特許第6277075号(P6277075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6277075
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】硬さ試験機
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/42 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   G01N3/42 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-145599(P2014-145599)
(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-20881(P2016-20881A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】片岡 正信
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴幸
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−77219(JP,A)
【文献】 特開2006−276022(JP,A)
【文献】 特開2013−195216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 − 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表面に圧子を押し付けてくぼみを形成し、前記くぼみの寸法値を計測することによって、ワークの硬度を試験する硬さ試験機であって、
使用者による操作入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段を含む前記硬さ試験機の全体を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆する測定手順示唆部と、
前記入力手段にて手順を進める旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して次の手順を示唆するように前記測定手順示唆部による示唆を切り替える示唆切替部とを備えることを特徴とする硬さ試験機。
【請求項2】
請求項1に記載された硬さ試験機において、
前記制御手段にて制御されることによって、所定の画像を表示する表示手段を備え、
前記測定手順示唆部は、前記くぼみの寸法値を測定する際の手順ごとに画像にした複数のアイコンを前記表示手段に表示させることによって、前記くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆し、
前記示唆切替部は、前記複数のアイコンのうち、次の手順を示すアイコンを目立たせるように切り替えるとともに、現在の手順を示すアイコンを目立たせないように切り替えることによって、使用者に対して次の手順を示唆するように前記測定手順示唆部による示唆を切り替えることを特徴とする硬さ試験機。
【請求項3】
請求項2に記載された硬さ試験機において、
前記示唆切替部は、ワークの表面に圧子を押し付けてくぼみを形成したときに、最初の手順を示すアイコンを目立たせるように切り替えるとともに、その他の手順を示すアイコンを目立たせないように切り替えることによって、前記測定手順示唆部による示唆を初期化することを特徴とする硬さ試験機。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載された硬さ試験機において、
前記示唆切替部は、前記入力手段にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して前の手順を示唆するように前記測定手順示唆部による示唆を切り替えることを特徴とする硬さ試験機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載された硬さ試験機において、
前記示唆切替部は、前記手順を進める旨の操作入力として、前記くぼみの寸法値の入力を受け付けることを特徴とする硬さ試験機。
【請求項6】
請求項5に記載された硬さ試験機において、
前記示唆切替部は、前記入力手段にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、現在の手順に進めたときに入力された前記くぼみの寸法値を消去することを特徴とする硬さ試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬さ試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの表面に圧子を押し付けてくぼみを形成し、このくぼみの縁の長さ等の寸法値を計測することによって、ビッカース硬度や、ブリネル硬度などのワークの硬度を試験する硬さ試験機が知られている(特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に記載された硬さ試験機は、圧子をワークの表面に押し付けて四角形状のくぼみを形成した後、このくぼみの頂点を使用者に指定させることによって、くぼみの縁の対角線の長さを測定し、この対角線の長さに基づいて、ワークのビッカース硬度を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−050379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような硬さ試験機では、試験法によって圧子の形状や、くぼみの縁の指定部位が異なっている。例えば、圧子の形状は、ビッカース硬度の試験では四角錐であり、ブリネル硬度の試験では球である。また、例えば、くぼみの縁の指定部位は、ビッカース硬度の試験では対角線の長さであり、破壊靭性の試験では亀裂の長さである。
したがって、使用者は、硬さ試験機に対する豊富な知識を有していなければならず、例えば、硬さ試験機の操作に不慣れな使用者は、くぼみの縁の指定部位を容易に判断することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、くぼみの縁の指定部位を容易に判断することができる硬さ試験機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の硬さ試験機は、ワークの表面に圧子を押し付けてくぼみを形成し、くぼみの寸法値を計測することによって、ワークの硬度を試験する硬さ試験機であって、使用者による操作入力を受け付ける入力手段と、入力手段を含む硬さ試験機の全体を制御する制御手段とを備え、制御手段は、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆する測定手順示唆部と、入力手段にて手順を進める旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して次の手順を示唆するように測定手順示唆部による示唆を切り替える示唆切替部とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、硬さ試験機は、測定手順示唆部を備えているので、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆することができる。そして、硬さ試験機は、示唆切替部を備えているので、入力手段にて手順を進める旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して次の手順を示唆するように測定手順示唆部による示唆を切り替えることができる。したがって、本発明によれば、使用者は、測定手順示唆部による示唆に基づいて、くぼみの縁の指定部位を容易に判断することができる。
【0008】
本発明では、制御手段にて制御されることによって、所定の画像を表示する表示手段を備え、測定手順示唆部は、くぼみの寸法値を測定する際の手順ごとに画像にした複数のアイコンを表示手段に表示させることによって、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆し、示唆切替部は、複数のアイコンのうち、次の手順を示すアイコンを目立たせるように切り替えるとともに、現在の手順を示すアイコンを目立たせないように切り替えることによって、使用者に対して次の手順を示唆するように測定手順示唆部による示唆を切り替えることが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、測定手順示唆部は、くぼみの寸法値を測定する際の手順ごとに画像にした複数のアイコンを表示手段に表示させることによって、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆するので、使用者は、これらのアイコンを参照することによって、くぼみの縁の指定部位を直感的に判断することができる。したがって、本発明によれば、使用者は、測定手順示唆部による示唆に基づいて、くぼみの縁の指定部位を更に容易に判断することができる。
【0010】
また、本発明によれば、示唆切替部は、複数のアイコンのうち、次の手順を示すアイコンを目立たせるように切り替えるとともに、現在の手順を示すアイコンを目立たせないように切り替えることによって、使用者に対して次の手順を示唆するように測定手順示唆部による示唆を切り替えるので、使用者は、目立っているアイコンのみに着目すればよく、測定手順示唆部による示唆に基づいて、くぼみの縁の指定部位を更に容易に判断することができる。
【0011】
本発明では、示唆切替部は、ワークの表面に圧子を押し付けてくぼみを形成したときに、最初の手順を示すアイコンを目立たせるように切り替えるとともに、その他の手順を示すアイコンを目立たせないように切り替えることによって、測定手順示唆部による示唆を初期化することが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、示唆切替部は、ワークの表面に圧子を押し付けてくぼみを形成したときに、測定手順示唆部による示唆を初期化するので、試験を開始するときに測定手順示唆部による示唆を自動的に初期化することができる。したがって、本発明によれば、硬さ試験機の利便性を向上させることができる。
【0013】
本発明では、示唆切替部は、入力手段にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して前の手順を示唆するように測定手順示唆部による示唆を切り替えることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、示唆切替部は、入力手段にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して前の手順を示唆するように測定手順示唆部による示唆を切り替えるので、使用者は、入力手段を介して手順を進める旨の操作入力を誤って行った場合であっても入力手段を介して手順を戻す旨の操作入力を行うだけで容易に元の状態に戻すことができる。したがって、本発明によれば、硬さ試験機の利便性を向上させることができる。
【0015】
本発明では、示唆切替部は、手順を進める旨の操作入力として、くぼみの寸法値の入力を受け付けることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、示唆切替部は、手順を進める旨の操作入力として、くぼみの寸法値の入力を受け付けるので、使用者は、くぼみの寸法値を入力していくだけで測定手順示唆部による示唆を次の手順に切り替えていくことができる。したがって、本発明によれば、硬さ試験機の利便性を向上させることができる。
【0017】
本発明では、示唆切替部は、入力手段にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、現在の手順に進めたときに入力されたくぼみの寸法値を消去することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、示唆切替部は、入力手段にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、現在の手順に進めたときに入力されたくぼみの寸法値を消去するので、使用者は、入力手段を介して手順を戻す旨の操作入力を行うだけで現在の手順に進めたときに入力したくぼみの寸法値を消去することができる。したがって、本発明によれば、硬さ試験機の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る硬さ試験機の概略構成を示すブロック図
図2】試験機本体の外観を正面から見た模式図
図3】タッチパネルに表示された画像を示す模式図
図4】硬さ試験機にて試験を行う場合のフローチャートを示す図
図5】示唆切替部にて測定手順示唆部による示唆を切り替えている状態を示す図
図6】本発明をビッカース硬度の試験に適用した例を示す図
図7】本発明をヌープ硬度の試験に適用した例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る硬さ試験機1の概略構成を示すブロック図である。
硬さ試験機1は、図1に示すように、試験機本体2と、使用者による操作入力を受け付ける入力手段3と、入力手段3を含む硬さ試験機1の全体を制御する制御手段4と、制御手段4にて制御されることによって、所定の画像を表示する表示手段5とを備えている。本実施形態では、入力手段3および表示手段5は、タッチパネル6によって一体として構成されている。
なお、本実施形態では、入力手段3および表示手段5は、タッチパネル6によって一体として構成されているが、別体として構成されていてもよい。例えば、キーボードやマウスなどを入力手段とし、液晶ディスプレイなどを表示手段としてもよい。
【0021】
図2は、試験機本体2の外観を正面から見た模式図である。
試験機本体2は、図2に示すように、ワークWを載置する載置台21と、載置台21を左右方向(X軸方向)および前後方向(Y軸方向)に移動させるXYステージ22と、載置台21を上下方向(Z軸方向)に移動させるZステージ23と、XYステージ22およびZステージ23を昇降させる昇降機構24と、載置台21の上方に設けられるとともに、ワークWの硬さ試験を行うための硬さ試験部25とを備えている。
【0022】
硬さ試験部25は、その先端に圧子26aを有する圧子軸26と、ワークWを撮像する対物レンズ27と、圧子軸26および対物レンズ27を支持するとともに、自己の回転によって圧子軸26および対物レンズ27の位置を切り替えるターレット28とを備えている。
なお、硬さ試験部25は、圧子軸26、対物レンズ27、およびターレット28の他、光を照射してワークWの表面を照明するための照明装置や、対物レンズ27を介してワークWの表面を撮像するためのCCD(Charge Coupled Device)カメラなどを備えている(図示略)。
【0023】
制御手段4は、CPU(Central Processing Unit)や、メモリなどによって構成されるとともに、所定のプログラムに従って情報処理を実行する。この制御手段4は、図1に示すように、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆する測定手順示唆部41と、タッチパネル6にて手順を進める旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して次の手順を示唆するように測定手順示唆部41による示唆を切り替える示唆切替部42とを備えている。
【0024】
図3は、タッチパネル6に表示される画面を示す模式図である。
具体的には、測定手順示唆部41は、図3に示すように、くぼみの寸法値を測定する際の手順ごとに画像にした複数のアイコン61A〜61Eをタッチパネル6の略中央の領域に表示させることによって、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆する。
なお、本実施形態では、破壊靭性(Kc)の試験を行う場合を一例として説明する。図3は、破壊靭性(Kc)の試験を行う場合にタッチパネル6に表示される画面を示している。
【0025】
アイコン61Aは、ワークWを示す画像61A1と、圧子26aを示す画像61A2とによって構成されている。このアイコン61Aは、ワークWの表面に圧子26aを押し付けてくぼみを形成する手順を使用者に対して示唆している。
アイコン61Bは、くぼみ及び亀裂を示す画像61B1と、くぼみの寸法値を計測する部位を示す線状の画像61B2とによって構成されている。このアイコン61Bは、亀裂を除いたくぼみの対角線の紙面横方向の長さを計測する手順を使用者に対して示唆している。
アイコン61Cは、くぼみ及び亀裂を示す画像61C1と、くぼみの寸法値を計測する部位を示す線状の画像61C2とによって構成されている。このアイコン61Cは、亀裂を除いたくぼみの対角線の紙面縦方向の長さを計測する手順を使用者に対して示唆している。
【0026】
アイコン61Dは、くぼみ及び亀裂を示す画像61D1と、くぼみの寸法値を計測する部位を示す線状の画像61D2とによって構成されている。このアイコン61Dは、亀裂を含めたくぼみの対角線の紙面横方向の長さを計測する手順を使用者に対して示唆している。
アイコン61Eは、くぼみ及び亀裂を示す画像61E1と、くぼみの寸法値を計測する部位を示す線状の画像61E2とによって構成されている。このアイコン61Eは、亀裂を含めたくぼみの対角線の紙面縦方向の長さを計測する手順を使用者に対して示唆している。
【0027】
また、制御手段4は、アイコン61A〜61Eの右側の領域に取消ボタン62を表示させる。タッチパネル6は、手順を戻す旨の操作入力として取消ボタン62の押下を受け付ける。
また、制御手段4は、取消ボタン62の下側の領域に試験ボタン63を表示させる。タッチパネル6は、くぼみを形成する旨の操作入力として試験ボタン63の押下を受け付ける。
さらに、制御手段4は、アイコン61A〜61Eの上側の領域に寸法値入力エリア64を表示させる。この寸法値入力エリア64については後に説明する。
【0028】
図4は、硬さ試験機1にて試験を行う場合のフローチャートを示す図である。
硬さ試験機1にて試験を行う場合には、制御手段4は、図4に示すように、ステップS1〜S6を定期的に実行する。
ステップS1では、制御手段4は、試験ボタン63が押下されたか否かを判定する。
制御手段4は、ステップS1にて試験ボタン63が押下されていないと判定した場合には、ステップS2の処理を実行することなく、ステップS3以降の処理を実行する。
これに対して、制御手段4は、ステップS1にて試験ボタン63が押下されたと判定した場合には、ステップS2において、くぼみ形成処理を実行する。
【0029】
ステップS2のくぼみ形成処理では、制御手段4は、昇降機構24を駆動させてXYステージ22およびZステージ23を上昇させることによって、ワークWの表面に圧子26aを押し付けてくぼみを形成する。なお、使用者は、試験ボタン63を押下する前に、ターレット28を回転させることによって、ワークWの上方に圧子軸26を位置させるとともに、XYステージ22およびZステージ23を移動させることによって、載置台21を移動させて試験の準備をしておく。換言すれば、使用者は、載置台21を移動させることによって、ワークWの所望の位置にくぼみを形成することができる。
【0030】
制御手段4は、ステップS2のくぼみ形成処理を実行した後、またはステップS1にて試験ボタン63が押下されていないと判定した場合には、ステップS3以降の処理を実行する。
ステップS3では、制御手段4は、タッチパネル6を介して寸法値が入力されたか否かを判定する。
【0031】
なお、使用者は、対物レンズ27およびCCDカメラを介して撮像された画像に基づいて、ワークWに形成されたくぼみを観察して寸法値を計測した後、タッチパネル6を操作することによって、前述した寸法値入力エリア64に寸法値を入力することができる。寸法値入力エリア64に入力された寸法値は、制御手段4のメモリに記憶される。そして、このメモリに記憶された寸法値を用いることによって、制御手段4は、ワークWの硬度を算出する。このように、硬さ試験機1は、ワークWの表面に圧子26aを押し付けてくぼみを形成し、くぼみの寸法値を計測することによって、ワークWの硬度を試験する。
【0032】
制御手段4は、ステップS3にてタッチパネル6を介して寸法値が入力されていないと判定した場合には、ステップS4の処理を実行することなく、ステップS5以降の処理を実行する。
これに対して、制御手段4は、ステップS3にてタッチパネル6を介して寸法値が入力されたと判定した場合には、ステップS4において、示唆切替処理を実行する。
【0033】
ステップS4の示唆切替処理では、示唆切替部42は、複数のアイコン61A〜61Eのうち、次の手順を示すアイコンを目立たせるように切り替えるとともに、現在の手順を示すアイコンを目立たせないように切り替えることによって、使用者に対して次の手順を示唆するように測定手順示唆部41による示唆を切り替える。換言すれば、示唆切替部42は、タッチパネル6にてくぼみの寸法値の入力(手順を進める旨の操作入力)を受け付けたときに、使用者に対して次の手順を示唆するように測定手順示唆部41による示唆を切り替える。
【0034】
図5は、示唆切替部42にて測定手順示唆部41による示唆を切り替えている状態を示す図である。
アイコン61A〜61Eは、硬さ試験機1を起動したときには、図5(A)に示すように、アイコン61A,61Bを目立たせるようにするとともに、アイコン61C〜61Eを目立たせないようにしている(初期状態)。
示唆切替部42は、この初期状態において、ステップS3にてタッチパネル6を介して寸法値が入力されたと判定された場合には、図5(B)に示すように、アイコン61Cを目立たせるようにするとともに、アイコン61A,61Bを目立たせないように切り替える。
【0035】
また、示唆切替部42は、図5(B)の状態において、ステップS3にてタッチパネル6を介して寸法値が入力されたと判定された場合には、図5(C)に示すように、アイコン61Dを目立たせるようにするとともに、アイコン61Cを目立たせないように切り替える。
さらに、示唆切替部42は、図5(C)の状態において、ステップS3にてタッチパネル6を介して寸法値が入力されたと判定された場合には、図5(D)に示すように、アイコン61Eを目立たせるようにするとともに、アイコン61Dを目立たせないように切り替える。
【0036】
制御手段4は、ステップS4の示唆切替処理を実行した後、またはステップS3にてタッチパネル6を介して寸法値が入力されていないと判定した場合には、ステップS5以降の処理を実行する。
ステップS5では、制御手段4は、取消ボタン62が押下されたか否かを判定する。
制御手段4は、ステップS5にて取消ボタン62が押下されていないと判定した場合には、ステップS6の処理を実行することなく、今回の処理を終了する。
これに対して、制御手段4は、ステップS5にて取消ボタン62が押下されたと判定した場合には、ステップS6において、取消処理を実行する。
【0037】
ステップS6の取消処理では、示唆切替部42は、使用者に対して前の手順を示唆するように測定手順示唆部41による示唆を切り替える。換言すれば、示唆切替部42は、タッチパネル6にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して前の手順を示唆するように測定手順示唆部41による示唆を切り替える。
具体的には、例えば、示唆切替部42は、図5(D)の状態において、ステップS5にて取消ボタン62が押下されたと判定した場合には、図5(C)に示すように、アイコン61Dを目立たせるようにするとともに、アイコン61Eを目立たせないように切り替える。
なお、示唆切替部42は、前述した初期状態において、ステップS5にて取消ボタン62が押下されたと判定した場合には、測定手順示唆部41による示唆を切り替えることなく維持する。
【0038】
また、ステップS6の取消処理では、示唆切替部42は、現在の手順に進めたときに入力されたくぼみの寸法値を消去する。換言すれば、示唆切替部42は、タッチパネル6にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、現在の手順に進めたときに入力されたくぼみの寸法値をメモリから消去して「0」にする。
【0039】
ここで、前述したステップS2のくぼみ形成処理では、示唆切替部42は、現在のアイコン61A〜61Eの状態に関わらず、アイコン61A,61Bを目立たせるようにするとともに、アイコン61C〜61Eを目立たせないように切り替える。換言すれば、示唆切替部42は、ワークWの表面に圧子26aを押し付けてくぼみを形成したときに、最初の手順を示すアイコン61A,61Bを目立たせるように切り替えるとともに、その他の手順を示すアイコン61C〜61Eを目立たせないように切り替えることによって、測定手順示唆部41による示唆を初期化する。
【0040】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)硬さ試験機1は、測定手順示唆部41を備えているので、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆することができる。そして、硬さ試験機1は、示唆切替部42を備えているので、タッチパネル6にて手順を進める旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して次の手順を示唆するように測定手順示唆部41による示唆を切り替えることができる。したがって、本実施形態によれば、使用者は、測定手順示唆部41による示唆に基づいて、くぼみの縁の指定部位を容易に判断することができる。
【0041】
(2)測定手順示唆部41は、くぼみの寸法値を測定する際の手順ごとに画像にした複数のアイコン61A〜61Eをタッチパネル6に表示させることによって、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆するので、使用者は、これらのアイコン61A〜61Eを参照することによって、くぼみの縁の指定部位を直感的に判断することができる。したがって、本実施形態によれば、使用者は、測定手順示唆部41による示唆に基づいて、くぼみの縁の指定部位を更に容易に判断することができる。
【0042】
(3)示唆切替部42は、ワークWの表面に圧子26aを押し付けてくぼみを形成したときに、測定手順示唆部41による示唆を初期化するので、試験を開始するときに測定手順示唆部41による示唆を自動的に初期化することができる。したがって、本実施形態によれば、硬さ試験機1の利便性を向上させることができる。
(4)示唆切替部42は、タッチパネル6にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して前の手順を示唆するように測定手順示唆部41による示唆を切り替えるので、使用者は、タッチパネル6を介して手順を進める旨の操作入力を誤って行った場合であってもタッチパネル6を介して手順を戻す旨の操作入力を行うだけで容易に元の状態に戻すことができる。したがって、本実施形態によれば、硬さ試験機1の利便性を向上させることができる。
【0043】
(5)示唆切替部42は、手順を進める旨の操作入力として、くぼみの寸法値の入力を受け付けるので、使用者は、くぼみの寸法値を入力していくだけで測定手順示唆部41による示唆を次の手順に切り替えていくことができる。したがって、本実施形態によれば、硬さ試験機1の利便性を向上させることができる。
(6)示唆切替部42は、タッチパネル6にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、現在の手順に進めたときに入力されたくぼみの寸法値を消去するので、使用者は、タッチパネル6を介して手順を戻す旨の操作入力を行うだけで現在の手順に進めたときに入力したくぼみの寸法値を消去することができる。したがって、本実施形態によれば、硬さ試験機1の利便性を向上させることができる。
【0044】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、測定手順示唆部41は、くぼみの寸法値を測定する際の手順ごとに画像にした複数のアイコン61A〜61Eをタッチパネル6に表示させることによって、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆していたが、例えば、音声などを用いることによって、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆してもよい。要するに、測定手順示唆部は、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆することができればよい。
【0045】
また、前記実施形態では、示唆切替部42は、ワークWの表面に圧子26aを押し付けてくぼみを形成したときに、測定手順示唆部41による示唆を初期化していたが、初期化しなくてもよい。また、例えば、制御手段4は、タッチパネル6に初期化を実行するためのボタンなどを新たに表示し、このボタンを使用者が押下したときに、測定手順示唆部41による示唆を初期化するようにしてもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、示唆切替部42は、タッチパネル6にて手順を戻す旨の操作入力を受け付けたときに、使用者に対して前の手順を示唆するように測定手順示唆部41による示唆を切り替えるとともに、現在の手順に進めたときに入力されたくぼみの寸法値を消去していたが、この機能を有していなくてもよい。
また、前記実施形態では、示唆切替部42は、手順を進める旨の操作入力として、くぼみの寸法値の入力を受け付けていたが、例えば、ボタンの押下などの他の操作入力を進める旨の操作入力として受け付けてもよい。
【0047】
また、前記実施形態では、破壊靭性(Kc)の試験を行う場合を一例として説明したが、本発明は、ビッカース硬度(HV)の試験や、ヌープ硬度(HK)の試験などの他の試験法にも適用できる。
【0048】
図6は、本発明をビッカース硬度の試験に適用した例を示す図である。
例えば、ビッカース硬度(HV)の試験に本発明を適用した場合には、測定手順示唆部41は、図6に示すように、くぼみの寸法値を測定する際の手順ごとに画像にした複数のアイコン61A,65B,65Cをタッチパネル6Aの略中央の領域に表示させることによって、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆する。
【0049】
アイコン61Aは、ワークWを示す画像61A1と、圧子26aを示す画像61A2とによって構成されている。このアイコン61Aは、ワークWの表面に圧子26aを押し付けてくぼみを形成する手順を使用者に対して示唆している。
アイコン65Bは、くぼみを示す画像65B1と、くぼみの寸法値を計測する部位を示す線状の画像65B2とによって構成されている。このアイコン65Bは、くぼみの対角線の紙面横方向の長さを計測する手順を使用者に対して示唆している。
アイコン65Cは、くぼみを示す画像65C1と、くぼみの寸法値を計測する部位を示す線状の画像65C2とによって構成されている。このアイコン65Cは、くぼみの対角線の紙面縦方向の長さを計測する手順を使用者に対して示唆している。
【0050】
図7は、本発明をヌープ硬度の試験に適用した例を示す図である。
また、例えば、ヌープ硬度(HK)の試験に本発明を適用した場合には、測定手順示唆部41は、図7に示すように、くぼみの寸法値を測定する際の手順ごとに画像にした複数のアイコン61A,66Bをタッチパネル6Bの略中央の領域に表示させることによって、くぼみの寸法値を測定する際の手順を使用者に対して示唆する。
【0051】
アイコン61Aは、ワークWを示す画像61A1と、圧子26aを示す画像61A2とによって構成されている。このアイコン61Aは、ワークWの表面に圧子26aを押し付けてくぼみを形成する手順を使用者に対して示唆している。
アイコン66Bは、くぼみを示す画像66B1と、くぼみの寸法値を計測する部位を示す線状の画像66B2とによって構成されている。このアイコン66Bは、くぼみの対角線の紙面横方向の長さを計測する手順を使用者に対して示唆している。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明は、硬さ試験機に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 硬さ試験機
2 試験機本体
3 入力手段
4 制御手段
5 表示手段
25 硬さ試験部
26 圧子軸
26a 圧子
41 測定手順示唆部
42 示唆切替部
61A〜61E アイコン
62 取消ボタン
63 試験ボタン
64 寸法値入力エリア
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7