特許第6276180号(P6276180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6276180高速回転チャックを有するシステムにおける空気流管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276180
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】高速回転チャックを有するシステムにおける空気流管理
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   H01L21/68 P
【請求項の数】21
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-525069(P2014-525069)
(86)(22)【出願日】2012年8月2日
(65)【公表番号】特表2014-522127(P2014-522127A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012049369
(87)【国際公開番号】WO2013022713
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2015年7月24日
(31)【優先権主張番号】61/522,569
(32)【優先日】2011年8月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/565,212
(32)【優先日】2012年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレン ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ドイル ポール
(72)【発明者】
【氏名】ベリャーエフ アレキサンダー
【審査官】 山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−164424(JP,A)
【文献】 特開平11−289002(JP,A)
【文献】 特開昭61−288143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67−21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持および保持するよう構成された第1面と、
前記第1面に略反対側に構成された第2面と、
を備えるチャックに取り付ける、翼型構造体を含むリング構造体であって、
チャックは、前記第1面に対して垂直である垂直軸を中心にチャックを回転させるよう構成された駆動機構に接続されるよう構成され、
前記翼型構造体は、チャックに取り付けられた場合に、チャックの回転時にチャックの近傍における空気乱流の低減を促進し、チャックの回転時に前記基板の近傍において生成される第1径方向空気流とチャックの前記第2面の近傍において生成される第2径方向空気流との間の分離の低減を促進し、それにより前記基板上における混入物質の堆積を低減することを促進するための、傾斜領域及びリップ部を備える、
チャック取り付け用のリング構造体。
【請求項2】
前記軸はチャックの垂直中心軸である、請求項1に記載のチャック取り付け用のリング構造体。
【請求項3】
前記基板は半導体ウェーハである、請求項1に記載のチャック取り付け用のリング構造体。
【請求項4】
チャックは真空チャックである、請求項1に記載のチャック取り付け用のリング構造体。
【請求項5】
チャックは縁部ハンドリングチャックである、請求項1に記載のチャック取り付け用のリング構造体。
【請求項6】
前記駆動機構はモータに接続されたシャフトを備える、請求項1に記載のチャック取り付け用のリング構造体。
【請求項7】
前記リップ部は1〜2ミリメートルの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のチャック取り付け用のリング構造体。
【請求項8】
チャックはチャックの垂直中心軸を中心に1,000〜10,000回転/分の範囲の速度で回転する、請求項1に記載のチャック取り付け用のリング構造体。
【請求項9】
基板を検査するための検査システムであって、
前記基板を支持および保持するよう構成され、チャックを回転させるための駆動機構に接続されるよう構成された、チャックと、
前記基板の1つのエリアを照明する光ビームを生成するよう構成された光源と、
前記基板上の前記照明されたエリアから発せられた光を検出するよう構成された撮像カメラと、
前記光源からの光を前記基板の前記エリア上に集束するよう構成された照明光学系の組を含む光学要素の組であって、前記基板の前記エリアから発せられた光を収集し前記基板の前記エリアを前記撮像カメラの検出器部分上に撮像するよう構成された集光光学系の組をさらに備える、光学要素の組と、
を備え、
前記チャックは第1面および第2面を備え、前記第2面は前記第1面の略反対側に構成され、前記第1面は前記基板を支持するよう構成され、前記チャックには翼型構造体を含むリング構造体が取り付け可能であり、前記翼型構造体は、前記チャックに取り付けられた場合に、前記チャックの回転時に前記チャックの近傍における空気乱流の低減を促進し、前記チャックの回転時に前記基板の近傍において生成される第1径方向空気流と前記チャックの前記第2面の近傍において生成される第2径方向空気流との間の分離の低減を促進し、それにより前記基板上におけるシステム内の混入物質の堆積を低減することを促進するための、傾斜領域及びリップ部を備える、
システム。
【請求項10】
検査機器は明視野(BF)検査機器および暗視野(DF)検査機器のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記チャックは、
真空チャックを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記光源は、
レーザ光源を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記リップ部は0.1〜10ミリメートルの範囲の厚さを有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記基板は半導体ウェーハである、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記チャックはスピンドルに接続される、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記スピンドルはモータに接続され、前記モータは、前記スピンドルを駆動し、前記チャックを回転させるよう構成された、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記チャックは1000〜2000回転/分の範囲の速度で回転する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
半導体ウェーハを検査するためのシステムであって、
前記半導体ウェーハを支持および保持するよう構成された真空チャックであって、シャフトおよびモータに接続されるよう構成され、前記シャフトおよびモータを介して回転されるよう構成された、真空チャックと、
前記半導体ウェーハ上の1つのエリアを照明する光ビームを生成するよう構成されたレーザ光源と、
前記半導体ウェーハ上の前記照明されたエリアから発せられた光を検出するよう構成された撮像カメラと、
前記光源からの光を前記半導体ウェーハの前記エリア上に集束するよう構成された照明光学系の組を含む光学要素の組であって、前記半導体ウェーハの前記エリアから発せられた光を収集し前記半導体ウェーハの前記エリアを前記撮像カメラの検出器部分上に撮像するよう構成された集光光学系の組をさらに備える、光学要素の組と、
を備え、
前記真空チャックは第1面および第2面を備え、前記第2面は前記第1面の略反対側に構成され、前記第1面は前記半導体ウェーハを支持するよう構成され、前記真空チャックには翼型構造体を含むリング構造体が取り付け可能であり、前記翼型構造体は、前記真空チャックに取り付けられた場合に、前記チャックの回転時に前記チャックの近傍における空気乱流の低減を促進し、前記チャックの回転時に前記半導体ウェーハの近傍において生成される第1径方向空気流と前記チャックの前記第2面の近傍において生成される第2径方向空気流との間の分離の低減を促進し、それにより前記ウェーハ上におけるシステム内の混入物質の堆積を低減することを促進するための、傾斜領域及びリップ部を備える、
システム。
【請求項19】
検査機器は明視野(BF)検査機器および暗視野(DF)検査機器のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記リップ部は1〜2ミリメートルの範囲の厚さを有する、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記チャックは1400〜1600回転/分の範囲の速度で前記チャックの中心軸を中心に回転し、前記中心軸は前記第1面に対して垂直である、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体ウェーハ検査システム等の検査システムと組み合わせて用いられる回転チャックに関し、より詳細には、係る検査システムとともに用いられる場合に空気流管理を可能にする高速回転チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
常に縮小化する半導体デバイスに対する需要が増え続けるのに伴い、改善された半導体製作手法および半導体ウェーハ検査感度に対する需要も増え続ける。最新の集積回路の複雑度が増大し続けるために、製作中および/または製作後に半導体ウェーハの表面上における欠陥の存在に対する許容範囲は縮小し続ける。一般にデバイスの製作および性能に悪影響を及ぼす1つの部類の欠陥は異物欠陥である。異物欠陥の1つの原因は既存のウェーハチャックシステムを利用することに起因する。高回転速度で回転すると、既存の回転ウェーハチャックシステムではウェーハとチャックとの組合せの上面および底面は渦巻きポンプとして作用する。この効果により、上面上および底面上に、中心部(例えばウェーハの中心)から表面の縁部に高速で移動する空気の層が上面底面形成される。外向きの空気流は、次に、上面および底面の中心部に低圧ゾーンを生成する。低圧ゾーンの作用により、より多量の空気がウェーハ領域の外側領域から中心部へと移動するよう促進される。低圧ゾーンに流れ込む傾向を有する空気は様々な種類の混入物質を含み得る。噴出された空気の頂部層および底部層は、チャック縁部からわずかに離れた場所で交わり、既存のチャックにおいては、チャックからある程度離れた場所で混合する。この結果、これら2つの空気流同士の間に低圧ゾーンが形成される。この低圧ゾーンは周囲の空気により直ちに充填され、それにより空気乱流ゾーンが生成される。この乱流は混入物質を下流側領域(すなわちチャックの下方)から導き得る。なお、この下流側領域のクリーン度は一般に十分ではない。この乱流の結果、混入物質が、ウェーハおよび/またはウェーハチャックの下方領域からウェーハの上面へと移動され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,092,082号
【特許文献2】米国特許第6,702,302号
【特許文献3】米国特許第6,621,570号
【特許文献4】米国特許第5,805,278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの混入物質が所与の半導体ウェーハの表面上に導入されることは、ウェーハ上に製作される半導体デバイスの性能に重大な影響を与える。そのため、乱流を沈静化し、それにより半導体製作プロセスまたは検査プロセスにおいてチャック回転により導入される異物混入を低減する、改善された回転ウェーハチャックを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本開示の一実施形態は、基板を支持および保持するよう構成された第1面と、前記第1面に略反対側に構成された第2面とを備えチャックに取り付ける、翼型構造体を含むリング構造体であって、チャックは、前記第1面に対して垂直である垂直軸を中心にチャックを回転させるよう構成された駆動機構に接続されるよう構成され、前記翼型構造体は、チャックに取り付けられた場合に、チャックの回転時にチャックの近傍における空気乱流の低減を促進し、チャックの回転時に前記基板の近傍において生成される第1径方向空気流とチャックの前記第2面の近傍において生成される第2径方向空気流との間の分離の低減を促進し、それにより前記基板上における混入物質の堆積を低減することを促進するための、傾斜領域及びリップ部を備える、チャック取り付け用のリング構造体である。
【0006】
本開示のさらなる実施形態は、半導体ウェーハ検査するためのシステムであって前記半導体ウェーハを支持および保持するよう構成された真空チャックであって、シャフトおよびモータに接続されるよう構成され、前記シャフトおよびモータを介して回転されるよう構成された、真空チャックと、前記半導体ウェーハ上の1つのエリアを照明する光ビームを生成するよう構成されたレーザ光源と前記半導体ウェーハ上の前記照明されたエリアから発せられた光を検出するよう構成された撮像カメラと、前記光源からの光を前記半導体ウェーハの前記エリア上に集束するよう構成された照明光学系の組を含む光学要素の組であって、前記半導体ウェーハの前記エリアから発せられた光を収集し前記半導体ウェーハの前記エリアを前記撮像カメラの検出器部分上に撮像するよう構成された集光光学系の組をさらに備える、光学要素の組と、を備え、前記真空チャックは第1面および第2面を備え、前記第2面は前記第1面の略反対側に構成され、前記第1面は前記半導体ウェーハを支持するよう構成され、前記真空チャックには翼型構造体を含むリング構造体が取り付け可能であり、前記翼型構造体は、前記真空チャックに取り付けられた場合に、前記チャックの回転時に前記チャックの近傍における空気乱流の低減を促進し、前記チャックの回転時に前記基板の近傍において生成される第1径方向空気流と前記チャックの前記第2面の近傍において生成される第2径方向空気流との間の分離の低減を促進し、それにより前記ウェーハ上におけるシステム内の混入物質の堆積を低減することを促進するための、傾斜領域及びリップ部を備えるシステムである
【0007】
上述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が、単に代表的説明的であり、請求項に定められる本発明を必ずしも限定するものではないことを理解すべきである。添付の図面は、本明細書に組み込まれ本明細書の一部を構成するものであって、本発明の実施形態を例示し、一般的な説明とともに、本発明の原理を説明する機能を有する。
【0008】
本発明の多くの利点は、以下の添付の図面を参照することにより、当業者により、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の代表的な実施形態に係るウェーハチャックの概略図である。
図2A】基板を支持し本発明の代表的な実施形態に係るチャックを回転させるための駆動機構に接続されたチャックを示す、本実施形態に係る略円筒形状を有するウェーハチャックの概略図である。
図2B】本開示の代表的な実施形態に係るウェーハチャックの概略図である。
図3A】本発明の一実施形態に係るウェーハチャックが備えられた検査システムのブロック図である。
図3B】本発明の一実施形態に係るウェーハチャックが備えられた検査システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が、単に代表的な説明であり、請求項に定められる本発明を必ずしも限定するものではないことを理解すべきである。添付の図面は、本明細書に組み込まれ本明細書の一部を構成するものであって、本発明の実施形態を例示し、一般的な説明とともに、本発明の原理を説明する機能を有する。添付の図面に示す本開示の発明主題についてここで詳細に参照する。
【0011】
概略的に図1図3Bを参照すると、本発明に係るウェーハチャック装置100が図示される。本発明は、ウェーハ検査システム等の実装するシステム内で、高いウェーハ回転速度により生成される空気流パターンにより生じる異物混入の低減化に好適である改善されたウェーハチャック100を対象とする。本発明は、空気流により導入される異物混入の低減化の結果としての精度および効率の改善に好適なウェーハチャック100が備えられた検査システム300をさらに対象とする。一般にウェーハの回転が検査プロセスの実施に要求されるため、高チャック/ウェーハ回転速度における低異物混入環境を提供する能力は全域の検査における増加をもたらす。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る、ウイング形状のウェーハチャック100の概略図を示す。本発明の一態様において、ウェーハチャック100は、チャック100およびウェーハ102が高速回転する間、ウェーハ102の外辺部周りにおける空気乱流を低減するよう構成された翼型構造体101を備える。例えば、この翼型構造体は、図1に示すように、高速回転(例えば10,000RPMまでの回転速度)時にウェーハ/チャック縁部の外辺部周りにおける空気乱流を低減するにあたり好適なウイング形状の翼型構造体を備え得る。チャック100の外辺部周りにおける空気乱流の軽減化は、次に、チャック100およびウェーハ102の下方領域からウェーハ102の表面103へと「上昇」される混入物質の量を低減することにより、実装する環境(例えば検査システム)の異物混入を低減することを支援する。一般的な意味において、ウェーハ102およびチャック100の外辺部周りにおける空気乱流を低減する能力を有する任意の翼型構造体は本発明を実施するにあたり好適である。一実施形態において、実装される翼型構造体101は堅固な機械加工された部分を備え得る(図1に示すように)。当該部分は、チャック100の最底部分とチャック100の最頂部分との間に、傾斜領域116およびリップ部118を備える。他の実施形態において、実装される翼型構造体101は1つまたは複数のリング構造体を備え得る。このリング構造体は、既存のチャック(例えば図2Aに示すチャック202)に取り付け可能である。取り付け可能なリング構造体(図示せず)は、図1に示す傾斜116およびリップ部分と同様の特徴を含み、それによりユーザが既存のチャックシステムに本発明の異物混入低減能力をレトロフィットすることが可能である。
【0013】
本発明の他の態様では、ウェーハチャック100は、供給された真空を利用してウェーハ102(例えば半導体ウェーハ)を固定するよう構成された、真空ベースのウェーハチャックから構成される。一実施形態において、真空チャック100は略円形のボウル形状構造体として構成され得、ウェーハ102を定位置に支持(例えば保持)するよう構成された上面104(例えば支持面)を備え得る。代替的な実施形態において、ウェーハチャック100は縁部ハンドリングウェーハチャック(図示せず)を含み得る。
【0014】
他の実施形態において、真空チャック100は、真空チャック100を通ってエアカレントが引き込まれ、それによりウェーハ102をチャック100の支持面に固定するための真空が形成されるよう構成され得る。この点に関して、真空チャック100の頂部上に配置されたウェーハ102は外部環境と真空チャックの真空化された容積(図示せず)との間の圧力差を経験し、それによりウェーハ102がチャック100の支持面上に固定される。例えば、真空が、外部真空ポンプ(図示せず)に連結された真空ライン(図示せず)を介してウェーハ102の底面に加えられる。真空ラインのための入口はチャック100の底面108(例えば支持面に対向する表面)上に配置される。この点に関して、真空システムが真空を確立し、この真空は、チャック100の支持面に対してウェーハ102を確実に吸い込み、保持するよう作用する。
【0015】
他の実施形態において、真空チャック100はシャフト114(例えばスピンドル)により一体的に支持され得る。例えば、シャフト114はモータ(例えばスピンドルモータ)(図示せず)に接続され得る。この点に関して、スピンドルモータはシャフト114を回転させ、それにより支持面104に対して垂直な軸(例えばZ軸)を中心に真空チャック100を回転させるよう、構成され得る。例えば、チャック100は1,000回転/分(rpm)より大きい速度(例えば1,000〜10,000rpm)で回転し得る。
【0016】
図2Aおよび図2Bはそれぞれ、既存のウェーハチャック202および本発明のウェーハチャック100の両方の概略図を示す。現在入手可能な真空チャック(例えば図2Aに示すウェーハチャック202)は略円筒形状であって、円筒形状外側壁部204を介して接続された上面支持面および底面を有する。それにより、チャック202の上面および底面は円筒の対向する端部を形成する。ウェーハ102のウェーハ検査プロセスを実施する間、円筒形チャック202およびウェーハ102が高速回転される構成においては、径方向空気流206,208が、ウェーハ102の上面103の近傍および円筒形チャック202の底面108の近傍において形成される。対向する表面において生成される径方向空気流206,208が、チャック202の高回転速度から生じる渦巻き空気ポンプ作用により起こるものであることがここで認識される。次に、ウェーハ102の表面103およびチャック202の底面108における径方向空気流206,208は、チャック202の外辺部周りにおいて径方向空気流206と208との間に大きい低圧ゾーン210を生成する。次に、低圧ゾーン210は円筒形チャック202の外辺部周りに局所的空気乱流を生じさせる。円筒形チャック202の外辺部周りに形成される空気乱流は、実装するシステム(例えば検査システム300)の下方部分から混入物質211の上昇を生じさせる傾向を有し、その結果、混入物質がウェーハ102の表面上に堆積することとなり得る。
【0017】
ここで図2Bを参照すると、本発明の真空チャック100は、高速回転チャック100の外辺部周りにおける空気乱流を最小化することにより、現在入手可能なチャック202に関連する上記の欠点を解決する。チャック100の外辺部周りにおける空気乱流を低減することにより、実装するシステム(例えばウェーハ検査システム300)において低異物混入環境が促進される。図2Bに示すように、チャック100の支持面104はウェーハ102を受容するにあたり好適な略平坦表面であり得る。代替的な実施形態において、チャック100の支持面104は凹陥部分(例えば凹状部分)を備え得る。本発明のさらなる態様において、チャック100の底面108は、丸められた部分または湾曲部分116を備え(例えば形成し)得、それにより湾曲部分116はチャック100の上面104に接続する(例えば垂直方向上向きに湾曲または傾斜して上面104に達する)。加えて、チャック100の傾斜した底面108とチャック100の上面104との交差部分は外側構造体すなわちリップ部118(例えば乱流低減リップ部、径方向空気流分離リップ部など)を形成し得る。外側リップ部118はミリメートルのオーダーの範囲の厚さを有し得る。例えば、外側リップ部118の厚さは1〜2mmであり得る。本発明のチャック100のウイング形状の構造体101は、径方向空気流206,208(図2Bに示す)が徐々に混合することを可能にする。径方向空気流206,208が徐々に混合することは、チャック100の外辺部周りに形成される径方向空気流206と208との間の低圧ゾーンの縮小化を促進するよう作用する。次に、低圧ゾーンの縮小化はチャック100の外辺部の近傍領域における空気乱流を低減させ、それによりウェーハ102の下方領域から上昇される異物混入の量が低減されることとなる。この結果、ウェーハ100は実装する環境(例えばウェーハ検査システム300の領域)において低レベルの異物混入を促進する。
【0018】
代替的な実施形態において、ウイング形状のリング(真横から見た場合)(図示せず)から構成される翼型構造体は標準的なチャック202に選択的に取り付けられ得る。この点に関して、本明細書で前述した湾曲、傾斜、およびリップの特徴を組み込むリング構造体は、標準的なチャック202(例えば円筒形状チャック)の表面に取り付けられ得る。本発明のチャック100に顕在化されるウイング形状構造体の利点が既存の真空ベースのウェーハチャック202にレトロフィットするにあたり好適なウイング形状リングアタッチメントにも当てはまり得ることが期待される。
【0019】
追加的な代替的実施形態において、翼型構造体は標準的なチャック(例えばチャック202)の上面の近傍に配置された静的な翼型構造体(図示せず)を含み得る。静的な翼型構造体は、本明細書で前述のように空気流パターンを混乱させ、それによりチャック・ウェーハ組立体の下方の領域からウェーハ102の表面まで移動される混入物質の量が低減されるよう、作用する。
【0020】
図3Aおよび図3Bは、本発明の実施形態に係る低異物混入ウイング形状ウェーハチャック100が備えられた検査システム300の高レベルブロック図を示す。一般的な意味において、本発明のウェーハ検査システム300は、本明細書で前述したウイング形状ウェーハチャック100と、ウェーハ102の表面上の1つのエリアを照明するよう構成された少なくとも1つの光源302(例えばレーザ)と、光源により照明されたエリアから反射または散乱される光を検出するにあたり好適な検出器もしくはカメラ304(例えばCCDまたはTDIベースの検出器)または光電子倍増管検出器と、を備え得る。加えて、検査システム300は、光源302からの照明をウェーハ102の表面上へと誘導(および集束)し、次に、ウェーハ102の表面からの照明を検査システム300のカメラ304の撮像部分へと誘導するよう構成された、光学要素の組(例えば照明光学系、集光光学系など)を備え得る。例えば、この光学要素の組は、半導体ウェーハ上の照射エリアをカメラの集光領域上に撮像するにあたり好適な主要撮像レンズを含むが、これに限定されない。さらに、撮像カメラ304は画像処理コンピュータに通信可能に連結され得、この画像処理コンピュータはカメラ304から取得された画像データを識別および格納し得る。
【0021】
本発明の検査システム300は当該技術分野で周知の任意の検査システムとして構成され得る。例えば、図3Aに示すように、本発明の検査システム300は明視野(BF)検査システムとして構成され得る。代替的に、図3Bに示すように、検査システム300は暗視野(DF)検査システムとして構成され得る。本出願人らは、図3Aおよび図3Bに示す光学構成が単に例示目的のために提供されたものであり、限定として解釈されるべきでないことを指摘する。一般的な意味において、本発明の検査システム300は、ウェーハ102の表面を撮像するにあたり好適な任意の組の撮像要素および光学要素を備え得る。現在利用可能なウェーハ検査機器の例は米国特許第7,092,082号、米国特許第6,702,302号、米国特許第6,621,570号、および米国特許第5,805,278号に記載される。これらの特許のそれぞれは参照により本明細書に援用される。
【0022】
本開示のさらなる態様において、検査システム300の真空チャック100、ウェーハ102、光源302、撮像カメラ304、および様々な光学要素は、システム300の加圧された筐体(例えば検査チャンバ)(図示せず)内に収容され得る。検査チャンバは真空ポンプによりウェーハ102の処理に好適な真空圧力レベルに保持され得る。
【0023】
当業者は、装置および/または処理を本明細書において説明された方法で記載すること、および、技術的手法を用いて係る記載された装置および/またはプロセスをデータ処理システムに統合することが、当該技術分野において一般的であることを認識するであろう。すなわち、装置および/またはプロセスの少なくとも1部分は適切な量の実験を介してデータ処理システムに統合することが可能である。典型的なデータ処理システムが、1つまたは複数のシステムユニット筐体、ビデオディスプレイ装置、揮発性メモリならびに不揮発性メモリ等のメモリ、マイクロプロセッサならびにデジタル信号プロセッサ等のプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカル・ユーザ・インターフェース、ならびにアプリケーションプログラム等の演算実体、タッチパッドまたはスクリーン等の1つまたは複数の相互作用装置、および/またはフィードバックループならびに制御モータ(例えば、位置および/または速度を検出するためのフィードバック、および構成品の移動および/または調節および/または量を調節するための制御モータ)を含む制御システムを、一般に含むことを認識するであろう。典型的なデータ処理システムは、データ演算/通信および/またはネットワーク演算/通信システムにおいて一般的に見られる構成品等の、任意の好適な市販の構成品を利用して実装され得る。
【0024】
本明細書において記載された発明主題に係る特定の態様について図示および記載したが、当業者は、本明細書の教示に基づいて、本明細書で記載した発明主題およびその広範な態様から逸脱することなく様々な変更例および修正例が可能であること、したがって、添付の請求項は、本明細書において記載された発明主題の真の精神および範囲に含まれる係る変更例および改変例をその範囲に含むものであることを、当業者は理解するであろう。
【0025】
本発明の特定の実施形態について例示してきたが、本発明の様々な改変例および実施形態が前述の開示の範囲および精神から逸脱することなく当業者により可能であることは明白である。したがって、本発明の範囲は本明細書に添付される請求項によってのみ限定されるべきである。本開示および本開示に付随する特徴は前述の説明により理解されると考えられ、様々な変更例が、開示された発明主題から逸脱することなく、またはその物質的特徴の必ずしも全部を犠牲にすることなく、これらの構成品の形態、構成、および配列において可能であることは明白であろう。上に記載した形態は単に説明を目的とするものであり、以下の請求項は係る変更例を含むことを意図する。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B