミック層204の基板支持表面201に付着させる。
【0026】
主加熱プレート206は、2つの電気絶縁層206A及び206Bの積層体に組み込まれる1つ以上の主ヒーター214を備えるものでもよい。あるいは、(図示しない)金属プレートに取り付けられるものでもよい。電気絶縁層206A及び206Bは、高分子材料、無機材料、酸化ケイ素、アルミナ、イットリア、窒化アルミニウム等のセラミックス、又は、必要に応じた他の任意の適当な絶縁材料で形成されるものでもよい。DC電源に接続されると、1つ以上の主ヒーター214は、熱の大部分を生成し、基板支持表面201に所望の表面温度プロファイルを形成する。主加熱プレート206は、補助加熱層208の上に配置されるものでもよいし、下に配置されるものでもよい。
【0027】
補助加熱層208は、セラミック層又は高分子層でもよく、独立に制御される複数の温度制御素子216を内蔵するものでもよい。主加熱プレート206によって形成される表面温度プロファイルを、温度制御素子216を用いて微調整することができ、適当な選択及びタイミングにより基板支持表面201における温度差を抑制することができる。温度制御素子216は、半導体基板支持表面上の空間温度プロファイルを調整するように操作可能なヒーターアレイを備えるものでもよい。一実施形態において、ヒーターアレイは、任意の適当な幾何学的アレイ又はパターンで配置されるフィルムヒーター、ダイオード、サーモエレクトロニクス(ペルチェ)素子、抵抗ヒーター等の少なくとも49個の局部温度素子を備えるものでもよい。実施形態において、ヒーターアレイは、一種類の局部温度素子を備えるものでもよいし、必要に応じた任意の組み合わせの局部温度素子を備えるものでもよい。たとえば、ヒーターアレイは、加熱素子が5%で冷却素子が95%から加熱素子が95%で冷却素子が5%までの範囲で局部温度素子を混在させて備えるものでもよいし、所望の空間温度プロファイルが得られるように他の任意の適当な温度素子の組み合わせを備えるものでもよい。
【0028】
好適な実施形態において、補助加熱層208は、ESCセラミック層204と主加熱プレート206との間に配置される。この配置では、冷却プレート210上に配置される熱障壁層218の表面上に、主加熱プレート206が形成される。
【0029】
冷却プレート210は、冷却剤を流すための複数の溝部220を備える。冷却プレート210は、また、ESCアセンブリ202の底板を形成する。冷却プレート210は、セラミック絶縁リング222を介して、チャンバに装着されるものでもよい。セラミック絶縁リング222への冷却プレート210の装着は、ネジや必要に応じた他の任意の適当な装着手段で行うようにしてもよい。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に従う電力分配アセンブリを示す概略図である。電力分配アセンブリ211は、プラズマ処理チャンバ内で、冷却プレート210に電気的に接続されて、プラズマ処理の際に支持アセンブリ200に交流電力、直流電力及び/又はRF電力を分配するものでもよい。電力分配アセンブリ211は、交流電力及び直流電力の少なくとも一つを支持アセンブリ200に供給するように構成される電力分配回路219と、電力分配回路219と電気的に接続される機能プレート224であって、機能プレート224が支持アセンブリ200の冷却プレート210に係合され(たとえば、装着される、電気的に接続される)、RF電力が機能プレート224に供給される場合に、機能プレート224と冷却プレート210とで共有されるRF電位を電力分配回路219が有するように構成される機能プレート224と、を備える。
【0031】
図2に示すように、冷却プレート210は、冷却剤、ガス及び電力を静電チャックアセンブリに供給する機能プレート224上に載置される。冷却プレート210は、ネジや必要に応じた他の適当な装着手段を介して機能プレート224に装着される(たとえば、電気的に接続される)ものでもよい。ここで記載する実施形態において、静電チャックアセンブリの冷却プレートと機能プレートとは、金属等の導電性材料で形成される、又は、導電性材料で被覆される。(図示しない)導電性のRFガスケットを、冷却プレート210の外縁と機能プレート224との間に配置して、その間を電気的に接続するようにしてもよい。機能プレート224は、RF電源VRFに接続され、冷却プレート210にRF電力を供給する。別の実施形態において、機能プレート224は、ESCアセンブリ202にRF電力及び/又は他の特定の機能をもつもの(たとえば、ヘリウム、冷却剤又は必要に応じた他の適当な供給物)を供給する絶縁及び/又は遮蔽された接続配線及び管路を備えるものでもよい。静電チャックアセンブリ用の直流電力及び交流電力は、すべて、(図示しない)単一のケーブルを介して機能プレート224を通して供給されるようにしてもよい。必要に応じて、任意の組み合わせ及び数のRFフィルターを、プラズマ処理チャンバの外側に配置されるAC電源又はDC電源と、機能プレート224と、の間に配置するようにしてもよい。機能プレート224に電力を供給するように交流電源が接続される実施形態では、信号を機能プレート224に供給する前に、1つ以上のAC−DCコンバータを用いて、交流電源からの電力信号を直流電力信号に変換するようにしてもよい。
【0032】
電力分配回路219は、分配基板228等の第1の回路基板であって、冷却プレート210と機能プレート224との間の閉鎖空間234において支持アセンブリ200の冷却プレート210に係合されるように構成される第1の回路基板上に形成される。分配基板228は、接着層等の接着によって、(図示しない)ネジ等の機械的手段によって、又は、必要に応じた他の適当な接着手段によって、冷却プレート210の底面に装着されるものでもよい。基板プレート210と機能プレート224とは、導電性材料で形成される場合、又は、導電性材料によって被覆される場合に、RFシールド(たとえば、静電シールド)として作用し、この結果、RF電流は、分配基板及び制御機器を流れるのではなく、機能プレート224及び冷却プレート210の外表面に沿って、閉鎖空間234の周囲に流れる。この構成において、分配基板228は、RFノイズ(たとえば、干渉)から遮蔽される。本発明の実施形態において、RFノイズは、静電チャックアセンブリ202に接続されるバイアス発生器等、システム内でRF電源によって生成されるランダムな電力スペクトルであるか特定周波数の不要な結合であるかにかかわらず、任意の不要な又はスプリアスなRF信号であってもよい。本発明の実施形態において、RFシールドは、有限数のコネクタ貫通を含む閉鎖導体シールド(たとえば、冷却プレート210及び機能プレート224)である。ここで、各コネクタ貫通は、バイパスコンデンサを用いて、共有RFから分離されている。バイパスコネクタは、電気接続とRFシールドとの間であって、閉鎖空間234の外側に配置される。
【0033】
分配基板228は、複数の層を備え、そのうちの一つの層が機能プレート224に接続される電子機器用の共有電圧面(たとえば、共有導電面)である。共有面上の電圧を機能プレート224と冷却プレート210と同じ電位に維持することによって、RF電力が冷却プレート210に供給される際に機能プレート224や冷却プレート210から分配基板228上の構成要素や回路にかけてアークが形成される可能性を低下させることができる。分配基板228は、電力分配回路219の電力入力ライン215をAC電源又はDC電源に接続する、少なくとも2つの端子213を備える。分配基板228は、また、電力分配回路219の電力入力ライン215を静電チャックアセンブリ202内の熱アレイの温度制御素子216に接続する、少なくとも2√N本の電力出力ラインを備える。ここで、Nは、温度制御素子216の数に等しい。分配基板228は、さらに、パッドから冷却プレート210を通るワイヤに電流を送る配線を備えるものでもよい。分配基板228は、1つ以上の電力入力ラインと機能プレート224との間に接続される、電力出力ラインから機能プレート224に接続される、及び/又は、共有電圧面と冷却プレート210及び/又は機能プレート224との間に接続されるコンデンサ等のフィルタリング素子を備え、機能プレートを流れるRF電流を短絡させて、それにより、分配基板228の構成要素にRF電流が流れないようにするものでもよい。一実施形態において、分配基板228は、ESCアセンブリ202用のキャリブレーションデータ又は識別番号を記憶するメモリを備えるものでもよい。
【0034】
別の実施形態において、機能プレート224は、非導電性材料、誘電体材料、及び/又はメッシュ材料から形成されるものでもよい。この場合、分配基板228の共有電圧面は、冷却プレート210に装着される(たとえば、電気的に接続される)ことにより分配基板228用の遮蔽エンクロージャを形成するものでもよい。当然のことながら、この実施形態において、共有電圧面は、金属プレート又は金属部材であり、冷却プレート210に装着された場合に、プラズマ処理チャンバ内のアクティブRFをエンクロージャ内に入れないようなファラデーシールドを形成する。
【0035】
図3に示すように、電力分配アセンブリ211は、さらに、電力切替装置221を備える。電力切替装置221は、切替回路222と制御回路223とを備える。切替装置221の切替回路222は、電力分配回路219に接続されて、電力供給ラインの1つ及び電力戻りラインの1つを介して温度制御素子216の各々に独立に電力を供給する。この結果、基板支持アセンブリ200の熱アレイの1つ以上の温度制御素子216を交流電力又は直流電力に対してアドレス指定可能に接続することによる複数のスイッチの時分割多重化によって、各温度制御素子216に時間平均電力を与える。制御回路223は、プラズマ処理チャンバの外側のプロセッサまたはコンピュータ等、外部の装置と通信して、電力分配及び切替回路に命令を与え制御を行う。一実施形態において、切替回路222及び制御回路223は、電力分配アセンブリ211の分配回路基板228上に形成されるものでもよい。別の実施形態において、切替回路222及び制御回路223は、電力分配回路219の分配基板228に係合可能な、切替電子基板226等の第2の回路基板上に形成されるものでもよい。
【0036】
切替電子基板226は、プリント基板(PCB:printed circuit board)であり、補助加熱層208の温度制御素子216のアレイに切り替えた電力をアドレス指定可能に供給する回路を備える。切替電子基板226は、分配回路基板228と機能プレート224との間の位置で、機能プレート224と冷却プレート210との間の閉鎖空間234内に配置されるものでもよい。切替電子基板226は、機能プレート224に電気的に接続される電子機器用の共有電圧面227を備える。共有面227上の電圧を機能プレート224と同じ電位に維持することによって、機能プレート224と切替電子基板226上の構成要素又は回路との間にアークが形成される可能性を低下させることができる。切替電子基板226は、さらに、電力入力ラインの1つ以上と機能プレート224との間に接続される、電力出力ラインから機能プレート224に接続される、及び、共有電圧面227と機能プレート224の間に接続されるコンデンサを備え、機能プレート224を流れるRF電流を短絡させて、それにより、切替電子基板226の切替及び制御回路をRF電流が流れないようにするものでもよい。別の実施形態において、切替電子基板226は、機能プレート224の上面に装着されるものでもよい。たとえば、切替電子基板226は、分配基板228の下面と係合するものでもよく、切替電子基板226が分配基板228と機能プレート224の上面との間の閉鎖空間234内に配置されるようにしてもよい。
【0037】
機能プレート224によりRF電源VRFから供給されるRF電力は、冷却プレート210への電気的接続を介して、ESCアセンブリ202に与えられる。上述したように、機能プレート224と冷却プレート210との間にRFガスケットを配置させて、2つの構成要素間に電気的な接続を形成するインターフェースを提供するようにしてもよい。当然のことながら、ESCアセンブリ202は、調節可能なESC(T−ESC:tunable ESC)の特徴を包含するものでもよい。参照することによって本発明に組み込まれる、同一出願人による米国特許第6,847,014号及び第6,921,724号にこのようなアセンブリが記載されている。
【0038】
分配基板228は、切替電子基板226上のピンと電気的に接続するパッドを備えるものでもよい。分配基板228は、さらに、パッドから冷却プレート210を通るワイヤに電流を送る配線を備えるものでもよい。別の実施形態において、分配基板228の各入力ライン上にソケットが配置されて、切替電子基板226上に配置されるピンと係合する。分配基板228は、ESCアセンブリ202用のキャリブレーションデータ又は識別番号を記憶するメモリを備えるものでもよい。この構成に加えて、切替電子基板226は、分配基板228のメモリへの読み出し/書き込みアクセスを行う。
【0039】
別の実施形態において、切替電子基板226は、各出力ライン上に、冷却プレート210に装着される分配基板228上のピンと係合するソケットを備え、電気的接続を形成するようにしてもよい。一実施形態において、切替電子基板226は、冷却プレート210の分配基板228上のピンに接触させるパッドを各出力ライン上に備え、電気的接続を形成するようにしてもよい。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態において、静電チャックアセンブリと制御電子機器の第1の構成を示す断面図である。
【0041】
図4に示すように、分配基板228及び切替電子基板226は、機能プレート224と冷却プレート210との間の閉鎖空間234内に配置される。閉鎖空間234は、冷却プレート210の底面の凹部236と機能プレート224の上面の凹部238とを位置合わせすることにより形成される。冷却プレート210と機能プレート228の外表面(たとえば、端部)236a及び238aは、それぞれ、閉鎖空間234の側壁を形成する。位置合わせピン240を用いて、組立時に、冷却プレート210と機能プレート224との位置合わせを行う。位置合わせピン240は、機能プレート224から伸長し、冷却プレート210から伸長するレセプタクル242に係合する。供給ライン244を通じて主加熱プレート206に、また、供給ライン246を通じて補助加熱層208に、電力が供給される。RF電源250を通じて機能プレート224にRF電力を供給するようにしてもよい。
【0042】
供給ライン244及び246は、各々、冷却プレートを通って伸長(たとえば、貫通)し、供給ライン244は、主加熱プレート206と分配基板228を終端とし、一方、供給ライン246は、補助加熱層208と分配基板228とを終端とする。
【0043】
前述したように、分配基板228は、閉鎖空間234内で冷却プレート210の底面に装着される。切替電子基板226は、閉鎖空間234内で機能プレート224の上面に装着される。分配基板228と切替電子基板226とは電気的に接続され、切替電子基板226の切替装置221は、電力供給ラインの1つ及び電力戻りラインの1つを介して電力を供給し、複数のスイッチの時分割多重化によって時間平均電力を与えるものでもよい。
【0044】
切替電子基板226は、少なくとも1つの表面上にトランジスタを備える。各トランジスタは、切替回路222の複数のスイッチの1つに対応するものであって、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal oxide semiconductor field effect transistor)、電力切替FET、又は、必要に応じた他の任意の適当なトランジスタでもよい。一実施形態において、切替装置は、切替電子基板226の表面から、機能プレート224の上面を通って、トランジスタを冷却するヒートシンクとして作用する機能プレート224の底面に伸長するMOSFETでもよい。機能プレート224は、第1の表面から第2の表面に伸長する複数の孔を備え、各孔は、MOSFETの1つを収容するように構成される。少なくとも1つの密閉キャップ等の密閉部材247を、複数の縦型MOSFETが終端する位置で、機能プレート224の底面に装着するようにしてもよい。密閉部材247は、RFからMOSFETを保護する障壁及びエンクロージャを提供する。
【0045】
図5は、本発明の一実施形態において、静電チャックアセンブリと制御電子機器の第2の構成の概略を示す。本発明の説明において、各図において、同一の要素番号は、共通の構成要素を示す。図5に例示する構成は、図2に例示するESCアセンブリ202の構成とほぼ同じである。ただし、制御電子機器に関して、切替電子基板226は、機能プレート224の下面上に形成される。切替電子基板226上にメタルケージ230が形成され、メタルケージ230と機能プレート224との間の空間内に切替電子基板226を閉じ込める。切替電子基板226が金属製の又は金属被覆された機能プレート224と電気的に接続されることによって、閉鎖空間234は、基板電子機器をRFノイズから保護するファラデーケージを形成する。たとえば、上述したように、切替電子基板226は、機能プレート224に接続される共有電圧面227を備える多層基板でもよい。メタルケージ230は、ネジや他の適当な装着手段を介して機能プレート224の外表面に装着され(たとえば、電気的に接続され)、切替電子基板226は、メタルケージ230内に完全に閉じ込められる。
【0046】
図6は、本発明の一実施形態において、静電チャックアセンブリと制御電子機器の第3の構成の概略を示す。
【0047】
図6に示すように、ESCアセンブリ202のセラミック層204は、クランプ電極212とRF電極232とを備える。この実施形態において、RF電源は、RF電極232に接続される。この構成は、主加熱プレート206と補助加熱層208とに結合されるRF量を抑制する効果がある。
【0048】
図7は、本発明の一実施形態において、静電チャックアセンブリと制御電子機器の第4の構成の概略を示す。図7は、図5の構成の別の実施形態を示し、図6に例示した構成は、セラミック層204内にRF電極232を備え、RF電源がRF電極232にRF電力を供給する。
【0049】
図8Aは,本発明の一実施形態において、基板支持アセンブリの補助加熱層を示す。
【0050】
図8Aに示すように、ESCアセンブリ202は、2つ以上の電力供給ライン302と2つ以上の電力戻りライン304との接続を介して電力を供給される温度制御素子216(たとえば、ヒーター、局部温度素子)のアレイを備える。各電力供給ラインは、少なくとも2つの温度制御素子216に接続され、各電力戻りラインは、少なくとも2つの温度制御素子216に接続される。いずれの部分の2つの温度制御素子216も、同一対の電力供給ライン302と電力戻りライン304の共有することはない。適当な電気的切替構成によって、1対の電力供給ライン302と電力戻りライン304を(図示しない)電源に接続して、このライン対に接続される温度制御素子216のみをONにすることができる。たとえば、切替電子基板226によって、部分的なヒーター領域を規定する各温度制御素子216をアドレス指定可能として、特定のタイミングで、関連する温度制御素子216に電力を供給するものでもよい。時間領域多重化によって、各温度制御素子216の時間平均加熱電力を個別に調節可能としてもよい。異なる温度制御素子216間のクロストークを防止するために、各温度制御素子216と電力供給ライン302との間、又は、各温度制御素子216と電力戻りライン304との間にダイオード306を直列に接続するようにしてもよい。
【0051】
一実施形態において、主加熱プレート206は、中央ヒータと中央ヒータを囲む3つの同心円ヒータとを備えるものでもよい。補助加熱層208は、膜抵抗ヒータのアレイを備えるものでもよく、各膜抵抗ヒーターは、基板上の1つのデバイスダイ又はデバイスダイ群とほぼ同じ大きさ以下の大きさである。結果として、各温度制御素子216上の位置において、基板からのデバイス収率を最大にするように、基板温度ひいてはプラズマエッチング処理を制御することができる。補助加熱層208をスケーラブルな構造とすることにより、ダイ毎の基板温度制御用に規定される任意の数の局部温度制御素子216(たとえば、ヒーター又はペルチェ素子)を簡単に収容可能である。たとえば、一実施形態において、300mm以上の直径の基板に16個〜25個、26から46個〜49個、50個〜99個又は100個以上の局部温度素子を配置するようにしてもよい。独立に制御可能な複数の平面温度制御素子を備える半導体処理装置における基板支持アセンブリ用のESCアセンブリの詳細に関しては、参照することによって本発明に組み込まれる、同一出願人による米国特許公報No. 2011/0092072及び2011/0143462に開示される。
【0052】
図8Bは、本発明の一実施形態において、温度制御素子を制御するタイミング回路の概略を示す。
【0053】
電力切替回路221は、補助加熱層208の各温度制御素子216を制御・電力供給して、所望の温度プロファイルが形成されるように、構成される。便宜上、4つの温度制御素子216のみを図示する。当然のことながら、熱アレイは、ESCアセンブリ202の所望の表面温度プロファイルを得るために適した任意の数の温度制御素子を含むことができる。
【0054】
電力切替回路221は、各電力戻りライン304に接続されるスイッチングデバイス310と、各電力供給ライン302に接続されるスイッチングデバイス312と、を備える。スイッチングデバイス312は、各電力供給ライン302を電源(たとえば、パワーサプライ)314に接続する、又は、電力供給ライン302を電源314から電気的に絶縁することができる。スイッチングデバイス310は、各電源戻りライン304を電気接地に接続する、又は、接地から若しくは電源314の低電圧側から戻りラインを電気的に絶縁することができる。制御回路223のプロセッサ316(たとえば、マイクロコントローラーユニット、コンピュータ等)は、スイッチングデバイス310及び312を制御する。たとえば、各温度制御素子216に接続される電力供給ライン302が電源314の高電圧側に接続されると共に、この温度制御素子316に接続される電力戻りライン304が電気接地又は電源の低電圧側に接続される場合にのみ、その温度制御素子216に電力が供給される。各温度制御素子216間のクロストークを防止するために、各温度制御素子216とそれに接続される電力供給ライン302との間、又は、各温度制御素子216とそれに接続される電力戻りライン304との間にダイオード318を直列に接続するようにしてもよい。スイッチングデバイスは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal oxide semiconductor field effect transistor)、電力切替FET、又は、必要に応じた他の任意の適当なトランジスタでもよい。
【0055】
電力切替回路221は、さらに、分配又は切替電子基板226上の各々の位置における温度を監視する、及び/又は、基板構成要素の温度を監視する1つ以上の温度センサを備える。温度センサの位置と各温度制御素子216の位置とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。各温度制御素子216の温度は、実際の測定によって、キャリブレーションによって、又は、理論的若しくは経験的なモデルに基づく計算によって、取得又は推定されるものでもよい。たとえば、推定測定値は、キャリブレーション推定値、予測推定値、又はモデル化推定値に基づくものでもよい。
【0056】
各温度制御素子216を駆動するために、制御回路223は、各温度制御素子216の設定点温度に基づいて、その温度制御素子216のデューティサイクルを算出する。各温度制御素子216の設定点温度は、加熱プレート全体の所望の温度プロファイルによって求められる。時間領域多重化スキームにおいて、制御回路223は、ある期間Tの間、一度に1つの電力供給ライン302と電源314との間の接続を維持するように、切替回路221のタイミングを制御する。期間Tは、その中の持続時間Tiの間、電気接地又は電源の低電圧端子と、1つの電力供給ライン302に接続される各温度制御素子216と、の間の接続を切替回路221が維持する期間である。ここで、iは、各温度制御素子216を示す。各ヒーター領域は異なる温度設定値を備え、異なる電力デューティサイクルを必要とするものでもよいため、各温度制御素子216の持続時間Tiは、必ずしも同じ値でなくてもよい。電源314が一定のDC電圧V0を出力し、すべての温度制御素子216が同じ電気抵抗R0を有し、アレイがN個の電力供給ライン302を備える場合、温度制御素子216の平均加熱電力は比Ti/TNに比例する。制御回路223は、期間Tの開始時に、各温度制御素子216の持続時間Tiを開始する。ただし、1つの電力供給ライン302に搬送される総電流量は、期間Tの開始時に、ピークとなる。実施形態の時間領域多重化スキームを用いることによって、制御回路が、期間Tにわたって、持続時間Tiの開始を時間的に分散させることができる、すなわち、すべての持続時間Tiが同時に開始されないようにすることができるため、期間Tを通して、1つの電力供給ライン302が搬送する最大総電流を抑制できるという利点がある。
【0057】
図9は、一実施形態において、温度制御素子を制御及び監視するための制御回路を示す回路図である。図9に示すように、各温度制御素子216は、高電圧側トランジスタ320と低電圧側トランジスタ322との間に接続される。高電圧側トランジスタ320は、DC電源に接続されるホール効果電流センサ等の電流センサ324にドレインが接続される。低電圧側トランジスタ322は、温度制御素子216にドレインが接続され、接地に接続されるホール効果電流センサ等の電流センサ326にソースが接続される。制御回路223によって温度制御素子がアドレス指定される場合には、高電圧側トランジスタと低電圧側トランジスタのゲートがストローブされて、温度制御素子が駆動(たとえば、加熱/冷却)される。各電流センサ324及び326の出力は、切替電子基板226上の電圧サンプリング/アナログ−デジタル(A/D)コンバータ328に提供される。高電圧側トランジスタ320のドレインに接続される分圧回路327の出力もA/Dコンバータ328に提供される。A/Dコンバータ328の出力は、プログラム可能論理デバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)又は必要に応じた他の適当な処理デバイス等のプロセッサ316に提供される。プロセッサ316は、受信したデータを処理して、各加熱領域216を流れる瞬間電流、DC電源の瞬間総電流、及びDC電源の電圧を求める。これらの値を、プロセッサのメモリ、切替電子基板226上のメモリ、又は分配基板228に保存するようにしてもよい。
【0058】
図10は、本発明の一実施形態において、電力分配アセンブリの制御電子機器を示す概略図である。図9は、切替回路222及び制御回路223が、分配基板228上に配置される分配回路に接続される切替電子基板226上に配置される実施形態を示す。当然のことながら、他の実施形態において、分配基板228上に切替回路222、制御回路223及び電力分配回路219を配置し、電力分配アセンブリが、冷却プレート210と機能プレート224との間の閉鎖空間234内にたった1つの回路基板のみを備えるようにしてもよい。
【0059】
図10に示すように、切替電子基板226は、交流電力を受け取り、ESCセラミック層204の表面201における温度制御の必要に応じて、温度制御素子アレイの各素子に選択的に電力を供給する。一実施形態において、切替電子基板226は、2つの電力ライン403(たとえば、供給ライン及び戻りライン)を通じてRFフィルタ401を介してDC電源から電力を受け取るような接続を備えるものでもよい。供給された直流電力は、ESCセラミック層204の温度制御素子216の動作電圧で評価される。切替電子基板226は、さらに、各電力ライン403に接続されて温度制御素子216のアレイに電力を供給する電力スイッチングデバイス402、たとえば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal oxide semiconductor field effect transistor)や必要に応じた他の適当なトランジスタのようなパワートランジスタ、を備える。切替電子基板226は、分配基板228を介してESCアセンブリ202に切り替えられた直流電力を提供する。この接続に関しては、図2を参照して上述した。
【0060】
図8Bを参照して上述したように、制御回路のプロセッサ316は、切替回路のスイッチングデバイス402に制御信号を送り、各温度制御素子216を一意にアドレス指定して、必要に応じてESCセラミック層204の表面201に熱を発生させるようにしてもよい。切替電子基板226は、2つの電力供給ラインを通じてRFフィルタを介してDC電源から受け取った直流電力を調整する。直流電力は、分配基板228を介して、切替電子基板226からESCセラミック層204の温度制御素子216に供給される。切替電子基板226は、直流電力を受け取るように接続される。これによって、補助加熱層208及び/又は主加熱プレート206用の制御電子機器は、プラズマ処理チャンバ内部のエンクロージャ内に遮蔽され、RFフィルタの高RF電圧側に接続される。2つの電力供給ライン403の一方は、正の電位を有し、もう一方の供給ラインは、負の電位又はより低い電位を有する。切替電子回路226は、2つの電力入力ラインからのみ、直流電力を受け取るため、RFフィルタリング用に規定される接続の数を削減することができ、これによって、切替電子基板226からESCセラミック層204への電力供給ライン403用のRFフィルタリング部の大きさ及びコストを抑制し、構成を簡単にできる。
【0061】
切替電子基板226は、さらに、プロセッサ316とコンピュータ又は必要に応じた他の適当な制御装置のような外部プロセッサ405(たとえば、外部通信装置)との間で、光ファイバ407を介して、データ通信を行う光送受信機等の通信回路406を備えるものでもよい。別の実施形態において、通信回路406は、無線チャンネルを介した通信、たとえば、選択されたRF周波数を介した通信を行うように構成されるものでもよい。切替電子基板226のプロセッサ316と外部プロセッサ405との間で通信される命令及び制御信号がプラズマ処理チャンバ内のアクティブRFから絶縁されるように、通信回路406を構成する必要がある。別の実施形態において、絶縁変圧器、オプトカプラ、プラズマ処理チャンバ内のアクティブRFと異なる周波数で作動するRFトランシーバ、Wi−Fiトランシーバ又は必要に応じた他の任意の適当な通信装置を用いて、この絶縁をおこなうものでもよい。さらに別の実施形態において、通信回路406は、有線通信チャネルを介して通信を行うように構成されたものでもよい。有線チャネルでは、別のフィルタリング構成要素を用いて、RF、DC及び/又はガルバニック絶縁を行って、通信信号がRF干渉から絶縁されて、RF干渉の影響を受けないようにしてもよい。
【0062】
切替電子基板226は、外部プロセッサ405との間で通信される制御またはステータスメッセージを暗号化及び復号化する論理回路を備えるものでもよい。切替電子基板226は、2つの電力ライン403から受信した電圧を降圧するDC−DCコンバータ408を備える。各DC−DCコンバータ408は、たとえば、プロセッサ316及びスイッチングデバイス402に降圧した電圧を供給する。センサ410を切替電子基板226上に必要に応じて載置して、基板温度及び/又は特定の基板構成要素の温度を検出するようにしてもよい。各センサ410は、プロセッサ316に出力するように接続され、プロセッサ316は受信した信号をメモリ内に保存する。一実施形態において、センサの出力を切替電子基板226及び/又は分配基板228上のメモリ内に保存するようにしてもよい。切替電子基板226外部の構成要素、たとえば、ESCセラミック層204や冷却プレート210の温度をセンサ412により監視及び記録するようにしてもよい。
【0063】
分配基板228との接続を介して、切替電子基板226は、外部電源からESCアセンブリ202の回路に直流電力または交流電力を流す電子構成要素および電子回路を備えるものでもよい。たとえば、一実施形態において、外部DC電源416から分配基板228を通じてESCセラミック層204に内蔵された静電クランプ電極212に直流電力を流すような導電配線又は供給ライン414を備えるように、切替電子基板226を構成するものでもよい。別の実施形態において、外部AC電源420から分配基板228を通じてESCアセンブリ202の主加熱プレート206に配置された主ヒーター214に交流電力を流すような導電配線又は供給ライン418を備えるように、切替電子基板226を構成するものでもよい。
【0064】
上述したように、切替電子基板回路226と離れたESCアセンブリ202の補助ヒーター(たとえば、温度制御素子)216からのRF電流を短絡させて、代わりに金属製又は金属被覆された機能プレート224にRF電流を通すように、切替電子基板226の電力入力ライン及び電力出力ライン上にコンデンサ422を備えるものでもよい。ここで、各コンデンサ422の一端は、電力ライン403の1つに接続され、各コンデンサ422の他端は、機能プレート224、又は、機能プレート224と共有電圧面とが同じ電位となるように機能プレート224に接続されるPCB(プリント基板)上の共有電圧面(たとえば、共有導電面)に接続される。切替電子基板226上でコンデンサ422をこのように用いることにより、切替電子基板226上でRF電圧が切替電子基板226に載置された電子回路(スイッチングデバイス402、プロセッサ316、電力コンバータ408又は必要に応じた他の適当な構成要素)の動作を妨害するリスクを減らすことができる。
【0065】
別の実施形態において、切替電子基板226は、受信データライン及びバス回路(図9参照)上で電圧/電流を監視する電圧及び/又は電流センサ423を備えるものでもよい。また、抵抗の変化に基づいて、又は、必要に応じてセンサ410、412又は423のいずれかの出力の変化に基づいて、バス回路上の電流又は電圧出力を変化させるようにプロセッサ316を構成するものでもよい。
【0066】
上述した別の実施形態において、プロセッサ316は、外部装置又はプロセッサに通信するデータの暗号化と復号化をリアルタイムで行うように構成されるものでもよい。たとえば、外部装置又はプロセッサとの通信の際に、制御またはステータスメッセージを含むデータ及びデータロギングを暗号化及び/又は復号化するようにしてもよい。また、ESCアセンブリ212の主ヒーター214及び温度制御素子216のアレイに関係するキャリブレーションデータを記憶する不揮発性の常駐メモリ又は外部メモリをプロセッサが備えるようにしてもよい。通信回路406を介して外部装置又はプロセッサから、ソフトウェアの更新を受信するように、又は、再プログラミングされるように、プロセッサ316を構成するものでもよい。別の実施形態において、メモリに保存したデータをパスワードで保護して、プロセッサやその内容に対する不正アクセスを防止するようにしてもよい。
【0067】
図11は、本発明の一実施形態において、プラズマ処理チャンバ内でウエハのエッチングを行う方法を示すフロー図である。
【0068】
図1図10を参照して上述したように、プラズマ処理チャンバ102は、プラズマ処理の際に基板を支持する静電チャックアセンブリ202を備える。静電チャックアセンブリ202は、冷却プレート210と、半導体基板上で空間温度プロファイルを調節するように動作可能な温度制御素子216(たとえば、ヒーターアレイ)と、を備える。温度制御素子216は、2つ以上の電力供給ライン302及び2つ以上の電力戻りライン304により電力を供給される。ここで、各電力供給ライン302は、少なくとも2つのヒーター216に接続され、各電力戻りライン304は、少なくとも2つのヒーター216に接続される。静電チャックアセンブリ202は、冷却プレート210を介して、電力分配アセンブリ211に係合される。電力分配アセンブリ211は、ヒーターアレイの各電力供給ライン302と電力戻りライン304に接続される電力分配回路219と、電力分配回路219に接続される電力切替装置221と、を備える。前述したように、静電チャックアセンブリ202は、さらに、機能プレート224を備える。電力分配アセンブリ211は、少なくとも、冷却プレート210と機能プレート224との間のRF遮蔽されたエンクロージャ内の冷却プレート210に取り付けられる。
【0069】
図11に示すように、処理の際に、RF電力は機能プレート224を介して静電チャックアセンブリに供給され、これによって、RF電流が機能プレートと冷却プレートの外表面に沿って、RF遮蔽されたエンクロージャの周囲を流れる(S500)。RF電力が静電チャックアセンブリに供給されると、電力分配回路219のRF電位が機能プレート224のRF電位と一致する(S504)。プラズマ処理チャンバ内の電力分配アセンブリの制御回路223とプラズマ処理チャンバ外部のプロセッサ405との間で、命令及び制御メッセージの通信を行う(S502)。命令及び制御メッセージに基づいて、切替回路222は、電力供給ラインの1つ及び電力戻りラインの1つを介して各温度制御素子に独立に電力を供給し、複数のスイッチの時分割多重化によって各温度制御素子に時間平均電力を与えるように命令される(S506)。電力分配アセンブリ211は、温度、電圧及び電流等、様々なパラメータをセンサを用いて監視して(S508)、監視対象のパラメータに関する値をメモリに保存する(S510)。
【0070】
以上、本発明を図面及び実施形態を参照して説明したが、本発明は何らこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々に変更可能である。
【0071】
当業者には自明のことであるが、本発明は、本発明の要旨の範囲内で他の様々な形態で実施可能である。上述した実施形態は、例示に過ぎず、何ら発明を限定するものではない。本発明の範囲は、上述の記載ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、本発明及びその等価物の範囲内における変形は、すべて、本発明の範囲内のものである。
本発明は、以下の適用例としても実現可能である。
[適用例1]
プラズマ処理チャンバ内で半導体基板を支持する半導体基板支持体であって、
前記半導体基板上の空間温度プロファイルを調整するように動作可能な温度制御素子を備えるヒーターアレイであって、前記温度制御素子は複数のヒーター領域を規定し、2つ以上の電力供給ラインと2つ以上の電力戻りラインとによって各ヒーター領域に電力が供給され、各電力供給ラインは前記ヒーター領域の少なくとも2つに接続され、各電力戻りラインは前記ヒーター領域の少なくとも2つに接続される、ヒーターアレイと、
前記基板支持体の底板に係合される電力分配回路であって、前記ヒーターアレイの各電力供給ラインと各電力戻りラインとに接続される電力分配回路と、
前記電力分配回路に接続される電力切替装置であって、前記電力供給ラインの1つ及び前記電力戻りラインの1つを介して、各前記ヒーター領域に独立に電力を供給することにより、複数のスイッチの時分割多重化によって各前記ヒーター領域に時間平均電力を与える電力切替装置と、
を備える半導体基板支持体。
[適用例2]
適用例1に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力分配回路は、第1の回路基板上に形成され、
前記第1の回路基板は、前記底板に装着される導電共有面であって、前記底板の電位と同じ電位に維持される導電共有面を備える、半導体基板支持体。
[適用例3]
適用例1に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置が、切替回路と制御回路とを備える、半導体基板支持体。
[適用例4]
適用例2に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置は、前記第1の回路基板上に形成される、
半導体基板支持体。
[適用例5]
適用例3に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置は、前記第1の回路基板上に形成される、
半導体基板支持体。
[適用例6]
適用例1に記載の半導体基板支持体であって、さらに、
前記基板支持体の底板に装着される機能プレートを備え、
前記底板と前記機能プレートとの間の静電的に遮蔽された空間内に少なくとも前記電力分配回路が配置される、半導体基板支持体。
[適用例7]
適用例6に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力分配回路は、第1の回路基板上に形成され、
前記第1の回路基板は、前記底板に装着される導電共有面であって、前記底板の電位と同じ電位に維持される導電共有面を備える、半導体基板支持体。
[適用例8]
適用例7に記載の半導体基板支持体であって、
前記切替装置は、第2の回路基板上に形成され、
前記第2の回路基板は、前記機能プレートに装着される導電共有面であって、前記機能プレートのDC電位に維持される導電共有面を備える、半導体基板支持体。
[適用例9]
適用例8に記載の半導体基板支持体であって、
前記第2の回路基板は、前記機能プレートの上面であって前記機能プレートの凹部内に装着され、これによって、前記第2の回路基板は、前記底板と前記機能プレートとの間の前記RF遮蔽された空間内に配置される、半導体基板支持体。
[適用例10]
適用例6に記載の半導体基板支持体であって、
前記底板と前記機能プレートとの間の前記RF遮蔽された空間は、第1のRF遮蔽された空間であり、
前記半導体基板支持体は、さらに、
前記機能プレートに装着されるメタルケージであって、前記メタルケージと前記機能プレートとの間に第2のRF遮蔽された空間を形成するメタルケージを備える、半導体基板支持体。
[適用例11]
適用例10に記載の半導体基板支持体であって、
前記第2のRF遮蔽された空間は、前記第1のRF遮蔽された空間の下に位置する、半導体基板支持体。
[適用例12]
適用例11に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力分配回路は、第1の回路基板上に形成され、
前記第1の回路基板は、前記底板に装着される導電共有面であって、前記底板のDC電位に維持される導電共有面を備える、半導体基板支持体。
[適用例13]
適用例12に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置は、第2の回路基板上に形成され、
前記第2の回路基板は、接地からDC絶縁され、接地から分離されて前記機能プレートに電気的に接続される導電共有面であって、前記機能プレートのDC電位とほぼ同じ電位に維持される導電共有面を備える、半導体基板支持体。
[適用例14]
適用例13に記載の半導体基板支持体であって、
前記第2の回路基板は、前記機能プレートの下面に装着され、
前記第2の回路基板は、前記メタルケージと前記機能プレートとの間の前記第2のRF遮蔽された空間内に配置される、半導体基板支持体。
[適用例15]
適用例6に記載の半導体基板支持体であって、さらに、
前記底板と前記機能プレートの外周の間に導電性ガスケットを備える、半導体基板支持体。
[適用例16]
適用例8に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置の前記第2の回路基板は、前記機能プレートの第1の表面に装着され、前記第2の回路基板の少なくとも1つの表面上にトランジスタである複数のスイッチを備え、
各前記トランジスタは、前記機能プレートの前記第1の表面と前記機能プレートの第2の表面との間に伸長し、前記機能プレートの前記第2の表面上の終端点において、前記複数のトランジスタが密閉部材によってRFから遮断される、半導体基板支持体。
[適用例17]
適用例1に記載の半導体基板支持体であって、さらに、
各電力戻りラインと前記底板との間に配置される少なくとも1つのコンデンサであって、前記底板と前記ヒーターアレイとの間でRFを短絡させることにより、前記ベースプレートと前記ヒーターアレイとを同じRF電位にする、コンデンサを備える、半導体基板支持体。
[適用例18]
適用例1に記載の半導体基板支持体であって、さらに、
電源から電力の1つを受信するように構成される少なくとも1つのRFフィルタであって、前記切替装置と前記分配回路とを介して、前記ヒーターアレイにそれぞれ調製された電力を供給するように構成されるRFフィルタを備える、半導体基板支持体。
[適用例19]
適用例7に記載の半導体基板支持体であって、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板は、各々、複数の信号線または配線と、各配線と各導電共有電圧面との間を接続するフィルタリング部とを備える、半導体基板支持体。
[適用例20]
適用例1に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力供給回路は、前記電力切替装置の構成データ、識別情報、動作データの少なくとも1つを保存するメモリを備える、半導体基板支持体。
[適用例21]
適用例1に記載の半導体基板支持体であって、さらに、
前記電力切替装置と前記プラズマ処理チャンバの外部のプロセッサとの間で無線通信を行う通信モジュールを備える、半導体基板支持体。
[適用例22]
適用例21に記載の半導体基板支持体であって、
前記電力切替装置は、前記外部プロセッサと通信されるデータ信号を暗号化及び復号化するように構成される、半導体基板支持体。
[適用例23]
適用例9に記載の半導体基板支持体であって、
前記第1の回路基板は、前記底板の下面であって、前記底板の凹部内に装着される、半導体基板支持体。
[適用例24]
適用例23に記載の半導体基板支持体であって、
前記底板の前記凹部と前記機能プレートの前記凹部は、RF遮蔽された空間を形成し、前記機能プレートにRFが印加されると、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板の周囲を前記機能プレートと前記底板の外表面に沿ってRF電流が流れる、半導体基板支持体。
[適用例25]
プラズマ処理チャンバ内で半導体基板をエッチングする方法であって、
前記プラズマ処理チャンバは、プラズマ処理の際に前記基板を支持する静電チャックアセンブリを備え、
前記静電チャックアセンブリは、底板と、前記半導体基板上の空間温度プロファイルを調整するように動作可能な温度制御素子を備えるヒーターアレイであって、前記温度制御素子は複数のヒーター領域を規定し、2つ以上の電力供給ラインと2つ以上の電力戻りラインとによって各ヒーター領域に電力が供給され、各電力供給ラインは前記ヒーター領域の少なくとも2つに接続され、各電力戻りラインは前記ヒーター領域の少なくとも2つに接続される、ヒーターアレイと、を備え、
前記静電チャックアセンブリは、前記底板を介して電力分配アセンブリに係合され、
前記電力分配アセンブリは、前記ヒーターアレイの各電力供給ラインと各電力戻りラインとに接続される電力分配回路と、前記電力分配回路に接続される電力切替装置と、を備え、
前記方法は、
前記電力供給ラインの1つ及び前記電力戻りラインの1つを介して、各前記ヒーター領域に独立に電力を供給することにより、前記電力切替装置の複数のスイッチの時分割多重化によって各前記ヒーター領域に時間平均電力を与える、方法。
[適用例26]
適用例25に記載の方法であって、さらに、
前記電力分配アセンブリと外部プロセッサとの間で命令及び制御メッセージを通信する、方法。
[適用例27]
適用例25に記載の方法であって、
前記静電チャックアセンブリは機能プレートを備え、
前記電力分配アセンブリは、少なくとも、前記底板と前記機能プレートとの間のRF遮蔽されたエンクロージャ内に配置される前記底板に装着され、
前記方法は、さらに、
前記機能プレートにRF電力を供給し、前記機能プレート前記底板の外表面に沿って、前記RF遮蔽されたエンクロージャの周囲にRF電流を流す、方法。
[適用例28]
適用例25に記載の方法であって、さらに、
前記電力分配アセンブリのセンサを用いて、温度、電圧及び電流の少なくとも1つを含む種々のパラメータを監視する、方法。
[適用例29]
適用例28に記載の方法であって、さらに、
前記監視対象のパラメータに関係する値をメモリに保存する、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11