【文献】
光井隆,木村康隆,坂本健,吉本直人,N:I PON プロテクションにおける故障契機切替方法の提案,電子情報通信学会2013年総合大会講演論文集 通信2 PROCEEDINGS OF THE 2013 IEICE GENERAL CONFERENCE,日本,一般社団法人電子情報通信学会 ,2013年 3月19日,p.313
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2伝送路を伝送される光信号を合波して前記加入者側回線終端装置にそれぞれ供給するとともに、前記加入者側回線終端装置からそれぞれ出力される光信号を分波して前記第1および第2伝送路にそれぞれ供給するカプラを有することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術では、ONU104(加入者側回線終端装置)は、光信号を送受信するPONインタフェース141,142をそれぞれ2つずつ有していることから、装置の製造コストが高くなるという問題点がある。
【0005】
さらに、特許文献1に開示された技術では、例えば各ONU104の電源が遮断された場合にも、通信経路の異常と誤検知してしまう可能性があるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、加入者側回線終端装置の製造コストを低く抑えるとともに、電源断と電源断以外の要因による通信異常とを峻別し、異常発生時に伝送路をより確実に切り替えることが可能なネットワークシステムおよび通信事業者側回線終端装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、通信事業者側回線終端装置と、
複数の加入者側回線終端装置と、これらを接続する第1および第2伝送路とを少なくとも有し、前記第1および第2伝送路のいずれか一方を伝送される光信号を前記加入者側回線終端装置に供給するとともに、前記加入者側回線終端装置から出力される光信号を前記第1および第2伝送路のいずれか一方に供給するネットワークシステムにおいて、前記通信事業者側回線終端装置は、前記加入者側回線終端装置との間のリンク断を検出するリンク断検出手段と、
前記加入者側回線終端装置から送信される電源の遮断情報に基づき、前記加入者側回線終端装置の電源が遮断されたことを検出する電源断検出手段と、前記光信号が伝送される伝送路を、前記第1および第2伝送路のいずれか一方から選択する選択手段と、前記リンク断検出手段によって
少なくとも一部の前記加入者側回線終端装置との間のリンク断が検出された場合であって所定数以上の前記加入者側回線終端装置から前記遮断情報を受信していないときは前記選択手段による選択を他方に切り替え、一部の前記加入者側回線終端装置との間のリンク断が検出された場合であって前記所定数未満の前記加入者側回線終端装置から前記遮断情報を受信していないときは前記選択手段によるその時点の選択を維持する制御を実行する制御手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、製造コストを低く抑えるとともに、電源断と電源断以外の要因による通信異常とを峻別し、異常発生時に伝送路をより確実に切り替えることが可能となる。
【0008】
また、本発明は、前記第1および第2伝送路を伝送される光信号を合波して前記加入者側回線終端装置にそれぞれ供給するとともに、前記加入者側回線終端装置からそれぞれ出力される光信号を分波して前記第1および第2伝送路にそれぞれ供給するカプラを有する
ことを特徴とする。
このような構成によれば、第1および第2伝送路によって伝送路を多重化することができる。
【0009】
また、本発明は、
前記複数の加入者側回線終端装置を第1加入者側回線終端装置群とするとき、これとは異なる複数の加入者側回線終端装置を第2加入者側回線終端装置群としてさらに有し、前記第1および第2伝送路を伝送される光信号を合波して前記第1加入者側回線終端装置群を構成する前記加入者側回線終端装置のそれぞれと前記第2加入者側回線終端装置群を構成する前記加入者側回線終端装置のそれぞれに供給するとともに、前記第1加入者側回線終端装置群を構成する前記加入者側回線終端装置のそれぞれから出力される光信号と前記第2加入者側回線終端装置群を構成する前記加入者側回線終端装置のそれぞれから出力される光信号を分波して前記第1および第2伝送路にそれぞれ供給するカプラを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、
前記制御手段は、前記リンク断検出手段によって全ての前記加入者側回線終端装置との間のリンク断が検出された場合であって、全ての前記加入者側回線終端装置から前記遮断情報を受信していないときは、前記伝送路に異常が発生していると判定して前記選択手段による選択を他方に切り替える制御を実行することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、通信事業者側回線終端装置と、
複数の加入者側回線終端装置と、これらを接続する第1および第2伝送路とを少なくとも有し、前記第1および第2伝送路のいずれか一方を伝送される光信号を前記加入者側回線終端装置に供給するとともに、前記加入者側回線終端装置からそれぞれ出力される光信号を分波して前記第1および第2伝送路に供給するネットワークシステムの前記通信事業者側回線終端装置において、前記加入者側回線終端装置との間のリンク断を検出するリンク断検出手段と、
前記加入者側回線終端装置から送信される電源の遮断情報に基づき、前記加入者側回線終端装置の電源が遮断されたことを検出する電源断検出手段と、前記光信号が伝送される伝送路を、前記第1および第2伝送路のいずれか一方から選択する選択手段と、前記リンク断検出手段によって
少なくとも一部の前記加入者側回線終端装置との間のリンク断が検出された場合であって所定数以上の前記加入者側回線終端装置から前記遮断情報を受信していないときは前記選択手段による選択を他方に切り替え、一部の前記加入者側回線終端装置との間のリンク断が検出された場合であって前記所定数未満の前記加入者側回線終端装置から前記遮断情報を受信していないときは前記選択手段によるその時点の選択を維持する制御を実行する制御手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、製造コストを低く抑えるとともに、異常発生時に伝送路をより確実に切り替えることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加入者側回線終端装置の製造コストを低く抑えるとともに、電源断と電源断以外の要因による通信異常とを峻別し、異常発生時に伝送路をより確実に切り替えることが可能なネットワークシステムおよび通信事業者側回線終端装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
(A)本発明の第1実施形態の構成の説明
図1は、本発明の第1実施形態に係るネットワークシステムの構成例を示す図である。この図に示すように、第1実施形態に係るネットワークシステムは、上位ネットワーク10、通信事業者側PON(Passive Optical Network) I/F(Interface)20、総合監視制御部30、伝送路40、カプラ50−1,50−2、カプラ51−1〜51−n、加入者側PON I/F60−1〜60−n、および、PC(Personal Computer)61−1〜61−nを主要な構成要素としている。なお、
図1では、1台の通信事業者側PON I/F20を例示しているが、複数の通信事業者側PON I/Fを接続し、総合監視制御部30によって制御するようにしてもよい。
【0018】
上位ネットワーク10は、例えば、インターネット等によって構成され、上位ネットワーク10を介して他の通信相手との間で情報の授受を行う。
【0019】
通信事業者側PON I/F20は、通信事業者側に設置される光終端装置であり、上位ネットワーク10から受信した信号を伝送路40に送出するとともに、伝送路40から受信した光信号を上位ネットワークに送出する機能を有している。通信事業者側PON I/F20は、UP LINK側送受信部21A,21B、PON LINK側送受信部22A,22B、光電変換部23A,23B、および、PON I/F制御部24を有している。なお、UP LINK側送受信部21A,21B、PON LINK側送受信部22A,22B、光電変換部23A,23Bは、二重化されており、これらは互いに同様の機能を有している。以下では、UP LINK側送受信部21A、PON LINK側送受信部22A、および、光電変換部23AをA系と称し、UP LINK側送受信部21B、PON LINK側送受信部22B、および、光電変換部23BをB系と称する。
【0020】
ここで、UP LINK側送受信部21A,21Bは、上位ネットワーク10との間でリンクを形成して信号を送受信する。UP LINK側送受信部21A,21Bは、検出部21A1,21B1および制御部21A2,21B2を有し、検出部21A1,21B1によって上位ネットワーク間との通信状態等のリンクの状態や、UP LINK側送受信部21A,21Bの動作状態を検出してPON I/F制御部24に通知するとともに、制御部21A2,21B2によって動作状態を制御する。
【0021】
PON LINK側送受信部22A,22Bは、UP LINK側送受信部21A,21Bからそれぞれ供給される信号を光電変換部23A,23Bに対して供給するとともに、光電変換部23A,23Bから供給される信号をUP LINK側送受信部21A,21Bにそれぞれ供給する。PON LINK側送受信部22A,22Bは、検出部22A1,22B1および制御部22A2,22B2をそれぞれ有している。検出部22A1,22B1は、電気信号の内容に基づいて、加入者側PON I/F60−1〜60−nの電源が遮断されたことを示す電源断情報を検出したり、加入者側PON I/F60−1〜60−nとの情報の送受信が成り立たないか否か、即ちリンク断が発生したか否かを検出したりして、PON I/F制御部24に通知する。制御部22A2,22B2は、PON I/F制御部24からの制御信号に基づいてPON LINK側送受信部22A,22Bの動作を制御する。
【0022】
光電変換部23A,23Bは、PON LINK側送受信部22A,22Bから供給される電気信号を光信号に変換して伝送路40に送出するとともに、伝送路40を介して伝送される光信号を電気信号に変換してPON LINK側送受信部22A,22Bに供給する。光電変換部23A,23Bは、検出部23A1,23B1および制御部23A2,23B2をそれぞれ有している。検出部23A1,23B1は、光電変換部23A,23B自身の故障を検出するとともに、光信号に含まれている信号レベルの低下、および、光信号断等を検出し、PON I/F制御部24に通知する。また、制御部23A2,23B2は、PON I/F制御部24による制御に応じて、光信号の送出を停止または開始する。
【0023】
PON I/F制御部24は、検出部21A1,21B1,22A1,22B1,23A1,23B1の検出結果を総合監視制御部30に通知する。また、PON I/F制御部24は、総合監視制御部30からの制御信号に応じて制御部21A2,21B2,22A2,22B2,23A2,23B2を制御する。
【0024】
総合監視制御部30は、PON I/F制御部24と接続され、例えば、通信事業者側PON I/F20および加入者側PON I/F60−1〜60−nの設定情報を送受信するとともに、通信事業者側PON I/F20および加入者側PON I/F60−1〜60−nの監視を行う。
【0025】
伝送路40は、二重化された光ファイバ等の光伝送路40A,40Bによって構成され、光電変換部23A,23Bから出力される光信号をカプラ50−1,50−2に伝送するとともに、カプラ50−1,50−2から出力される光信号を光電変換部23A,23Bに伝送する。
【0026】
カプラ50−1,50−2は、1:nカプラによって構成され、光伝送路40A,40Bから出力される光信号をn分波してカプラ51−1〜51−nに出力する。また、カプラ50−1,50−2は、カプラ51−1〜51−nから出力される光信号を合波して光伝送路40A,40Bに出力する。
【0027】
カプラ51−1〜51−nは、2:1カプラによって構成され、カプラ50−1,50−2から出力される光信号を合波して加入者側PON I/F60−1〜60−nにそれぞれ出力する。また、加入者側PON I/F60−1〜60−nから出力される光信号を分波してカプラ50−1,50−2に出力する。
【0028】
加入者側PON I/F60−1〜60−nは、サービスの加入者宅に配置される光終端装置であり、伝送路40を伝送される光信号を電気信号に変換するとともに、伝送路40を伝送される光信号の信号形式と、家庭内で用いられるLAN等の信号形式とを相互に変換する機能を有する。なお、加入者側PON I/F60−1〜60−nは、光送受信部をそれぞれ1台ずつ有している。
【0029】
PC61−1〜61−nは、サービス加入者の操作に応じた情報を加入者側PON I/F60−1〜60−nを介して伝送路40に送出するとともに、伝送路40を介して伝送されてきた情報を、例えば、テキスト、音声、映像として提示する。
【0030】
(B)本発明の第1実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第1実施形態の動作を説明する。本発明の第1実施形態では、通信事業者側PON I/F20は、加入者側PON I/F60−1〜60−nとの間のリンク断が生じた場合には、伝送路40の異常によるリンク断か、あるいは、加入者側PON I/F60−1〜60−nの電源断によるリンク断かを判定し、これらの情報に基づき伝送路40を切り替える、または、維持する処理を実行する。
【0031】
より詳細には、例えば、A系であるUP LINK側送受信部21A、PON LINK側送受信部22A、および、光電変換部23Aが動作状態とされ、B系であるUP LINK側送受信部21B、PON LINK側送受信部22B、および、光電変換部23Bが停止状態とされ、光伝送路40Aを介して、通信事業者側PON I/F20と加入者側PON I/F60−1〜60−nの間で情報が授受されている場合に、全ての加入者側PON I/F60−1〜60−nとの間でリンク断が生じたときは、PON LINK側送受信部22Aの検出部22A1がリンク断を検出し、PON I/F制御部24を介して総合監視制御部30に通知する。
【0032】
総合監視制御部30は、全ての加入者側PON I/F60−1〜60−nとのリンク断を検出した場合、つぎの2種類の異常のいずれかであると判定する。すなわち、光伝送路40Aの異常によるリンク断である場合か、または、加入者側PON I/F60−1〜60−nの全ての電源が遮断された場合である。加入者側PON I/F60−1〜60−nの電源が遮断される場合、電源が遮断される加入者側PON I/Fは、電源が遮断されたことを示す情報(以下、「電源断情報」と称する)を通信事業者側PON I/F20に対して送信する。なお、電源断情報を送信する方法としては、例えば、加入者側PON I/F60−1〜60−nが有する電源スイッチがオフの状態にされた場合には、例えば、電源のコンデンサに蓄電されている電力によって、電源が遮断されたことを示す情報を、通信事業者側PON I/F20に対して送信するようにすればよい。もちろん、これ以外の方法によって、電源断情報を送信するようにしてもよい。尚、電源断情報には、IEEE802.3の規格に準じたものを用いても良いし、この他自己を識別する情報等が含まれるようにしてもよい。
【0033】
このような電源断情報は、PON LINK側送受信部22Aによって受信される。総合監視制御部30は、全ての加入者側PON I/F60−1〜60−nとの間のリンク断が検出された場合には、リンク断となる加入者側PON I/Fから電源断情報を受信したか否かを判定し、全ての加入者側PON I/F60−1〜60−nについて電源断情報を受信している場合には、伝送路40Aの異常ではなく、電源が遮断されたことによるリンク断と判定し、A系からB系への切り替えは実行しない。一方、全ての加入者側PON I/F60−1〜60−nについて電源断情報を受信していない場合には、伝送路40Aに異常が発生したと判断できるので、総合監視制御部30は、A系からB系への切り替えを実行する。すなわち、総合監視制御部30は、UP LINK側送受信部21A、PON LINK側送受信部22A、および、光電変換部23Aの動作を停止するとともに、UP LINK側送受信部21B、PON LINK側送受信部22B、および、光電変換部23Bの動作を開始させ、光伝送路40Bを介して情報を送受信する。これにより、異常が発生している伝送路40Aの経路は使用されなくなるので、異常から復旧することができる。なお、B系に切り替える際に、B系に異常が発生しているか事前に判定するようにしてもよく、電源断情報を受信したか否かを判定するタイミングは、リンク断が検出される直前であってもよい。
【0034】
また、総合監視制御部30によって、加入者側PON I/F60−1〜60−nの一部との間のリンク断が検出された場合、PON LINK側送受信部22Aの検出部22A1がリンク断を検出し、PON I/F制御部24を介して総合監視制御部30に通知する。総合監視制御部30は、加入者側PON I/F60−1〜60−nの一部との間のリンク断の発生が通知された場合、つぎの2種類の異常のいずれかであると判定する。すなわち、カプラ50−1と、カプラ51−1〜51−nのいずれかとの間で異常が発生した場合か、または、加入者側PON I/F60−1〜60−nのいずれかの電源が遮断された場合である。加入者側PON I/F60−1〜60−nの電源が遮断される場合、電源が遮断される加入者側PON I/Fは、電源が遮断されたことを示す情報(以下、「電源断情報」と称する)を通信事業者側PON I/F20に対して送信する。なお、電源断情報を送信する方法としては、例えば、加入者側PON I/F60−1〜60−nが有する電源スイッチがオフの状態にされた場合には、例えば、電源のコンデンサに蓄電されている電力によって、電源が遮断されたことを示す情報を、通信事業者側PON I/F20に対して送信するようにすればよい。もちろん、これ以外の方法によって、電源断情報を送信するようにしてもよい。なお、電源断情報には、IEEE802.3の規格に準じたものを用いても良いし、この他自己を識別する情報等が含まれるようにしてもよい。
【0035】
このような電源断情報は、PON LINK側送受信部22Aによって受信される。総合監視制御部30は、加入者側PON I/F60−1〜60−nの一部との間のリンク断が検出された場合には、リンク断となる加入者側PON I/Fから電源断情報を受信したか否かを判定し、リンク断となる加入者側PON I/F全てから電源断情報を受信している場合には、カプラ50−1とカプラ51−1〜51−nの間の異常ではなく、電源が遮断されたことによるリンク断と判定し、A系からB系への切り替えは実行しない。一方、リンク断となる加入者側PON I/F全てから電源断情報を受信していない場合には、カプラ50−1とカプラ50−1〜50−nの間で異常が発生したと判断できるので、総合監視制御部30は、A系からB系への切り替えを実行する。すなわち、総合監視制御部30は、UP LINK側送受信部21A、PON LINK側送受信部22A、および、光電変換部23Aの動作を停止するとともに、UP LINK側送受信部21B、PON LINK側送受信部22B、および、光電変換部23Bの動作を開始させ、光伝送路40Bを介して情報を送受信する。これにより、異常が発生しているカプラ50−1とカプラ51−1〜51−nの経路は使用されなくなるので、異常から復旧することができる。なお、B系に切り替える際に、B系に異常が発生しているか事前に判定するようにしてもよく、電源断情報を受信したか否かを判定するタイミングは、リンク断が検出される直前であってもよい。
【0036】
なお、
図1の例では、リンク断となる加入者側PON I/F全てから電源断情報を受信した場合、または、リンク断となる加入者側PON I/F全てから電源断情報を受信していない場合を示したが、リンク断となる加入者側PON I/Fの一部から電源断情報を受信しない場合に伝送路の切り替えを実行するようにしてもよい。具体的には、例えば、加入者側PON I/F60−1〜60−nのうちm個(1≦m≦n)の加入者側PON I/Fについてリンク断が検出された場合に、このうち所定数k個(1≦k≦m)以上の加入者側PON I/Fから電源断情報を受信しない場合に伝送路の切り替えを実行し、これ以外の場合は伝送経路を維持する構成としてもよい。このような構成とする事で、例えば、加入者の故意等によりリンク断が発生した場合や、伝送路40Aの断線が発生する直前に加入者の故意等により一部の加入者側PON I/Fの電源が遮断された場合に、伝送経路40Aの異常の有無を誤検出し、該誤検出に基づいて伝送路を切り替える、または維持する制御を実行するのを防ぐことができる。尚、所定数kは使用環境に応じて適宜変更できる構成としてもよい。
【0037】
なお、
図1の例では、加入者側PON I/F60−1〜60−nのみを有するようにしたが、
図2に示すように、加入者側PON I/F60−1〜60−nに加えて、加入者側PON I/F70−1〜70−mを有するようにしてもよい。
図2に示す例では、カプラ52−1,52−2は、1:2カプラによって構成される。カプラ52−1は、光伝送路40Aから供給される光信号を分波してカプラ50−1,53−1に供給するとともに、カプラ50−1,53−1から供給される光信号を合波して光伝送路40Aに供給する。カプラ52−2は、光伝送路40Bから供給される光信号を分波してカプラ50−2,53−2に供給するとともに、カプラ50−2,53−2から供給される光信号を合波して光伝送路40Bに供給する。カプラ53−1,53−2は、1:mカプラによって構成され、カプラ52−1,52−2から供給される光信号をm分波してカプラ54−1〜54−mに出力するとともに、カプラ54−1〜54−mから供給される光信号を合波してカプラ52−1,52−2に供給する。カプラ54−1〜54−mは、2:1カプラによって構成され、カプラ53−1,53−2から出力される光信号を合波して加入者側PON I/F70−1〜70−mに供給するとともに、加入者側PON I/F70−1〜70−mから供給される光信号を分波してカプラ53−1,53−2に供給する。なお、加入者側PON I/F70−1〜70−mおよびPC71−1〜71−mは、加入者側PON I/F60−1〜60−nおよびPC61−1〜61−nと同様の構成としてもよい。
【0038】
図2に示す例では、
図1の場合と同様にカプラ50−1,50−2とカプラ51−1〜51−nとの間で異常が発生した場合だけでなく、カプラ53−1,53−2とカプラ54−1〜54−mとの間で異常が発生した場合にも、リンク断が検出される。また、
図2の例では、カプラ52−1とカプラ50−1またはカプラ53−1の間で異常が発生した場合、および、カプラ52−2とカプラ50−2またはカプラ53−2の間で異常が発生した場合にもリンク断が検出されることになる。このような場合には、前述したように、電源断情報が送信されているかを判定することで、電源断を異常として誤判定することを防止できる。
【0039】
以上に説明したように、本発明の第1実施形態によれば、加入者側PON I/Fとの間でリンク断が生じた場合において、全ての加入者側PON I/Fとの間におけるリンク断の場合には光伝送路に異常が発生したと判定してA系からB系へ切り替える。また、一部の加入者側PON I/Fとの間におけるリンク断の場合には電源断情報を受信しているときには電源が遮断されたと判定して切り替えは行わず、電源断情報を受信していないときには異常が発生したと判定してA系からB系へ切り替えるようにしたので、電源断を異常と誤判定して系を切り替えることを防止できる。また、全ての加入者側PON I/Fとの間でリンク断が生じた場合には異常の発生と判断して系を確実に切り替えることができる。さらに、加入者側PON I/F60−1〜60−nおよび加入者側PON I/F70−1〜70−mは、光送受信部を1つずつ備えることから、
図6の場合に示すように2つずつ備える場合に比較して、製造コストを低く抑えることができる。
【0040】
つぎに、
図3を参照して、第1実施形態の詳細な動作について説明する。
図3に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0041】
ステップS11では、総合監視制御部30は、現用系のPON LINKの状態を検出する。より詳細には、例えば、A系が現用系として選択されて運用されている場合には、総合監視制御部30は、PON LINK側送受信部22Aの検出部22A1によってPON LINKの状態を検出する。
【0042】
ステップS12では、総合監視制御部30は、加入者側PON I/F60−1〜60−nとの間におけるPON LINKが全て断の状態であるか否かを判定し、全て断の状態であると判定した場合(ステップS12:Yes)にはステップS14に進み、それ以外の場合(ステップS12:No)にはステップS13に進む。例えば、A系が現用系として選択されている場合、総合監視制御部30は、PON LINK側送受信部22Aの検出部22A1によってPON LINKが全て断の状態であることが検出されているときにはステップS14に進み、それ以外の場合にはステップS13に進む。
【0043】
ステップS13では、総合監視制御部30は、加入者側PON I/F60−1〜60−nとの間におけるPON LINKの一部が断の状態であるか否かを判定し、一部が断の状態であると判定した場合(ステップS13:Yes)にはステップS14に進み、それ以外の場合(ステップS13:No)にはステップS17に進む。例えば、A系が現用系として選択されている場合、総合監視制御部30は、PON LINK側送受信部22Aの検出部22A1によってPON LINKの一部が断の状態であることが検出されているときにはステップS14に進み、それ以外の場合にはステップS17に進む。
【0044】
ステップS14では、総合監視制御部30は、リンク断と判定された加入者側PON I/Fについて、電源断情報を受信済みか否かを判定し、受信済みである場合(ステップS14:Yes)にはステップS16に進み、それ以外の場合(ステップS14:No)にはステップS15に進む。例えば、リンク断が生じている加入者側PON I/Fの電源が遮断された場合には、PON LINK側送受信部22Aの検出部22A1によって電源断情報が受信されているので、その場合にはステップS16に進む。
【0045】
ステップS15では、現用系から待機系に切り替える処理を実行する。例えば、A系が現用系として選択されている場合、総合監視制御部30は、UP LINK側送受信部21A、PON LINK側送受信部22A、および、光電変換部23Aの動作を停止するとともに、UP LINK側送受信部21B、PON LINK側送受信部22B、および、光電変換部23Bの動作を開始させ、光伝送路40Bを介して情報を送受信する。
【0046】
ステップS16では、現用系の使用を維持する。例えば、A系が現用系として選択されている場合、総合監視制御部30は、UP LINK側送受信部21A、PON LINK側送受信部22A、および、光電変換部23Aの動作を継続する。
【0047】
ステップS17では、処理を終了するか否かを判定し、処理を終了しないと判定した場合(ステップS17:No)にはステップS11に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS17:Yes)には処理を終了する。
【0048】
以上のフローチャートの処理によれば、前述した動作を実現することができる。
【0049】
(C)本発明の第2実施形態の構成の説明
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係るネットワークシステムの構成例を示す図である。なお、
図4において
図1と対応する部分には同一の符号を付してあるのでその説明は省略する。
図4では
図1と比較すると、カプラ50−1,50−2およびカプラ51−1〜51−nが除外され、カプラ80が新たに付加されている。それ以外の構成は、
図1の場合と同様である。
【0050】
ここで、カプラ80は、2:nカプラによって構成され、光伝送路40A,40Bから供給される光信号を合波するとともにn分波して加入者側PON I/F60−1〜60−nに供給する。また、カプラ80は、加入者側PON I/F60−1〜60−nから供給される光信号を合波するとともに2分波して光伝送路40A,40Bに供給する。
【0051】
(D)本発明の第2実施形態の動作の説明
つぎに、第2実施形態の動作について説明する。なお、第2実施形態でも
図3と同様のフローチャートの処理が実行される。一例として、A系が現用系として選択されて運用されている場合に、例えば、光伝送路40Aに異常が発生したときには、全ての加入者側PON I/F60−1〜60−nとのリンク断が発生する。そのような場合には、総合監視制御部30は、
図3のステップS12においてYesと判定し、また、全ての加入者側PON I/F60−1〜60−nについて電源断情報が検出されないため、
図3のステップS14においてNoと判定し、ステップS15において、A系からB系への切り替え処理を実行する。
【0052】
一方、カプラ80と加入者側PON I/F60−1〜60−nとの間のいずれかの箇所において異常が発生した場合、または、加入者側PON I/F60−1〜60−nのいずれかの電源が遮断された場合には、加入者側PON I/F60−1〜60−nの一部とのリンク断が発生する。そのような場合には、総合監視制御部30は、
図3のステップS13においてYesと判定し、ステップS14において、電源断情報を受信済みか否かを判定し、受信済みである場合には電源が遮断されたと判定してステップS16に進んで現用系であるA系の使用を維持する。一方、電源断情報を受信済みでない場合にはステップS15においてA系からB系への切り替え処理を実行する。
【0053】
以上の処理によれば、第1実施形態と同様に、加入者側PON I/Fとの間でリンク断が生じた場合において、全ての加入者側PON I/Fとの間におけるリンク断の場合には光伝送路に異常が発生したと判定してA系からB系へ切り替え、一部の加入者側PON I/Fとの間におけるリンク断の場合には電源断情報を受信しているときには電源が遮断されたと判定して切り替えは行わず、電源断情報を受信していないときには異常が発生したと判定してA系からB系へ切り替えるようにした。このため、電源断を異常と誤判定して系を切り替えることを防止できる。また、全ての加入者側PON I/Fとの間でリンク断が生じた場合には異常の発生と判断して系を確実に切り替えることができる。さらに、加入者側PON I/F60−1〜60−nは、光送受信部を1つずつ備えることから、
図6の場合に示すように2つずつ備える場合に比較して、製造コストを低く抑えることができる。
【0054】
なお、
図4に示す例では、加入者側PON I/F60−1〜60−nのみを有するようにしたが、
図5に示すように、加入者側PON I/F60−1〜60−nに加えて、加入者側PON I/F70−1〜70−mを有するようにしてもよい。
図5に示す例では、カプラ52−1は、光伝送路40Aから供給される光信号を分波してカプラ80,81に供給するとともに、カプラ80,81から供給される光信号を合波して光伝送路40Aに供給する。カプラ52−2は、光伝送路40Bから供給される光信号を分波してカプラ80,81に供給するとともに、カプラ80,81から供給される光信号を合波して光伝送路40Bに供給する。カプラ81は、2:mカプラによって構成され、カプラ52−1,52−2から供給される光信号を合波するとともにm分波して加入者側PON I/F70−1〜70−mに出力するとともに、加入者側PON I/F70−1〜70−mから供給される光信号を合波するとともに分波してカプラ52−1,52−2に供給する。なお、加入者側PON I/F70−1〜70−mおよびPC71−1〜71−mは、加入者側PON I/F60−1〜60−nおよびPC61−1〜61−nと同様の構成とされている。
図5に示す例では、
図2の場合と同様にカプラ80と加入者側PON I/F60−1〜60−nとの間で異常が発生した場合だけでなく、カプラ81と加入者側PON I/F70−1〜70−mとの間で異常が発生した場合にも、一部の加入者側PON I/Fとの間でリンク断が検出される。また、
図5の例では、カプラ52−1,52−2とカプラ80,81の間で異常が発生した場合にも一部の加入者側PON I/Fとの間でリンク断が検出されることになる。このような場合には、前述したように、電源断情報が事前に送信されているかを判定することで、電源断を異常として誤判定することを防止できる
【0055】
(E)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の各実施形態では、PON LINK側送受信部22A,22Bおよび光電変換部23A,23Bは独立した構成としたが、例えば、PON LINK側送受信部22Aと光電変換部23Aを1の構成とし、また、PON LINK側送受信部22Bと光電変換部23Bを1の構成としてもよい。
【0056】
また、以上の実施形態では、通信事業者側PON I/F20は1台だけ存在する場合を例に挙げて説明したが、通信事業者側PON I/Fが複数存在する構成としてもよいことはいうまでもない。
【0057】
また、以上の実施形態では、総合監視制御部30を有する構成としたが、総合監視制御部30を除外して、PON I/F制御部24が総合監視制御部30の機能を有する構成としてもよい。
【0058】
また、以上の実施形態では、リンク断と判定された加入者側PON I/Fの電源断情報の検出結果に基づいて伝送路を切り替える、または維持する構成としたが、一部または全ての加入者側PON I/Fのリンク断が所定の時間内に復旧した場合には伝送経路を維持する構成や、同一の加入者側PON I/Fついて複数回リンク断が検出された場合、またはこのうち所定回数以上電源断情報を受信しない場合に伝送経路を切り替える構成、この他電源断情報の検出結果に応じて伝送経路を切り替える、または維持する構成としてもよい。この様な構成とする事で、例えば、何らかの理由によって電源断情報が遅れる、または伝送路が正常であるにも関わらず電源断情報を受信しない場合や、加入者の故意等によってリンク断と復旧が断続的に引き起こされる場合等に、伝送経路の異常の有無を誤検出するのを防ぐことができる。