特許第6276553号(P6276553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6276553ボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法並びにダイボンダ及びボンディング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276553
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】ボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法並びにダイボンダ及びボンディング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   H01L21/52 C
   H01L21/52 F
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-209329(P2013-209329)
(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公開番号】特開2015-76412(P2015-76412A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】土屋 邦浩
(72)【発明者】
【氏名】深澤 信吾
(72)【発明者】
【氏名】保坂 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓太
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−65627(JP,A)
【文献】 特開平11−186796(JP,A)
【文献】 特開2012−248728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/52
H01L21/58
H01L21/60−21/607
H05K13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハからピックアップしたダイを一旦載置する中間ステージに三角柱の形状を有する三角柱反射鏡の反射面である斜面を上にして載置し、
前記ダイをワークにボンディングするボンディングヘッドを前記斜面の上部において回転させ、
前記ボンディングヘッドの姿勢を規定する前記ボンディングヘッドの回転軸の水平なボンディング面に対する傾斜角を求めるために、少なくとも2箇所の回転位置において前記斜面を介して前記ボンディングヘッドの先端部を撮像し、
前記少なくとも2箇所の回転位置における前記先端部の前記撮像した結果から前記ボンディングヘッドの回転軸の前記傾斜角を求める、
ことを特徴とするボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載のボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法であって、
前記先端部は前記ダイを吸着保持するコレットである、
ことを特徴とするボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法であって、
前記少なくとも2箇所の回転位置は、互いに0度と180度の回転した位置である、
ことを特徴とするボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法。
【請求項4】
請求項1に記載のボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法であって、
前記0度の位置では、既に前記回転軸の傾斜は0度に調整されている、
ことを特徴とするボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法により前記傾斜角を求め、
求めた前記傾斜角により、前記ワークにボンディングする少なくとも2つのボンディング姿勢の前記傾斜角を補正し、
前記ボンディングヘッドで前記中間ステージから前記ダイをピックアップし、ワークにボンディングする、
ことを特徴とするボンディング方法。
【請求項6】
請求項5に記載のボンディング方法であって、
前記少なくとも2つのボンディング姿勢は、互いに0度、180度の位置の回転姿勢である、
ことを特徴とするボンディング方法。
【請求項7】
請求項5に記載のボンディング方法であって、
前記少なくとも2つのボンディング姿勢は、互いに0度、90度の位置の回転姿勢である、
ことを特徴とするボンディング方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載のボンディング方法であって、
前記0度の位置の回転姿勢は、予め前記傾斜角0度に補正されている、
ことを特徴とするボンディング方法。
【請求項9】
ウェハからピックアップしたダイを一旦載置可能なアライメント部を備え、ボンディングヘッドで前記ダイをワークにボンディングするダイボンダであって、
前記アライメント部は、前記ダイを一旦載置可能な中間ステージ、前記中間ステージ上に設けられた三角柱の形状を備え、反射面である斜面を上にして載置された三角柱反射鏡と、前記斜面の上部にきた前記ボンディングヘッドの前記ダイの装着状態を、前記斜面を介して撮像する認識カメラとを有し、
制御部は、前記認識カメラの撮像結果によって、前記ボンディングヘッドのボンディング姿勢を補正する、
ことを特徴とするダイボンダ。
【請求項10】
請求項9に記載のダイボンダであって、
前記ボンディングヘッドは、少なくとも2つのボンディング姿勢で前記ダイを前記ワークにボンディングし、その先端に回転軸の傾斜及び回転中心ズレを補正する姿勢補正手段を備え、
前記制御部は、各前記ボンディング姿勢における前記回転軸の水平なボンディング面に対する傾斜及び前記回転中心ズレのデータを予め備え、前記データに基づいて前記姿勢補正手段を制御し、前記回転軸の前記傾斜及び前記回転中心ズレを補正する、
ことを特徴とするダイボンダ。
【請求項11】
請求項10に記載のダイボンダであって、
前記少なくとも2つのボンディング姿勢は、互いに0度、180度の位置の回転姿勢である、
ことを特徴とするダイボンダ。
【請求項12】
請求項10に記載のダイボンダであって、
前記少なくとも2つのボンディング姿勢は、互いに0度、90度の位置の回転姿勢である、
ことを特徴とするダイボンダ。
【請求項13】
請求項11または12に記載のダイボンダであって、
前記0度の位置の回転姿勢は、予め前記傾斜角0度に補正されている、
ことを特徴とするダイボンダ。
【請求項14】
請求項10に記載のダイボンダであって、
前記姿勢補正手段は、前記ボンディングヘッドの先端部軸を所定の変位で移動させるアクチュエータを有する、
ことを特徴とするダイボンダ。
【請求項15】
請求項14に記載のダイボンダであって、
前記アクチュエータは、ピエゾ素子又は超磁歪素子のいずれかである、
ことを特徴とするダイボンダ。
【請求項16】
ウェハからピックアップしたダイを一旦載置可能な中間ステージを備え、ボンディングヘッドで前記ダイをワークにボンディングするボンディング方法であって、
前記ダイを一旦載置可能な中間ステージ上に設けられた三角柱反射鏡の反射面である斜面を介して前記斜面上部にきた前記ボンディングヘッドの前記ダイの装着状態を撮像し、
撮像結果によって、前記ボンディングヘッドのボンディング姿勢を補正する、
ことを特徴とするボンディング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法並びにダイボンダ及びボンディング方法に係わり、特にダイを精度よく積層可能にするボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法並びに製品品質の高いダイボンダ及びボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイ(半導体チップ)(以下、単にダイという)を配線基板やリードフレームなどの基板に搭載してパッケージを組み立てる工程の一部に、半導体ウェハ(以下、単にウェハという)からダイを分割する工程と、分割したダイを基板上に搭載又は既にボンディングしたダイに積層するボンディング工程とがある。
ボンディング工程を行う方法として、ピックアップしたダイを一度部品載置テーブル(中間ステージ)に載置し、ボンディングヘッドで部品載置テーブルから再度ダイをピックアップし、搬送されてきた基板にボンディングする方法(特許文献1)がある。一方、FlashメモリやモバイルRAM(Random Access Memory)などにおいて、回転させない(0度の)ダイと180度回転させたダイとを積層してボンディングする要求がある。特許文献1のようなダイを一度載置する技術において、180度回転させたダイを積層する要求に答えるために、ボンディングヘッドを180度回転させてボンディングしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−246285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ボンディングヘッドを回転させると回転軸の傾き又は回転軸とコレットとの傾きによりボンディング面が傾斜する。例え、0度の回転姿勢で調整できても、180度の回転姿勢では傾きが発生する。その結果、他の姿勢でダイをピックアップした場合、ダイの割れ又は欠けの発生するおそれがある。
【0005】
また、既にボンディングしたダイに対して180度回転してダイを積層してボンディングすると、ダイとダイとの間の接着層にボイドが発生するおそれがある。また、傾きによる回転中心ズレが発生し、積層精度が低下する。結局、これ等の要因により製品の品質が低下する。さらに、ダイを回転することなく単純に基板にボンディングしても同様に傾斜が発生し、180度回転してダイを積層する場合ほど厳しくはないが、同様な課題が存在する。
【0006】
また、中間ステージを有するダイボンダ(以下、単にステージダイボンダという)を、中間ステージを用いず、ボンディンヘッドでピックアップし、単純に基板やリードフレームなどのワークにボンディングするダイボンダ(以下、単に単一ヘッドダイボンダという)として用いる場合がある。
【0007】
ステージダイボンダでは、ボンディングヘッドがピックアップしたダイの姿勢を中間ステージの載置状態で把握し、ボンディング姿勢を補正する。一方、単一ヘッドダイボンダでは、ボンディングヘッドがピックアップしたダイ姿勢を下から見るアンダーヴィジョン手段UNVを用いてボンディング姿勢を補正する。従って、ステージダイボンダを単一ヘッドダイボンダとして用いるときは、中間ステージをアンダーヴィジョン手段UNVと交換するか、少なくともアンダーヴィジョン手段UNVを新たに設置する必要がある。狭い環境の中で、前者の交換作業をするのは大変であり、時間がかかり、後者はスペースを確保するのが難しいのが現状である。
【0008】
従って、本発明の第1の目的は、ダイを精度よく積層可能にするボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、既にボンディングしたダイに対して他の姿勢でダイを積層しても、製品品質の高いダイボンダ又はボンディング方法を提供することである。
【0010】
さらに、本発明の第3の目的は、中間ステージを有するダイボンダを、中間ステージを有しないダイボンダに容易に使用可能なダイボンダ又はボンディング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも以下の特徴を有する。
本発明は、ウェハからピックアップしたダイを一旦載置する中間ステージに三角柱の形状を有する三角柱反射鏡の反射面である斜面を上にして載置し、前記ダイをワークにボンディングするボンディングヘッドを前記斜面の上部において回転させ、前記ボンディングヘッドの姿勢を規定する前記ボンディングヘッドの回転軸の傾斜角を求めるために、少なくとも2箇所の回転位置において前記斜面を介して前記ボンディングヘッドの先端部を撮像し、前記少なくとも2箇所の回転位置における前記先端部の前記撮像した結果から前記ボンディングヘッドの前記回転軸の前記傾斜角を求めることを特徴とする。
【0012】
また、前記少なくとも2箇所の回転位置は、互いに0度と180度の回転した位置であってもよい。
【0013】
さらに、本発明は、上記の記載のボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法により前記回転軸の姿勢を規定する傾斜角を求め、求めた前記傾斜角により、前記ワークにボンディングする少なくとも2つのボンディング姿勢の前記傾斜角を補正することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、ウェハからダイをピックアップヘッドでピックアップし一旦中間ステージに載置し、ボンディングヘッドで前記中間ステージから前記ダイをワークにボンディングする制御部を有するダイボンダであって、前記ボンディングヘッドは、少なくとも2つのボンディング姿勢で前記ダイを前記ワークにボンディングし、その先端に回転軸の傾斜及び前記回転中心ズレを補正する姿勢補正手段を備え、前記制御部は、各前記ボンディング姿勢における前記回転軸の前記傾斜及び前記位置ズレのデータを予め備え、前記データに基づいて前記姿勢補正手段を制御し、前記回転軸の前記傾斜及び前記位置ズレを補正することを特徴とする。
【0015】
さらに、前記少なくとも2つのボンディング姿勢は、互いに0度、180度の位置又は互いに0度、90度の位置の回転姿勢であってもよい。
また、前記0度の位置の回転姿勢は、予め傾斜角を0度0度に調整してもよい。
【0016】
さらに、本発明は、ウェハからピックアップしたダイを一旦載置可能なアライメント部を備え、ボンディングヘッドで前記ダイをワークにボンディングするダイボンダであって、前記アライメント部は、前記ダイを一旦載置可能な中間ステージ、前記中間ステージ上に設けられた三角柱の形状を備え、反射面である斜面を上にして載置された三角柱反射鏡と、前記斜面上部にきた前記ボンディングヘッドの前記ダイの装着状態を、前記斜面を介して撮像する認識カメラとを有し、前記制御部は、前記認識カメラの撮像結果によって、前記ボンディングヘッドのボンディング姿勢を補正することを特徴とする。
【0017】
また、ウェハからピックアップしたダイを一旦載置可能な中間ステージを備え、ボンディングヘッドで前記ダイをワークにボンディングするボンディング方法であって、前記ダイを一旦載置可能な中間ステージ上に設けられた三角柱反射鏡の反射面である斜面を介して前記斜面上部にきた前記ボンディングヘッドの前記ダイの装着状態を撮像し、撮像結果によって、前記ボンディングヘッドのボンディング姿勢を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
従って、本発明によれば、ダイを精度よく積層可能にするボンディングヘッドの回転軸の姿勢検出方法を提供できる。
【0019】
また、本発明によれば、既にボンディングしたダイに対して他の姿勢でダイを積層しても、製品品質の高いダイボンダ又はボンディング方法を提供できる。
【0020】
さらに、本発明によれば、中間ステージを有するダイボンダを、中間ステージを載置機能と用いないダイボンダに容易に使用可能なダイボンダ又はボンディング方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態1であるダイボンダ10の概略上面図である。
図2図1において矢印A方向から見た本実施形態の特徴を示す構成とその動作を説明する図である。
図3】、姿勢把握手段の第1の実施例を示し、図2において矢印Bの方向から姿勢把握手段9Hをみた図である。
図4】ボンディングヘッドが中間ステージの中心位置の位置にくるように制御され、ボンディングヘッドのコレットの画像を示した図である。
図5図4に示す状態からボンディングヘッドを180度回転させ、同様にコレットの中心位置を求め、0度と180度の中心位置を結ぶ中心線を直径とした円を示した図である。
図6】事前に0度、180度におけるボンディングヘッドの回転軸の傾斜角を許容範囲内に収めることができた場合の、ボンディングフローを示す図である。
図7】本発明の実施形態1における姿勢補正手段を示す図である。
図8】ボンディングヘッドの姿勢把握手段の第2の実施例を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態であるダイボンダを図1に示す実施形態1の矢印A方向から見た時の実施形態2の構成とその動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
(実施形態1)
図1は本発明の第1の実施形態であるステージダイボンダ10の概略上面図である。図2は、図1において矢印A方向から見た本実施形態の特徴を示す構成とその動作を説明する図である。
ステージダイボンダ10は、大別して、基板Pに実装するダイDを供給するダイ供給部1と、ダイ供給部1からダイをピックアップするピックアップ部2と、ピックアップされたダイDを中間的に一度載置するアライメント部3とを有する。また、ステージダイボンダ10は、アライメント部のダイDをピックアップし基板P又は既にボンディングされたダイの上にボンディングするボンディング部4と、基板Pを実装位置に搬送する搬送部5、搬送部5に基板を供給する基板供給部6と、実装された基板6を受け取る基板搬出部7と、各部の動作を監視し制御する制御部8と、を有する。
【0023】
まず、ダイ供給部1は、ウェハ11を保持するウェハ保持台12とウェハ11からダイDを突き上げる点線で示す突き上げユニット13とを有する。ダイ供給部1は図示しない駆動手段によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを突き上げユニット13の位置に移動させる。
【0024】
ピックアップ部2は、突き上げユニット13で突き上げられたダイDを先端に吸着保持するコレット22(図2も参照)を有し、ダイDをピックアップし、アライメント部3に載置するピックアップヘッド21と、ピックアップヘッド21をY方向に移動させるピックアップヘッドのY駆動部23とを有する。ピックアップヘッド21は、コレット22を昇降、回転及びX方向移動させる図視しない各駆動部を有する。
【0025】
アライメント部3は、ダイDを一時的に載置する中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識する為のステージ認識カメラ32とを有する。
【0026】
ボンディング部4は、ピックアップヘッドと同じ構造を有し、中間ステージ31からダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Pにボンディングするボンディングヘッド41と、ボンディングヘッド41をY方向に移動させるY駆動軸43と、搬送されていた基板Pの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディングすべきダイDのボンディング位置を認識する基板認識カメラ44と、を有する。ボンディングヘッド41は、Y駆動軸43の他、X駆動軸及び図2に示す回転軸θを有する。
【0027】
このような構成によって、ボンディングヘッド41は、ステージ認識カメラ32の撮像データに基づいてピックアップするダイDの位置ズレ・回転ズレを補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップし、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板PにダイDをボンディングする。
【0028】
搬送部5は、一枚又は複数枚の基板(図1では4枚)を載置した基板搬送パレット51と、基板搬送パレット51が移動するパレットレール52とを具備し、並行して設けられた同一構造の第1、第2搬送部とを有する。基板搬送パレット51は、基板搬送パレットに設けられた図示しないナットをパレットレール52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによって移動する。
【0029】
このような構成によって、基板搬送パレット51は、基板供給部6で基板を載置され、パレットレール52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後基板搬出部7まで移動して基板搬出部7に基板を渡す。第1、第2搬送部は、互いに独立して駆動され、一方の基板搬送パレット51に載置された基板PにダイDをボンディング中に、他方の基板搬送パレット51は、基板Pを搬出し、基板供給部6に戻り、新たな基板を載置するなどの準備を行なう。
【0030】
次に、図2を用いて本実施形態1のステージダイボンダ10の動作を説明する。まず、破線で示すように、ピックアップ21がウェハ11から突き上げユニット13で突き上げられた第1のダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。次に、ボンディングヘッド41は、中間ステージ31においてピックアップヘッド21と干渉しないことを確認し、実線で示すように、中間ステージ31から載置された第1のダイDをピックアップし、基板P上又は既にボンディングされたダイD上にボンディングする。この間、ピックアップヘッド21は、再度ウェハ11から第2のダイDをピックアップし、ボンディングヘッド41と干渉しないことを確認し、中間ステージ31に載置する。ボンディングヘッド41は、第1のダイDをボンディングした後、ボンディングヘッドの姿勢を180度回転させ、180度の回転姿勢で第2のダイDをピックアップし、第1のダイD上にボンディングする。この動作を必要な回数繰り返す。なお、上記では、ボンディングヘッド41は180度回転したが、ダイDが正方形の場合は90度、さらに180度回転する場合もあり得る。勿論、場合によっては、回転角度は他の角度でもよい。
【0031】
しかしながら、課題で示したように、ボンディングヘッドを回転させると回転軸の傾斜又は回転軸とコレット42との傾きによりボンディング面が傾斜する。その結果、他の姿勢でダイをピックアップした場合、ダイの割れ又は欠けの発生、或いはダイとダイとの間にボイドが発生するおそれがある。また、傾斜による回転中心ズレが発生し、積層精度が低下する。
【0032】
そこで、本実施形態では、ボンディングヘッド41の0度、180度におけるボンディング姿勢を予め把握し、ボンディングヘッド41の姿勢を補正する。以下の説明では、ボンディングヘッド41の姿勢とは、水平なボンディング面に対するボンディングヘッド41の回転軸の傾斜角及び回転中心ズレを示す。
【0033】
以下、ボンディングヘッド41の姿勢把握手段9Hと、姿勢把握手段の検出結果に基づいてボンディングヘッド41の姿勢を補正する姿勢補正手段9Aとからなる姿勢把握補正手段の実施例を説明する。
【0034】
(実施例1)
図3は、姿勢把握手段9Hの第1の実施例を示し、図2において矢印Bの方向から姿勢把握手段9Hをみた図である。姿勢把握手段9Hは、中間ステージ31に設けられた斜面9H1sに反射面を有する直角三角柱である三角柱反射鏡9H1と、処理作業時において中間ステージ31に載置されたダイDの位置ズレや回転ズレを検知するステージ認識カメラ32を備える検出光学系9H2からなる。実施例1では、三角柱反射鏡9H1は、実際に処理作業に入る前にボンディングヘッド41の姿勢を把握するのに用いされ、処理作業中は中間ステージ31から取り除かれる。
【0035】
ステージ認識カメラ32は、中間ステージ31が視野の障害とならないように、斜め配置されている。検出光学系9H2は、斜光照明である照射手段32aを有する。照射手段32aは、実施例1ではステージ認識カメラ32の側部周囲に設けたれた複数のLED(発光ダイオード)で構成されている。なお、中間ステージ31上の光量が十分であれば、必ずしも照射手段32aは必要ない。
【0036】
また、ステージ認識カメラ32の撮像側にテレセントリックレンズを設けてもよい。テレセントリックレンズにより、斜光による像の歪を補正でき、より正確に姿勢補正ができる。
【0037】
図4は、ボンディングヘッド41が中間ステージ31の中心位置Cの位置にくるように制御され、ボンディングヘッド41のコレット42の画像42αを示した図である。画像42αは、三角柱反射鏡9H1の反射面である斜面9H1sを介して撮像される。コレット42の中心位置Hα(Xα,Yα)は、コレット42の対角点A、Bの中心位置として求めることができる。
【0038】
図5は、図4に示す状態からボンディングヘッド41を180度回転させ、同様にコレット42の中心位置Hβを求め、HαとHβを結ぶ中心線を直径Lとした円Eを示した図である。
図5からボンディングヘッド41の回転軸θの傾斜角Kθ及び回転中心ズレを求めることができる。回転中心ズレは、図5に示すように、円Eの中心位置Hcの座標で示されるボンディングヘッド41の回転中心の位置ズレと、中心線LとX軸又はY軸となす角度Δθで示されるボンディングヘッド41の回転ズレとを有する。回転中心の位置ズレ及び回転ズレは、ボンディグヘッド41の傾斜がなければ、ボンディングヘッド41の水平軸X、Y及回転軸θを補正することで調整することができる。
【0039】
一方、傾斜角Kθは、ボンディンヘッド41の回転軸θの傾斜支点S(例えば、後述する図7(a)を参照)からコレット42の中心位置Hまでの距離Lθとすれば、式(1)によって求めるができる。
【0040】
Kθ=(L/2)/Lθ (1)
従って、上記に示した手順を何回か行い、Kθが0度0度に近づくように手動又は機械的に調整する。
【0041】
この調整によって、傾斜角Kθを許容範囲内に収めることができれば、中間ステージ31に載置されたダイDの回転中心ズレ(位置ズレ及び回転ズレ)を検知し、それらを補正すればよい。
【0042】
図6は、事前に0度、180度におけるボンディングヘッド41の回転軸θの傾斜角Kθを許容範囲内に収めることができた場合の、ボンディングフローを示す図である。図6において、左側にピックアップヘッド21の動作を、右側にボンディングヘッド41の動作を示す。
【0043】
まず、ピックアップヘッド21により、ダイDをウェハ11からピックアップし(PS1)、ボンディングヘッド41との干渉がないことを確認し(PS2)、中間ステージ31に載置し、載置後ダイ供給部1に移動する(PS3)。
【0044】
一方、ボンディングヘッド41は、中間ステージ31からピックアップするダイDを0度/180度姿勢でピックアップするかを判断する(BS1)。判断結果に基づいて、ボンディングヘッド41は、0度又は180度の姿勢をとり(BS2,BS3)。ボンディングヘッド41がピックアップヘッドとの干渉のないことを確認するとともに(BS4)、中中間ステージ31上のダイの位置ズレ・回転ズレ(回転中心ズレ)を認識し(BS5)、ボンディングヘッド41のピックアップ姿勢を補正し(BS6)、ダイDを中間ステージからピックアップする(BS7)。ボンディングヘッド41は、ボンディング位置に移動し、位置ズレ・回転ズレ(回転中心ズレ)を元に戻し、ボンディング姿勢にする(BS8)。その後、ダイDを基板又は既にボンディングされているダイDの上にボンディングし、ボンディング位置上部に戻る(BS9)。この処理を所定の個数のダイをボンディングするまで行う(BS10)。
【0045】
上述のように、傾斜角Kθを許容範囲内に収めることができれば、中間ステージ31上のダイの位置ズレ・回転ズレによる補正以外は、即ちボンディングの0度、180度位置による補正は不必要である。
【0046】
以上説明したボンディングフローによれば、事前に得られたボンディングヘッド41の回転軸の傾斜及び回転中心ズレに基づいてボンディングヘッド41の姿勢を補正することによって、ダイDを割れ、欠けることなく、またボイドの発生を抑えて正確に積層することできる。
【0047】
しかしながら、傾斜角Kθの許容範囲を小さくなるようにオフラインで調整することは難しい。
【0048】
図7は、本実施形態における姿勢補正手段9Aを示す図である。図7(a)は、ボンディングヘッド41の先端に設けられた姿勢補正手段9Aを矢印H(図2参照)で示す横から見たときの立体図を示し、図7(b)は上面図を示す。姿勢補正手段9Aは、ボンディングヘッド41の先端部軸41jをX軸に平行に押し、コレット42(ボンディングヘッド41)のX方向の位置を微調整するX軸姿勢補正手段9AXと、先端部軸41jをY軸に平行に押しコレット41cのY方向の位置を微調整するY軸姿勢補正手段9AYとを有する。なお、41hは、先端部軸41jの先に設けられたコレット保持部である。
【0049】
X軸姿勢補正手段9AXとY軸姿勢補正手段9AYは、それぞれアクチュエータを有するアクチュエータ部9AXa、9AYaとアクチュエータ部を支持する支持棒9AXs、9AYsとを有する。また、X軸姿勢補正手段9AXとY軸姿勢補正手段9AYは、ボンディングヘッド41の昇降部(図示せず)に姿勢補正手段9Aを調整可能に固定する微調整機構固定部9Akに取り付けられている。
【0050】
本実施例では、ボンディンヘッド41の回転軸θの傾斜支点Sは、微調整機構固定部9Akの直下にあり、式(1)により、傾斜角Kθを求めることができる。
【0051】
また、本実施例では、アクチュエータとしてピエゾ素子を用いて、必要移動量に対応する電圧を印加して目的の位置への微調整を行う。アクチュエータとしては、ピエゾ素子の他、超磁歪素子等が考えられる。なお、アクチュエータの電圧等の制御量と補正量との関係を予め求めておく。また、より正確に行うために、実施例1で述べた傾斜角Kθの検出を更に行い更なる微調整を行ってもよい。
【0052】
姿勢補正手段9Aの実施例1では、調整方向がボンディング面に平行であり、それぞれがX軸、Y軸に分担しているために、取り付けが容易であり、また調整もし易い利点がある。
【0053】
このような構成によって、式(1)で示した傾斜角Kθを、X軸成分KθxとY軸成分Kθyに分解し、それぞれX軸姿勢補正手段9AXとY軸姿勢補正手段9AYを用いて補正する。
【0054】
姿勢補正手段9Aとしては、上記の方法に限らず、ボンディングヘッド41の先端に設けられ、傾斜角を微調整できる手段であればよい。
【0055】
以上説明した姿勢補正手段9Aによれば、確実にボンディングヘッドの回転軸の傾斜を補正できる。
【0056】
(実施例2)
図8は、ボンディングヘッド41の姿勢把握手段9Hの第2の実施例を示す図である。
実施例2では、破線で示す基本となるコレット42の姿勢42αを0度とし、その姿勢をオフラインで調整し、0度姿勢に対する所定の角度、例えば実線で示すコレット42の180度回転した姿勢42βを補正する。
【0057】
そのために、破線で示す0度姿勢をとった後、その場でボンディングヘッド41を180度回転させ、実施例1と同様にコレット42の中心位置Hβを求める。実施例では、回転中心ズレがないので、傾斜角Kθは、式(2)に基づいて求めることができる。
【0058】
Kθ=(L/2)/Lθ=√(Xβ+Yβ)/Lθ (2)
実施例2では、傾斜角Kθを求めなくとも、Xβ、Yβがそれぞれ0度になるようにX軸姿勢補正手段9AXとY軸姿勢補正手段9AYとを制御すればよい。
【0059】
以上説明した姿勢把握手段9Hの実施例2においても、ボンディングヘッド41の回転軸θの傾斜角Kθを検出することができる。
【0060】
(実施形態2)
図9は本発明の第2の実施形態であるステージダイボンダ20を図1に示す実施形態1の矢印A方向から見た時の実施形態2の構成とその動作を説明する図である。
【0061】
実施形態2のステージダイボンダ20は、実施形態1に示したステージダイボンダ10を、ボンディングヘッド41がダイ供給部1からダイDをピックアップし、基板Pやリードフレームなどのワークにボンディングする単一ヘッドボンダとして用いたものである。実施形態2の実施形態1と異なる点は、処理作業中に図3に示す姿勢把握手段9Hを構成するために常に三角柱反射鏡9H1を中間ステージ31に設けた点である。従って、図9において、矢印Cの方から見れば図3に示す構成となる。
【0062】
通常の単一ヘッドボンダでは、中間ステージ31がなく、ボンディングヘッド41がピックアップしたダイDの姿勢を把握し、ボンディング姿勢を補正するために、下からダイDの姿勢を把握するアンダーヴィジョンシステム(UNV)を設けている。これに対して、ステージダイボンダ20では、UNVの替わりに姿勢把握手段9Hを用いる。従って、実施形態2では、姿勢把握手段9Hはボンディングヘッド41の姿勢把握に用いられるのではなく、ボンディングヘッド41でピックアップされたダイDの姿勢を把握することに用いられる。
【0063】
以上に説明した実施形態2によれば、中間ステージ31に三角柱反射鏡9H1を設けることで、ボンディングヘッドでダイをピックアップしボンディングする単一ヘッドダイボンダとして用いることができる。
【0064】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0065】
1:ダイ供給部 12:ウェハ保持台
11:ウェハ 13:突き上げユニット
2:ピックアップ部 21:ピックアップヘッド
22:コレット 3:アライメント部
31:中間ステージ 32:ステージ認識カメラ
32a:照射手段 4:ボンディング部
41:ボンディングヘッド 42:コレット
42α、42β:コレット画像 43:ボンディングヘッドのY駆動部
44:基板認識カメラ 5:搬送部
6:基板供給部 7:基板搬出部
8:制御部 9A:姿勢補正手段
9H:姿勢把握手段 9H1:三角柱反射鏡
9H2:検出光学系 10、20:ステージダイボンダ
D:ダイ
E:ボンディングヘッドを回転させた時に形成される円
Hα、Hβ:ボンディングヘッドを回転させた時のコレットの中心位置
L:ボンディングヘッドを回転させた時に形成される円の直径
Lθ:傾斜支点からコレット中位置までの距離
P:基板 S:回転軸の傾斜支点
θ:ボンディングヘッドの回転軸 Kθ:回転軸の傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9